東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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Dr’s Prime Academiaで喋ってきました!

2023.06.10

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5.20(土)は再び医師、医学生のための勉強会「Dr’s Prime Academia」さんにて喋らせて頂きました!!

 

 

2023年の3月からは、新シリーズ「東洋医学へのいざない 生理学編」と題して、私がこの20年、いつも大事にしてきたと言っていい、「臓腑経絡学」の世界を、シリーズで展開しています。

 

 

 

 

今回の講義内容は「東洋医学へのいざない 生理学編③  臓腑経絡学の世界(胃・脾)」

 

 

脾と胃に関しては、以前ここにも書きました。

 

「胃」って何ですか?(その10)

「脾」って何ですか?(その9)

カテゴリ「脾・胃」                 参照

 

 

 

まあ、当たり前ですが、東洋医学には、それ独特、固有の生理学(人体観)があります。

 

 

それが、どう破綻したのかを考える、独特の病理学があります。

 

 

で、それを治療するための治療学があります。

 

 

鍼灸、漢方は、この考え方の産物です。

 

 

ごまかしの利かない医療の現場で、それの実践を数千年続けてきたのが、中国伝統医学の歴史です。

 

 

生理学が最初にきちんと認識できてないと、鍼灸漢方を使っても、それは中国伝統医学とは言えない、異形の医療になります。

 

 

 

医師、医学生の皆様、引き続きお楽しみに!!

 

 

 

 

 

 

 

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(一社)北辰会、第12回古典ライブを視聴しました。

2022.06.17

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6.5(日)の朝に行われた、(一社)北辰会会員限定企画である古典ライブ講義を視聴しました!!

 

 

今回も岡本一抱(1655-1716)『万病回春病因指南』を題材に、「嘔吐・翻胃(おうと・ほんい)」というテーマでの講義でした。

 

 

これねー、意外と多いんです。

 

 

特に若い人で。

 

 

最近も、消化器内科の先生から、比較的若い患者さんの「FD(Functional dyspepsia 機能性ディスペプシア)」の患者さんを紹介して頂き、何例か診ているところです。

 

 

実は僕自身も、20代のある時期に、一過性でしたが、嘔吐癖のようなものがついてしまったことがあって、以前はお酒を飲んでも相当飲まなければ吐くことはなかったのですが、

 

少し飲んだだけで吐くようになり、酒を飲んでいなくても常に悪心があるような状態となり、結構苦労した思い出があります。苦笑

 

 

また、患者さんでは、もう10年以上前ですが、すい臓がんの末期の患者さんで、亡くなる寸前まで診させてもらった患者さんでしたが、最後はもう黄疸が出て、嘔吐が止まらず、

 

吸い飲みの水や、自分の唾液を少し飲んだだけでも真っ黄色の胆汁まで吐いてしまい、非常に可哀想だったのをよく覚えています。

 

(まさに今回の講義で言う”翻胃”、”上膈”の病の状況だったんでしょうね。)

 

 

このように、軽症から重症まで、非常に様々な思い出がよぎる嘔吐ですが、今回の講義では「胃の冷え」に注目しつつ、「脾胃は寒熱の偏りを嫌う」ことに着眼せよ、という内容で、非常に参考になりました。

 

 

具体的には、嘔吐を治す時に、もし胃の冷えが原因のものであれば、生薬では生姜や山椒が重要になるということです。

 

 

酒ばっか飲んで嘔吐する人に、乾姜を使うことが重要とは、湿熱や湿痰を攻下する事ばかりを考えていた、20代の頃の僕にはほとんどない視点でしたね。笑

 

(・・・あの当時、とある有名な漢方の先生が、僕に対して温剤を処方した意味が、少し分かりました。)

 

 

まあ、平たく言えば、吐くことによって邪気を排出する側面と、吐くことによって正気が傷られる側面があり、そのバランスをよく考え、かつ、吐くことの原因を慎重に追及しないと、なかなか治らないよ、ってことですね。

 

 

あとは、酒飲んだら、基本的には運動と利尿が重要で、むやみに下したらいけないよ、とか、奥村先生が以前から盛んに研究されている「膜原」に対する理解、というのも、重要な指摘ですね。

 

 

