東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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Search Results for: 脾胃

「病理」と「病機」

2016.10.25

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先日告知したように、11.27に、北辰会で喋ります!!

 

11.27、三時間喋ります!! 参照

 

 

今、その内容の細かい部分を詰めている作業中です。

 

 

3時間ももらって、対外的に喋るんだから、せっかくなんで、永久保存版の講義にしようと思っています。

 

(数年前から、北辰会の講義は年に数回しかないので、毎回そういう気持ちでやっています。)

 

 

 

 

ところで北辰会では、中医学の言う「病因病機」のことを「病因病理」と呼んでいます。

 

(これらは、いわば疾病のメカニズムみたいなもんです)

 

 

これに関して、「機」「理」の、字義の違いに触れつつ、こないだ述べました。

 

「理」の意味 5 参照

 

 

要約すると、結局、なぜ北辰会方式では「病因病理」と呼ぶのか、明確な回答は先輩に聞いてもなかなか得られず、

 

「どっちでもエエんちゃう??」

 

とか言われて、

 

「だったら中医学の教科書に合わせて、病因病機と言った方が良いんじゃないすか!?」

 

と思ったりして、ハッキリしないイライラ感みたいなものがありましたが、色々とまとめていると、やっぱり「病因病機」という呼称よりも、

 

北辰会方式では「病因病理」という呼称の方がいい気がしている、という話をしました。

 

 

「病機」というのは読んで字のごとく「病の機序」であり、病のメカニズムのことです。

 

(肝鬱気滞→脹痛、みたいなね。)

 

 

それに対して「病理」というのは、先日書いたように「ある病機の、生理面も含めた、理論的根拠」という意味に解します。

 

(肝鬱気滞を緩めんがための生理的欲求として、甘いものや酒を過食過飲したら、結果として胃熱が生じた、みたいなね。)

 

 

こういう風に、ある症状の背景にある「生理的な欲求」についてまで考えることで、各病機の標本主従が明確になり、病の全体像の「本質中の本質」が把握しやすいのではないか、と考えています。

 

 

具体的に言うと、精神的なストレスの過剰から気機が鬱滞し、肝の臓の病変を起こし(病因→病機)、それを緩めんがために甘いものを過食(病機→生理)した結果、

 

二次的に脾の臓や胃の腑の病変を起こした(病因→病機)という患者がいた場合、肝の病機と脾胃の病機の標本を考えると、本は肝、となります。

 

 

ここで、病因病機のみしか意識しなければ、この症例における時系列的、理論的な標本の判断が難しくなります。

 

 

そして、それが分析出来た上で、四診によって現時点、治療時点における各病機の標本主従を明確にして「証」を弁出して、養生指導も欠かさずに、治療を進めていくのです。

 

 

そうすると、治療の結果、何が動いて、何が動いてないかが分かります。

 

 

因みに、例えば上記のケースで、病因病理の上では「本は肝」であっても、初診時の状況(主訴その他の状況)によっては、「急則治標」で胃の熱から叩く、

 

とかいうケースもあり得るワケです。

 

 

やれ弁証論治派、といっても、ここまで理路整然とやっているところもなかなかないと思いますけどね。

 

 

 

11.27は、イヤというほどこういう話をしてやるうー!!(=゚ω゚)ノ

 

 

 

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「三陰三陽」という考え方 2

2015.11.14

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昨日、「三陰三陽」という考え方 1という記事を書きました。

 

早速、続きいきます。

 


まずは前回の復習から。

 


我々にとって欠かせない「経絡」なるものは、脾胃のある中焦から始まって全身を一周し、再び中焦から全身を巡ります。

 


このように、全身をくまなく巡って、全身に気をスムーズに行き渡らせる機構が「経絡」です。

 

そして、その「経絡」は、通過する場所によって関連の深い臓腑があり、臓腑別に、全部で12の名前があります。

 


それを「十二経絡」と言いました。

 


そして、その「十二経絡」も、陰陽に分けられています。

 


その分け方を「三陰三陽」と言い、他の東洋思想、東洋哲学にはない、医学分野独特の分け方(※)なのです。


(深い意味がありそうですねえ。)

※因みに、三陰三陽学説が東洋医学独特の考え方である、という論は、私の鍼灸学生時代の恩師でもある、松本弘巳先生『鍼灸臨床のための素問・霊枢医学』の記載を参考にさせていただいています。

