東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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病院での漢方薬の使われ方(抑肝散) その3

2014.01.18

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これまでのお話


病院での漢方薬の使われ方
 
病院での漢方薬の使われ方 その2
     参照

 

今回の病院見学で、僕を引率してくださったドクターは、お身内に漢方医がおられるそうで、そのお身内の診療のやり方は、まず正確に問診し、その上で注意深く脈や舌を観察してから、

 

一人一人に合わせて、一味一味、生薬の分量を加減して処方する、という、本来の漢方医学のやり方だったそうで、それを幼い頃から見ていて、

 

ドクター御本人も実際に治療を受けていたそうで、昨今巷の病院で行われている、いわゆる病名漢方、症状漢方には、大いに疑問を抱いているようです。

 

しかし、巨大な病院組織の中で、一勤務医が、その病院のやり方自体をどうこう変えることは出来ないし、病名だけを見て、東洋医学的な診察内容は何も考えずに漢方薬を処方している、

ほかの先生に対して口を出すわけにもいかず、黙って見ている、という状況なんだそうです。

 

このように、当然ながら、分かっているドクターは分かっている。

 


西洋医学と比較した場合の、東洋医学の特長である、徹底したオーダーメイド性、その治療技術レベルの高さ、学問としての高度さを。

 

しかし、それ以上に、その病院の方針、各ドクターの考え方、というものがあり、現場でそれを大きく変えることは、現場のドクターであっても難しい、という現実があるようです。

 


それを聞いていて、なんだ、そういうフラストレーションて、我々と同じじゃん、と思いましたね。(^^;

 

まあこのように、一般的な病院の現場における漢方薬、東洋医学の取り入れられ方は、処方している側、されている側の根本的な認識を改めないといけない、

という問題があるのですが、こういう制度そのもの自体を変えることは不可能に近いでしょう。

 


・・・といって悲観してても始まらないので、何か方策を考えなくてはなりません。。。

 


雀の涙のような影響力であっても、現場で頑張って治し、その事実を発信し続けなくては。

 

あと、まあこれはそもそも論だけど、一番いいのは、言い方が悪いようだけど、消費者(患者さん)自体がもっと賢くなることでしょうね。

 


もっと自分の体に、自分の健康に高い意識を持つこと。

 


そうすると必然的に、東洋医学が本来どういうもので、西洋医学が本来どういうもので、ということに興味が出て、より質の高い東洋医学、西洋医学を受けようとする人が増えるでしょう。

医者に言われるがまま、されるがままではなくなる。

 


そうすると徐々に医療を提供する側も、そのニーズに応えざるを得なくなる、というワケです。

 


そうするにはどうするべきか。

 


・・・わからんネ。(爆)

 

理想論か。

 

もうチョイ続く

 

 

 

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病院での漢方薬の使われ方(抑肝散) その2

2014.01.17

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前回のお話

 


病院での漢方薬の使われ方
 参照

 

今日は抑肝散の話の続きいきます。

『保嬰撮要』の条文によると、抑肝散はもともと、

「抑肝散は小児が肝の経絡の虚熱のため痙攣を起こし、あるいは発熱して歯を食いしばり、あるいはひきつけを起こして発熱悪寒し、

るいは脾の臓に悪影響を及ぼして粘液(痰涎)を嘔吐し、腹部膨満して食欲不振となり、よく眠れないという症状を治す。

処方は軟柴胡(なんさいこ)と甘草(かんぞう)が各五分、川芎(せんきゅう)が八分、当帰(とうき)と妙った白朮(びゃくじゅつ)と茯苓(ぶくりょう)と釣藤鈎(ちょうとうこう)が各一銭で、

上を水で煎じて、小児と母親の双方に服用させる。

また、これを蜂蜜で煉り、丸薬にしたものを抑青丸という。」

となっております。

(赤字部分が非常にポイントだと思います。)

 

母親にも服用させる、というのが面白いですね。

 

 

因みに『保嬰撮要』の中に抑肝散の記載は4カ所出てきます。

 

