東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「血」って何ですか?(その8)

2012.06.16

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これまでのお話・・・


「血(けつ)」って何ですか?
「血」って何ですか?(その2)
「血」って何ですか?(その3)
「血」って何ですか?(その4)
「血」って何ですか?(その5)
「血」って何ですか?(その6)
「血」って何ですか?(その7)

 

 

続きいきます!

 

 

実際に、瘀血によっておこる痛みというのは、どのようなものなんでしょうか。

 

数年前、私の母が交通事故に遭いました。

 


会社の同僚と何人かでワゴン車に乗り、栃木県の有名な「いろは坂」を下っていた時のこと。

 


運転に慣れてない人が運転したそうで、カーブを曲がり切れず、ガードレールに正面から激突。

 


危うく谷底には落ちずに済んだのですが(苦笑・・・もし落ちてたらもうこの世にいません。)、その時に母はシートベルトで腹部を強烈に圧迫されました。

 

それにより、腸管が一部損傷し、小さな穴が開いており、このままでは腹膜炎を起こす可能性があるということで、緊急手術、となりました。

 

手術により腸管の穴は塞がったものの、手術した跡が、麻酔が切れた後に猛烈な激痛に襲われました。

 


痛み止めを点滴するも、大して効かず、夜間になると一層痛みは強まり、その日はほとんど眠れなかったそうです。

 


それを訴えると、看護師さんが患部に湿布を貼ってくれたり、さすってくれたりするけど、これもまったく無効・・・。

 

腸管の手術だから、メシも全く食えない。

 

緊急入院して手術をした栃木の病院に、僕が行ったのはその次の日。

 


清明院の診療終了後。

 


母はなかなか見たことがないぐらい、激痛に歪んだ、苦悶の表情をしておりました。(苦笑)

 


どのような体勢をとっても痛い、手術痕から腰にかけてのズキズキと鋭い痛み、夜になってくると余計痛い、とのこと。

 

ちょっと専門的になるが、これは事故、手術と、ある意味2回に渡る「外傷」によって腹腔内に急激に生じた瘀血による、経気の阻滞です。

 

急激に生じた瘀血と、経気の強烈な阻滞が、平素の肝鬱を助長させ、しかもそこに睡眠不足、断食も加わり、脾腎が動かず、一過性ではありますが心血をも不足させ、心神不寧も呈していました。

 

もちろん瘀血を速やかに除きたいが、こういう時に不用意に破血や活血をかけると、瘀血が動じてしまい、かえって痛みがきつくなることがあるのは経験済み。

 

まずは空間的な気の遍在も視野に入れた理気と、寧神安神が先だ。

 


母は辛そうに、

「あんた、こーゆーの、鍼で何とかならないんかね・・・?」

というので、

「もちろんなるよ。」

と即答し、とあるところに鍼を一本。

 


その場で痛みが半分以下に和らぐ。

 

痛み止めの点滴よりも、湿布よりも、看護師さんの”さすり”よりも、一本の鍼が効いたという事実。

 

もちろんこの症例は、開腹手術をしなければ、腹膜炎から絶命していた可能性もある症例なので、緊急手術はやむを得なかったと判断してるが、


その後の経過については、東洋医学の方に分があったと思っている。

 

 

つづく

 

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患者さんの声(20代男性 6年続く重い花粉症)

2012.06.02

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再び「患者さんの声」をいただきましたので、紹介します!!

