東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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本質中の本質

2017.08.10

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症状が起こっている本質を治療することを「本治」という。

 

 

症状(現象)を治療することを「標治」という。

 

「標本」を含む記事 参照

 

 

東洋医学では、現象の本質を「気の歪み」に求める。

 

 

そしてその歪みが起こった原因を、「気一元論」「大極陰陽論」という世界観で分析していく。

 

 

・・・で、我々鍼灸師は、最終的に「経穴」「鍼灸」をして、「気を動かすことで」治療する。

 

 

よく、何もわかっていない人が、東洋医学を揶揄して、

 

「東洋医学は本治本治というが、例えば1日中PCやっている人の肩こりの本治はPCを止めさせることだ!だから肩こりの人の肩の筋肉に鍼しないで、

 

足に一本鍼して”本治をしました”なんてのはナンセンスだ!」

 

と言う。

 

 

この人は全く分かっていない。

 

 

この論理では、1日中PCをやっているけど、肩こりを感じない人をどう説明するのか。

 

 

1日中PCをやっても、東洋医学の世界観、生体観で病態把握、分析し、治療し、結果的に肩がこらない、こりにくい体にしていくのが本治だと言っているのだ。

 

 

まあとはいえ、その患者さんの日常生活上の習慣が主訴発生のトリガーになっていることは少なくない。

 

 

極端に言えば、

 

「主訴を治したいなら、今の生活、辞めちゃえば?」

 

というアドバイスも、ありえなくはない。

 

 

さてそこで、その患者さんの人生についてまで考えることも重要。

 

 

何で辞めないのか。

 

 

なぜその環境、状況を選ぶに至ったのか。

 

 

そういう観点、視点を持って、よくよく話を聞くと、思いがけないところにデッドロックがかかっていること少なくない。

 

 

そこで、冷静、的確にアドバイスして、結果的にそこがうまく動くと、主訴が取れ、人生が変わったりする。

 

 

あれだけ取れなかった「気の歪み」が、あっけなく取れたりする。

 

 

これも本治。

 

 

むしろこっちこそが本治か。

 

 

でもこの場合の「本」は、病気でなしに、人間を真剣に診てないと、なかなか見えない。

 

 

患者さんも、術者も、「見ないふり」していることもある。

 

 

 

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皮膚の消毒は必要か?

2017.08.02

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今日、相当久々に、初診の患者さんから聞かれました。

 

「鍼した痕は、絆創膏を貼らなくていいんですか?」

 

「感染しませんか?」

 

というご質問。

 

 

あまりにも久しぶりに聞かれたので、ポワーッと、懐かしい気持ちになりました。(*‘∀‘)

 

 

思えば、僕が鍼灸学校に入った頃(15年以上前)は、消毒に関して非常に口うるさく言われていた時代でした。

 

 

「足の三里」という、膝の下にある有名な経穴に鍼をするために、下腿の前面をほぼ全て、膝から足首まで広範囲に消毒し、さらに衛生手袋か指サックをはめて刺鍼するという、

 

今にして思えば笑えることを本気でやっていました。

 

(苦笑・・・場合によっては、手術に使うような、刺鍼部位だけ見えるような、くり抜いたビニールみたいなのを被せて刺鍼する、なんていう考え方もあったような気がします。( ゚Д゚))

 

「足三里」を含む記事 参照

 

 

昭和22年に制定(最終改訂は平成26年)された、

 

「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」

 

の第6条に、

 

「はり師は、はりを施そうとするときは、はり、手指及び施術の局部を消毒しなければならない。」

 

と、規定されています。

 

 

ですので、鍼をする際には、患部と手指は、必ず消毒しなくてはなりません。

 

 

因みに刺入する鍼については、清明院ではディスポーザブル(滅菌済み使い捨て)の鍼しか使いません。

 

(鍼灸院によっては、鍼をオートクレーブで消毒して使いまわしているところもあると思いますが、どんどん減ってきているでしょうね。。。)

 

 

糖尿病などの基礎疾患のある患者さんや、清明院ではどれもやりませんが、深いところにある筋肉に対する刺鍼や、関節腔内への刺鍼、あるいは皮下に鍼を入れたままにする埋没鍼などで、

