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ここまで、四君子湯を処方されていた患者さんがたまたま見えたことをきっかけに、脾胃が病んだ時の処方についてツラツラと書いてみた。
もちろん、湯液の専門家の先生から見たら笑っちゃうような、超大づかみの内容であり、間違いや曲解もあるかもしれないが、そもそもこのブログを専門家向けに書いたことは、この10年間、ほぼない。
あくまでも、この医学を全く知らない人、あるいは懐疑的な人(つまりほとんどの日本人(苦笑))を中心に、専門的な内容といっても、せいぜい初学者やディレッタントに向けて、
この医学の特長、特性を少しでも知ってもらおうと、書いている。
一応自分なりに調べた上で書いているつもりですが、もし間違い等があったら、すぐに修正しますので、ぜひご教示いただきたい。
・・・まあともかく、昨日、「安中散」と方意が似ている方剤として、「大建中湯」に触れた。
この方剤、意外と現代の消化器外科のドクターが処方することが多いようだ。
なぜなら、大腸癌術後の腸閉塞(イレウス)に有効であるという論文が出ているからだそうだ。
論文等については、大建中湯のツムラさんの説明書に簡潔に紹介されている。
このように、東洋医学的な整体観、人体観、疾病観に則った、弁証論治の結果としてではなく、西洋医学的な病名に基づいて、論文で有効性が一定認められているから、
という理由で、漢方薬が乱用されているケースが少なくないようだ。
実際にこれを処方している医師に、『金匱要略』や、その後の名医が残した「大建中湯」に関する諸文献を読んだ上で使用している先生は少ないのではないだろうか。。。
全く東洋医学の教育を受けたことがない医師が、腹診も脈診も舌診もせず、東洋医学的な人体観(臓腑経絡学説や病因論等々)や、弁証問診もしない中で、
西洋医学的病名のみを頼りに同一の漢方薬を長期に乱用する。。。
・・・これはー、どうだろうか。
やはり、この考え方は、生薬資源の無駄遣いに、繋がらないだろうか。
私の知己の、漢方家は、みな口を揃えてそう言っている。。。
脾胃の病といっても、ここまで紹介したパターンもそうだし、まだまだ他にも、たくさんある。
それを的確に分析し、良化や悪化の流れを考えて、その時点で最もフィットする方剤や、鍼灸で言えば配穴や手技を選び、経過に応じて加減していくことが出来るのが、東洋医学の叡智だと思うんですが。。。
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2019.03.02
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ここんとこ、
という記事を書きました。
ついでなんで、中焦(脾胃)モノを、もうちょっと書いときましょう。
単純に脾胃の病と言っても、寒熱虚実、他臓腑との関わり、色々あるんです。
それをきちんと分析して、きちんとした処置をしていかなかったら、治るもんも治りません。
今日は「安中散」です。
こないだ、これを処方されている胃痛、パニック障害の患者さんが見えました。
マズマズ効いていたようです。
これも出典は中国宋代、『和剤局方』であります。
『中医臨床のための方剤学』によると、
組成は肉桂(桂枝)4g、延胡索3g、牡蛎3g、小茴香1g、甘草1g、縮砂(砂仁)2g、高良姜1g、
効能は温中降気、止痛、
主治は裏寒の疼痛、
と、あります。
これは「温裏剤」のグループであり、『金匱要略』に出てくる、有名な「大建中湯」の附方(方意が類似している薬)として紹介されています。
要するに中焦を温めて寒邪を散らし、冷え痛みをとるのが方意な訳ですが、方意が似ているのに、組成はまったく違います。(苦笑)
ここが漢方の面白いところなんでしょうね。
・・・まあ、鍼灸もそうですね。
同じ効果を狙って、全然違う経穴に、全然違う鍼灸をすることは、日常的にあります。
「大建中湯」の場合は、脾胃+主に肺腎を意識しながら、急いで冷えと上逆を取りにいく方剤であるのに対して、「安中散」は脾胃+主に肝を意識して、
長期的な冷えに対して、”理気”というアプローチをかけていますね。
