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2021.02.20
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明日、2021.2.21から、(一社)北辰会の1月分のeラーニング動画配信が開始されています!!
今回の配信内容の詳細はこちら!!
今回もいつも通り、4つの超重要講義(基礎と臨床)があります!
目玉はなんといっても(一社)北辰会代表理事である藤本新風先生による「補瀉論」でしょう!
清明院で行っている「東洋医学的な鍼灸治療(北辰会方式)」の、具体的な鍼灸の手法に関して、その理論を極言すれば、
1.正気を集める目的でなされる「補法」、
2.邪気を散らす目的でなされる「瀉法」、
この「補瀉」の二つに尽きます。
この「補瀉」というものについては、このブログ上で、以前いくつかの文献を引きつつ、愚見を述べました。
カテゴリ「補瀉」 参照
ですので今回、私もこの講義は楽しみです。(^^)
他にも、
油谷真空先生の「北辰会方式の体表観察学」
山本克仁先生の「症例カルテ解説ー四肢厥冷ー」
金子太先生の「経穴解説 三焦経・胆経・肝経」
と、基本を固める上では見逃せない講義の連続です。
緊急事態宣言で、居酒屋もやっていませんから、夜はしっかりとeラーニングで勉強しましょう☆
〇
2020.09.16
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9.10(木)は、順天堂東医研で喋ってきました!!
今回のテーマは
「東洋医学のキホン 臓腑経絡学 肝・胆」
「東洋医学的診察法⑥ 顔面診・眼診」
という二本立て。
順天堂東医研で1年半前からコツコツと続けてきた十二臓腑経絡シリーズも、これでようやく1周です。
十二臓腑経絡は、西洋医学で言えば解剖生理学に相当し、東洋医学の根幹にあたる部分ですので、次回は一回、これまでの総復習を入れようと思います。
また今回、オンライン講義で、望診の一つである「顔面気色診」を説明するということにも、初挑戦してみました。
思ったよりも画像が上手く撮れたので、まずまず伝わったんじゃないかと思います。
この勉強会も、早いもので通算21回目。
コロナ禍によってzoom講義になってからも、早いもので5回目です。
今回も全国から多くの医大生の方々が参加され、回を追うごとに繋がりが増えてきた感じがあります。
素晴らしいことですね。
アンケートの結果もまずまずだったので、一安心しています。
今後、早ければ次回から(?)、対面講義を再開できる可能性も出てきているようですが、対面講義が出来るようになったとしても、ネットでの同時配信は継続し、
全国から気軽に参加していただきたいと思いますね。
東洋医学の勉強は、自分で体表観察してみたり、されてみたり、鍼やもぐさを触ってみたり、実際に鍼灸を受けたり、自分の体に練習してみたり、
漢方や生薬を飲み、味わうことも非常に重要です。
現状、ほぼ行われていない、医学部での東洋医学教育のあり方を、今後も出来る限り模索していこうと思います。
2020.08.22
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一時は再び増え始めた「PCR検査、抗原検査陽性者」ですが、東京ではここ数日は高止まりか、少し落ち着いてきたかに見え、コロナ分科会の「ピークに達した」発言もあり、
患者さんにも、少し安心した様子が見えてきました。
(色々報道がなされ、偽陽性も多数あることから”感染者”というのはやめました。(苦笑))
まあとはいえ、気を完全には緩めずに、粛々とできることを、ですね。
危機管理、感染対策が重要なのは、もはや大多数の良識のある国民は十分に理解していると思うので、一部の感染対策をしない人を論っては、
不安や不快感を煽るばかりのテレビ報道などは、やめて欲しいですね。
正直、仕事の邪魔です。(苦笑)
因みに、清明院の最新コロナ対策に関してはこちら。
〇
・・・まあともかく、北辰会eラーニング、第4弾の内容が発表されました!!
(公開期間は8.21~9.20です。)
今回の目玉は油谷真空先生の「中医小児科学と鍼灸治療」見逃せませんよ!!