江戸時代、日本では盛んに抑肝散の加味方が創製され、和田東郭(わだとうかく 1742-1803)『蕉窓方意解』の中で抑肝散加芍薬(よくかんさんかしゃくやく)として、

喘息や打撲に応用し、本間棗軒(ほんまそうけん 1804-1872)『内科秘録』の中で抑肝散加羚羊角(よくかんさんかれいようかく)として癲癎に応用し、

 

浅田宗伯(あさだそうはく 1815-1894)は、『勿誤薬室方函口訣』の中で和田東郭の抑肝散加芍薬に黄連や羚羊角を加え、脳卒中後遺症などに応用しており、

 

現代でもよく使われる超有名な加味方である抑肝散加半夏陳皮(よくかんさんかはんげちんぴ)は、抑肝散に、湿痰を取る二陳湯を加え、

 

そこからさらに生姜を除いた処方で、抑肝散の効果+湿痰を取り除く作用を加えており、非常に重用されるのですが、

 

文献的には浅井南溟の『腹診録』に記載があるものの、なんと誰の作かはハッキリとは不明なんだそうです。。。

 

(ちなみに上記リンクから分かるように、浅井南溟の『腹診録』ではなく『浅井腹診法』ではないかと思うのですが。。。)

 


しかし、日本で作られた処方であることは間違いなく、そういうものを”本朝経験方”と言います。

 

 

ちなみに昭和漢方の巨人の一人である矢数道明先生は抑肝散加陳皮半夏を北山友松子(?-1701)の創方ではないかと推測しておられるそうです。

 

 

↑↑上記内容は

 

中田敬吾ほか「抑肝散加味方の研究」

真柳誠 抑肝散・抑肝散加陳皮半夏① 古典的解説  を参考に纏めさせていただきました。

 

・・・まあこんな感じで、抑肝散てのは、中国明代に発表されて以来、特に日本で、臨床家の間でずいぶんゴチャゴチャとこねくり回された処方なんですが(笑)、

 

要は肝陰、肝血をフォローすることで肝陽、肝気が暴れないようにするのが基本的な目的であり、現代医学的に、”認知症なら抑肝散”、という短絡的な使い方はおかしい、

 

というのが私の意見です。

 

当たり前ながら、東洋医学的には、認知症にも虚実寒熱、臓腑、病邪の別あり、だからです。

 

 

ここで、変に誤解されて突っかかられたら嫌なので付言しておきますが、僕は、

 

「ある西洋医学的な病名に対して、ある漢方処方や、ある経穴への刺鍼施灸が、やらない場合よりも優位な効果を示す、というデータを得た、であるからして、現代医学の現場において漢方鍼灸は有用性が高いのだ。」

 

という研究、論理、主張をすること自体については、おおむね賛成なんです。

 

 

しかし、そういう研究結果があるからといって、何も考えずに、現場において、西洋医学的な病名のみから漢方処方、鍼灸配穴を考えるという、

 

患者さん、東洋医学を扱う上でまったく短絡的で浅薄な態度には大反対だ、という立場なのです。

 

 

つまり臨床家としては、抑肝散とその加味方を通じて、肝陰、肝血をフォローしながら肝陽、肝気を抑制する、というやり方は、認知症その他をやるうえで、

 

臨床上非常に価値の高い方法論である、ということを学べばいいのです。

 

 

もうチョイ続く

 

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病院での漢方薬の使われ方(抑肝散)

2014.01.16

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こないだの病院見学の際、こんなシーンがありました。

 

病院見学については


明日は早起きして・・・
精神病院の患者さん       参照

 

ナースステーションのカウンターの上に、ズラーッと並べられた〇ムラの漢方薬の袋。

 


僕が、

「これは何ですか?」

と看護師さんに問うと、

「”抑肝散(よくかんさん)”です。」

とのこと。

 

・・・抑肝散とは、もともとは1556年、明の時代に中国で出版された『保嬰撮要(ほえいさつよう)』という書物に出てくる漢方薬で、

現代では主に認知症などの精神疾患によく応用されております。

 

因みに『保嬰撮要』という本は実は小児科の本であり、薛鎧(せつがい)薛己(せつき)という、明の時代の名医の親子によって書かれました。

 

