東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「津」は大腸の腑、「液」は小腸の腑、コレなんで?? その2

2019.11.04

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前回のお話し

 

「津」は大腸の腑、「液」は小腸の腑、コレなんで??     参照

 

 

 

前回述べたように、東洋医学の言う五臓六腑の一つである、小腸の腑、大腸の腑には、「左旋」「十六曲」という形態的特徴が付されている。

 

『霊枢』腸胃(31)です。)

 

カテゴリ 五臓六腑

「小腸」って何ですか?(その5)

「大腸」って何ですか?(その6)    参照

 

 

 

もちろん、実際に人体を解剖してみれば、小腸は左旋も16曲もしていない訳ですが、現代西洋医学的な現実的、写実的解剖学ではなく、

 

気一元論、太極陰陽五行論を前提とした、観念論的、機能的解剖学”より完璧な”構築に腐心した古代中国、あるいは東アジアの医者たちとしては、

 

ここにどんな意味を込めたのか。

 

 

・・・昔から感じるけど、こういう問題に興味を抱き、気にするかどうかっちゅーのも、感性、センスという意味で、この医学を実践、ないし研究していく者にとっては重要かもしれない。

 

 

 

まず「左旋」からだけど、左旋ときたらまず思い浮かぶのが河図洛書の洛書だ。

 

 

河図洛書に関して、詳しい説明はここではしない(てか素人なんで出来ない(-_-;))けど、洛書では陰の動きは四隅における左回旋(2→4→8→6)であらわされる。

 

(アルテミシア『臓腑経絡学』p13)

 

 

つまり小腸の腑、大腸の腑における廻腸の「左回り=左旋」という形態的特徴の意味は、「陰の動き(収斂、収蔵、ある意味で成熟)」を表現しているのではないか、と、個人的には愚考している。

 

 

つまり形態的に「左旋」であらわされる「陰の場」である小腸大腸において、飲食物(水穀)は収斂、収蔵されていき、ある意味で「人体にとっては使い物にならない」二便が成熟していくわけだ。

 

(しかも左旋しながら上から下に動くわけだしね。(^^♪)

 

 

因みに、五藏六府の中で、奇恒之腑も含めて、回旋、螺旋のイメージであらわされるのは小腸の腑、大腸の腑のみだ。

 

(そのうち語りたいけど、この東洋医学的人体の”回旋・螺旋”の問題がまた、色々あって楽しい。(*‘∀‘))

 

カテゴリ 奇恒之腑    参照

 

 

・・・ではもう一つの特徴、「十六曲」はどうか。

 

 

五臓六腑では他にも、肝の七葉、肺の八葉、心系の四、三焦の三脾・胃心・心包肝・胆のニコイチなど、数字に拘って特徴づけられたような表現が散見される。

 

 

因みに、Wikipediaによると16の正の約数は1、2、4、8、16の5つだそうだ。

 

 

そして約数を「5つ」持つ数の中では「最小が16」であり、16の次は81だそうだ。

 

(もうこの、”最小”とか、”次が81”とか出てきただけで、ヨダレが。。。(笑))

 

 

また、約数の和と元の数との積が完全数になる3番目の超完全数であるそうで、1つ前は4、次は64だとか。

 

(これも、4とか64とか出てくるともう。。(゚∀゚))

 

 

数字、数術に詳しい読者の方、16そのものの数学的、数術的意味に関しては、まだまだ色々あると思うんで、ぜひ教えてください。<m(__)m>

 

 

・・・ともかく、「16」みたいに、易(河図)の言う生数(せいすう:1~5まで)成数(じょうすう:6~10まで)を超えた二桁の数字が出てきたときは、

 

『黄帝内経素問 三部九候論(20)』「天地之至數.始於一.終於九焉.」とあるように、そこに含まれる生数や成数の組み合わせで意味を考えて妄想したりしますが、

 

今のところ、小腸大腸の場合の「16」に内包されている意味は4✕4じゃないかな、と思っています。(私見)

 

 

「4(四)」は古代中国においては、代表的には地(陰)における東西南北の空間や、四時陰陽(四季)を示し、空間的広がりや、時間の循環を意味します。

 

青土社『中国神秘数字』参照)

 

 

また、易(河図)の生数では「4」「金」を意味します。

 

「五行」のはたらき 4   参照 

 

 

