東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「表裏(ひょうり)」する臓腑

2010.09.29

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東洋医学では、人間の内臓の主なものを「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」と呼び、西洋医学とは”部分的には”オーバーラップしながらも、

「まったく」

と言っていいほど異なる内臓観を持っています。

「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」って何ですか? 参照

 

 

このことは、そもそも東洋医学と西洋医学では、「生命観」そのものが根本的に違う、ということをも示唆しています。

 

 


・・・まあ、それはさておき、これまで述べてきたように、この「五臓六腑」というものは、それぞれが独特の働きを持ち、
しかも、そのそれぞれが密接に関わり合いながら、

 

人間の「正常な生命活動、恒常性」を維持している訳ですが、この「五臓六腑」「五臓」と「六腑」に分けた場合、”特に”関わりの深い「臓と腑」というものが存在します。

 

 


それを東洋医学では、

「表裏(ひょうり)関係にある臓腑」

と呼んでいます。

 

 


そして、その組み合わせはというと・・・

肝(かん)・・・・・・・・・胆(たん)

心(しん)・・・・・・・・・小腸(しょうちょう)

心包(しんぽう)・・・三焦(さんしょう)※

脾(ひ)・・・・・・・・・・・胃(い)

肺(はい)・・・・・・・・・大腸(だいちょう)

腎(じん)・・・・・・・・・膀胱(ぼうこう)

となります。

 

 


東洋医学では、上記のように「臓と腑」を分類し、主にその”働きの上から”セットで考えます。

 

 


”働きの上で”関わりが深い、ということは、当然、病になった場合にも、セットで病みやすい組み合わせ、とも考えられます。

 

 


・・・ここで、賢い読者の皆様はすぐに気になるのが、

「あれ?五臓六腑、五臓六腑って言ってたのに、六臓六腑になっちゃってんじゃん!!」

というところでしょう。

 

 


これについては、今は詳しい解説はしませんが、臓と腑の関係性を説明する時には「五臓」に、「心包(しんぽう)」という臓を1種類加えて、

 

それが、「三焦(さんしょう)の腑」と表裏関係にある臓、とされています。

 

 


コレにはなかなか深い意味があるのですが、いずれ「心包」と「三焦」を解説する時に、私なりの意見を述べてみましょう。

 

 


・・・このように、東洋医学では、人間の生命、その根幹となる「五臓六腑」を考えていく時に、

”働きの上から”、

”形の上から”、

”実際に人体に起こる諸現象との整合性を意識して”、

”歴史的な様々な解釈も踏まえた上で”、

あらゆる角度から分析し尽くした上で、医学理論を構築している、と言えます。

 

 


その完成度はメチャメチャ高い、ほぼ完成していると「僕は」思います。

 

 

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「夢」の不思議

2010.09.17

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最近、また「夢」というものについて、考えています。

これは以前にも、ちょこっとだけ、書いたことがあります。

「夢」はなぜ見る?
「肝」って何ですか?(その4) 参照

「夢」に対する解釈で、一般にもよく知られ、有名なのは、フロイトユングですわな。

・・・まあ、フロイトさんの方は、

「夢は願望の充足である」

と強調し、一時はそのフロイトさんの弟子でもあったユングさんは、

「夢は過去の願望ばかりではなく、現在の期待の実現でもある」

と強調しました。

それ以外にも色んな学者さんが色んな立派な研究成果や見解を持っているようですが、そのように、なかなか見解の統一がうまくはかれないということは、

 

逆に言うと結局は夢というものが「不可知」なるもの、ということの証左じゃないかな、とも思います。

日本にも、「初夢」とか「正夢」なんて言葉があります。

「夢」に対しては、昔からみんな興味津々な訳です。

(そりゃあそうです。だって超身近な不思議現象だもんね。)

これは、脳波の観察とか、そういう近代的な観点から研究した人たちによると、みんなが毎晩見ている、なくてはならないもの、ということになるらしいです。

(ただ、起きると同時に忘れてしまうのが正常ね。)

