東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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小半夏加茯苓湯と船酔い 2

2015.02.27

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前回のお話

 


小半夏加茯苓湯と船酔い                参照

 

では、続きいきます!

 

前回、「小半夏加茯苓湯」は、漢の時代の、東洋医学を代表する古典の一つである『金匱要略』に記載されている方剤で、現代では妊娠悪阻(つわり)に応用されているお薬である、というお話をしました。

 

 


では今日は、この方剤の元になった「小半夏湯」という薬について、ちょっと専門的に考えてみたいと思います。

 

「小半夏湯」『金匱要略』に登場するのは「痰飲欬嗽病脉証治」という章の”支飲”という病証の項に出てくるのが一点目で、ここでは、

 

嘔吐しても、まだノドの渇き感が出ず、嘔吐が止まらないものを治療する薬として紹介されております。

(嘔吐してもまだ余分な水分が出し切れておらず、みぞおちに支(つか)えている、という判断です。)

 

次は、「黄疸病脉証治」という章の”黄疸の治法”が紹介されているところに出て来るのが二点目なんですが、ここでは、黄疸そのものの治療というよりも、

 

黄疸の治療をミスして、結果的に脾胃が冷えてしまって、しゃっくりが止まらなくなった時に使うように、という形で紹介されております。

 

最後は、「嘔吐穢下痢病脉証治」という章の”嘔吐の治療法”が紹介されているところに出てきます。

 

ここでは、単に中焦(脾胃)に水分が停滞している場合の嘔吐の治療に用いるように、との指示で出てきます。

 

このように、「小半夏湯」は総じて

嘔吐や、脾の臓、胃の腑の異常、中焦の水分の停滞

に、用いられております。

 


これは、この方剤の中の構成生薬である”半夏”に、水分の停滞を取り除く効果があること、また”生姜”には、胃を温め、結果的に気を下げて吐き気を止める効果があることから、

 

上記のような症状に使われるのですね。

 


ではこれ(小半夏湯)に”茯苓”を加えた「小半夏加茯苓湯」はというと・・・?

 

小半夏加茯苓湯と船酔い 3       に続く。

 

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小半夏加茯苓湯と船酔い

2015.02.26

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先日の和歌山、加太港への遠征タイ釣り・・・。

大爆釣!! 参照

 


実はこの日の前日に関西入りし、迂闊にも、新風先生と遅くまでお酒を飲んでしまいました。。。

(しかも、何故か僕だけがけっこう呑んでいたような気がします。しかも最初からずっと日本酒で。)

 

翌朝は、早朝に起きて港まで行ったわけですが、港に着いた時点で、すでに若干気持ち悪かったです。。。

 

(船酔いする前に二日酔い!!)

 

この時点で内心、

「あーこれ、ヤバいなー・・・。」

と思いながらの釣り開始、となりましたが、幸い海が荒れなかったので、眠いこともあって、しばらくは大丈夫でしたが、だんだんタイが釣れ出して、

 

目が覚めてくると、時間的にも、体内の陽気が盛んに動き出してきて、悪心が強まるのです。

(苦笑・・・この経験、分かる人には分かるでしょう。)

 


そしてついに嘔吐。。。

(まったく荒れてない海で。)

 

これは船酔いではなく、二日酔いです。(笑)

 

それだけに、一回吐いたら、やたらスッキリしました。

(本格的な船酔いの場合は、一回吐いてもそれほどスッキリせず、また吐きたくなります。そして吐いているうちに、徐々に立っているのもしんどくなってきます。(笑))

すると、隣に座っていた油谷真空先生

「これ飲んでみたら?」

と、胸ポケットから

「小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)」

を取り出しました。

 


これは、このブログでも何度か紹介している、東洋医学の超有名な古典である、『金匱要略』という書物に記載されている漢方薬であり、

現代ではよく”悪阻(つわり)”に応用される薬です。

『金匱要略(きんきようりゃく)』という書物 
「張仲景(ちょうちゅうけい)」という人物
    参照

 


これは半夏(はんげ)生姜(しょうきょう)という生薬からなる

「小半夏湯(しょうはんげとう)」

という薬に、茯苓(ぶくりょう)という生薬を加えたものでして、小半夏湯というのは、ちょっと難しくなりますが、

『金匱要略』の中の痰飲欬嗽病脉証治という章の中の”支飲”に関する項に出てくる薬でして、いわゆる

「嘔家(おうか)・・・もともと嘔吐しやすい人」

に対する薬なのであります。

小半夏加茯苓湯と船酔い 2   に続く。

 

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東洋医学をプロデュースしたい人達

2015.02.20

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今日、とある人の紹介で、

「東洋医学(鍼灸・漢方)を世に大々的にプロデュースしたい人達」

に、お会いしてきました!!