20巻にも渡る超大作で、全て小児科について書かれています。

 

日本では、約100年後の1655年に中江藤樹が著した『捷径医筌(しょうけいいせん)』や、1745年に甲賀通元が著したベストセラー処方集である『古今方彙(ここんほうい)』に、

『保嬰撮要』の中の抑肝散のくだりが、ほぼそのまま転載されているそうです。

 

(ちゃんと読んでないけど(爆))

 


また、

「抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)」

だったり、

「抑肝散加芍薬黄連(よくかんさんかしゃくやくおうれん)」

として、抑肝散に他の生薬を加味したもの(どちらも日本人の医者が創方したものと言われています)が、現代では神経症や不眠症などの精神症状によく使われますが、

 

抑肝散は成分の中に甘草が含まれているので、よく効くからといってみだりに多用、濫用すると「偽アルドステロン症」という、重大な副作用が起こる場合があり、

 

注意が必要、ということになっております。

 

因みにこの問題(甘草含有製剤)については、このブログでも以前チラッと触れたことがあります。

勉強会&謝恩会 参照

 

 

ただ、こういった漢方の誤用から起こる諸問題に関しては、漢方薬が犯人なのではなく、訳も分からず処方した人、あるいは訳も分からず買って飲んだ人が犯人なのであり、

 

さらに言えば、そういうことが起こらないように、医学部や薬学部における東洋医学教育が徹底されていないこと、また、そういうことが起こらないように、

 

入手方法に関する厳格な法整備がなされていないことに、問題の本質があると思っています。

 

 

ん~、長くなったから次回。(笑)

 

 

 

 

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薬に頼ってしまう

2012.12.25

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以前から通院されている、とある患者さん。

(さらに…)

「甘草(かんぞう)」という生薬

2011.11.08

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こないだ、ニュースでやっていて、「お!」と思いましたので、書いておきます。

 

震災の津波にやられた宮城県の農地で、漢方薬の重要な生薬である「甘草(かんぞう)」の試験栽培が順調に進んでいるそうです。

 

参考サイト

 

 

生薬として利用されるのは、根っこの部分です。独特の強い甘みがあります。

 

(だから甘草ネ。(笑))

 


津波をかぶった農地は、塩害によって土壌が傷んでしまい、数年は何も生産できないのでは、と思われておりましたが、この「甘草」という生薬は大変不思議な生薬で、

 

そういった悪い環境ほど、根っこの部分の薬効成分の高いものがとれる可能性もあるそうです。

 

参考資料

 

現在、試験栽培は順調で、これがうまくいけば、まさに震災の”災い転じて福となす”で、宮城県が国内トップの甘草の生産地になるかもしれません。

 


この「甘草」という生薬は、ありとあらゆる漢方薬に入っており、生薬の王様と言っても過言ではないレベルの生薬です。

 

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、甘草湯(かんぞうとう)、大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)あたりが有名です。

 


・・・これらについては、なんとなく聞いたことのある人も多いのでは?

 

ちょっと専門的になりますが、甘草は

 

味は甘、性は平、脾の臓をフォローし、肺の臓を潤し、余分な熱を清し、解毒力もある

 

という、まあ夢のような生薬なのです。

 

僕も過去に、「甘草湯」で、飲んだ瞬間、劇的にノド痛がとれて、驚いた思い出があります。(苦笑)

 

・・・しかし、ハッキリ言って、こういう有名な生薬、漢方薬というのは、僕のような漢方薬の専門家でない者から見ても、東洋医学をある程度知っている人間から見たら、

 

大変いい加減に扱われている現状があると思います。

 

 

コレは真剣に、嘆かわしいことです。

 

病名や症状のみ聞いて、生半可な知識で漢方薬を処方する、あるいは患者さん自身が勝手に薬局で買い求めて服用する、結果的に治らない、あるいは悪化する、

 

そうすると漢方薬に対する評価は下がる、ひいては東洋医学に対する評価も下がる・・・。

 

ひいては鍼灸に対する評価も下がる・・・。

 

