東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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(一社)北辰会関東支部講師研修会

2019.07.24

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清明院では現在、院内診療、訪問診療ともに多忙のため、求人募集しております!

 

 

募集内容の詳細はこちら!!

 

 

 

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7.22の月曜日は、関東支部の講師陣と新風先生で集まって、「支部講師研修会」をやりました!!

 

 

この研修会は、数年前から始めた企画なんですが、支部の講師で集まって、より良い講義はどういったものか、より良い指導法はどういったものか、

 

というのを研究し、指導力を向上させようというのが狙いの研修会です。

 

 

現状、鍼灸学校の教員になるには、二年間の教員養成課程(臨床教育専攻科)、あるいは鍼灸大学の修士課程を出なければなりません。

 

 

竹下も一応、東京衛生学園臨床教育専攻科を出ています。(笑)

 

 

専攻科では、鍼灸の指導に関する内容や、一般的な大学の教育学部でやるような教育学はもちろんのこと、「教育技法」といって、模擬講義を実際の教員の先生に聞いていただき、

 

批判して頂いたり、「教育実習」として他の鍼灸学校に行って授業を見学したり実際にやったりと、様々な経験をすることが出来ます。

 

 

しかし、北辰会やその他のような流派学派で講師をやる先生方は、特にそういった過程は経ずに、ある意味で「見よう見まねで」講義や実技指導を行うようになります。

 

 

そうでなくても指導内容や指導力というものにはバラつきが大きいのに、これだと、さらに大きくなります。

 

 

ですので、そこを是正、補強せんがために、講師間で教育内容や教育技法に関するコンセンサスを得るという目的もあって、数年前から私と新風先生とで企画して、

 

丸1日かけて、やっております。

 

 

分かりやすい講義とは何か、分かりやすい実技指導とは何か、限られた時間の中で、本質を外さずに上手くデフォルメするにはどうしたらいいか、

 

講師として教壇に立つ以上、こういったことには常に注意を払うべきだろうと思います。

 

 

15年くらい前から始まった北辰会方式の教育改革ですが、続々と本を出版し、教科書などの教材を整備して、自学自習の出来る人にとっては非常に学びやすい状況を整えつつ、

 

学術部としてさらにやらなくてはならないのは、座学と実技の両面における講師の先生方の教える技術の向上であります。

 

 

講師になって教えるということは、自分自身の学術の復習にもなりますし、一番勉強になるのは講師自身です。

 

 

ですので、一般会員の先生方にも、まずは徹底的に基礎を踏まえたのち、さらにという向学心向上心があるのであれば、大いに講師を目指してほしいですね。

 

 

そして、終わった後は酒。。。

 

 

土曜の夜から、三日連続、酒です。

 

 

昨日感じたけど、普段より空腹感が強い。

 

 

夜になると、酒を欲する感覚が強い。。

 

 

うーん、この欲求に任せていると危ないので、暫くは脾胃を休めます。。。(;’∀’)

 

 

 

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「五行」のはたらき 4

2019.04.21

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これまでのお話し

 

「五行」って何ですか?(その8)

「五行」のはたらき 1 

「五行」のはたらき 2       参照

 

 

 

◆従革とは。

 

 

さて今日は、これも聞きなれない金の性質、「従革」を説明します。

 

 

「金は従革」と定義したのも、紀元前5世紀ごろの書とされる『書経(尚書)』洪範です。

 

 

これは、中国隋代の蕭吉(しょうきつ)によって撰述された『五行大義』によれば、

 

「従」・・・範(のり)に従い

 

「革」・・・更(あらた)まる

 

という意味だそうで、金属が溶けて容器や刃物など、様々な形に姿を変えることからこの性質が言われるようになったそうです。

 

 

また、後漢の許慎の『説文解字』では、「金は禁」といわれ、金の時季である秋になると、自然界の陰気が盛んになりだし、万物の成長が止まる(ある意味で成熟する)、と説明します。