鍼灸でも、大建中湯的な効果を狙うのと、安中散的な効果を狙うのとでは、配穴から手技から違います。
・・・ところで「大建中湯」は、消化器外科でエラク使われるようです。
これにも触れときましょうか。
(キリがねえなー(;’∀’))
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2019.03.01
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昨日、四君子湯と六君子湯という記事を書きました。
ついでなんで、比較的有名にして、「六君子湯」と似ているところのある「平胃散」についても書いておこうと思います。
・・・まあ、僕は鍼灸の臨床家でありますので、これらの薬の、より臨床的な解説は、漢方家の先生のサイトにお任せするとして、これらの方剤の使い分けの際に考えるような内容が、
我々の臨床においても、微妙に配穴や補瀉やその評価に関わってくるんだよ、という話でも書いておこうと思います。
「平胃散」の出典も、「四君子湯」と同じく、宋代の国定処方集である『和剤局方』であります。
この『和剤局方』は、以前紹介した森道伯先生の臨床にも出てくる、大変重要な処方集ですね。
『中医臨床のための方剤学』によれば、平胃散は「袪湿剤」のグループであり、処方構成は蒼朮15g、厚朴9g、陳皮9g、甘草4gとあり(生姜、大棗を含める場合もあり)、
効能は燥湿運脾、行気和胃、主治は湿困脾胃とあります。
四君子湯や六君子湯と違って、人参、白朮、茯苓ではなく、蒼朮を多めにドーンと入れてあることで、「燥湿(湿邪を乾かす)」の効果を主に狙っている訳ですね。
つまり、湿邪の邪気実によって、脾胃の働きが抑えられているものに対する処方な訳です。
脾・胃 参照
四君子湯、六君子湯の”補法(補気)”をベースとした世界とは違う、”瀉法(袪湿)”の世界ですね。
中国清代の傳山(1607~1684)の『傳青主女科』では、この処方に朴硝(含水硫酸ナトリウム)を加えて、死胎の娩出に使っているというから、興味深い。
清明院もここ最近、二十四節気では「雨水」に入り、「啓蟄」の前であり、月齢では新月に向かい、こないだの雨で気温がガクンと下がり・・・、
という流れの中で、まさに「平胃散証」、という患者さんがチラホラ見えました。
これは鍼でやるなら、足三里や豊隆を瀉法か?あるいは太白を瀉法か??
それとも脾兪や胃兪か?
あるいはお灸でやるか??
どれが一番、平胃散チックか??
こう考えながらやるってのも、楽しいもんだねー(゚∀゚)
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2019.02.28
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こないだ、患者さんで、「四君子湯」という漢方薬を処方されている方がいらっしゃった。
・・・そこでふと、昔のことを思い出した。
ずいぶん前のことだが(15年以上前かな?)、蓮風先生が実技デモで腹診をしながら、
「これは四君子湯の証や!四君子湯と六君子湯は違うぞ!!どう違うか、お前分かるか!?」
と、当時の講師の先生が指されて、その先生が答えられずにアワアワしていたのを思い出した。
そのあと確か、太白に鍼をなさっていたように思う。
・・・で、当時、帰ってから、四君子湯と六君子湯の違いについて一生懸命調べたことがあった。
久々に思い出したんで、ここに書いておく。
〇
四君子湯の出典は中国宋代の国定処方集である『和剤局方(1110)』で、この方剤は『中医臨床のための方剤学』では「補気剤」のグループの薬だ。
(「補気剤」の代表選手、といってもいい方剤みたいです。)
内容は人参6g、白朮9g、茯苓9g、炙甘草6gとのこと。
(本によって別説もあるようだが。。)
効能は益気健脾、主治は脾気虚とある。
人参と炙甘草で津液を補い、白朮、茯苓では湿邪を取る、この相反する作用をもって、全体としては脾の臓の弱りをフォローする薬、というワケだ。
(相反する作用を持つ生薬をあえて配合して、結果的に効果を高める、これを相反相成というそうです。)
それに対して、六君子湯はどうか。