 

・・・とまあ、ここまでが前回の復習。

 


で、その分け方はどうかというと、

「3つの陽の経絡と、3つの陰の経絡があり、合わせて6つの経絡が、それぞれ手と足にある、だから手に6、足に6、6✕2で12経絡」

というセッティングになっています。

 


手足も陰陽ですから、12の経絡をまずは大きく手足に6つずつ分け、さらに手の中にも陰陽、足の中にも陰陽、と分け、さらにさらに陰を3つ、陽を3つに分けた訳です

 

ですので、手に三陰三陽の六経絡、足に三陰三陽の六経絡、合わせて十二経絡、というわけです。

 


ここでいう陽の経絡というのは、五臓六腑の「六腑」の方と関わる経絡です。

 


陰の経絡というのは五臓六腑の「五臓」の方と関わる経絡です。

 


因みに五臓だと数が合わないですが、肝心脾肺腎に、心の臓のガードマンである心包の臓を入れたら六臓ですね。

 

 

心の臓と心包の臓は働きの上でニコイチ、という話は以前しました。

 

心・小腸

心包・三焦   参照

 


このように、手に6つの経絡、足に6つの経絡、そしてそれらは三陰三陽、半分に分けられ、人体に左右対称に存在する。

 


総じて、陽の経絡は体の後外側、陰の経絡は前内側に配置されています。

 

このように考えられているのが、われわれ鍼灸師がこの上なく重視する、「経絡」の主な系統です。

 

では、もう少し詳しく考えていきます。

 

続く

 

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「四逆散」というお薬 7

2015.06.14

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これまでのお話

 

「四逆散」というお薬
「四逆散」というお薬 2  
「四逆散」というお薬 3

「四逆散」というお薬 4
「四逆散」というお薬 5
「四逆散」というお薬 6    参照

 

 

さて本日も、また別の先生のご見解をみてみましょう。

 


今日は荒木性次(あらきしょうじ 1896-1973)先生です。

 

因みに号は荒木卜庵(あらきぼくあん)先生とも言います。

(この呼び名の方が有名かもしれません。)

この先生も、昭和を生きた、非常に有名な先生です。

 


実は私は、この先生の流れをくんだ先生と、ちょっとしたご縁がありまして、今ではその先生の漢方薬局に、清明院の患者さんをよく紹介させていただく間柄だったりします。(笑)

 

また、僕が尊敬している鍼の先輩も、この先生の薫陶を受けた先生から『傷寒論』の基本を学んだそうです。

 

そんなワケで、やや遠いけど、不思議な御縁を感じる荒木先生の『方術説話』に、このように書いてあります。

 


「四逆(四肢逆冷)する者には3通りあります。

1つ目は表面の陽気が弱っているもの、

2つ目は陽気が内(裏)に籠っちゃって外に伸びないもの、

3つ目は表裏の中間につっかえて、陽気が伸びないものです。

四逆散の場合は3つ目のパターンです。」

と述べ(1パターン加えた!)、そして、その籠った熱のことを”少陰の熱”と表現し、

「それ(少陰の熱)が肺に影響すれば、そこに水気が集まり咳となり、心に影響すれば動悸、肺腎両方に影響すれば小便不利、

腹中に影響すれば腹痛になり、腸中に影響すれば下痢となり、もともと腸の動きが悪い人であれば渋り腹になる。」

と述べています。

 


そして、上記のような診立てで、四逆散を使って、効果がイマイチの場合に、四逆散にさらにどんな生薬を加えたらいいかについても、丁寧に解説してくれております。

 

そして最後に、

「本章は少陰病血虚裏熱より四逆を生じたものの治し方を述べた章です。」

と締めくくっています。

 


なるほど、「表と裏の間に」籠る、ね。

 


裏に籠る、というのとはニュアンスが明確に違うのです。

(起こる現象も違う。)

 

咳や動悸など、上に出たり、下痢や腹痛、渋り腹など、下に出たりすることの、上手い説明になっていると思います。

 

そして”少陰の熱”とか、”少陰病血虚裏熱”という表現、これもサラッと言うけど、奥の深い説明だと思います。

 


他の先生のように、肝鬱+湿邪、とか、肝鬱+水邪とか脾胃の虚、とかで説明するのではなく、あくまでも

”熱(通じなくなった陽気)がどこに影響するか、そして、そこに集まる水気”

