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正月、気付いたことがありました。
今回の正月は普段以上の寝正月。
まず、群馬の寒さをナメていて、速攻でカゼをひきました。(苦笑)
しかし、すぐに鍼して、症状を抑えながら、酒酒酒。。。
で、また、睡眠睡眠。。。
すると、この半年以上、地味に苦しんでいた、とある症状が、何と消えていました。
普段以上に酒を飲んだり、普段ほとんど食わない肉なんかをガンガン食っていますから、脾胃に負担はかかっている。
今回は、友人同士がちょっとモメてたりして、その間に入ったりしたので、ストレスもそれなりにあった。
なので、普段と違うことと言ったら、圧倒的な睡眠時間だ。
寝たい時に寝て、起きたい時まで寝る。
これだ。
これが確かに、この半年出来ていなかった。
睡眠時間、2014年の大テーマだ。(笑)
治らない、あるいは治るのが遅い患者さんにも、必ずこういう問題があるはず。
忘れていた基本。
勉強になった。
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2013.03.26
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これまでのお話
今日は、”鼻から酒が出てくる”という話です。(笑)
まあ花粉症に限らず、慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎、蓄膿症などの、鼻の疾患で悩んでいる患者さんは意外と多いものです。
そしてこれは、命に関わるような疾患ではないものの、なかなかしつこく、常に気になる、イヤな疾患であります。
鼻がズルズルになってくると、仕事に集中できない、何をしてても気になって、楽しくない、ということになります。
これにも東洋医学的には色々な考え方、分類、治療があるのですが、ある種の鼻の疾患は、「飲酒」つまりアルコールで、てきめんに悪化するものがあります。
誰あろう、僕がそうです。(笑)
僕は疲労(寝不足)と飲酒が重なると、翌日、鼻から酒が溢れて来ます。
(苦笑・・・特に春先ね)
酒にも色々な種類があって、それぞれに微妙に発現する効果は違うようですが、まあ基本的には“大辛大熱(だいしんたいねつ)”といって、
体を温める力が強い飲み物とされています。
酒については、以前書きました。
患者さんの質問 参照
まあ、一口に「酒」と言っても、”何を”、”どのくらい”、”どういう状況で”呑んだのかによって、評価は変わってきますが、基本的にはこの大辛大熱の酒が、
脾の臓や胃の腑(ザックリと中焦ですね)に熱を持たせ、その熱が上焦、特に肺の臓を脅かした時に、鼻の症状を悪化させます。
また、もっと浅い部分、つまり熱の”経絡”への影響の場合は、ここをシャープに狙わないといけません。
その患者さんの体質(素因)における肺と脾胃のもともとの関係性や、もともと「いかほど」「どこに(深さと位置)」熱がこもっていたか、によって診断や治療が変わってきます。
治療も、肺から熱をとるか、脾胃から熱をとるか、あるいはその両方か、それをどこで取るか、となってきますし、その判断を間違うと、全然効果が違ってきます。
いつも、
「鼻って、シビアだナー。。」
と思うところです。
伝統的に「芳香醒脾」「芳香理気」なんて言う治療法があるように、「臭香」というのは、人体にとって特別な作用を持つという認識があるようで、
興味深い部分の一つです。
◆参考文献
東洋学術出版社『食材効能大事典』
メディカルユーコン『東方栄養新書』
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2013.02.10
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これまでのお話・・・
「肝」って何ですか?(その13)
「胆(たん)」って何ですか??(その1)
「胆」って何ですか?(その2)
「胆」って何ですか?(その3)
「胆」って何ですか?(その4)
「胆」って何ですか?(その5)
「胆」って何ですか?(その6)
「胆」って何ですか?(その7)
では、続きいきます!!