出典は明代の虞摶(ぐたん 1468-1517)による『医学正伝(1515)』だそうで、四君子湯よりもずいぶん後になって考案された処方らしいですが、
これも分類的には「補気剤」のグループで、四君子湯の脾気虚がさらに進んで、脾胃ともに気虚(脾胃気虚)を起こし、さらに湿痰を生じているものに対する方剤で、
前述の四君子湯の4味に加えて、和胃降逆の作用を持つ小半夏湯の内容(半夏・生姜)を加え、さらに理気健脾、燥湿化痰の陳皮と、補脾、養営の大棗を加え、
全部で8味もの、やや複雑な構成になっている。
総じて効能は補気健脾、和胃降逆、理気化痰、主治は脾胃気虚と痰湿、ということになる。
清代の名医で有名な程国彭(ていこくほう 1662-1735)の『医学心悟(1732)』に、
「・・・気虚挟痰、清陽不昇、濁陰不降、即上重下軽、六君子湯主之。・・・」
と、簡潔に述べているように、臨床的には脾胃の弱りによって中焦から上昇(特に上焦)に痰湿が停滞しているものに使うとある。
四君子湯も六君子湯も、どちらも脾気虚を補うという点では同じだが、六君子湯の場合は胃の気虚と痰湿の邪実が射程に入っている、ということですね。
鍼では、四君子湯の場合は大白への補法でいいと思うが、六君子湯の場合は、大白だけで終われるのは相当腕達者だと思う。
二穴に分けるか、腹を使うか・・・。
いずれにせよ、所見も評価も、全然異なる。
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2019.02.21
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こないだ、患者さんで、
「生理痛にノニジュースが良いと聞いて、飲むようにしたら痛み止めを使わないでもいられるようになった!」
という人がいらした。
この手の話は、臨床をやっているとゴマンと出会うが、バカにしてはならないと思っています。
(藤本鉄風先生の教えですね。)
・・・今回も、ほう、と思って、少し調べた。
清明院から歩いてすぐのところに、巨大なビルが建っている「ノニ」。
こないだ話題になった「青汁王子」じゃないけど、こういった健康食品産業ってのは、スゴイもんだね。(゜o゜)
新宿にビルが建つなんて、鍼灸院ではとても無理っす☆
10代の頃から、朝から晩まで勉強して、臨床して、休みの日は勉強会行って、やっとこさっとこ学術を身に付けて、それでもやっとこさっとこメシが食えているくらいなのに、
とある健康食品を開発して、上手に宣伝して、通販で全国に売ったら、新宿に巨大なビルが建つ。。。
これが社会の現実です。(;’∀’)
・・・まあいいっす、僕は僕で、大都会新宿の片隅で、コツコツとやります。(`・ω・´)ゞ
さてこの「ノニ」ですが、東南アジアからオーストラリアにかけての太平洋熱帯地域全域に生育する常緑低木または小木だそうです。
日本では沖縄に「ヤエヤマアオキ」という和名の自生種があるそうで、古くから果実や根や茎が薬用に使われてきた歴史があるそうです。
まあ、「ノニ」の効果については、色んなサイトで、色んなこと(効果効能)が実に景気よく書かれています。(苦笑)
・・・でもまあ、こちらのサイト様に書かれているように、科学的根拠は不十分、という、いつものやつではないでしょうか。
ただ、冒頭にも述べたように、「科学的根拠が不十分」だから大したものではない、と即断するのは違う。
因みにノニは、morinda属の植物なんだそうだが、同じmorinda属の植物を使う生薬に「巴戟天(はげきてん)」という生薬があります。
毓麟丸(いくりんがん)、巴戟丸(はげきがん)、金剛丸(こんごうがん)といった、聞きなれない処方に使われるようで、中薬学では「補益薬」のグループで、特に「助陽薬」に分類されます。
(まあ、陽気を補うグループです。)
巴戟天は根っこの部分を使うらしいが、腎陽虚+寒湿邪の女子胞の冷えからくる不妊症や生理痛、生理不順などによく使う生薬だそうで、
ノニもこれと似たような効果が期待できるとすれば、生理痛が取れたというのも納得できる。
しかし、熱帯地域にある植物で、冷えを取るとは。
清熱にいきそうなイメージを持っていましたが、陰虚熱、湿熱には禁忌だそうです。。。
意外とこういう、患者さんのいう、健康食品で奇効が得られたという話が、鍼灸治療や、養生研究の役に立つことがある。
