東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「虚実」って何ですか?

2010.02.22

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今日から、東洋医学独特のいくつかの考え方について、簡単に述べてみようと思います。

 


まずは「虚実(きょじつ)」についてです。

 


古代中国の自然哲学では、何もかも全てのもの(森羅万象)を「気」から出来ていると考え、それを「陰陽」の二つに分けて考え、その運動で持ってすべての事象を説明する、という話は、以前にしました。


「気」って何ですか?

「陰陽」って何ですか?  参照

 

 

・・・東洋医学では、この考え方を当然、人体においても用いている訳ですが、「病気」というものを考えた場合、問題になるのは、

その陰陽のバランスがどう崩れているか、

どうすれば元通りに出来るか、

というところですよね?

 

そこで使う考え方が

「虚実(きょじつ)」や、

「寒熱(かんねつ)」や、

「表裏(ひょうり)」

という概念です。

 


このうち、まず「虚実」ですが、

 

「虚(きょ)」というのは、字のまんまですが、「うつろ」とか「足りない」ということを意味します。

 

「実(じつ)」はその反対で、「充実している」「過剰である」という意味があります。

 


この考え方から、何かが足らなくなった病気を

「虚証(きょしょう)の病」

と言い、何かが過剰になった病気を

「実証(じっしょう)の病」

と言います。

 

 

「虚証の病」であれば、病気を試合や戦に例えれば、防戦一方、という感じになりますし、「実証の病」であれば、バチバチの殴り合い、激しい交戦状態を示します。

 

 

そこからして、この”虚実”のことを「病勢」と呼んだりします。

 


そして、さらに細かく具体的に、「どこの」「何が」足らないのか、「どこの」「何が」過剰なのかを考えて、それがいち早くもとに戻るように考えて、戦略的に治療します。

 


因みに、邪気と戦う「正気(せいき)」が過剰(実)で、「邪気(じゃき)」が足らない状態(虚)なんであれば、それは健康体ということですから、治療対象にはなりません。(笑)

 

「病体」というのは、必ず正気が虚、あるいは邪気が実、またはその両方が混在している、という状態になっている、と考えます。

 


我々が普段行っている診察(四診:望聞問切)というのは、ここからさらに


「虚」の中心(根本原因)

 

や、


「実」の中心(根本原因)


を突きとめ、明らかにするために行います。

 


そしてそれを突きとめたならば、うつろなところが充実するよう、あるいは過剰な部分が散って落ち着く(平均化する)よう、鍼灸を施したり、漢方薬を飲んでいただいたりする訳ですね。

 


故に、「虚実」は、鍼をする上で、絶対に外せない考え方の一つなのであります。

 

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「養生」と「鍼灸」

2010.02.19

明日から暖かくなるようですね。

ようやく、というところでしょうか。(苦笑)

・・・しかし、ここのところの寒さは異常ですね~。

そんなわけでかぜひきさんをよく診るんですが、よく患者さんから、

「「かぜ」って鍼で治療できますか?」

と聞かれることがあります。この質問に対して、僕はいつも

「もちろんできます。ただ、摂生が一番ですがネ。。」

と答えています。


東洋医学では古くから、現代医学で言うウイルスや細菌による急性の病気のことを指して、

「外感病(がいかんびょう)」

と呼んで、様々な治療法を考案し、成果をあげています。

(漢方薬はもちろん、鍼灸でも、です。)


この理論に従って治療をすれば、直後にその場でのどの痛みがとれたり、発汗して熱が下がったり、寒気や関節痛がとれたりすることはよく経験します。

(ちなみに今日もありました(笑))


・・・しかし、どんなに無理していようとも、鍼していればオールオーケーかと言うと、残念ながらそうではありません。


やはり基本は十分な睡眠、胃腸への負担の軽い食事、安静(無理に動かない)です。


それをやった上で、鍼で「病気と闘う力」、「治る力」を高めてやれば、より効果的で、早く治るよ、ということです。


「鍼」があまりにも高い効果を示して、それに慣れると、一にも二にも「養生」が大事だ、ということを忘れがちになります。


しかしこれは逆に言うと、まずはしっかり養生して、鍼灸で体のバランスを整えていれば、あらゆる病を予防できるよ、ということでもあります。

・・・あと少しで暖かくなります。


鍼と養生で、なんとか乗り切りましょう!

