東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「胆」って何ですか?(その8)

2013.02.10

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これまでのお話・・・

 

「肝」って何ですか?(その13)
「胆(たん)」って何ですか??(その1) 
「胆」って何ですか?(その2)        
「胆」って何ですか?(その3)

「胆」って何ですか?(その4)
「胆」って何ですか?(その5)
「胆」って何ですか?(その6)
「胆」って何ですか?(その7)

 

 

では、続きいきます!!

 

 

◆「胆汁」ってナニ??(その2)

 

では今日は、東洋医学の言う「精汁(胆汁)」というものがいかなるものなのか、もう少し僕なりに愚考してみたいと思います。

 

確かに、現代の一般的な中医学の教科書なんかによく書いてあるように、胆汁は「肝の臓」の気血(余気)が変化して出来た、黄色くて苦い液体であり、

 

胆から「小腸の腑」に出ていって、脾胃の消化吸収を助けるモノである、という考えは、別に否定はしません。

 

それも確かなことだと思います。

(ちなみに、そもそも”中医学”がなんだか分からない方は過去記事 東洋医学と中医学 参照)

 

また、なぜ胆汁のことを、”精汁”と呼ぶのかについては、「肝の臓」の精気が濃縮された汁、という意味だと思います。

 

また、これが清らかであるのは、「胆の腑」が飲食物を通さない、しかも肝の精気を濃縮して溜めている、極めて清潔な腑だから、とも言えるでしょう。

 

因みに、面白いことに、「肝の臓」の働きが亢進している人は、妙に潔癖症になったりすると、東洋医学では考えたりします。

 

『難経』16難「・・假令得肝脉.其外證.善潔.面青善怒.・・」参照)

 

 


こういった考え方と、もう一点、これは前回チラッと書いた私見なんですが、やはり胆汁は全身の「枢(とぼそ、くるる)」に関わるのだと思います。

 


門扉の蝶つがいの中心軸を滑らかに動かすには、潤滑油が必要ですよね?

 


その潤滑油になるのが、「胆の腑」に貯蔵されている「精汁」なんじゃないか、と愚考しています。

 

つまり、「胆の腑」が大事に貯蔵する「精汁(胆汁)」というのは、一つにはそのまま「小腸の腑」にドロリと出てきて、

飲食物の消化吸収を助ける面と、もう一つには霧のように自由に全身を伸び伸びと巡り、全身の「枢」部分に行きわたり、

各所で”開閉”を調整し、発汗、排尿、排便などのスムーズな働きを助けているんじゃないか、と思っています。

 


そう考えると、臨床的につじつまが合うことが多い、と思うからです。

 

ちょっと難しくなるけど、「胆の腑」は、その気が流れる経絡である「足少陽胆経」と、この「胆汁」を介して、全身の「枢」の働きにコミットしている、

大変重要な腑である、と「僕は」考えています。

(違うよ、と思われる方は、是非ご意見聞かせて下さいネ☆)

 

また、このシリーズの(その1)で、『淮南子(えなんじ)』という書物に、面白い言説が載っている、という話をしました。

 

 

長くなりそうなんで、それは次回。

 

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「胆」って何ですか?(その7)

2013.02.08

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これまでのお話・・・

 


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「胆(たん)」って何ですか??(その1) 
「胆」って何ですか?(その2)        
「胆」って何ですか?(その3)

「胆」って何ですか?(その4)
「胆」って何ですか?(その5)
「胆」って何ですか?(その6)

 

 

では、続きいきます!!

 

 

◆「胆汁」ってナニ??(その1)

 


これまで、

・「胆の腑」は人間の精神の働きと関連する

・「胆の腑」は「肝の臓」の働きを助ける

・「胆の腑」は「”精汁”という清い汁(胆汁)」を貯蔵している

・「胆の腑」は全身各所の開閉を調整するのに大きく関わる

・「胆の腑」は六腑の中では仲間ハズレ

・「胆の腑」は個性派グループである”奇恒の腑”の中でも仲間ハズレ

ということを書いてきました。

 


・・・だいたい「胆の腑」の特殊性がお分かりになってきたんじゃないかと思います。

 

なぜそうなのかを考える前に、胆の腑が貯蔵してるこの「精汁(胆汁)」って、一体何なんでしょ?

