東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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一貫堂医学について 4 (解毒証体質について)

2018.09.12

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これまでのお話・・・

 

一貫堂医学について 1

一貫堂医学について 2

一貫堂医学について 3     参照

 

 

 

さて、今日は三大体質の3つ目、解毒証(げどくしょう)体質について掘り下げます。

 

(矢数先生・・・、このネーミング、”臓毒証”と紛らわしいんすけど。。。(苦笑))

 

 

一貫堂の言う解毒証体質とは、四物黄連解毒剤がフィットする体質のことを言うそうです。

 

黄連解毒湯”解毒”という言葉をとって”解毒証体質”と呼ぶことにしたんだそうです。)

 

 

「四物黄連解毒剤」とは、「四物湯」「黄連解毒湯」を合わせた薬のことで、現代日本の薬局等でも簡単に手に入る「温清飲」というお薬のことです。

 

 

簡単に言えば、黄連解毒湯は火熱を取る清熱材、四物湯は血を補う補血剤、この二つを組み合わせた薬が「温清飲」です。

 

 

・・・で、一貫堂医学の言う「解毒証体質」”毒”とは、第一に「結核性毒」のことを言うんだそうです。

 

 

ここで、普通の中医学を学んできた者にとっては

 

「へ?黄連解毒湯の毒が結核毒??なんのこっちゃ??」

 

となるのが普通だと思いますが、この時代の結核は、予防も治療も、非常に重要な病でした。

 

 

国民皆保険もなかった時代、歴代の有名な鍼灸家、漢方家の先生の中には、当時西洋医学が治せなかった結核を、鍼灸漢方で治してもらったのをきっかけに、

 

鍼灸医、漢方医になったという先生がたくさんおられるようです。

 

 

大正、昭和初期の時代の医師にとって、結核を如何に予防するか、なってしまったら如何に治すか、これが非常に大事なポイントだったんでしょうね。

 

『日本の結核流行と対策の100年』森亨     参照

 

 

そしてこの「解毒証体質」は、年齢によって3つの方剤を使い分けるようです。

 

 

すなわち、小児期は柴胡清肝散、青年期は荊芥連翹湯竜胆瀉肝湯を使い分ける、といった感じです。

 

 

まず柴胡清肝散ですが、これは各時代の書物によって微妙に生薬の配合が違うようですが、一貫堂では上記の温清飲桔梗、薄荷葉、牛蒡子、天花粉を加えたものだそうで、

 

要するに「肝経、胆経、三焦経の3つの経絡の風熱邪を叩く薬」なんだそうです。

 

 

これらの経絡が喉頭、頚部、耳周辺を流注することから、ここに熱を籠らせないようにし、扁桃炎、中耳炎を起こさせないようにすることが、

 

幼児期の結核を予防、治療する上で非常に重要と考えたのでしょう。

 

 

次に荊芥連翹湯ですが、これも柴胡清肝散の変法であります。

 

(構成生薬の詳細は、ちょっと複雑なのでここでは省略します。)

 

 

これは何を狙っているというと、解毒証体質の場合、小児期は扁桃炎や中耳炎を起こしやすいが、青年期になると蓄膿症を起こすようになると考え、

 

柴胡清肝散肝経、胆経、三焦経を狙っているのに対して、より「陽明経(顔面部)の風熱邪にターゲットを寄せている」のだそうです。

 

(要は上の横か、上の前か、です。)

 

 

最後に竜胆瀉肝湯ですが、これも歴代の医家によってそれぞれ生薬の配合が異なるようですが、一貫堂処方では、

 

「肝を瀉して水邪を捌き、肝を瀉す力を四物湯で少し緩めている方剤」

 

と、言うことが出来るようです。

 

 

解毒証体質者の場合、淋病や睾丸炎、外陰部の炎症など、下焦を病むことも多く、一貫堂処方の竜胆瀉肝湯は、その治療、予防のために長期服用も可能な体質改善薬であるそうです。

 

 

まあここまでを簡単にまとめれば、柴胡清肝散であれ、荊芥連翹湯であれ、竜胆瀉肝湯であれ、一貫堂が解毒証体質に用いる薬の大本は「温清飲」なわけです。

 

 

・・・で、「温清飲」は清熱解毒の「黄連解毒湯」+補血の「四物湯」です。

 

 

「黄連解毒湯」の初出は752年、王燾(おうとう 670?-755)が著した『外台秘要』「四物湯」の初出は1110年頃、北宋の国定処方集である『和剤局方』だそうです。

 

 

で、「温清飲」の初出は一貫堂医学について 2で紹介した『万病回春』(1587)です。

 

 

ということは、瘀血証体質通導散も、解毒証体質の諸薬の大本である温清飲も、出典は『万病回春』ということになります。

 

 

また、臓毒証体質防風通聖散も、『万病回春』の中には何カ所も出てきます。

 

 

森道伯先生も、江戸期の和田東郭原南陽と同じように、中国明代、龔廷賢の書物である『万病回春』をかなり読みこんでいたことが分かりますね。

 

 

多くの名医が読んだ『万病回春』、現代で東洋医学を行う者として、避けて通れないでしょう。

 

 

 

長くなったんで続く

 

 

 

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日本中医学会に参加してきました!!

