東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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花粉症考(目の痒み篇)

2013.03.30

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これまでのお話・・・

「花粉症」について
「花粉症」について(その2)
「花粉症」について(その3)
患者さまの声(30代男性:突発性難聴、花粉症)
患者さまの声(20代男性 6年続く重度の花粉症)
黄砂やらPM2.5やら・・・
花粉症考(鼻水篇)
花粉症考(鼻水篇②)
花粉症考(くしゃみ篇)
花粉症考(くしゃみ篇②)

 

なんやかんや書いてたら、そこそこのボリュームになってきましたが、花粉症に関しては、皆さん興味深い部分だろうと思いますので、

続いていきましょう!


今日は、花粉症につきものの、「目の痒み(目痒)」について。


花粉症の時期になると、目が真っ赤で、痒みがあって、ヒドくなるとゴーグルなしでは外出できない、なんて言う患者さんもおられます。

気の毒な話です。

まあこれも、「鼻」と似たような考え方なのでありますが、東洋医学では

1.目が赤くなるのを「目赤(もくせき)」、

2.目が痒くなるのを「目痒(もくよう)」

と、分かりやす~い名称で呼んで、それぞれ鑑別法、治療法、を考えております。

 

(因みにここでは、結膜下が出血して真っ赤になる「白睛溢血(はくせいいっけつ)」とは分けます。)

1.の方は、主に目に「余分な熱」がこもった場合や、肝の臓と腎の臓が弱った場合が考えられ、

2、の方は、「熱」以外にもこないだ鼻のところで出てきた「風」や「寒」、あるいは「血虚」でも起こる、とされています。

(『症状による中医診断と治療 下巻』P559、592、606参照)

 


まあ、臨床的にはこの2つは密接に繋がっている部分が多い症状だと思います。

ちなみに、「目」にどんな経絡が流れているのかは、こないだ副院長が書いてくれました。

スタッフブログ 目の痒みと経絡 参照


これらの経絡の流れが悪くなると、、目に異常が出るワケですが、その、流れを悪くする原因が、上記のように色々とあるよ、って話です。

・・・うーん、時間がないので続きは次回。

 

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花粉症考(鼻水篇)

2013.03.23

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花粉症に関して、これまで色々書いてきた。

カテゴリ 花粉症と東洋医学 参照

 

今日は、花粉症の主要な症状である、「鼻水」「鼻づまり」について、どのように対策をとるべきか、考えてみたいと思います。

東洋医学では、鼻水は「鼻流涕(びりゅうてい)」、鼻詰まりは「鼻塞(びそく)」と呼んで、それぞれ細かく分類し、治療法を考えています。


「鼻」という部位は、東洋医学的にみると、「肺の臓」の入り口であります。

「肺」って何ですか?(その12) 参照

 

つまり、「肺の臓」に異常があれば、当然それが「鼻」の症状として反映される場合があります。

 

 

つまり花粉症における「鼻」の症状を改善するのには、「肺の臓」を安定させることが肝要、ということです。

 

しかしこの「肺の臓」のいじくり方を間違えると、治るどころか、悪化します。

 

 

肺は東洋医学では「嬌臓(きょうぞう)」といわれるように、華奢な女性のように、ナヨナヨして敏感な臓です。

 

ここは非常に診断、治療に慎重を要する部分でありまして、花粉症なら何でもかんでも「小青竜湯」なんてのは、個人的には全然賛成できません。

 


最近、久々にテレビ見てたら、「花粉症に小青竜湯」って、CMでもやってるではないですか!