鍼灸臨床家の、ウデの見せ所の一つが小児の臨床でしょう。
奈良にある油谷先生の「風胤堂(ふういんどう)」は、なんと「キッズルーム」のある鍼灸院です。
それだけ小児の患者さんが多いということです。
今回、講義の中に実技の動画も入れて下さいました。
ベテラン鍼灸臨床家が、小児をどういう感じで診ているのか、その空気感の一端が伝わるんじゃないかと思いますので、必見です!!
あと今回は個人的に、関東支部の竹山先生の「病邪弁証」もお勧めです。
狂言風の喋りに、きっと度肝抜かれることと思います!!(゚∀゚)
2020.01.09
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北辰会方式では、その基本の一つである「体表観察学」の中に「原穴診」というものを置いて重視しており、全身に360以上ある経穴の中でも、
この「原穴」について特別視して、とりわけ重要視している。
・・・なぜ、重要視するのか。
もちろん根拠は『黄帝内経』『難経』などの代表古典にもあり、日本では「杉山流」の書にもあるが、やはり一番は、臨床経験からだ。
現実の臨床で確かに効くし、病体において有意な変化を見せるから、診断にも治療にも使っている。
いくら大古典に書いてあったって、現代の臨床で実際に使えないなら、臨床家としては価値薄だ。
北辰会方式の鍼灸治療において、原穴は、重大な診察点であり治療点として、使わない日はない。
・・・ところで、手少陰心経の原穴に「神門」という経穴がある。
この年末年始も、ずいぶん世話になった。
北辰会ではこの「神門」の代用として、すぐ近くにある「霊道」という経穴を使うことがある、と説明している。
これもまあ、実際によく反応が出ているからだ。
そんな訳で「霊道」にも、ずいぶんお世話になっている。
・・・さてこの二穴、どう違うのか。
「神門」は、言わずと知れた兪土原穴。
興味深いことに、別名を「中都」という。
(by『甲乙経』)
「中都」という正式名を持つ経穴は、別に下腿にあり、これは足厥陰肝経の郄穴だ。
さてここで、「中都」の”中”は、中焦を示唆するか、という問題もある。
(小田規矩之助『経穴名辞攷』では”大都”に対して”中都”、”都”は天子のいるところ、という解釈を述べている。)
しかし、中華思想の中国人が「中」の字を使う時は特別だろう。
話は飛ぶけど、「中極」が膀胱の募穴であり、「気原」という別名を持っていることも興味深い。
これについても、いつか語ろう。
ちなみに李東垣は、胃の気が下がって停滞して五臓の気が乱れ、しかも気(停滞?)が心にある時には神門穴が使える、と言っている。
↑↑これ、出典分からなかったんですが、お世話になっている「鍼道 一の会」の永松先生が教えて下さいました。
東垣十書 脾胃論二・三 巻三 三項
胃気下溜五臓氣皆亂。其為病互相出見論
・・・(中略)・・・
岐伯曰、氣在于心者、取之手少陰心主之輸[神門 大陵]
・・・まあ、詳細は省きますが、要は何らかの原因で、結果的に上下の気のアンバランスが起こり、上焦(心)に濁気がある時に、神門や大陵が使えるよ、
という李東垣の指摘です。(゚∀゚)
ここでは”原穴で上下の気の調整が出来る”というのがポイントかと思います。
臨床的に、「あるある、確かに!!」って感じです。
そして、「霊道」は要穴表では経金穴。
臨床上は、心の病態に脾胃、腎(下焦)が絡んでいる時に神門が使える(というか神門に反応が出ている)という印象。
これはストレートに、兪土原穴の魅力だよなあ、と思いながら、いつも使っている。
霊道の場合は、心肺、あるいは心小腸、という病理パターン>腎虚、血虚、って感じの時に出てくる印象。
(魄気、衛気の異常も含めて)
これは通里に近いせいもあるだろう。
霊道から神門までがわずか2寸、経穴の間隔が5分ずつで表現されていることにも注意を払いたい。
因みに手少陰心経の郄穴たる陰郄に出ているようなものは、慢性雑病ではほとんど診ない、というのが僕の印象。
これを散らさないとならないような時って、実型の眞心痛、厥心痛の時とかなんじゃないか・・・??
