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2010.06.04
これまでのお話・・・
「心」って何ですか?(その1)
「心」って何ですか?(その2)
「心」って何ですか?(その3)
「心」って何ですか?(その4)
「心」って何ですか?(その5)
だんだんと、ネタが増えてまいりましたね・・・。
イイ感じです。(笑)
ただまあ、このブログは専門家に向けたものではないので、最初から全部読まなくても、1話1話、
「誰でもが」
分かるように配慮したものにしよう、と思っています。
今日は東洋医学のいう「心」を理解する上で欠かせない、「神(しん)」というものの関わりについて述べます。
東洋医学には「五神(ごしん)」という考え方があります。
人間の精神活動(考えたり、覚えたり、判断したり・・・)は、この「五神」というものの働きによってなされている、と考えられています。
そしてこの「五神」というものは、読んで字のごとく”5つ”あり、それぞれが「五臓」と深く関わる、とされています。
「五神」と「五臓」の関わりを書きますと・・・
・肝・・・魂(こん)
・心・・・神(しん)
・脾・・・意(い)
・肺・・・魄(はく)
・腎・・・志(し)
となります。
この中の、「肝」と「魂」の関わりについては、以前「肝」って何ですか?(その4)にて述べました。
脾と意、肺と魄、腎と志についても、いずれ述べようと思っていますが、今日はとりあえず「心と神」について述べましょう。
この「五神」というものには、それぞれに役割があります。
例えば、肝の魂には無意識をつかさどる働きがあったり、それ以外の意や魄や志にも、それぞれ異なった働きがあります。
その中で、この「心神」というものは特別、別格です。
なぜならば、他の四神の働きを統合し、まとめる、という、”部分的”ではなく、”全体包括的な”働きを持っているからであります。
つまり、人間が持つあらゆる感覚、記憶、本能、理性、思考、といった、精神活動の全てを、「心」が蔵する「神」が、最終的には統括している、という風に、東洋医学では考えます。
この辺の詳しい話はたにぐち書店『中医心理学』に非常によくまとまっております。
(しかしこれは専門書ですので、一般の方は読んでもチンプンカンプンかもしれません。)
実は僕は昔からこの辺の理論が好きでして、というか興味を持ってまして、色々な先輩たちに質問したり、本を読んだりして、徐々に自分なりに勉強を進めていました。
日々患者さんに接するたび、
「一体、人間のココロの仕組みってどうなっているんだろう?」
「この人は何を求めているんだろう?」
「どうすればこの人は癒されるんだろうか?」
とかっていう問題は、僕が鍼を持って以来、ずーっと頭にありました。
これを「医学理論的に考える」、一つのヒントがこの『中医心理学』でありました。
・・・まあそれはともかく、「心」という臓が蔵するこの「神」というものは、「魂」の説明の時と同じ感じになりますが、「気」のある側面に名前を付けたもの、と考えたらいいと思います。
つまり、平た~く、はしょりまくって、強引に、言うと(笑)、「気」のように全身を周流しつつ、”主に”「精神活動」のバランス調節をしているもの、と言えます。
じゃあ肝の臓が蔵する「魂」との違いは何か、というと、「魂」が無意識の精神活動に関与するのに対し、「神」は意識下の精神活動に”主に”関与します。
要は、仕事でも家庭でも、それ以外の人間関係も、我々の振る舞いは全て、各人の顕在意識下でなされていて、潜在意識が表面化することは通常ない訳ですが、
両者は表裏一体の関係性を持っていて、相互に影響しあう訳です。
これを調整、統括し、顕在意識を清明、正常たらしめているものが「心神」なのであります。
なので様々な要因でコレが不安定になると、実に多様な症状を呈します。
いわゆる西洋医学的な、”精神病”と言われるようなものも、東洋医学では「心神の病」の範疇に入ってくることが多いです。
あるいは原因不明の激痛を伴う病なども、この範疇で考えると説明がつくことが多いです。
なので臨床的には、この考え方を応用すると、非常に強力な鎮痛作用を鍼で表現することが出来たりします。
(・・・と言ってもまあ、そんな簡単な技術ではないけどネ。)
かなり簡単に述べましたが、東洋医学の言う「心の臓」が蔵する「神」とは、以上のような役割を持ち、人間の健康には欠かすことのできない役目を担っている、ということです。
次回に続く
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2010.06.01
これまでのお話・・・
「心」って何ですか?(その1)
「心」って何ですか?(その2)
「心」って何ですか?(その3)
「心」って何ですか?(その4)
今日は、「心」と「血」の関わりについて・・・
☆心と血の関係
以前、「肝」って何ですか(その2)において、人体を潤し、栄養する重要な要素である「血(けつ)」は、五臓の中の「肝」に蔵され、
全身に配分調節されている、というお話をしました。
しかし、じゃあ「血」は肝に”しか”関わらないのか、というと、そんなことはありません。
肝以外の4臓にも、当然関わります。
その中で、特に「血」と密接にかかわるのが「心」であります。
なぜならば、(その1)で述べたように、心の臓には「ポンプ作用(主血作用)」という働きがあります。
この働きは、簡単に言うと、ドクンドクンと、全身に血が行きわたるように、律動的に「血」にプレッシャーを与えている作用、という意味です。
(笑・・・そのまんまだネ。)
でも、ということは、心には常に一定量の「血」がプールされていなければその働きを果たせませんよね?