まあ、このブログに何度も何度も書いているように、東洋医学、鍼灸医学に対する、世間一般の認識は、ほぼほぼ間違っています。

「東洋医学って、迷信みたいなもんでしょ?」

「鍼灸って、肩こり腰痛だけでしょ?」

「漢方薬って、即効性ないですよね?」

などなど、世間の認識の、おかしいことおかしいこと。(苦笑)


嘆かわしい嘆かわしい。

なぜ、こうなってしまったのかについては、これまで色々とこのブログにも書いてきたとおりなんですが、最近ではポツポツと、東洋医学というものの

”良さ”

に本気で気付き、これを大々的に世にプロデュースしていこう、という志を持った人たちが出始めているようです。

彼らは社会的、業界的に力のある医師や政治家、社会に与える影響の大きい大手メディアなんかを味方につけて、あの手この手で東洋医学の有用性を世に訴えていきたいようです。


その目的は金儲けではなく、

「国民のため」

「患者のため」

なんだそうです。



・・・素晴らしいじゃないですか。

いいと思いますよ。

我々、東洋医学をやっている鍼灸院の院長や、漢方薬局の店長が、いくらブログ等々で東洋医学の有用性を訴えても、正直言って

「草の根運動感」

がハンパじゃないです。(爆)


彼らのような仕事に、それ専門で時間と労力とお金を割ける人達が、今後もどんどん増えていって欲しいと思います。


僕も何かできることがあれば、ぜひ協力しますよ、とお伝えしました。


ただ僕は、あくまでも在野の臨床家。

一生、一鍼師で生きると決めています。

死ぬ瞬間まで、あの症例は、こう考えて、あそこに鍼した方がもっと効くかもしれない、とか言ってたいです。(笑)


それだけに、業界とか力関係とか、難しいことはよく分からんのだけども、彼らが世に伝えたい、東洋医学の良さというのは、まさに我々の日々の臨床の中にこそある筈。

であるからして、我々が協力できることはある筈です。

誰が何と言おうと、東洋医学はいいものです。

だからキチッと、国民の認識の間違いはこちらから修正して、的確な内容を国民に周知徹底してもらい、今よりももっともっと、東洋医学が国民の健康に寄与するべきだと思っています。

 

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「月経異常」を考える

2015.02.18

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今日は学校で、「月経異常」について喋ってきました!!

清明院でも非常に多い、「月経」に関する相談。

月経の異常を抱えていれば、当然不妊症や不育症といった、妊娠に関するトラブルとも繋がってきます。


月経異常に関しては、有名なものは

月経困難症(いわゆる生理痛)と月経前緊張症(PMS)

というやつです。


患者さんの多くは、10代の頃に、これらの症状を自覚すると、当然のように薬局に行って、痛み止めを買い求め、飲むようになります。

それで何とかなってしまうと、そのまま、10年、20年経ってしまうケースが、よくあります。

この風潮に関する指摘は、以前書きました。

「痛み止め」服用の是非
「ピル」服用の是非     参照

また、”痛み”というものがいかなるものかについても、以前書きました。

カテゴリ 「痛みについて」 参照

女性にとって、正常な月経、妊娠、出産というのは、その方の人生設計、幸福に大きく関わります。

ぜひとも、早い段階で(遅かったとしても)東洋医学に巡り合い、根本治療をすることで、素晴らしい人生を全うしてもらいたいと思います。

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精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 10

2015.02.01

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これまでのお話

精神の中枢は「脳」か「心の臓」か
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 2 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 3  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 4 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 5  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 6 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 7  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 8
 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 9
     参照

 


では続きいきます!