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2019.02.18
清明院では現在、院内診療、訪問診療ともに多忙のため、
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眠れない患者さん、よくいます。
安定剤、導入剤に頼っているケースが大多数。
暫く使っていると、効かなくなってきたのでと、分量を増やしたり、より強い薬に変えていく。
雪だるま式に増えていく。
・・・そうなる前に、鍼灸をお勧めしたい。
不眠症は、東洋医学では「不寝(ふしん)」と呼んだりする。
明代の大名医、張介賓(張景岳 1563-1640)の『景岳全書』(1624)に曰く。
不寝はただ邪正の二字すなわちこれを尽くすと知るなり。
神が安定すれば眠れる。
神を不安定せしめるものは邪の擾か、営気の不足。・・・
〇
と、単純明快に喝破する。
また、清代の呉鞠通(呉瑭 1736-1820)の『温病条弁』(1798)に曰く。
不寝の原因は甚だ多い。
陰虚で陽納出来ないもの、陽亢で陰に入れないもの、胆熱、肝気(肝用)不足、心気虚、心陰虚、心血虚、蹻脈不和、痰飲擾心。
〇
と、多数のパターンを上げております。
どっちも正しいと思うが、張景岳先生の「所詮は虚実」という斬り方が個人的には好き。
標本主従あるけど、心神の関与はあると診た方がいい。
そして、蹻脈と心神、肝胆と心神に関して、生理と病理を整理するべき。
その上での「所詮は虚実」。
【参考文献】
『症状による中医診断と治療』燎原出版
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2019.02.17
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北辰会カルテに、「発汗の左右差」を問う問診項目がある。
発汗に左右差を感じたことの無い人からしたら、
「そんな現象、あんの??」
と思うだろうが、これ、意外といらっしゃいます。
特に腋窩。
緊張すると、どちらかの腋窩にばっかりに汗が出る、という患者さんは、結構いる。
これは中医学では「汗出偏沮(かんしゅつへんそ)」といいます。
これにも色々な考え方(弁証分型)があるのだが、明末清初の名医、張璐(1617-1700)の『張氏医通』によれば、
・・・夏に半身に汗出るは、気血満たず、内に寒飲。
偏枯(片麻痺)、夭(夭疽、あるいは早死に?)の兆しなり。
大剤の十全大補湯、人参養栄湯、大建中湯に行経豁痰薬を加味して治す。云々・・・
この証は血虚に属すが、四物湯などの陰薬を使わないのは、経絡の閉滞を招くからである。
〇
ちょっとした左右差であっても、要注意。
また、ある種の左右差ものに、迂闊な滋陰、補血は危ない。
補気+行経豁痰という考え方、マジ重要。
一穴でやるなら、どこでやる??
【参考文献】
『症状による中医診断と治療 上巻』燎原書店
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2019.02.12
清明院では現在、院内診療、訪問診療ともに多忙のため、
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2.10~11の二日間は、熱海の温泉旅館「和風館」で行われた(一社)北辰会、冬季研修会「順雪会(じゅんせつえ)」に参加してきました!!
これまで、何度となくこのブログでも煽ってきましたが、鍼灸師の先生を中心に、医師、薬剤師の先生も含め、結果的に約100名の参加者が全国から参加され、
盛会裏に終了いたしました!!
今回、直前に予想外に風邪をひいて声が枯れていたので、初日の講義「B試験解説」、その後の実技指導、夜の飲み会、二日目の実技指導と、
声がもってくれるかどうか、正直心配でありましたが、前日の2.9の夜に藤本新風先生と油谷真空先生に、初日、二日目と連続して藤本蓮風先生に超豪華三日連続治療していただき、
二泊三日の間、あんなに喋りまくっていたのに、むしろ来た時よりも全然治りました。(笑)
・・・いやー、あらためて鍼はスゴイ!!