つまり、十分に血が入ってなかったら、「ドクン」と動いてもスカッと空振りになっちゃうわけです。
ですので、「肝」が蔵している血が少なくなってしまうという、病的な状態(肝血虚)の時、肝以外の4臓の中で「心」という臓は非常に悪影響を受けやすい、と言えると思います。
こうした、肝と心の密接な関係性を、東洋医学では「心肝同源(しんかんどうげん)」なんて言ったりします。
この場合の「源」というのは、この二臓の安定的な機能の源(みなもと)が心も肝もともに「血」であるから、です。
そいで、血が少ない、という影響を心が受けると、心の臓の働きがうまく出来なくなり、不眠や動悸、あるいは精神的に不安定になったりと、実に様々な症状が出るのです。
こないだ、「肝」って何ですか?のシリーズ10話を読んで下さった、熱心な患者さんに聞かれました。
患「先生、あれを読むと、体の働きのほとんどは肝がやってないですか?」
竹「いやいや!そんなことはないです。(笑)肝がやってることはすごく大きいけど、他の臓腑の働きもすごいもんです。
これから他の臓腑も解説していきますが、徐々に色んなことが分かってくると思いますよ。お楽しみに!」
・・・東洋医学をまったく知らない人達に対する、本格的な東洋医学の、誰にでも分かるような解説。
この連載は僕にとってのチャレンジでもあるんです。
(次回に続く)
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2010.05.28
前回のお話・・・
今日は、心の形態について考えてみたいと思います。
☆心は他の4臓と直接つながる
↑上の図が、東洋医学的な「心の臓」の図であります。
(中国明代、張景岳『類経図翼』より)
これを見ますと、心から直接4本の管が伸びていることが分かります。
それぞれの管は肝、脾、肺、腎という他の4つの臓に直接繋がっていることを示します。
この中で、「肺」とのつながりだけは他と比べて、少し違います。
この図に、ちょっと難しいけど、
「肺系即肺管」
という言葉が書いてありますね?