20代 男性


【症状】6年間続く重度の花粉症による目の痒み、くしゃみ等

6年位前から自分は花粉症だとハッキリ自覚するようになりました。


3年前からは目のかゆみ、止まらないクシャミで夜も寝付けず、アイボンで目を洗い、薬を毎日飲んでいました。

 
そんな中、友人から「花粉症に鍼が効く。」と教えてもらいました。

 
「鍼はやったことないけど、なんかうそ臭い。」

「”気”ってなんだ? ドラゴンボールか??」

「肩こり、腰痛には効くかもしれないけど・・・。」

と思いながらも、

「少しでも症状が軽くなればラッキー♪」

と、昨年(H24年)の10月から通い始めました。

 
週1回程度で通いだしましたが、それまで医療費にお金をかける習慣がなかったので、サラリーマンにとって1回5千円はかなり大きい負担です。
 

最初のころは生活を切り詰めて治療費を捻出していましたが、忘年会・お祝い事・親の入院などで出費が増えてしまい、途中からは月2回程度に減らしました。

(安月給なので、これでも辛いですが・・・)

 
最初の問診では、自分でも意識していないことを色々聞かれるし、先生は長髪で怪しげなオッサン(実際は若いらしいですが)だし、

院内は変な音楽が流れているし、「やっぱり何か胡散臭い!」と思ってました。(笑)

 
しかも、花粉症の治療なので、効果があるのかどうかは春にならないとわかりません。

「4月に効果を実感できなかったら、通うのをやめよう。」

と思ってました。

 
・・・で、今年の春。
 

完治とはいきませんでしたが、薬を飲まなくても我慢できる程度の症状で、一日に数回しかクシャミをしませんでした。

例年は薬をのんでも止まらないのに、今年は一切飲んでません。

目も多少かゆくなりますが、目薬・アイボンが必要なほどではありませんでした。

ここまで効果があるとは思いませんでした。

正直びっくりしました。

来年のためにも継続して通いたいと思ってますが、どの程度の頻度で通えば良いかが、まだ分かりません。

回数が多いほど良いのは当然でしょうが、無理なく続けられる範囲で通おうと思ってます。

 

【清明院からのコメント】

なかなか、厳しい「患者さんの声」をいただきました。(苦笑)

軽く酔った状態で書いてくれたそうなので、何となく文章から酒の匂いがしますね。

あのー、胡散臭くて、すいません。<m(__)m>

・・・でもまあ、良くなったんだから、いいじゃないか、という症例です。(笑)

この方は初診時、コメントにもあるように、”疑いの眼(まなこ)”丸出しでやってきました。(紹介なのにー。)

しかし、どことなくサバサバした感じで、よければ続ける、ダメならやめる、とハッキリ割り切ってきました、という印象を受けました。

「肝鬱気逆、湿熱」と証を立て、治療をすると、初回からいい変化。

この時点で、しっかり継続すれば、間違いなく例年よりはいい状態になります、と伝えました。

経過中、経済的な問題から、治療間隔を開けざるを得なくなったので、理想的とまではいきませんでしたが、まずまず調整出来た方だと思います。

あとは酒に気をつけて、経済的に無理のない範囲で通ってくれれば、もっとよくなるでしょう。(笑)

近年増加傾向である花粉症・・・、西洋薬で症状だけ無理やり抑えてごまかしておられる方が少なくありません。

根本的には体質改善、生活改善をしないことには、根治は難しい疾患だと思います。

辛い症状でお困りの方は、清明院に相談に来られてはいかがでしょうか。


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悪阻(つわり)と結婚指輪

2012.05.17

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最近、以前から通院されている不妊症の患者さんが妊娠されたり、妊娠初期で、つわりの治療でお見えになっている患者さんがたくさんおられます。

