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「精神的ストレスで悪化、発症する病」について

2011.07.21

初診時、問診をしていくと、何か強烈な精神的ストレスがあってから、今回の症状を発症したとか、もともと慢性的にあった症状が急激に悪化したとか、

患者さんがおっしゃる事がよくある。

こういう時、東洋医学では、「肝の臓」の異常を中心として起こっている病である、という風に推論することが圧倒的に多い。

「肝」って何ですか?(その10) 参照

・・・でもこれ、なんか、短絡的な感じがする。

(と、以前は思っていた。今にして思えば、自分の考えが浅かっただけだったが。)

ここで、「強烈な精神的ストレス」と一口に言っても、色々ある。

怒った、喜んで気が緩んだ、思い悩んだ、憂い悲しんだ、驚いた、恐れおののいた、など。

まず、東洋医学の古典(『黄帝内経』『素問 陰陽応象大論(5)、五運行大論(67)』『霊枢 百病始生萹(66)』など)では、これらの感情それぞれの過剰によって、

 

影響を受ける臓腑が違う、ということが明確に述べられている。

怒りは肝、喜びは心、思いは脾、悲憂は肺、驚恐は腎、

という風に。

「七情」まとめ 参照

 


・・・ではなぜ、「精神的ストレスで発症、悪化した病」を、どれもこれも即「肝の臓の異常が中心」と考えることがあるのか、という問題。

感情別に、悪影響を受ける五臓が分かれているというのに。


これは結局、各感情の過不足によって、結果的、最終的に起こる現象が「気の動き方」の異常だからだ。

「気の動き方(方向性やスピード)」を指して東洋医学では「気機(きき)」という。


つまり、感情の過不足が起こると、五臓それぞれに悪影響を与えて、最終的には「気機」に異常が起こってくる、ということだ。


具体的に言うと、

怒れば気は上がり、喜べば気は緩み、思えば気は結ぼれ、悲しみ憂えば気は消え、驚き恐れれば気は下がる、


といった具合。

 

『黄帝内経』「素問 挙痛論(39)、刺禁論(52)、繆刺論(63)」「霊枢 邪気蔵府病形(4)、百病始生(66)」など参照


つまり、本来全身を滞りなくスムーズに周流するべき「気」が、上がったり下がったり、部分的に消えたり停滞したり、緩慢になったりと、

 

異常を起こし、結果的に気の流れがスムーズでなくなる、ということを述べている。

その時、気の流れをスムーズに是正するべく頑張る中心が、「肝の臓」なのであり、その肝の臓の働きが追い付かなくなってるから、

症状がとれない、という風に考えるのである。

だから、その細かい説明を端折って、

「精神的ストレスで悪化、発症する病=肝の臓の病変」

という風に考えることがあるワケだ。

 

・・・しかし、まだ問題は残る。

 

次回に続く。

 

 

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「三焦」って何ですか?(その2)

2011.07.10

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これまでのお話・・・

「心包」って何ですか?(その6)
「三焦」って何ですか?

続いていきます!


☆全身としての「三焦」と「三分割」の重要性


これまで、このブログでも何度か、「上焦」「中焦」「下焦」と、人体を上中下の3部位に分ける考え方を紹介しています。


上焦は、膈(かく)から上、「心・肺の臓」がある場所です。

中焦は、膈から下、おへそより上、「脾の臓」と「胃の腑」「肝の臓」「胆の腑」がある場所です。

下焦は、おへそから下、「腎・肝の臓」「小腸・大腸・膀胱の腑」などがある場所です。

 


これら3つの部位を総称して、「三焦」と呼ぶことがあります。

 


ですから、

「三焦って何ですか?」

と問われたら、

「上焦、中焦、下焦を合わせた、全身まるごとひとくくりのことです。」

と言うことも出来ます。

 


出来ますが、これも「三焦」という言葉の解釈のひとつ、概念のひとつでしかありません。

 


・・・ところで、人体をわざわざ上中下という3セクションに分けて考える、これは一つには中国古来の、

「天地人三才思想(てんちじんさんさいしそう)」

というものが深く関わっているようです。

 

この「天地」という陰陽(大宇宙)の中にある「人間」という陰陽(小宇宙)、これは一言でひっくるめて言っちゃえば「大自然」なので、

本来は一体のものであり、分けられるものではありません。

 