 


いわゆる、現代医学的な解剖生理学における「胆汁(bile)」というのは、「肝臓(Liver)」で生成される、消化を助ける液体であり、肝臓で生成された後、

 

「胆嚢(gallbladder)」に貯蔵されて濃縮され、食事の度に「十二指腸(duodenum)」に出てきて、未消化物とごちゃ混ぜになることで、消化吸収を助けます。

 

(学生時代、生理学の先生が”胆汁は大便に色を付けます”と説明してましたね)

 


よく、お酒を飲み過ぎたりして嘔吐し、これ以上吐くものがないぐらい吐き続けると、そのうち黄色くて苦い、ナゾの液体が出て来ることがありますね?

 

あれがまさに「胆汁(bile)」なのです。

 

しかし、東洋医学における「精汁(胆汁)」の役割というのは、西洋医学のそれとは概念が異なります。

 

現代の中医学の本には、大体の本には


”「胆汁」は、「肝の臓」の余った気(余気)から生成され、「小腸の腑」に分泌され、脾胃の運化(消化)を助ける”


とあり、西洋医学そのまんまな感じがしますが、谷口書店の『基礎中医学』P98に、
『医原』という書物からの引用で、

 

「飲食物が入ってくると、小腸が満ちて、胆の腑を上に押し上げて、胆汁が絞り出される」

 

という面白い記載があります。

 

 

脾の臓と胃の腑を説明した時に、飲食した後に手足を動かすことで、脾の臓が活性化し、馬蹄形に胃の腑に巻き付いて、胃の腑をグリグリと揉むことで、

 

蠕動運動が起こる、という説明を紹介しましたが、それに似てますね。(笑)

 

 

また、重篤な病の際に現れる「黄疸」という病変がありますが、これも東洋医学では「胆汁」が常道を外れて皮下に溢れた結果、と考えます。

 

 

つまり、胆汁は普段は消化管に出てきて、脾の臓や小腸の腑、大腸の腑の働きを助けると言われますが、東洋医学的には全身各所に関わって(特に”開閉”に)、

 

五臓六腑のバランス調整の潤滑油として働いている、と考えた方が東洋医学的には正確だと思います。(私見)

 

続きは次回。(笑)

 

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「胆」って何ですか?(その6)

2013.02.07

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これまでのお話・・・

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「胆(たん)」って何ですか??(その1) 
「胆」って何ですか?(その2)        
「胆」って何ですか?(その3)

「胆」って何ですか?(その4)
「胆」って何ですか?(その5)

 

では、続きいきます!!

 

◆「胆の腑」の特殊性(その2)

 

前回、”奇恒(きこう)の腑”という言葉が出てきました。

 

この”奇”という文字は、”風変わりな”という意味です。

 

「奇」という文字の考え方については、以前述べました。


「正」と「奇」 参照

 

そして”恒”という文字は、旧字体では”恆”と書き、色々な意味があるんですが、要は”常に変わらない”というような意味です。

 

”奇恒の腑”という言葉の意味について、柴崎保三先生の大著『黄帝内経素問』によれば、

「常に変わることのない独立(単独)の腑」

と説明されています。

 


・・・まっ、つまり、頑固で孤独な、変わりモン、みたいなもんです。

(笑・・・いるでしょ?そういうの。)

 


しかし、人体や病を考える上で、そういった存在が、捨て置けないケースがよくあるのです。

 

まあ「胆の腑」はそういう、特殊なグループの一員です。

 



 

ところで前回、「胆の腑」は、その「奇恒の腑」の中でも、また特殊なんだ、と述べました。

 


奇恒の腑には、「胆」の他に骨、髄、脳、脈、女子胞(女性生殖器)があります。

 


これら「胆」以外についても、そのうち詳しく書こうかと思っていますが、まあ今は置いといて、とりあえずこれら「胆」以外の5つは、

それぞれが単独で、しかもほぼ左右対称に、対をなして存在しております。

 

しかし「胆」だけは、肝の臓にくっついて、ぶら下がってるような形で人体の右側に存在し、しかも肝の臓と同じ、五行では「木」の性質を持ち、

肝の臓と表裏関係という、形態的にも機能的にも、非常に強い関係性で結ばれています。


(こないだ述べたように、漫才コンビです。)

 

まあこのように、他の臓腑と直接表裏関係で対をなして深く関わるのは、「奇恒の腑」の中でも「胆の腑」のみなのです。

 