で論じる。

 


一つの立派なお立場だと思います。

 


・・・いやー、みんなスゲエなー (゜o゜)

 

「四逆散」というお薬 8  に続く

 

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「四逆散」というお薬 6

2015.06.13

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これまでのお話

 


「四逆散」というお薬

「四逆散」というお薬 2  
「四逆散」というお薬 3

「四逆散」というお薬 4
「四逆散」というお薬 5    参照

 

 

さて今日も、四逆散に関する、別の先生のご意見。

 


今日は矢数道明(やかずどうめい 1905-2002)先生です。

この先生も、大塚敬節先生奥田謙蔵先生と並んで、1905-2002の、実に96年間を生きた、近代を代表する漢方家の一人です。

 

亡くなる前年の、95歳まで外来診療を続けておられたことは有名です。

(スゲエ!!(;゚Д゚))

 

この先生の診療所(温知堂)は清明院のすぐ近く、新宿にあり、現在もご遺族によって引き継がれております。

 

この先生の師匠である森道伯先生(1867-1931)も、後世派の一派である一貫堂医学の創設者として、たいへん有名です。

 

この森先生も素晴らしい先生なので、そのうち紹介したいと思います。

(みんな本当にスゴイので、紹介し始めたらキリがないですな。。。(苦笑))

 


 

まあともかく、矢数先生はその著書『漢方処方解説』の中で、

「四逆散は大柴胡湯と小柴胡湯の中間のものに用いる。」

と述べ、

「大柴胡湯よりも虚証で、熱状が少なく、肋骨下の緊張がやや弱く、小柴胡湯よりは少し実証で、お腹は肋骨下の緊張、腹直筋の緊張が中心で、

 

腹直筋の緊張は臍の周囲まで及び、手足のキンキンに冷えてる者や、癇の昂ぶる神経過敏症の者に用いる。」

と述べ、臓腑では

「肝の臓の実と、脾胃がやや虚。」

と述べ、たいへん応用範囲が広い薬であることを教えています。

 


まあ、矢数先生の解説の書き方としては、四逆散大柴胡湯の変方だと述べた、和田東郭先生浅田宗伯先生の見解を尊重しつつ、近代の湯本求真先生や龍野一雄先生の論を引いて、

 

大柴胡湯四逆散の使い分け方、とりわけ、腹診における見分け方に重きを置いた、解説の仕方をしております。

 


この観点も、また重要です。

 


大塚先生の見解に、少し補足を加えた、という感じですね。

「四逆散」というお薬 7  に続く

 

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患者さんの声(70代女性 原因不明のまぶたの脹れ)

2015.05.07

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「患者さんの声」をいただきましたので紹介します。

(さらに…)

小半夏加茯苓湯と船酔い 4

2015.03.01

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これまでのお話

 

小半夏加茯苓湯と船酔い
小半夏加茯苓湯と船酔い 2  
小半夏加茯苓湯と船酔い 3
     参照

 


では続きいきます!!

 

ここまでで、和歌山の加太の船の上で、油谷真空先生から何気なく渡された「小半夏加茯苓湯」にインスピレーションを得て、ツラツラと書いてきました。(笑)

 

今日は「小半夏加茯苓湯」を構成する3つの生薬(半夏・生姜・茯苓)に関して、解説しておこうと思います。

 

◆半夏(はんげ)

サトイモ科、カラスビシャクの根茎であり、医歯薬出版株式会社の『中医臨床のための中薬学』によれば性は温、味は辛、帰経は脾胃、とのことですが、

 

まあ簡単に言うと、脾の臓、胃の腑、肺の臓あたりに作用し、温め、余分な水分を飛ばしてくれる生薬です。

 

これは生で食べると軽い毒性がありまして、かつて蓮風先生が若い頃に生で試しに食べてみたら、ノドがカラカラになった感じがして、

呼吸するのもきつく、エライ目にあったという話をされておりました。(笑)

(因みに生で使う場合は外用薬として使い、皮膚の化膿に効果があるようです。)

 

そして、その半夏の毒性を消してくれるのが生姜なのです。

 

◆生姜(しょうきょう)

家庭に良くある、ショウガ科ショウガの根茎。


皆さんよくご存じの、しょうが焼きの生姜であります。

 