 

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(社)日本東洋医学会

2010.02.15

昨日は、(社)日本東洋医学会、関東甲信越支部、東京都部会に行ってきました。

 

(会場は蒲田にある東邦医大)

(社)日本東洋医学会HP
http://www.jsom.or.jp/html/index.htm

 

午前中は「清代宮廷の漢方治療」というテーマの講義と「漢方薬の効果の経路」、午後は「中医学と盗汗(寝汗)」、「鍼灸治療の可能性」というテーマで、

 

医師の先生方による講義でした。

 

(社)日本東洋医学会は医師が中心となっている学術団体です。

 

その歴史は古く、60年も前からあります。

(社)北辰会とも友好的であり、代表理事である藤本蓮風先生も、これまでに大きな学会に何度か座長やシンポジストとして参加しています。

この日の講義もいい内容でした。

 

詳しい内容は難しくなるので書きませんが、感想としては、医師たちの中にこのように東洋医学を学び、活動する人たちが増えてきていることをとても嬉しく感じました。

若い先生もちらほらいて、今後ももっともっと東洋医学を学ぶ若い医師の先生が増えて来ることを期待したいな~、と思いましたね~。

そうなった時に共に頑張れるように、僕ももっと頑張らねば・・・。

 

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「鍼灸」の有効性

2010.02.14

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今日は、少し真面目に「鍼灸の有効性」について考えてみたいと思います。(笑)
 
僕は、これまでの自分自身の経験から、「鍼灸は大変よく効くものだ」、という認識を持っています。

(しかも、「あらゆる病に効く」という認識です。)

 
しかし、これはあくまで「僕個人の経験上」の話であり、尊敬する色々な先輩から、これまで様々な技術、方法論を教わってきて、それを実際に実践してみての見解であり、
 
必ずしも「一般的」ではないと思います。
 
つまり、いい先輩に恵まれなかった鍼灸師の中には
 
「鍼灸を実践してみたけど全然効かなかった。出来るようになんなかった。」
 
と吐き捨てて、やめてしまった先生もいらっしゃることでしょう。
 
そのためか、日本の医学界、医療業界では、なかなか鍼灸の有効性を広く認め、一般的に認知させる、という活動が盛んになってきません。

(もちろん、一部の先生方は一生懸命活動されておりますが。)

 
僕は
 
「鍼灸はあらゆる病に有効な、れっきとした医学なんだ。」
 
という認識を、日本全国、果ては全世界の病気に苦しむ人々みんなに気づいてほしい、と願っています。
 
ではどうすれば、そうなるのか、という問題ですが、これが実はヒジョーに難しいことだ、と思います。
 
現代は、「科学万能」と言われるぐらい、みんな科学文明の恩恵にあやかって日々の生活を営んでいます。
 
 
僕も例外ではありません。
 
電池式の目覚まし時計で起き、コンセントに繋がったテレビやインターネットで情報を得て、ガソリンで動くバイクで往診に行き、院内が寒くないようにガスファンヒーターと加湿器を使い、
 
暗くないように照明器具を使い、患者さんがリラックスできるようにとCDをかけて治療しています。
 
これらは全て現代科学文明の恩恵にあやかっている姿であり、その利便性たるや、否定のしようもございません。
 
 
むしろ大感謝であります。
 
「東洋医学」というものは、これらがこの世に存在する、かなり以前から行われてきたものであり、なかなか「現代科学的な手法」で有効性を証明するのが難しい面があるようです。
 
なぜなら、漢方薬にしろ鍼灸にしろ、「東洋医学的な治療」というのは、患者さんの「個体差」というものを非常に意識して行う治療であり、
 
地域によって、季節によって、またその患者さん自身の特徴によって、「同じ病気であっても」治療法が変わるため、

「人の数だけ病気と治療法が存在する」

ということになり、

「~病には~という薬がよく効く」

 
とか、

「~病には~というツボに鍼すればOK」

とかいう話には、どこまでいってもならないんです。

 
 