・・・まあ、ここは諸説あるようなんですが、要は心と肺とは、気管(空気の通り道)を通じて連結しており、
それ以外の3つの臓よりもさらに機能的に密接なつながりを持つ、と解釈すればよい、と思います。
「心の臓」は、それ以外の四臓のうち、「肺の臓」との繋がりが密接かつ特別です。
「肺の臓」が”八葉蓮華”と言われ、蓮の花の姿で描かれるのに対して、「心の臓」は”蓮の蕾(つぼみ)”として描かれます。
このことは、東洋医学の蔵象観自体が、仏教の影響を受けていることや、心と肺の同源性、同根性を示している示唆だと思います。
(私見です。)
位置については、肺の下で膈(かく)の上、ちょうどみぞおちの少し上あたりにあるとされ、これは西洋医学の言う「心臓」の位置とほぼ一致します。
・・・しかしここで、東洋医学の言う「膈(かく)」というものは、西洋医学の言う、「横隔膜(おうかくまく)」とはまた違います。
古代の中国でも、人体を解剖する、という行為は当然ながら行われていたようです。
(『黄帝内経霊枢』経水篇(12)にすでに記載あり)
ですから、実際に人体を解剖してみて、西洋医学の言う「横隔膜」を目で見て、「膈」としたのでしょう。
しかし、そこから先は違います。
西洋医学の解剖学の本を見ると、「横隔膜」は筋肉であり、人間の呼吸運動に関わる、”呼吸筋”の一つであり云々・・・と出てきます。
つまり呼吸に関わる重要な筋肉である、という認識です。
これに対して東洋医学では、そうではありません。
まず、人体というものを働きの上から、横に三分割して考えています。
(すなわち、「膈」から上(上焦)、膈からおへそまで(中焦)、おへそから下(下焦)、という風に、です。)
そしてこの「膈」というものを、「膈」から下の、飲食物が消化吸収される、ある意味では汚れた世界(中焦、下焦)と、清らかな空気を吸い込む、
膈から上の綺麗な世界(上焦)とを分ける、大事な膜だ、と考えました。
(中焦と下焦の境界線には、膈のような物理的な境界はありません。)
「膈」があるから、その上に存在する「心」と「肺」は特に綺麗でいられる、大便や小便のもととなるような、飲食物が消化吸収された”残りカスの気”が、
「膈」から上の世界には入ってこないのだ、と考えました。
面白いですねえ。。。
こういう発想、僕は大好きです!(笑)
まあいつも言うように、東洋医学は「医学」ですから、”面白い”だけでは終わりません。
この考え方に基づいて、鍼灸なり漢方なり、何か治療をしたら、キチッと効果があがる、言った通りになる!
患者さん喜ぶ!
だから、寝る間も惜しんでやる価値がある、という訳です。
・・・次回に続く
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2010.05.24
いや~、しかし昨日から雨が降るわ降るわ、ろくな天気じゃないですね~(+_+)
こういう悪天候の中、来院された患者さん達にまずは感謝。<m(__)m>
ニュースをみると西日本はもっとひどいみたいですが、しかし昨日から雨がよく降りますね~・・・。
今日、患者さんとの何気ない会話で、こんなのがありました。来院された時、
竹「いらっしゃい!いや~今日はいやなお天気だね~。こんな中よくいらっしゃいました!大変だったでしょ~。」
患「いや~、こんな風に天気が晴れない時は、気分も晴れませんね~。」
竹「・・・ホントだね~!まあどうぞどうぞ。」
という、何気ない会話でした。
しかしこれは意外と、大事なことだなあ、とその時フッと思いました。
何しろ患者さんを治そう治そう、という気持ちを持って、一生懸命鍼をさせていただく、というのが我々の普通のスタンスな訳ですが、
病気の経過中には、急に雨が降ったり、風が吹いたり、暑くなったり、自然界には色んな変化が起こります。
当たり前ながら、いくら鍼でも、自然現象を変えてしまうことはできません。
鍼は人や動物を治療する道具であり、天気の変化や潮の流れを変えるものではありません。(笑)
患者さん、というのは、そういう、予想だにしないような大きな自然界の変化があると、その都度その都度、健康な人に比べて、肉体的、精神的に非常に大きな影響を受けてしまいます。
まさに患者さんの体の中も、ココロの中も、雨が降ったり、風が吹いたり、嵐になったりして、それに健康な人よりも大きく振り回されてしまう訳です。
・・・なぜなら、なかなか健康な人のように、キビキビとは変化についていけないからです。
中には、ついていけないことにガッカリと落胆してしまったり、それが分からないために、ワケが分からなくって精神的に不安定になってしまわれる患者さんもおられます。
こうした時、僕らは鍼を使って体を調え、言葉で励ます、説明する、場合によっては笑い飛ばす(笑)ことしかできませんが、こういうことを理解してるのとしてないのとでは対応に大きな差が出ます。
”人間”というのは、自然界の中の他の動物と比較して「相対的に」独立してはいるけども、どこまでいっても自然の「絶対的な」支配から逃れることは出来ないんです。
天気が晴れなきゃココロが晴れない、こういうのは当たり前なんです。
要はそれの「程度の差」の問題なんです。
ところでココロと言えば、東洋医学では「心」の臓というものが大きく関与します。
という訳で、ぼつぼつ肝に続いて、”「心」って何ですか?”シリーズ、いきます!!