 

 

それを「粛殺の気」と言います。

 

 

これは、以前にも書いていますが、8月の立秋の頃になると、朝晩の空気、風に微妙に出てくる、あの感じのことです。

 

秋燥の気   参照

 

 

 

また「金」という漢字の中には「土」が隠れており、間にある「’ ’」は、金属が土の中で光っているさまを示す、と説明します。

 

 

 

「金」は方位(空間)では西方、季節では秋です。

 

 

 

西方は日が沈む方角、死の世界ですね。

 

 

 

しかしこれも大事な自然の摂理です。

 

 

 

天の道理に順う粛殺は、新しいものを生み、発展の方向に向かうのですが、天の道理に従わない粛殺は、かえって新しいものを生まなくなり、

 

衰退を招くという、重要な教えが含まれています。

 

 

 

「金」は臓腑経絡では肺の臓(手太陰肺経)と大腸の腑(手陽明大腸経)、経穴では陽経の井穴と陰経の経穴です。

 

肺・大腸    参照

 

 

 

臓腑では稼穡の土は脾胃で、従革の金たる肺大腸とはいわゆる相生関係にある訳ですが、これが経絡的には太陰経と陽明経で手足一対になっていることも興味深く、

 

流注の順序からしても肺→大腸→胃→脾と密接であり、陰陽ともに気血が旺盛(太陰と陽明)、というのも意味深いですね。

 

 

十二経の流れの順調度合いは、胃の気の充実(一つには稼穡力)からの肺金の従革力(死と再生)ありきな訳です。

 

 

 

また、金(従革力)に関与する経穴を実際に動かす時は上記のような考えを持つと、診どころが変わってくると思います。

 

 

 

例えばよく使う陽経の井穴刺絡とか、霊道穴とかね。(゚∀゚)

 

 

 

続く。

 

 

 

 

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補中益気湯について

2019.03.08

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ここまでのお話し

 

四君子湯と六君子湯

平胃散について 

安中散について

大建中湯について

小建中湯について  

小建中湯について 2   参照

 

 

別にシリーズ化する気もなかったんだけど、書き始めたら何となく、

 

「あれも書いとこ、これも書いとこ。」

 

ってなって、徐々に続いてしまった、この「脾胃モノ有名漢方薬」シリーズ。(笑)

 

 

特に脈絡もなく、患者さんを診ていて、よく使われているものを書いています。

 

(こんなん書いてたら、キリがないね。。。)

 

 

もちろんながら、漢方薬というのは、鍼灸と同じように、芯となる流儀や考え方に基づいて、論理的整合性、一貫性をもって処方されるべきもので、

 

決して症状のみ、病名のみから場当たり的に処方されるものではないと理解しています。

 

 

だから僕は、全くの素人さんが、エキス剤とはいえ、ドラッグストアで簡単に漢方薬を購入できる現状、ネット通販で自分の症状から調べて入手しては、

 

サプリメント感覚で次から次に試しまくる現状にも、正直反対です。

 

 

もちろん、自分で鍼や温灸を買って適当に試すことにも、厳しいようですが反対です。

 

 

僕は鍼灸臨床家であり、畑は違いますが、今後も優れた漢方家の先生方と協調しながら、真面目に東洋医学をやっていきたいですね。(^^)

 

 

前置きが長くなりましたが、今日は「補中益気湯」です。

 

(これで一応いったん締めとしましょう。)

 

 

実は2013年の記事に、チラッと登場しました。

 

金元の4大医家 李東垣(りとうえん)   参照

 

 

この方剤の出典はあの中国金元の4大医家の一人、李東垣(1180-1251)先生『脾胃論』であり、『中医臨床のための方剤学』によれば、構成生薬は

 

人参9g、白朮9g、黄耆15~30g、当帰9g、柴胡3g、陳皮6g、炙甘草6g、升麻3g

 