2018.09.11

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9.8~9.9は、タワーホール船堀で行われた日本中医学会に参加してきました!!

 

(9.8は懇親会から参加)

 

 

懇親会では、初めてお会いする先生方、久々にお会いする先生方と、たくさんお話しさせていただき、非常に嬉しかったですね。

 

 

台北の中医師公会の先生方ともご挨拶させていただき、来年は無事、台北に研修に行くことが出来そうです。

 

(ついに初上陸しようと思います。(゚∀゚))

 

 

九州から東北まで、全国から集まった東洋医学を愛するドクター達との飲み会も盛り上がり、3次会のラーメンまで行ってしまいました。(笑)

 

 

東洋医学やりたい、中医学やりたい、鍼灸に対してもっと知りたい、そういうドクターは確かにいます。

 

 

そういう先生方と、今後もどんどん組んでいければ、と思います。

 

 

それを改めて実感しましたし、その要求にガッチリと応えうる鍼灸師でありたいと思いました。

 

 

「慰安」の延長ではなく、れっきとした「医学・医療・治療」としての鍼灸をやりたい鍼灸師は、今後は中医学の用語を使って、医師や薬剤師とボーダレスに会話でき、

 

お互いに学術を高め合うことが出来ると感じました。

 

 

また、今回の中医学会は、鍼灸師、薬剤師の先生の先生も症例を積極的に発表されており、それも素晴らしいことだと思いました。

 

 

日本中医学会は、医師、鍼灸師、薬剤師が、ボーダレスに、海外とも交流しながら学会をやるという、有意義な場だと思います。

 

 

惜しいのは、まだまだ参加人数が少ない。

 

 

これがもっと発展するようでないと、と思いますね。

 

 

今後の更なる発展を期待します。

 

 

 

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一貫堂医学について 3 (臓毒証体質について) 

2018.09.10

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これまでのお話・・・

 

一貫堂医学について 1

一貫堂医学について 2      参照

 

 

 

・・・さて今日は、森道伯一貫堂医学の言う三大体質の二つ目、「臓毒証体質」について掘り下げます。

 

 

「臓毒証体質」とは、風毒、食毒、梅毒、水毒の四毒に侵された体質、だそうです。

 

 

この四毒を少し詳しく言いますと・・・、

 

 

「風毒」とは、ここではあらゆる病のもととなるようなキツイ邪気のことを言っているようです。

 

 

「食毒」とは、そのまんまですが食べ物の毒、それも急性の中毒ではなく、慢性の毒とも言えるもので、要するに肉食中心の偏った食生活や、

 

暴飲暴食の過剰な栄養だったり、また現代であれば加工食品や添加物などによる 内臓機能の低下なども広く含まれる考え方だと思います。

 

 

「梅毒」というのは性感染症で有名なあの梅毒で、現代では残念ながら増加傾向だそうです。

 

国立感染症研究所「日本の梅毒症例の動向について」

 

 

「水毒」というのは腎機能が低下して不要な水分の排出が滞って、水滞(浮腫みも含む)が起こったもののことを指しているようです。

 

 

この「四毒」が体内に蓄積し、単一に、あるいは複合して、健康を害しているようなものを、「臓毒証体質」と名付け、

 

これらすべてを「防風通聖散加減」で治療していた、というワケです。

 

 

この体質のものは、ガッチリしていて若いうちは丈夫だが、壮年期になると癌や脳卒中、痔疾や腎疾患を起こすと言われます。

 

 

診断は望診、脈診、腹診であり、

 

皮膚は黄白色、脈は実脈や堅い脈が中心で、腹は全体が堅いか、あるいは全体が軟満しているか、

 

だそうです。

 

 

防風通聖散は、以前このブログでも紹介した金元の4大医家の一人である劉完素(1120-1200)の著作である『黄帝素問宣明論方』(1172)に出て来る方剤で、

 

もともと熱のこもりやすい人が風寒邪に罹患し、「表裏ともに実」になったものに使う方剤と言われます。

 

金元の4大医家 劉完素(りゅうかんそ)   参照

 

 

実はこれ、近年になって”やせ薬”みたいに言われて、「ナ〇シトール」だの「コッコ〇ポA」とかいう商品名がついて製品化されています。。。

 

(しかし、痩せたいからといって安易に使用するのは、危険極まりないので絶対にやめましょうね。)

 

 

まあ、こういうものがよく売れるぐらい、安逸過度や暴飲暴食で実熱証、毒素をため込んでいる人が多いというのは、森道伯先生の晩年の、

 

第一次大戦後の、未曽有の好景気であった大正~昭和初期の日本と似ているのかもしれません。

 