 

ビックリ~。。。

 


「眠くならない花粉症薬」だってさ・・・。(@_@;)

 

アレじゃあみんなカン違いしちゃうね。。

 


間違っても、花粉症で小青竜湯飲んだけど効かなかった、だから東洋医学はダメ、とか言わないでくださいね。

こういうのはホント、東洋医学、漢方薬に対するミスリードだと思っていて、大反対です。

 

(もちろん、病態によっては効くことがあるし、それで助かっている人がいるという事実は否定しませんが)

私の知り合いの漢方専門の臨床家なんかは、花粉症でも2、30種類の漢方薬を、その人の症状、体質に合わせて自在に加減して使い分けるそうです。

 


・・・当然ですよね。

 


鍼もそうです。

 


ツボのパターン、打ち方、置鍼時間、ぜーんぶ違います。

 


・・・まあともかく、鼻の話に戻りますが、花粉症の人が強く鼻をすする、あるいは強く鼻をかむ、これをよく見かけますが、これ、実は養生法として絶対よくないと思います。

 

鼻を強くすすること、かむこと、それ自体が、「鼻」という部分における気の停滞を強め、症状を悪化させる面があるのです。

 


ですから、もし症状が出てしまったら、すぐに鼻にティッシュをしっかりと詰めて、垂れて来ないようにし、ティッシュが濡れたら交換、これの繰り返しがいいと思います。

 


両鼻にティシュを詰めた姿はみっともないし、口呼吸にもなりますから、当然上からマスクで抑えましょう。

 


・・・で、「表裏寒熱虚実」はどうか、「臓腑経絡」はどうかと、しっかり東洋医学的に診立てられる先生に、鍼してもらうなり、漢方を処方してもらって、

 

症状を抑えつつ、キッチリ養生しましょう。

 

 


そうすりゃ、ほとんどのものは気にならないレベルまで良くなるでしょう。

 


花粉症なんてもんは。

 

悪いのは花粉じゃなくて、患者さんの身体状況。

 

しっかり調えればいいだけの話です。

 

一つ一つ冷静に、確実に。

 

 

 

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東洋医学への正しい理解

2013.03.17

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この10年で、東洋医学に対する期待、関心は、高まっただろうか。

現場でこの10年以上やってきた者の印象としては、高まったように思う。

患者さんも、同業者も、昔は冷たかった。

鍼灸といえば、慰安的なマッサージの延長で、せいぜい肩こりか、さほど深刻でない腰痛、膝痛ぐらいにしか効かない、という認識が一般的で、

 

医学、医療であることを真面目な顔をして主張すると、嘲笑されるような向きがあった。

 

また、鍼灸と言ったら、

「飯が食えてるだけでスゴイ。」

みたいな、”食うのがやっと”の職業であるなんてことも、よく言われた。


それが今では、アレルギーや自己免疫疾患、癌や糖尿病、婦人科疾患など、現代の西洋医学が苦手とするような様々な疾患に対して、有効である可能性がある医学だ、

 

という認識が、少しづつではあるが、高まってきたように思う。

 

この1カ月の、清明院の新患さんの主訴を見ていても、そう思う。

 

肝機能障害、肝炎、躁鬱病、アトピー性皮膚炎、花粉症、不妊症、月経異常、癌などなど、単純な肩こりや疲労を訴えて見える人は、むしろ少ないぐらい。


東洋医学がこうやって注目され始めたことの背景には、もちろん否定する訳では無いが、明治以来、威信を保ってきた西洋医学への不信感や、

 

実際問題としての西洋医学の「頭打ち」感があることは否めないのではないだろうか。


親や肉親が、がんと診断され、化学療法や外科手術をやった結果、全くいい場面がなく、死んでいった。

難治性のアレルギー疾患で、薬で一生抑えるしかない、と冷たく言われた、など、西洋医学に対するマイナスの印象を患者さんや周りから聞くことはよくあります。

ただ、西洋医学がダメだから東洋医学に頼る、というマイナスからの流れではなく、西洋医学はこういうところが良くて、東洋医学はこういうところがいい、

 

という、双方の特長を正しく理解した患者さんが増える、という流れの方がいいと思います。

今後は、そういう流れが今よりも増えてくるでしょう。

サービスが向上する一番の近道は、消費者が賢くなることではないでしょうか。


医師に言われるがまま、されるがまま、という患者さんは、今後は減ってくるでしょう。

そこで、東洋医学がいかなるものか、正しく理解し、表現、体現できる先生しか生き残れないようになったらいいのではないかと思います。

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3月(般社)北辰会本部臨床コース

2013.03.11

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昨日、3月10日の日曜日は、大阪で行われた、(般社)北辰会本部臨床コースに参加してきました!!