脾の臓と胃の腑の協調共同作業(胃の受納腐熟、脾の運化昇清のコンビネーション)での結果としての未消化物を、正常な脾胃の働きを土台にしながら、

 

心腎の陽気の扶助、肝肺の疏泄昇発宣発粛降の扶助によって、滞りなく、完璧に近い形で精濁泌別、糟粕の伝導が行われるためには、空間的に十分な広がり(四方)と、

 

十分な時間的な有余(四時)を必要とし、最終的には魄門(肛門)からの排泄(死と再生)が待っていますので、この流れは陰の場(左旋)において行われないと。

 

 

小腸の腑、大腸の腑における「左旋」「16曲」は、あんな、ある意味で稚拙な蔵象図の中に、上記のような深い意味をサラッと込めているモノなのではないかと、今のところ愚考しています。

 

(読者の方で、これに関して他の御見解がある方、ぜひご教示ください。)

 

 

鍼灸臨床で、便秘や下痢を治療するときに、合谷や後渓や上廉や下廉を当たり前に使うことがありますが、上記のようなことを考えながらやると、

 

診どころや意識に変化が出てくる筈です。

 

 

澤田健による

 

「リウマチは小腸の熱だ。」

 

という発言の意味や、北辰会が後渓を使ってあらゆる病を治している現実なんかもね。

 

 

・・・ま、どうであれ、結果的に、腸の健常な左旋力、消化吸収に必要不可欠な空間と時間を調整するのではないかと思っています。

 

 

今のところ、そう考えています。(゚∀゚)

 

(因みに今回と前回の話はまったくの私見ですので、悪しからず☆)

 

 

 

 

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「津」は大腸の腑、「液」は小腸の腑、コレなんで??

2019.10.27

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中医学では、体を流動する生理的な水分のことを「津液(しんえき)」と言います。

 

 

日本漢方の言い方では「気・血・水」「水」ですね。

 

(中医学の言う”津液”と、日本漢方の言う”水”は違う!という厳しい意見が聞こえてきそうですが、ここではザックリとこのように分けさせて下さい。(^^;))

 

 

この津液が、飲食物から吸収され、形成され、全身を巡るのには、比較的複雑な生理システムが関与しています。

 

 

まず、飲食物が「胃の腑」に入って、「脾の臓」の力で消化吸収され、余ったものは「小腸の腑」に送られ、さらに余ったものは「大腸の腑」に送られ、

 

それでも最終的に余った老廃物は、主に大便や小便や汗として体外に排出されます。

 

 

人体の恒常性維持に使えるもののうち、生理的な水分のことを「津液」と呼び、これは体表の露出している粘膜や、その他全身各所に、適度な潤いを与えます。

 

 

よく東洋医学では「五行色体表」といって、あらゆる要素を五分割した表があり、そこでは五液(涙、汗、涎、涕、唾)という表現が出てきますが、これらはぜーんぶ、津液(特に液)です。

 

 

この中で、臓腑経絡学において、「小腸の腑」では飲食物から津液のうち「液」をとり出し、「大腸の腑」では津液のうち「津」をとり出す、と教わりました。

 

 

・・・ところでこれ、何ででしょ??

 

 

東洋医学やってる人、パッと答えられますか??

 

 

水分(津液)は、陰陽で分ければ「気」、つまり「陽」に対して、「陰分」とか「陰液」言われますが、その津液をさらに陰陽に分けると、液は陰、津は陽です。

 

(流動性と粘性の強弱、存在する位置、機能的なベクトルなどから、このように分けています。)

 

 

これにはまあ、色々な説明の仕方が出来ると思うのですが、平たく言えば、小腸の腑の段階ではまだ完全に飲食物は消化され切っておらず、

 

大腸の腑よりも相対的に清濁が判然としない状況ですので、ある意味ザックリと荒っぽく、大まかに水液をとる必要があります。

 

 

従って結果的に流動性の低い、相対的に濁った(粘った)水液である「液」をも、とり出します。

 

 

そして大腸の腑では、小腸の腑と比較すれば消化物はかなり便に近い状態になっていますので、精濁の分化は小腸の腑の時よりも相当ハッキリとしており、

 

大腸の腑では仕上げとして、より完璧に、清濁をキッチリと分ける必要があります。

 

 

従って、流動性の高い、相対的に澄んだ水液である「津」をも、残さずとり出す、ということになるのではないかと思います。

 

 