やはり膈膜ライン、帯脈ライン、その中心にある胃土エリアは重要だ、というところに行き着きますね。

 

 

また、今回も奥村先生の古典研究の精緻さが光っており、日本の江戸期の古典の中に引用されている、中国の古典にさらに当たって、その文章の内容の違いから、

 

各時代、各国の先生方の考えを類推するという、ベーシックだけど非常に重要な研究方法で、いつもながら、頭が下がる思いがしました。

 

 

こうやって、臨床上よくある症状でも、歴史を掘り下げると、非常に奥が深いことがよく分かりますね。

 

 

なお、本ライブ配信は北辰会会員限定企画です。

 

 

これを機に入会の方はこちらからぜひ!!

 

 

 

 

 

 

 

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第39回、順天堂東医研で喋ってきました!!

2022.03.28

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3.24(木)の夜は、第39回の順天堂東医研で喋ってきました!!

 

 

2月に行われたシンポジウムも大変盛況で、5月にはスピンオフ企画としてのイベントも行われるとか。。。

 

(また告知があると思います。)

 

 

コロナ禍によって思いがけず全国に広げることが出来たこの活動、是非とも、多くの医学生に参加して頂きたいと思いますね。

 

 

 

 

今回の講義テーマは

 

「東洋医学のキホン 臓腑経絡学 脾胃 -2022-」

 

「東洋医学的診察法③ 腹診 -2022-」

 

の二本立てです。

 

 

実はこの二つの講義は、2019年に私が順天堂東医研で行った講義であります。

 

(なのでリビルドバージョン、という意味を込めて―2022―と銘打ってある訳です。)

 

 

コロナ禍以降、順天堂東医研はオンライン講義になったので、2020年の春以降の講義に関しては、全て動画で残っているんですが、2019年に私と長瀬先生がやった講義は、資料は残っているものの、講義動画は一切残っていません。苦笑

 

 

これでは、基礎理論に関しては同じ講義を何度も何度も、何年もしなくてはならないので、永久不変である東洋医学のキホン部分については、全て資料とともに動画で残してアーカイブ化しよう、ということになりました。

 

 

ですので今回、最新情報を加えてスライドをリビルドし、再講義している訳です。

 

 

あと1回講義すれば、2019年に私が喋った分に関しては完全映像化終了です。

 

 

次の扉を開くことが出来ますね。。。(^^)

 

 

今回は初めて参加なさる大学の学生さんも多く、非常にいい質問が飛び交って、2コマ終わって懇親会の1時間も、機嫌よく喋ってたらあっという間に3時間経ちました。笑

 

 

体感時間は一瞬でしたね。

 

 

当日の質問の中には私の知らなかった内容もあり、また翌日も質問を頂き、自分自身も非常に良い復習が出来ています。

 

 

さて、世の中はネガティブな情報で溢れかえっていますが、この活動は、2022年度も楽しみですね。

 

 

 

 

 

 

 

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(一社)北辰会、第7回古典ライブを視聴しました!!

2021.12.01

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11.24(水)の夜は、(一社)北辰会会員限定企画である古典ライブ講義を視聴してきました!!

 

 

11.24は二十四節気では小雪ですね。

 

 

立冬を過ぎ、冬至に向かう段階、養生が重要です。

 

 

今回のテーマは「鼻病」です。

 

 

 

最近で、鼻病に関するホットな話題といえば、コロナ後遺症の「嗅覚障害」ですね。

 

 

まあ、コロナに限らず、インフルエンザでも、普通のカゼであっても、熱が下がったり、食事がとれるようになったりして、ほぼほぼ回復した時に、嗅覚障害だけが残る、なんてことは、よくある話ですね。

 

 

私も最近、コロナ後遺症の嗅覚障害に関しては、数例ですが治療にあたらせて頂きましたが、そこまで深刻なものは少ないようで、普通に治療すれば順調に回復するものが多いようです。

 

 

 

・・・さて、これから第6波がどうなるか。

 

 

まあ、あとは「鼻病」と言えば花粉症や副鼻腔炎など、日常的によく診る訴えではないでしょうかね。

 

 

 

 