◆「胆汁」ってナニ??(その2)
では今日は、東洋医学の言う「精汁(胆汁)」というものがいかなるものなのか、もう少し僕なりに愚考してみたいと思います。
確かに、現代の一般的な中医学の教科書なんかによく書いてあるように、胆汁は「肝の臓」の気血(余気)が変化して出来た、黄色くて苦い液体であり、
胆から「小腸の腑」に出ていって、脾胃の消化吸収を助けるモノである、という考えは、別に否定はしません。
それも確かなことだと思います。
(ちなみに、そもそも”中医学”がなんだか分からない方は過去記事 東洋医学と中医学 参照)
また、なぜ胆汁のことを、”精汁”と呼ぶのかについては、「肝の臓」の精気が濃縮された汁、という意味だと思います。
また、これが清らかであるのは、「胆の腑」が飲食物を通さない、しかも肝の精気を濃縮して溜めている、極めて清潔な腑だから、とも言えるでしょう。
因みに、面白いことに、「肝の臓」の働きが亢進している人は、妙に潔癖症になったりすると、東洋医学では考えたりします。
(『難経』16難「・・假令得肝脉.其外證.善潔.面青善怒.・・」参照)
〇
こういった考え方と、もう一点、これは前回チラッと書いた私見なんですが、やはり胆汁は全身の「枢(とぼそ、くるる)」に関わるのだと思います。
門扉の蝶つがいの中心軸を滑らかに動かすには、潤滑油が必要ですよね?
その潤滑油になるのが、「胆の腑」に貯蔵されている「精汁」なんじゃないか、と愚考しています。
つまり、「胆の腑」が大事に貯蔵する「精汁(胆汁)」というのは、一つにはそのまま「小腸の腑」にドロリと出てきて、
飲食物の消化吸収を助ける面と、もう一つには霧のように自由に全身を伸び伸びと巡り、全身の「枢」部分に行きわたり、
各所で”開閉”を調整し、発汗、排尿、排便などのスムーズな働きを助けているんじゃないか、と思っています。
そう考えると、臨床的につじつまが合うことが多い、と思うからです。
ちょっと難しくなるけど、「胆の腑」は、その気が流れる経絡である「足少陽胆経」と、この「胆汁」を介して、全身の「枢」の働きにコミットしている、
大変重要な腑である、と「僕は」考えています。
(違うよ、と思われる方は、是非ご意見聞かせて下さいネ☆)
また、このシリーズの(その1)で、『淮南子(えなんじ)』という書物に、面白い言説が載っている、という話をしました。
長くなりそうなんで、それは次回。
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2013.02.08
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これまでのお話・・・
「肝」って何ですか?(その13)
「胆(たん)」って何ですか??(その1)
「胆」って何ですか?(その2)
「胆」って何ですか?(その3)
「胆」って何ですか?(その4)
「胆」って何ですか?(その5)
「胆」って何ですか?(その6)
では、続きいきます!!
◆「胆汁」ってナニ??(その1)
これまで、
・「胆の腑」は人間の精神の働きと関連する
・「胆の腑」は「肝の臓」の働きを助ける
・「胆の腑」は「”精汁”という清い汁(胆汁)」を貯蔵している
・「胆の腑」は全身各所の開閉を調整するのに大きく関わる
・「胆の腑」は六腑の中では仲間ハズレ
・「胆の腑」は個性派グループである”奇恒の腑”の中でも仲間ハズレ
ということを書いてきました。
・・・だいたい「胆の腑」の特殊性がお分かりになってきたんじゃないかと思います。
なぜそうなのかを考える前に、胆の腑が貯蔵してるこの「精汁(胆汁)」って、一体何なんでしょ?
いわゆる、現代医学的な解剖生理学における「胆汁(bile)」というのは、「肝臓(Liver)」で生成される、消化を助ける液体であり、肝臓で生成された後、
「胆嚢(gallbladder)」に貯蔵されて濃縮され、食事の度に「十二指腸(duodenum)」に出てきて、未消化物とごちゃ混ぜになることで、消化吸収を助けます。
(学生時代、生理学の先生が”胆汁は大便に色を付けます”と説明してましたね)
よく、お酒を飲み過ぎたりして嘔吐し、これ以上吐くものがないぐらい吐き続けると、そのうち黄色くて苦い、ナゾの液体が出て来ることがありますね?