危険な実験で、「断夢(だんむ)実験」なるものがあるそうです。

これは、脳波上、「夢を見ている」とされる脳波の時に、強制的に被験者を覚醒させる、という実験で、これを5~7日繰り返すと、軽度~重度の精神異常などの症状が出るそうです。

(でもコレ、倫理的にやっちゃダメな実験ですぞ。)

東洋医学ではこの辺の仕組みを

 

「肝の臓」が蔵する「魂(こん)」

「肺の臓」が蔵する「魄(はく)」

 

そして、それらを統括する、


「心の臓」が蔵する「神(しん)」

 

というものの働きで説明します。

・・・まあ、ここいらの話はムズいので、年末の講義でちょこっとしゃべることにして、要は、

「夢をいつまでも覚えている=その時点でいくらか病的」

ということが言えるようです。

でもこれぐらいでは、誰にだってたまにならあることで、即治療対象、とは考えないことが多いでしょう。

面白いのは(というかみんなが興味あるのは)見た夢の内容に対する解釈ですね。

よく、やれ吉夢だとか凶夢だとか、色々言いますが、僕から見たら、「吉凶」もまた「陰陽」ですから、すべて「吉」の方向に解釈して、

プラスに転じてしまえばよいのです。(笑)

・・・例えばこないだ、とある大先生がおっしゃっていた、

「髪が全部抜けおちる夢を見た!」

なんていうのも、

凶夢としての解釈なら、”老いへの恐れ”とか、”ある能力の低下”という解釈もありますが、吉夢としての解釈として、

”さらなる高次の学びへの欲求”

とか、

”飾り気を捨て、ありのままに精神の成長に専心する前兆”

という解釈も出来るんです。

このように、マイナスは、いつだってプラスなんです。

・・・「陰陽論」て、マジで凄いんです!!

「夢」については、まだまだありますが、ちょこっとずつちょこっとずつ、小出しにして、書いていきます。(笑)


お楽しみに♪

 


【参考引用文献】

 

王克勤『中医心理学』たにぐち書店 

 

 

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「肺」って何ですか?(その9)

2010.09.11

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これまでのお話・・・


「肺」って何ですか?(その1)

「肺」って何ですか?(その2)
「肺」って何ですか?(その3)
「肺」って何ですか?(その4)
「肺」って何ですか?(その5)
「肺」って何ですか?(その6)
「肺」って何ですか?(その7)
「肺」って何ですか?(その8)

 

☆「肺」と「本能・感覚」と「魄(はく)」

・・・以前、「肝(かん)」は「魂(こん)」を蔵する、というお話をしました。

「肝」って何ですか?(その4) 参照

 

・・・また以前、「心」は「神(しん)」を蔵する、という話もしました。

「心」って何ですか?(その1) 参照

 


・・・そして以前、「脾」は「意(い)」を蔵する、という話もしました。

「脾」って何ですか?(その5) 参照

 


・・・「肺」というのも、これらと同じように、五臓の一つですから、精神作用や感覚に関係のある「魄(はく)」というものを蔵しています。

この辺の話って、とっても難しいけど、実はとっても面白い、そしてとっても重要な部分なんです。

 

・・・でもまあ、なるたけ簡単に述べます。

 

この「魄」というものも、まあ言わば、全身を流れる「気」のようなものであります。

 


そしてその役割は、

1.人間の本能的な欲求に関わる

2.感覚機能(味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚、etc..)

主にこの2つです。

 


1.については、そもそも人間に「本能」なんてあるんだろうか、という議論もあるようです。

(事実、「人間には本能などない!」とする学問もあるようです。)

 


しかし間違いなく、「欲求」は存在しますよね?

 

・・・なのでこのような書き方にしました。

 

つまり、「〇〇したい!」という欲求の惹起には、この肺魄の活動が大きく関わる、ということです。

 

2.について、東洋医学では、( )内のあらゆる感覚にて得られた情報を、「肺魄(はいはく)」が「心神(しんしん)」に伝えることによって”認知”する、と、考えています。

(笑・・・難しい?)


