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2010.09.14
・・・こないだの飲み会で、先輩と話した内容が、ちょっと印象に残りましたので、書いておこうと思います。
飲み会での何気ない話題からインスパイアされて、大きな気付きや再確認を得ること、というのはすごく多いんです。
だからぜひ鍼灸師は、どんどん飲みに行くべきだと思います!(笑)
「酒は百薬の長」です!
「ノミニケーション」です!
(死語?)
まあ、要は酒に「飲まれ」なけりゃいいんです!!
あるいは「飲まれ」るタイプの人と飲まなけりゃいいんです!!
(苦笑・・・コレ意外と大事。)
・・・まあ、それはともかく、我々鍼灸師というのは、前回書いたような、「気」や「経絡」というものが”ある”と考える組と、
”そんなものない”と考える組の人たちが、実に不毛な争いをやってきた過去があります。
(・・・今でもか?今は冷戦状態か?ま、いーやどっちでも。)
しかし、これは非常に感情的な議論であり、最終的にはその感情論をごまかそうとするためか、
あるいはどうにか相手を論破しよう、自分が優位に立ちたい、という心持ちなのか、
第3者から見ると極めて難解な、「哲学論争」に発展したりした経緯もあります。
”あるのかないのか”に関して、現代科学的な手法で証明のしようのないものをまな板に乗せて、「哲学論争」なんてやったって、答えなんて得られやしません。
そこでもし仮に”答えらしきもの”を得たところで、
「だから何?」
「・・・で、どーすんの?」
「鍼がよく効くようになるの??」
って話です。(笑)
鍼灸師同士が、こういう、いつまでたっても終わらないような議論を続けていく、という方向性は、僕はあまり好きくありません。
せっかく、縁あって、「鍼」と「お灸」という、”病治し”のための素晴らしい武器を持たせてもらう機会を得たんだから、
やっぱ我々の土俵は、あくまでも「病治し」の現場でしょ!?
・・・それが一番スッキリしてるでしょ!
そこでやったことを、
「どーよどーよ??こんなんどーよ?」
と、ガンガン世に問う、これはいいと思いますが、それ以外のことは、なかなか今の僕にはムズいです・・・。
もちろん、鍼灸教育とか、鍼灸師の社会的地位向上のために尽力されている先生方のことは、尊敬しております。
現状の僕には、なかなかそっちは難しい、という意味です。
まあ色々言っても、鍼が最も輝くのは、「患者さんの前」です。
ここ数千年、それは変わっておりません!
・・・昼間っから、そば屋で飲みながら、そんな話をして、それを”楽しい”と感じることが出来る、
・・・そういうのって、ステキじゃないですか??
(病気っぽい?)
でも鍼最高。
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2010.09.04
本日は朝から予約満タンでございました!(感謝)
トランス状態。
そして今日はお昼ごろは清明保育園となりました。(笑)
園長気分満喫。
清明院では、現在、小児の患者さんが増えています。
以前、小児と鍼灸、小児と鍼灸(その2)に書いたように、これはとてもよいことだと思っています。
小児のあらゆる病に、鍼は非常に有効です。
親御さんとしては、かわいいわが子の一挙一動が心配でならない訳ですから、信頼できる医療機関に連れていきたいけど、
なるべくなら薬は使わせたくない、という思いは、皆さん持っておられるようです。
ここまさに、鍼の出番です。
しかし残念ながらこのことが、意外と知られていないんです。
小児というのは、「治る力」が非常に活発です。
それをちょっと引き出してあげるだけで、色んな症状が、ぐんぐんよくなるのを、よく目にします。
夜尿症、疳の虫、アレルギーなどなど、お困りの方はぜひご相談下さい!