あれがまさに「胆汁(bile)」なのです。
しかし、東洋医学における「精汁(胆汁)」の役割というのは、西洋医学のそれとは概念が異なります。
現代の中医学の本には、大体の本には
”「胆汁」は、「肝の臓」の余った気(余気)から生成され、「小腸の腑」に分泌され、脾胃の運化(消化)を助ける”
とあり、西洋医学そのまんまな感じがしますが、谷口書店の『基礎中医学』P98に、『医原』という書物からの引用で、
「飲食物が入ってくると、小腸が満ちて、胆の腑を上に押し上げて、胆汁が絞り出される」
という面白い記載があります。
脾の臓と胃の腑を説明した時に、飲食した後に手足を動かすことで、脾の臓が活性化し、馬蹄形に胃の腑に巻き付いて、胃の腑をグリグリと揉むことで、
蠕動運動が起こる、という説明を紹介しましたが、それに似てますね。(笑)
また、重篤な病の際に現れる「黄疸」という病変がありますが、これも東洋医学では「胆汁」が常道を外れて皮下に溢れた結果、と考えます。
つまり、胆汁は普段は消化管に出てきて、脾の臓や小腸の腑、大腸の腑の働きを助けると言われますが、東洋医学的には全身各所に関わって(特に”開閉”に)、
五臓六腑のバランス調整の潤滑油として働いている、と考えた方が東洋医学的には正確だと思います。(私見)
続きは次回。(笑)
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2013.02.02
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これまでのお話・・・
「肝」って何ですか?(その13)
「胆(たん)」って何ですか??(その1)
「胆」って何ですか?(その2)
さて、今日からいよいよ東洋医学の言う、「胆の腑」とはどういうものか、を簡単に解説していこうと思います。
簡単に、です。
難しい、いかめしい話が好きな方は、そういう感じの解説サイトや専門書はいくらでもありますんで、そっちを見てもらうとして、
僕がやるのはチョーカンタンな、肝胆(カンタン)の話です。(笑)
・・・でも、ポイントは外さないように注意を払います。
分かる人が読んだら分かる、大事な話も入れていこうと思っています。
〇
前回、「肝胆相照らす」という言葉が出て来ましたが、東洋医学的にも、「胆の腑」と「肝の臓」は非常に密接な関係にあります。
以前書きましたが、この2者(肝と胆)を陰陽で分けると、「肝の臓」は相対的に陰、「胆の腑」は相対的に陽、という関係性にあり、これを”表裏の陰陽関係”なんて言います。
「肝の臓」の詳細については以前書きましたので、そちらをご参照いただくとし、要はそういう、「肝の臓」の働きをサポートするのが、
「胆の腑」の大きな役割の一つ、という訳です。
肝胆で協調して、一つの働き(漫才コンビみたいなもんです。)を成しているワケですね。
そういう意味では、機能における関わりの密接さにおいて、「脾胃」とも似ているものがあります。
カテゴリ 「脾胃」 参照
そして、肝胆は脾胃と同じく、中焦に存在し(ただし肝は下焦まで大きく垂れ下がっていますが。)、この4者で、飲食物を消化、吸収し、
「気血のもと」を調達するとともに、完成した「気血」を上下左右前後、全身へくまなく巡らせる、という役割もやっています。
コレは大変重要な役割でありまして、多くの患者さんでは、ここのところ(肝胆、脾胃の4臓腑)が機能失調を起こして、
それがあらゆる慢性病の原因になり、また、治らない原因になっていることが多く見受けられます。
なんていうか、このワンユニットは「生命のモーター」「自然治癒力のモーター」ですな。
まずコレが大事です。
そしてその中で、「胆の腑」は独特の役割を果たします。
次回へ続く。
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2012.08.03
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昨日の記事に、ムスタファさんからご質問いただきましたので、僕なりの回答含め、何回かに分けて、ちょっと補足しようと思います。
乳製品は体にいい? 参照
ちょっと専門用語が出てきたりしてややこしいので、つまんない人は斜め読みして下さい。(笑)
・・・まず、乳製品は冷やす冷やす、と、なぜ東洋医学では言われるのか、という問題からいきます。
コレは、乳製品の過飲が、胃腸に負担をかけるから、結果的に消化力を落とし、他の飲食物の栄養吸収力が下がり、結果的にエネルギーが産生されにくくなったり、
老廃物が停滞したりする場合があるから、ということだろうと思います。
少し専門的な話ですが、東洋医学では「四気五味説(しきごみせつ)」と言って、自然界の飲食物を
”寒・熱・温・涼”の四気、
”酸・苦・甘・辛・鹹”の五味
に分けて考える学説があります。
(この学説についても、そのうち解説しましょう。)
あらゆる漢方薬や薬膳などの生薬、食品の配合も、基本的にはこの「四気五味説」に従います。
これで言うと、牛乳は東洋医学では
「乳ナイ(女+乃)」
と言われ、
四気では平(へい・・・つまり、寒熱どちらにも偏っていない)、
五味では甘、
臓腑では脾胃に主に関わる
とされ、
潤・降の作用がある
ことから、
陰虚や血虚、通便に効果あり
とされております。
ここだけ聞くと、色々なものに効く、魔法の飲み物のように思えますが、「潤・降」の作用が強いということは、逆に言えば陽気の働き(体を温め、清らかな気を昇らせる)を抑えてしまう側面も持っている、ということです。
つまり専門的には、あくまでもその人のキャパを超えて「過飲すると」の話ですが、牛乳は主に脾の臓の陽気を傷める側面がある、だから結果的に冷えるのだ~!