そのため、治療者自身の技術力(診断能力)に効果が左右されてしまう面があることが否めません。
 
じゃあそういう良い症例を集めて、「数」でものを言ったらどうか、というと、仮に

「〇〇病の患者10万人に鍼したら9万人に有効だったから鍼は有効だ。」

と言ったとしても、最終的には結局、それって

 
「誰が」「どこに」「どういう考え方で」「どんな」
 
鍼をしたかが問題になってしまうので、そのデータを出した術者や方法論に対する評価は一定程度上がったとしても、「鍼そのもの」の有効性を証明するのはなかなか難しい、
 
となってしまいます。
 
言わば、東洋医学の医者というのは、医療人でありながら、一点モノの作品を作る「伝統工芸人」のような側面がある訳です。
 
 
ですから、高い治療実績や効果を安定的に出せる臨床家のことを指して「名人」と呼んで、特別視したりする訳です。
 
でもその先生からしてみたら、
 
「別にただ普通に東洋医学を勉強して、一生懸命治療してるだけなんだけどなあ・・。」
 
となるんだと思います。
 
近年ではようやく日本でも諸外国でも、大きな病院の中で「鍼灸」や「漢方」が実践されることが増えてきましたが、まだまだこれからの段階であり、
 
なかなか「患者さん数万人を一貫した手法で一遍に治療してデータを出す」ということは、やりにくい状況にあります。
 
よって、
 
「そんなに効くと言うなら、データを見せなさい!」
 
と言われても、

「それは今やっているところです…。」

 
となってしまいます。
 
 
残念ですが。
 
・・・しかし!東洋医学は中国で2500年以上、日本でも約1500年、患者さんから支持され続けた、歴史ある伝統医学であることは間違いありません。
 
しかもその有効性は、僕の短い経験からも明らかです。
 
 
こうした現状から、結論として、我々現代の鍼灸臨床家は、日々コツコツと、一生懸命、患者さん一人ひとりの治療にあたるしかないようです。
 
もちろん、「僕ならすべて治せる」なんてことは、全く思いませんが、「東洋医学があらゆる病に有効な治療法である」ということは、僕の経験から見ても、
 
尊敬する先輩たちの仕事を見ても、明らかです。
 
患者さんには、悩んだりあきらめてないで、是非一歩を踏み出してほしいと思います。
 
「東洋医学」は、必ずあなたの力になれる筈です。
 
 
 
 
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はるばる・・・(その8)橋本浩一先生、島内薫先生

2010.02.01

昨日は、代々木にて行われた、(社)北辰会関東支部の定例勉強会に行ってきました。

 

その前日の土曜日の診療終了後に、我が清明院に、(社)北辰会講師で、

『内経気象学入門』

の著者である橋本浩一先生と、北辰会の”歩く百科事典”、方剤学、養生学の専門家である島内薫先生が大阪からいらっしゃいました。

 

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左が橋本先生、右が島内先生です。


・・・この2ショットはなかなか貴重ですよ!(笑)


教頭先生と仙人、て感じでしょ??(笑)

 


しかし北辰会の講師陣の人材は見た目も中身も幅広い・・・。

 


橋本先生の本については、以前このブログでも紹介しました。

⇒ 勉強会行ってきました! 参照

 


島内薫先生は、鍼灸師と薬剤師の免許を持ち、鍼灸、漢方薬に詳しいのはもちろん、宗教、哲学、時事問題などなど、

「この人は知らないことがないんじゃなかろうか・・・。」

と思うような、知識の塊のような先生です。

 


お二人とも、僕が勉強に行き詰った時の「薬箱」のような存在であります!

 


この写真を撮ったあと、関東支部の役員、役員候補たちで集まって軽い勉強会+飲み会をしてから解散し、次の日も勉強会+飲み会(12時まで!)をこなし、

 

今日も朝からガンガン臨床しております!

 


みんな恐ろしくタフです!

 


やっぱ鍼灸師はタフじゃなきゃ!!