やっぱり、自分が本当に調子の悪い時に、先輩の鍼を受けないとイカンですね。
大変勉強になりました。<m(__)m>
近々、北辰会の公式ブログでも報告があることと思いますが、年々この研修会の内容は充実してきており、今回も非常に成功したと言っていいと思います。
蓮風先生の講義も感動的でよかったです。
天国の中村順一先生にも届いているでしょう。
アンケートの集計結果を待ちたいと思います。
・・・さて、来年はさらにブラッシュアップして、北辰会を代表するイベントに成長して欲しいと思います。
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2019.02.02
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これまでのお話し
「腹哀」という経穴 ⑤ 参照
◆『吉田家腹診秘録』ではどうか。
前回、鍼灸師なら知らない人はいない「夢分流腹診図」において、腹哀穴が位置する「肺先」と呼ばれる部位について、竹下の妄想を少しだけ書きました。
ああいった妄想関係の話は、実はまだまだ至る所に無数にあるんですが、あまり書くと頭のおかしいやつだと思われそうなので、少しにしておきます。(苦笑)
しかし、それで臨床をやった結果、うまくいくことが意外と多いということも付言しておきます。
・・・ところで、蓮風先生が2004年に出版した『鍼灸医学における実践から理論へ パート3』の中で取り上げた、江戸期の腹診書の中に『吉田家腹診秘録』という書物があります。
これを見ると、蓮風先生の本では、腹部陽明経よりも「内側に」反応のある腹証ばかりが紹介されていることに気付きます。
陽明経よりも外、とりわけ腹哀穴に相当する部位に反応のある方剤では、呉茱萸湯と当帰四逆加呉茱萸生姜湯の二方剤の腹証だけです。
呉茱萸湯は『傷寒論』に出てくる処方で、中焦をガッツリと温める、現在でも比較的使われる処方です。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯も『傷寒論』に出てくる処方で、処方構成は当帰四逆湯+呉茱萸+生姜ですから、簡単に言えば血虚+寒邪+寒飲の者に用いる薬で、
中焦を温める働き+補血作用を期待した方剤です。
(あまりにも簡単に説明し過ぎで、湯液家の先生方から怒られそうですが。。。(;’∀’))
中医学ではどちらも「温裏剤」のグループですね。
温裏する必要があるような場合に、心窩部から季肋部にかけて反応が出てくる部位であると、『吉田家腹診秘録』の著者は認識している、ということです。
(因みに、柴胡剤のグループでは、心下は少し下目に、季肋部は少し内側目に描かれているのも興味深いところです。)
図では、呉茱萸湯は左右対称に、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の方は右のみに出ています。
(↑↑呉茱萸湯の左右対称については、”此の毒左右同”と強調しています。)
あと、季肋部において陽明経よりも若干外に反応が記載されている処方は「葛根湯毒と陽明の合併の図」と、「太陽と少陽の合病の図」、
「十棗湯」「桂枝人参湯」「小柴胡湯」「大柴胡湯」「柴胡加桂枝湯」「桂枝加大黄湯」では、脾募よりもやや外側に反応が出ることが記載してあり、
これらも場合によっては勘案するべきでしょうね。
(細かい解説は煩雑になるので、ここでは避けます。<m(__)m>)
また上記方剤の多くで、「右側」が強調してあったのも興味深いところです。
夢分流腹診図においても、右の「肺先」の下外側にのみ「膽」の診処が存在しており、ずいぶん前に書きましたが、五藏六府の中の「胆の腑」の特殊性を考えると、
そこに一番近いところに「腹哀穴」が存在していることは、偶然でないと思います。
もうちょっと続く
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2019.01.17
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また、NHKで東洋医学やるらしい。(゚∀゚)
今度は「ガッテン」という番組らしい。
(なんか、他の番組でもやってたとか・・・。)
年末年始のNHKの番組の内容に関して、このブログでも取り上げました。
NHK「東洋医学 ホントのチカラ~科学で迫る 鍼灸・漢方薬・ヨガ~」
去年から、やたらに続きますね。
何か、裏に大きな力が働いている気がしてならない。。。(笑)
まあともかく、番組内容に関しては、おおむね肯定的ではあったものの、視聴者や、業界関係者からも、幾ばくかの批判もあったようだ。