明日は再び鍼の勉強で大阪に向かいます。
鍼最高。
常にトランス状態。
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2010.08.22
おととい、僕も副院長も教員養成課程でお世話になった、大田区大森にある、東京衛生学園の3年生の学生さん2名が、「卒論作成」のためのインタビューがしたい、
ということで、1時間ばかり、清明院にお見えになりました。
なんでも、「ホスピタリティ」なるものを、実際の現場の臨床家がどのように実践してるか、を調査しておられるそうです。
実は、コレについては以前、その学生さんから送られてきたアンケートに答えてあったんですが、それを踏まえて、さらにそのアンケートの内容を詳しく聞きたい、
とのことで、今回やってこられました。
・・・事前に電話での、
「インタビューを受けてもらえるか?」
との問いに、正直、清明院はそんなたいそうなことはやってないにもかかわらず、
「イイですよ~♪」
と、快諾しちゃいました。(笑)
なんか会話を、ICレコーダーで録られながら喋るのって、「取り調べ」みたいで緊張するね・・・。
(別にやましいことはないんだがネ。)
・・・ところで、「ホスピタリティ」って言葉、皆さんご存知でしょうか?
僕は最初、情けない話、”あー、なんかそれ、聞いたことあるなあー”程度でした・・・。
知らない方はこちら参照(yahoo辞書)
・・・ま、要するに「おもてなし」ということらしいです。
そいでまあ、学生さんとしては面白くなかったかも知れないけど、コレは正直、僕の場合は一語で終了です。
「最大限、患者さんのために”治そう”と努力すること。」
僕はこれこそが最大の「おもてなし」だと考えています。これは僕が鍼を持った最初から一貫してそうです。
だから、僕はもしこの「鍼灸」というものが、僕自身の最大限の努力に応えてくれないようなものであれば、スッパリ足を洗おう、と思ってきました。
でもちゃんと「鍼灸」はそれに応えてくれるから、今日までやってこれた訳です。
”患者さん”というのは、何か症状を抱えて、色々あって、困った挙句に、ようやっと僕のところに相談しに見える訳です。
いつも言うように、残念ながら現代日本の国民の認識的には、何か症状があった場合に、「鍼灸治療」が第一選択肢になることは、圧倒的に少ないのが現状です。
ですから、病院に行って保険証出して薬もらっても、なかなかよくならない、あるいは悪化している、という患者さんが、
「ワラをもつかむ」
あるいは、
「半信半疑」
というようなお顔で、清明院には多く見えます。
我々に出来る、そういう人に対する最大の「おもてなし」は何か、と考えたら、待合室でコーヒーを出すことよりも、”患者さま”とお呼びして、VIP待遇することよりも、
「とにかく自分の持てる東洋医学の最大限を尽くして、何とかしようと最大限の誠意を見せる、努力する」
ということではないでしょうか。
・・・と言っても、上記のような、いわゆる「サービス的」なおもてなしも、まったくの無意味とも思っていませんが、清明院は基本的に僕一人での診療なので、
「物理的に無理」
というのもある、・・・かな。(笑)
・・・ま、それぞれが、患者さんのために、一生懸命やれることをやったら、いいと思います!
僕らのやることなすことにジャッジを下すのは「患者さん」なんですから。
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2010.08.05
こないだ飲み会で、とある先生達とした話が印象に残りました。
今日はその話の内容からインスパイアされた、僕なりの「叫び」であります。
僕は叫びます。
次から次へと。
一貫性のある主張を。
・・・このブログ上で、僕は常々、
「西洋医学の内臓(organ)と、東洋医学の五臓六腑は違う!即ち、東洋医学と西洋医学は、両方とも間違いなく”医学”だけど、
これらの混同、同一視はナンセンスだ!!」
ということを言い続けています。
しかし、この言葉に対して、
「へ?なんで??両方の共通項を見出して、東洋でも西洋でもない、第3の医学を作った方がよくない??」
と思う人も、当然いらっしゃることでしょう。
要はこれが、最近よく言われる、「統合医療」という考え方の一つです。
この「一見合理的で美しい」主張、および行動が、実際に後を絶たないんです。特に鍼灸界。
・・・で、コレ、誰がどういう風に統合すんの?