(しかし、これをやるとしたら実に怖いね。そうかな、と思っても、陽池にいってしまいそう。。。(苦笑))
あの手関節付近の手少陰陰経の要穴4穴並びに対する、現時点での僕なりの簡単な印象。
2019.11.04
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前回のお話し
前回述べたように、東洋医学の言う五臓六腑の一つである、小腸の腑、大腸の腑には、「左旋」「十六曲」という形態的特徴が付されている。
(『霊枢』腸胃(31)です。)
カテゴリ 五臓六腑
もちろん、実際に人体を解剖してみれば、小腸は左旋も16曲もしていない訳ですが、現代西洋医学的な現実的、写実的解剖学ではなく、
気一元論、太極陰陽五行論を前提とした、観念論的、機能的解剖学の”より完璧な”構築に腐心した古代中国、あるいは東アジアの医者たちとしては、
ここにどんな意味を込めたのか。
・・・昔から感じるけど、こういう問題に興味を抱き、気にするかどうかっちゅーのも、感性、センスという意味で、この医学を実践、ないし研究していく者にとっては重要かもしれない。
まず「左旋」からだけど、左旋ときたらまず思い浮かぶのが河図洛書の洛書だ。
河図洛書に関して、詳しい説明はここではしない(てか素人なんで出来ない(-_-;))けど、洛書では陰の動きは四隅における左回旋(2→4→8→6)であらわされる。
(アルテミシア『臓腑経絡学』p13)
つまり小腸の腑、大腸の腑における廻腸の「左回り=左旋」という形態的特徴の意味は、「陰の動き(収斂、収蔵、ある意味で成熟)」を表現しているのではないか、と、個人的には愚考している。
つまり形態的に「左旋」であらわされる「陰の場」である小腸大腸において、飲食物(水穀)は収斂、収蔵されていき、ある意味で「人体にとっては使い物にならない」二便が成熟していくわけだ。
(しかも左旋しながら上から下に動くわけだしね。(^^♪)
因みに、五藏六府の中で、奇恒之腑も含めて、回旋、螺旋のイメージであらわされるのは小腸の腑、大腸の腑のみだ。
(そのうち語りたいけど、この東洋医学的人体の”回旋・螺旋”の問題がまた、色々あって楽しい。(*‘∀‘))
カテゴリ 奇恒之腑 参照
・・・ではもう一つの特徴、「十六曲」はどうか。
五臓六腑では他にも、肝の七葉、肺の八葉、心系の四、三焦の三、脾・胃や心・心包や肝・胆や腎のニコイチなど、数字に拘って特徴づけられたような表現が散見される。
因みに、Wikipediaによると16の正の約数は1、2、4、8、16の5つだそうだ。
そして約数を「5つ」持つ数の中では「最小が16」であり、16の次は81だそうだ。
(もうこの、”最小”とか、”次が81”とか出てきただけで、ヨダレが。。。(笑))
また、約数の和と元の数との積が完全数になる3番目の超完全数であるそうで、1つ前は4、次は64だとか。
(これも、4とか64とか出てくるともう。。(゚∀゚))
数字、数術に詳しい読者の方、16そのものの数学的、数術的意味に関しては、まだまだ色々あると思うんで、ぜひ教えてください。<m(__)m>
・・・ともかく、「16」みたいに、易(河図)の言う生数(せいすう:1~5まで)と成数(じょうすう:6~10まで)を超えた二桁の数字が出てきたときは、
『黄帝内経素問 三部九候論(20)』に「天地之至數.始於一.終於九焉.」とあるように、そこに含まれる生数や成数の組み合わせで意味を考えて妄想したりしますが、
今のところ、小腸大腸の場合の「16」に内包されている意味は4✕4じゃないかな、と思っています。(私見)
「4(四)」は古代中国においては、代表的には地(陰)における東西南北の空間や、四時陰陽(四季)を示し、空間的広がりや、時間の循環を意味します。
(青土社『中国神秘数字』参照)
また、易(河図)の生数では「4」は「金」を意味します。
「五行」のはたらき 4 参照
脾の臓と胃の腑の協調共同作業(胃の受納腐熟、脾の運化昇清のコンビネーション)での結果としての未消化物を、正常な脾胃の働きを土台にしながら、