ここで注意しないといけないのはあくまでも相対的に、という理解ですね。

 

 

四角四面に、小腸=液、大腸=津、と硬直的に考えてしまうと、臨床的には失敗のもとだったりします。

 

 

また、「小腸の腑」「心の臓」と表裏関係であり、五行では「火(君火)」の性質があてられていますが、心の非常に強い陽気の働きを助けとして、

 

ある意味で胃から送られてきた未消化物を”火にかけながら””荒っぽく”、精と濁とを分けるのに対し、「大腸の腑」「肺の臓」と表裏関係であり、

 

五行では「金」の性質があてられており、大腸では肺金の「従革」「粛殺」の気の助けを借りて、ある意味”几帳面に”、”精緻に”飲食物は大便へと”変化”させる、

 

という、五行の性質を通じた解釈もあり得ると思っています。

 

 

この「東洋医学的消化活動」の更なる詳細はここでは述べませんが、この流れにさらに、肝の臓や腎の臓、三焦の腑などなど、あらゆる臓腑が協調して参画して、

 

バランスが崩れないようにシステムで仕事をしてくれています。

 

 

五藏六府の表裏関係の中で個人的に面白いのは肺大腸、心小腸、心包三焦なんですが、他の肝胆、腎膀胱、脾胃と違い、”隣接”という位置関係をとらずに、

 

上焦(心肺)と中下焦(小腸大腸)で表裏関係を成しています。

 

(心包三焦はまたもう一歩特殊で、膜同士、とか、内外、と言っていいと思いますが)

 

 

肺は華蓋で八葉蓮華、蓮の花が”逆さになった”形で描かれ、心は蓮華の蕾のような姿で、これも”逆さになった”姿で描かれます。

 

 

そして、小腸は左旋で16曲、大腸の最初の部分である廻腸も左旋で16曲、という風に描かれます。

 

 

ところで、小腸大腸のこの「左旋」「16曲」、これは何でですか??

 

 

 

続く。

 

 

 

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「土用」に入りました!!

2019.10.22

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昨日チョロッと書いたように、二十四節気では寒露から霜降に入ろうとしています。

 

 

霜降の後にはいよいよ「立冬」です。

 

 

この「立冬」の前の18日間を「土用」と言います。

 

 

実は昨日、21日から立冬の前18日間なんで「秋の土用」と言います。

 

 

「四立(立春・立夏・立秋・立冬)」の4つの節の前の18日間のことを言い、1年で4回あります。

 

 

この時期にはよく、引っ越しするなとか、土いじりをするなとか言われます。

 

(丑の日にはウナギを食えとかね。(笑・・・これは平賀源内のアイデアらしいが。))

 

 

これは陰陽道の神である「土公神(どくじん、どこうしん)」の怒りを買うからだと言われます。

 

 

これが発展したのか拡大解釈されたのか、結婚や就職も良くないと言われます。

 

 

日本人はこうやって色々、占い的に考えるのが好きですね。

 

 

自然界の様相を数字や記号に置き換えて、現実と照らし合わせては理論に落とし込んで、吉凶を考える占術というのも、なかなか面白いものです。

 

 

何かをつかまえているのでしょう。

 

 

・・・まあかといって、治療においては、時節以外の要因も数限りなくあるわけですから、言うまでもなく時節に拘り過ぎれば失敗します。

 

 

土用だから絶対的に脾胃をいじっちゃいけないとかは僕は思いませんね。(∩´∀`)∩

 

 

 

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抗癌剤の「ダルさ」と鍼の後の「ダルさ」

2019.10.17

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清明院には、ここ数年、がん患者さんが増えています。

 

 

子宮がん、卵巣癌、肺がん、大腸癌、胃癌、乳癌などなど。

 

 

手術後のケアを希望、という患者さんもいれば、抗癌剤治療や放射線治療の副作用緩和を希望、という患者さんもいれば、再発や転移の予防、

 

という患者さんもいれば、癌そのものを鍼灸で治療してほしい、というニーズまである。

 

 

僕は、「鍼灸で癌が治る」とは言いません。

 

 

とても僕如きのウデでは、そんな大言壮語、言えません。

 

 

ただ、癌に対しては、東洋医学では歴史的に、苦心して治療してきた経緯があります。

 

 

それについては真摯に学び、使えるものは実践しようとは思っています。

 

 