確かに現状、”実際に治らない病人が存在する”ということは、東西の医学、どちらにも限界がある可能性が高い、ということには疑いの余地ナシです。
だから、こういう考え方が生じるのは、分かる面もあります。
・・・なので別に、そういう人達の”研究”には、水をさす気はサラサラないけど、そういう考え方を持って、”研究”ではなく、実際に患者さんをやっている人に対しては、
「あそお。ではよしなにやんな。それを支持する患者さんがいるんであればね。・・・でも、あなた達がやっているそれって、
実績ほぼゼロの”医学らしきもの”を患者さんに提供している、ってことなんだぜ。それ、分かってるか?」
と、言いたいです。
また、
「共通項、共通項、とくくろうとするのはいいけど、それを見出すのと同じぐらい、”相違点”を明らかにする努力、なさってますか??」
とも言いたいです。
そしてさらに、
「ましてそれを、”これが東洋医学です。”なんて、患者さんにプレゼンしてないでしょうねえ?」
と聞きたいです。
さらにさらに・・・まーいーや。(笑)
・・・「気」と「陰陽」という哲学に立脚した東洋医学には、約3000年の実績があります。
(確認できる範囲で、です。)
「実証主義的な物理科学」に基づく西洋医学は、ルネッサンス期以降のヨーロッパを中心に発展した医学で、東洋医学の歴史と比較すれば浅いものの、
数百年の実績があります。
これらを”それぞれ別の医学、という認識で”真摯に学び、患者さんに実践、提供するのが、現代の医療人としての、当然の態度だろう、と「僕は」思います。
とりわけ、薬やメスでなしに、鍼と灸を持って治療にあたろうとするんであれば、東西の医学のどっちに重きを置いた方がいいかは明らかでしょう。
そうしてよく学び、よく実践する者同士が、お互い、自分自身の限界を自認し、患者さんのために協力し合う、これはあり得ると思うし、
現状としてはそれこそが理想的な姿だと思います。
しかし、現代日本の医療体制の中で、東アジアの周辺諸国と比較したら、東洋医学の満足な教育システムもない、東洋医学と西洋医学の協力体制もほぼない、
という現状の中で、いきなり謎の「第3の医学」の創設、とりわけそれの実践を語るのは、あまりにも時期早尚じゃないでしょうか?
患者さんは「患者さん」であって、「実験台」ではないんですよ?
・・・そう思いませんか??
むしろ東西の医学双方の「共通点」よりも「相違点」を明らかにして、そこから、
東洋医学に「しか」出来ないこと
西洋医学に「しか」出来ないこと
を明確にしていく方が、双方の存在意義がハッキリするのではないかと「僕は」思っています。
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2010.07.31
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これまでのお話・・・
「胃」って何ですか?
「胃」って何ですか?(その2)
「胃」って何ですか?(その3)
「胃」って何ですか?(その4)
「胃」って何ですか?(その5)
「胃」って何ですか?(その6)
少し涼しくなったと思ったら、また猛暑。
・・・でも個人的には、猛暑って、ちょっと好きです。
(笑・・・溶けそうにはなりますがネ。)
僕は、育ちは日本一暑い群馬県前橋市なんですが、生まれは静岡県伊東市です。
まあ、海周辺で生まれ、山周辺で育ったわけです。
この時期になると、海の近くで生まれた血が騒ぐのか、妙に気分が高揚します。(笑)
フジツボ、イソギンチャク、ウミウシ・・・ああ、なつかしい・・・。
(見た目キモいのばっかですが。(笑))
・・・まあそれはさておき、ついこないだ、「胃」の話をする上で、とても興味深い事件がありましたね。
ニュースの記事というのはネットからすぐに削除されてしまいますので、ここに概要を述べておきますが、清明院からさほど遠くない、渋谷区円山町で、28日、朝8時ごろ、パンツ1枚の半裸の女性が、
「女をナメんじゃねえ~!!」
とか、
「電話して来い~!!」
とか叫びながら、マンションのベランダから身を乗り出して絶叫していたそうです。
一時は飛び降りを警戒して、消防隊も駆けつけ、あたりは騒然となったそうですが、部屋に入った警察がその女性を取り押さえて一件落着、という事件です。
今日はこの出来事を、東洋医学的に考えてみましょう。
☆「胃」と「熱」と「狂」
東洋医学では、上述のような精神錯乱の病を「狂証(きょうしょう)」と呼び、2500年前に著されたとされる東洋医学の聖典、
『黄帝内経(こうていだいけい)』
の中にはすでに「狂証」の分類、発症機序、治療法まで述べられています。