という論なんだと思います。
脾の臓については「脾」って何ですか?(その9) 参照
ちなみに牛乳については、現代医学的にも、現代栄養学的にも、
ガン予防、安眠作用、血圧降下作用、骨粗鬆症予防作用など
が謳われていますが、これについて辛辣な反論もある、というのは、前回書いた通りです。
〇
・・・まあただ、「過飲」という量の定義なんて、人によって違い過ぎるので、一概にこの量飲んだらいけません、なんて話は出来ませんし、
一切飲むな、というのも行き過ぎだと、個人的には思います。
そもそも「牛乳を飲む」という食文化が日本に入ってきたのは飛鳥時代以降だそうですが、最初は天皇や皇族のみが利用していたそうです。
一般庶民が飲むようになったのは明治以降、さらに、”アメリカンライフスタイル”なんつって爆発的に普及しまくったのは、戦後の話だそうです。
給食で出るようになったのも、戦後からです。
(・・・ここら辺が、一部の人の思想を大いに刺激して、偏った、感情論的であったり、謀略論的な論調がネットに溢れている一つの要因なんじゃないでしょうか。)
まあ確かに、明治政府や、戦後の日本政府が採用した栄養学の是非論については、僕も興味のあるところで、あれが果たして正しかったのか、
相当見直す必要があるのでは?とは思っています。
『伝統食の復権』(島田彰夫 東洋経済新報社 2000年)には、
「高脂肪・高タンパクを説くドイツ栄養学を無批判に受け入れた明治日本。
戦後は、アメリカの食糧戦略に基づいた食生活改善運動により、伝統的な食文化は否定され破壊された。
高度経済成長の影響もあり、今や日本は “飽食の時代” を迎えている。」
とあり、この指摘は、参考にする価値が高いと思います。
しかしながら、最近のアレルギーベイビ―の問題であったり、三大成人病の問題を、すべてこれのせい、と短絡的に結論付ける風潮も、
いかがなもんか、と思っていますが。
一番イカンのは、最初に無批判に受け入れたことと、時代が変わっても、それに合わせて変えようとしない姿勢だと思いますが。
・・・話が逸れた、次回に続きます。(笑)
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2012.05.05
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これまでのお話・・・
「血(けつ)」って何ですか?
「血」って何ですか?(その2)
「血」って何ですか?(その3)
続きいきます!