病名漢方、症状漢方とよく揶揄される、よくない流れがこのまま加速すると、日本の東洋医学はダメになってしまう可能性もあります。

(・・・まあ、ならないでしょうけどネ。分かってる患者さんはちゃんと分かってますから。(笑))

 

また、甘草は漢方薬以外にも、食用(調味料やお菓子やお酒)や化粧品としても使われる、大変重宝する植物です。

 


現在、国内の甘草に関しては、全量を中国からの輸入に頼っているそうですが、コレがうまくいけば、輸入に頼らずに、

必要量を国内生産でまかなえるようになるかもしれません。

 


そうなったら、素晴らしいですね。

 

復興+東洋医学の普及+新たな資源です。

 

マイナスをプラスに転じるの、大賛成。

 

 

 

不幸を幸に転じるの、大賛成。

 

 

 

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「薬でコントロールする」ということ

2011.06.03

重度の慢性疾患の患者さんの中には、

「病院からもらった薬で症状はコントロール出来ているが、今後ずーっと飲み続けるのは嫌なので、鍼で何とかならないか。」


と言って相談に訪れる患者さんも少なくない。


病院の薬を飲めば症状は治まる、でも飲むのをやめたら元通りか、もっときつい症状が出る、それが分かってるから止められない、でも本心としては止めたい。

このまま一生飲み続けるのは嫌だし、副作用によって違う病気になってしまうことも不安・・・。

という、非常に切実な悩みです。

こういう時、確かに鍼灸、東洋医学は、非常に効果的な方法だとは思います。


・・・でも、これまで何年も飲んでいた薬を急に止めて、鍼灸のみで完璧にコントロールしようと思っても、なかなかうまくいきません。


残念だけれど、徐々に徐々に様子を見ながら減らしていく方向をお手伝いすることしか出来ません。

しかも、病院の先生に薬を減らしたいと訴えても、なかなか減らしてくれないケースも多いようです。


病院や、西洋薬を批判している訳ではありません。

医師としても、現状有効な薬をそう簡単に外すわけにはいかないという判断は、よく理解できます。

僕が西洋医でもそうすると思います。

・・・何年も薬で症状を抑えてきたような場合、完全に薬を断つにはまた何年もかかるような場合もあります。

これを本気で実現させようと思ったら、患者さんも、我々も、大変根気がいるけれど、実際にこれがうまくいくと、本当に感動的です。

僕の少ない臨床経験の中でも、何人かおられます。

これを目の当たりにすると、人間の「治る力」の偉大さにあらためて気付かされます。


・・・ただふと、

「この患者さんのファーストチョイスが東洋医学だった場合、どうなっていたんだろう・・・。」

という思いが頭をよぎります。

 

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「象形薬理」という考え方

2010.12.19

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「象形薬理(しょうけいやくり)」

 


という、何やらマニアックな香りのする言葉・・・。

 


皆さん聞き慣れないことと思います。

 

これ実は、昔から存在する考え方だそうであります。

 


どんな考え方かというと、近代になって栄養素や分子構造などを知る考え方や、各種の分析機器や手法のなかった時代に、植物の形態的特徴や、その生育環境から、

 

その植物(生薬)の薬効を考察するというもので、時には人体の悪い部分と”カタチ”の似通ったものを自然界に探したりして、それを食べてみることで、

 

病気を治そうと考えた、試みた、というものです。

 

・・・これの比較的ポピュラーなものとして、

「クルミは脳にイイ!」

なんて話、何となく聞いたことがあるんじゃないでしょうか?

 


クルミというのは、硬い殻におおわれ、その中には二つに分かれた、いかにも”脳”っぽいカタチの実が入ってますよね?

