東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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最近の症例 ⑥ 癌(大腸、肝臓、腹部リンパ)、便秘

2017.10.22

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さて、続きいきましょうか。

 

 

患者 50代 女性

 

主訴 癌(肝臓、大腸、腹部リンパ)、便秘

 

現病歴 清明院初診の1カ月少し前、血便があり、内視鏡検査したところ、大腸癌が発覚。

 

肝臓、腹部リンパにも癌が見つかる。血便以外に症状はない。

 

外科手術後、抗癌剤治療開始。

 

抗癌剤での副作用の緩和、癌の治療および再発予防を目的に鍼灸治療開始。

 

既往歴 右腓骨骨折

 

弁証 肝脾鬱結(血熱 瘀血)

 

配穴 明らかにしない

 

経過 初診後、体の力が抜けて非常に眠くなる。

 

現状、抗癌剤をやると体がしんどくなり、鍼すると楽になる、という状況。

 

抗癌剤治療は1クールはやりたいという意向。

 

患者さんの意向、主治医の見解を尊重しつつ、最大限のサポートを続ける所存。

 

 

 

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『あはきワールド』肝病はこう治す!第2弾公開☆

2017.07.13

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先日、『あはきワールド』肝病はこう治す!公開☆ という記事を書きました。

 

 

そこで、(一社)北辰会が極めて重視している「肝の臓」の治療バリエーションに関して、基本的な考え方を紹介しました。

 

あはきワールド 拙著記事  参照

 

 

そして昨日、これの第2弾が公開されました!!

 

あはきワールド 拙著記事 第2弾   参照

 

 

今回は、2例ほど症例を載せました。

 

 

いずれも、肝の臓に注目しつつも、変則的な配穴を使って、良好な変化を得た症例です。

 

 

しかも、専門病院の治療処置で思うような効果があがらなかったものです。

 

 

よく、

 

「北辰会は何でもかんでも肝鬱ばっかり」

 

とか、

 

「北辰会は何でもかんでも後溪ばっかり」

 

とか、

 

「結局は穴性治療にすぎないよね」

 

とか、まったくワケ分かってない鍼灸師の方から、トンチンカンにディスられることがあるので、それに対するアンサー的内容にしたつもりです。

 

 

なぜ北辰会が肝の臓をフィーチャーするのか、それをまずご理解いただきたいし、その肝の臓に対する治療アプローチの方法は無数にある、

 

理論的、手法的バリエーションは非常に豊富である、ということをご理解いただきたいと思います。

 

 

第1弾も第2弾も、本当はもっともっとたくさん書きたかったんだけど、文字数の関係であのくらいになってしまいました。(苦笑)

 

 

まあそのうち、機会があったら追加補足しましょう。

 

 

いやー、症例症例、また症例。

 

 

やっぱこれが一番いいねえ俺は。(笑)

 

 

批判する人はまず自分の症例を出すべきだね。

 

 

 

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『あはきワールド』肝病はこう治す!公開☆

2017.07.05

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本日公開のメルマガ『あはきワールド』に、私が書いた記事が載りました。

 

あはきワールド 拙著記事

 

 

手前ミソではありますが、一人でも多くの人に読んでもらいたいので、このブログで、「節操なく」宣伝させていただきます☆(゚∀゚)

 

(だって、書くのけっこう大変だったから、読んでくれる人が少ないと悲しいのでね。)

 

 

今回ご依頼いただいたテーマは

 

「〇〇はこう治す!」

 

というお題。

 

 

そもそも、北辰会方式では、「同病異治」「異病同治」、さらに「三因制宜」という考え方を非常に重要視しており、

 

「〇〇という症状(病名)にはこういう経穴!」

 

みたいな考え方はしません。

 

 

正直、どっちかっていうとそういう考え方には否定的です。

 

(まあ、方便としてそういう言い方を使うことはないではないが。)

 

「三因制宜」を含む記事 参照

 

 

ですので今回、あらゆる病、とりわけ難病治療において北辰会が非常に重視する「肝の臓」が病んだ場合、つまり「肝病」というものに焦点を当てて、

 

自分なりに症例をくっつけて書いてみました。

 

 

まあでも、書きあがったものを改めて読んでみると、書き尽くしていない部分、説明を補足したい部分も多く、それは後々、

 

このブログ上ででも、スピンオフ記事を書きましょう。

 

 

このブログの読者の皆さんには、是非読んでもらいたいですね。

 

 

珍しく僕の「~だ。~である。」口調の文章です(笑)

 

 