 

実際に感染症が起こった事例も、報告があるようです。

 

 

 

 

ところがこの、注射や鍼治療をする前の皮膚表面の消毒ですが、実は全く意味がない、という意見もあるようです。

 

参考サイト①

参考サイト②  参照

 

 

皮膚に存在する常在菌というのは、体内で繁殖することはできず、仮に注射や鍼灸治療用の鍼で常在菌が体内に入ったとしても、それが原因で感染症が起こることなどない、

 

という説があるようです。

 

(笑・・・これがホントなら、法律や、俺らの学生時代のあれはいったい何だったんだ。。。( ゚Д゚))

 

 

例えば、感染症の患者に使った注射針を回し打ちするとか、戦場や野戦病院なんかで、汚染物質まみれの状態のところに注射をするとか、

 

糖尿病や慢性消耗性疾患等で抵抗力の著しく低下した患者さんに鍼をするとか、そういう状況でもなければ、泥や埃などの、目立つ汚れだけ水で洗浄しとけば、

 

そこに「きちんと滅菌された道具」で刺鍼する分には、何の問題もないようです。

 

 

現在、鍼灸治療に使う鍼というのは、鍼に薬液や血液の通る内腔がある注射鍼よりも全然細いものを使いますし、鍼尖の鋭さの仕上げ方も素晴らしく、

 

全てエチレンオキサイドガス滅菌済みで、一本一本個別包装されたものを、刺鍼する直前に袋から出して、刺鍼する鍼尖には一切触れずに刺鍼しますので、

 

もし皮膚を酒精綿で消毒しなかったとしても、衛生的には全く問題ないのではないかと思います。

 

(しかも北辰会方式では、刺鍼は一本のみ、深さもかなり浅いです。(笑))

 

 

・・・まあ、法律で規制されていることであるし、冒頭のような疑問を感じて、どうしても不安になる患者さんがいる以上、東洋医学の言う「治神」という観点からも、

 

たとえセレモニー的で、儀式的ではあっても、僕は今後も酒精綿で「消毒」してからの「刺鍼」をし続けるのだろうけども、本当は、酒精綿で経穴を拭う行為自体で、

 

経穴の状態を微妙に変えてしまう側面があるので、徹頭徹尾東洋医学の清明院としては、なるべくなら使いたくないというのが本音なんですけどね。(苦笑)

 

 

あんな、

 

「冷たいアルコール」

 

などという、陽なような陰なような、よく分からんもんで、いたずらに刺鍼部位の気を乱されたくないね、俺は。(゜レ゜)

 

 

だから、僕はほぼ毎日、自分で自分に鍼をしていますが、自分で自分に鍼するときは、消毒なんてしたことないっす☆

 

 

約20年やってますけど、それで感染症になんて、なったことないっす。(*‘∀‘)

 

 

 

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東洋医学は宗教か。 5

2016.08.23

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これまでのお話

 

東洋医学は宗教か。

東洋医学は宗教か。 2 

東洋医学は宗教か。 3

東洋医学は宗教か。 4      参照

 

 

さて、どんどんいきましょう。

 

 

◆「気」や「経絡」を実感することで、信じて運用することが出来るようになる。

 

 

最初は、「気」とか「経絡」なんてものは、古代中国の観念の産物であり、実に古臭く、全く信用するに値しない、

 

と思っていた私ですが、鍼灸臨床をやっていくうちに、その存在の確かさに気付いていきます。

 

 

なぜそうなったのかと言えば、臨床現場で、現場の肌感覚として、それらの存在を”実感出来た”からです。

 

 

この「気」だの「経絡」だのというのは、学校で机の上で、字面で教わっていても、なかなか捕まえられません。

 

 

面白いけど、面白いだけです。(苦笑)

 

 

”目に見えない”、”数値化も出来ない”以上、実際にその考え方で患者さんを只管やっていくことで、その存在が感覚的に、

 

実感、感得出来てくるものなんだと思います。

 

 

僕らが医学理論の基本に置く「臓腑経絡」なんていうものは、そもそも、必死になって患者さんを治そうとする立場の古代中国の医師たちが、

 

無数の思考実験と人体実験の末に、ようやく辿りついて考え出された概念、想念なのです。

 