となっています。

 

金元の4大医家 朱震亨(しゅしんこう)

金元の4大医家 張従正(ちょうじゅうせい)

金元の4大医家 劉完素(りゅうかんそ)       参照

 

 

効能は補中益氣、昇陽挙陥、甘温除大熱であり、主治は気虚下陥、気虚発熱とあります。

 

 

まあ要は、”黄耆”という生薬を主薬とし、結果的には中焦の気(脾気)を補って、気を昇らせ、脱肛や子宮脱などの”中気下陥”の症状を改善させ、

 

場合によっては気虚発熱を改善するという目論見の薬です。

 

 

李東垣は『内外傷弁惑論(1247)』の中で、発熱には外邪が入って邪正闘争の結果発熱するものと、脾胃が弱ったことにって発熱するものがあり、

 

脾胃が弱った場合については甘温剤で脾胃をフォローすることによって清熱することが出来ると主張しました。

 

 

ここで重要なのは、熱証モノは脾胃を補えばいい、という理解ではもちろんなく、その熱証症状、所見が、”何によるものなのか”を鑑別診断できる物差しを身に付けることですね。

 

 

この物差しになるのが脈診、腹診をはじめとした”多面的観察”であります!!

 

 

患者さんが、

 

「先生風邪ひいたー。。熱が出たー。。。」

 

と、言っていたからといって、それがどういう病因病機によるものなのかに対する理解ですね。

 

 

意外と臨床上、脾胃を補うことによって熱証症状が取れていくことはあります。

 

 

アトピー性皮膚炎なんかでも、たまに経験しますね。

 

 

実際に漢方家の先生の中には、補中益気湯を使ってアトピーに効果を挙げておられる先生も少なからずおられるようです。

 

 

刮目すべき理論です。

 

 

 

 

 

 

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小建中湯について

2019.03.04

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ここまで、中焦(脾胃)の異常に対してよく処方されている漢方薬を、いくつか紹介してきました。

 

四君子湯と六君子湯

平胃散について 

安中散について

大建中湯について     参照

 

 

前回、大建中湯を紹介したので、なんか小建中湯を紹介しないのは気持ちが悪い。。。

 

 

・・・ということで、ついでなんで小建中湯を紹介します。(゚∀゚)

 

(処方されている患者さんも結構いるしね。)

 

 

小建中湯も、大建中湯と同じ「温裏剤」のグループです。

 

 

出典はもちろんあの『傷寒論』ですから、約2000年の風雪に耐えてきた名方と言えます。

 

『傷寒論(しょうかんろん)』という本

「張仲景(ちょうちゅうけい)」という人物

墓マイラー 27(番外編) 張仲景先生

 

 

この処方は非常に有名です。

 

 

漢方薬の王様の一人と言っていい、「桂枝湯」という薬がありますが、この桂枝湯の中の「芍薬(白芍)」という生薬を倍の量にしたのを「桂枝加芍薬湯」といい、

 

それに「膠飴(こうい:みずあめ)」を加えたのが「小建中湯」です。

 

 

『中医臨床のための方剤学』によれば、効能は温中補虚、和裏緩急、主治は中焦虚寒、脾虚肝乗とあります。

 

 

・・・おっと、ここまで書いたら時間切れ。

 

 

続きは次回。(笑)

 

 

 

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大建中湯について

2019.03.03

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ここまで、四君子湯を処方されていた患者さんがたまたま見えたことをきっかけに、脾胃が病んだ時の処方についてツラツラと書いてみた。

 

四君子湯と六君子湯

平胃散について   

 

 

もちろん、湯液の専門家の先生から見たら笑っちゃうような、超大づかみの内容であり、間違いや曲解もあるかもしれないが、そもそもこのブログを専門家向けに書いたことは、この10年間、ほぼない。

 

 