この、本当は分けられないけれども、一応、そこに存在する法則性や秩序を理解するために便宜上「三分割」する、という考え方が、東洋医学においては極めて重要です。

 

もともと一つのものを分けて考えた時、「陰」と「陽」と「その境界線」で「三」です。

 


この考え方を非常に重要視した学者で、成都中医薬大学の教授である鄒学熹(しゅうがっき)という人がおります。

 

蓮風先生が数年前、この先生と実際に有名な麻婆豆腐のお店で会食しながら、易学について薫陶を受けたという話は、北辰会の間では有名です。

 

特にこの先生の、「三を含みて一となす」という考え方は、当時の蓮風先生、北辰会にとって、大変インパクトが大きかったようです。

 

その他にも、この先生の考え方は、蓮風先生や、北辰会の医易学の専門家である神野英明先生にも大きな影響を与えたようです。

 


この業界もホント、上には上がいて、キリがないですねえ・・・。

(苦笑・・・なんか、話がそれてしまった。)

 

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「熱中症」について(その5)

2011.07.05

前回までのお話・・・

35℃超え!!
「熱中症」について 
「熱中症」について(その2)
「熱中症」について(その3)
「熱中症」について(その4)

 


続いていきます!!

熱中症が起こりやすいパターンの3つ目、「激しい運動をしたとき」のお話に参ります!

今日はそれを東洋医学ではどのように考えるか、というお話です。

まあコレも、専門的には激しく「どんな」運動をしたのか、というところまで、本当は考えないといけないんですが、今日は大づかみバージョンのお話をさせていただきます。


激しい運動をするということは、気血津液が体を盛んに巡る、ということであります。


ですので、脈拍も早くなるし、呼吸も早くなりますし、体温も生理的に上昇しようとします。

 

全体として”動的な状態”つまり「陽」に傾くわけです。

気が体を盛んに巡れば、言わば交通量が増えて、生理的な鬱滞(というか充満)を生じ、「熱」を生じます。

その熱が、汗として十分に発散されてくれれば、余分な熱(邪熱)は生じませんが、汗がうまく出ない、あるいは出過ぎて、冷やす力(生理的な水分)まで失われた、

こうなった場合に、「余分な熱」が体内に籠り、オーバーヒート状態となり、まさに「熱に中(あた)る」、熱中症の第1段階になります。


・・・つまり、ここまでを纏めると、

・暑熱環境にいる→外界の熱邪に、生体側が過剰に反応し、「熱邪による」問題発生。

・大量発汗している→必要以上に出過ぎると陰陽ともに出てってしまうので補給が必要→補給できないと「熱邪」や「気と津液の不足」による問題発生。

・激しい運動をする→うまく発散されないと体内に熱邪(余分な熱)発生→それが籠ると「熱邪」による問題発生

ということになります。

(甚だおおざっぱではありますが。)

 

まー要するに、

・体内に熱をこもらせないこと

・水分、塩分、ミネラルをしっかりと補給し、発汗過多による体内の「水不足」「電解質不足」が起こらないようにすること

が肝要である、ということです。

 

コレを適切に遂行するには、平素からの自分の体質に対する「正しい」理解と、それにマッチした「正しい」養生、「正しい」鍼灸を受けておくことが、予防として有効なのは言うまでもなく、

たとえ、重度の熱中症状態で意識がないとか、嘔吐がひどくて口から飲めない、という状況になってしまったとしても、東洋医学的にやりようがない訳ではないということ、

また、そういった重篤な局面では、現代では「点滴による輸液」という大変優れた手法があるので、そうなった場合はそちらをやった方が安全確実、といったところです。

 

・・・では当然、熱中症にならないためには、そもそも

 

1.暑熱環境に行かず、

 

2.汗を極力かかず、

 

3.激しい運動もしなけりゃ問題なくね??

 

という視点が浮上します。

 

確かに上記3つを避ければ、熱中症にはなりにくいでしょう。

 

しかし、真夏にクーラーの効いた部屋で、汗もかかず、体も動かさない、それが健康的な夏の過ごし方かというと、それは違いますよねえ??