 

ややあっちこっちに話がそれた感じがありますが、ここらで、このシリーズもいったん終わりましょう。

 


◆脳の鍼灸治療はどうやる??

 


ここまで、西洋医学、東洋医学における「脳」と「心の臓」のお話をツラツラとしてきました。

 

では実際に、東洋医学では脳の病気をどのようにとらえ、治療しているのでしょう。

 

1998年に出版された、

『中医脳病学』中国医薬科技出版 

という本があります。

 

ここには、中医学における脳に対する考え方が総論で述べられ、脳病の各種の症状、治療法が各論で述べられています。

 


因みに治療法では、主に漢方薬が記載され、鍼灸での治療はほとんど書かれていませんが、ここはまあ、処方名を鍼灸での治療に読み替えて、そこから鍼灸での治療を考えることが出来ます。

 

因みに脳の異常として代表的な「脳卒中」については、以前少しだけ書きました。


脳卒中と鍼灸 その7 参照

 

まあ東洋医学では、脳の異常で起こった様々な症状に対しても、ほかの病と同じように、その病の表裏寒熱虚実の傾き、五臓六腑のアンバランスの程度、

 

気血津液の状況、正気と邪気の状況、邪気の種類などに注意を払って、総合的に陰陽バランスを調整していく、というのが常套手段です。

 

別に脳の病気だからと言って、なにか魔法の杖や、特別な方法論がある訳ではありません。

 

ただ、その患者さんに起こっている現象が「脳の異常」によるものなのかどうかの判断と、そのメカニズムに対する理解は重要だと思います。

 

それを明確にした上で、治療を進め、治療の可否を厳密に判断せねばなりません。

 

 

 

それをするのに、道教の考え方は参考になる面があります。

 

 

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形のあるような無いような世界 2

2015.01.16

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前回のお話


形のあるような無いような世界 参照

 


では続きいきます。

 

前回言うように、東洋医学は、気の医学。

 

 

鍼や灸や薬(湯液)や、推拿などの手技療法や気功などといった、様々な方法で、

”人体を巡る「気」を動かし、人体の「陰陽」の不調和(あらゆるアンバランス)を調え、結果的に、もともと持っている治る力を最大限引き出し、あらゆる病を治す”

という医学です。

 


東洋医学が動かす(変化させる)対象とするのは、あくまでも「気」なのであり、西洋医学のように、臓器や神経や血管や、血液中の成分の各種の異常といった「形」を相手にするものでは、初めからない。

 


東洋医学的な各種の方法で、「気」を正しく動かした結果、上記のような「形」に劇的な、あるいは微かな変化が起こるということは実際にあるが、

 

最初から「形」を変化させる目的ではないことに注意が必要だ。

 

つまり、「気」が正しく動き、結果的に症状も改善したが、「形」には何ら変化が起こっていない、というケースもあるのだ。

 

我々にとって、治療の可否の効果判定は、「気」の動きの状態を示すあらゆる所見、つまり

 

脈や舌や腹壁の状況や背部の状況、顔面の色など

 

の状況から、総合的に判断する。

 

レントゲン所見やMRI所見、血液検査の結果は二の次となる。

(もちろん参考にはするが。)

 

西洋整形外科学の言う、脊柱管狭窄症という病気で、鍼治療を開始したら痛みなく歩けるようになったものの、MRI所見ではなんの変化もない、

 

というケースには、何度も遭遇したことがある。

 

続く

 

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患者さんの声(30代女性 不安神経症による不安感、緊張感、動悸、過呼吸など)

2014.12.05

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「患者さんの声」をいただきましたので、紹介します。

(さらに…)

患者さんの声(40代男性 痛風により多発する関節炎の痛み)

2014.12.03

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「患者さんの声」をいただきましたので、紹介します。

(さらに…)

「経穴」に関して

2014.11.25

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今日は珍しく、「経穴(けいけつ)」について語ろうかと思います。

 

このブログ上でも、これまであまり語ってこなかったんですよねー。

 

経穴については。

 

なんでかって、あんまり気が向かなかったからです。(笑)

 

 

以前霊台の時に書いたように、たいして患者さんウケも良くないし。(苦笑)

 