この日は午前中は実技訓練です。

こないだ関東にみえた油谷真空先生に、貴重な技術、考え方を教わってきました。

午後は藤本蓮風先生による代表講演

「肝病について」

です。

この講義は10年前に北辰会の機関誌『ほくと』の誌上でまとめた内容を、再度講義し直す中で、最新情報を織り交ぜていく、

という講義です。

「肝の臓」がいかに色々な病に関与し、治療する上で中心的な問題になるか、あらためて考えさせられました。

最後は、去年関東にみえた山本克仁先生による症例発表

「三叉神経痛」

でした。

三叉神経痛は顔面の痛みを訴える、たまに出会う病気ですが、かなり重症の神経痛を、驚きの早さで治癒させた症例でした。

山本先生は私と同年代で、大変優秀で、実力のある、私にとって刺激的な先生です。

今回も、非常にいい刺激をもらいました。

そして終わった後は呑み。

今回の酒は、とにかく笑いましたねー。。。(笑)

充実の週末。

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頻尿のメカニズム

2013.03.06

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「頻尿」という症状がある。

妊娠中や膀胱炎の時など、比較的女性に多い症状ではないだろうか。

東洋医学では、「小便頻数(しょうべんひんさく)」と呼んで、病的な症状として対処する。

ちなみに、小便が薄くて透明で量が多いのは「小便清長(しょうべんせいちょう)」

夜間のみに小便の回数が増加するのは「夜間多尿(やかんたにょう)」と呼んで、

「小便頻数」とはまた違った概念として、区別している。

これは、「膀胱の腑」「腎の臓」「脾の臓」「肺の臓」「肝の臓」の異常や、「湿熱」といった病理産物によって成ることが多く、よく診る症状であるが、発症プロセスは比較的煩雑である。

正気の弱りが直接的、あるいは間接的に関与しているものは、治りが悪いという印象がある。

尿のもとは飲食物に含まれる水分の中の余剰のもの。

これが、「小腸の腑」から、「脾の臓」「腎の臓」の力を借りて浸み出し、「膀胱の腑」に溜まっていく。

この濁水は、一定程度たまると、「肺の臓」「心の臓」の働きによって、あの独特の切迫感、つまり「尿意」として感知、認識され、

「肺の臓」の気を引き下ろす力、「肝の臓」の発散する力を借りて、体外に排出される。

上記のメカニズムにおいて、「小便頻数」になるということは、

”大して膀胱の腑に溜まってないのに”

あるいは、

”何らかの原因で、すぐに濁水が膀胱の腑に溜まってしまって”

あるいは、

”膀胱の腑そのものの動き(要は伸び縮み)が悪くて”

小便が近くなる状態である。

これを考えて治療すると、大体よくなる。

ちなみに、呑み会でビールを飲み過ぎて、小便が近くなるのは、むしろ正常で、生理的である。

 

呑み会で、かえってトイレが遠くなるものはあまり良くない。

よく分からん健康法とかなんとかいって、意識して1日数リットル多飲していて、小便が近くなるのは問題。

術者が騙されてはいけないし、患者さん自身にも、「自分の場合の病理」を、よく理解してもらう必要がある。

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「胆」って何ですか?(その12)

2013.02.27

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これまでのお話・・・

 

「肝」って何ですか?(その13)

「胆(たん)」って何ですか??(その1)

「胆」って何ですか?(その2)

「胆」って何ですか?(その3)

「胆」って何ですか?(その4)

「胆」って何ですか?(その5)

「胆」って何ですか?(その6)

「胆」って何ですか?(その7)

「胆」って何ですか?(その8)

「胆」って何ですか?(その9)

「胆」って何ですか?(その10)

「胆」って何ですか?(その11)

「胆」って何ですか?(その12)

 


では、続きいきます!!