 

 

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鍼灸(師)批判について(その3)

2010.01.16

このシリーズはアツいです。まだまだいきましょう。今日は3、についてです。

3、「鍼灸って宗教みたいなもんでしょ?なんか胡散臭い。怖い。」

というご意見です。

 


こういう意見が出ること自体、日本ぽいですよね?

(僕はそう感じました。)

 


・・・というのも、日本人は基本的に無宗教と言われ、それぞれが自由気ままに、何も信仰していないか、何かを信仰しているか、です。

 

 

よく外国の人から、

 

「日本人は宗教の素養が無さすぎる!」

 

と批判されることがあるそうです。

 

(僕の友人でアメリカに留学したやつも、そんなこと言われたとか言ってたな。。。)

 


これはもともと「八百万の神様」という、自然界の全てのものに神が宿る、という多神教の考え方の影響なんでしょうかね。

 


それはともかく、宗教というものに対して胡散臭いとか、怖いという感情が想起されるのはなぜでしょうか。

 

 

まず大前提として、知らないものに対する警戒感、みたいなものがあるでしょう。

 


さらに加えて、一部の新興宗教によるしつこい勧誘だとか、近年の一部のカルト教団による無差別テロ行為や、「修行」と称した異常な行動の報道に対する、

 

悪い印象、インパクトが大きいからでしょうね。

 


また、体の不調などを、霊だとか前世のカルマだとかの”せいにして”高額なものを売りつけたりといった、悪徳商法が後を絶たないことも理由の一つでしょう。

 


・・・困ったもんですネ(ため息)。

 


ああいったものと、東洋医学、鍼灸治療とは全くの別物です。

 


何にも胡散臭くないし、怖がる必要もありません。

 


僕らは超能力者でも何でもないです。

 


自分でやんなるほど凡人です!(笑)

 


ただ、東洋医学の言う古典的な理論と手法に則って、日々一生懸命、鍼灸や漢方薬で治療をやっているだけです。


・・・故にもちろん、限界もあります。

 


そして東洋医学には、その判断基準(その術者による治療の限界)も明確に示されています。

 


万が一、上記のような不可解な行為を、皆さんがおかかりの治療院で勧められたら、直ちに警察に知らせるべきだと思います。

 


医療人と、その皮を被った、ただの犯罪者とは違います。

・・・「医療」と「宗教」というものの違いについては、僕も以前から興味を持ちまして、本で調べてみたり、色々な先輩に質問させていただいたことがあります。

 


その中で得た、僕なりの考え方を簡単に述べてみようと思います。

 


「医療」と「宗教」というものは、もともと「人を救う」という意味では同じ発想から始まっているのではないでしょうか。

(おそらく釈迦もキリストも、それぞれに個性、特長はあれども最初はこうしたシンプルな発想から始まったのでしょう。)

 


救わんとする対象物は両者ともに「人間」ですが、医療の場合は「病んだ人間=病人」を対象としていることが、大きな違いといえば違いでしょう。

「宗教」の場合は、その字のごとく、「あまねく教え導く」ですから、「全ての人間」が対象ですし、”病気の治療”以外の内容も大いに含むでしょうね。

 

 

そしてその教えを「信じる」というのがポイントですね。

 

 

まあ「医療」においても、この「信じる」気持ちというのは、治療効果を左右する面はあります。

 


僕レベルなんかでも、普段臨床をやっていて、患者さんを心身ともに救おう、と思ったら、患者-術者間の、

この医療(鍼灸)で治る!と「信じる気持ち」

とか、患者―術者間の、

お互いに対する「感謝の気持ち」

というものがどうしても不可欠になってくる、ということをよく感じます。

(要はそういう相互関係が、治療の相乗効果を生む訳です。)

 


ここら辺が欠けていると、

「体(症状)は治ったけど気持ちが全然楽にならない」

とか、

「症状がなかなか取れないことに苛立ち、しまいには術者を批判する」

とか、

「完全には良くなっていなくても、少し症状が良くなっていることに対する感謝が出来ない、もっともっとと、過剰なまでに要求するのみ」

というようになってしまったりする訳です。

 