 

真摯にやっていれば、それが徐々に分かってくる筈です。

 

 

鍼灸臨床をやる以上、患者さんの実に様々な症状、変化に、柔軟に対応しなければなりません。

 

 

整形外科的な症状はもちろん、内科、婦人科、小児科、皮膚科、精神科、泌尿器科、循環器科、アレルギーなどなど。

 

 

1日何十人も見るとなればなおさらです。

 

 

治療に鍼灸を使いつつ、その千変万化の臨床現場における、臨機応変性を担保できるものとして、東洋医学理論がどうしても必要でした。

 

(僕の場合は)

 

 

そして、東洋医学理論に立脚しつつ、拙いながらも鍼灸臨床を粘り強くやっていくことで、徐々に「気」や「経絡」の存在を実感することが出来てきました。

 

 

ですので、僕からすると、普通に一生懸命鍼灸鍼灸で臨床をやっていったら、普通に東洋医学的な臨床になるのではないかなあ、

 

という思いがあります。

 

 

・・・でも、そうなっていない現状がある。

 

 

現代日本で鍼灸治療といったら、大半は整形外科の電気治療やマッサージの補助としての、物理療法の一環としての鍼灸治療です。

 

 

あまり言いたくはないが、残念ながら、大概の鍼灸師さんは、そういう努力(自分が鍼灸した後に患者さんの体に起こる全現象の理論的検証)をしていないんじゃないでしょうか。

 

 

たとえ患者さんが悪化したり、思いがけない反応が起こったとしても

 

「ドーゼオーバー」

 

とか、

 

「気候の問題」

 

とか、

 

「鍼灸とは関係ない」

 

とかいう、よく考えると、あまり意味の分からない言葉で、お茶を濁して、済ませてしまっているんじゃないでしょうか。

 

 

また、鍼灸学校の中にも、東洋医学の臨床をしっかりと見せれて、しかもしっかりと教えられる先生は、そうそういないのが実状ではないでしょうか。

 

 

清明院の患者さんが聞いたら、意外に思われるかもしれませんが、徹頭徹尾、東洋医学的な診断治療を実践している鍼灸院なんてのは、

 

鍼灸院の総数から見たら、かなり少ないのが実態なのです。

 

(パーセンテージは、1%以下とかなんじゃないでしょうか。。。知らんけど。)

 

 

多くの鍼灸院や鍼灸整骨院、病院では、問題の起こっている筋肉や神経を、単に刺激することを意識して、ある種の整形外科的な「物理療法」「刺激療法」の一環としての鍼灸が行われていますし、

 

東洋医学っぽい雰囲気でやっているような鍼灸院でも、どこかの誰かが唱えたメソッドを、ルーチンワークの様に、受け売り的にただこなしているようなケースがほとんどです。

 

(僕が見てきた範囲では)

 

 

そこに、「東洋医学の医者」としての創意工夫や苦悩はあまりみられません。

 

 

そうなると、かなり少数派のマイノリティー鍼灸院が、一般人や、多くの鍼灸師にはよく分からない、謎の理論を駆使して、あらゆる疾患に対して、

 

あっと驚くような治療効果を上げている、という状況になり、そうなると、業界内からも、西洋医学しか知らないマジョリティーからも、

 

気味悪がられるようになり、

 

「あいつらは宗教だー」

 

と、ステレオタイプ的に言われてしまう、という状況が醸成されてしまっている面があると思います。

 

 

これは、医療業界全体の社会制度の問題や、鍼灸学校教育の問題など、明治以降の日本社会における、非常に色々な問題が複合的に重なって、

 

現在の、こういう状況が醸成されているのだと思います。

 

 

だから、根は深いです。

 

 

・・・でもまあ、僕ら臨床家は

 

「そんなの関係ねえ!」

 

とか思って、日々やってますけどね☆

 

 

次回、では「宗教」とは本来何なのか、人が必死になって、真面目にやっている仕事に対して、

 

「あいつらは宗教だー」

 

とか、簡単に悪意を込めて言えてしまう人の、恐らく思っている”宗教”とはいかなるものなのか、というところを考えてみたいと思います。

 

 

続く

 