(笑・・・いつの間にか今日のブログは、前フリになっちゃいました。)
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2010.05.13
今日は午後からなかなか忙しく、バタバタしてるうちにあっという間に今に至りました・・・。
そして今日の診療終了後は、(社)北辰会関東支部の講師であり、僕の鍼灸学校時代の同級生でもあり、来月関東支部の定例会で症例発表をなさる、土田丈先生が清明院にお見えになりました。
土田先生は現在荻窪にある鍼灸接骨院で、人気の先生として働いておられます。
(しまった~、写真撮り忘れた・・・。)
ちょっとモノをとりに来ただけなんだけど、結局なんだかんだ喋ってるうちに、そのまま飲みに行ってしまいました・・・。
という訳で肝の話はちょっと置いといて・・、(笑)今日はもう健やかに寝ようと思います!!
(というか、お酒を抜きます・・・。無理して明日の診療に響かすわけにはいきませんのでね・・・。)
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清明院に皆様のお力を!<m(__)m>
2010.05.07
いやあ~、今日はおかしな天気でしたね~・・・。
雨が降ったり、止んだり、基本的にジメジメしてるし、何やら生温かくて、風もあるし、こんな日は体調を崩す患者さんが多いですね。。
(何人か診ました・・・。)
こういう日の過ごし方は、一番いいのは家から出ないことだと思いますが、仕事しておられる患者さん達はそういう訳にもいきませんな(苦笑)
まあ、こういう、天気の極端な変動に左右されない体を作るにはどうしたらいいか、ということを僕なりに色々と考えながら患者さんにはアドバイスさせていただいています。
実はこれにも、「肝」が重要な役割を果たします。
最近、”「肝」って何ですか?”シリーズを書いていて、とある患者さんから、
「このまま五臓六腑全部書くんですか??」
と聞かれました。(笑)僕は当然、
「ええ、そのつもりです。」
と答えましたが、たまにチョイチョイどうでもいい話でも挟みながら行こうかな、と思っております。
(なんかカタいブログになったら嫌だしね。)
・・・と、ここまで書いたところで急用が入ってしまいましたので、今日はここまで!
イントロダクションにすらなっておらず、申し訳ない<m(__)m>
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2010.04.14
これまでのお話
「泣く」とはどういうことか(その1)
「泣く」とはどういうことか(その2)
「泣く」とはどういうことか(その3)
「泣く」とはどういうことか(その4)
これまでの話をまとめたら、「泣く」という現象が起こる時、というのは、
「感極まった時」
と、
「物理的な、過剰な刺激があった時」
となりますね。
また涙が、「常に目の表面を潤し、保護しているもの」と考えれば、ある意味、人は常に泣いている、とも考えられます。
一部の例外を除いて、普通はそれ以外の原因で「泣く」という現象は起こりません。
つまり、「泣く」という現象は一種の生理現象なんですね。
アメリカの生化学者で、面白い研究をした人がいます。
ウィリアム・フレイ二世という人ですが、彼は
『涙-人はなぜ泣くのか-』
という著書の中で、感情が極まって泣く時の涙は、ストレス解消になっているはずだ、という仮説のもと、普段、眼球表面を潤している涙と、
感極まって流す涙の成分分析をやって、2者を比較しました。
すると、感極まって流す涙の方が、より高濃度のたんぱく質を含んでいることが分かりました。
これにより、感情に起因する涙というのは普通の涙と比べて示す意味が違うのではないか、ということが分かりました。
しかし、ではこのたんぱく質とストレスの関係性については、となると、不明な点があり、今日も興味深い研究テーマとして存在しているようです。
・・・まあ、ここであまり難しい話をしても仕方ありませんが、日本でも江戸時代に、広岡蘇仙(ひろおかそせん 1696-没年不詳)という人が、その著書