 

しかし、私もたまにのぞかせていただき、勉強させていただいている、山口の村田漢方同薬局村田恭介先生は、そのブログの中で、

 

「特殊な状況においてしか使う必要のない、まして現代においては全く必要のない、支離滅裂に近い配合」

 

と断じておられます。(笑)

 

 

 

・・・うーん、この辺、漢方家からしてどうなんでしょうね。

 

 

まあ、防風通聖散の方意を見ると、表は風邪邪実、裏は腸胃の湿熱の実、で、表は疏風して裏は清利湿熱で、表裏双解剤、というわけですから、鍼ではどうやるのが近いでしょうかね。

 

 

外関や合谷やりながら、上廉で下すような感じ?しかも養血や和中の穴処も加える??

 

 

あるいは上腹部の沈んだ実をややキツ目に瀉すか??

 

(これだと難易度は高いね。)

 

 

まあ、確かなのは、防風通聖散も、単に痩せようと思って長期に服用するなんてのは、バカ丸出しだね。(苦笑)

 

 

毎日、メシ減らして走ってりゃ、絶対痩せます。

 

 

漢方薬のそういう使い方を聞いたら、天国で森道伯が泣いているでしょうな。

 

 

 

続く

 

 

 

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一貫堂医学について 2 (瘀血証体質について)

2018.09.09

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前回、一貫堂医学の基本中の基本である、「三体質・五処方」を紹介しました。

 

 

今日はこのうちの「瘀血体質」なるものについて少し掘り下げましょう。

 

 

「瘀血」という病理産物については、東洋医学では誰でも知っているような重要な概念で、このブログでもチョイチョイ登場しています。

 

「瘀血」を含む記事 参照

 

 

まあ要するに、「使いもんにならん、停滞した血(けつ)」のことです。

 

 

あらゆる病気、症状に関わり、あらゆる病気、症状を治りにくくする、病理産物であります。

 

 

一貫堂医学では、これを叩くことを治療、予防の3本柱の一つとして、非常に重視してるわけです。

 

 

一貫堂のいう瘀血体質というのをもう少し詳しく述べると、要は「体内に停滞した血液を持っている者」のことであり、血液の多くは腹部にあることから、

 

腹部、それも下腹部、骨盤内(それも左側)に瘀血が停滞しやすい、特に閉経後や月経不順のある婦人に多いと考え、皮膚の色、脈診、腹診などで判断するようです。

 

(皮膚は赤ら顔、爪は暗赤色、あるいは貧血して黄白色、脈は細実、腹は臍周に緊張、腹直筋が緊張など)

 

 

瘀血体質の患者がかかり易いのは脳溢血、片麻痺、喘息、胃腸病、肝臓病、肺結核、痔疾、淋疾、精神疾患、婦人病などなど、とのことです。

 

(幅ひろー(゜o゜))

 

 

・・・で、これらを通導散加減で治療します、と。

 

 

通導散というのは、中国明代、16~17世紀を生きたと言われる龔廷賢(きょうていけん 生没年不詳)の著作である『万病回春』に所収されている処方で、

 

現代でも超有名な駆瘀血剤(瘀血を取り去る薬)です。

 

 

この『万病回春』は、江戸時代の日本人の医師に広く読まれた古典であり、極めて実践的な内容で、あの和田東郭や、原南陽も高く評価しているそうです。

 

和田東郭という人物

「原南陽(はらなんよう)」という人物   参照

 

 

つい最近、1989年になって、大塚敬節先生の指示を受けた松田邦夫先生全訳解説本を出版されたことでも知られています。

 

 

この通導散は、『傷寒論』の陽明病の薬として有名な大承気湯当帰、紅花、甘草を加えた加味承気湯に、さらに蘇木、枳殻、陳皮、木通を加えたもので、

 

気の停滞、瘀血を取り去る力の強い薬です。

 

『万病回春』の原文には”童便、黄酒各一鍾で温服すべし”とありますが、”童便”ってまさか。。。( ;∀;))

 

 

・・・で、私は鍼師ですので、さてこれを、鍼でやるならどうするか、という問題にぶち当たる訳ですが、北辰会では瘀血証には三陰交、膈兪、血海、臨泣などを瀉法で使いますが、

 

通導散のイメージに一番近いものとなると、この中では臨泣でしょうかね。。。

 

 

 

ただし「上手にやれば」ですね。(ΦωΦ)

 

 

 

続く

 

 

 

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一貫堂医学について 1 (三大体質五大処方)

2018.09.08

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先日、森道伯先生を紹介しました。

 

墓マイラー 52 森道伯先生

森道伯という人物         参照

 

 

森道伯先生が晩年唱えたと言われる、「一貫堂医学」

 

 

現代にまで、影響を与えております。

 

 

これは簡単に言うと、

 

「体質を3つに分類し、5つの処方を上手に使い分ける」

 