性は微温、味は辛、帰経は肺、脾、胃、とのことで、半夏とほぼ同じなんですが、半夏は水分を飛ばす作用が強く、生姜は胃を温める作用が相対的に強い、と見ていいと思います。

 

つまり半夏と生姜のコンビネーションで余分な水を飛ばしながら胃を温める、ということでしょう。

 

 

田畑隆一郎先生『傷寒論の謎 二味の薬徴』では、半夏と生姜のコンビネーションについて

 

「嘔、嘔吐を治す主薬にして、停水、宿飲を除き嘔、嘔吐、喘欬、噦(えつ:しゃっくり)、噫(い:げっぷ)を治す」

 

とまとめて下さっています。

 

 


◆茯苓(ぶくりょう)

これはサルノコシカケ科マツホドの菌核を輪切りにしたもの。

 

主に松の根に寄生する茯苓は、利水作用に優れた生薬として知られています。

 

性は平、味は甘淡、帰経は心・脾・胃・肺・腎とあり、簡単に言うと、心の臓、脾の臓、胃の腑、肺の臓、腎の臓に作用して、停滞した水を動かし、

 

結果的に利尿作用だったり、鎮静作用を発揮する生薬です。

 


これは、分かりやすく言えば松の木の根っこに生えるキノコです。

 


キノコなんですが、地表に顔を出しているわけではなく、地下に生えているジメッとしたやつで、見つけにくいことから、

”幻のキノコ”

とも言われるそうです。(笑)

 

この幻のキノコが、みぞおちのところの深い部分に入り込んで停滞してしまった、余分な水分を動かすのです。

 

 

地面に埋まっているキノコ(菌類)が、人体の深い部分の水を動かす。

 

面白いですね~。(*‘∀‘)

 

そしてこの3つの生薬はどれも植物の”根っこ”、あるいは”根っこに寄生するもの”です。

 

陰陽で言うと、明らかに”陰の場”である地面の下にある”根っこ”と、そこにくっつくキノコを使って、深い部分に支えた水を動かし、結果的に全体としての気を下げる・・・。


古代中国人、面白い発想しますねー☆

 

小半夏加茯苓湯と船酔い 5  に続く

 

 

◆参考文献

 

神戸中医学研究会編著『中医臨床のための中薬学』医歯薬出版株式会社

田畑隆一郎『傷寒論の謎 二味の薬徴』源草社

 

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小半夏加茯苓湯と船酔い 2

2015.02.27

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前回のお話

 


小半夏加茯苓湯と船酔い                参照

 

では、続きいきます!

 

前回、「小半夏加茯苓湯」は、漢の時代の、東洋医学を代表する古典の一つである『金匱要略』に記載されている方剤で、現代では妊娠悪阻(つわり)に応用されているお薬である、というお話をしました。

 

 


では今日は、この方剤の元になった「小半夏湯」という薬について、ちょっと専門的に考えてみたいと思います。

 

「小半夏湯」『金匱要略』に登場するのは「痰飲欬嗽病脉証治」という章の”支飲”という病証の項に出てくるのが一点目で、ここでは、

 

嘔吐しても、まだノドの渇き感が出ず、嘔吐が止まらないものを治療する薬として紹介されております。

(嘔吐してもまだ余分な水分が出し切れておらず、みぞおちに支(つか)えている、という判断です。)

 

次は、「黄疸病脉証治」という章の”黄疸の治法”が紹介されているところに出て来るのが二点目なんですが、ここでは、黄疸そのものの治療というよりも、

 

黄疸の治療をミスして、結果的に脾胃が冷えてしまって、しゃっくりが止まらなくなった時に使うように、という形で紹介されております。

 

最後は、「嘔吐穢下痢病脉証治」という章の”嘔吐の治療法”が紹介されているところに出てきます。

 

ここでは、単に中焦(脾胃)に水分が停滞している場合の嘔吐の治療に用いるように、との指示で出てきます。

 

このように、「小半夏湯」は総じて

嘔吐や、脾の臓、胃の腑の異常、中焦の水分の停滞

に、用いられております。

 


これは、この方剤の中の構成生薬である”半夏”に、水分の停滞を取り除く効果があること、また”生姜”には、胃を温め、結果的に気を下げて吐き気を止める効果があることから、

 

上記のような症状に使われるのですね。

 


ではこれ(小半夏湯)に”茯苓”を加えた「小半夏加茯苓湯」はというと・・・?