 


ここまでで、「胆の腑」というものが、五臓六腑の”六腑”の中でも際立って特殊な存在であり、しかも東洋医学的には生命活動の中心となる五臓六腑以外の、

 

特殊な分類である”奇恒の腑”の中でも、また際立って特殊な存在である、ということが分かりました。

 

「胆の腑」はこのように、かなり変わった、実に個性的な存在なんです。

 

(変わり者中の変わり者です。)

 

これはつまり、「胆の腑」というものが、「五臓六腑」だの、「奇恒の腑」だのと、こういう”分類学”に収めるには、ちょっと特殊過ぎ、中途半端過ぎる、

取り扱いに注意を要する腑なのだ、ということを示しています。

 


でも、だからこそ、非常に大事なんです。

 

次回から、そんなお話。

 

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「胆」って何ですか?(その5)

2013.02.06

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これまでのお話・・・

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「胆(たん)」って何ですか??(その1) 
「胆」って何ですか?(その2)        
「胆」って何ですか?(その3)

「胆」って何ですか?(その4)

 

 

では、続きいきます!!

 

◆「胆の腑」の特殊性(その1)

 

前回、「胆の腑」は他の五臓五腑と比較して、特殊な存在である、ということを書きました。

 


六腑の中では、「三焦の腑」というのが、際立って特殊な存在であることは、以前に書きました。

「三焦」って何ですか?(その12) 参照

 


今日は、”じゃあ「胆の腑」の場合は、どう特殊なのか”という話です。

 


五臓と六腑の特徴を大まかに分けると、

・五臓:中味のしっかりつまった内臓

・六腑:中に穴の空いた、管状の内臓

という「形態的な」特徴があります。

 


さらに、

・五臓:大切なものをしまってある内臓

・六腑:余分なものを通過させる内臓

という「機能的な」特徴があります。

 


そう考えれば、胃、小腸、大腸は管状であり、しかも”大便”という余分なものを通過させる器官とも言えますし、膀胱は、

形は袋状だから管状ではないけど、”尿”という余分なものを通過させる機関です。

 


あの特殊な三焦にしたって、”水を通過させる”という機能は持っています。

 

・・・じゃあ、「胆」は?

 

形は膀胱のような袋状だが、「胆汁」という謎の液体を、大事にしまっている。。。

 

(通過させるとも言えますが、胆汁の場合は貯めておくことに重きが置かれています。)

 

 

また、あとで触れようと思いますが、胆の腑は腑でありながら、「決断」という精神作用に関わります。

 

(精神作用を主宰するのは、東洋医学の場合は脳ではなく五臓でしたね。)

 

 


このように、臓のようでもありながら、腑のようでもある、実に他の人達(臓腑)と合わない、いわばヘンテコな「腑」なのです。

 

それを指して、古典では「胆の腑」のことを「奇恒(きこう)の腑」と呼んでいます。


(『黄帝内経素問』五蔵別論(11)です。)

 

また、この「奇恒の腑」には「胆の腑」以外にもいくつかあるのですが、その中でも「胆」は仲間ハズレなのです。。。

 

次回はそのお話。

 

 

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「胆」って何ですか?(その4)

2013.02.03

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「肝」って何ですか?(その13)
「胆(たん)」って何ですか??(その1) 
「胆」って何ですか?(その2)        
「胆」って何ですか?(その3)

 

では、続きいきます!!

 


◆「胆の腑」と枢(くるる、とぼそ)

 

胆の腑を考える上で、臨床的に大事なのが、この「枢(くるる、とぼそ)」に関わる、という考え方です。

 

どういう考え方かというと、まずこの聞き慣れない”とぼそ、くるる”というのは、ドアを開閉する際に使う”蝶つがい”の真ん中に通す棒のことです。
↓↓

枢(くるる、とぼそ)


↑↑外からは見えないけど、コレの真ん中の、回転する部分に差し込んである棒のことネ。

 

(清明院の初診室の扉です☆ よく動きまっせ―!!)

 

これは要は扉の「回転軸」のことです。

 

門扉は、開くにも閉じるにも、回転軸がないと上手く出来ません。

 


人間の機能にも、扉を開閉するがごとき機能が、いくつもありますよね?