鼻病を診る上で特に重要なのは、表面的な冷えによって、鼻に熱が籠って、鼻塞や嗅覚障害が起こっているものです。

 

 

また、鼻は天門、口は地戸、その間に「人中」という経穴がある、よって、気付けで人中を使う意味を考えることが出来る、という話も、個人的には好きでしたね。笑

 

 

五臭は天、五味は地、五味の異常は重視されるけども、五臭の異常は軽視される場合がある。

 

 

鼻は明堂とも言われる重要な部位で、鼻病を軽視してはならない。

 

(因みに、上星穴の部分を明堂という古典もある)

 

 

 

その他、酒製大黄といって、大黄を酒で洗って使ったり、酒に浸して使ったりすることで、薬効が及ぶ位置を変えることが出来る、とか、脾胃へのダメージを軽くできる、とか、

 

そういった、漢方薬を理解するうえで欠かせない「修治」のお話や、以前このブログでも紹介した「一貫堂医学」の処方群で重要視される「黄連解毒湯」「荊芥連翹湯」のお話し、

 

さらに菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』本郷正豊『鍼灸重宝記』その他の江戸期の重要な伝統鍼灸古流派の諸文献のお話し、

 

印堂と肺、奇穴の鼻通と胆などなど、重要な話が飛び出しまくるこの講座、是非チェックしてください☆

 

 

また今回も、漢方医である竹本喜典先生からもコメントがあり、厚みがありましたね。

 

 

まあ、まさに北辰会の飲み会みたいな内容なんですが(笑)、講義用にきちんと整備された内容になっていますので、これを2000円で聴けるのは安すぎると思います。

 

 

 

会員の方は勿論、これを機に入会の方はぜひ!!

 

 

 

 

 

 

 

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(一社)北辰会、第5回古典ライブを視聴しました!!

2021.09.17

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9.15(水)の夜は、(一社)北辰会会員限定企画である古典ライブ講義を視聴してきました!!

 

 

水曜日は毎週、東洋鍼灸専門学校での講義なので、21:10まで講義なんですが、学校を出て、21:15くらいからスマホで講義を聴きながら、

 

チャリこいで家に帰り、家で片付けと明日の準備をしながら、講義を聴けるという素晴らしさ。

 

 

もう、オンライン講義なしでは生きていけない。。。笑

 

 

しかも、分かりにくかったところを翌日にOD配信で確認できるというお得さ。。。

 

 

北辰会会員に限らず、対面実技指導が受けられないコロナ禍のうちに、しっかりと学術のレベル、特に「学」のレベルは、最高まで高めましょう。

 

 

臨床家にとって、学と術は両輪の輪です。

 

 

今回の第5回古典ライブのテーマも

 

「古典に学ぶ病因病機 ~万病回春病因指南を題材として~」

 

であり、今回は

 

「内傷(脾胃)」

 

にフォーカスした内容でした!

 

 

奥村学術部長の圧倒的知識量と、新風代表のサクッとしたまとめ、というコンビネーションで語られるこの講義ですが、回を重ねるごとに分かり易さが増している感じがあります。

 

 

今回は、今の晩夏~初秋の時期にタイムリーな「内傷」で、主に金元の4大医家の一人である李東垣(1180-1251)の説を引きながら、

 

内傷のほとんどは中気(中焦の気≒脾胃の働き)が関係している、従って脾胃に着眼した治療は重要、という内容でした。

 

(なかなかの極論ではありますが。。。)

 

 

食欲の秋であり、また、夏の間にした暴飲暴食の影響が悪い面で出てきやすい時期でもありますので、このことについて知っておく、意識するのはとても重要です。

 

 

今回は、なぜか僕だけ(苦笑)画面がフリーズしましたが、どうにかリカバリーできました。(^^;

 

 

まあこういう不具合とか操作上の問題なんかも、今後の5Gの時代ではどんどん改善されてくるのでしょう。

 

 

こうやって何回もやっていくうちに、講師の方も、視聴者の方も、オンライン講義に慣れて、コロナもまだまだ長引きますから、今後は座学はこれが間違いなく主流になることと思います。

 

 

こんな便利なことに慣れたら、もはや以前に戻れるわけないですな。(*‘∀‘)

 

 