 


これが、外側が人間の頭蓋骨で、中身が脳に形が似ている、ということで、食べると脳にイイ、「健脳食」なんて言われたりするような発想です。

 


漢方薬の世界でもクルミは「胡桃仁(ことうにん)」と言われ、ある種の腎の臓や肺の臓の病や、便秘などに応用されます。

 


僕も小さい頃、祖母から「クルミは脳にいいから」とか言われ、さんざん食わされました。

 

(意外と好きでしたが)

 


まあしかしこれが、意外とバカにならない考え方で、現代の栄養学に照らし合わせてみても、クルミは栄養素の7割がリノール酸(オメガ6)、リノレン酸(オメガ3)という、

 

脳神経を作ると言われる、良質の多価不飽和脂肪酸なんだそうで、その他にもタンパク質、鉄分、ミネラル、食物繊維、ビタミンB1、ビタミンEなどをバランスよく含み、

 

非常に体(特に脳)に良い食物と言えるんだそうです。

 

 

東洋医学的に見ても、腎や肺に作用するということは、脳髄海にも作用すると考えても全然おかしくない。

 

・・・他にも、動物の足を食べて足の病気を治すとか、例を挙げればいくらでもあります。

 


今綴っている
「腎」って何ですか?(その4)でも述べたように、豆が腎の臓にイイ!というのも、もともとはこういう発想が背景にあったのかもしれません。

 


まあコレ、着想として非常に面白いということと同時に、そういう着想で実際に試してみて、数千年経っても淘汰されない、確かなものが残っている訳ですから、

 

現代栄養学と照らし合わせるまでもなく、東洋医学の言うことというのは、そうそう簡単に無視できないんじゃないかと思います。

 

 

まあ詳しく述べていくとキリがないので、「象形薬理」、興味のある人は、色々調べてみて下さい。

 

 

因みに、(一社)日本東洋医学会の創立メンバーの中心であった龍野一雄先生「我國に於ける象形薬理論に就て」と題して、昭和18年(1943年)の『醫事公論』で4回に分けて連載したのち、

 

続きを『漢方と漢薬』第10巻9号、11号、12号に、3回に渡ってお書きになっています。

 

 

 

この全7回の論考も、なかなか力が入っていて、実に面白いですよ~☆

 

『醫事公論』を入手するの、苦労した~~( ;∀;))

 

 

 


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妊娠中は薬が飲めない!?

2010.01.06

これはですねー、今回正月に地元に帰った時、なんとめでたいことに、帰ったその日に友人の奥さんの妊娠が発覚しまして、その奥さんから聞かれた質問です。

「妊娠中ってつわりとか、体調が色々と変化するらしいけど、もし具合悪くても薬飲んじゃいけないんでしょ!?・・・ということはつらくてもただただ耐えるしかないワケ??」

・・・という質問でした。

 

 

結論から言うと、

「妊娠中の辛い諸症状を和らげる方法はいくらでもあります。鍼灸しかり漢方薬しかり。なのでご安心を。ただ、ツボ療法も西洋薬も漢方薬も、

 

服薬についてはよく専門家の話を聞いて、慎重にしないとダメですね。」

となります。

 


現代西洋医学の産婦人科領域では、胎児への影響を避けるため、妊娠中は極力服薬を避ける方向で考えることが多いようです。

薬の影響で新生児に奇形や先天異常を起こすケースが稀にあるからです。

 


それでも、あまりにも妊娠中の症状がひどい場合は、様子を見ながら安全な(要は新生児に異常が起こったという報告のない)薬を出すこともあるようです。

このときによく、東洋医学をほとんど勉強したことのない医師が、安易に症状のみを頼りに、適当な漢方薬を処方したりしているという、

 

残念な現実もあったりします。(苦笑)

(例えばよく、妊娠中に風邪ひいて、ひき始めには葛根湯ということで、病院でもらって、飲んでみたけど全然風邪が治らなかった、なんて話を患者さんから聞くことがあります。)

まあ、漢方薬で奇形が起こったとか、先天異常が起こったとかっていう報告はないらしいんですが、慎重に服用した方がいいのは間違いないでしょう。

(特に妊娠初期は。)

 


東洋医学には「安胎(あんたい)」という言葉があります。

 


要は胎児を安らかに育てる方法、という意味です。

 


ひとつ例を挙げると、江戸時代から近代まで、日本でよく使われた有名な安胎の薬で、『金匱要略』に出てくる「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」という有名な漢方薬があります。

(個人的には、現代日本人女性の「安胎」を狙おうと思ったら、上記の薬ではちょっとどうなんだろうな・・・と思う面もないではないんですが、

一応、江戸時代なんかは盛んに、妊娠中にこれら”安胎薬”を服用する、という行為が当たり前のように行われていたんだろうと思います。)