『難経鉄鑑(なんぎょうてっかん)』
の中で、涙に対する東洋医学的な見解を述べています。
(因みに49難です。専門家の先生方や興味ある方は、チェックしてみて)
まあ要するに、「泣く」ということは、一時的に起こった精神的、肉体的な不調を整えるきっかけ、サイン、と理解していいと思います。
それには五臓の中の「肝」が大きく関わるよ、ということです。
だから、「泣きたい時は泣けばいいさ、体が正常に戻ろうとするサインなんだから。」となる訳です。(笑)
しかし、人間というのは困ったもので、「泣く」という行為は、一定の精神状態を作れば”演技”が可能ですから、コレにも注意を払わなくてはいけませんがね。(苦笑)
以上で一旦このシリーズは終わります。
またそのうち、もうちょい突っ込んだことでも書こうかな、と思っています。
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2010.04.13
これまでのお話
「泣く」とはどういうことか(その1)
「泣く」とはどういうことか(その2)
「泣く」とはどういうことか(その3)
・・・まあ、人間に当たり前に起こっている現象の一つ一つを、東洋医学ではどう考えるのかな?と考えていくと、何気ない現象から、大変勉強になることがよくあります。
そういう一つ一つをいい加減に理解しないことが、治療にとても生きてきます。
(・・・と、僕は思っています。)
とはいっても、全部が全部、何もかもがきれいに説明がつく訳ではないし、完全にクリアにはなかなかならないのが面白いところでもあるんですけどネ。(苦笑)
今日は、目に対する物理的な刺激で涙が出るのはどうしてか、というお話。
そもそも目の表面、角膜というものは粘膜であり、常に少量の涙で洗い流され、潤っています。
(目の表面を触って、パサパサの人、いませんよね?)
そして定期的に「まばたき」によって言わば”ワイパー”がかかります。
(5時間ぐらいまばたきしないでも平気な人とか、いませんよね?)
そのようにして、常にきれいに、清潔に保たれることによって、光を認識し、「見る」という機能をどうにか果たす、とてもデリケートな機関であります。
また、目(眼球)は、どうやっても鍛えようのない機関でもあります。
どんなに屈強のレスラーでも、目をつつかれたらたまりません。
格闘技では目潰しのことを「サミング」といって反則行為としています。
この、「常に少量の涙で目を潤し、まばたきをし、目を清潔に保つ」機能の主役は「肝」であります。
(これは「腎」や他の臓腑も関わりますが、あくまで主役は「肝」と言っていいでしょう。)
ですので、目に対する物理的な「過剰な」刺激があったときは、この機能も「過剰に」働き、よりたくさんの涙で眼球を洗い流そうとします。
前回も述べたように、外的な精神的、肉体的刺激に対する適切な対処の主役は、将軍である「肝」の仕事なんです。
ただ、洗い流すためには「水(津液)」が必要になります。
この「水」の動きの主役になるのが「腎」なんですが、そこはまたの機会に詳しく述べましょう。
・・・ところで、「泣く」という現象って、まったくの病的な現象なんでしょうか?
実はそうではありません。
「泣いたらスッキリした」
とか、
「泣き疲れて寝たらスッキリした」
とか、「泣く」という現象は、病理的な変化への対応などの、あながち悪いことばかりでもないと思います。
次回はそのお話。
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2010.04.12
これまでのお話・・
「泣く」とはどういうことか(その1)
「泣く」とはどういうことか(その2)
今日は、「感極まる」「感情が高ぶる」ということと、「肝」という臓がどう関わるか、というお話をしようかな、と思います。
以前、東洋医学においては、五臓と感情は関係が深い、というお話をチラッとしました。
(カテゴリ「七情について」の8つのお話参照)
その中で、「肝」という臓は「怒り」という感情と関係が深い、というお話をしました。
しかし、「泣く」という現象は、なにも「怒り」だけで起こってくる訳ではありませんよね?