(専門家の先生方、『黄帝内経霊枢』癲狂篇(22)です。ココ、実におもろい。要チェックです。)
また今から約2000年近く前、中国は後漢の時代、張仲景(ちょうちゅうけい)という大名医がいました。
彼が著したとされる、
『傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)』
という書物は、この現代でも、漢方薬で治療にあたる先生方や、我々鍼灸師にとっても、これまた東洋医学の”聖典”の一つとして、不滅の輝きを放っています。
そこにもすでに、こういった病の症状や所見、治療法が書いてあります。
(専門家の先生方、陽明病篇、特に大承気湯、桃核承気湯の条文です。これまた示唆に富んでるよ~。)
それらを繙くと、結局、こういう「狂証」の治療の最終的な中心は、なんと!いずれも「脾胃」なのであります。
特に上述のような激しい錯乱状態を示すようなものに関しては「脾胃」の中でも特に「胃」が治療対象です。
そして、この考え方は現在でも支持されています。
江戸時代の医師の文献なんかには、実際の症例なんかも出てます。
僕も、何人かの先輩から、実際に鍼や漢方薬で治療した症例の話を聞いたことがあります。
また僕自身も、これに近い症例を経験したことがあります。
・・・まあとにかく、なぜ「胃」がおかしくなるとこういう症状が出るのでしょうか。
ちょっと長くなったので続きは次回に!(笑)
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2010.06.24
毎日毎日患者さんを診ていますと、たまに面白いことをおっしゃる患者さんがいます。
初診の時、
「私は肝腎陰虚証(かんじんいんきょしょう)なので、お願いします!」
・・・とか、
「病院で、昔”貧血”と言われたことがあって、東洋医学的には”血虚”だと思ったので、三陰交にお灸をしてますので、据えて下さい。」
・・・とか、
「私は独学で中医学を学んでいまして、自分で漢方を服用して大体の症状は治せるのですが、先生の場合だとどういう診立てになるのか興味があってまいりました。」
・・・とかです。orz
大概そういう方に、
「ほー、それで結局、現在はどうなっていますか?」
と聞くと、なんだかんだいって結局は治ってない、ということが多いように思います。
・・・これ、何でですかねえ?
おかしいですねえ??
いっぱい「独学」したのにねえ???
あのー・・・ですねえ、コレねえ、正直ですね、そしたら、鍼を売ってあげますから、ご自分で「独学で調べて」「知人の方にでも」やっていただいたら如何でしょうか?と、
申し上げたくなります。
(苦笑・・・もちろん言いませんよ。険悪ムードはやだしね。まあやんわりとお勧めはしますがネ。)
コレは別に僕らの職業に限らず、現代は様々な分野の専門家の方々が、皆さん頭を抱えていらっしゃるところなんじゃないかと思います。
現代はかつてない情報化社会、知りたいことが瞬時に、インターネットを通じて知れる世の中です。
例えば自分の症状や、病院で告げられた病名をPCに打ち込んで検索すれば、その状態の人によく使われる漢方薬やツボの名前が即座に分かり、
それらをやってみようと思えば簡単に出来ます。
・・・で、その漢方薬を飲むなり、そのツボを刺激するなりして、もし治れば、治ってしまえば、その人はあたかも自分が専門家になったかのような錯覚に、
徐々に徐々に陥ることがあります。
(錯覚ですよね)
まあ、陥ったまま、幸せに暮らしていただければ何も問題はないのですが、僕らのように、いやしくも「専門家」を標榜して生計を立てている人間の前に来て、
冒頭のような態度を最初からとりにくるのはいかがなもんでしょうか。
普通に考えてこれは、”失礼”、”無礼”ではないでしょうか。
よく言われることですが、医療者と患者さんというのは、治療効果を最大限に高めるためにも、なるべく親しくなって、「信頼関係」を築かなくてはなりません。
その方がいいに決まってます。
というかそうしないと「病治し」というのはなかなか上手くいきません。
僕の経験からも、それは明らかです。
ですから、こちらもなるべく患者さんの悩みを詳しく聞くし、それに対してそれぞれの専門の見地から、最大限のご提案をさせていただこうと思っている訳です。
いつもブログに書いているように、僕の場合であれば”東洋医学”という、独特の人体のとらえ方をする医学の見地から、西洋医学の場合であれば、
最新の見解や研究データをもとに、”最善”を尽くそうとする訳です。
なのにいきなり初対面から、
「俺が(私が)こう思うからこうやれ。」
と来られても、信頼関係も、プロの技術も、へったくれもないですよ?