因みに『あはきワールド』は、有料メルマガですが、学生さんは無料なので、絶対読むべきです。

 

 

いい情報の宝庫だと思いますね。

 

 

 

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肝・胆・心包・三焦

2015.11.10

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11.22に、東京衛生学園にて「経穴解説 肝・胆・心包・三焦」を喋ります。

 

肝や胆や心包や三焦というのは、どれも五臓六腑の中の一つです。

 

これらに関わる経穴に鍼をすると、これらの臓腑に影響を与えることが出来ます。

 

つまり、肝・胆・心包・三焦に関わる経穴を治療に使うということは、肝の臓、胆の腑、心包の臓、三焦の腑について正確な理解が出来てないと、


自分が何を目的として鍼をしているのか分かりませんので、そもそも話にならないのです。

 

これらの臓腑についての解説は、一般向けの簡単な内容ではありますが、以前書きました。

「肝」って何ですか?(その13)
「胆」って何ですか?(その12)
「心包」って何ですか?(その6)
「三焦」って何ですか?(その12) 参照

 


経穴を使いこなす上では、最低限上記の部分の、より専門的な知識が必要になります。

 

ましてや、私のブログに書いてあるぐらいのことは知らなかったら、

「経穴に対して、気の集散を目的として鍼をする」

という考え方で鍼をするのは、正直やめといた方がいいと思います。

 

 

況や、そういった鍼灸治療に対する論評めいたことも。

 

 

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「左肝右肺」に関して 7

2015.02.02

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これまでのお話・・・

 

「左肝右肺」に関して
「左肝右肺」に関して 2 
「左肝右肺」に関して 3 
「左肝右肺」に関して 4
  
「左肝右肺」に関して 5
  
「左肝右肺」に関して 6
   参照

 

では続きいきます。

 

というか、キリがないので、いったん終わりましょう。(笑)

 


◆左右の使い分け

 


東洋医学に、「巨刺(こし)」とか「繆刺(びゅうし)」という治療方法があります。

 


これは、患部とは左右反対側を治療したり、患部と離れたところを治療したりする方法なんですが、問題は、

”これらを「どういう時に」使うのか”

です。

 

 

毎回毎回、必ずそうすれば正解、ではないのです。

 

 


まあ、これは業界的には半分以上常識なんで、いちいち出典挙げないけど、各古典によれば、

 

巨刺の方は経脈に病があるときで、しかも九候の脈に変化があるときで、繆刺と比べて相対的に深刺しをしろ

 

とあり、

 

繆刺の方は絡脈に病があるときなので、巨刺よりも相対的に浅刺しであるが、場合によっては刺絡しろ

 

と、あります。

 


刺絡の細かい話
「刺絡」という方法論(その2) 参照

 

・・・このようにあるんですが、古典におけるこの書き方に、僕的にはもう一つ納得できません。(笑)

 

だって、これだけだと、経脈に病があったって、絡脈に病があったって、それを患部の「反対側に」取る理由になってない。

 


おそらく、古代中国のえらーい先生が書いた、その部分の解説を読んでも、申し訳ないが、解説になってなくね?って話です。(笑)

 


右の絡脈に病があるなら、そのまま右の絡脈を治療すりゃあいいし、左の経脈に病があるなら、そのまま左の経脈を治療すりゃあよくね??、と思ってしまいます。(笑)

 

では何故、反対側を取った方がいいかというと、ここはあくまでも僕の私見ですが、内臓の位置をみれば分かるように、左右が全く対称な人間なんていない訳ですが、

 

健康人であればおおむね左右の平衡バランスは取れています。

 

 

ということは、人間にはそもそも気血の左右差を是正しようという力が備わっています。

 

それにより、全身くまなく、過不足なく、気血が行き渡り、健康が担保されるから、ですよね。

 

ですので、当然ながら、例えば左の経脈や絡脈が、何らかの病的な状態になると、右の経脈や絡脈にも気血の変動が起こるはずです。

 

で、普通であれば、直接、病的な状態になった経脈や絡脈をいじるのが常套手段でしょう。

 

左なら左を、右なら右を、と。

 

邪気を散らしてみたり、正気を集めてみたりね。

 

ところが、この常套手段よりも、病経の「反対側を」狙った方がいい場合というのは、患側(病的な経脈や絡脈)の反対側の経絡が、患側の経絡の異常を是正する「主体」になっている場合ではないでしょうか。


(ぼくはそうだと思っています。)

 

因みに、『黄帝内経』にも、左右差を調整することの重要性は諸篇に説かれています。

 