今回、印象的だったのは、「補中益気湯の中に柴胡と升麻が入っていることの重要性」というお話。

 

 

金元の4大医家の中でも、特に脾胃の働きを重視し、”補土派”と言われる李東垣(1180-1251)が創方した薬として有名で、現代の臨床でも非常によく使われる「補中益気湯」という薬(補気剤)があります。

 

 

これの中身(構成生薬)は、各古典によって多少の違いはありましょうが、基本的には

 

人参・白朮・黄耆・当帰・柴胡・陳皮・炙甘草・升麻(by『中医臨床のための方剤学』)

 

なのですが、この薬の中に入っている柴胡と升麻は、表証の薬(辛凉解表薬)でありながら、補気剤に配合すると升陽作用を発揮します。

 

 

これを鍼で表現しようとすれば、脾胃を補う配穴に、臨泣などの木気を巡らせる配穴を足すと、補中益気湯のそういう側面が表現できたりします。

 

 

臨床上、上實下虚や上熱下寒、いわゆる冷えのぼせや、人体の上下のアンバランスが起こった状態の患者さんに接する機会は多いですが、

 

意外と中焦脾胃に注目して「補気昇提」という考え方で治療するとうまくいくケースがあります。

 

 

何でも清熱や降気を考えりゃいいってもんじゃない。

 

 

中焦を補気し、清陽を押し上げることで、かえって邪気が降りる、足が温もる。

 

 

ここもなかなか、東洋医学の臨床家の腕の見せ所でしょう。

 

 

改めて、よくよく考えておくべきだと思いましたね。

 

 

また、以前から奥村先生が深く研究されている腹診論に関して、先天易と後天易と境界と、木土の五行の相生相剋の話、また、味岡三伯門下で岡本一抱(1655-1716)の同期で、

 

弟子の中の四傑といわれる浅井周伯(1643-1705)の子孫が記したと言われる「五蔵決用圖」の話など、今回もなかなか含蓄のあるお話を頂きました。

 

 

まあ簡単にいうと、江戸期の医家は腹部に宇宙を見て、治療をやっていた、ということですね。

 

 

これを壮大で、スケールが違う!美しい!!と取るか、Primitiveととるか、非科学的でとるに足らない、思弁的であり、観念論では病気は治らない、と斬るか。

 

 

・・・とまあこのように、2000円では安すぎる、非常に学びのあるこの講座、会員の先生方限定の講座ですが、これを機に入会の方はぜひ☆

 

 

 

「なんちゃって」じゃない、本気の東洋医学の素晴らしい世界が、待っていますよ☆

 

 

 

 

 

 

 

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「神門」と「霊道」の違い

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北辰会方式では、その基本の一つである「体表観察学」の中に「原穴診」というものを置いて重視しており、全身に360以上ある経穴の中でも、

 

この「原穴」について特別視して、とりわけ重要視している。

 

 

・・・なぜ、重要視するのか。

 

 

もちろん根拠は『黄帝内経』『難経』などの代表古典にもあり、日本では「杉山流」の書にもあるが、やはり一番は、臨床経験からだ。

 

 

現実の臨床で確かに効くし、病体において有意な変化を見せるから、診断にも治療にも使っている。

 

 

いくら大古典に書いてあったって、現代の臨床で実際に使えないなら、臨床家としては価値薄だ。

 

 

北辰会方式の鍼灸治療において、原穴は、重大な診察点であり治療点として、使わない日はない。

 

 

・・・ところで、手少陰心経の原穴に「神門」という経穴がある。

 

 

この年末年始も、ずいぶん世話になった。

 

 

北辰会ではこの「神門」の代用として、すぐ近くにある「霊道」という経穴を使うことがある、と説明している。

 

 

これもまあ、実際によく反応が出ているからだ。

 

 

そんな訳で「霊道」にも、ずいぶんお世話になっている。

 

 

・・・さてこの二穴、どう違うのか。

 

 

「神門」は、言わずと知れた兪土原穴。

 

 

興味深いことに、別名を「中都」という。

 

(by『甲乙経』

 

 

「中都」という正式名を持つ経穴は、別に下腿にあり、これは足厥陰肝経郄穴だ。

 

 