◆なんで「胆」が決断をつかさどるのか。

僕的には、こういう疑問を自分からもちだして、自分で調べながら色々と考えられるようになって、実践と照らし合わせられるようになって初めて、

 

東洋医学が本当の意味で楽しくなってくるんじゃないかと思っています。

「胆=決断」なんてことを、一個一個全て機械的に暗記したって、つまらないし、臨床ではあまり役に立ちません。

 

 

僕らは、知識をひけらかすために東洋医学やってるんじゃないです。

 

 

より人体や病を東洋医学的に深く理解し、自分の治療に役立てるためにやっているんです。

 


東洋医学では、

「この臓腑にはこういう働きがあって云々・・・。」

という記載が山のように出てきます。

 

頭がいい人は、こういうのをキチーッと暗記します。

 

・・・で、

”ところでそれって、なんで?”

と問われると、まったく、自分の考え(解釈)を持っていないことがあります。(苦笑)

 


これでは、あまりよろしくないと思います。

 

せっかくの記憶力が、もったいなくないですか?

 

だから僕は、僕なりの稚拙な考えであっても、「定義に対する疑問」をなるべく持って、それを自分なりに解決していこうと思っています。

 

で、もし頭を打ったら、それを先輩にぶつけてみりゃあいい。

 

前置きが長くなったけど(苦笑)、僕的には、「胆の腑」”決断”に関わる理由は、いくつかの理由が重層的に関与していると思っています。

 


まず前回、人間の精神面、”思考や感情”は主に五臓が主っている、というお話をしました。

 


そして、それの大元締めが「心の臓」であると。

 

「経験=記憶」からくるイメージをフル活用して、一生懸命「思考」し、頭の中で「作戦会議」した結果、最終的な決断を下すのが「胆の腑」の力だ、という理論が立つのは、いったいどういうワケか。

 

ここで、「心の臓」「胆の腑」には、実はただならぬ関係性があります。

 

それは、「子午陰陽(しごいんよう)関係」といって、時間帯によって、どの臓腑に関する経絡の気が盛んになるか、という考え方における「心」「胆」の陰陽関係です。

 

「子午陰陽」については、以前、チョコッと書きました。

夜のみ出る症状 参照

(そのうち、もっと詳しく書こうと思っていますが。。。(苦笑))

 


この考え方においては、
心の経絡の気の流れが盛んな時は、胆の経絡の気の流れは相対的に弱くなる、その逆も然り、という陰陽関係が提示されています。

 

このように、心と胆は生理的に「経絡の気の量」という側面で、バランスをとっています。

 

だから機能的にも、「感覚、記憶、思考」の代表取締役の心と、「最終決断」の胆とで、バランスをとっている面がある、と、僕は考えています。

 

「思考」「決断」も、ある意味陰陽です。

 

また、もう一点、何かを決定するにあたって「作戦会議(というか立案する)」をするのは、将軍に例えられる「肝の臓」でした。

「肝」って何ですか?(その9) 参照

 

「肝の臓」「胆の腑」は漫才コンビですから、「決断」に関わることで、「肝の臓」将軍の「作戦会議」の働きを補完している、という面もあると思います。

 

まあそれ以外にも、あまり複雑になるから細かくは書かないけれども、実は「胆の腑」「脾の臓」とか「腎の臓」との関連なんかもあったりして、

非常に複雑に、かつ密接に、他の臓腑と関わって、「決断をつかさどる」という、”腑”としては極めて特殊な機能が付与されているのだと思います。

 

もーちょい続く。

 

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「胆」って何ですか?(その11)

2013.02.17

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これまでのお話・・・


「肝」って何ですか?(その13)

「胆(たん)」って何ですか??(その1) 
「胆」って何ですか?(その2)        
「胆」って何ですか?(その3)

「胆」って何ですか?(その4)
「胆」って何ですか?(その5)
「胆」って何ですか?(その6)
「胆」って何ですか?(その7)
「胆」って何ですか?(その8)
「胆」って何ですか?(その9)
「胆」って何ですか?(その10)

 

では、続きいきます!!