僕はこういう苦い経験をこれまで痛いほどしてきました。

 


当然、こうなってしまうと、お互いに救われません(苦笑)。

 


本来の宗教(正教)というのは、医療(東洋医学も西洋医学もその他の民間医療も全て)をすっぽりと包む大きなもの、教え、と理解するのが正しいと思います。

 


ですので、「医療」は「宗教」の一部と考えたら分かり易いと思うのですが、良くないケースとして、そのように理解せず、「医療」の方が「宗教」よりも大きいぜ!偉大だぜ!とかいう風に考えだすと、

 

その医療者は最悪、広義の「神」になろうとしだします。

 


そうなった末路が、怖いとか胡散臭いとか言われるゆえんである、冒頭の犯罪者集団を形成していったりする訳です。

 

(あの麻原彰晃は元鍼灸師、オウムはこの点で好例かもしれません。)

 

・・・まあ僕としては、何があろうとも、何と言われようとも、そこはまったくブレずに、僕になし得る「最高の鍼灸」を患者さんに提供し続けるのみです。

 

自分が持つ鍼と灸を信じ、患者さんに感謝しつつ、です。

 


ですので鍼灸=宗教っぽい、というのは、メチャ広い意味では、あながち外れてもいませんが、それはどの医療も同じであり、ちゃんとした東洋医学に対して胡散臭い、怖いというのは間違いだと思います。

 

 

現代日本で圧倒的マジョリティーである西洋医学とは違う世界観、人体観を持った、伝統医療であるだけです。

 


ただ、「外見(見た目)」が胡散臭いとか、怖いのは「個性」ということで勘弁して下さいネ(笑)

 

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鍼灸(師)批判について(その2)

2010.01.15

前回に続いていきましょう。

2、「鍼灸師みたいな低学歴の連中に体を診てもらおうとは思わない。」

コレなんですが、最初読んだとき、

「へ~、まだ日本にこういう考えの人がいるんだ~。」

と、妙に感心してしまいました。(苦笑)

 

学歴社会(高学歴=無条件にいい!という時代)なんて、一体いつの時代の話なんでしょうか。

 

・・・まあでも、そう言われたら仕方ないです。正直ね。

「ではどうぞよしなに。有名な大学病院の教授さんのとこにでも行ってください。」

です(笑)

 

・・・でもね、治療というのは「技術」の世界ですので、どんなに輝かしい高学歴があっても、手先の不器用な人には細かいオペなんて出来ないでしょうし、鍼灸もそれは同様です。

 

また、学問(理論)の力で完璧に、理路整然とその患者さんの病気を分析しきれたとして、それで治らない病気があるからみんな困ってるんじゃないの?とも思います。

 

確かに、西洋医学を実践されている、医師免許をお持ちの先生方というのは、医大の難関入試に合格し、国家試験に通り、なおかつインターン制度を消化した、

 

いわばエリートの方々です。

(前述の、「学歴社会」における勝ち組、と言っていいでしょう。)

 

それと比較して、鍼灸師というのは、現在国家資格ではあるけれども、国家資格化されてからまだ20年ぐらいの、若い国家資格です。

 

3年制の専門学校か、4年制の大学に通ったのち、国家試験に合格すれば「鍼灸師」を名乗り、開業することが可能ですが、インターン制度も特にありません。

 

僕の学生時代でも、クラスの人々の過去は様々で、有名大学出身者から、高校新卒者、脱サラ組、老後に細々とやれれば、とお考えの年配の方などなど、

 

まさに玉石混交状態でした。

 

しかも、2000年頃、小泉政権の頃には、規制緩和で、全国的に養成学校(専門学校)が爆発的に増えまして、毎年1000人程度だった国家資格合格者が、

 

現在では3000人以上、新設された学校の中には、すでに定員が割れて、廃校になった学校もあるというのが現状です。

 

その一方で、古くからある専門学校の中には、3年制の専門学校から4年制の大学にしていこうという動きもあり、現在大きな変化の真っただ中、という現状です。

 