心腎の陽気の扶助、肝肺の疏泄昇発宣発粛降の扶助によって、滞りなく、完璧に近い形で精濁泌別、糟粕の伝導が行われるためには、空間的に十分な広がり(四方)と、
十分な時間的な有余(四時)を必要とし、最終的には魄門(肛門)からの排泄(死と再生)が待っていますので、この流れは陰の場(左旋)において行われないと。
小腸の腑、大腸の腑における「左旋」「16曲」は、あんな、ある意味で稚拙な蔵象図の中に、上記のような深い意味をサラッと込めているモノなのではないかと、今のところ愚考しています。
(読者の方で、これに関して他の御見解がある方、ぜひご教示ください。)
鍼灸臨床で、便秘や下痢を治療するときに、合谷や後渓や上廉や下廉を当たり前に使うことがありますが、上記のようなことを考えながらやると、
診どころや意識に変化が出てくる筈です。
澤田健による
「リウマチは小腸の熱だ。」
という発言の意味や、北辰会が後渓を使ってあらゆる病を治している現実なんかもね。
・・・ま、どうであれ、結果的に、腸の健常な左旋力、消化吸収に必要不可欠な空間と時間を調整するのではないかと思っています。
今のところ、そう考えています。(゚∀゚)
(因みに今回と前回の話はまったくの私見ですので、悪しからず☆)
2019.10.28
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日曜日は(一社)北辰会定例会東京会場に参加してきました!!
今回は朝から筒井まりか先生によるミニ講義「気の病証」。
吉祥寺の月晶院院長、佐藤達也先生による「経穴解説 膀胱経・腎経・心包経」、五反田のかねこ鍼灸治療室院長、金子太先生による「経穴解説 三焦経・肝経・胆経」。
三人とも非常に真面目で、勉強熱心な先生です。
受講生の評判も上々だったようです。
まあ、飲み会でもちょこっと話題になりましたが、「気・血・津・液・精」の生理と病理を深く理解することは大事です。
また、各重要経穴の特性を理解しておくことも重要。
このように、座学できちっと基本的な事項を理解しておくことは極めて重要です。
東洋医学は学なくして術なし、術なくして学なしです。
午後は実技指導「腹診・空間診」で、私からデモをやらせていただきました。
・・・まあ、月に一回、定例会に来た時だけ、北辰会方式の診察法をやっているだけでは、なかなか身に付きません。
ここで学んだことを、来月の勉強会までにどれだけ予習復習できるか。
自分の中に落とし込めるかどうか。
また今回は、朝から藤本新風先生がサプライズ参加してくださいました。
もちろん飲み会にも!(笑)
2019.10.27
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中医学では、体を流動する生理的な水分のことを「津液(しんえき)」と言います。
日本漢方の言い方では「気・血・水」の「水」ですね。
(中医学の言う”津液”と、日本漢方の言う”水”は違う!という厳しい意見が聞こえてきそうですが、ここではザックリとこのように分けさせて下さい。(^^;))
この津液が、飲食物から吸収され、形成され、全身を巡るのには、比較的複雑な生理システムが関与しています。
まず、飲食物が「胃の腑」に入って、「脾の臓」の力で消化吸収され、余ったものは「小腸の腑」に送られ、さらに余ったものは「大腸の腑」に送られ、
それでも最終的に余った老廃物は、主に大便や小便や汗として体外に排出されます。
人体の恒常性維持に使えるもののうち、生理的な水分のことを「津液」と呼び、これは体表の露出している粘膜や、その他全身各所に、適度な潤いを与えます。
よく東洋医学では「五行色体表」といって、あらゆる要素を五分割した表があり、そこでは五液(涙、汗、涎、涕、唾)という表現が出てきますが、これらはぜーんぶ、津液(特に液)です。
この中で、臓腑経絡学において、「小腸の腑」では飲食物から津液のうち「液」をとり出し、「大腸の腑」では津液のうち「津」をとり出す、と教わりました。
・・・ところでこれ、何ででしょ??