とある、なかなか治らないつわりの患者さん・・・。


こちらの指示もちゃんと聞いてくれるし、キチッと時間通り、決めた頻度で治療に見えておられますが、治療すると楽にはなるものの、

1、2日経つと症状が戻ってしまいます。


非常に苦しそうであり、何とかしてあげたい。

・・・ちょっと専門的になるけど、つわりの中医学的な基本病理メカニズムは、衝脈気逆が関与して起こる、胃失和降が基本です。

「生理と病理の連続性」というものの感じられる症状の最たるもので、妊娠すれば、奇経八脈の任衝2脈が盛んになるワケだから、

気機が上逆傾向になるのは、生理的現象とも考えられる。


なので、患者さんに説明する際には、つわりは正常な人でもある程度は出ることがあるから、最小限度に抑えましょうネ、

という風にお話しさせていただくことが多い。


ただこの「最小限」が、食事が取れない、嘔吐が続いて全身虚脱、栄養不良状態になる、とまでなってくると、うまくない。

当然、胃気の上逆が心神を擾乱すれば不眠や精神不安定も呈してきます。

もともと、肺の病変を持っている人であれば、喘息様の発作や気逆咳なんかが出てくることもあります。


そこで、八綱弁証、臓腑弁証、空間弁証などを弁別、駆使し、胃気を中心とした気機の降逆から、止嘔に努めるワケだが、なかなか止まらないことがある・・・。


で、なぜだろう、なぜだろうと考えていたところ、手の少陽三焦経の左右差が目に付いた。

肝鬱気逆から手少陽の左右差が生じることはあっても、手少陽の左右差が肝鬱気逆を助長する、という観点が希薄だった。


・・・で、左手薬指、手の少陽三焦経上に光る愛の証、結婚指輪を容赦なく外させた。

そしたらすぐ治った。(爆)

指輪、ピアス、ネックレス、具合悪い時は外しましょうネ。(笑)

正常な気の流れを邪魔することがありまっせ。

 

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「血」って何ですか?(その4)

2012.05.05

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これまでのお話・・・


「血(けつ)」って何ですか?
「血」って何ですか?(その2)
「血」って何ですか?(その3)

 

 

続きいきます!

 

◆血が不足すると問題発生

 

これまでの話で、東洋医学における「血」というものは、基本的には「飲食物」が主な原料となり、足らなくなると「腎精」「血」に変化してくれることによって不足がフォローされ、

 

主として「血脈」の中を流れて、全身を隅々まで循環し、必要に応じてカラダを栄養するもの、でした。

 

また、睡眠時など、あまり使われない時は「肝の臓」に蓄えられている、というお話もしました。

 


そして、「血」が循環する際の原動力や律動性には「心の臓」「肺の臓」が、飲食物を消化吸収するためには「脾の臓」「胃の腑」が、


「腎精」から「血」に変化するには「腎の臓」の働きが大きく関わり、「血」の生成、作用は、実に様々な臓腑の働きに支えられているよ、

 

というお話でした。

 

・・・で、今日は、”「血」が不足する”とはどういうことか、を考えてみたいと思います。

 

上記のようなメカニズムで生成される訳ですから、当然、「脾の臓」「胃の腑」に異常があって、飲食物をうまく消化吸収出来なければ、


「血」が生成されにくくなり、不足が起こってきます。

 

それでも、「腎の臓」がしっかりしていて、「腎精」をガッチリ蓄えてくれていれば、不足をフォローできます。

 

また、「肝の臓」「血」がたっぷりと貯蔵されていれば、ここからも不足をフォローすることが出来ます。

 


ですので、”脾胃が弱い=必ず血が不足する”という短絡的な考え方はNGなのです。

 


しかし、脾の臓や胃の腑が弱く、飲食物から「血のもと」を取り込めない、しかも腎の臓も弱っていて、「腎精」による血のフォローが出来ない、

 

なおかつ肝の臓にもあまり貯蔵出来ていない、ということになると、これは”全身的な血の不足”が起こります。

 


まずコレが一つ重要。

 

こうなると、カラダを潤すことが出来なくなるワケですから、いたるところがパサパサになってきます。

 

具体的には皮膚、髪、爪がパサパサ、弱く脆くなり、全身的に血色が悪くなり、唇や舌の色も褪せて白くなってきます。

(コワイネ~)

 

もう一つのパターンとして、「血」の全体量としてはあるんだけど、巡る力が弱い、あるいは何かによって邪魔されてるために、停滞してしまって、

 