あくまでも、この医学を全く知らない人、あるいは懐疑的な人(つまりほとんどの日本人(苦笑))を中心に、専門的な内容といっても、せいぜい初学者やディレッタントに向けて、

 

この医学の特長、特性を少しでも知ってもらおうと、書いている。

 

 

一応自分なりに調べた上で書いているつもりですが、もし間違い等があったら、すぐに修正しますので、ぜひご教示いただきたい。

 

 

・・・まあともかく、昨日、「安中散」と方意が似ている方剤として、「大建中湯」に触れた。

 

 

この方剤、意外と現代の消化器外科のドクターが処方することが多いようだ。

 

 

なぜなら、大腸癌術後の腸閉塞(イレウス)に有効であるという論文が出ているからだそうだ。

 

 

論文等については、大建中湯ツムラさんの説明書に簡潔に紹介されている。

 

 

このように、東洋医学的な整体観、人体観、疾病観に則った、弁証論治の結果としてではなく、西洋医学的な病名に基づいて、論文で有効性が一定認められているから、

 

という理由で、漢方薬が乱用されているケースが少なくないようだ。

 

 

実際にこれを処方している医師に、『金匱要略』や、その後の名医が残した「大建中湯」に関する諸文献を読んだ上で使用している先生は少ないのではないだろうか。。。

 

 

全く東洋医学の教育を受けたことがない医師が、腹診も脈診も舌診もせず、東洋医学的な人体観(臓腑経絡学説や病因論等々)や、弁証問診もしない中で、

 

西洋医学的病名のみを頼りに同一の漢方薬を長期に乱用する。。。

 

 

・・・これはー、どうだろうか。

 

 

やはり、この考え方は、生薬資源の無駄遣いに、繋がらないだろうか。

 

 

私の知己の、漢方家は、みな口を揃えてそう言っている。。。

 

 

脾胃の病といっても、ここまで紹介したパターンもそうだし、まだまだ他にも、たくさんある。

 

 

それを的確に分析し、良化や悪化の流れを考えて、その時点で最もフィットする方剤や、鍼灸で言えば配穴や手技を選び、経過に応じて加減していくことが出来るのが、東洋医学の叡智だと思うんですが。。。

 

 

 

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安中散について

2019.03.02

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ここんとこ、

 

四君子湯と六君子湯

平胃散について

 

という記事を書きました。

 

 

ついでなんで、中焦(脾胃)モノを、もうちょっと書いときましょう。

 

 

単純に脾胃の病と言っても、寒熱虚実、他臓腑との関わり、色々あるんです。

 

 

それをきちんと分析して、きちんとした処置をしていかなかったら、治るもんも治りません。

 

 

今日は「安中散」です。

 

 

こないだ、これを処方されている胃痛、パニック障害の患者さんが見えました。

 

 

マズマズ効いていたようです。

 

 

これも出典は中国宋代、『和剤局方』であります。

 

 

『中医臨床のための方剤学』によると、

 

組成は肉桂(桂枝)4g、延胡索3g、牡蛎3g、小茴香1g、甘草1g、縮砂(砂仁)2g、高良姜1g

 

効能は温中降気、止痛

 

主治は裏寒の疼痛

 

と、あります。

 

 

これは「温裏剤」のグループであり、『金匱要略』に出てくる、有名な「大建中湯」の附方(方意が類似している薬)として紹介されています。

 

『金匱要略(きんきようりゃく)』という書物   参照

 

 

要するに中焦を温めて寒邪を散らし、冷え痛みをとるのが方意な訳ですが、方意が似ているのに、組成はまったく違います。(苦笑)

 

 

ここが漢方の面白いところなんでしょうね。

 

 

・・・まあ、鍼灸もそうですね。

 

 

同じ効果を狙って、全然違う経穴に、全然違う鍼灸をすることは、日常的にあります。

 

 

「大建中湯」の場合は、脾胃+主に肺腎を意識しながら、急いで冷えと上逆を取りにいく方剤であるのに対して、「安中散」脾胃+主に肝を意識して、

 