さてここで、「中都」”中”は、中焦を示唆するか、という問題もある。

 

小田規矩之助『経穴名辞攷』では”大都”に対して”中都”、”都”は天子のいるところ、という解釈を述べている。)

 

 

しかし、中華思想の中国人が「中」の字を使う時は特別だろう。

 

 

話は飛ぶけど、「中極」が膀胱の募穴であり、「気原」という別名を持っていることも興味深い。

 

 

これについても、いつか語ろう。

 

 

ちなみに李東垣は、胃の気が下がって停滞して五臓の気が乱れ、しかも気(停滞?)が心にある時には神門穴が使える、と言っている。

 

↑↑これ、出典分からなかったんですが、お世話になっている「鍼道 一の会」の永松先生が教えて下さいました。

 

 

東垣十書 脾胃論二・三 巻三 三項

 

胃気下溜五臓氣皆亂。其為病互相出見論

 

・・・(中略)・・・

 

岐伯曰、氣在于心者、取之手少陰心主之輸[神門 大陵]

 

早稲田大学図書館 該当ページへ

 

『脾胃論』デジタルデータ

 

 

・・・まあ、詳細は省きますが、要は何らかの原因で、結果的に上下の気のアンバランスが起こり、上焦(心)に濁気がある時に、神門や大陵が使えるよ、

 

という李東垣の指摘です。(゚∀゚)

 

 

ここでは”原穴で上下の気の調整が出来る”というのがポイントかと思います。

 

 

臨床的に、「あるある、確かに!!」って感じです。

 

 

そして、「霊道」は要穴表では経金穴。

 

 

臨床上は、心の病態に脾胃、腎(下焦)が絡んでいる時に神門が使える(というか神門に反応が出ている)という印象。

 

 

これはストレートに、兪土原穴の魅力だよなあ、と思いながら、いつも使っている。

 

 

霊道の場合は、心肺、あるいは心小腸、という病理パターン>腎虚、血虚、って感じの時に出てくる印象。

 

魄気、衛気の異常も含めて)

 

 

これは通里に近いせいもあるだろう。

 

 

霊道から神門までがわずか2寸、経穴の間隔が5分ずつで表現されていることにも注意を払いたい。

 

 

因みに手少陰心経の郄穴たる陰郄に出ているようなものは、慢性雑病ではほとんど診ない、というのが僕の印象。

 

 

これを散らさないとならないような時って、実型の眞心痛、厥心痛の時とかなんじゃないか・・・??

 

(しかし、これをやるとしたら実に怖いね。そうかな、と思っても、陽池にいってしまいそう。。。(苦笑))

 

 

あの手関節付近の手少陰陰経の要穴4穴並びに対する、現時点での僕なりの簡単な印象。

 

 

 

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「津」は大腸の腑、「液」は小腸の腑、コレなんで?? その2

2019.11.04

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前回のお話し

 

「津」は大腸の腑、「液」は小腸の腑、コレなんで??     参照

 

 

 

前回述べたように、東洋医学の言う五臓六腑の一つである、小腸の腑、大腸の腑には、「左旋」「十六曲」という形態的特徴が付されている。

 

『霊枢』腸胃(31)です。)

 

カテゴリ 五臓六腑

「小腸」って何ですか?(その5)

「大腸」って何ですか?(その6)    参照

 

 

 

もちろん、実際に人体を解剖してみれば、小腸は左旋も16曲もしていない訳ですが、現代西洋医学的な現実的、写実的解剖学ではなく、

 

気一元論、太極陰陽五行論を前提とした、観念論的、機能的解剖学”より完璧な”構築に腐心した古代中国、あるいは東アジアの医者たちとしては、

 

ここにどんな意味を込めたのか。

 

 

・・・昔から感じるけど、こういう問題に興味を抱き、気にするかどうかっちゅーのも、感性、センスという意味で、この医学を実践、ないし研究していく者にとっては重要かもしれない。

 

 

 

まず「左旋」からだけど、左旋ときたらまず思い浮かぶのが河図洛書の洛書だ。

 

 

河図洛書に関して、詳しい説明はここではしない(てか素人なんで出来ない(-_-;))けど、洛書では陰の動きは四隅における左回旋(2→4→8→6)であらわされる。

 