まあ、現代日本の西洋医学ではいわゆる「標準治療」というものがある程度確立されており、癌と分かれば、その分類やステージ(進行度合い)に応じて、

 

定型的な治療が決まっており、その結果もデータできちんと出ている。

 

 

従って、それを普通に選択する患者さんが大多数、というワケだ。

 

 

しかし、実際にそれを行ってみると、イボやホクロを取るのとは大違いで、あまりに強い副作用に面食らって、

 

「いくら治療のためとはいえ、なんでこんなにキツイ思いをしなきゃならんのだ。。。」

 

と、「標準治療」を始めたことを後悔した、なんて仰る患者さんもいる。

 

 

また上記のように、キチッとインフラ的に治療の内容なスケジュール等々が確立されているだけに、

 

「対応が機械的、事務的で、人情味を感じない。」

 

とか、

 

「まな板に乗った魚が流れ作業のように捌かれていくように、次から次に初対面の医療者が出てきてはいじくり回される印象。」

 

なんて話も聞く。

 

 

一方で、辛い治療をやった結果、今では体調良好であり、大いに感謝している、という話もある。

 

 

まあこういう現状の中にあって、鍼灸師サイド、東洋医学サイドとしては、出来る限りの心身のサポートをさせて頂く訳です。

 

 

今日患者さんとの話の中で、

 

「鍼の後のダルさと、抗癌剤の後のダルさは全然質が違う。」

 

という話が出ました。

 

 

まあそりゃそうだよね。。。

 

 

片や余分な緊張を緩め、血流バランスを調整した結果のダルさ、片や細胞を攻撃した結果のダルさですからね。。。

 

 

どこまでいっても、世界観、哲学の違いを堅持したい。

 

 

 

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順天堂大学医学部、東洋医学研究会で喋ってきました!!

2019.09.13

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昨日は順天堂大学医学部、東洋医学研究会で喋って来ました!!

 

順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ⑩   参照

 

 

今回のテーマは

 

「東洋医学のキホン 脾胃」

 

 

実技指導 舌診」

 

の二部構成。

 

脾・胃

「舌診」を含む記事    参照

 

 

これを二時間ですべてやるというワケですから、ある意味、殺人的スケジュールです。(苦笑)

 

 

講師である僕にとっても、本格的な東洋医学の、濃密で本質的な内容を外さず、いかにエレガントに「サマライズ」出来るか、これが問われています。

 

 

この現代日本には東洋医学の大学は無く、月にたった一回の勉強会と、学生同士での自主勉強という、しっかりと教育する時間がとれないという厳然たる現実の中で、

 

学生の興味をしっかりと引きつけつつ、しかも効率よく、退屈なマニュアルの暗記や、単なるHow toモノに陥ることなく、しかも、マニアック過ぎや専門的過ぎて煩雑な内容に陥ることもなく、

 

きちんとした東洋医学の基礎を教え込む。。。

 

 

これはなかなか、ハードルが高い事業であります。

 

 

・・・でも、僕は彼ら(医大生)の圧倒的勉強力に期待しています。

 

 

彼らなら、予め内容を決めて、予習復習さえきちんとやってくれれば、最短時間でこの医学の基礎が身に付けられる筈です。

 

 

それもワイワイと楽しみながら。

 

 

今回も北里大学の東医研のメンバーや、杏林大学の学生さん、順天堂の大学院生さんも参加して、徐々に参加者も増えてきました。

 

 

どの程度伝わったかはアンケートを待ちますが、今後の彼らの伸びや盛り上がりに期待しつつ、見守ります☆

 

 

 

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(一社)北辰会関東支部講師研修会

2019.07.24

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7.22の月曜日は、関東支部の講師陣と新風先生で集まって、「支部講師研修会」をやりました!!

 

 

この研修会は、数年前から始めた企画なんですが、支部の講師で集まって、より良い講義はどういったものか、より良い指導法はどういったものか、

 

というのを研究し、指導力を向上させようというのが狙いの研修会です。

 

 

現状、鍼灸学校の教員になるには、二年間の教員養成課程(臨床教育専攻科)、あるいは鍼灸大学の修士課程を出なければなりません。

 

 

竹下も一応、東京衛生学園臨床教育専攻科を出ています。(笑)

 

 

専攻科では、鍼灸の指導に関する内容や、一般的な大学の教育学部でやるような教育学はもちろんのこと、「教育技法」といって、模擬講義を実際の教員の先生に聞いていただき、