 

この辺を東洋医学ではどう考えるか。

 

 

 

次回に続く。

 

 

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「過緊張」が自覚できないのはなぜか

2011.06.20

毎日、患者さんを診ていると、たまに聞く言葉。

治療の後、僕が、

「今回の症状が出たのは、余分な緊張が強くなってたからだと思います。」

と声をかけると、

「??・・・その自覚はないんだけどなあ・・・。」

と、患者さん。

こういう人の肩を触ると、まるで皮膚のすぐ下に骨でもあるかのようにカチカチ。

・・・ここで、なぜ、余分な緊張をしてしまっている自分を、自覚できないのか。

自覚できれば、症状に悩まされる前に、前もって緊張を加減することが出来るはず。

何か自分で対策を打てるはず。

自覚できないから、”いよいよ”行くところまで行ってしまうまで分からない、ということになる。

今後の人生を長いスパンで考えた時、これは由々しき問題だ。

・・・さて、なぜこういう現象が起こるのか。

これには、東洋医学の言う「心の臓」や「肝の臓」が大きく関わることが多い。

人間が持つあらゆる感覚、感情、の認知の中枢は、「心の臓」にある、と東洋医学は説く。

「心」って何ですか?(その7) 参照

また、外的なストレス刺激に対して、適切に反応を示すのは、「肝の臓」がつかさどる、とも説く。

「肝」って何ですか?(その10) 参照


一つには、この2つの臓、とりわけ、中枢中の中枢である「心の臓」に異常が起こると、

「余分な緊張を自覚できない」

という現象が起こる。

こうなると、患者さんにしてみれば、自覚できていないことを指摘されるので、

「??」

となってしまう場合がある。

 

しかし、治療が進み、「心の臓」が安定してくると、

「ああ、自分はなんて余分な力が入っていたんだろう。」

と気が付くことがある。

 

ここ、重要なポイント。

 

こうなれば、こっち(治療者)のもん。

 

「してやったり」です。(笑)

 

真面目で勤勉な日本人・・・。

 

余分な緊張がない方が、かえってパフォーマンスが上がる、ということを、「カラダ」でも「アタマ」でも、しっかりと理解した方がいいように思います。

 

鍼は、時間をかけてでも、それを気付かせることが出来る、スゴイ道具です。

 

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原発の是非論

2011.06.11

なんだか、難しいタイトルね・・・。

(でも難しい話しはしません。というか出来ません。(笑))

今日、昼食を食べに、清明院の外に出ると、何やらドンチャンドンチャン、甲州街道の向こう岸でデモ行進をしておりました。

近くにいたおまわりさんに、

「これ、何の行進ですか?」

と聞くと、

「反原発だって。」

とのこと。

・・・特に震災以降、もちろんそれ以前からも、世界中で議論されている、「原発問題」

こないだもテレビで、俳優の山本太郎さんが反原発発言で波紋を呼び、事務所をやめた、なんていうニュースがやっておりました。

非常に難しい、この問題。

清明院ブログでも今、副院長がスタッフブログにて、主に問題になりやすい「被曝」に関する知識について連載しております。

カテゴリ 原発問題 参照

・・・まあこの問題は、

「人間が高度で、文明的な生活を求めすぎたあまり、結果として天に向かってツバを吐いた状況」

の、分かりやすい具体例だと思います。

今回の震災で、原発が「クリーンで安全なエネルギー」だという触れ込みが、間違いであったことは明らかになりました。

でも、「反原発!!」と大声をあげる人が多くいることはメディアを通じてよく拝見するが、肝心の「対案」が聞こえてこないような気がします。

正直、これもこれでちょっと問題、と思ってしまいます。

原発の安全性が確保されていない、ということは大問題であり、そこだけ見れば「即廃止!」という声が出て当たり前だが、じゃあこれまで我々が生活の中で依存しまくっている、

 

ありがたい「電力」の確保は、どうやってしていくのか、この部分に関する現実的な試算や、それがいつまでに実現可能か、という問題については、

 

あまり騒がれていないように思います。

というか、そういう話も出てはいるけど、なんとしてもそれを実現、という方向に動かそうとしている機運がないというかね・・・。


個人的には、それを政治家のせいにするのも、なんか違うような気がしています。


長期的には廃止の方向で考えた方がいいとは思ってるんだけど、そうするには、現代の文明的な生活が保てる程度の、原発に変わる「対案」がないとダメだと思います。

・・・水力?

・・・火力?

・・・風力?

・・・それとも?