(アルテミシア『臓腑経絡学』p13)

 

 

つまり小腸の腑、大腸の腑における廻腸の「左回り=左旋」という形態的特徴の意味は、「陰の動き(収斂、収蔵、ある意味で成熟)」を表現しているのではないか、と、個人的には愚考している。

 

 

つまり形態的に「左旋」であらわされる「陰の場」である小腸大腸において、飲食物(水穀)は収斂、収蔵されていき、ある意味で「人体にとっては使い物にならない」二便が成熟していくわけだ。

 

(しかも左旋しながら上から下に動くわけだしね。(^^♪)

 

 

因みに、五藏六府の中で、奇恒之腑も含めて、回旋、螺旋のイメージであらわされるのは小腸の腑、大腸の腑のみだ。

 

(そのうち語りたいけど、この東洋医学的人体の”回旋・螺旋”の問題がまた、色々あって楽しい。(*‘∀‘))

 

カテゴリ 奇恒之腑    参照

 

 

・・・ではもう一つの特徴、「十六曲」はどうか。

 

 

五臓六腑では他にも、肝の七葉、肺の八葉、心系の四、三焦の三脾・胃心・心包肝・胆のニコイチなど、数字に拘って特徴づけられたような表現が散見される。

 

 

因みに、Wikipediaによると16の正の約数は1、2、4、8、16の5つだそうだ。

 

 

そして約数を「5つ」持つ数の中では「最小が16」であり、16の次は81だそうだ。

 

(もうこの、”最小”とか、”次が81”とか出てきただけで、ヨダレが。。。(笑))

 

 

また、約数の和と元の数との積が完全数になる3番目の超完全数であるそうで、1つ前は4、次は64だとか。

 

(これも、4とか64とか出てくるともう。。(゚∀゚))

 

 

数字、数術に詳しい読者の方、16そのものの数学的、数術的意味に関しては、まだまだ色々あると思うんで、ぜひ教えてください。<m(__)m>

 

 

・・・ともかく、「16」みたいに、易(河図)の言う生数(せいすう:1~5まで)成数(じょうすう:6~10まで)を超えた二桁の数字が出てきたときは、

 

『黄帝内経素問 三部九候論(20)』「天地之至數.始於一.終於九焉.」とあるように、そこに含まれる生数や成数の組み合わせで意味を考えて妄想したりしますが、

 

今のところ、小腸大腸の場合の「16」に内包されている意味は4✕4じゃないかな、と思っています。(私見)

 

 

「4(四)」は古代中国においては、代表的には地(陰)における東西南北の空間や、四時陰陽(四季)を示し、空間的広がりや、時間の循環を意味します。

 

青土社『中国神秘数字』参照)

 

 

また、易(河図)の生数では「4」「金」を意味します。

 

「五行」のはたらき 4   参照 

 

 

脾の臓と胃の腑の協調共同作業(胃の受納腐熟、脾の運化昇清のコンビネーション)での結果としての未消化物を、正常な脾胃の働きを土台にしながら、

 

心腎の陽気の扶助、肝肺の疏泄昇発宣発粛降の扶助によって、滞りなく、完璧に近い形で精濁泌別、糟粕の伝導が行われるためには、空間的に十分な広がり(四方)と、

 

十分な時間的な有余(四時)を必要とし、最終的には魄門(肛門)からの排泄(死と再生)が待っていますので、この流れは陰の場(左旋)において行われないと。

 

 

小腸の腑、大腸の腑における「左旋」「16曲」は、あんな、ある意味で稚拙な蔵象図の中に、上記のような深い意味をサラッと込めているモノなのではないかと、今のところ愚考しています。

 

(読者の方で、これに関して他の御見解がある方、ぜひご教示ください。)

 

 

鍼灸臨床で、便秘や下痢を治療するときに、合谷や後渓や上廉や下廉を当たり前に使うことがありますが、上記のようなことを考えながらやると、

 

診どころや意識に変化が出てくる筈です。

 

 

澤田健による

 

「リウマチは小腸の熱だ。」

 

という発言の意味や、北辰会が後渓を使ってあらゆる病を治している現実なんかもね。

 

 

・・・ま、どうであれ、結果的に、腸の健常な左旋力、消化吸収に必要不可欠な空間と時間を調整するのではないかと思っています。

 

 

今のところ、そう考えています。(゚∀゚)

 

(因みに今回と前回の話はまったくの私見ですので、悪しからず☆)

 

 

 

 

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「津」は大腸の腑、「液」は小腸の腑、コレなんで??