◆血が不足すると問題発生
これまでの話で、東洋医学における「血」というものは、基本的には「飲食物」が主な原料となり、足らなくなると「腎精」が「血」に変化してくれることによって不足がフォローされ、
主として「血脈」の中を流れて、全身を隅々まで循環し、必要に応じてカラダを栄養するもの、でした。
また、睡眠時など、あまり使われない時は「肝の臓」に蓄えられている、というお話もしました。
そして、「血」が循環する際の原動力や律動性には「心の臓」や「肺の臓」が、飲食物を消化吸収するためには「脾の臓」や「胃の腑」が、
「腎精」から「血」に変化するには「腎の臓」の働きが大きく関わり、「血」の生成、作用は、実に様々な臓腑の働きに支えられているよ、
というお話でした。
・・・で、今日は、”「血」が不足する”とはどういうことか、を考えてみたいと思います。
上記のようなメカニズムで生成される訳ですから、当然、「脾の臓」や「胃の腑」に異常があって、飲食物をうまく消化吸収出来なければ、
「血」が生成されにくくなり、不足が起こってきます。
それでも、「腎の臓」がしっかりしていて、「腎精」をガッチリ蓄えてくれていれば、不足をフォローできます。
また、「肝の臓」に「血」がたっぷりと貯蔵されていれば、ここからも不足をフォローすることが出来ます。
ですので、”脾胃が弱い=必ず血が不足する”という短絡的な考え方はNGなのです。
しかし、脾の臓や胃の腑が弱く、飲食物から「血のもと」を取り込めない、しかも腎の臓も弱っていて、「腎精」による血のフォローが出来ない、
なおかつ肝の臓にもあまり貯蔵出来ていない、ということになると、これは”全身的な血の不足”が起こります。
まずコレが一つ重要。
こうなると、カラダを潤すことが出来なくなるワケですから、いたるところがパサパサになってきます。
具体的には皮膚、髪、爪がパサパサ、弱く脆くなり、全身的に血色が悪くなり、唇や舌の色も褪せて白くなってきます。
(コワイネ~)
もう一つのパターンとして、「血」の全体量としてはあるんだけど、巡る力が弱い、あるいは何かによって邪魔されてるために、停滞してしまって、
必要な部分に届かず、”部分的に”足らなくなるパターンです。
皮膚に足らなければ痒みを起こしたり、目に足らなければ眼精疲労を、筋肉に足らなければこむら返りやけいれんなどなど、実に様々な症状を引き起こします。
これが、”部分的な血の不足”です。
二つ目にはコレが重要です。
・・・ちなみにこの、「部分的な血の不足」の原因の一つである、”停滞してしまって、使い物にならん血”のことを東洋医学では「瘀血(おけつ)」と呼んでおります。
「瘀血」については、素人の方でも、聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
以前、このブログでも紹介しました。
要はこの瘀血が、正常な血の運行を物理的に邪魔して、必要な部分に届かないと、様々な症状が起こす場合があるのです。
それ以外にも、肝や心や肺の異常により、「気の停滞」が起こると、血の正常な循環が保てなくなる、というケースもあります。
・・・このように、「血の不足」と一口に行っても、東洋医学的にはまずそれが「全身的なのか、部分的なのか」を考え、それらのメカニズムまで考え、対処、治療しております。
ちなみにちなみに、言うまでもないですが、東洋医学の言う「血の不足(血虚)」と、西洋医学の言う「貧血」とは別物ですので、あしからず。(苦笑)
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2011.08.17
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これまでのお話・・・
「心包」って何ですか?(その6)
「三焦」って何ですか?
「三焦」って何ですか?(その2)
「三焦」って何ですか?(その3)
「三焦」って何ですか?(その4)
「三焦」って何ですか?(その5)
「三焦」って何ですか?(その6)
「三焦」って何ですか?(その7)
「三焦」って何ですか?(その8)
「三焦」って何ですか?(その9)
シャンシャンいきます!!!
今日の話は、患者さんや一般の方にはちょっと難しいかもしれません・・・。
でも、とっても大事な部分なんで、頑張ってなるべく簡単に書いてみようと思います。
・・・前回、「三焦の腑」も「心包の臓」も、”名前はあるけどカタチがない”から、同じグループなんだよ、だから”表裏関係”といって、関わりが深いと考えるんだよ、というお話をさせていただきました。
でもこれだけでは、実際に働きの上でどのように関わるのか、イマイチよく分かりませんよね?