しかしその大学も、偏差値で考えたら、とても医学部とは比較にならないほど低く、現状、鍼灸師の資格を取ろうと思ったら、医師や歯科医師、薬剤師等、

 

他の医療系国家資格と比較すれば、相対的に「簡単に」取れてしまうのが現状です。

 

ですので単純に学歴「のみ」で優劣を比較されたら、劣っているのは明らかです。

 

・・・しかし!ここで僕が個人的に言いたいのは、

「うん、だからナニ? 要はその先生が信頼できる人か、そうでないかでしょ? 学歴のみで人間性まで判断するなんて、古臭いし非常識だと思いまーす!」

です。

 

 

前回のブログで、鍼灸、東洋医学は医学であり、科学だ!ということを述べました。

 

 

西洋医学と比較しても、東洋医学そのものは何ら劣りません。

(当然、疾患や場面によっての得手不得手はあるけどね。)

 

ただ、実践する人の力量によって、ピンキリの世界になってしまっているのが、現代の日本の東洋医学の大きな問題だと思います。

 

だからこないだのような事故も後を絶たない訳です。

 

ちなみに余談ですが、お隣の韓国では、韓医師(鍼灸、漢方を専門に扱う、東洋医学の医師)の大学に入るのは超難関で、倍率は10倍以上、

 

過去には結婚したい職業No1に選ばれるほど、生活の安定した、認知度の高い職業であるのに対し、日本のこの悲惨な現状は、一体何なんでしょうか。

(苦笑・・・国民の認識も含めて、です。)

 

東洋医学はいいものなんだから、日本も韓国のように、最初から優秀な人しかなれないようにすればいいのに、と思いますが、そうもいかない難しいしがらみが色々とあるようです。

(でもそうになったら僕が鍼灸師になれなかったりしてネ(笑))

 

以前、韓国の韓医師の医院(韓医院)の国外営業部長の方が、北辰会の勉強会に見えた翌日、清明院に治療を受けにみえた時、日本の東洋医学の制度的な現状に驚き、

 

非常に落胆しておられました。

 

僕(清明院)としては、現状を憂いてばっかりいても始まりませんので、こうした逆風に負けずに、患者さんの笑顔のために、日々確かな東洋医学の実践を頑張っております!

 

僕なんか、学歴なんてないに等しいけど、それでもよかったら是非診させて下さい(笑)

 

 

ヤル気は最高にあります!

(こういう風に言うと、ただのバカだと思われるかな(苦笑)。)

 

 

次回は3、についてです。

 

 

 

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小児と鍼灸

2010.01.10

清明院には、小児の患者さんがたくさんいます。

 


みんな最初は鍼を怖がって暴れていましたが、慣れればおとなしいもんです(笑)

 


アトピーや小児喘息や、てんかん、発達障害、ひきつけ、夜泣き、夜尿症などなど、小児の病気には鍼灸はよく効きます。

 


関西の方では、「小児はり」と看板に書いてある鍼灸院も珍しくありませんが、関東ではなぜかあまり見かけませんね。

(何でだろ?書こうかな。)

 


小児というのは、大人に比べてはるかに敏感です。

 

 

なので皮膚に刺さらない(先のまるい)鍼を使って治療することが多いので、子供が痛みを感じることはありません。

(それを解らせるまでが結構大変だったりするんですが・・・。)

 


小児を診ていて思うのは、意外と、子供はストレスを抱えている、ということです。

(東京だからなのかな・・・?)

 


これについて、親御さんの姿が鏡に映っているのかなとか、子供はストレスの解消法が分からないからかな・・・とか、

色々と考えますが、結局はケースバイケースであり、子供によりけり、といった感じです。

 


子供というのは、さっきまではしゃいでいたのが、次の瞬間には泣き出したり、その逆もあったりと、なかなか心をつかむのが難しいですが、

 

あまり策を弄せず、真っ直ぐに鍼を通じて、「言葉なき会話」を通して仲良くなっていくことが多いし、その方が良いような気がします。

 


小児と仲良くなってしまうと、治療がとても楽だし、もっとよく効く様になります。

 


下手に強い薬なんか使って無理やり治そうとするより、鍼灸で自然に治した方が、僕はイイと思います。

 


皆さんはどうでしょうか?