2019.10.27

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中医学では、体を流動する生理的な水分のことを「津液(しんえき)」と言います。

 

 

日本漢方の言い方では「気・血・水」「水」ですね。

 

(中医学の言う”津液”と、日本漢方の言う”水”は違う!という厳しい意見が聞こえてきそうですが、ここではザックリとこのように分けさせて下さい。(^^;))

 

 

この津液が、飲食物から吸収され、形成され、全身を巡るのには、比較的複雑な生理システムが関与しています。

 

 

まず、飲食物が「胃の腑」に入って、「脾の臓」の力で消化吸収され、余ったものは「小腸の腑」に送られ、さらに余ったものは「大腸の腑」に送られ、

 

それでも最終的に余った老廃物は、主に大便や小便や汗として体外に排出されます。

 

 

人体の恒常性維持に使えるもののうち、生理的な水分のことを「津液」と呼び、これは体表の露出している粘膜や、その他全身各所に、適度な潤いを与えます。

 

 

よく東洋医学では「五行色体表」といって、あらゆる要素を五分割した表があり、そこでは五液(涙、汗、涎、涕、唾)という表現が出てきますが、これらはぜーんぶ、津液(特に液)です。

 

 

この中で、臓腑経絡学において、「小腸の腑」では飲食物から津液のうち「液」をとり出し、「大腸の腑」では津液のうち「津」をとり出す、と教わりました。

 

 

・・・ところでこれ、何ででしょ??

 

 

東洋医学やってる人、パッと答えられますか??

 

 

水分(津液)は、陰陽で分ければ「気」、つまり「陽」に対して、「陰分」とか「陰液」言われますが、その津液をさらに陰陽に分けると、液は陰、津は陽です。

 

(流動性と粘性の強弱、存在する位置、機能的なベクトルなどから、このように分けています。)

 

 

これにはまあ、色々な説明の仕方が出来ると思うのですが、平たく言えば、小腸の腑の段階ではまだ完全に飲食物は消化され切っておらず、

 

大腸の腑よりも相対的に清濁が判然としない状況ですので、ある意味ザックリと荒っぽく、大まかに水液をとる必要があります。

 

 

従って結果的に流動性の低い、相対的に濁った(粘った)水液である「液」をも、とり出します。

 

 

そして大腸の腑では、小腸の腑と比較すれば消化物はかなり便に近い状態になっていますので、精濁の分化は小腸の腑の時よりも相当ハッキリとしており、

 

大腸の腑では仕上げとして、より完璧に、清濁をキッチリと分ける必要があります。

 

 

従って、流動性の高い、相対的に澄んだ水液である「津」をも、残さずとり出す、ということになるのではないかと思います。

 

 

ここで注意しないといけないのはあくまでも相対的に、という理解ですね。

 

 

四角四面に、小腸=液、大腸=津、と硬直的に考えてしまうと、臨床的には失敗のもとだったりします。

 

 

また、「小腸の腑」「心の臓」と表裏関係であり、五行では「火(君火)」の性質があてられていますが、心の非常に強い陽気の働きを助けとして、

 

ある意味で胃から送られてきた未消化物を”火にかけながら””荒っぽく”、精と濁とを分けるのに対し、「大腸の腑」「肺の臓」と表裏関係であり、

 

五行では「金」の性質があてられており、大腸では肺金の「従革」「粛殺」の気の助けを借りて、ある意味”几帳面に”、”精緻に”飲食物は大便へと”変化”させる、

 

という、五行の性質を通じた解釈もあり得ると思っています。

 

 

この「東洋医学的消化活動」の更なる詳細はここでは述べませんが、この流れにさらに、肝の臓や腎の臓、三焦の腑などなど、あらゆる臓腑が協調して参画して、

 

バランスが崩れないようにシステムで仕事をしてくれています。

 

 