そこで今日は、「三焦の腑」の、機能面での、他との関わりを考えてみたいと思います。
☆「三焦」と他の臓腑の関わり具合
以前、東洋医学の中心的な考え方の一つである、「五行(ごぎょう)」という考え方について、簡単に述べさせていただきました。
その時にご説明させていただいたように、「五行」というのは自然界のあらゆるものを、特徴の上から5パターンのシンボルに分類する考え方なんですが、
東洋医学では人体の「五臓六腑」というものも、それぞれこの「五行」というカテゴリーに分けております。
・・・すなわち、
木・・・肝、胆
火・・・心、小腸
火・・・心包、三焦
土・・・脾、胃
金・・・肺、大腸
水・・・腎、膀胱
という風に、です。
ここで、「火」に属するものだけ、他と違って4つあることに気が付きます。
五行の中でも、「火」というのは「陽の性質」が最もよく表現(シンボライズ)されたものです。
ですので、五臓六腑ある中でも、他と比べて「相対的に」非常にパワフルに、動的に、活発に働いている、これらの臓腑が分類されるのです。
あまり専門用語を使いたくないので、簡単に説明しますが、心、小腸、心包、三焦、どれも「火」に分類されるんだけれども、
実は心と小腸はメインの「火」、心包と三焦は脇役(サブ)の「火」、という分け方なのです。
まず、心と心包に関しては、この二つがある意味でニコイチとして協調しながら「血(けつ)」を全身に送り出す、極めて動的な性質を持った臓ですから、
陽のシンボルである「火」に分類されるのは当然です。
・・・で、心と心包を比較すれば、心包は君主(王様)である心の補助(ガードマン、側近)ですから、サブの「火」になるのは当然です。
小腸に関しても、脾胃から来た飲食物を大腸にせっせと送りながら、”必要なお水”と”いらないお水”を分ける働きがメインでしたから、
性質的には非常に動的であり、「陽」に属しますので、「火」に分類されております。
ちなみに、心の臓、心包の臓、小腸の腑の細かい働きに関しては、過去の記事、
「心」って何ですか?(その7)
「小腸」って何ですか?(その5)
「心包」って何ですか?(その6)
をご参照ください。
では、今回のメインテーマである「三焦の腑」はどうかというと、これまで解説してきたように、「脾の臓」や「胃の腑」、「腎の臓」と深く関わりながら、
「気」や「水」の通り道であり、全身を包括し、常に燃えている(焦げていっている)三焦の腑も、当然「陽」的ですので「火」に分類されます。
・・・つまり、”形態ありて形なし”という風に解釈されるように、”常に動的に変化している”という意味で、陽的であり「火」に属するのです。
そして、心包の臓が心の臓を補助するのと同じように、三焦の腑が小腸の腑の補助をする面もあります。
小腸で分けられたお水は、三焦を通って、最終的に汗になったり、小便になったりする訳です。
ですからその意味では、サブとしての「火」に分類される、という訳ですね。
しかし、三焦はそれ以外にも、色んな臓腑の働きを助けているし、ちょっと特殊な存在なんです。
・・・長くなったので、次回に続く。
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2011.07.15
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これまでのお話・・・
「心包」って何ですか?(その6)
「三焦」って何ですか?
「三焦」って何ですか?(その2)
「三焦」って何ですか?(その3)
「三焦」って何ですか?(その4)
ジャンジャカいきます!!