 

批判して頂いたり、「教育実習」として他の鍼灸学校に行って授業を見学したり実際にやったりと、様々な経験をすることが出来ます。

 

 

しかし、北辰会やその他のような流派学派で講師をやる先生方は、特にそういった過程は経ずに、ある意味で「見よう見まねで」講義や実技指導を行うようになります。

 

 

そうでなくても指導内容や指導力というものにはバラつきが大きいのに、これだと、さらに大きくなります。

 

 

ですので、そこを是正、補強せんがために、講師間で教育内容や教育技法に関するコンセンサスを得るという目的もあって、数年前から私と新風先生とで企画して、

 

丸1日かけて、やっております。

 

 

分かりやすい講義とは何か、分かりやすい実技指導とは何か、限られた時間の中で、本質を外さずに上手くデフォルメするにはどうしたらいいか、

 

講師として教壇に立つ以上、こういったことには常に注意を払うべきだろうと思います。

 

 

15年くらい前から始まった北辰会方式の教育改革ですが、続々と本を出版し、教科書などの教材を整備して、自学自習の出来る人にとっては非常に学びやすい状況を整えつつ、

 

学術部としてさらにやらなくてはならないのは、座学と実技の両面における講師の先生方の教える技術の向上であります。

 

 

講師になって教えるということは、自分自身の学術の復習にもなりますし、一番勉強になるのは講師自身です。

 

 

ですので、一般会員の先生方にも、まずは徹底的に基礎を踏まえたのち、さらにという向学心向上心があるのであれば、大いに講師を目指してほしいですね。

 

 

そして、終わった後は酒。。。

 

 

土曜の夜から、三日連続、酒です。

 

 

昨日感じたけど、普段より空腹感が強い。

 

 

夜になると、酒を欲する感覚が強い。。

 

 

うーん、この欲求に任せていると危ないので、暫くは脾胃を休めます。。。(;’∀’)

 

 

 

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6月(一社)北辰会定例会東京会場

2019.06.25

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6.23の日曜日は高田馬場で行われた(一社)北辰会定例会東京会場へ。

 

 

今回は本部から鍼灸 大仙堂院長、山本克仁先生もお見えでした。

 

 

朝から清明院元副院長、現寧心堂院長の森岡健介先生による基礎中医学講義「津液」。

 

過去記事 森岡  参照

 

 

(一社)北辰会は、中医学を理論のベースに置いていますが、今では『北辰会方式 理論編』として全面的に理論化、書籍化され、非常に学びやすくなったと思います。

 

 

朝イチは私と森岡の鍼灸学校の同期でもある伝統鍼灸かみなり院長、土田丈先生による経穴解説「肺経・大腸経・胃経」。

 

 

朝二は春宵堂治療院本山裕子先生による経穴解説「脾経・心経・小腸経」。

 

 

経穴は解説はかつて「北辰会常用腧穴講義」と題して、蓮風先生がシリーズで講義して下さった、北辰会の人気講義なんですが、

 

今では『経穴解説』として書籍化され、非常に勉強にしやすくなったと思います。

 

 

3名とも、”読めばわかる”部分を超えた講義をやってくれたと思います。

 

 

午後は現在、北辰会の育成運営の責任者である山本克仁先生の鮮やかな実技デモの後、各班に分かれて実技練習「原穴診・背侯診・取穴」

 

 

これも今では、『体表観察学』『北辰会方式 実践編』という二冊がありますので、大変勉強しやすくなっております。

 

 

書籍も充実、講師も充実、やってますね~、北辰会。

 

 

2005年くらいから、藤本新風先生を中心に、次世代に向けて様々な改革を進めてきました。

 

 

最近では、2018年に新代表に就任した藤本新風先生が、伝統鍼灸学会では他流派の先生方と実技コラボしたり、三旗塾で講演したり、良導絡自律神経学会で講演したり、

 

今度大阪で行われる鍼灸フェスタで講演したりと、外へ外へと力が向いてきております。

 

 

他流派の先生方ともどんどん交流して、日本の鍼灸界、今後も盛り上げたいですね☆

 

 

 

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(一社)北辰会定例会&良導絡自律神経学会

2019.05.28

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5.26の日曜日は、高田馬場で行われた(一社)北辰会定例会東京会場に参加してきました!!