長期的な冷えに対して、”理気”というアプローチをかけていますね。

 

 

鍼灸でも、大建中湯的な効果を狙うのと、安中散的な効果を狙うのとでは、配穴から手技から違います。

 

 

・・・ところで「大建中湯」は、消化器外科でエラク使われるようです。

 

 

これにも触れときましょうか。

 

(キリがねえなー(;’∀’))

 

 

 

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平胃散について

2019.03.01

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昨日、四君子湯と六君子湯という記事を書きました。

 

 

ついでなんで、比較的有名にして、「六君子湯」と似ているところのある「平胃散」についても書いておこうと思います。

 

 

・・・まあ、僕は鍼灸の臨床家でありますので、これらの薬の、より臨床的な解説は、漢方家の先生のサイトにお任せするとして、これらの方剤の使い分けの際に考えるような内容が、

 

我々の臨床においても、微妙に配穴や補瀉やその評価に関わってくるんだよ、という話でも書いておこうと思います。

 

 

「平胃散」の出典も、「四君子湯」と同じく、宋代の国定処方集である『和剤局方』であります。

 

 

この『和剤局方』は、以前紹介した森道伯先生の臨床にも出てくる、大変重要な処方集ですね。

 

一貫堂医学について 9(矢数格(道斎)先生の治療) 参照

 

 

『中医臨床のための方剤学』によれば、平胃散「袪湿剤」のグループであり、処方構成は蒼朮15g、厚朴9g、陳皮9g、甘草4gとあり(生姜、大棗を含める場合もあり)、

 

効能は燥湿運脾、行気和胃、主治は湿困脾胃とあります。

 

 

四君子湯六君子湯と違って、人参、白朮、茯苓ではなく、蒼朮を多めにドーンと入れてあることで、「燥湿(湿邪を乾かす)」の効果を主に狙っている訳ですね。

 

 

つまり、湿邪の邪気実によって、脾胃の働きが抑えられているものに対する処方な訳です。

 

脾・胃   参照

 

 

四君子湯、六君子湯”補法(補気)”をベースとした世界とは違う、”瀉法(袪湿)”の世界ですね。

 

 

中国清代の傳山(1607~1684)の『傳青主女科』では、この処方に朴硝(含水硫酸ナトリウム)を加えて、死胎の娩出に使っているというから、興味深い。

 

 

清明院もここ最近、二十四節気では「雨水」に入り、「啓蟄」の前であり、月齢では新月に向かい、こないだの雨で気温がガクンと下がり・・・、

 

という流れの中で、まさに「平胃散証」、という患者さんがチラホラ見えました。

 

 

これは鍼でやるなら、足三里豊隆を瀉法か?あるいは太白を瀉法か??

 

 

それとも脾兪胃兪か?

 

 

あるいはお灸でやるか??

 

 

どれが一番、平胃散チックか??

 

 

 

こう考えながらやるってのも、楽しいもんだねー(゚∀゚)

 

 

 

 

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四君子湯と六君子湯

2019.02.28

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こないだ、患者さんで、「四君子湯」という漢方薬を処方されている方がいらっしゃった。

 

 

・・・そこでふと、昔のことを思い出した。

 

 

ずいぶん前のことだが(15年以上前かな?)、蓮風先生が実技デモで腹診をしながら、

 

「これは四君子湯の証や!四君子湯と六君子湯は違うぞ!!どう違うか、お前分かるか!?」

 

と、当時の講師の先生が指されて、その先生が答えられずにアワアワしていたのを思い出した。

 

 

そのあと確か、太白に鍼をなさっていたように思う。

 

 

・・・で、当時、帰ってから、四君子湯六君子湯の違いについて一生懸命調べたことがあった。

 

 

久々に思い出したんで、ここに書いておく。

 

 

 

 