まあ要するに、生命を主宰し、精神活動の中枢である、「君主の心」を、すぐそばでサポートする側近(宰相)が「肺」であり、その「君主の心」に蔵され、

 

人間の精神活動を統合する「神」というものに、あらゆる情報を正確に伝達するのが「肺魄」だ、という関係です。


・・・まあ、僕としては、最低限皆様に分かっていただきたいのは、東洋医学ではこのように、

”人間の感情も感覚も、消化吸収排泄など、あらゆる生理機能も、ぜ~んぶ「気」の働きによるものです!!”

と言ってしまえば、そりゃあ簡単なんだけど、それじゃザックリし過ぎててよく分からんので、東洋医学では、こういう細かいメカニズムについても当然いちいち考えているし、

 

そしてそれが、実際に起こるあらゆる現象を説明しうるものかどうか。治療を行う際に使えるものかどうかについても、ひっじょ~に細かく細かく考え尽くされているよ、

 

ということが言いたいのです。

 


・・・ですから、東洋医学はきちんと体系だった「医学」なんです。

 

荒唐無稽ではございません。

 

お間違いなきよう。(笑)

 

 


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「肺」って何ですか?(その6)

2010.09.02

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これまでのお話・・・

「肺」って何ですか?(その1)
「肺」って何ですか?(その2)
「肺」って何ですか?(その3)
「肺」って何ですか?(その4)
「肺」って何ですか?(その5)

 

さ、どんどんいきましょう!

 


☆「心の臓」と「肺の臓」の関わり


これまで書いてきたように、「心の臓」と「肺の臓」は両方とも上焦(胸部)に存在しております。

・・・というか、五臓六腑の中で、上焦に位置するのはこの2つのみです。

そしてなおかつ、この二臓は「氣管」によって連結され、他の3臓と比較すると、その結びつきは強い、と考えられています。

では具体的に、”どう”結びついているんでしょうか?

まず、「心」って何ですか?(その1)で述べたように、「心の臓」には、

”全身にくまなく「血」を送り込むポンプ作用”

というものがあります。

それと似た機能として、「肺の臓」には、

”五臓六腑のフタ(一番上に存在)となり、全身に気血を降ろし、巡らせる”

という機能があります。


この機能同士が密接に結びつき、お互いに支え合い、全身に「気血」を正常に循環させしめている、という訳です。


このようにして、「心」と「肺」は、”上焦(胸部)”という、人体における「上の部分」、つまり、人体の”上下”を陰陽で考えた場合、

「上」は陽なので、心と肺は「陽」という場の中で、陰陽の関係をなしている訳です。

 

つまり・・

心・・・上焦(陽)の中の陽

肺・・・上焦(陽)の中の陰

という風に、東洋医学では分類して考えます。


ここで当然、

「んん!?なんで心が陽で肺が陰なの??」

という疑問が浮上しますが、これもいずれ書こうと思います。

 


まあ要するに、心と肺は、”胸部”という場における夫婦みたいな関係だ、ということです。

 


そしてこの夫婦は、

全身にくまなく「気血」を降ろし、いきわたらせる、

という、人間が健康を保つ上で欠かせない、大変重要な働きを持っている、という訳であります。

 


また、この「降ろす」という働きと言えば、「胃」って何ですか?(その4)「胃」って何ですか?(その5)で述べたように、

「胃の腑」にも、”気を下げる(和降)”という働きがあります。

 

つまり、「肺」”気を下げる(粛降)”という働きは、「胃」の”気を下げる”という働きをフォローしているのです。

 

そして、「心」と「肺」が協調して、”気を全身に行きわたらせる”という働きは、「肝」って何ですか?(その2)で述べたように、

”肝が気血を全身にバランスよく配分する(疏泄)”という働きをもフォローしています。

このようにして、「五臓六腑」というのは、機能的に複雑に絡み合いながら、人体の正常な状態を維持するために、日夜頑張ってくれている訳です!!