東洋医学やってる人、パッと答えられますか??
水分(津液)は、陰陽で分ければ「気」、つまり「陽」に対して、「陰分」とか「陰液」言われますが、その津液をさらに陰陽に分けると、液は陰、津は陽です。
(流動性と粘性の強弱、存在する位置、機能的なベクトルなどから、このように分けています。)
これにはまあ、色々な説明の仕方が出来ると思うのですが、平たく言えば、小腸の腑の段階ではまだ完全に飲食物は消化され切っておらず、
大腸の腑よりも相対的に清濁が判然としない状況ですので、ある意味ザックリと荒っぽく、大まかに水液をとる必要があります。
従って結果的に流動性の低い、相対的に濁った(粘った)水液である「液」をも、とり出します。
そして大腸の腑では、小腸の腑と比較すれば消化物はかなり便に近い状態になっていますので、精濁の分化は小腸の腑の時よりも相当ハッキリとしており、
大腸の腑では仕上げとして、より完璧に、清濁をキッチリと分ける必要があります。
従って、流動性の高い、相対的に澄んだ水液である「津」をも、残さずとり出す、ということになるのではないかと思います。
ここで注意しないといけないのはあくまでも相対的に、という理解ですね。
四角四面に、小腸=液、大腸=津、と硬直的に考えてしまうと、臨床的には失敗のもとだったりします。
また、「小腸の腑」は「心の臓」と表裏関係であり、五行では「火(君火)」の性質があてられていますが、心の非常に強い陽気の働きを助けとして、
ある意味で胃から送られてきた未消化物を”火にかけながら”、”荒っぽく”、精と濁とを分けるのに対し、「大腸の腑」は「肺の臓」と表裏関係であり、
五行では「金」の性質があてられており、大腸では肺金の「従革」「粛殺」の気の助けを借りて、ある意味”几帳面に”、”精緻に”飲食物は大便へと”変化”させる、
という、五行の性質を通じた解釈もあり得ると思っています。
この「東洋医学的消化活動」の更なる詳細はここでは述べませんが、この流れにさらに、肝の臓や腎の臓、三焦の腑などなど、あらゆる臓腑が協調して参画して、
バランスが崩れないようにシステムで仕事をしてくれています。
五藏六府の表裏関係の中で個人的に面白いのは肺大腸、心小腸、心包三焦なんですが、他の肝胆、腎膀胱、脾胃と違い、”隣接”という位置関係をとらずに、
上焦(心肺)と中下焦(小腸大腸)で表裏関係を成しています。
(心包三焦はまたもう一歩特殊で、膜同士、とか、内外、と言っていいと思いますが)
肺は華蓋で八葉蓮華、蓮の花が”逆さになった”形で描かれ、心は蓮華の蕾のような姿で、これも”逆さになった”姿で描かれます。
そして、小腸は左旋で16曲、大腸の最初の部分である廻腸も左旋で16曲、という風に描かれます。
ところで、小腸大腸のこの「左旋」「16曲」、これは何でですか??