四君子湯の出典は中国宋代の国定処方集である『和剤局方(1110)』で、この方剤は『中医臨床のための方剤学』では「補気剤」のグループの薬だ。

 

「補気剤」の代表選手、といってもいい方剤みたいです。)

 

 

内容は人参6g、白朮9g、茯苓9g、炙甘草6gとのこと。

 

(本によって別説もあるようだが。。)

 

 

効能は益気健脾、主治は脾気虚とある。

 

 

人参炙甘草で津液を補い、白朮、茯苓では湿邪を取る、この相反する作用をもって、全体としては脾の臓の弱りをフォローする薬、というワケだ。

 

(相反する作用を持つ生薬をあえて配合して、結果的に効果を高める、これを相反相成というそうです。)

 

 

それに対して、六君子湯はどうか。

 

 

出典は明代の虞摶(ぐたん 1468-1517)による『医学正伝(1515)』だそうで、四君子湯よりもずいぶん後になって考案された処方らしいですが、

 

これも分類的には「補気剤」のグループで、四君子湯脾気虚がさらに進んで、脾胃ともに気虚(脾胃気虚)を起こし、さらに湿痰を生じているものに対する方剤で、

 

前述の四君子湯の4味に加えて、和胃降逆の作用を持つ小半夏湯の内容(半夏・生姜)を加え、さらに理気健脾、燥湿化痰陳皮と、補脾、養営大棗を加え、

 

全部で8味もの、やや複雑な構成になっている。

 

 

総じて効能は補気健脾、和胃降逆、理気化痰、主治は脾胃気虚痰湿、ということになる。

 

 

清代の名医で有名な程国彭(ていこくほう 1662-1735)『医学心悟(1732)』に、

 

「・・・気虚挟痰、清陽不昇、濁陰不降、即上重下軽、六君子湯主之。・・・」

 

と、簡潔に述べているように、臨床的には脾胃の弱りによって中焦から上昇(特に上焦)に痰湿が停滞しているものに使うとある。

 

 

四君子湯六君子湯も、どちらも脾気虚を補うという点では同じだが、六君子湯の場合は胃の気虚痰湿の邪実が射程に入っている、ということですね。

 

 

鍼では、四君子湯の場合は大白への補法でいいと思うが、六君子湯の場合は、大白だけで終われるのは相当腕達者だと思う。

 

 

二穴に分けるか、腹を使うか・・・。

 

 

いずれにせよ、所見も評価も、全然異なる。

 

 

 

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「腹哀」という経穴 ②

2019.01.25

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前回のお話し

 

「腹哀」という経穴 ①     参照

 

 

◆「哀」をどう考えるか。

 

 

360以上ある経穴のうち、「哀」という文字が使われているのは「腹哀」一穴のみです。

 

 

経穴の名前に「哀しい」「哀」とはどういうことかと、それだけでも興味をそそります。

 

 

東洋学術出版社『針灸経穴辞典』によると、

 

「哀」は泣き叫ぶという意味があり、腹痛の際に腹鳴が泣き叫ぶように聞こえるからこの名がついた

 

とあります。

 

(マジかいな(笑))

 

 

燎原『針灸経穴名の解説』によれば、上記の説明とともに、『春秋繁露』の、

 

哀気は太陰となし、季節は冬に当たる」

 

という文を引用し、

 

従って哀気は陰を主とし、陰は閉結しやすいので腹痛、消化不良、大便膿血を主とする

 

と説明しています。

 

(これは少し臨床的ですね)

 

 

近代文藝社『鍼灸経穴名の解釈と意義』によると、上記以外の解釈として、『会元針灸学』という本から引用し、

 

「哀」は乞い求めること、腹は脾胃の消化吸収の働きを乞い求めることからこの名前がついた

 

と、分かったような分からないような説明が書かれています。(苦笑)

 

 

また、上記の説明は全て青島出版社『中国針灸穴位通鑑』にも記載されていました。

 