という医学なんだそうです。

 

 

3つの体質というのは、

 

① 瘀血証体質(瘀血をため込んでいるタイプ)

 

② 臓毒証体質(風毒、食毒、梅毒、水毒の四毒をため込んでいるタイプ)

 

③ 解毒証体質(肝臓の解毒能が低下しているタイプ)

 

の3つであり、この「体質」そのものを改善することが、病の根本的な治療に重要なのだ、という考えであり、5処方というのは

 

①には通導散、

 

②には防風通聖散、

 

③には、幼少期には柴胡清肝散、青年期には荊芥連翹湯、青年期以降には竜胆瀉肝湯、

 

を、それぞれ加減して用いる、というやり方が根幹だそうです。

 

(上記はどれも現代も用いられる、有名な処方です。)

 

 

・・・まあ、こう簡単に言ってしまうと、いかにもマニュアル漢方みたいですが、森先生はおそらくこの簡単な理論ベースを、加減方で縦横無尽に使い分けていたんでしょうね。

 

 

以前も紹介しましたが、江戸期、和田東郭(1742-1803)が『蕉窓雑話』の中で弟子たちに

 

「方を用ゆること簡なる者は、其の術日に精し。方を用ゆること繁なる者は、其の術日に粗し。世医ややもすれば、 すなわち簡を以て粗と為し、繁を以て精と為す、 哀しいかな。」

 

これを簡単に意訳すると、

 

「薬をシンプルに使う先生はうまい!薬を煩雑に使う先生はヘタ!世の医者は、煩雑な処方を有難がる向きがあるけど、哀しいことだ。」

 

というほどの意味でしょう。

 

 

和田東郭という人物

和田東郭の言葉

墓マイラー5

「四逆散」というお薬 6    参照

 

 

まあ、あれやこれやと、治療を煩雑にやる先生や、それを尊敬するような風潮をクサしている訳です。

 

 

和田東郭森道伯も、著述を好まなかったという点は似ていますし、少数の処置(処方)でバチッと効かせるという考え方は、北辰会の一本鍼にも通じますね。

 

 

なんだかシンパシーを感じる先生達です。

 

(蓮風先生はメチャメチャ本書いてるけど。笑)

 

 

せっかくなんで、一貫堂に関して、もう少し掘り下げましょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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(一社)北辰会エキスパートコースに参加してきました!!

2018.09.04

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9.2の日曜は、大阪で行われた(一社)北辰会エキスパートコースに参加してきました!!

 

 

今回は午前中は実技。

 

 

古参の講師である「太陽堂鍼灸院」院長、高木幸二先生に、ちゃっかり治療してもらっちゃいました☆

 

 

高木先生は、約30年前の、藤本漢祥院の内弟子です。

 

 

ほぼ、北辰会の生き字引です。

 

 

ガタイのデカい、声のデカい先生ですが、鍼や診察は非常に繊細で、分かりやすいです。

 

 

今回も非常に勉強になりました。

 

 

午後は大阪で「鍼灸 大仙堂」を開業されている山本克仁先生による講義「問診情報の、弁証への繋げ方」

 

 

北辰会では初診時に1時間以上かけて、症状だけでなく、生活状況や体質についてなど、色々な情報を聴取します。

 

 

でも、そうやって苦労してとった情報を、弁証(診断)に結び付けないとゼロ意味です。(笑)

 

 

今回、それをどうやって結びつけるか、非常に丁寧に講義して下さいました。

 

 

最後は若手のホープ、「藤本玄珠堂 武庫川分院」院長である松本賢一先生による症例発表「アトピー性皮膚炎」

 

 

藤本玄珠堂と言えば、私も昔から非常にお世話になっている、藤本新風先生の鍼灸院です。

 

 

そこの分院長である松本先生。

 

 

真横(座長)に本院長がいるという、極限の状況下での発表でした。(笑)

 

 

生まれつきのアトピー性皮膚炎という、決して簡単とは言えない病気に、鍼一本で、たいへんよく頑張っている症例だと思います。

 

 

初診は今年の春であり、まだまだ経過の短い症例ですから、これから数年かけるつもりで、キッチリ根本から治してあげて欲しいと思いますね。

 

 

そして終わった後は酒。。。

 

 

今回はドクターや薬剤師の先生方と、漢方トークが爆発しました。

 

 

北辰会の症例カルテには、あらゆる勉強のネタが詰まっています。

 

 

 

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「鍼に来てること、主治医には言わないでください。」

2018.09.02

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清明院では、新患さんが見えた時、もしその症状でかかっている西洋医学の先生がいらした場合に、鍼灸に来たという内容を書いた「来院報告書」というのを、

 

その先生に送ってもいいかと尋ねます。

 

 

で、必ず患者さんの許可、承諾を得た上で、病院に「来院報告書」を郵送します。

 

 