必要な部分に届かず、”部分的に”足らなくなるパターンです。

 

皮膚に足らなければ痒みを起こしたり、目に足らなければ眼精疲労を、筋肉に足らなければこむら返りやけいれんなどなど、実に様々な症状を引き起こします。

 

これが、”部分的な血の不足”です。

 

二つ目にはコレが重要です。

 

・・・ちなみにこの、「部分的な血の不足」の原因の一つである、”停滞してしまって、使い物にならん血”のことを東洋医学では「瘀血(おけつ)」と呼んでおります。

 

「瘀血」については、素人の方でも、聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。

 

 


以前、このブログでも紹介しました。

「痰(たん)」「瘀血(おけつ)」について 参照

 


要はこの瘀血が、正常な血の運行を物理的に邪魔して、必要な部分に届かないと、様々な症状が起こす場合があるのです。

 


それ以外にも、肝や心や肺の異常により、「気の停滞」が起こると、血の正常な循環が保てなくなる、というケースもあります。

 

・・・このように、「血の不足」と一口に行っても、東洋医学的にはまずそれが「全身的なのか、部分的なのか」を考え、それらのメカニズムまで考え、対処、治療しております。

 

 

ちなみにちなみに、言うまでもないですが、東洋医学の言う「血の不足(血虚)」と、西洋医学の言う「貧血」とは別物ですので、あしからず。(苦笑)

 

 


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「血」って何ですか?(その3)

2012.05.03

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これまでのお話・・・

「血(けつ)」って何ですか?
「血」って何ですか?(その2)

 


続きいきます!

 

 

◆「血」の居場所

 


最初に述べたように、「血」「血脈」をその通路として全身を巡回し、全身の各部位を栄養します。

ドックンドックンと、律動的に、全身を巡っております。

 


ドックンドックンと押しこくられるパワーは「心の臓」が関与し(主血作用)、その律動性は「肺の臓」が、主に関与(治節を主る)しています。

 

「血」の通路であるこの「血脈」は、「心の臓」と関係が深いです。


「心」って何ですか?(その3) 参照

 


・・・というよりも、「心の臓」自体が、ある意味「血脈」の一部、とも考えられます。

 

胎児が育っていく過程で、「血脈」のある部分が膨らんで、特別な働きを持ったモノ、これが「心の臓」であるとも考えることが出来ます。

 



 

話がそれたので戻しますが、「血」というのは、例えば運動して筋肉を使えば筋肉に、パソコン作業で目を使えば目に、すぐにサッと集まって、その部分の働きを支えてくれます。

(まあ、燃料みたいなもんですナ。無尽蔵ではないけど。)

 

 


人間が、ある部分を使う時は、その部分には「気と血」が必要なのです。

 

だからやり過ぎ(使い過ぎ)たら休ませて、その間に「気血」を生成して、また使う、これの繰り返し以外あり得ないのです。

 

これは自然の摂理です。

 

また、あまり体を使っていない時、つまり寝ている時なんかは、「血」はどこにいるかというと、全身を巡ってないわけではないですが、

 

日中ほどは必要とされないので、主に「肝の臓」に貯蔵されています。


「肝」って何ですか?(その2) 参照

 


このように、東洋医学の言う「血」というものは、肝、心、脾、胃、肺、腎など、五臓六腑と密接に関わりながら、「気」や「精」というものとも深く関わりつつ、

 

全身を栄養し、潤してくれているのです。

 


だからこの「血」が不足すると、体が栄養不足を起こし、パサパサになります。(苦笑)

 

 

次回はその具体例のお話。

 

 

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「経絡」って何ですか?(その4)

2012.04.17

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これまでのお話・・・

 


「経絡(けいらく)」って何ですか?

「心包」って何ですか?(その5)

「経絡」って何ですか?(その2)

「経絡」って何ですか?(その3)

 

 

 

続きいきます!!