 


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「肺」って何ですか?(その4)

2010.08.27

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これまでのお話・・・

 

「肺」って何ですか?(その1)
「肺」って何ですか?(その2)
「肺」って何ですか?(その3)

 

さあさあ、続けていきましょう!

 

 

☆「八葉」について

まず、「八葉」の方から考えてみましょう。


コレは、基本的には「肝」の7葉との対比、と理解します。

東洋哲学では、”数字”も陰陽に分けます。つまり、

「奇数」は陽、

「偶数」は陰、

という具合にです。そして、

「肝」は血を蔵し、

「肺」は気をつかさどる、

という、「血」と「気」に関わる2大スターを、7葉(奇数なので陽に属す)の「肝」、8葉(偶数なので陰に属す)の「肺」、と表現し、

働きは似てる部分もあるけれども、違いがある、ということを表現したもの、と考えます。


・・・まあ、そう言ってしまえば何となく簡単に思えますが、実はこれも深く考えていくと、

「んん!?」

となることがたくさんあります。(笑)

 

 

例えば、

「奇数と偶数で「陰陽」を表現したいのは分かったけど、何で”7”と”8”じゃなきゃいけなかったの??」

とか、

「”8”は”8”でも、”6葉+両耳”って表記してるのは何でだ??」

とかネ。(苦笑)


これについては、個人的にですが、そういう疑問って、ものごとを深く理解する上では、意外とポイントじゃないかな、と思っています。

 

 

こうやって、人体も含む自然を数字を使って示す考え方のことを「数術」といい、「数術」に用いる数字を「術数」と呼んだりします。

 

 

古代中国人(だけじゃないけど)は、数字を単なる計算のための符号ではなく、大宇宙の「法則」「秩序」を示す神秘的な符号ととらえ、自然を読み解くのに用いました。

 

ただ、今、そのことをあんまり細かく書いていくと、どんどんマニアックな世界に没入していきますので、今はやめておきます。(笑)

 


いずれこのブログ上で、僕のマニアックな考えを述べることがあるかもしれません。(笑)

 

東洋医学に何気なく使われてる数字とか、文章表現というのは、恐ろしく奥が深い世界への入口になっていることが少なくないように思います。

(気付く人は気付く、みたいなネ。)

 

次回は「九節」について。

 


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「肺」って何ですか?(その3)

2010.08.26

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これまでのお話・・・


「肺」って何ですか?(その1)

「肺」って何ですか?(その2)

どんどんいきましょう。

 

☆肺のカタチ

東洋医学の言う「肺の臓」の形は、実はとても興味深いものです。

 

肺の臓(医学原始)

 

↑↑中国清代、王宏翰『医学原始』(1692)より

 

 

これまた、一見、

「は?何すかコレ?」

ですよね。(笑)


でも、東洋医学がこの形で「肺」を表記したのには、当然大きな意味があります。

 


この形は、実は他の臓腑で言うと「肝」にそっくりです。

「肝」って何ですか?(その7) 参照

 

「肝」の時は、「肝」が「血(けつ)」を蓄える働きが、植物の葉っぱが養分を蓄える働きに似ていることから、葉っぱの形をしていると考えた、と説明しました。

 


では、「肺」は何を蓄えるんでしょう。

 

答えは「気」です。

 

 


「肺」は、そのすぐ下の、中焦に存在する「脾胃」が飲食物から取り出した「気血のもと」が、脾の働きによって上焦に持ち上げられたものと、

「肺」自身が天空から吸い込んできた「清らかな気」とをドッキングさせて、全身に行きわたらせる、という重要な働きを持っています。

カテゴリ「脾胃について」参照

 

このような働きを指して、

「肺は気をつかさどる」

なんて言われたりします。コレについては、重要なので後ほどもう少し詳しく述べようと思います。

 

そして、前回書いたように、「肺」は全身の清と濁の「気」を、絶えず交換しています。

 


これは植物の葉っぱの光合成やガス交換によく似ていますね?