 

小半夏加茯苓湯と船酔い 3       に続く。

 

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精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 9

2015.01.12

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これまでのお話


精神の中枢は「脳」か「心の臓」か
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 2 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 3  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 4 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 5  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 6 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 7  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 8     参照

 


では続きいきます!

 

 


では前回の話をまとめるとどうなるか、というお話。

 

まあ前回の話は、僕の拡大解釈が入っていますが、それが気になる人はスルーしてもらったらよい。(笑)

 


僕からみると、

道教の立場では脳と心の臓、脾の臓、胃の腑の関わりが強調され、

もともとの東洋医学の立場では脳と腎の臓(精、髄)の立場を強調

しているようにみえる、という話です。

 


ここで、東洋医学における脾胃、腎、心と精神の働きとの関わりを復習。

 

◆泥丸の話の続き 3


1.「脾の臓」と精神の関わり

「脾の臓」については「脾」って何ですか?(その9)シリーズに書いた通りなんですが、「脾の臓」と精神との関わりについて補足すると、

『黄帝内経素問』宣明五気篇(23)
に、”脾は意を蔵する”という記載が出てきます。

 

これは、脾は”記憶”、つまりモノを覚える能力と関わることを示しています。

(短期記憶と言ってもいいでしょう。)

 

また『黄帝内経素問』刺法論(72)には、”脾は知恵袋のような臓”と出てきます。

 

このことから、東洋医学の言う「脾の臓」というのは、”短期記憶や思考”に大きく関与する臓腑であることが分かります。

 


短期記憶が出来ないとか、いつもボケーッとして思考力の低い人は、脾の臓が弱いのかもしれませんな。(笑)

 


2.「腎の臓」と精神の関わり

 

「腎の臓」についても「腎」って何ですか?(その11)シリーズに書いた通りですが、精神と「腎の臓」の関わりに関して補足すると、

『黄帝内経素問』宣明五気篇(23)
に、”腎は志を蔵する”という記載が出てきます。

 

これは、腎は”長期記憶(記憶の貯蔵)””適切な判断力”に関わる、ということを示しています。

 


また『黄帝内経霊枢』本神篇(8)には、”腎は精を蔵す”と出てきまして、また『黄帝内経素問』六節蔵象論(9)には、”腎は精の居所だよ”と出てきます。

 


ここでいう「精」の意味には狭義と広義がありますが、まあ、人体における”形体”の基になるもの、と考えてもらったらいいと思います。

”精”についてもそのうち詳しく書きましょう。)

 


3.「心の臓」と精神の関わり


これについても、

「心」って何ですか?(その7)
「心包」って何ですか?(その6)

 

あらかた述べてますので、まずはそっちを参照して下さい。

 

・・・まあ、あえて補足するとすれば、東洋医学では、精神、意識、感覚に関するあらゆる働きは「心の臓」が蔵する「神」が大元締め、と考えているということです。

 

ざっくり言えば、「心の臓」はちょうど、西洋医学における脳のような働きを付与されている面があるということです。

 

 


このように、「脾の臓」”意と智”に関与し、「腎の臓」”志と精”に関与し、「心の臓」”神”に関与し、それぞれが大きく、精神面の働きに関与します。

 


東洋医学の「脳」解釈の原点として、『黄帝内経』では、「脳」に関しては「髄海」と表現し、「腎の臓」との関わりが最も示唆されており、

『黄帝内経』よりも後代になってから、道教が脳と「脾の臓」「心の臓」との関わりを提示し、特別な意味を持たせ、明清代に入って、西洋医学とのディープな接触の中で、

東洋医学の中にも、「心の臓」「脳」の関わりを論じる動きが出てきた、という流れだと理解しています。

 

(歴史の専門家の方、もし違っていたらご教示ください。)

 

 


そう考えると、近世から近代に至る流れの中で、東洋医学では、「脳」というものの働きを解釈する上で、道教の見解を一定の参考にした、とも考えられるわけであります。

 

このように、道教と東洋医学というのは、長い長い歴史の中で、相互に影響を与え合っている側面があるように思います。

 


それ以外の宗教についても、同じことが言えるかもしれません。

 


こういったことに注意を払うことが、我々の臨床の助けになる面がある。

 

続く

 

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精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 5

2015.01.04

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これまでのお話

精神の中枢は「脳」か「心の臓」か
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 2 
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 3  
精神の中枢は「脳」か「心の臓」か 4     参照

 

では続きいきます!