続く。
2019.10.13
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前回のお話し
さて、午後からは京都に移動し、「武田薬品工業」の薬草園へ。
↑↑京都市の左京区、門跡寺院で有名な「曼殊院」の横にあります。
曼殊院では日本三大不動の一つ、「黄不動」の複製画を見ることが出来ます。
不動明王マイラー 目次 参照
黄不動の掛け軸の実物は滋賀の三井寺にあるそうですが、これは秘仏中の秘仏で、一般人は見ることが出来ません。
(僕は、安置されているお堂の前までは行きましたが。。。)
↑↑なんと、この薬草園は、東京ドーム二個分の敷地面積なんだとか。。。
武田薬品、恐るべし。(゜レ゜)
自分がいかに零細かを、思い知らされますね。
到着後、PVを見せて頂いたのち、ガイドさんがついて、一つ一つ説明しながら回らせて下さいました。
↑↑乾燥生薬を手作業で粉末にする「薬研(やげん)」。
↑↑オジサンたち、一生懸命粉末化体験しました。(笑)
(これけっこう大変。(^^;))
↑↑偶然、今回段どってくださった「栃本天海堂」さん製の薬研が!!(゜o゜)
(これは今では製造されておらず、貴重なものなんだとか。)
園内には、あらゆる生薬が栽培されています。
↑↑このように、和名、学名、生薬名、生薬に使用する部位、薬効、分類など、きちんと書いてくれています。
↑↑附子、烏頭、巴豆・・・、東洋医学、生薬学をかじったことのある人なら誰でも知っている、劇薬中の劇薬です。
(トリカブトは事件にもなったから、一般人でも知っていますね。)
↑↑以前、香川修庵の「治打撲一方」で紹介した「川骨」です。
「治打撲一方」という薬 参照
↑↑華岡青洲が世界初の麻酔下での乳がん手術に成功した際に使った「蔓陀羅華(マンダラゲ チョウセンアサガオ)」。
↑↑蓮風先生の話によく出てくるカギカズラ。
生薬名を釣藤鈎(ちょうとうこう)といい、有名な抑肝散や釣藤散に入っています。
このトゲの部分を使い、逆上せた気を下げる働きを発揮させます。
トゲで引っ掛けて気を降ろす、というイメージからではないか、ということなんですが、オイオイ、そんなん、マジか?と思うけど、ホントにそう効くんだから、漢方というのは面白い。(*^^*)
そのように、形や、自然界での働きから、薬効を思いつき、使ってみたら確かにそう効く、というものが結構あるようです。
「形象薬理」という考え方 参照
↑↑名前が悪い、「クソニンジン」。(笑)
なんとこれ、「抗マラリア薬」として使われており、2015年に中国の屠 呦呦(と・ゆうゆう、トゥ・ヨウヨウ)先生がこれの研究でノーベル賞(医学・生理学)を受賞されております。
漢方薬、生薬には、伝統的に難病に使われて、効果を発揮してきた薬が多数あり、それは現代の医学者、科学者からすれば、研究材料の宝庫でしょう。
まだまだ今後、ノーベル賞級の発見はあるんじゃないかと思います。
↑↑呉茱萸湯(ごしゅゆとう)で有名な呉茱萸(ゴシュユ)。
今回、これが一番インパクトあったかな。。。
なんか、おいしそうな見た目ですが、かじってみたら辛いというが苦いというか、刺激がハンパじゃない!!!
まあ、この日は他にも、色々な刺激の強い生薬を、かじったりなめたりしたせいか、唇と喉のピリピリ感が、半日くらい取れなかったです。(苦笑)
↑↑これは、刺激の強い生薬を触った指で、うっかり目をこすってしまい、目が空かなくなった韓先生です。(笑)
↑↑出口付近には、方剤別に、構成生薬を一カ所に全て植えてくれているというサービスまで!!