 

 

・・・そう、思いませんか??

 

 


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「メンケン(瞑眩)」って何ですか?

2009.12.30

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東洋医学には、「瞑眩(メンケン)」という言葉があります。

(なぜか、「メイゲン」とは読みません。)

 


これは何かというと、

 

①服薬後に一時的に表れる種々の予期しない反応。例えば悪心、瞑眩、胸悶など

 

(『尚書(書経)』説命萹上「もし薬瞑眩せざれば、その疾癒えず」)

 

②頭がふらつき、目がくらみ、目を開けていられない症状のこと

 

だそうです。(燎原『漢方用語大辞典』P1173)

 

 

また、(一社)北辰会代表である藤本新風先生がかつて、藤本彰宣(あきのり)名義で、『鍼灸OSAKA』誌114号に、瞑眩に関して論考を書いたこともあります。

 

(鍼灸家、必ず読むべし!!)

 

 

「瞑眩」という熟語自体に、いわゆる「めまい」のような意味もある訳ですね。

清明院でも、患者さんから、

「鍼の直後は少しだるくなって眠くなるんだけど、翌朝えらく体がスッキリしてます。」

とか、痛みのある患者さんなんかで、

「鍼した後、帰る時に一度痛みが強くなったんだけど、次の日になったらすっかり痛みが取れていて驚いた。」

とか言われることがあります。

 


この、

 

「少しだるくなって、眠くなる」

 

であるとか、場合によっては

 

「一時的に症状が強くなる」

 

しかし、結果的には症状、及び全身状態の好転につながる状態を東洋医学では”メンケン”と言います。

 


・・・なぜ、こんなことが起こるんでしょうか?

 


東洋医学では「気」を動かし人体の「陰陽」のバランスを整え、「治る力」を最大化することによって、病気を治療します。

・・・ということは、何度も述べた通りです。


その結果、深い位置の病(五臓六腑の病)が浅い位置(皮膚、筋肉etc..)に浮き上がってくることがあります。


また、経験的には、もともと急性の病だったものが、治らずに慢性化してしまっているものは、治っていく過程の中で、一度急性の時の新鮮な状態に戻る場合があります。


この変化に関しては、こちらもある程度は予測できますが、具体的にどういった現象が、どの程度起こるか、ということまでピタリと当てるのは、

 

正直僕には、実際はなかなか難しいです。

 


上に紹介したように、「瞑眩」という字を見ても分かるように、「瞑」は瞑想の瞑で、「目をつむる」の意味があり、「眩」「目がくらむ」ですから、

要は判断がつきにくい変化である、という意味があります。

 


そこで、こういった変化が、治療の失敗による「悪化」なのか、「メンケン」なのかを適切に判断する意味でも、

1.初診の時にしっかりと問診をとらせていただき、

2.しっかりと体表観察して「証」を立て、

3.その患者さんの病歴、体質などをキチッと踏まえておいた上で、

「治療」に入るということが極めて重要になります。

 


こうすることにより、患者さんの術後の変化が、「悪化」なのか「メンケン」なのかがハッキリする訳です。

 


ゆえに、「初診」はそういう意味でも大変重要であり、僕にとっては欠かすことのできない大事な段取りな訳です。

 


まあ、鍼灸治療を受けて、思わぬ変化が表れた場合は、慌てず騒がず、治療した先生に相談するといいと思います。

 

(ここで狼狽して、ガチャガチャいじくりまわすと、訳が分からなくなります。。。)

 


ちゃんとした先生であれば、適切に対応して下さるはずです。

 

 

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どうしてムクむの?(その2)

2009.12.20

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(その1)では、現代人は水分を飲む量が多過ぎてることが多いように思う、というお話をしました。

 


今日はその続きとして、飲むものの種類(質)について考えてみたいと思います。

 


清明院では初診時、(一社)北辰会専用カルテを使用しています。

 