☆「三焦」は生命力が躍動するスペース
我々東洋医学の学ぶものが、避けては通れない聖典に『難経(なんぎょう)』という書物があります。
この大古典は、『黄帝内経(こうていだいけい)』よりは後に書かれたものですが、”論文集”といった色合いの強い『黄帝内経』に比べて、
比較的論旨が一貫しており、同一人物、あるいは同一の学派によって書かれたものであろう、とされています。
まあ、そういう考証めいた話はともかく、『難経』は東洋医学、特に”鍼灸”をやるものにとっては、『黄帝内経』と並ぶ書物、聖典の一つ、と言ってよいと思います。
僕もよく先輩から、
「この医学を本格的にやるなら「ソ・レ・ナン※」を徹底的にやれ!誰が何と言おうが、この医学はその基本からは出ないように出来てる!」
と言われてきました。
(※ソ・レ・ナン・・・黄帝内経素問(そもん)、黄帝内経霊枢(れいすう)、難経(なんぎょう)のこと。3つとも東洋医学における聖典みたいなものです。)
・・・まあともかく、この「ソ・レ・ナン」の中にも、「三焦」に関する記載があります。
『難経』では、おへその下に、生命力の根本(原気)が宿る、と書いてあり、ここから全身、すなわち「三焦」を駆け巡るのだ、な~んて言っております。
(有名な八難、六十六難あたりですね。)
だから、我々も患者さんのお腹をみる時、おへその下の弾力の程度を重要視しますし、武道や気功なんかでも、おへその下に重心を置くとか、
”気を集める”ことを非常に重要視します。
ここには、おへその下(丹田:たんでん)という「部分」を充実させることによって、結果的に「全体」を充実させようという、
「部分」=「全体」であり、「全体」=「部分」
という、東洋哲学的な考え方が潜んでおります。
・・・この考え方は、実は仏教などでもおなじみの考え方です。
「部分」と「全体」が同一である、という関係性は、一瞬の中にも永遠を含むという「一即一切、一切即一」という世界観へも展開していく、といわれます。
・・・なんか、ムズイネ~♪
(笑・・・こういう話、好きな人は好きなのは重々承知ですが、あまり深入りしましぇん。あしからず。)
ともかく、臓腑では脾胃や腎、人体を流動する構成要素では「気」や「水」の動きに大きく関わりながら、人間の根源的な生命力とも深く関わるという、
壮大であいまいな謎の存在、「三焦」・・・。
その1でも述べましたが、これが、独特の哲学性に裏打ちされた、「東洋医学の完成度の高さ」を支えているのです。
続く
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2011.07.11
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これまでのお話・・・
「心包」って何ですか?(その6)
「三焦」って何ですか?
「三焦」って何ですか?(その2)
さあどんどんいきます!!
☆「三焦」は”気血水”、特に”気と水”が移動するスペースである
(中国明代、張景岳『類経図翼』より)
図にすると、こんなことになっております。
図で見たら、まさに「三焦」=「全身」であります。
またこの図は、「三焦」が皮膚と臓腑をつないでいること、形のはっきりしない膜状の組織だ、ということも表現しようとしている図、と考えて下さい。
この図から、三焦は「気・血・水」の流れるスペースそのものである、と考えることが出来ます。
・・・しかし、”三焦は全身です。”と頭ごなしに言われましても、具体的に何をしてるのか、もうちょっと細かく分からないと、イマイチ手の出しようがありません。
この図の中で興味深いのは、「中焦」の部分に何やら最も多くの文字がツラツラ書いてあり、上焦、中焦、下焦の中では、特に「中焦」との関わりが重要っぽい、ということが分かるのが一つ、
また、背中側の意味深い位置に「腎の臓」だけが記載されていて、「三焦」と「腎」の関わりが強調されているということが、興味を引きます。
これらのことは、「三焦の腑」とは全身である、と言いつつも、特に「脾胃」、それから「腎」と深く関わる事を暗示しています。
・・・以前説明したように、「脾胃」の働きといえば、消化吸収の要として、飲食物から”気と血のもと”を取り出し、全身を栄養することがメインテーマでした。
そして、「腎の臓」の働きと言ったら、「尿」を中心として、発汗、排便といった、人体の「余分な水分排出機構」に大きく関わりつつ、
親からもらった先天的な生命力を秘めた「生殖」「成長」に関わる重要な臓だ、というお話もさせていただきました。
そして「三焦の腑」はこの「脾胃」「腎」と大きく関わりながら、皮膚における汗腺と臓腑をつなぎ、「気、血、水」、とりわけ「気と水の通り道」として、
発汗、排便、排尿がスムーズに行われるための”大前提(インフラ)”となっているのです。
上下水道がなかったら、トイレも台所もないですからね。
・・・私の知り合いの信頼できる漢方薬の先生に言わせると、この「三焦の腑」のことを「三焦空間」と呼び、このスペースをしっかりと広げ、
スムーズに流通させてやることによって、体内の余分な水分や滞った気血を「より」速やかに除去できる、という考え方もあるそうで、
これは我々鍼灸師にとっても、大変参考になる考え方だと思います。
・・・長くなっちゃったんで、次回に続く。
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