「あのー・・、なにか勘違いしていませんか?」
・・ってなるだけです。
偉そうに言う訳ではもちろんなく、我々の業界に限らず、素人と専門家は明らかに違います!
僕もこれまで、医療関係はもちろん、車やバイク、建築、スポーツなどなど、あらゆる、その道の専門家と接する機会を持ってきましたが、
その知識の深さから経験値から、素人とはまっっっったく「別モノ」です。
我々専門家というのは、国が定める教育課程を修了し、国家資格を取得し、なおかつ数年から十数年にわたる実地臨床の経験を経て、自信がついた段階で、
ようやく開業している訳です。
(借金コンクリートでガチガチになってまで・・です。(笑))
そこに至る努力や苦労なんて理解できない、というようなら、わざわざそういうところに相談に行く必要なんてないと思います。
時間とお金と労力の無駄です。
清明院は、大切な人を大切にします。
患者さんが人間であるように、僕らも人間なんですから。
「感情」というものがあるんです。
・・・なんか今日は愚痴ブログみたいになっちゃったけど、コレって大事なことだと思います。
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2010.06.23
今日、患者さんからこんな質問をいただきました。
その内容が、今つづっている「脾って何ですか?」にもちょっと関わるので、紹介します。
・・・その患者さんは、お酒をよく飲まれる、坐骨神経痛の男性です。
初診時から、経過は良好なのですが、たまにお酒を飲み過ぎると、症状が出てくることがあります。
今日も、前日にお酒を飲み過ぎたことによって、若干症状が出た、とおっしゃいました。
しかし、いつもの、飲み過ぎた時の症状とは若干違います。
体表観察してみると、今日の場合は「酒のせい」というよりも、
お酒というより、全体的に水分全般を取り過ぎてること+体の外からの冷え
によって症状が出ている、と判断しました。
そこで患者さんに再度確認してみると、
「自分では飲み過ぎたような印象があったんだけど、よく思い返してみると、量的にはいつもと変わらないか、少し少ないぐらいだった。」
と言いました。また、
「昨日仕事中にエアコンがきつすぎて寒かった。」
ともおっしゃいました。
・・・で、
”あー、ヤッパリネ”
ということで、治療が終わり、治療後に、
竹「お酒も含めて、少しお水の取り過ぎに注意して下さいね~。」
と声をかけると、
患「先生、体に余分なお水が多い時、お酒の量は変えずに、他の水分の量”だけ”減らしたら、それでも症状軽くなるの?」
と聞かれました。
僕は即答で、
竹「なります。この場合はね。酒がたくさん飲みたいんなら、酒以外の水分を極端に減らせば、ある程度の量飲んでも症状が悪化しにくいですよ。」
患「なるほど。へへへ・・・。(笑)」
竹「ただ、”今日みたいな場合は”ですよ!!いつもそうとは限らんよ!」
・・・という会話でした。専門家の先生方なら、この会話の時点で大体どういう患者さんかお分かりになるかと思いますが(笑)、今日はこの会話から、
一つの問題を取り出して解説してみようと思います。
☆お酒とその他の水分の違い
清明院で使用している(一社)北辰会専用カルテの問診事項には、飲酒の頻度と一回量を記載してもらう欄があります。
ここに問題がありそうな患者さんであれば、そこからさらにお酒の種類は何か、ペースはどうか、酔うとどういう状態になるかなどなど、
さらに突っ込んで問診していきます。
・・・なぜこのように、”お酒”を医学的に特別視するんでしょうか。
酒のことを東洋医学では、
”大辛大熱(だいしんたいねつ)”
と言って、適量であれば、大いに気血を巡らせる作用があるが、過度になれば体内に余分な熱を生じる飲み物、と考えています。
また発泡酒(炭酸が入ったお酒)の場合は、
上記の作用+気血を体の上(つまり頭部、胸部)に持ち上げる作用がある、
と考えます。
よく、「酒は百薬の長」と言われますが、これはお酒が持つ”気血の巡りをよくする”作用のことを指して言っているのであって、過度に飲んで、
結果的に体内に”余分な熱”や”余分な水分”を生じることを指して言っているのではありません。