個々の具体的なプランや方策を専門家任せにせざるを得ないのが悔しいけど、まあ僕として、清明院としては、「節電」しばらく続けます・・・。

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「梅雨」と「湿」と「土」と「脾」

2011.05.31

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いや~、毎日毎日、お天気がハッキリしませんなあ!


雨でジメジメしてみたり、寒かったり暑かったり、風が吹いたりと・・・。

毎朝、空を睨みつける人も多いのではないでしょうか。

以前、「肝の臓」と季節の関係を簡単に述べたことがあります。

「春」と「木」と「風」と「肝」 参照

 


・・・で、今日は、この時期に問題になりやすい、「脾の臓」と「湿気」の関係について述べてみたいと思います。

清明院でも、慢性的に「脾の臓」や「胃の腑」を患っておられる患者さんや、妊娠中でつわりが出ている患者さんなど、この時期は多少の悪化をみます。

カテゴリ 脾・胃 参照


しかし、鍼でキッチリと対処しますので問題ナシです。

「脾」って何ですか?シリーズで述べたように、「脾の臓」というのは、「胃の腑」と協調しながら、いわゆる人間が生きていく上で欠かせない

 

”消化・吸収機能”

 

を調節してくれています。


そして、この要となる「脾の臓」というのは、体内、それから体外(自然環境)の湿気(余分なお水)に弱いのです。

「余分なお水」というキーワードを含む記事 参照

 


まあしかし、こうして読み返してみると、あらためて書くまでもなく、ありとあらゆる書き方で、すでに書いていますネ・・・。(笑)

 

という訳で、上記のリンクを、よくお読みください。<m(__)m>

 

ホントは今回は、五行の「土」と二十四節気とか、色々絡めてお話ししたかったんですが、いかんせん時間がない・・・。

 

・・・ですのでそれはまたの機会として、まあともかく、こういう時を比較的楽に乗り切るためには、

・水分を必要以上にとり過ぎない

・脂っこい物とか、刺激物とか、極端に熱いもの、冷たいものなど、胃腸(脾胃)に負担のかかるものを食べない

・軽くていいから手足を使った運動をする

・鍼にガンガン来る

「決まり」です!(笑)

 

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あきらめない

2011.04.29

毎日毎日、患者さんを見ていると、たまにもうあきらめてしまっているような、投げやりな態度の患者さんを診ることがあります。

初診の時から、

「どうせやったってダメなんでしょ?」

みたいな感じの態度です。

そういう患者さんというのは、経過中も大体、少し良くなっている部分よりも、わずかの不調や不快な変化を丹念に探してきては、しきりにそれを訴えます。

「〇〇ってことはもうダメなんじゃないか、治らないんじゃないか。」

と。

(大概そこにはなんらの論理性はないです。)

そこで、

「うんうん・・・で、こないだの症状はどうなった?」

と聞くと、

「あ、あれはもう大丈夫です。」

との返事。

(苦笑・・・多少の差異はあるけれど、必ずどこかよくなっている点があります。)

・・・以前にも書いていますが、この極めて論理的でない、

「もうダメだ~・・。」

と思う気持ちというのは、病気と大変仲がいいように思います。

「不安」と「症状」
「不安」と「症状」(その2) 参照

僕はこれまでに何人も、亡くなる寸前まで診させていただいた経験がありますが、最後の時に、

「もうダメだ・・・。」

となってしまうと、とたんに弱ってしまうことがよくあります。

やっぱり生命は、「心身一如(しんしんいちにょ)」なんです。

「肝」って何ですか?(その10) 参照

・・・ただ、冒頭に述べたような患者さんが、一回で来なくなったら仕方ないけど(苦笑)、治療を受けにちゃんと通って来ている、ということは注目に値します。

つまり、ホントは「治る」と信じたいんだよね。

そして、ホントは僕のことをもっともっと信じたいんだと思います。

つまり、ぶっちゃけ、こういう患者さんになかなか信じてもらえない、そういう態度をとってもらえないというのは、僕自身の実力不足の面もあるワケです。

ここは、精進あるのみ、と考えるしかありません。

(もちろん冷静に体表観察して、何がよくなっているか、何がよくなっていないかは十二分に意識して診ますが。)