さすが製薬会社の薬草園ですね。。。
・・・今回、色々とここに書ききれないほど勉強になったのはもちろんですが、漢方薬にまつわる、あらゆる人の苦労というか労力、努力、歴史の重みを感じました。
医師などの使う側(処方する側)も飲む側(患者さん)も、漢方薬、生薬は大事に使ってほしいですね。
2019.08.05
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これまでのお話し
「体用理論」に関して 3 参照
◆「体先用後」「体用一源」
ここまでの話をまとめると、東洋医学(特に肝の臓の生理機能を説明する際)でもたまに出てくる「体用論」という考え方は、もともと仏教由来の言葉であり、
東大のチャールズ教授の言説によれば、この考え方は中国独特であり、中華三大宗教と言われる「儒・道・仏」三教すべてに、強い影響を与えているようだ。
仏教については出典を簡単に述べたが、儒教ではどうか、という部分については、今井宇三郎先生(1911-2005)の『宋代易学の研究』に詳しい。
(この本、東洋医学者には必携の書だと思うんだけど、超希少本で古本市場で10万超え。。。再版されねえかなー (=゚ω゚)ノ)
ここでも、もともと「体用」の起源は仏教にあることを紹介しつつ、魏の王弼(おうひつ 226-249)の、
「無の用は有、有の体は無。」
が唐代(618-907)の孔穎達(くようだつ 574-648)『周易正義』に採り上げられていることに触れている。
(なんか深い意味がありそうなものの言い方だけど、名前が”有”の俺にとってはなんかハラ立つ。。。(苦笑))
そして、上記の考え方は宇宙生成論としての体用論であって、宋学の祖と言われる周敦頤(しゅうとんい 別名:周濂渓しゅうれんけい1017-1073)の高弟である
程頤(ていい 別名:程伊川ていいせん 1033-1107)の、「体用一源」「顕微無間(けんびむげん)」の考え方とは異なる、と述べておられます。
・・・まあ、宋代の学問(特に儒学)の流れを簡単に言うと、周敦頤さんの弟子である程頤さんが考えた「理気二元論」てのをさらに深く解釈して、
大成したのが朱熹さんで、朱熹さんは周敦頤、張黄渠、程頤、程顥の四人の凄い先生の言説をまとめて、それまでの儒学を刷新して「朱子学」をブチ上げたんですが、
この新しい流れを「宋学」なんて言います。
(この5人もそのうち紹介しましょう)
「宋学」(狭義では朱子学)では
”(この世の森羅万象の)存在って何なの??”
ということを考えたりするんですが、存在は「理と気」からなっている、と考えます。
まあ、理は法則、原理であり形而上のもの、気は物質的であり形而下のもの、なんて言われます。
(これについてはまたゆっくりと語りましょう)
理気と体用、なんか似ていますね。
この理と気には、「先に理があって後に気がある」という先後論があります。
そこから、朱子学では「体先用後」という考え方があります。
『宋代易学の研究』には、この先後論は、時間的観念によって説くものではなく、認識論的観念によって説くものである、と、何やら難しい解説がしてあります。(苦笑)
要するに、先に理があって後に気があるというのは、時間的な前後のことを言っているのではなくて、存在を認識する時にそのように理解した方が妥当だ、
ということでしょうかね。
この先後論に関しては諸説あるようで、この論文が参考になりました。
(三浦梅園先生が出てきている!!)
個人的には、こういう先後論についての回答は、仏教の言う
「常に時間は循環しているものであるので、最初は存在しない。」
という回答が、個人的には潔くて好きだったりします。(゚∀゚)
続く
2019.08.01
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ずいぶん前に、有料メルマガ『あはきワールド』に、「肝病はこう治す!」というテーマで前後編に渡って執筆した。
(もう二年も経っていることに、驚きを禁じえません。。。(゜レ゜))
因みに、『あはきワールド』は必読ですよ、業界関係者。
(安いのに、情報は濃いです。)
ここで、肝の臓の「体陰用陽論」、「体用論」というものを紹介した。
(肝の臓のキホンについては 「肝」って何ですか?(その13) 参照)
引用すると、
「体用論」というのは中国哲学上の概念であり、“本体と作用”の略称であり、本質とその現象の意である。
冒頭に肝の臓の主な機能を述べたように、肝の臓は蔵血の臓であり、血は陰であるから、肝の実質(肝体)は陰である。
また肝は疏泄・昇発・筋の活動などを主り、相火の働きを持ち、剛猛な性向があって容易に化火動風するので、肝の機能(肝用)は陽に属し、肝体と肝用は相互に依存する。
これは明代、葉天士の門人である華岫雲が、『臨床指南医案・肝風』において
「肝為風木之臓、因有相火内寄、体陰用陽、其性剛、主動主昇」
と述べたことに由来し、それ以降、五臓の中でも肝に関しては、特に体用論が強調されるようになった。
このことは、肝の疏泄作用は、蔵血機能が十分な条件下にて、初めて十分に発揮されることを意味し、同時に、疏泄が十分であって、初めて蔵血作用が十分に達成されることを示している。
(引用終わり)
我ながらカタい文章ですが、今日から少し、これに補筆しておきます。
続く
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