よく西洋医学で、酒は利尿作用があり、呑んだ量よりも出ていく量の方が多いから、結果的に脱水状態になり、水分補給にはならない、と説かれますが、
酒を呑んでいる人をよく観察していると、かえってトイレに行かなくなる人もいます。
そういう人の場合は浮腫みます。
このように、「どういう人が」「どういう酒を」「どの程度の量」呑んだかによって、その後起こる現象は一様でなく、これをよくよく聴取して、
酒がその患者さんに何をもたらしているか、個別に考えるべきです。
(因みにあの、”チェイサー”というのはとてもいい方法だと思います。)
こうしたことから、日頃よくお酒を飲む、という初診の患者さんには、量、頻度、種類、ペース等々、詳しく聞いておくことが、「正しい」東洋医学的な診断をする上ではとても大事になります。
冒頭の患者さんも、こうした「お酒」というものの特徴から考えると、ちょっと考えにくい症状、所見を呈していたので、冒頭のようなやり取りになった訳です。
お酒以外の嗜好品では「カフェイン類」というのも見逃せませんが、それはまた今度語ることにします。(笑)
まあ、いずれにしても最近のようなジメジメした時期を快適に過ごそうと思ったら、酒だろうがカフェインだろうがジュースだろうが、
お茶やお水であっても、過度に飲まないことです!
「脾」は湿気(余分なお水)を嫌いますのでネ・・・。
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2010.06.09
これまでのお話・・・
「心」って何ですか?(その1)
「心」って何ですか?(その2)
「心」って何ですか?(その3)
「心」って何ですか?(その4)
「心」って何ですか?(その5)
「心」って何ですか?(その6)
「心」の働きについては、これまでであらかたは述べてきたと思います。
・・・ということで、ここら辺で一旦完結しようと思いますが、(その1)で述べたように、
「心」は”君主”
ですから、これが病気になると、命に関わる場合もあります。
今日は最後に、東洋医学の言う「心」がもし病気になった場合、具体的にどんなことが体に起こるのか考えてみましょう。
西洋医学の言う「心臓」の病気と言えば、「心筋梗塞」とか「狭心症」、症状としては「動悸」、「息切れ」なんていうのが有名です。
それ以外でも、ちょっと詳しい人なら知ってると思いますが、
「不整脈」とか、「心タンポナーゼ」とか、小児の「心室中隔欠損症」
などなど、挙げていけばキリがないほどあります。
西洋医学においても、「心臓」の病気は命に関わることが多い、という点では、東洋医学と共通しています。
しかし、これらの病気が、同じように東洋医学の言う「心」の病気になるかというと、当然ながら、必ずしもそうではありません。
西洋医学の病名によって、鍼灸をする経穴や、漢方薬の処方内容が決まるはずはありませんよ!!
もし巷にそんなことをうたっている人がいたら用心して下さいね!
(苦笑・・・山ほどいるような気もしますが・・。)
・・・でも僕は、初診の際にはその患者さんが、西洋医学的に何という病名なのか、どんな処置を受けているのかは、必ず聞きます。
なぜなら、その病名を持っている、ということは、こんな症状があって、あんな症状があって、という「予測」が出来、それをもう一度東洋医学の理論に置き換えることが、
正しい「東洋医学的な診断」をするにあたって大変有用だからです。
・・・まあ、こういう話はこのブログ上で何度も言っていますがね。
現代でちゃんとした東洋医学をやろうと思ったら、西洋医学の基本的な知識は必須でしょう。
さて、では実際に、「心の臓」を病むとどうなるか、についてですが、これは実際には非常に多岐にわたります。
冒頭で述べたような西洋医学的な心臓疾患なども、もちろん東洋医学的な「心」の病変で起こりうるケースもあります。
また、これを言うと、一般の方にとっては、
「エ?なんで??」
ってなっちゃうと思いますが、ある種の「目の病気」や、「喘息」、「不眠」、「胃の痛み」や「胆石の痛み」などなど、東洋医学の言う「心」を病むと、
実に様々な(というか意外な)症状を呈することがあります。
これら一つ一つのメカニズムについてまでは、いちいち解説はしませんが、要するに、
”「精神」と「感覚」の調整役”