 


◆経絡は絶えず循環している

 

前回までで、「経絡」のメインルートは12本あり、それを「正経十二経」と呼び、一本一本が関係の深い臓腑をもっており、

それは全身を複雑なルートで、絶えず循環している、というお話をしました。

 

では、どのような順番なのかというと。

肺経→大腸経→胃経→脾経→心経→小腸経→膀胱経→腎経→心包経→三焦経→胆経→肝経

という順番で、全身を循環していると考えられています。

 


・・・な~んて言われても、ワケ分かりませんわな。(笑)

 

まあ、ここはあんまり、専門的にならないように、深入りしないように解説しますが、経絡というのは、それぞれが関連する臓腑をもつことと、

もう一つ重要なのが、「手を中心に流れる」ものと、「足を中心に流れる」ものに分けられることです。

 

例えば、「肺経」であれば肺の臓と深く関わりながら手に流れ、「肝経」であれば肝の臓と深く関わりながら足に流れる、という具合です。

 


そう考えると、

肺経(手)→大腸経(手)→胃経(足)→脾経(足)→心経(手)→小腸経(手)→膀胱経(足)→腎経(足)→心包経(手)→三焦経(手)→胆経(足)→肝経(足)

という順番になるのですが、これを見ると、経絡の気は手→手→足→足→手→手・・という風に、手から足へと巡り、再び手へと、順番に巡っていることが分かります。

 

こうやって経絡は、手足、すなわち上下の気の流れのバランスをとってくれているのです。

 

また、体内の臓腑(深部)にも、皮膚表面(浅部)にも巡ることで、体の深部の気と、浅部の気とのバランスもとっており、上下、左右、前後、内外の気血のバランスの恒常性は、

この「経絡」の循環システムが正常に機能して、はじめて成り立つものと考えているのです。

 

次回は、経絡それぞれが持つ特長について、ちょっと触れときます。

 

 

 

「経絡」って何ですか?(その5) に続く

 

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「経絡」って何ですか?(その3)

2012.04.16

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これまでのお話・・・

 

 

「経絡(けいらく)」って何ですか?

「心包」って何ですか?(その5)

「経絡」って何ですか?(その2)

 


続きいきます!!

 

よく、巷の治療院の壁に掛けてあるこんな図・・・。↓↓

 

 

経絡経穴図

 

(↑↑清明院の院内にもかけてあります。これは某先生から開業祝いに頂いた大切な額です。)

 

これが、人体の「経絡経穴(けいらくけいけつ)」を図示したものです。

 

東洋医学では、経絡が人体の「気の主要な通り道」であり、経絡上に「経穴」というものが存在している、と考えます。

 

これは、機械で計測することも出来ませんし、目で見ることも出来ません。

 

(一部計測出来るという主張もありますが、それはあくまでも”一部”に過ぎません。)

 

術者や患者さんが、”感じ取る”、”実感する”ことでしか、その存在を確認することが出来ない代物です。

 

だからよく、画像や数値で証明できない概念を基本に置いているということで、


「東洋医学は怪しい、胡散臭い。」


なんて言われてしまうことがあるんですが、東洋医学を実践する立場としては、まずコレの存在を肯定せずして、話は始まらないところがあります。(笑)

 

ですので、我々の医学を分かっていただく上で、ここはとても大事なことですから、これに関するお話をしております。

 

前回、経絡の主要なルートは12本ある、というお話をしました。

 

その12本それぞれは、一本一本に、関わりの深い臓腑があります。

 

東洋医学では、人体には6つの臓と、6つの腑があり、主要な12個の臓腑がある、と考えております。

カテゴリ 「五臓六腑」参照

 

この六臓六腑一つ一つが、協調し、それぞれの機能を補い合い、恒常性を保っている、と考えます。

 

これらの12臓腑一つに一本、それぞれ経絡が存在します。

 