(中国語だけどね。引用文献の漏れのなさでは、やはり経穴書の王様です。誰か完訳版書かねえかなー♪(*‘∀‘))

 

 

因みに『中国針灸穴位通鑑』には、『釈名・釈義語』から引用して「哀は愛なり」という、なんかカッチョイイ解説もありました。(笑)

 

 

昨日書いたように、僕が以前から着眼していた、「腹哀」穴の”横並びに重要経穴多いよね”問題に着眼している解説は、上記各書には残念ながらなかったが、

 

なんと先日紹介した『経穴名辞攷』には、このことがバッチリ書かれていた。( ゚Д゚)

 

『経穴名辞攷』    参照

 

 

小田規矩之介先生と、着想がカブっていたことが嬉しかった。(笑)

 

 

 

続く

 

 

 

 

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「肺胃不和」という証 7

2018.08.27

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これまでのお話

 

「肺胃不和」という証 

「肺胃不和」という証 2 

「肺胃不和」という証 3

「肺胃不和」という証 4  参照

 

 

 

◆「不和」には五種類ある。

 

 

ここまで、僕が臨床上けっこう目にする「肺胃不和」について語ってきました。

 

 

ま、「肺胃不和」という熟語は、『中医弁証学』という本なんかでは「病証」としては紹介されていないのですが、清明院の臨床では「肺胃不和」と証を立てて治療し、

 

うまくいくことは全然普通にあります。

 

(以前チョロッと紹介したね。)

 

最近の症例 ⑤ 慢性扁桃炎、咳   参照

 

 

まあしかし、仮に「肺胃不和」という証が立ったとしても、それで安心はできません。

 

 

今日は最後にまとめとして、それを喋って終わります。

 

 

「〇〇不和」という証は、他にも有名な「肝脾不和」「肝肺不和」「脾胃不和」「肝胃不和」なんかがありますし、似た言い方では「心腎不交」「脾虚胃実」「肝火犯肺」などなど、

 

二つの臓腑にまたがる病(臓腑兼証)、というのはよくあります。

 

 

それどころか、3臓腑、4臓腑にまたがった病というのもあります。

 

 

この時に考えなくてはならないのは、どっちの臓腑がどれくらい悪いか、先に処置するべきはどっちか、という「ウエイト」「優先順位」の問題です。

 

 

肺の臓胃の腑が同時に病んでいて、「肺胃不和」という状況であれば、当然ながら、肺と胃、どっちがどの程度病んでいるか、という考え方は必須です。

 

 

で、これ、大きく分けると5パターンあります。

 

 

つまり不等号を入れて比較すれば「肺>胃」「肺≧胃」「肺≒胃」「肺≦胃」「肺<胃」の5つです。

 

 

この考え方を頭の中で行うことにより、「主従」が明確になり、これにさらに「標本」を考えてタクティカルに治療を進めていくことが出来ます。

 

「標本」を含む記事

「主従」を含む記事    参照

 

 

しかもこのウエイトは固定的でなく、治療効果や患者の養生の状況によって、経過の中で変動してきます。

 

 

それに上手に合わせることが出来ると、治療がスッスッスッといきます。(^^)

 

 

・・・でもこれ、まさに「家庭内不和」と同じで、理論的には簡単でも、実際はなかなか難しかったりします。(笑)

 

 

それを冷静に冷静に、根気よく根気よく、調整するのが我々の仕事だと思います。

 

 

言わば別れそうになっているカップル、夫婦の「仲直らせ屋」みたいなもんですな。(゚∀゚)

 

 

 

おわり

 

 

 

◆参考文献

 

『中医弁証学』東洋学術出版社

『中医病因病機学』同上

『基礎中医学』燎原

『全訳中医基礎理論』たにぐち書店

『基礎中医学』谷口書店

『蔵象学説の理論と運用』創医会

 

 

 

 

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