 

◆「胆の腑」と決断力

現都知事の猪瀬直樹さんが、『決断する力』なんていう本を書いております。

将棋の羽生名人も、『決断力』なんていう本を書いています。

政治の場面、勝負の場面、人生の様々な「場面」において、”決断力”は大事です。

・・・まっ、そんなワケで今日は、「胆の腑」”決断”のお話です。

「胆(たん)」って何ですか??(その1)に書いたように、

「”胆(膽)”という漢字は”生きる”ということと大きく関わる意味を持つ。」

という、白川静先生の解釈を紹介しました。


これ、なかなか面白い解釈でして、東洋医学的な「胆の腑」の働きと符合する面があります。


東洋医学では、「胆は決断をつかさどる」な~んて言って、「胆の腑」がものごとの最終的な決断に大きく関わることを指摘しています。


このことは重要です。

過去に経験したことであれば、過去の記憶を頼りに、未経験のことであれば想像や、他人からのアドバイスから、

「この場合はこうしよう!」

という風に”決断”してますよね?

小さい決断から大きな決断まで、人生は思考~決断の連続と言ってもいい。

そこに大きく関わるのが「胆の腑」だって言うんです。

しかし、人間の感情や思考には、主に「五臓」が関わるんだ、という話を、これまでしてきました。

「心」って何ですか?(その6) 参照


これに対して「六腑」というのは、生命活動を維持する上で欠かせない重要な働きをするけれども、精神、思考にはあまり関わらない、

というのが、一般的なセオリーです。

しかし、これまで述べてきたように、色んなところで仲間ハズレの「胆の腑」は、そういう型にはまらないのです。

東洋医学的な身体観では、仲間ハズレや異質な存在が、実は重要なのです。

(人間社会でもそうか!?)


話は変わるけど、今、日銀の白河総裁が辞任して、次期総裁と、副総裁人事を誰にするか、大きな話題になっています。

 


これは、景気を左右するアベノミクスにおいて、大変重要なファクターです。

 

ニュースにもよく「胆力」という言葉が出てきていますネ。

 


 

さてここで、さらに深めて、”じゃあなんで”、「胆の腑」はものごとの決断に関わるのか、考えてみたいと思います。

 

続きは次回。

 

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「胆」って何ですか?(その10)

2013.02.16

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これまでのお話・・・


「肝」って何ですか?(その13)

「胆(たん)」って何ですか??(その1) 
「胆」って何ですか?(その2)        
「胆」って何ですか?(その3)

「胆」って何ですか?(その4)
「胆」って何ですか?(その5)
「胆」って何ですか?(その6)
「胆」って何ですか?(その7)
「胆」って何ですか?(その8)
「胆」って何ですか?(その9)

 

 

では、続きいきます!!

 

 

◆「胆の腑」と「胆汁」と「黄疸」

 

 

このテーマは面白いので、もう少し書き足しておきましょう。

 

「黄疸(おうだん)」という症状があります。

僕も、短い臨床経験の中で、重篤なものから、比較的軽度なものまで、何度か診させていただいたことがあります。


西洋医学的には、

「ビリルビン(胆汁色素)が血液中に過剰に増加して、白眼や皮膚、体液が黄色く染まった状態」

と定義され、正常な新生児でも一過性に出ることがありますが、病的なものでは肝臓、胆嚢、膵臓の病変などで出ることがあり、

内臓にガン等の重篤な病変がある場合もあるので、注意を要する、といった説明がなされています。

 


・・・まっ、ビリルビンちゅーのは、胆汁が黄色いののもとになる色素のことで、これが、何らかの原因で全身に漏れ出しちゃって、

過剰になると、色んなところが黄色く染まっちゃうよ、っちゅー話です。

 

で、これ、東洋医学ではどうなんでしょうか。

 

そもそも”黄疸”という言葉自体、もとは東洋医学の言葉であり、当然、約2500年前、『黄帝内経(こうていだいけい)』の中にすでに出てきています。

 

そのあと、後漢の時代の『金匱要略(きんきようりゃく)』という本に至っては、”黄疸”のためにわざわざ一章さいて、細かく分類し、治療法を指摘してくれています。

 


その後もずーっと研究は続き、様々な書籍で触れられており、今日でも、東洋医学ではこの黄疸というものを分類し、治療しています。

 