 


ちなみに、僕であれば、妊娠中の諸症状に関しては全て鍼灸と養生指導で対応します。

 


どうしても患者さんの方で、漢方薬を使いたければ、専門家の先生を紹介するようにしています。

 


妊娠中のご婦人に対して、東洋医学が出来うるサポート力は半端じゃないと思います。

 


ホントに、知らなきゃ損するレベルだと思いますね。


(知らない人がホントに多くて困ります(+_+)・・・頑張って広めます!)

 


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2024年10月の活動記録

2024.11.07

 

 

 

 

清明院では現在、求人募集しております。

 

本物の鍼灸医学の世界を、我々と追求してみませんか?

 

募集内容の詳細はこちら

 

 

 

 

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2024年10月も、なんやかんやと色々やっとります。笑

 

 

10.3、10.31(いずれも木)は毎月恒例の順天堂東医研に参加してきました!!

 

(今月は都合により二回開催、10.31の回で、第69回です!)

 

 

10.3の回の講師は長瀬眞彦先生で、講義テーマは

 

「漢方薬は生薬からできている 〜人は自然とともに生きている~」

 

というお話。

 

 

順天堂東医研の優秀な学生諸氏は、いずれ現場に出て、患者さんに漢方薬を処方するようになるでしょう。

 

 

その時に、日本の医療現場ではよく行われているように、病名や症状のみから、西洋薬と全く同じノリで処方するのか、漢方薬を構成するのは生薬であり、限りある草根木皮(生薬資源)であり、

 

それら生薬が選ばれた背景には、古代中国の自然哲学が背景にある、という認識を持って、東洋医学的な考え方でもって処方するのか。

 

 

色々な意味で、大きな違いが出て来るだろうと思います。

 

 

10.31の回の講師は私です。

 

 

今回からついに新シリーズ「経穴学①総論」という内容が始まりました。

 

 

今年は(一社)北辰会の年末代表講演のテーマも「経穴」です。

 

 

ここにきて、経穴について系統講義や特別講演する機会が立て続けに来ていますが、これは鍼の神からの、

 

「お前もそろそろ経穴をキッチリやりなさい」

 

というメッセージだと受け止めています。

 

(別に逃げてた訳とかではないんですが。苦笑)

 

 

いい機会なので、私の臨床25年の、経穴に対するあらゆる知見を、これから全経絡分のシリーズ講義で、纏めてみたいと思います。

 

 

全国の医学生の皆さん、乞うご期待!!

 

 

10.4(金)~10.6(日)は、熊本で行われた第14回、日本中医薬学会学術総会に参加し、症例を発表してきました!!

 

 

日本中医薬学会でリアル対面で症例を発表したのは、2017年に同じ熊本で行われた回からの7年ぶり、あと、コロナ禍の最中の2020年にオンラインで症例発表して以来です。

 

 

2017年は「再生不良性貧血の増悪が危惧された妊婦の1症例」、2020年は「COVID-19治癒後の諸症状の一症例」でした。

 

 

今回は「フィッシャー症候群に鍼灸治療が奏功した一症例」です。

 

 

今回は金曜日から熊本入りし、今回の会頭である、加島雅之先生が総合内科部長を務める熊本赤十字病院の鍼灸治療の様子も見学させて頂き、各先生方の御講演も、2日分しっかりと聴講させて頂きました。

 

 

どの講演も非常に勉強になり、大変いい経験をさせて頂きました。

 

 

10.7(月)日本東方医学会の分科会であるDAPA(医鍼薬地域連携研究会)カンファレンス

 

 

今回は「脳梗塞後遺症による主訴改善の1症例」の症例検討会。

 

 

脳梗塞と言えば、大変怖い病気で、重病中の重病ですが、その後遺症にしっかりと寄り添い、見事に効果を挙げた症例でした。

 

 

今回も活発な意見交換が出来て、「医師と鍼灸師で、鍼灸師の症例を検討する」この活動も、今後まだまだ伸びて欲しい活動の一つです。

 

 

因みにこの勉強会は、毎月オンラインで開催しております。

 

 

どなたでも参加できますので、次回は11.11(月)の20時~90分、是非こちらのページからお申し込み下さい。

 

(アーカイブ配信もあります!!)