(素問では陰陽応象大論(5)離合真邪篇(27)繆刺論(63)、霊枢では官鍼篇(7)官能篇(73)あたりでしょう。)

 

 

日本でも、かつてわが地元である群馬におられた鍼灸師である赤羽幸兵衛(1895-1983)先生が、「シーソー現象」と称して、左右のバランスを調えることの重要性を説いておられます。

 

 

いずれにせよ、

 

「ではどういう時に、左右反対側を取った方が良いのか」

 

という診断学が重要であるわけです。

 

 


僕はそれは、「気の偏在度合い」で判断するようにしています。

 

メディカルユーコン『鍼灸治療 上下左右前後の法則』 参照)

 

つまり、病的な状態になったのは左の経脈や絡脈だったとしても、全体として右に正気や邪気が偏在していれば、そっちを動かした方がより早く、

 

そして動きが大きい、と考えていますし、日々そう実感しています。

 

・・・とまあ、そんな風に考えて、細かいメカニズムにも注意しつつ、臨床では常に臨機応変に左右を選んでおります。

 


(因みにこの場合、”脈診”は非常にポイントになるように思います。)

 

 

なんか話がそれたけど、このシリーズ、とりあえずおしまい。

 

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「左肝右肺」に関して 6

2014.12.15

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これまでのお話・・・


「左肝右肺」に関して
「左肝右肺」に関して 2 
「左肝右肺」に関して 3 
「左肝右肺」に関して 4  
「左肝右肺」に関して 5  
 参照

 

では続きいきます。

 

◆「左右」に関して補足


我々東洋医学がバイブル中のバイブルとする『黄帝内経素問』の中の「陰陽応象大論(5)」というところには、

「左右者.陰陽之道路也.」

と、出てきます。

 

(ちなみにこの「左右者陰陽之道路」という表現は、同じ素問の中の天元紀大論(66)、五運行大論(67)にも出てきます。)

 

この意味について、中国清代の超有名な学者である張志聡(1610-1674)先生は、弟子たちとともに書き上げた大著、『素問集注(そもんしっちゅう)』(素問の解説書)の中で、

 

「在天地六合.東南為左.西北為右.陰陽二氣.於上下四旁.晝夜環轉.而人之陰陽.亦同天地之氣.晝夜循環.故左右為陰陽之道路.」

 

と述べておりまして、これを竹下風に簡単に訳しますと、


「天地六合(宇宙)には、東南は左とし、西北は右とする。人の陰陽の二気も上下と左右を昼夜に循環している。故に左右は陰陽の道路だ~!」

となります。


(張志聡については、そのうち紹介しますね。)

 

参考サイト「中國哲學書電子化計劃」

 

 


また、以前このブログでも紹介した、中国明代の名医、張介賓(張景岳1563-1640)先生は、その著書、『類経』の中で、

「陽は左で昇る、陰は右で降りる」

と、述べました。

「張景岳(ちょうけいがく)」という人物 参照

小曽戸丈夫『意釈類経』第一冊P64 参照

 

 


いつも言いますが、張景岳先生の考え方は、あらゆる部分で蓮風先生、北辰会の考え方にも大きな影響を与えていると思います。

 

・・・とまあこのように、大自然、大宇宙と、人間(小宇宙)を対比させ、その合同性、相似性を考えていった場合、人体における「左右」というのは、壮大な意味を持ちます。

 


そして具体的、臨床的には肝か、肺か、機能か、形態か、とね。

 

そして、『黄帝内経素問』陰陽応象大論(5)には、さらにこのような記載が出てきます。

「以右治左.以左治右.」

と。

 

 


これは、

「右の病は左で治しましょうね、左の病は右で治しましょうね。」

という意味です。

 

右に悪い反応が出ていたら、左を治療し、左に悪い反応が出ていたら、右で治療しましょうね、ということです。

 


 

・・・んん?

 

これだけ、左右左右とうんちくを語ってきて、結局、最後は反対側で治療するのかよ!!