 

古代の中国人は、実際に解剖してみた場合の、”写実的な”内臓の様子をそのまま書き残すのではなく、その臓腑が持つ「機能」に着眼、重視して、臓腑の形態を描き示しました。

 

個人的には、あるものをそのまま書くよりも、その方が賢い(というかシャレてる)気がします。

(まあそこは、好みの問題だけどネ。)

 


さて、この写真の上の部分に、「氣管」がくっついているのが分かるかと思いますが、そこに、

「肺管九節(はいかんきゅうせつ)」

と書いてあることに気付くと思います。

 

 

また、

「六葉 両耳」

コレにも目がいきますよね?これらにも当然、深い意味があります。

 

「九節」に関しては、氣管の節目の間の数であり、「六葉両耳」というのは、「肺」を構成する葉っぱの数が全部で「八枚」ある、ということを教えています。

 

以前、「東洋医学」と「数学」に書いたように、この医学に数字が出てきた時には、ほぼ間違いなく、特別な意味があります。

 

ですからこの「九」と「八」にも、当然意味が隠されている訳です。

 


さて、その説明は長くなりそうなので次回、お楽しみに♪

 

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「肺」って何ですか?(その1)

2010.08.24

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さてさて、そろそろ五臓六腑シリーズを再開したいと思います。

こないだ、「怒り方の大事」のコメントの多さをみた時、

「あれ、みんなもしや、東洋医学の話し、あんましキョ―ミないのかしら??」

とか、

「やっぱちょっと難しかったんカナー・・・。」

・・・とも思いましたが、負けずに書き続けようと思います。(笑)

このブログの裏テーマは、読み手(皆様)のニーズと、僕の楽しめる世界との最大公約数の模索であります!

(・・・言っちゃったら”裏”じゃないけど。(笑))

まあ、なるべく「面白く」、「分かりやすく」を心がけて、愛すべき東洋医学の世界を語っていきますので、難解、あるいは不可解な表現等がありましたら、

 

遠慮なくコメント下さいますよう、宜しくお願いします。<m(__)m>

ではいきます。

 

「肝」「心」「脾」「胃」ときまして、続いて「肺」であります。


ちなみにこのシリーズは、どこから読んでも分かるように配慮して書いていますので、これまでのシリーズを読んでいなくても分かる書き方で書いていきます。



☆東洋医学の言う「肺の臓」とは

毎回毎回、うるさいかもしれませんが、東洋医学の言う、五臓六腑の一つとしての「肺の臓」は、西洋医学の言う「肺=lung」とは違います。

「全然」違います。(笑)

ではどういうものか、と言うと、

1.胸部に位置し、

2.呼吸運動や、それに伴う様々な部位に深く関係し、

3.「心の臓」と協調し合いながら他の臓腑の働きを助け、

4.皮膚や粘膜と深く関わり、

5.人間の本能とも深く関わり、

6.「お水」の出納(すいとう)にも関わり、

7.便通にも関わる、


という「臓」です。

これをざっと見ると、

「なんだ、やっぱ西洋医学の”肺”と似てんじゃん!」

と思う人もいるかもしれませんが、それは違います。

・・・「全然」違います。(笑)

「関わる」と言っても、その「関わり方」も、「関わる対象自体」も、全然西洋医学のそれとは違うんだから、同じな訳ないんです。

これから何回かに分けて、以上の7つのテーマを軸に語っていきます。

お楽しみにネ!!