 

汗をかく時に、皮膚表面にある汗が出る穴(汗腺)が開閉しますし、排尿する時は膀胱~尿道が開閉しますし、排便する時は肛門の開閉、

 

飲食物の飲み込みから消化の、咽喉、食道、胃腸の開閉なんかがそうです。

 

これらの扉がもし開きっぱなし、閉まりっぱなしだったら、色々な障害が生じるということは、簡単に想像が出来るでしょう。

 

 

そういう病気もたくさんありますね。

 

東洋医学では、その全身各所の開閉の調整をし、開閉の「スムーズさ」に大きく関わるのが、回転軸をつかさどる「胆の腑」だというのです。

(もちろん、発汗、排尿、排便は他の臓腑も複雑に関連しあって、成り立っていますがネ。)

 

ですから胆が異常を起こすと、開閉がうまくいかなくなる症状が出ることがあります。

 


コレは実は、大変な問題に繋がることがあります。

 


アトピー性皮膚炎、糖尿病、ガンなどの重大な病は、ここがおかしくなっていることが少なくありません。

 

・・・ところでなぜ、開閉をつかさどるのが胆の腑なのか、実はこれには深い意味があると思います。

 

まあ、古典にそう書いてあるから、と言ってしまえば簡単ですが、それだけではイマイチ納得できません。(苦笑)

 

・・・で、色々と妄想するワケですが(笑)、一つには、胆の腑というのは、それ以外の五腑と比較して、非常に特殊な腑でして、

独特の特徴を持っていることと関係しているんじゃないかと思っています。

 

 


その話は次回。

 

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「胆」って何ですか?(その3)

2013.02.02

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これまでのお話・・・


「肝」って何ですか?(その13)
「胆(たん)」って何ですか??(その1)
「胆」って何ですか?(その2)

 

さて、今日からいよいよ東洋医学の言う、「胆の腑」とはどういうものか、を簡単に解説していこうと思います。


簡単に、です。

難しい、いかめしい話が好きな方は、そういう感じの解説サイトや専門書はいくらでもありますんで、そっちを見てもらうとして、

僕がやるのはチョーカンタンな、肝胆(カンタン)の話です。(笑)

 

・・・でも、ポイントは外さないように注意を払います。

 

分かる人が読んだら分かる、大事な話も入れていこうと思っています。

 


 

前回、「肝胆相照らす」という言葉が出て来ましたが、東洋医学的にも、「胆の腑」「肝の臓」は非常に密接な関係にあります。

 

以前書きましたが、この2者(肝と胆)を陰陽で分けると、「肝の臓」は相対的に陰、「胆の腑」は相対的に陽、という関係性にあり、これを”表裏の陰陽関係”なんて言います。


「表裏(ひょうり)」する臓腑 参照

 


「肝の臓」の詳細については以前書きましたので、
そちらをご参照いただくとし、要はそういう、「肝の臓」の働きをサポートするのが、

「胆の腑」の大きな役割の一つ、という訳です。

 


肝胆で協調して、一つの働き(漫才コンビみたいなもんです。)を成しているワケですね。

 

そういう意味では、機能における関わりの密接さにおいて、「脾胃」とも似ているものがあります。

カテゴリ 「脾胃」 参照

 


そして、肝胆は脾胃と同じく、中焦に存在し(ただし肝は下焦まで大きく垂れ下がっていますが。)、この4者で、飲食物を消化、吸収し、


「気血のもと」を調達するとともに、完成した「気血」を上下左右前後、全身へくまなく巡らせる、という役割もやっています。

 


コレは大変重要な役割でありまして、多くの患者さんでは、ここのところ(肝胆、脾胃の4臓腑)が機能失調を起こして、

それがあらゆる慢性病の原因になり、また、治らない原因になっていることが多く見受けられます。

 

なんていうか、このワンユニットは「生命のモーター」「自然治癒力のモーター」ですな。

 

まずコレが大事です。

 

 

そしてその中で、「胆の腑」は独特の役割を果たします。

 

次回へ続く。

 

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「胆」って何ですか?(その2)

2013.02.01

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前回のお話

「胆(たん)」って何ですか??(その1) 参照

 


続きいきます!!