 

 

・・・そう思いませんか?(笑)

 

続く 

 

 

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「左肝右肺」に関して 5

2014.12.14

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これまでのお話・・・


「左肝右肺」に関して
「左肝右肺」に関して 2 
「左肝右肺」に関して 3 
「左肝右肺」に関して 4   参照

 

では続きいきます。

 

 

◆そもそも「左右」とは何か

 

東洋医学(というか東洋哲学)は、何でも陰陽に分けます。

 

 


上下や、前後や、左右も。

 

上下の場合、上が陽、下が陰です。

(動的な天(上)と、相対的に静的な地(下)、と考えたら分かりやすいですな。)

 


前後の場合、後ろが陽、前が陰です。


(これは人体で考えれば、相対的に堅くて強い背中が陽、脆弱で柔らかい腹部が陰です。)

 


・・・では、左右はどうか。

 

これは、「左が陽、右が陰」なんです。

 


なぜなら、まさに前々回述べた、後天八卦図のように、南面(南を向く)した場合に、左手側(東)から太陽が上り、右手側(西)に太陽が沈むからですな。

 

 

日出ずる方角は東(左手側)です。

 

 


日出ずる左側は相対的に陽が盛ん、日沈む右側は相対的に陰が盛ん。

 

また、日本語でも語源的に「火だり」「水ぎ」なんていう噂も。。。

 

これは、以前ひな祭りという記事や、日本人の自然信仰という記事に少し書きました。

 

またかつて、スタッフブログにも書かれていますね。 初詣 参照

 

 

ご参照いただければ、と思います。

 

 

 


◆「左肝右肺」の考え方が活きる時

 


つまり「左肝右肺の論」というのは、東洋医学の診断学上、陽である左側に肝の臓が、そして、陰である右側に肺の臓が、診断ポイントとして配置されている論なわけです。

 

ではここで、「肝の臓」「肺の臓」を比較して、陰陽で分けると、どっちがどうなんでしょう。

「肝」って何ですか?(その13)
「肺」って何ですか?(その12) 参照

 


これはまあ、肝と肺の「何をもって」陰陽で斬るかによって違ってくるのですが、あまり細かく言うとどんどんややこしくなるので、基本的には五行で考えたら、

木に属す肝が相対的に陽、

金に属す肺が相対的に陰、

と言えるんですね。


(春秋戦国時代の「陰陽主運説」という考え方によれば、五行は土を真ん中に、木火が陽、金水が陰です。根本幸夫『陰陽五行説』参照

 


だから、

木の”曲直”の性質を持つ肝の臓は、肺と比較すると機能的には相対的に陽であり、

金の”従革”の性質をもつ肺の臓は、肝と比較すると機能的には相対的に陰である、

と、一つには考えることが出来る。

(ただし、いつでも必ずそうではないことを付言しておきます。)

 

だから前回お話した、肝の臓は右4葉、左3葉だから、形態的に右に偏って存在しているから、肝の臓が病的な状態になった時、人体の右に影響が出やすい、

 

というのは、東洋医学における解剖学、つまり「形態」を考えた場合にそのようになりやすいのであって、「機能」を考えた場合には、左右が逆になることがある、

 

という風に、「一応は」理解してよいと思います。

 

 

ただ、それだけでは、まだ不十分です。

 

 

続く

 

 

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「左肝右肺」に関して 4

2014.12.13

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これまでのお話・・・

 


「左肝右肺」に関して
「左肝右肺」に関して 2 
「左肝右肺」に関して 3     参照

 

 

◆「左肝右肺」は絶対的か

 


前回、「左肝右肺の論」の根拠と思しき理由を、我々が大事にしている本である『臓腑経絡学』から引用して説明しました。

 

・・・では、どういう病気であっても、

肝の臓の病は必ず腹部や顔面部の左側に異常として現れ、

肺の臓の異常は必ず腹部や顔面部の右側に異常として現れるか、

というと、「違い」ます。

 


「全然」違います。(笑)

(少なくとも僕は、割と強く、そう思っています。)

 

「肝」って何ですか?(その7)でお話したように、肝の臓は葉っぱのような形をしており、右が4葉、左が3葉ですから、右の方が葉の枚数が多いのが分かります。

 

(これは、解剖した時に肝臓が右上腹部に実際にあるということと無関係ではないかもしれません。)

 


・・・ということは、

 

「肝の臓を病んだ場合、左ではなく、むしろ右に影響が出やすいのではないか?なのになんで、臍の左が肝の反応なんだ??」

 

という疑問が頭をもたげてきます。

 


事実、肝の臓の異常は、右に出てくることもよくあります。

 


おいおい、そしたら、「左肝右肺」って、信憑性ねえじゃん、事実と違うじゃん、やっぱ所詮は机上の空論かよ、と思う人も多いことと思います。

 

 

実際にこのように考え、発言している人の話を聞いたこともあります。

 

 

だから東洋医学はいい加減なんだ、と。

 

 


・・・さあ果たして、ホントにそうなのか。

 

つづく。

 

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「左肝右肺」に関して 3

2014.12.12

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これまでのお話・・・

 