こういうのは、患者さんからしたら、どうしてもなかなか不安から解放されない、信じきるのが怖い、あるいは照れくさい(笑)、そういうケースなんだと思います。

でもこういう患者さんでも、一生懸命、最大限の誠意を持って治療していって、

「楽になる喜び」、

「治療してもらったことへの感謝」

の気持ちが芽生えてくれれば、一気によくなっていきます。

これも何度も経験があります。

こうなると、患者さんの顔つきが変わります。

まさにブレイクスルーです。

これは僕にとって「感動的」です。

なんだかんだ言って、「喜び」とか「感謝」というものは、ネガティブをポジティブに変え、人生を楽にする究極の方法だと思います。

当然、体も楽になります。

その患者さんの周囲の環境さえ、変わります。

自分が変われば相手が変わる、当たり前です。

せっかく、奇跡的な確率でこの世に生まれてきたのに、毎日不平不満ばかり、あきらめ顔で生きたら、もったいないように思います。

気の毒です。

そういう人をどうにか救えるように、僕はもっともっと精進せねばなりません。

僕らは「鍼」を持ってるんだから。

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患者さまの声(30代男性:突発性難聴、花粉症)

2011.04.05

「患者さんの声」をいただきましたので、紹介します!!


30代 男性 

症状:突発性難聴による聴覚障害、花粉症


ある朝目が覚めると、耳がくぐもった感じでした。

何の前触れもなく、突然です。

中耳炎にでもなったかな?と、軽い気持ちで耳鼻科に行ってみました。

ところが検査してみると、鼓膜に異常はなく、いわゆる「突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)」ではないかとのお話。

耳の奥の「うずまき」が機能不全とのことで、症例は多いが原因がわかっていない病気だそうです。

とりあえず、有効とされているステロイド剤や、血行を良くするビタミン剤、むくみをとる利尿剤などを処方され、様子をみることになりました。

薬は多少は効くようでしたが、完治するまでには至らず、このままステロイドを飲み続けるのもどうかと思い、妻の勧めで清明院を訪ねました。

まずは問診。

今回の症状についてだけでなく、生活や体質なども詳しく聞かれました。

そして鍼。

驚いたのは、耳とは程遠い、手の脇に1本だけ打ったことです。

感触は、ほとんど分からない程度でした。

「耳の近くや、全身にある『耳のつぼ』に何本も打つ(そして痛い)」という先入観を、見事に覆されました。

施術が終わってみると、症状は変わらないものの、肩や背中が明らかに柔らかくなっています。

症状に直接対処するのではなく、全身の総合的な流れ(と、いうのかな?)を整えることで、結果として改善されるということなのかなぁ、と感じました。

そして、週1~2回ペースで通うこと約1ヶ月。

症状は徐々に改善され、いつのまにか普通に聞こえるようになっていました。

突発性難聴は、定着してしまうと戻らない可能性が高く、とにかく早い対処が必要といわれています。

ギリギリのタイミングで清明院に出会い、無事完治することができ、本当に良かったと思います。


なお余談ですが、毎年悩まされている花粉症が今年は出ないことと、妙に食欲が出てやや太ってしまったこと(苦笑)がオマケとしてありました。


【清明院からのコメント】

本患者さんは、実は大変頭脳明晰な方でして、さすがにシンプルに要約して、この医学の特色、経過を述べて下さいました。(笑)

非常によくまとまった文章を書いて下さり、Sさん、ありがとうございます!!<m(__)m>

本患者さんが述べて下さったように、「突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)」という病気は、近年特に多い割に、