 

次回に続く

 

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足の親指の異常

2010.08.10

先日、患者さんから、こんな相談、質問をいただきました。

「左の足の親指が痛むんですが、何で左だけなんでしょうか?」

・・・足の親指の異常、と言うと、有名な外反母趾とか、陥入爪(かんにゅうそう:巻き爪のこと)あたりが有名です。

 

 

これらについて、西洋医学では、先のとがった靴による圧迫や、骨盤の歪み等からくる荷重のアンバランスによって、徐々に足の親指の血行が悪くなって発症する、と考えています。

 

【参考サイト様】

 

メディカルノート「外反母趾」

メディカルノート「陥入爪」     参照

 

冒頭の患者さんも、整骨院でこのような説明を受け、テーピングをしてもらった、とのことでした。

僕としては、コレはコレで筋が通っていると思いますし、否定するつもりは全くございません。

(事実、この患者さんも少し楽だ、とおっしゃいました。)

僕も、整骨院や整形外科で働いた経験もありますし、柔道整復師の免許も持っています。


各種の関節痛等の疾患において、こういうやり方(テーピング等)で効果が上がるケースがある、ということは、よく存じ上げておりますし、かつては僕自身も実際にやっていました。


しかし東洋医学では、これに対して、西洋医学とは違った考え方をします。


巻き爪や外反母趾、その他の異常については、足の親指に流れる「経絡・経筋
の異常、と考えます。

「経絡(けいらく)」って何ですか? 参照


東洋医学では、足の親指の、人差し指側(外側)には「肝の臓」に関係する経絡(足厥陰肝経)、内側には「脾の臓」に関係する経絡(足太陰脾経)の気が流れている、と考えます。

これらの流れが悪かったり、均等にバランス良く流れていなかったりすると、足の親指に様々な異常が起こる、と考えます。


つまり、「肝の臓」や「脾の臓」に異常が起こると、足の親指に異常が起こることがある、ということです。

「肝」について
「脾」について 参照

では、どういう異常が起こると、親指がどういう変化を起こすのか、という話になると、細かくて、難しくなるので書きません。(笑)

しかし、足の親指に起こった異常がどういったもので、しかも左右で違うのはなぜか、という問題も、東洋医学の考え方で、綺麗に説明がついていきます。

説明がつくだけで、治らないんじゃあしょうがないけど、それに基づいて治療していけば、ちゃんとよくなります。

 

これまでに何例も経験しています。


ちなみに冒頭の患者さんはお腹に1本鍼。


・・・よく効いています。


患者さんとしては、

「なんでお腹に?不思議!」

と思うかもしれないけど、東洋医学的に考えたら普通のことなんです。(笑)


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「脾」って何ですか?(その8)

2010.07.07

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これまでのお話・・・


「脾」って何ですか?(その1)

「脾」って何ですか?(その2)
「脾」って何ですか?(その3)
「脾」って何ですか?(その4)
「脾」って何ですか?(その5)
「脾」って何ですか?(その6)
「脾」って何ですか?(その7)

 


いや~、今日のジメジメも半端じゃなかったですね~!!

 


湿度は常に70%以上!

 


自然界がジメジメの時、体も心もジメジメになっちゃあいけません!

 


「サラッ」とさせとかないと!

 


・・・大体この時期、体がジメジメの人は太り、心がジメジメの人は痩せますな。(笑)

 


今日はそんなお話。

 


☆脾と「太る」「やせる」

 

これまでの話を読んだ人なら、これはなんとなく想像できると思います。

 


何度も出てきているように、当然「脾の臓」は消化、吸収に大きく関わります。

 


ということはこれがうまくいかなかったら過剰に太ったり、過剰に痩せたりしてしまうんです。

 


・・・まあコレ、当たり前の話ですけどね。(笑)

 


僕のところにも、いまだに、

「鍼で痩せられますか?」

とか、

「食欲のなくなる鍼ってないんですか?」

という問合せや質問がたま~にあります。(苦笑)

 


一体いつまで続くんでしょうか、女性の「楽して痩せたい」願望(幻想)・・・。

 


確かに、テレビや雑誌に出ているスリムで美しい女性を見て、ああなりたい、と思う気持ちはよく分かります。

 


でも、楽して、他力本願でそうなりたい、とか、何か一つのことだけやればあとは何もしなくていい、というのは、やっぱり虫のいい話のようです。

 