なので合計12本存在するワケです。

 

これを、例えば肺の臓に属する経絡のことを、肺の経絡だから「肺経(はいけい)」と呼び、肝の臓に関する経絡なら「肝経(かんけい)」といいます。

(笑・・・そのまんまです。簡単です。)

 

で、これらは一定の規律に従って、順番通りに「循環」しております。

(まあそのように考えられております。)

 

 

「経絡」って何ですか?(その4) に続く

 

 

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春に崩れないために

2012.04.14

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昨日からあいにくの雨が続いておりますが、春は本来、さわやかな季節です。

 

二十四節気も、「清明」に入って、早1週間がたちました。

 

もう、さすがにダウンやコートの時期ではないようです。

(苦笑・・・こないだダウン着て出たら暑かった~)

 

この冬お世話になった強力なアウターたちを、一気にクリーニングに出してしまおうと思います。

 

東洋医学の聖典『黄帝内経(こうていだいけい)』にも、

「・・・春は”生じる”季節・・・」

とあります。

 

『素問 陰陽離合論(6)』など)

 

草木が芽吹き、新緑が生き生きとして、風が吹き、自然の勢いを感じる時期です。

 

 

しかし、せっかくの美しい春も、花粉症アレルギー体質の人にとっては、必ずしもいい時期ではないようです。

 


以前述べたように、アレルギー症状というのは、現代医学的には「人体の免疫機能のイタズラ」なんて言われますが、このいわゆる「免疫」の働きと、

 

東洋医学の言う「肝の臓」の働きは、だいぶクロスオーバーする部分があります。


春のカラダ 参照

 

 


たまに、患者さんによっては、

「小さい頃から春は具合が悪く、今でも春が近づくたびに憂鬱で・・・。」

なんていう声を聞くこともありますが、実は春の養生法としては、これが余計よくないのです。

 

痛い痛いと思っていると本当に痛くなる、なんてことがあるように、イヤだイヤだと、対象をマイナス感情ばっかりでとらえていると、

本当に気の停滞を起こして、実際に「肝の臓」の働きを余計低下させ、症状が重くなってしまう面があるのです。

 

結果的に余計に春が嫌いになる、症状も改善しない、という悪循環です。

 

これを断ち切るために、平素から(理想的には冬からの)の正しい鍼治療と、体調管理、発想の転換が重要なのです。

 


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「怪病多痰(かいびょうたたん)」という言葉

2012.03.20

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中医学に、「怪病多痰(かいびょうたたん)」という言葉があります。

 

(東洋学術出版『風火痰瘀論』P136)

 


 この「怪病」という言葉の訳し方は、

「原因不明の病」

だったり、

「複雑怪奇な病」

だったり、

「精神の異常や、異常行動を示す病」

だったりと、まちまちなようですが、およそ重症の病で、主要な病理産物(発病因子)が特定しにくい場合に、この考え方を使うことが多いようです。


ちなみに発病因子については 
カテゴリ 邪気(発病因子) 参照

「痰」というのは、体内にある余分な水、言わば泥水のような濁ったもので、やまいだれに「炎」と書く字からも分かるように、汚いお水に「熱」が加わって、

 

カレーのようにドロドロに煮詰まった、熱くてばっちいお水、と考えてもらったらいいかと思います。


これが、体中のいたるところに停滞して、東洋医学が最も重要視する「気・血・水の正常な循環」を邪魔するのです。


僕らとしては、患者さんの体のどこに、どの程度、この痰が停滞してるかを考えて、一番効くであろうツボを選ぶわけです。


そしてこの「痰」は、臨床上

「有形(ゆうけい)の痰」と、「無形(むけい)の痰」

に分けて捉えられています。


「有形」の方は目で見れて、手で触れる「痰」のことで、主にノドに絡み、吐き出すことのできるあの「痰」のことを指し、

「無形」の方は目に見えず、触れないけども確かにある、体内に停滞した「痰」のことを言います。


臨床的にも、「痰」というのは頑固でとれにくく、なかなか厄介だったりします。

この邪気は、患者さん自身の食生活と直接関与します。

脂っこい物、甘いもののとり過ぎ、過剰な水分摂取、過度の飲酒などなど、すべて「痰」の原料になっていきます。

水をたくさん飲んだら健康になるとか言ってガブガブ飲んでたり、高いお金を払って謎の健康ドリンクをガンガン飲んでたりとか、そういう人は非常に多いですが、

 