 

 

今回は朝から実技訓練「脈診・望診・取穴」。

 

 

先月と同じテーマでしたが、望診に爪甲診を入れ、取穴のテーマを前回の瘀血から湿熱、湿痰に変えて、蠡溝豊隆に変更しました。

 

「痰(たん)」「瘀血(おけつ)」について   参照

 

 

・・・まあ何と言っても、まずは

 

『胃の気の脈診』

 

『体表観察学』

 

『経穴解説』

 

の熟読から始まります。

 

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当たり前ですが、学術習得にはそれなりの時間、かかります。

 

 

学んですぐに出来るような浅薄なものではない。

 

 

でもそれだけ奥が深く、使いこなせるようになれば、素晴らしい世界が待っています。

 

 

ですので、たまに勘違いしているアンポンタンがいるけど、「難しいのが売り」というワケではない。

 

 

「難しくて高度で、でも素晴らしい世界を、誰でもが共有出来る、分かりやすい理論の次元に落とし込んで、それを時間をかけてじっくりと勉強している」ワケであります。

 

 

せっかく、良く晴れた爽やかな日曜日を潰して勉強に来たんですから、頑張って欲しいと思いますね。

 

 

午後は関東では久しぶりの「症例レポート」です。

 

 

今回は「伝統鍼灸 心月院」院長、坂井祐太先生による「健忘の一症例」です。

 

 

「健忘」などという症状を主訴として患者さんが来院するというのも、北辰会方式の鍼灸のいいところでありますね。

 

 

本来の伝統的な鍼灸医学というのは、全科疾患を治療してきました。

 

 

今回はフロアからたくさんの質問が出て、大変盛り上がりましたね。

 

 

たった一症例を、あらゆる角度からナンボでも深めることが出来る、これも北辰会方式の長所ですね。

 

 

終了後は、実は同じ日にお茶の水の順天堂医院で開催されていた「良導絡自律神経学会 東日本支部」の勉強会後の懇親会に参加してきました!!

 

 

以前このブログに書きましたが、実はこの日は、大阪から北辰会代表理事である藤本新風先生が見えて、特別講演を行っていました。

 

新風先生が良導絡の勉強会に!!   参照

 

 

こちらも非常に盛り上がったようで、良かったです。

 

 

良導絡と北辰会、患者さんに対して、全然違うアプローチの仕方だけど、どちらも効果が出ていることは確か。

 

 

和風先生と中谷先生のご縁もあるし、こういったコラボも面白いと思います。(゚∀゚)

 

 

懇親会では、良導絡の先生方のアツさ、元気さに触れて、面白かったです。

 

 

ご挨拶、名刺交換させていただいた良導絡の先生方、大変ありがとうございました!!<m(__)m>

 

 

 

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「五行」のはたらき 4

2019.04.21

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これまでのお話し

 

「五行」って何ですか?(その8)

「五行」のはたらき 1 

「五行」のはたらき 2       参照

 

 

 

◆従革とは。

 

 

さて今日は、これも聞きなれない金の性質、「従革」を説明します。

 

 

「金は従革」と定義したのも、紀元前5世紀ごろの書とされる『書経(尚書)』洪範です。

 

 

これは、中国隋代の蕭吉(しょうきつ)によって撰述された『五行大義』によれば、

 

「従」・・・範(のり)に従い

 

「革」・・・更(あらた)まる

 

という意味だそうで、金属が溶けて容器や刃物など、様々な形に姿を変えることからこの性質が言われるようになったそうです。

 

 

また、後漢の許慎の『説文解字』では、「金は禁」といわれ、金の時季である秋になると、自然界の陰気が盛んになりだし、万物の成長が止まる(ある意味で成熟する)、と説明します。

 

 

それを「粛殺の気」と言います。

 

 

これは、以前にも書いていますが、8月の立秋の頃になると、朝晩の空気、風に微妙に出てくる、あの感じのことです。

 

秋燥の気   参照

 

 

 

また「金」という漢字の中には「土」が隠れており、間にある「’ ’」は、金属が土の中で光っているさまを示す、と説明します。

 

 

 

「金」は方位(空間)では西方、季節では秋です。

 

 

 

西方は日が沈む方角、死の世界ですね。

 

 

 

しかしこれも大事な自然の摂理です。

 

 

 

天の道理に順う粛殺は、新しいものを生み、発展の方向に向かうのですが、天の道理に従わない粛殺は、かえって新しいものを生まなくなり、

 