であり、
”全身への「血」の安定的な供給”
というのが「心」の主な働きですから、これがうまくいかなくなった結果、と考えれば、あらゆる可能性が、なんとなく想像できるんじゃないかと思います。
このように多種多様な症状から、その人の病を分析して、その不調和の根幹を特定し、それを是正するのが東洋医学だ、ということです。
・・・一応、「心の臓」についてはこれで一旦完結しますが、言いだせばキリがないほど、情報はありますので、また機会があったら書きます。
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2010.05.25
久々に、「患者さんの声」をいただきましたので、載せさせていただきます。
本症例の患者さんは、今年(平成22年)の2月に他界されました。
以下の文章は、お孫さん(現在清明院に通院中)が書いて下さったものです。
80代 女性
症状:全身転移による末期癌による浮腫み、呼吸困難、歩行困難、全身の痛みなど
昨年(平成21年)の秋頃、祖母の細い足が急にゾウの足のように浮腫み、それをきっかけに病院の検査で調べた結果、癌の末期と宣告されました。
足の浮腫み以外は特に身体に大きな不調がなかったので、家族にとっては大きな衝撃でした。
専門医の先生は祖母の年齢、体力を考えて、手術や抗癌剤治療は勧めませんでした。
家族で慎重に話し合った結果、祖母には病気の事は伝えず、これまで通り、普通の生活をしながら祖母を看病し自宅で看取ることを決めました。
祖母は以前から足腰の不調等で竹下先生にお世話になっていたので、祖母の身体に関しては、引き続き竹下先生に全面的にお任せすることにしました。
これは私達家族からの願いでもありましたが、竹下先生の目指すところは、なるべく苦しませずに逝かせてあげること、でした。
昨年の10月頃から竹下先生と松木先生が交代で週に3~4日、往診にきてくださり、特に大きな変化は無く新年を迎えられました。
癌患者とは思えないほど食欲はあり、癌の末期だなんて誤診ではないか、と疑ったくらいでした。
若干のふらつきがありましたが、鍼のあとはふらつきがなくなり、元気と自信を取り戻している様子でした。
その後徐々にふらつきが強くなり、家の中を動く事もままならなくなった頃、さすがの祖母も不安を覚え、落ち込んでいる事が多かったのですが、
やはり竹下先生と松木先生に優しく励まされ、支えて頂いていたように思えます。
鍼が終るとニコニコしていて
「心配しなくていいよ。」
って言われた、とうれしそうに話していました。
2月に入った頃からたまに腹部に痛みを訴えたり、ちょっと動くと息切れがひどかったり、食欲が減ってきたり、
と色々出てきましたが、ほぼ全て鍼で対処して頂き、穏やかに過ごさせていただきました。
年明けくらいからは近所の内科医院の先生も往診にきて下さっていて、介護保険を使って介護ベッドや酸素の機械や、
浮腫みをとるマッサージ機などをレンタルして下さり、病状に合わせて薬を出して下さっていました。
なんとなく外枠のケアを西洋医学で、内側を東洋医学で、といった感じの西洋医学と東洋医学のコラボレーションだったように思えます。
2月の中旬に体調が急に悪化し、2月末に亡くなるまで、竹下先生がお忙しい合間を縫って毎日来てくださいました。
先生が毎日来て下さる事は祖母にとっての安心でもありましたが、私達家族の安心でもあり心の支えでもありました。
先生の月に唯一のお休みの日まで
「いつでも携帯に電話してください。」
とおっしゃってくださった先生に、本当に感謝の気持でいっぱいでした。
昨年の10月の時点で全身に癌が転移していて、手のほどこしようがない、という状態だった祖母が、亡くなる数日前まで食べたい物を美味しい、と言って食べていられた事、
癌の末期患者として苦しんだのは最後のほんのちょっとだけで、しかもその頃はほとんど意識が無かったと思うので、祖母はおそらく自分が重い病気であることに気付かないまま亡くなっていけた事は、
祖母自身にとっても私達家族にとっても、幸せな事だったと思います。
鍼治療の不思議を見せて頂きました。
そして何より竹下先生と松木先生が一生懸命やってくださったおかげだと思っています。
心から感謝しています。