本当は全症例、こうしておかないと、鍼灸が介入した時点からその症状が好転した場合、西洋医学の先生はなぜだか分からないか、あるいは自分が出している薬なりが効いているものと思ってしまうでしょう。

 

 

これでは、結果的に患者さんの不利益に繋がりますので、清明院としては極力、西洋医学と手を携えて患者さんの治療にあたりたいという思いから、

 

なるべくこれを送ることにしています。

 

 

結構な確率で丁寧な返信が来ますし、理解のある先生であれば

 

「鍼灸は素晴らしいからぜひ試してみて下さい。」

 

という話になります。

 

 

そこで患者さんはさらに安心します。

 

 

・・・ところが、うまくいかないケースというのもあります。

 

 

今のところ「来院報告書」を送ったらドクターが激高したとか、そういう事例には当たったことはないですが、普通に無視されたことは何度もあります。(苦笑)

 

 

・・・まあ、鍼灸や東洋医学をまったく知しらないドクターからしたら、

 

「ナニコレ??この病気に鍼灸??意味あんの?ノーエビデンスでしょ。<(`^´)>」

 

ってなもんでしょうね。(苦笑)

 

 

なにせ、6年間の医学部の授業の中に東洋医学の授業は4コマしかないし、医師国試にも出ないのですから。(苦笑)

 

(一社)日本東洋医学会に参加してきました!   参照

 

 

鍼灸の可能性や現場での様子など、慰安的マッサージの延長ぐらいにしか思っていないでしょう。

 

 

あるいは、患者さん自身から、

 

「病院の先生には言わないでください。プライドが高い先生なので。。。」

 

とか、

 

「怖いので。。。」

 

とか、

 

「合わないので。。。」

 

と言って、断ってくる場合もあります。

 

 

こういう場合は、あえて無理押ししませんが、患者さんを中心に据えた、東洋医学と西洋医学の、建設的なやり取りが当たり前になるような世の中になればなあ、

 

と、いつも願っています。。。

 

 

 

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森道伯という人物

2018.08.31

20180830_205920.JPG

 

 

↑↑圧倒的貫禄。これは墓マイラー 森道伯先生で紹介したお写真をもとにした肖像画らしいんですが、素晴らしい出来栄えですね。

 

 

 

 

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昨日、墓マイラー 森道伯先生という記事を書きました。

 

 

・・・まあ、東洋医学をやっている者にとっては言わずと知れた、「一貫堂医学」の創始者であります。

 

 

このブログにも、これまでチョイチョイ、名前だけは登場していました。

 

「森道伯」を含む記事 参照

 

 

・・・さて、どんな人物か。

 

 

 

 

1867年大政奉還の年に、水戸藩(現茨城県中・北部)の、代々武家の家系に生まれる。

 

父は白石又兵衛という。

 

遠い祖先に清和源氏・源頼義がいる。

 

 (清和源氏とは、清和天皇の血を引く源氏姓の一族。後述しますが、皇室とご縁がありそうです。)

 

2歳の時、水戸藩の内乱を逃れて、今の茨城県、笠間城下の陶器商である森喜兵衛の養子となる。

 

 (だから森姓なわけね。)

 

12歳で養父が死去。

 

この時、養母を連れて東京に出て、すでに東京にいた長兄・又二郎とともに、鱉甲彫刻をして生活する。

 

 (なんて立派な12歳なんだ!( ゚Д゚) 現代にはこんなんいないでしょうな。。。)

 

この時の荷物の中に、実父の白石家に伝わる家伝の医書があったそうです。

 

 (この一冊が原点か。因みに詳細不明。)

 

 

1887年(明治15年)、15歳の時、実父の勧めにより、東京(浅草蔵前)で開業していた、実父の知己であり、仙台出身の産科の名医である、

 

遊佐大蓁(ゆさたいしん:正しくは快慎かいしんというらしい)について、3年間医学を学ぶ。

 

因みにこの遊佐先生の先祖は大庄屋で、医家としての初代の人物は、婦人科で有名なあの賀川玄悦(1700-1777)の学統であり、

 

道伯が師事したのは医家としての遊佐家の2代目で、4代目の遊佐寿助は宮城県薬剤師会の初代会長であったらしい。

 

賀川玄悦という人物

墓マイラー 14      参照

 

(繋がるね~~(゜o゜))

 

 

・・・ともかく、その後も鱉甲職人を続けながら、清水良斉という漢方医について漢方を学ぶ。

 

この清水先生がまた謎の人物で、名医だったそうだが大酒呑みで、ある時、旅に出ると家を出たまま、忽然と姿を消したそうで、その後を継ぐ形で「道伯」と号し、診療を行うようになったそうです。

 

 (まあ、神が道伯先生に診療所を与えたんでしょうかね。。。)

 

因みに道伯は鱉甲彫刻職人としても「西町の豊光(彫刻師としての道伯の号)」と呼ばれ、名が売れていたらしい。

 

 (サスガです。<m(__)m> きっかけは生活の為でも、やるからにはマジ、って感じだったんでしょうな。)