西洋医学の耳鼻科の先生方も手を焼いておられる病気の一つではないかと思います。

しかもそれが東洋医学、鍼灸でよくなることがある、という事実が、あまり知られてはいません。

つまり、耳が聞こえない、聞こえにくいという不安、不具合を抱えて、耳鼻科の薬で治療してもよくならずにさまよっている患者さんが多い疾患だ、ということです。

中には完全に聞こえなくなってしまう方もおられますし、鍼灸サイドから考えても、発症してから時間が経ってしまったものほど治りが悪いように思います。

この患者さんの場合も、もともと奥様が清明院の患者さんであり、早い段階で奥様の方からご相談いただいたため、

早期に着手することが出来た、ラッキーな症例だったと言えます。

「肝欝気滞(かんうつきたい)>腎虚(じんきょ)」と証を立て、治療を始めると、1回目から効果が表れ、約1カ月後、7回の治療で、ほぼ症状は消失しております。

今回このように「患者さんの声」を書いていただいたことで、同じ病に苦しむ一人でも多くの患者さんが救われるきっかけになれば、と思います。

また、もともとお持ちであった花粉症も改善されているという事実も、注目に値すると思います。

これは我々東洋医学の立場からすれば、この方の生活習慣、体質的な弱点を意識し、全体のアンバランスを是正しながら、

今回の依頼内容である「耳の聞こえにくさ」を治療する、という我々にとって「普通の」方法を取った結果であります。

こういうことが出来るのが、東洋医学なのではないかと思います。

 

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「心包」って何ですか?

2011.03.05

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・・・さあ、いよいよこの「五臓六腑」シリーズも最後に近づいてきました。

 


最後を飾るのは「心包(しんぽう)の臓」「三焦(さんしょう)の腑」でございます。

 

この2つについては、実は以前チョコッと述べています。

「表裏(ひょうり)」する臓腑 参照

 


・・・これまでは、肝とか腎とか、膀胱とか、比較的聞きなれたような内臓(臓腑)のお話が多かったため、多少イメージしやすかったと思いますが、

この、”心包”と”三焦”については、一般の方はあまり聞いたことがないと思います。

 

でもそれだけに、東洋医学独特の、非常に重要な二つなのであります。

 

まずは「心包の臓」から解説します。

 


☆「心包」とは何か

この「心包の臓」というものは、以前説明した「心の臓」とセットなんです。


「心」って何ですか?(その7) 参照


つまり”二つで一つ(ニコイチ)”ということであります。


だから、五臓に心包を加えて”六臓”と言わずに、

五臓・・・肝、心(心包)、脾、肺、腎

という風に、「心の臓」と同じもの、として扱うのが一般的です。

まずここがポイントです。

 


そして、「心包の臓」を図で示しますと・・・

心包の臓(類経図翼)

↑↑・・・こういうことになります。(『類経図翼』より)

 

上図の、ハート形の「心の臓」にワラワラと巻きついたような格好で描かれているのが「心包」です。

 


ちなみに以前お見せした、「心の臓」はこちらです。

 

 

心の臓(類経図翼)

ワラワラと巻きつく「心包」がない、ツルっとした姿となっております。(笑)

 

・・・ではこの、「心の臓」と二つで一つの「心包の臓」、ワラワラと巻きついて一体何をしているんでしょう。

 

 

それは次回。(笑)

 

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(社)北辰会関東支部2月定例会

2011.02.28

昨日、2月27日(日)は、代々木オリンピックセンターで行われた、(社)北辰会関東支部定例会に行ってきました!!

今回の定例会は、午前中基礎コースは土田丈先生による

「臓腑経絡学 肝・胆」

午前中臨床コースは尾崎真哉支部長による

「疾患各論 リウマチ」

これはどちらも非常に重要な内容です。

臨床上、「肝の臓」、「胆の腑」に異常を起こしている患者さんは少なくないし、「リウマチ」という病も、診る機会の非常に多い疾患の一つです。

僕は北辰会HPに載せるための宣材写真を撮るため、幸い両方の講義を少しづつ聴講させていただきましたが(役得)、お二人とも素晴らしい内容の講義をしておられました。

そして午後は本部講師である森洋平先生による

「北辰会の刺鍼術 講義+実技」

でした。

・・・コレまた素晴らしい内容で、受講生の方は北辰会の刺鍼術が、理論的にも実践的にも、よく分かったんじゃないだろうかと思います。

アンケートが楽しみなところです。

北辰会では、撓入鍼法(とうにゅうしんぽう)という独特の刺鍼術を用います。

そして、撓入鍼法をやりやすくするための独自の鍼”蓮風鍼”も開発しています。

昨日はこの、”蓮風鍼”の製造メーカーである、タフリー社さんも勉強会に見えてまして、なかなかの盛況ぶりでした。

・・・まあそうはいっても、一回講義を受けて、その時間だけ練習しただけで、完璧に出来るようになるワケありませんので、受講生の方々は、

 

僕も含め、今後よくよく、毎日毎日練習して、各々が上達していくことでしょう。

そして終わった後は飲み会・・・。

今回も濃かった・・・。(苦笑)

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