うれしくて泣く、悲しくて泣く、恐くて泣く等々、「泣く」という行動に移るまでの感情は、実に様々です。
しかも単純に、目に対する物理的な刺激でも、涙が出ることはあります。
それなのに、なんで「泣く」ことと「肝」の関係が深いかというと、感情の過不足、というものは、つまるところ「気の正常な流れ」を障害するからです。
つまり、怒れば気が上がり、喜べば気が緩み、思い患えば気が結び、悲しめば気が消え、恐れれば気が下がる訳です。
(カテゴリ「七情について」参照)
そんで、感情の過不足によって乱れた、これ(気の極端な動き)を正常な状態に戻す、主たる臓こそが「肝」なのです。
ですので、この感情の過不足がきつければきついほど、「肝」の仕事は多くなります。
頑張らなくてはいけなくなります。
こうしたことから、「肝」は五臓の中では、
「将軍の官(しょうぐんのかん)」
とも言われ、外的な刺激(精神的、肉体的両面)に対しての対応を担い、適切な対処を考える臓、と位置付けられています。
この時、この働きがスムーズに、速やかに発揮出来れば、「泣く」という現象は起こりません。
(いわゆる感極まった状態になることはないわけですね)
しかしこれが「肝」にとって許容範囲を超えた、大きな負担になるほどの感情の過不足だと、肝の働きが阻害されます。
この病理的状態を、東洋医学では「肝欝気滞(かんうつきたい)」と言います。
これが長引いたり、あるいは短期的であっても急激に起こったりすると、「気鬱化火(きうつかか)」という状況が起こります。
(なぜ、そうなるのかという細かい話は、話が逸れるので割愛します。)
この「気鬱化火」という病理現象が起こると、気は一気に体の「上」に向かいます。
つまり、体の「上」で「気」が急激に渋滞する訳です。
これが「目」で起こると、目は充血(血も渋滞した状態)して真っ赤になり、熱(鬱熱といいます)を持ちます。
これだけで終わったら、すぐに「目」がカラカラに乾いて、干からびて失明しちゃいますので、何とかこれを冷やそうと、「肝」やそれ以外の臓腑が協調して、
体の中の正常な「水(津液と言います)」が目に「急激に」集まってきます。
そして余剰な分が溢れて、目からその水が流れる、これが東洋医学的な「涙(るい)」です。
ちなみに、目で起こらない場合でも、この病理(気鬱化火)の場合は、頭痛であったり、肩こりであったり、必ず「上」で症状が起こってきます。
(感情が極まっても、泣く人ばっかじゃないもんね)
では物理的な刺激で涙が出るのはどうしてか、次回はそのお話。
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2010.04.10
前回のお話・・・
昨日は全然中途半端で終わっちゃいました…。
すいません<m(__)m>
昨日の話では、「涙」は「目」から出るもので、東洋医学的には「目」には五臓の中の「肝」が深く関わるよ、というところまでお話ししました。
では「肝」以外の4臓6腑は関わらないのかというと、関わります。
しかしその中でも、「肝」が”特に”関わる、ということです。
東洋医学においても「目」というのは、当然「外界のものを見る」という機能がついてます。
その機能を果たすためには、当然「栄養」が必要ですよね。
その栄養分のことを「血(けつ)」と言います。
西洋医学のいう「血液=blood」とはこれまた意味が違いますよ!
混同しないように!
(笑・・・しねえか。)
「血」というのは、もちろん全身を栄養しますが、特に「目」の働きにおいては主役です。
目の他にも筋、髪、爪などを特に栄養します。
故にこれらの部位の状態を診ることで、「血」の状態に見当がつきます。
目がよくかすんで、筋肉がつり、髪はパサパサ、爪はもろい、なんていう患者さんがいたら、東洋医学では真っ先に「血」が少ない病、
「血虚(けっきょ)」という状態を考えます。
・・・まあそれはともかく、その「血」をたくさん溜めていて、必要に応じて全身に配分し、過不足のないように調節しているのが、「肝」という臓になります。
だから、「目」と「肝」は、「血」というものを介して、深く関わっている、と考えます。
しかもこの「肝」という臓は、「血」を溜めていて、配分調節をやりながら、なおかつ「気」の巡りをも調節しています。
東洋医学では「気」と「血」の両者をセットで
「気血(きけつ)」
と称し、この「気血」の巡りが全身くまなく、バランスよければ健康、滞りや場所によっての過不足があれば病気、と考えます。
「肝」はまさにその気血の巡りのバランス調節の要、と言えます。
さて、説明が長くなりましたが、そのことと泣くことに、一体どんな関係があるんでしょうか。
それは次回。(笑)
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順天堂東医研、第6回公開シンポジウム「総合診療と東洋医学」2025.01.10
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(一社)北辰会、組織再編。2024.04.02
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2.25(日)順天堂東医研、第5回特別公開シンポジウム「日本とインドの伝統医学」に登壇します!!2024.02.01
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