 

明治24年、24歳で最初の結婚。

 

26歳で長男義之介、30歳で次男光隆が生まれる。

 

(結婚してすぐに長女が生まれたそうですが、出生後すぐに亡くなってしまったそうです。)

 

明治32年、32歳の時に妻が妊娠中に腸チフスに罹り、流産し、亡くなる。

 

この時、道伯自身も、水戸に旅した際に風湿に中たり、強烈な黄疸を発し、清水良斉の治療を受けるも、生死を彷徨う。

 

(この時のエピソードについては後述します。)

 

 

1902年(明治35年)、35歳「日本仏教同志会」創立、社会教化運動を行う。

 

 (これは明治39年には解散したらしいですが。。)

 

↑↑こういうところも、道伯先生の面白いところです。

 

医家であると同時に、彫刻家であり、宗教家、社会活動家でもあったんですね。(゜o゜)

 

道伯先生は大変博学で、禅宗、真言密教にも精通しており、熱心に観音信仰をしていたそうです。

 

また政治や経済にも明るく、観劇に行く趣味もあったとか。

 

30代の頃、清水良斉先生の失踪後、「一貫堂」の看板を掲げて「道伯」と号し、診療を行うようになったそうです。

 

「一貫堂」はかつて師事した遊佐先生の診療所からとったもので、論語の里仁第四にある吾道一以貫之に基づいているそうです。

 

 

明治41年、41歳で再婚し、42年、道伯先生にとっては第4子である敬三郎が出生。

 

 

1918年(大正7年)、51歳の時、スペインかぜが大流行した際、病のパターンを胃腸型、肺炎型、脳症の3つに分け、それぞれ漢方で治療し、

 

大いに効果を挙げたという逸話はあまりにも有名です。

 

 

1923年(大正12年)、56歳で関東大震災に遭遇、居所保護法の建議案を訴えて、上野公園で演説を行う。

 

 (こういう、政治活動家的な側面もあったようですね。)

 

 

1926年(大正15年)、59歳の時、門人・西原学氏が「漢方専門」と標榜したところ、医師会から圧迫を受けたことをきっかけに、森先生は憤慨し、

 

長野市善光寺にて「漢方医道復興大講演会」を開催し、

 

「漢方を滅さんと欲せば、まず森道伯の首を刎ねよ!!」

 

との有名な文句を叫び、専門科名認可の訴訟を起こし、ついにこれを獲得しました。

 

 (スゲエ!(゜o゜) でも森先生は無資格!!みたいなね。。(笑))

 

 

・・・この、魂の籠った一言が、昭和の「漢方復興運動」の第一声と言ってもいいでしょう。

 

 

今日、街中に当たり前に「〇〇漢方クリニック」とか、総合病院内の中に「漢方外来」なんてのがあるのは、古くは森先生のこの行動のお陰と言ってもいいでしょう。

 

 

1930年(昭和5年)、63歳の時、森道伯の名声を伝え聞いた竹田宮、北白川宮から治療の依頼あり。

 

 (ここで皇室と繋がるわけです。何かの縁なんでしょうね。)

 

同年8月、歩行困難を訴え、9月には病床に伏せ、脊髄炎、尿毒症を起こす。

 

 

1931年(昭和6年)、64歳で逝去。

 

亡くなる3年前には、自分の死期を家人に告げていた。

 

 (ということはやはりあの墓石は自分で建てたっぽいですね。。。)

 

道伯先生は32歳の時に大病をした時に、観音菩薩に、

 

「寿命をもう32年延ばしてくれ、そしたら残りの人生は東洋医学の復興のために生きる」

 

と日夜お願いし、鍼灸と漢方薬で全治した経験があるらしく、その予言の通り、64歳でこの世を去った。

 

臨床でも、非常に直観が冴えており、不問診で患者の状態をピタッと言い当てたり、患者がこれからかかる病を予言し、その通りになったりと、

 

霊能力者っぽい逸話も多い先生であります。

 

 

 

 

以前書いた丸山昌朗先生といい、自分の死期を正確に悟っていたエピソードは、他の先生でもけっこうありますね。

 

丸山昌朗という人物 

墓マイラー 36 丸山昌朗先生  参照

 

 

名医らしいエピソードだと思います。

 

 

また道伯先生は

 

「術は以心伝心で初めて伝わるもの」

 

とし、著述を好まず、書籍は残っていないそうです。

 

 

もっとも有名な弟子である矢数格(道斎)先生『漢方一貫堂医学』が、森先生を知る重要な手がかりだと思います。

 

 

また、この先生は臨床において漢方だけでなく鍼灸も非常に重用したようであり、弟子には「人迎脈口診」の研究で有名な小椋道益先生や、

 

『漢方医術復興の理論』の著者で、昭和の時代に経絡治療を唱道したことで知られる竹山晋一郎先生、また婦人科医で、現在私が講師としてお世話になっている

 