それが体内をスムーズに循環しなければみ~んな結果的には「痰のもと」です。(笑)

 

 

そして「怪病」を形成する場合があります。

 

よくよく、考えていただききたいと思います。

 

 

因みに中国明代の名医、張景岳先生『質疑録』の中で、張景岳先生は”怪病”を何でもかんでも痰の仕業と考えることを厳しく戒め、痰が形成される前に治すことが肝心だと提案して下さっています。

 

「張景岳(ちょうけいがく)」という人物   参照

 

 

痰はあらゆる病の原因になりうるけども、何でもかんでもというのは行き過ぎだ、という訳ですね。

 

 

さすが張景岳、まことに正論ですが・・・、現実にはそれがなかなか難しい訳ですね。

 

 

 

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教育崩壊現場

2012.02.22

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先日、清明院の患者さんで、小学校の先生をされている方からうかがいました。

その日、妙に肝鬱所見(かんうつしょけん・・・肝の臓の異常を示す所見)がきつく、

「あれ、なにかあったの??」

と聞くと、

「ええ、実は・・・、」

とおっしゃって、最近学校で起こっていることを教えて下さいました。

なんでも、その小学校では、2年生の子供が、授業中にふざけて、教室から走って逃げ出してしまうんだそうです。

それもなんと、過半数が・・・。

生徒たちは、悪ぶったり、何かに抗議しているいるワケではなく、あくまでも「フザケ半分で」そういうことをやっているんだそうです。

僕らのような、当事者でない外野からすれば、そんなん、ひっぱたいてでも教室に戻せばいいじゃん、と思うけど、

今は”体罰厳禁”の時代です。

そうする訳にもいかず、親御さんと協力して、頑張って指導していきましょうね、と結論付けるしかなく、しかしそれをしても、一向に状況は変わらないそうです。

であれば、「他の生徒の邪魔だから」ということで、そんなやつら出校停止にすればいいと思いますが、それを強制できる権限もないようです。

仕方なく、放置して、残った生徒に淡々と授業をやっている状況なんだそうです。

さらに驚いたことに、中には、それを学校の授業のせいにしてくる親御さんもいるようです。

子供が逃げ出すような、退屈な授業をする方が悪い、という訳です。

近年話題の、モンスターぺアレンツっていう人種ですネ・・・。

その人たちは、

「退屈な授業を、奇声を発して走って逃げ出す」

という野蛮極まりない、無礼極まりない行為よりも、

「つまらない授業をやる」

という行為の方が問題だ、という訳です。

なんかもう、ワケ分かりませんね・・・。

そういう大人に育てられた、そういう子どもが、やがて大人になり、医療をやったりするのかな・・・、と思うと、ドンヨリしてきます。

ゆとり教育だの、教師と生徒は平等で、自由闊達な、個性を伸ばす教育だの・・・。

それを声高にうたった結果、もちろん全部ではないけれど、こういう悲惨な現状が生じるケースもある、ということを、よくよく考えなくてはならないように思うのは僕だけでしょうか。

自由と無秩序は違うと思うし、制約や強制と秩序というのも、違うと思います。

教育は国民の義務で、みんな15歳まで教育を受ける義務があるワケだけど、「どんな教育か」が大事です。

これも結局はバランスだから、難しいは難しいけど、な~んか最近ホントに、おかしくない??

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