まあ簡単に言うと、東洋医学の言う”黄疸”は、「肝の臓」「胆の腑」「脾の臓」「胃の腑」あたりの病変(とりわけ、胆汁の外溢)ととらえ、

 

邪気としては主に「湿熱」の存在が考えられています。


「肝」って何ですか?(その13)
「脾」って何ですか?(その9)
「胃」って何ですか?(その10)
「湿熱」について         

燎原書店『症状による中医診断と治療 上巻』 参照

 


そして、黄色い色そのものが明るいか暗いか、黄疸以外にどんな症状、所見が出ているかによって「陰黄」「陽黄」といって、黄疸自体を陰陽に分けています。

 

サスガ東洋医学は、何でも陰陽に分けて考えますね。(笑)

 


・・・とまあ、このようにしてみると、東洋医学サイドから見ても、「胆汁」の巡りがうまくいかなくなった場合、「黄疸」という病変がある、

という認識は持っていていいと思いますが、それ以上に「黄疸イコール胆の腑」ではなく、他の臓腑や、邪気の存在も意識して、

黄疸そのものの陰陽も考えて治療することが大事なのです。

 

だから、”黄疸だから〇〇湯(漢方薬)!”という発想は間違っており、場合によっては大変危険なのです。

 

もしこういう、重篤な症状を呈している状態で、鍼灸なり、漢方なり、東洋医学にかかろうと思ったら、キチッと勉強されて、

そういうことを分かっておられる先生にかかられることを強くおススメします。

 

 

なんか話が逸れたけど、続く。

 

 

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(般社)北辰会関東支部 宿泊型研修会「順雪会(じゅんせつえ)」

2013.02.12

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9日から11日まで、群馬県の草津温泉で行われた2泊3日の宿泊型研修会「順雪会」に参加してきました!!


「順雪会」の詳細については、こないだ書きました。

今週末は宿泊型研修会「順雪会」!! 参照

年々参加者が増加しており、今年は50人近い参加があったようです。(驚)

都内から片道4時間、関西からは7時間、今回は、高知から10時間かけて参加された先生もいらっしゃいました。(゜o゜)

それだけの価値がある研修会になってきた、ということだろうと思います。

初日の夜から本部の方剤学の専門家である島内薫先生を中心に自主勉強会が始まり、

2日目は朝から蓮風先生による代表講演、

「肝病について~序論~」

午後は藤本彰宣先生による講義と実技、

「弁証論治における打鍼と古代鍼」

その夜はなんと夜中の3時まで自主勉強会。。。(苦笑)

色々な先生による、ヒッジョ~に臨床的な技の見せ合い、語りあいです。

そして最終日も、朝から藤本彰宣先生による講義と実技の続き。。。

古代鍼や打鍼を、弁証論治の中でどう活かすか、という問題をきっちり踏まえて使っているのは、北辰会だけです。

そこが重要なんです。

古代鍼や打鍼をやりました、効きました、で終わったらダメなんです。

なぜ(どういう証だから)使ったのか、それによって起こった変化は、何を意味するのか、に対する理解をキッチリしておくこと、です。

それを踏まえずに形だけ北辰会のまねしても、難しいんじゃないかな、と思います。

あと、念のため断わっておきますが、もちろん自主勉強会や講義は参加自由であり、スキーや温泉に行きたい人は遊びも十分楽しめますし、

疲れた人は早く寝ることも可能です。

北辰会方式でも、ナニ方式でもそうでしょうが、月に一回、勉強会に来て、ただ話を聞いたり、本を読んだりするだけでは、

なかなか分かりません。

出来るようになりません。

自分と近いレベルの人と仲良くなって、ともに切磋琢磨する、そうしながら日々臨床で修行するのが一番の早道と思います。

そういう意味では、宿泊型の研修会に参加し、勉強しながら、遊びながら、お酒でも飲みながら、仲間や頼りになる先輩を見つける、

というのは大変いいことなんじゃないかと思います。

順雪会に来られて、色々教わった内容をもって、多くの患者さんが救われることでしょう。

こういう企画が続くといいなあ、と思います。

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「胆」って何ですか?(その9)

2013.02.11

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これまでのお話・・・

「肝」って何ですか?(その13)
「胆(たん)」って何ですか??(その1) 
「胆」って何ですか?(その2)        
「胆」って何ですか?(その3)

「胆」って何ですか?(その4)
「胆」って何ですか?(その5)
「胆」って何ですか?(その6)
「胆」って何ですか?(その7)
「胆」って何ですか?(その8)

 

では、続きいきます!!