東洋鍼灸専門学校の校長でもあった石野信安先生、他にも刺絡で有名な工藤訓正先生や、道伯先生と直接は会っていないようですが柳谷素霊先生門下の西沢道允先生など、

 

鍼灸師に与えた影響や、鍼灸そのものとの縁も深いです。

 

 

お弟子さんの諸先生方の後日談によって、この先生の臨床でのエピソードはたくさんあるのですが、特に印象に残ったものを二つ紹介します。

 

 

矢数格(道斎)先生の弟君である矢数道明先生が、漢方を学びながらも西洋医学にも興味を持ち、こっそりと患者の尿検査をしていたところ、それが道伯先生の耳に入り、

 

「試験管で小便の検査をしなければ治療が出来ないような漢方家になるならやめてしまえ!破門だ!!」

 

と怒鳴られたとか、あるお金持ちの患者さんが、処方を渡されて、帰るときに受付で

 

「これで本当に治るんでしょうか?」

 

と尋ねると、

 

「疑うような薬なんか飲むな!」

 

と一喝し、一旦渡した薬を引き取った事があるそうです。

 

(後日この患者さんは自分の態度振る舞いを反省し、無事治ったそうです。)

 

 

・・・とまあ、アツい臨床家、という感じの森先生。

 

 

この情熱が、多くの患者さんを救い、多くの優秀な後輩の心に火をつけ、現代まで脈々と続いているのでしょう。

 

 

「漢方医学復興」といえば、森道伯と同じ時代を生き、似た主張をした大人物である和田啓十郎先生とは、親交や面識があったかどうかは分かりませんが、

 

和田先生の場合は先に西洋医学を学び、その後に東洋医学に傾倒した人物で、業界に対して、ある種のイデオローグ的な言行を取ったのと違い、

 

森先生は最初からまさに「一貫して」漢方医学であり、生涯一臨床家であったと、後の竹山晋一郎先生は両者をともに”天才”と評価しつつ、

 

対比、比較しています。

 

 

また、和田啓十郎先生の息子さんである和田正系先生と、森道伯先生の高弟である矢数格(道斎)先生が、千葉医専(現千葉大学医学部)の同級生であったことは、

 

単なる偶然でない気がしてなりません。

 

和田啓十郎という人物

墓マイラー 39  和田啓十郎先生    参照

 

 

・・・以上、どんなにコンパクトにまとめても僕の頭と文章力ではこれぐらいになってしまうので、肝心の「一貫堂医学」がどういうもので、

 

鍼灸ではどういう風に応用が利くか、みたいな話は、また違うところで書きましょう。(笑)

 

 

イヤーなんか、森家と和田家と矢数家、そして大塚家、柳谷素霊先生、千葉大学、北里大学、東洋鍼灸専門学校と、一連の近代日本東洋医学の歴史の流れ、重みを感じます。

 

 

また、僕としては、一貫堂も、森道伯先生の弟子には鍼灸師もいるのに、どこからか、鍼灸師と漢方医が一枚岩でなくなってしまったような感じがして、それが悔やまれますね。。。

 

 

 

 

◆参考引用文献

 

『漢方一貫堂医学』矢数格

『漢方一貫堂の世界』松本克彦

『漢方医術復興の理論』竹山晋一朗

『森道伯先生生誕百年祭記念文集』仁性会

『森道伯先生伝並一貫堂医学大綱』道齋矢数格編

『漢方治療百話 第八集』矢数道明

 

 

 

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「肺胃不和」という証 2

2018.08.20

DSC_2603.JPG

 

 

 

 

 

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前回のお話

 

「肺胃不和」という証   参照

 

 

 

◆肺胃の活力のもとは?

 

 

肺胃の活力のもとは主に陰液(津液)と言っていいでしょう。

 

 

まあ平たく言えば、生理的に必要なお水です。

 

 

これが枯れると、問題が起こります。

 

 

それを「津傷(しんしょう)」とか、「液虧(えきき)」と呼んだり、さらに水液の不足から熱を持った状態になると「陰虚(いんきょ)」と呼んだりします。

 

 

また、さまざまな原因によって、肺胃に熱が籠った場合でも、相対的に津液が虚損して、病変を起こします。

 

 

これを「肺胃鬱熱(はいいうつねつ)」と呼んだりします。

 

 

・・・で、これらの病理状態にならないために、肺と胃の間には、肺の津液が胃を潤し、胃の津液は肺を潤す、という互助関係があります。

 

 

この互助関係が、様々な原因で破綻し(不和を起こし)、肺胃の重要な生理作用である「粛降、和降」が果たせなくなった時に、一つには咳が出たり痰が出たりします。

 

 

食欲不振や酸っぱいものが上がってきたりといった、現代医学的には「逆流性食道炎」のような症状が出ている患者さんも多いです。

 

 

本来下らなくてはならないものが、上がってきてしまうわけですね。

 