・・・まあ、ネット上には、経穴について語っている人も多いし、一般の人からすると、ちょっと難しい内容になりがちだし、ということで、

 

あまり気が向かなかった面があるんだと思います。

 

しかしながら、これも以前書いたように、我々鍼灸師の本当の専売特許といえば、実はこの「経穴」なんですね。

 

「気」「陰陽」「五行」「五臓六腑」などの東洋医学理論というのは、漢方薬を扱う医師や薬剤師の先生方も、実によく勉強されています。

カテゴリ 「気」
カテゴリ 「陰陽」
「五行」って何ですか?(その8)

カテゴリ 「五臓六腑」         参照

 

しかしこの「経穴学」、そしてそれが並ぶ、気の循環ラインである「経絡学」という分野は、我々鍼灸師が、最も熟知していなければならない部分です。

 


何故なら、我々が気を動かす目的で、患者さんの体に鍼灸を施す場所はまさに「経穴」であり、経穴の状態を

”いい状態”

に変えることで、結果的にその経穴が所属する経絡の気の流れを

”いい状態”

に変え、結果的に、弱っていたり、機能のバランスの悪くなっている五臓六腑の状態を

”いい状態”

に変えることで、結果的に、その患者さんの

”治る力”

を最大限に引き出し、結果的に、病を治す、これが我々の仕事だからであります。

 


ですので、これからチョイチョイ、経穴について語っていこうと思います。

 

ただし、あまりネット上を見渡しても書いてないことを書こうと思っています。

 

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「ステロイド」使用の是非

2014.10.17

清明院では現在、スタッフを急募しております!!

ぜひ我々とともに、切磋琢磨しましょう!!詳細はこちら。

 

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こないだ、

「痛み止め」服用の是非
「ピル」服用の是非

という記事を書かせていただきました。

  どうもこのシリーズは反響が大きいようなので、今日はよく話題になる、ステロイドについて書きます。

やっぱこういうのが、一般の患者さんや、同業者から見ても、関心事なんでしょうな。

(気や経絡や五臓六腑の話よりも。。。(苦笑))

まあでも僕も、これまで随分、こういうこと(患者さんが常用してる西洋薬)については、色々と考えましたしねえ。。。



ともかく、非常に話題になりやすい、この「ステロイド」なるお薬。。。

飲み薬や塗り薬や吸入などがあります。

アトピー性皮膚炎や、喘息、その他のアレルギーなどの、なかなか治まらない、全身、あるいは部分的に「炎症」が起こる疾患に、よく使われます。

これがどういうものなのか、については、使ったことのない人からするとよく分からないでしょうから、以下に参考サイトを紹介いたします。

 

東京女子医大 腎臓内科「ステロイド治療」

 

・・・とまあこのように、上記サイトを読んでいただければ分かるように、非常に効果が高いのだけれども、間違えた使い方や、誤った認識などに基づく、

 

副作用を含むトラブルや、悪い噂が絶えない薬でもあります。

僕は、場合によっては、「痛み止め」などと同じように、タイミングやケースによって、使用は仕方ない場合もあると思っています。

ただ、ステロイドにしても、痛み止めにしても、あくまでも症状に対する対症療法な訳ですから、これを続けていった結果、

「いーやどうせ、ステロイドで症状止めちゃえばー。」

という考え方になっていって、全く生活養生も、体質改善のための治療もせずに、薬に頼りっきりになってしまい、どんどん薬の強度を高めていってしまうと、

 

最後はろくなことになりません。


色々な良識あるサイトを見ても、ステロイドの使用については

”正しい認識を持って”

”正しい使い方で”

と、必ず強調してあります。


・・・とまあ、こんな現状なんです。

ここで、僕ら伝統鍼灸サイドから言いたいのは、数年、数十年ステロイドを使用して、症状をコントロールしてきた患者さんが、鍼灸治療で根気よく体調を整え、

 

医師と相談しながら徐々に徐々にステロイドを減薬し、強度のレベルを落としていき、ついには廃薬にまで至ったケースがあるという事実。

 

(もちろん、全ケースそうなる訳では無いし、非常に根気が要るということは付言しておきます。)

脱ステロイドを目標に、伝統鍼灸、試してみる価値、大いにありですよ。

知ってる人のみが、得をする。

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