 

◆『淮南子(えなんじ)』における胆の腑

この『淮南子』という書物がいかなるものか、という話は、こないだスタッフブログに副院長が簡単に書いてくれました。

スタッフブログ 『淮南子(えなんじ)』という書物 参照

 

その『淮南子』”精神訓”というところに、

「妊娠して10か月経って、人間が生まれて形になる時、胆は口に関わり、相方の肝は耳に関わるよ~ん♪

他に、肺は目、腎は鼻、脾は舌に関わるんだよ~ん♪」

とあります。

 

(抜粋意訳 by竹下)

 


・・・これは、実は一般的な東洋医学の学説とは異なる論なんですが、そういえば口も、開閉しますよねえ?


したがって僕的にはこれを読んだとき、”ナルホドナー♪”と思いました。


ここで、”イヤイヤ、目だって開閉するじゃねーか!”と即座に突っ込んだ人は優秀です。(笑)

 

 

空間物体を、視覚を通じて認識するための器官である「目」「口」とは、全然違います。

 

「口」というのは、飲食物の入り口、つまり、胃、小腸、大腸の入り口です。

 

 

東洋医学の一般常識からすれば「脾の臓」がもっとも深くかかわる器官です。

 


前回述べたように、胆の腑は、胆汁で、消化を助けます。

 

また、胃の腑と協力して、気を下げる働きを持つ、とも言われます。

 

当然、開閉する部分なんだから、胆は目にも関わるんでしょうが、「より」口に関わる、という意味なんだと思います。

 

東洋医学に関する、あまり一般的でない言説や分類が書いてある文献て、実は調べるとけっこうあるんですが、そういうものを理解するには、

 

こういう風に原理を把握した、柔軟な考え方がないと難しいと思います。

 


大事なのは、全て相対論なんだ、ということです。

 

どんな本に書いてあることだって、結局はそれの作者が、

「まー色々ある中で、どっちかというとこう、と、僕は思うけど?」

という話しなんです。

 

着眼点や切り口が違えば、形式論理学的な前提は変わったりします。

 

だから読むときは、書いた人の意図を汲んであげないと。

 


・・・まあそう言ってしまうと、何でもアリなようですが、現実は何でもアリではない、オモシロキビシイ世界なんです。

 


また、『淮南子』の同じ部分には、

「人に色々な感情があるように、お空にも色んな気象状況があるよね~?で、胆っていうのは、お空で起こる現象で言うと、

雲みたいなもんだぜ~!しかも相方の肝は風みたいなもんで、他に脾は雷、腎は雨、肺は氣みたいなもんさ~、

で、それらみんなを心が仕切っているのさ~!!」

とも書いてあります。

 

(抜粋意訳by竹下)

 


この部分こそ、僕が「胆汁」というものは、「小腸の腑」に出てきて消化を助ける以外に、有形と無形の中間である霧(水蒸気)のように全身各所に行き渡り、

全身各所の「枢」を調整している、という働きもあるんじゃないかなー、と妄想したきっかけです。(笑)

 


雲は水蒸気、気体と液体の中間の、中途半端な状態です。

 


まさに臓のようで腑のような、胆を表わすのにピッタリです。

 

しかもそれが、風(肝)の力を借りて、自由自在に大空(この場合の全身)を流れ、太陽の強い日差しを程よくさえぎったり、分厚くなれば雨を降らせて、湿度を調整する。

 

(因みに脾が雷というのも面白いですね)

 

 


この記載が妙にシックリきたんですねー。

 

 

次回に続く。

 

 

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