 

「胆」という文字の意味は、前回書きました。

 

前回の「胆(膽)」という文字が持つ意味について、じゃっかん補足しますと、他には

1.さかんなるもの

2.重いもの

3.単純で混じりけがないもの

4.濃縮されたもの

という意味もあるようです。

アルテミシア『臓腑経絡学』P233 参照)

 

 

いずれも興味深いですが、3.4.については、「胆の腑」が貯蔵する「精汁(せいじゅう)という清らかな汁(胆汁)」というものをそのまま意味するのでしょう。

 

「精汁」については、その役割も含めて、後ほど考えてみたいと思います。

 

・・・まあ、東洋医学の言う「胆の腑」の、”小学生でもわかる”総括的、具体的な説明に入る前に、この「胆」という文字を含む言葉(熟語やことわざ)というのが、

意外と多いので、それについて軽く触れておきます。

 

例えば

「胆力」

「臥薪嘗胆」

「魂胆」

「大胆」

「心胆を奪う」

「肝胆相照らす」

など、精神的なことに関する言葉が多いように思います。

 


ちなみに、「胆力」については、こないだ、蓮風先生のブログにも出て来ましたね。

臨床というもの 135(第930回) 参照

 

臨床家でなくとも、社会人たるもの、プロフェッショナルたるもの、「胆力」は常に要求され、大変重要です。

 


ここが弱いと、徐々に心身を病んでいってしまいます。

 

・・・まあ、上記一つ一つの言葉の解説はネットで調べればすぐに分かるので、いちいちしませんが、このように、「胆の腑」というのは精神的な、特に

「我慢強さ」

「豪快さ」

「いざという時の落ち着き具合」

「心の奥底(深層心理)」

「決断力」

などに関わっている腑なのだ、ということを、昔の人は考えていたのだろうと思います。

 


・・・では次回から、なぜそうなのか、働きの面から考えてみたいと思います。

 

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「胆(たん)」って何ですか??(その1)

2013.01.31

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久々に書きます!

五臓六腑シリーズであります!!


何となく気が向かなくて、長いこと書いていませんでしたが、今日、なんか知らないけど気が向いたので、書いておこうと思います。


いわゆる”啓示”ってやつデスネ。

 

(笑・・・たまにあります。)


なんとかしてブログを継続していると、とってもいいのは、こうやって気が向いた時に、あるテーマについて書きためておけば、

そのうち、カテゴリごとにまとまった知識の塊が勝手に出来てくる、ということなんです。

しかも、出版するのと違って、内容の手直し、推敲も迅速、簡単に出来る。

コレは書く側にとってはいいことです。

やはり”継続は力なり”なんですね。

 

 

そういう訳で、厳密に推敲した文章ではございませんので、読者諸賢におかれましては、もし本ブログに間違っている内容等ありましたら、ぜひともご教示ください。<m(__)m>

 


 

・・・まあ、前置きはさておき、五臓六腑シリーズ最後になります、「胆の腑」です。

 

東洋医学の言う「胆の腑」は、五臓六腑の中の「六腑」の中の一つです。

「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」って何ですか? 参照

 


ちなみに”胆”という字は新字体であり、旧字体では”膽”と書きます。


”膽”のもともとの意味は『説文解字(※)』によると瓶(ビン、カメ)という意味があり、肝の臓のすぐ横にあり、胆汁を溜めておく瓶のような形をした器官、と理解されていたようです。

※説文解字・・・後漢の時代の許慎(きょしん)が書いたと言われる、世界最古の漢字辞典→wikipedia

胆(類経図翼)

↑↑ちなみにこれが、東洋医学的な「胆の腑」の図です。

 

 

まあ確かに、”瓶”て感じですねえ。。。

 

張介賓(1563-1640)『類経図翼』より)

 

またこの”膽(胆)”という字は”い”とも読みます。


クマの胆のうで、漢方薬の生薬である、

”熊の胆(い)・・・熊胆(ゆうたん)とも言う”

は有名ですので、聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。

リンク先の図を見て頂くと分かるように、東洋医学では珍しく、実際の内臓の姿かたちと、東洋医学の内臓図が近いです。

 

(笑・・・まあこれはクマさんの胆のうですが。)

この生薬(熊胆)は主に邪熱をとり、炎症をひかせるのに使うのですが、この生薬で面白いのは、水溶液にして目を洗うことで、

結膜炎の炎症をとったり、粉末にして直接ふりかけることで、ヘルペスの激痛をとったり、という使い方があることです。

 

漢方薬も、飲むばかりではありません。

 