 

 

10.18(金)の夜は慶應大学で行われた家庭医の先生方の勉強会「Metropolitan FM Conference」にて症例を発表してきました!!

 

 

今回の症例は「10年以上西洋医学的治療を拒否し続けてきた膀胱癌患者の一症例」

 

 

我々、「路地裏の鍼灸院」という立場上、西洋医学的な標準治療を拒否したり、出来れば受けたくない、というお考えの患者さんを診させて頂く機会は多いです。

 

 

というか、そういう患者さんに対して、良好なパフォーマンスが出せないと、鍼灸院はやっていけないのではないかと思います。

 

 

本症例もそういった患者さんでしたが、「どういう医師(医療人)から、どういう治療を受けるか、受けたいか」というのは、その患者さん一人一人の生きざま、価値観に関わる部分であり、

 

本症例はそういう意味でも非常に多くの示唆や教訓を含んでおり、我々が普段扱うこういった症例を、医師の先生方と共有し、検討できたことが、非常に嬉しかったです。

 

 

10.20(日)は東大鉄門記念講堂で行われた医療系学生交流会に参加してきました!!

 

 

爽やかな若者たちの中に一人、黒い服着たオッサンがいるのは、なかなか場違いな感じでしたが(苦笑)、今現在の鍼灸学生さんの雰囲気を感じることが出来て良かったです!

 

 

もちろん、あそこに来ていた学生さん諸氏は、所謂「意識高い組」なんでしょうけれども。苦笑

 

 

医療における多職種連携は、今後の医療界でますます重要になることが予想されるテーマであり、鍼灸学生や、卒後の鍼灸師が「井の中の蛙」というか、変な視野狭窄や、リターンの低い孤軍奮闘とか、

 

酷いと、単なるマウンティングのための知識ひけらかし人間みたいな状況に陥らないためにも、そういうことを学生のうちから啓蒙することは非常に重要だと思います。

 

 

鍼灸師が、他の医療系職種の方々とも堂々と、かつ礼儀正しく連携出来て、なおかつ、自身の高度で個性的な専門性を遂行、表現することが出来るようになれば、

 

ネットだのテレビだのの大袈裟な宣伝に頼らんでも、今の比じゃないほど受療率は上がり、患者さんのためになる筈です。

 

 

こういった活動は、今後も注視していきたいと思います。

 

 

10.26(土)~27(日)は福岡で行われた第19回 公益社団法人 日本鍼灸師会 全国大会in福岡にて、講演と実技、シンポジウムに登壇させて頂きました!!

 

 

私以外には経絡治療学会橋本厳先生積聚会藤原典往先生というメンツで、北辰会と経絡治療学会、積聚会という、鍼灸業界で古くからあり、

 

色々な意味で御縁のある3つの学派が集まって、講義と実技や、様々なお題でシンポジウムで語るという企画で、非常に楽しかったです。

 

 

実技では、2人のモデルの学生さんが出て来られたのですが、2人とも後日連絡を下さって、非常に顕著な効果、変化があったようで、そこも嬉しかったです。

 

 

シンポジウムでも、三者三様のコメントがあって、参加者にとってなかなか刺激的だったのではないかと思います。

 

 

アーカイブ配信もあるようなので、今からでも是非!!

 

 

10.28(月)日本東方医学会主催「新・中医臨床カンファレンス」です。

 

 

こちらも月に一回のオンライン開催で、ここでは、医師による中医学的な臨床の最前線が、ありありと分かると思います。

 

 

今回の症例はコロナ後遺症で、今回も医師の先生方の対応や御見解が、非常に勉強になるカンファレンスでした。

 

 

次回は11.25(月)20時〜 (60分程度)となります。

 

 

お申込みはこちらから!!

 

 

 

・・・てなわけで、10月は二回も九州に行ってました・・・。苦笑

 

 

 

11月、12月もチョイチョイイベントがありますので、こんな感じで年末まで、ガンガンいきましょう!!!