「左肝右肺」に関して

「左肝右肺」に関して 2   参照

 

では続きいきます。

 

前回、自然界と人体を同じものだと考え(天人合一思想)、それを拡大解釈していくと、顔面や腹部といった、人体の「ある一部分」も、全体と同じ、

 

と考えることが出来、その考えをさらに深化させていった結果、「左肝右肺」となったのではないか、というお話をしました。

 

これはどういう事か。

 

我々が非常にお世話になっている、教科書的な本である『臓腑経絡学』の中には、このように述べられております。

”『黄帝内経』における左肝右肺の問題は、易の後天八卦を使うと簡単に解ける”

と。

(P252から省略して抜粋)

 

これ、ちょっと難しいようだけど、

 

後天八卦図(樫部作)

 

(↑↑「文王八卦圖」をもとに、清明院スタッフ樫部が作成)

 

 

「易(えき※)」において、上の図を”後天八卦図(こうてんはっけず)”というのですが、これは要は、自然界の

”陰陽の循環”

を示した図なんだそうなのですが、これをみますと、通常の地図とは上下が逆で、向かって左が東、右が西になっています。

(※易・・・古代中国の様々な叡智を包括した、陰陽論の根本思想、哲学ともいえるもので、周代に始まったといわれる。)

はるばる・・・(その12)
『東洋医学の宇宙』      参照

 

この図の中心に立って、南の方角を向いた状態を考えたら、分かりやすいと思います。

(日本列島で言えば、沖縄の方を向いて東京にに立ったら、左手の方に千葉、右手の方に山梨、って感じです。)

 


・・・で、四方の方角を五行で言えば、東は木、西は金に分類されます。

「五行」って何ですか?(その8) 参照

 

てことは、これを五臓で考えれば、東は木だから肝の臓、西は金だから肺の臓に分類されます。

「肝」って何ですか?(その13)
「肺」って何ですか?(その12) 参照

 

で、この後天八卦図の中心に立って、南を向いている人の顔面とか腹部に、この壮大な図を投影すると、左が東だから肝の臓を示し、右が西だから肺の臓を示す、

 

という考え方をしたのが、「左肝右肺」の論である、という訳です。

 


でもこれ、普通に聞いたら、

「おいおい、そんなん、信憑性あんの? 話が荒唐無稽じゃね??」

と思う方がほとんどでしょう。

 

もうチョイ続く。

 

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「左肝右肺」に関して 2

2014.12.11

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前回のお話・・・

 


「左肝右肺」に関して
 参照

 


では続き行きます。

 

左肝右肺の論を考えるときに、東洋医学の基本である「天人合一思想」を思い出す必要があるように思います。

 

「天人合一思想」に関して、鍼灸学校の現行教科書である『新版 東洋医学概論』によると、

 

1.人体の形と機能とが、天地自然(自然環境)と相応していること


2.人と自然は一体であること

 

だそうです。(P13)

 

 

因みに『黄帝内経』には、『霊枢』邪客篇(71)「人與天地相應者也.」とあり、『素問』五蔵生成篇(10)には「五藏之象.可以類推.」ともあります。

 

 

歴史的には、すでに中国、春秋戦国時代の孟子などの諸子、あるいはそれ以前から、この思想の原型がみえるようですが、これは要するに天と人を対立するものとせず、

 

本来それは一体のものである、とする思想だそうです。

 

なお、朱子学でいう「天理人欲」という命題も、ひとつの天人合一論でしょうし、南宋の道教経典の一つであり、日本でも盛んに翻訳された『太上感応篇』の内容(司過神など)も、

 

天人合一思想の現れと言えると思います。

 

 


・・・まあ、儒教も道教も、この天人合一思想の影響を、少なからず受けている、ということなんですね。

「荘子」という人物 
カテゴリ 「道教・道家思想」

カテゴリ 「儒教・儒家思想」
「朱子学」 を含む記事      
参照

 

この壮大な考え方に則って、人体を医学的、生理学的にみていくと、例えば前回お話したような「顔面」とか、「腹部」なんていう、人体における”一部分”も、

 

全体(大宇宙)の縮図である、という発想が起こり、全宇宙、大宇宙と同じ、同一性、相似性、大いにあり、という考え方に繋がってきます。

そうして、その仮説を、現実の臨床と重ね合わせながら、突き詰めて考えていった結果、腹部や顔面における異常所見が、

 

「左は肝、右は肺」

 

と診ることが出来る、と結論付けられるようになっていったのでしょう。

 

続く

 

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