ここには、一日の水分摂取量と、尿の量の比較、また、カフェイン類(コーヒー、紅茶etc..)をどのくらい摂っているか、飲酒量と飲酒頻度はどうか、

 

などなど、詳しく質問事項が並べてあります。

 


「飲み物」というのは、当然それぞれの種類によって、体内に入った時に人体に及ぼす影響は異なります。

 


東洋医学では、単なる「水」でさえも、30種類程度に分類して考えている(ホジュンにも出てきましたね☆)ほど、飲み物が持つ作用というのは、

時には薬にもなり、時には毒にもなる、と考え、大変重要視しています。

 


つまり、飲み物の種類、量、出入りのバランス、体表所見や症状をトータルで考えて、摂取している水分がその人にとって余分な「毒」になる場合、

 

結果的に体内に「余分なお水」が増えてしまって、それが結果的に「ムクミ」となる訳です。

 


ここで、この世の全ての飲み物について解説することなど、到底出来ませんし、そういった専門書もたくさんありますので、ここでは、患者さん向けに、

 

おおよその傾向を述べますので、参考にしていただければ、と思います。

 


1.甘い飲み物(糖分の多いもの。たくさんありますね。)

・・・心身の緊張を緩め、少量、適量であれば胃腸には良い。しかし飲み過ぎればかえって胃腸を弱らせ、便秘、のぼせ、慢性の炎症などのもとになる。

 


2.苦い飲み物(コーヒーが代表選手かな。)

・・・これも心身の緊張を和らげ、適量であれば便秘やのぼせの解消に役立つ。しかし飲み過ぎればかえってのぼせて、全身的には冷える。

 


3.酸っぱい飲み物(果汁100%ジュースとか、ああいうのの甘くないやつね。)

・・・これは体を引き締め、シャキッとさせますが、飲み過ぎれば血行を悪くし、体を冷やします。

 


4.冷たいものがいいのか、温かいものがいいのか

・・・これはその人の体質によってケースバイケースなんですが、基本的には極端に冷たいもの、極端に熱いものは避けて、一気飲みはしないように、チビチビ飲むのが無難でしょう。

 


5.お酒は?

・・・お酒は「百薬の長」という言葉があるくらいで、適量であれば、心身の緊張をほぐし、血行を良くする作用があります。

問題は飲み過ぎた場合、胃腸、肝臓、腎臓、その他内臓を弱らせ、慢性炎症、その他様々な症状の原因、引き金になりえます。

まあ、もろ刃の剣ですな。(苦笑)

 


6.カフェイン類は?

・・・これは、ここぞ!という時に使うべきであって、日常的に常用、過飲するのはお勧めできません。常用していると徐々に体の上下のバランスを大いに崩すようです。

(いわゆる冷えのぼせみたいな状態ですね。)


・・・とまあ、超簡単にザックリと示してみました。

 

 

まだまだ挙げていけばキリがないんですが、結局は、量的にも質的にも「偏らない」ことがとても大事だ、ということです。

 


色々な物をバランスよく、しかも全体量として行き過ぎない程度に飲む、というのが理想なんです。

 


ちなみに、これは何も東洋医学独特の考え方でなく、現代の最先端の栄養学でも、ほぼ同じような結論に至っているようです。

 


よく知られた言葉で、「医食同源(いしょくどうげん)」という言葉があります。

 

(因みに「医食同源」という言葉自体は東洋医学にはないようですが。参考サイト

 


上記のような飲食物の特性を知っていれば、体調が悪い時、何かを控えて、何かを多めに摂るだけで、特別に鍼灸、漢方で治療なんてしなくても、

 

自分で十分に対応できちゃいます。

 


まさに「未病を治す」ことが出来る訳です。

 


普段の自分自身の食生活の傾向を知っておくことは大変重要ですので、この機会によく見直してみるといいと思います。

 


調子の悪い人はたいがい「偏り」があるはずです。

 

 

まさに東洋医学のいう「陰陽」のアンバランスなんですね。

 

 

 

◆参考文献

 

『東方栄養新書』メディカルユーコン

『中国伝統医学による食材効能大事典』東洋学術出版社

 

 

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