 

こういったものを「上逆症状」と呼んだりします。

 

 

こないだ、「逆流性食道炎+咳喘息」と病院で言われた、と仰る患者さんがいました。

 

 

逆流性食道炎の炎症を抑える薬をもらったら、咳が楽になったとおっしゃっていました。

 

 

こういうことを書くとすぐ、

 

「西洋医学の考えと東洋医学の考えが一致してる!統合可能だ!!わーい!(゚∀゚)」

 

とか騒ぐ人がいますが、実はそんなもんじゃないです。

 

 

こうやって、西洋医学と東洋医学が部分的にクロスオーバーすることはあります。

 

 

・・・ありますが、だからと言って同じ物差しで語ることは出来ません。

 

(方便としてはいいけどね)

 

 

残念ですが。(笑)

 

 

 

続く

 

 

 

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婦人科と呼吸器科の関係

2018.08.19

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婦人科疾患と、呼吸器疾患を同時に持っている患者さんも少なくない。

 

 

患者さんは、西洋医学の婦人科で薬をもらい、呼吸器科で別の薬をもらい、なかなかコントロールできなくなると、ようやっと清明院に来る。

 

 

こういう患者さんをよく診ます。

 

(苦笑・・・最初の段階で来てくれれば、どれだけ楽か。。。)

 

 

これ、東洋医学的には、症状や場所が違うだけで、同じ病気であると考えられることも少なくない。

 

 

・・・で、よーく診たてて、吟味した経穴に一本鍼をすると、両方とも良くなったりする。

 

 

いやーたまらんね、東洋医学、鍼灸は。(゚∀゚)

 

 

かつて、2002年に中国でSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行し、多くの死者も出て、かのスペインかぜの様に大流行し、パンデミックを起こすことが危惧された時、

 

広州中医薬大学の鄧鉄濤(とうてっとう)先生が、東洋医学で立ち向かったという話を以前書きましたが、この時に鄧鉄濤先生が使った「仙方活命飲(せんぽうかつめいいん)※」という薬は、

 

主に癰瘍毒(ようようどく:キツイ炎症を伴うオデキ)の薬です。

 

東西医学によるSARSバトル   参照

 

(ちなみにスペインかぜの時も、日本では日本人の漢方家である森道伯先生が大活躍した話がありますね。これもそのうち書きましょう。)

 

※仙方活命飲・・・『校注婦人良方』が出典。効能は清熱解毒、消腫潰堅、活血止痛。主治は癰瘍腫毒初起。金銀花・陳皮各9、白芷・貝母・防風・赤芍・当帰尾・甘草・皂角刺・穿山甲・天花粉・乳香・没薬各3

 

 

また、知り合いの漢方家の先生に伺うと、五味消毒飲(※)などもオデキの薬ですが、これを用いて呼吸器疾患婦人科疾患を治す、なんてことも普通にあるようですね。

 

※五味消毒飲・・・出典は『医宗金鑑』、効能は清熱解毒、消散疔瘡、主治は各種疔毒、癰瘡癤腫。金銀花15、野菊花・蒲公英・紫花地丁・紫背天葵子各6

 

 

因みに、

 

「オデキの薬で、なんで肺炎が治るのか」

 

という問題に関しては、北辰会機関誌『ほくと』57号にて蓮風先生が解説して下さっているので、そちらをぜひ参照してください。

 

 

 

 

呼吸は、律動性が大事。

 

 

月経も、律動性が大事。

 

 

それが乱れないのをもって、良しとする。

 

 

この律動性が、色々な臓腑経絡の働きで担保されている。

 

 

また、呼吸器は、ある意味常に、外界と接している粘膜。

 

 

女性生殖器も同様に、常に外界に接している粘膜。

 

 

肺は鞴(ふいご)のように袋状の形態、女子胞(子宮)は、懐胎するために袋状の形態。

 

 

どちらも大きく伸縮します。

 

 

肺の臓の隣(下)には、陽臓である心の臓がある。

 

 

女子胞の隣(上)には陰臓である腎の臓がある。

 

 

また、呼吸器は体幹の最も上部に位置し、女性生殖器は体幹の最も下部に位置する。

 

 

働き、形態が似てて、位置的には上下の陰陽。

 

 

この上下の気の交流も、色々な臓腑経絡の働きで担保されている。

 

 

肺の臓がある上胸部には、宗気のもととなる天空の清気が充満しており、女子胞がある下腹部には、胎児を妊養するための陰血が豊富に充満しています。

 

 

この意味でも、気血の陰陽。

 

 

機能的、形態的には相似性があり、位置的、環境的には陰陽関係にある。

 

 

これらが、同じ考え方で治療できる。

 

 

冒頭で述べた、オデキの治療と同じように、「内から外へ」と邪熱を誘導、発散させて治すのが、常套手段、ということ。

 

 

・・・まあ何て言うか、東洋医学最高。(゚∀゚)

 

 

 

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