衰退を招くという、重要な教えが含まれています。

 

 

 

「金」は臓腑経絡では肺の臓(手太陰肺経)と大腸の腑(手陽明大腸経)、経穴では陽経の井穴と陰経の経穴です。

 

肺・大腸    参照

 

 

 

臓腑では稼穡の土は脾胃で、従革の金たる肺大腸とはいわゆる相生関係にある訳ですが、これが経絡的には太陰経と陽明経で手足一対になっていることも興味深く、

 

流注の順序からしても肺→大腸→胃→脾と密接であり、陰陽ともに気血が旺盛(太陰と陽明)、というのも意味深いですね。

 

 

十二経の流れの順調度合いは、胃の気の充実(一つには稼穡力)からの肺金の従革力(死と再生)ありきな訳です。

 

 

 

また、金(従革力)に関与する経穴を実際に動かす時は上記のような考えを持つと、診どころが変わってくると思います。

 

 

 

例えばよく使う陽経の井穴刺絡とか、霊道穴とかね。(゚∀゚)

 

 

 

続く。

 

 

 

 

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「五行」のはたらき 3

2019.04.20

20190303_191624.JPG

 

 

 

 

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これまでのお話し

 

「五行」って何ですか?(その8) 

「五行」のはたらき 1 

「五行」のはたらき 2          参照

 

 

 

◆稼穡とは

 

 

まず、土の働きである「稼穡(かしょく)」というのは、学生さんにとっても覚えにくい、現代ではなかなか使わない言葉なんですが、

 

「稼」=穀物を植える

 

「穡」=穀物を穫り入れる

 

という意味であり、まさに農業そのもの、といった意味です。

 

 

 

古代中国は、もちろんながら農耕民族、農耕文化であり、

 

「土≒農業する場」

 

であったわけです。

 

 

 

日本でも、平安時代の仏教説話集である地蔵菩薩霊験記に、

 

「稼穡は皆万民の命を重くするところ天下の重宝なり」

 

と出てくるそうですし、

 

「土≒農業する場」

 

という理解、設定には、何ら違和感はなかったでしょうね。

 

『精選版 日本国語大辞典』参照)

 

 

 

因みに、魏の宋均の注である、『春秋』の緯書(※)である『春秋元明苞』では「土=吐」と説明し、後漢の許慎の『説文解字』では「生きてるものを吐き出す」と説明し、

 

「土」という文字に含まれる「二」は大地の表面と地中を示し、「|」は生命が地中から地表に芽を出している姿、と説明しています。

 

(※)・・・漢代、儒家の経書を神秘主義的に解釈した書物。

 

 

まあつまり、大地(土)は、気をたっぷりと蓄えており、様々なものを生み出す場だよ、と。

 

 

 

故に「土は万物の母」であると言われたりもします。

 

(因みに『老子』の第一章に「万物の母」という言い方が出てきますが、これは五行の土の働きを言ったものではなく、天地そのもの(宇宙)のことを言っています。)

 

「老子」という人物    参照

 

 

 

老子第一章の「万物の母」と五行の土の「万物の母」を絡ませた説明では、この論文が面白かったですね。

 

 

 

 

土は万物の母であり、方位(空間)では中央に位置し、季節(時間)では各季節の終わりと始まり(土用)、あるいは日本では梅雨と秋雨の時期(※)を指します。

 

((※)・・・『内経気象学入門』P37~参照。『黄帝内経』の諸篇では”長夏”といって6月に土があてられていますが、これは日本の気候とは必ずしも一致しません。)

 

 

 

つまり自然界の中で、中心であり、キーであり、緩衝材であり、バランサーであり・・・、行き過ぎない状態をもって良しとします。

 

 

 

人間の生命で言えばまさに「胃の気」ですね。

 

胃の気の脈診⑧ 衝和と弦急の脈    参照

 

 

 

東洋医学的に細かく言えば、臓腑経絡では脾の臓(足太陰脾経)と胃の腑(足陽明胃経)であり、経穴では陰経の兪原穴、陽経の合穴が配当されます。

 

脾・胃    参照

 

 

 

五行の土(どろ)が配当されている臓腑経絡、経穴に鍼灸をする時、一つには

 

「土気を動かしている」

 

という意識を持って、効果を観察するといいと思います。

 

 

 

たとえばよく使う「天井穴」とかね。(゚∀゚)

 

 

 

続く。

 

 

 

 

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