五藏六府の表裏関係の中で個人的に面白いのは肺大腸、心小腸、心包三焦なんですが、他の肝胆、腎膀胱、脾胃と違い、”隣接”という位置関係をとらずに、

 

上焦(心肺)と中下焦(小腸大腸)で表裏関係を成しています。

 

(心包三焦はまたもう一歩特殊で、膜同士、とか、内外、と言っていいと思いますが)

 

 

肺は華蓋で八葉蓮華、蓮の花が”逆さになった”形で描かれ、心は蓮華の蕾のような姿で、これも”逆さになった”姿で描かれます。

 

 

そして、小腸は左旋で16曲、大腸の最初の部分である廻腸も左旋で16曲、という風に描かれます。

 

 

ところで、小腸大腸のこの「左旋」「16曲」、これは何でですか??

 

 

 

続く。

 

 

 

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「土用」に入りました!!

2019.10.22

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昨日チョロッと書いたように、二十四節気では寒露から霜降に入ろうとしています。

 

 

霜降の後にはいよいよ「立冬」です。

 

 

この「立冬」の前の18日間を「土用」と言います。

 

 

実は昨日、21日から立冬の前18日間なんで「秋の土用」と言います。

 

 

「四立(立春・立夏・立秋・立冬)」の4つの節の前の18日間のことを言い、1年で4回あります。

 

 

この時期にはよく、引っ越しするなとか、土いじりをするなとか言われます。

 

(丑の日にはウナギを食えとかね。(笑・・・これは平賀源内のアイデアらしいが。))

 

 

これは陰陽道の神である「土公神(どくじん、どこうしん)」の怒りを買うからだと言われます。

 

 

これが発展したのか拡大解釈されたのか、結婚や就職も良くないと言われます。

 

 

日本人はこうやって色々、占い的に考えるのが好きですね。

 

 

自然界の様相を数字や記号に置き換えて、現実と照らし合わせては理論に落とし込んで、吉凶を考える占術というのも、なかなか面白いものです。

 

 

何かをつかまえているのでしょう。

 

 

・・・まあかといって、治療においては、時節以外の要因も数限りなくあるわけですから、言うまでもなく時節に拘り過ぎれば失敗します。

 

 

土用だから絶対的に脾胃をいじっちゃいけないとかは僕は思いませんね。(∩´∀`)∩

 

 

 

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順天堂大学医学部、東洋医学研究会で喋ってきました!!

2019.09.13

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昨日は順天堂大学医学部、東洋医学研究会で喋って来ました!!

 

順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ⑩   参照

 

 

今回のテーマは

 

「東洋医学のキホン 脾胃」

 

 

実技指導 舌診」

 

の二部構成。

 

脾・胃

「舌診」を含む記事    参照

 

 

これを二時間ですべてやるというワケですから、ある意味、殺人的スケジュールです。(苦笑)

 

 

講師である僕にとっても、本格的な東洋医学の、濃密で本質的な内容を外さず、いかにエレガントに「サマライズ」出来るか、これが問われています。

 

 

この現代日本には東洋医学の大学は無く、月にたった一回の勉強会と、学生同士での自主勉強という、しっかりと教育する時間がとれないという厳然たる現実の中で、

 

学生の興味をしっかりと引きつけつつ、しかも効率よく、退屈なマニュアルの暗記や、単なるHow toモノに陥ることなく、しかも、マニアック過ぎや専門的過ぎて煩雑な内容に陥ることもなく、

 

きちんとした東洋医学の基礎を教え込む。。。

 

 

これはなかなか、ハードルが高い事業であります。

 

 

・・・でも、僕は彼ら(医大生)の圧倒的勉強力に期待しています。

 

 

彼らなら、予め内容を決めて、予習復習さえきちんとやってくれれば、最短時間でこの医学の基礎が身に付けられる筈です。

 

 

それもワイワイと楽しみながら。

 

 

今回も北里大学の東医研のメンバーや、杏林大学の学生さん、順天堂の大学院生さんも参加して、徐々に参加者も増えてきました。

 

 

どの程度伝わったかはアンケートを待ちますが、今後の彼らの伸びや盛り上がりに期待しつつ、見守ります☆

 

 

 

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