約半年間、祖母の事でお世話になり、先生方はすっかりうちの親戚一同のヒーローとなり、死ぬときは清明院にお世話になる、と決めている人たちもいるので、
私を含め家族、親戚ぐるみで今後ともよろしくお願いいたします。
◆清明院からのコメント
この症例は、末期癌と判明してから、亡くなられるまでの約4カ月間を、ご家族の要望により、ほとんど鍼のみで対応した、貴重な症例であります。
上の文章にもある通り、本症例の目的は、なるべく患者さん御本人を楽に逝かせてあげることでした。
「腎虚水泛(じんきょすいはん)、血熱(けつねつ)」と証を立てて最後まで治療し、それはなんとか達成してあげられたと思いますが、
最後は亡くなってしまった訳ですから、僕にとっては、もっとこうしてあげられたんじゃないか、ああしてあげられたんじゃないかと、今でも、
色々と考えさせられる症例でもあります。
人間は早かれ遅かれ、誰でもいつか必ず亡くなります。
悲しいけど、それは皆が分かっていることです。
ただ、最後亡くなる時ぐらいはなるべく苦しみたくない、周りに迷惑をかけたくない、というのが、多くの患者さんの考え方です。
この患者さん自身もそういう方でした。
この症例のように、現代西洋医学的には手の施しようがない状態の患者さんにも、鍼は強い味方になります。
鍼をして、安心し、痛みが楽になる、よく眠れる、結果、そんなに苦しまずに、比較的安らかに最期を迎えられる。そういう症例を、僕の短い臨床経験の中でも、何例も経験しています。
反対に、病院から手の施しようがない、と言われているにも関わらず、開腹手術、抗癌剤治療を選択し、酷い副作用に苦しみながら、本人もご家族も泣きながら亡くなっていった患者さんも、これまでに何人か診ています。
この方が亡くなられる前日の、意識があった最後の往診の時、帰り際に、
「明日も来るからね。」
と声をかけると、それまで苦しそうにしていたのに、ニコッと笑って頭を下げた、この患者さんの笑顔を、今でも昨日のことのように思い出します。
「東洋医学」とは何なのか、“人の生き死に”に対して何が出来るのか、限界は果てしない、と僕は思っています。
2010.05.18
今日は、僕が以前勤めていたこともある、とある病院へ、開業の御挨拶に行ってきました。
なぜこんなに遅くなってしまったかというと、正直、去年の10月の開業以来、バタバタしていたからです(笑)
しかも向こうの都合もあるだろうから・・と思うと、後回し後回しにしているうちに、今日にいたってしましました・・・。(早い!)
まだまだ片付けなければいけない案件は山ほどありますが、一段落してきたので、今回、ようやくご挨拶に伺ってきました!
(病院の場所やら名前やら、ここに書いてもいいんだけど、病院側の許可を得ていないのであえて書きません。そのうち紹介しますネ。)
そこで、面白い話が出来ました!
こないだも書いたけど、エビデンスについてだとか、西洋医学の現場の様子、「医師」という職業をめぐる現状、東洋医学に対する興味や認識などなど、時間は短かったけど大変有意義で、ついついテンション上がっちゃいました。(笑)
医師の先生方も、積極的に東洋医学を現場で効果的に用いたい、という、”人情”の部分と、現実的にはなかなか導入しにくい、という、”論理”の部分との葛藤があるようです。
まあ、このブログでも何度も述べているように、鍼灸は数千年もの間、患者さんの支持を得てきた医学であり、技術な訳ですから、しっかりと学べば、あらゆる病気に対応可能であることは間違いなさそう、というのは、誰でも分かる話です。
しかし現在の医療業界の中ではなかなかそれを本格的に導入する制度や機会がない、というのが現状なんですね。
高度で、なおかつ確度が高くて、良質な東洋医学を患者さんに提供しようと思ったら、現状の医療界では、やっぱり開業鍼灸師、あるいは開業薬剤師、という形が一番やりやすいようです。(苦笑)
だから僕はもっともっともっともーーーっと、頑張らなくてはなりません。
だって、やりたいことを、やりやすい環境でやらせてもらってる訳だからね。これで怠けたら、バチあたります。(笑)
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