清明院では不自然に、無理やり食欲をなくさせたりするような、病気を形成、助長する行為は致しません。

 


どうしてもやりたければ他へどうぞ、という話にならざるをえません。(笑)

 


ただ、治療をしていくことで、その方の本来の消化吸収機能を取り戻し、体内の余分なものが減っていった結果として「やせる」ということはよくあります。

 


また逆に、やせ過ぎていた女性が、治療をすることによって適度に肉がついてきた、という変化もまたよくあります。

 


この変化に大きく関わるのが「脾の臓」です。

 


脾がうまく働かないと、飲食物が大して吸収もされずに、未消化便となって体から出ていってしまうことがあります。

 


また、吸収したのはいいけど、それがいつまでも無駄に体に留まる場合もあります。

 


前者の場合は痩せていくし、後者の場合は太っていきます。

 


ではどういう人がこのパターンに分かれるかというと、それは「脾の臓」以外の臓腑との機能のバランスによって決まってきます。

 


詳しくは難しくなるので書きませんが、例えば、すでに出てきた「心の臓」とか「肝の臓」とか、あるいは一番そばにある「胃の腑」とかとのバランスです。

 


これらがきちっと協調し合いながら仕事してれば問題ないんだけど、アンバランスがあると、先ほどの2つのタイプに分かれてきます。

 


何事もバランス、ということです。

 

 

陰陽あるけれども、「中庸(ちゅうよう)」が大事、というのが東洋医学的な健康体の基本です。

 

 


次回に続く。

 

 

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「脾」って何ですか?(その7)

2010.07.02

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これまでのお話・・・

 

「脾」って何ですか?(その1)
「脾」って何ですか?(その2)
「脾」って何ですか?(その3)
「脾」って何ですか?(その4)
「脾」って何ですか?(その5)
「脾」って何ですか?(その6)

 

☆脾は血に関与する

 


以前、
「肝」って何ですか?(その2)や、「心」って何ですか?(その5)にて、「肝」や「心」が血と深く関わる、というお話をしました。

 


しかし、血に関わるのは肝や心だけではありません。

 

 

「脾」も大いに関わります。

 


今日は、では「脾」が血にどのように関わるのか、というお話。

 


まず、血のもとは何かと言ったら、食べ物や飲み物です。

 


これは万国共通、疑いないですよね?

 


飲食物が口から入ると、一番最初に待ち受けるのは「胃の腑」と、それに密着した「脾の臓」でしたよね?

「脾」って何ですか?(その3)  参照

 


そしてこの2者がうまく協調して、飲食物から「気と血のもと」を取り出す、という話は以前にしました。

 


と言うことは、もし「脾」の働きが弱っていたら、もともとあるべき、体内の「血」の絶対量が少なくなってしまうんです。

 


「気血のもと」が取り出せない、てことは全身の気血が少なくなっちゃう、ということです。

 


そうなると肝も豊富に血を蔵することが出来なくなるし、心も十分に血を全身に送り出すことが出来なくなります。

 


そういう意味で、脾は血の生成に大きく関わり、ここでも生命の中心的役割を演じています。

 

 

「肝」「心」「脾」、この3者の血への関わりをまとめると・・・、

肝・・・血を貯蔵して、配分バランスを調節

心・・・血を律動的に全身に流動させる

脾・・・血の生成に大きく関わる

となります。

 


ですから血が足りない、という症状があったとしても、即座にどこが悪い、と決めつけることなんてできないんです。

 


ちなみに、西洋医学の言う「貧血」という考え方と、東洋医学の言う「血虚(けっきょ)」という考え方は、確かに似た部分もありますが、やっぱり違います。

 


どこがどう違うか、ということを説明すると長くなるし、難しくなるのでしませんが、そもそもこういう風に、西洋医学の概念を東洋医学的に翻訳しようとすること自体に無理がある、というのはいつも述べている通りです。

 

 

物差し自体が違うのです。

 


注意せねばなりません。

 

 


次回に続く

 

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