 

前回の最後に、道教の「三丹田説」という言葉を出しました。

 


三丹田については、以前
「道教」って何ですか?(その9)に紹介しました。

 


これでいうと、ここまで語ってきた

「脳」
の存在する頭部に上丹田が置かれ、そこに”神”が蔵される、

とし、

「心の臓」
の存在する胸部には中丹田があり、そこには”気”が蔵される、

としています。

(東洋医学の考え方と違うんだけど、一定の参考にする価値はあると思います。)

 

 


ここまでの話の流れからして、何となく「脳=頭部」「心の臓=胸部」の重要性は分かりますね。

 


・・・今日は、”では、下腹部はどうなん?”というお話です。

 

道教では、下腹部には”精・気・神(三宝)”のうちの”精”が蔵され、そこは下丹田と言われています。

 

ここのことは、東洋医学でも”臍下丹田(せいかたんでん)”といって、非常に重要視しています。

 


下腹部にあり、”精”と関係の深い臓腑、ということになると、何と言っても「腎の臓」です。


「腎」って何ですか?(その11) 参照

 


腎は精を蔵し、生殖や成長に関わる重要な臓腑だ、というお話は、上記のシリーズにてしました。

 

我々東洋医学のバイブルの一つである『難経(なんぎょう)』という本に、面白い記載があります。

「腎の臓は二つある。

左を腎といい、右を命門(めいもん)という。

命門は神精の舎(やど)るところをいう。

男子はここに精を蔵し、女子はここが女子胞(子宮)と繋がっている。」

と。

(『難経』36難、39難より抜粋意訳 by竹下)

 


ここでいう”命門に舎る神精”というのは、単純な男女の精液のことではなく、腎の臓と心の臓の生理的な協調関係から生まれた、

大切なエキスである”神精”を蓄えている、という意味であり、これに関する『ハイブリッド難経』の割石先生の説によれば、

36難には”神精”と書き、39難で”精神”と書いたことで、上下の循環(心と腎の交流)を強調したことと、

”神”を蔵するのが心の臓、

”精”を蔵するのが腎の臓、

そして、心と腎の交流から生まれ、さらに脾胃の後天之気を受けた”精神”を蔵するのが命門(右の腎)、

ということが、難経の著者は言いたいのではないか、なんていう面白い解釈もあります。

(ここはちょっと一般の方には難しいかもですが。。。)

 


いずれにせよ道教では、上下(心と腎)の気の交流から、人の生殖や成長に重要な意味を持つ”精”というものが下腹部(臍下丹田)に蔵されているので、

ここを下丹田と呼んで、上丹田、中丹田と並ぶ、重要な意味を持たせた、という訳です。

 

それを「三丹田説」と言う、と。

 

続く

 

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腎の大事

2014.07.26

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五臓みんな大事。

 

東洋医学ではこれ(五臓)があらゆる生命活動の中心、主催者グループ、という立てつけになっている。

 


だから大事。

 

でも五臓それぞれ、その大事さが違う。

 

それは当然、受け持っている仕事が違うから。

 


 

腎の大事さはどうか。

 


ひとつには、腎は、背部の太陽膀胱経を支えている、ということ。

 


その太陽膀胱経上には、「五臓六腑の背部兪穴」という、超重要な経穴が並ぶ。

 


太陽膀胱経は、背部の広範囲(ほぼすべて)の気血の巡行に大きく関わる。

 


また、東洋医学の考え方では背骨に、五臓六腑はぶら下がっている。

 


背骨の周辺の気の流れも、太陽膀胱経が支配。

 


背部という、非常に臓腑と近い場所に、左右差や、寒熱虚実など、あらゆる異常を表現できるのは、太陽膀胱経の脈気あってこそだ。

 

で、それを支えているのが腎。

 

五臓六腑は、全て先天の精のバックボーンの下、仕事している。

 

 

先天腎の精気を前提として、後天脾胃を中心とした胃の気の働きによって生じた水(生理的津液)が、腎膀胱の排出再利用メカを通して、

 

結果的に五藏六府を正常に潤しているかどうかが、背部兪穴に現れる。

 

 


だから大事。

 

これが腎の重要性の、見逃せない、しかも見逃しがちな、ひとつ。

 

 

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