テレビが採り上げて、多くの人の目に触れれば、それだけ批判も増えるだろう。
でもその分、支持者も増えるだろう。
それでいいと思う。
このままいって、番組内容ももっとブラッシュアップされ、注目度が増すことで業界も変革し、教育や資格制度も整い、明治維新以来150年以上ぶりに、
東洋医学(鍼灸漢方)を、確固たる国民の医療の一つとして位置づけることが出来るか。
まあ問題は、現場で東洋医学を実践している治療者側が、様々な批判や、患者の多様なニーズに耐えられるかどうか、の一点に尽きる。
一方で、こんなニュースもあった。
2018年「マッサージ業、接骨院等」の倒産状況は過去10年で最多93件に急増、5年連続で前年を上回る
・・・さあ、こうやって強い強い日光に当てられて、日陰でコソコソ、いい加減なことやって生きてたような連中は、みんな炮り出されていくのかもしれませんね。
巷に蔓延る無資格者も含めて。
〇
僕は最近のこうした流れは、相対的にいい流れである、と受け止めていますが、これまでとは比較にならない、規模の大きなミスリードに繋がる可能性もありますので、
常に注視しておくべきムーブメントだと思っています。
国策として、医療費削減がしたいのは自明。
そのために、東洋医学に期待を寄せるのも分かる。
そのために、盛んにプロパガンダを打って、世論操作をしたいのもよく分かる。
・・・だが、僕ら現場の、平凡な、市井の鍼灸臨床家の意見や価値観や臨床成果を無視して、数で強引に推し進めるのではないかという懸念、不安が、どうも頭から離れない。
鍼灸したら東洋医学、漢方飲んだら東洋医学、ではないと思う。
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2024年10月の活動記録2024.11.01
2024年 11月の診療日時2024.10.10
清明院15周年!!!2024.10.09
2024年9月の活動記録2024.10.01
2024年 10月の診療日時2024.09.19
2024年8月の活動記録2024.09.01
2024年 9月の診療日時2024.08.03
2024年7月の活動記録2024.08.01
2024年 8月の診療日時2024.07.10
患者さんの声(70代女性 目の痛み、不安感)2024.07.05
2024年6月の活動記録2024.07.01
2024年 7月の診療日時2024.06.05
2024年5月の活動記録2024.06.01
2024年 6月の診療日時2024.05.10
2024年4月の活動記録2024.05.01
2024年 5月の診療日時2024.04.13
(一社)北辰会、組織再編。2024.04.02
2024年3月の活動記録2024.04.01
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2024年2月の活動記録2024.03.01
2024年 3月の診療日時2024.02.15
2.17(土)ドクターズプライムアカデミアで喋ります!2024.02.04
3.10(日)(公社)群馬県鍼灸師会で講演します!2024.02.03
3.3(日)「浅川ゼミ会」にて講演します!2024.02.02
2024年1月の活動記録2024.02.01
2.25(日)順天堂東医研、第5回特別公開シンポジウム「日本とインドの伝統医学」に登壇します!!2024.02.01
2024年 2月の診療日時2024.01.11
2023年、9月~年末の活動一覧2024.01.05
診療再開!!2024.01.01
2024年 1月の診療日時2023.12.30
2023年、鍼療納め!!2023.12.21
(一社)北辰会、冬季研修会のお知らせ2023.12.01
2023年 12月の診療日時2023.11.26
患者さんの声(60代女性 背部、頚部の痒み、首肩凝り、高血圧、夜間尿)2023.11.25
患者さんの声(70代女性 耳鳴、頭鳴、頭重感、腰下肢痛、倦怠感)2023.11.22
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日本東方医学会学術大会、申し込み締め切り迫る!!2023.11.01
2023年 11月の診療日時2023.10.10
清明院14周年!!2023.10.04
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2023年 9月の診療日時2023.08.18
第54回、順天堂東医研で喋ってきました!2023.08.17
順天堂東医研の学生さんと、「森のくすり塾」へ。2023.08.16
診療再開!!