昔の医者の工夫が見てとれますね。

 

ちなみに奈良と大阪の境にある生駒山(いこまやま)という有名な山は、『日本書紀』では”膽駒山”と記載されており、漢字学者の白川静先生なんかは、『字訓』という本の中で、

「”胆(膽)”という漢字は”生きる”ということと大きく関わる意味を持つ。」

と解釈しており、ここは興味深いところです。

 

また、『淮南子(えなんじ) 精神訓』の中に、

”膽を雲となす”

という記載があります。

 


これは「胆の腑」を自然界のモノで言うと「雲」である、という、なかなか独創的な言説で、これもまた興味深いところであります。

 

これらの意味は、今後、「胆の腑」の働きや位置づけを説明していくと、うっすらと分かってくると思います。

 

・・・な~んて、こうやって漢字の解釈やってたら、あっという間に行数が過ぎていってしまいますので、この続きはまた今度・・・。(笑)

 

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もう春が。

2013.01.23

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今日は、24節気でいうと「大寒」に入って3日目です。


大寒は、「一年のうちで最も寒い時期」、とされております。


しかし、ということは”もうピークですよ”ということです。

逆に言えば、”コレ以上寒くならないですよ”ということです。

てことは、さらに言えば、”徐々に暖かくなってくるよ”ということでもあります。

大自然に対する古代中国人の考え方では、春は五行でいうと「木(もく)の気」が盛んになる、と考えます。


人間では、「肝の臓」「胆の腑」が、「木」に分類されます。


この時期(春)、肝や胆が影響を受け、もともとこれらの臓腑に不調を抱えている患者さんでは、症状の悪化を診ることがあります。


清明院でも、この「肝や胆」に問題を抱えておられる患者さんは多いです。

まだ、患者さんが症状として自覚はしていなくても、特に何があったわけでもないのに、肝や胆の反応を示すツボの異常が、いつもよりきつくなっているパターンの患者さんが、チラホラおりました。

自然界では陰が極まり、すでに「木気」「陽気」が、芽生え始めており、それにつられて、人体にも同じことが起こっているようです。

もう春が、そこまで来ています。。。

微妙な変化を意識していれば、気付くことと思います。

・・・な~んて、カン違いだったりしてネ。(爆)

 

とりあえず、鍼最高。

 

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(般社)北辰会1月本部臨床コース

2013.01.21

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昨日、1月20日の日曜日は、大阪、上本町で行われた、(般社)北辰会、本部臨床コースに参加してきました!!

今回、午前中は刺鍼クラスでの実技練習

「古代鍼」

でした。

古代鍼というのは、日ごろ我々が当たり前に使っている道具で、いわゆる「刺さない鍼」ですが、この扱いには、

非常に治療家の個性が出ます。

僕自身、普段意識してない悪い癖を先輩から指摘されて、非常に勉強になりました。

そして午後は蓮風先生の講義

「肝病について-序論-」

でした。

現代人に非常に多く、単純な慢性病から難病まで、全てに渡って大きく関わる、「肝の臓の病変」についてです。

「肝の臓」については、以前このブログにも書きました。

「肝」って何ですか?(その13) 参照

北辰会では、この「肝の臓」をいかに治すか、ということを、非常に丁寧に研究し、臨床実践しています。

どういう新見解が出るか、今後の展開を楽しみにしたいと思います。

最後は京都の木下慶二先生による臨床レポート

「意識消失の症例2例」

でした。

木下先生は鍼灸師であると同時に柔道整復師であり、柔道の先生もなさっており、いわゆる「締め技」で失神してしまった生徒を診ることは少なくないそうです。

一般にはあまり知られていませんが、こういう時、意識を付けるのに、実は鍼灸が効くんです。

今回の発表では、事前に、奥村裕一学術部長が、中国、日本における、

「意識消失」

に対する、古典からの鍼灸の治療例を紹介して下さいました。

スポーツや事故で意識が無くなっているもの以外でも、何らかの病気で意識がなくなっている場合、鍼灸師だったら、

救急車を呼ぶ以外に、たくさん出来ることがあるのです。

出来たら出会いたくはない症例ですが(苦笑)、万が一出会ってしまった場合に、この日学んだことを活かし、的確に対応したいと思います。

そして、終わった後は酒・・・。

充実の週末。(笑)

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