 

 

 

 

 

 

 

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2024年9月の活動記録

2024.10.09

 

 

 

 

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募集内容の詳細はこちら

 

 

 

 

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2024年9月も、ボチボチやっとります。笑

 

 

9.1(日)(一社)北辰会夏季研修会は、なんと台風で中止!!

 

 

大変残念なことですが、こればっかりは仕方ない。

 

 

逆に言えば、今年の企画をそのまま来年にスライドして、もっと練った企画が出来る、ということです。

 

 

マイナスはすべてプラスに変えましょう!!

 

 

なお、今年の年末、12.15(日)には、毎年恒例のイベント、東京衛生学園での藤本新風代表特別講演「経穴輯要(けいけつしゅうよう)」が行われます!!

 

 

私も前座で喋りますので、ぜひお越し下さい!!

 

 

お申込みはこちらのフォームから!!!

 

 

9.7(土)~8(日)第29回 日本病院総合診療医学会にお邪魔してきました!

 

 

今回はシンポジウム 6「医師と鍼灸師の連携による総合診療の発展と課題」という内容で、福島県立医大の鈴木雅雄教授、山中克郎教授、東北大学の高山真教授、増田卓也医師というメンバーで、医鍼連携に関して語って頂きました。

 

 

どの先生も非常に分かり易いお話で、今後に希望が持てました!

 

 

懇親会では全国の色々な先生方に御挨拶させて頂き、こちらも今後にイイ感じで繋がると良いなあ、という感じです。

 

 

9.9(月)日本東方医学会の分科会であるDAPA(医鍼薬地域連携研究会)カンファレンス

 

 

今回は、若手鍼灸師の先生による「2度救急搬送された一過性意識障害の一症例」の症例検討会。

 

 

なかなか難しい症状を訴える患者さんに対して、しっかりと寄り添い、自分の学術で一生懸命対処し、結果を出した、真面目さがよく伝わる症例でした。

 

 

非常にアツく、活発な意見交換が出来て、「医師と鍼灸師で、鍼灸師の症例を検討する」この活動も、今後まだまだ伸びて欲しい活動の一つです。

 

 

因みにこの勉強会は、毎月オンラインで開催しております。

 

 

どなたでも参加できますので、次回は11.11(月)の20時~90分、是非こちらのページからお申し込み下さい。

 

(アーカイブ配信もあります!!)

 

 

 

9.15(日)北辰会の関西部会に出席した後、日本プライマリケア連合学会、第21回秋季生涯教育セミナーにお邪魔して、「医療の現場で生かす『鍼灸』の体験学習」ということで、

 

増田卓也医師、丸山晃央医師、奥村裕一学術部長とともに、実技ワークショップという形でやらせて頂きました。

 

 

全国の色々な科の医師の先生方に、東洋医学的な鍼灸治療が少しでも伝わったなら幸甚です。

 

 

そして夜には東京に戻り、翌日の早朝から、なんと福島県の郡山の山中へ。

 

 

ここでは順天堂東医研の生薬ワークショップが開催されておりました。

 

 

以前紹介した「日本人唯一のチベット医(アムチ)」である小川康先生に来て頂き、生薬観察をするという2泊3日のプログラムの最終日にお邪魔してきました。

 

 

そして9.29(日)は北辰会関東部会。

 

 

こちらも、学生さんの参加も多く、盛り上がっていたと思います。

 

 

9.30(月)日本東方医学会主催「新・中医臨床カンファレンス」です。

 

 

こちらも月に一回のオンライン開催で、ここでは、医師による中医学的な臨床の最前線が、ありありと分かると思います。

 

 

医師の先生方の対応や御見解が、非常に勉強になるカンファレンスでした。

 

 

次回は10.28(月)20時〜 (60分程度)となります。

 

 

お申込みはこちらから!!

 

 

 

・・・てなわけで、9月は再び爆裂し始めました。苦笑

 

 

さて、2024年後半、10月10日は15周年!

 

 

 

どんどんいきましょう!!!

 

 

 

 

 

 

 

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