 

 

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東洋医学は宗教か。 3

2016.08.21

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これまでのお話

 

東洋医学は宗教か。

東洋医学は宗教か。 2       参照

 

 

さて、続きいきましょう。

 

 

◆東洋医学の論理に基づいて鍼しないと、自信が持てなかった。

 

 

僕は19歳で鍼を持ってからは、臨床能力では誰にも負けたくない、最強鍼灸師を目指そう、とか思って、ひたすら毎日、

 

治療に明け暮れました。(笑)

 

 

鍼灸学生の頃から、クラスメイトも友人も、友人の友人も、そのまた友人も、全て患者(というよりも献体)にしてしまいました。

 

(もちろんお金はとらずに、です。)

 

 

ほぼ毎日、夜中の二時三時まで、時には朝まで徹夜で、あーでもないこーでもないと考え、悩み苦しみながら、鍼をしました。

 

 

免許を取ってからは、少しだけお金ももらうようにし、結局その生活を、開業前まで、10年くらい続けました。

 

 

もちろん最初は、治らない患者とか、鍼したらかえって壊れる患者ばっかりでした。

 

 

それでも強引に頼み込んで、治療(献体)に来てもらいました。(笑)

 

 

誰よりも鍼が上手くなりたかったし、何故治らないのか、全症例、完璧に論理的に検証したかったからです。

 

 

そうでないと、何を反省したらいいのかすらわからないので、上達しない、と思ったからです。

 

 

その経験の中で、徐々に分かってきました。

 

 

鍼灸治療は、東洋医学の考え方でもって実践し、その結果を慎重に、緻密に検証しないと、何故その配穴や手法でおかしくなったのか、

 

理由が分からない、鍼灸した後に患者に起こる全現象を、術者が的確に理解することが出来ない、ということが分かってきました。

 

 

西洋医学的な考え方でも、治療らしきことは出来るのですが、術後に起こる、実に様々な患者の変化に対して、理論的に検証することが、

 

非常にしにくかったです。

 

(僕の場合は)

 

 

患者に起こった一つ一つの現象そのものを、西洋医学的にクリアに説明することは出来ても、それと、自分がやった鍼灸治療の具体的な関連はどうか、となると、

 

やれ自律神経がどうのとか、やれドーゼオーバーでどうのとか、全くザックリとした仮説しかなく、それでは具体的な反省が出来ないために、

 

同じようなミスを何度も繰り返しました。

 

 

確かに患者さんは、病態にしろ治療効果にしろ、一般社会にも広く普及している、西洋医学の言葉で説明すると、納得しやすいとは思います。

 

 

筋肉や骨や神経など、一般人でもある程度知っているような言葉で説明した方が、分かりやすい面はもちろんあります。

 

 

でも、それで効果が出なかったり、やっている本人自身が、自分が鍼灸をした後に起こる諸現象に対して、理解できていなかったら、意味ないし危ないです。

 

 

そこで、東洋医学独特の考え方である気や陰陽五行、臓腑経絡経穴学説に則って鍼灸治療を進めていくと、実に安定的に効果を上げながら経過を追うことができ、

 

ある症例に対して、何をすることがリスキーで、何をすることが安全策なのか、徐々に分かってきました。

 

 

プロとして医療をやる場合、起こった結果に対して、的確に医学的に理解し、対処することが出来る、これが非常に重要だと思います。

 

 

それが出来れば、もし失敗しても、具体的に何を反省し、次回に活かすべきかも、明確になります。

 

 

また、プロの鍼灸師としては、「鍼灸」という道具のもつポテンシャルを、最大限活かし切る努力をすることが重要だと思います。

 

 

こういう経験を繰り返す中で、

 

「あー、やっぱり鍼灸という治療道具は、東洋医学の考え方、古代中国の自然哲学の中から生まれた治療法であり、

 

それに則って使うべき治療道具なんだナー。」

 

ということが、毎日診る患者さん達の体に起こる現実、現象を通じて、分かってきたのです。

 

(僕の場合は)

 

 

また、患者さんへの説明だって、東洋医学の考え方や用語を、工夫して分かりやすい、かみ砕いた言葉に置き換えれば、素人にも分かりやすく、

 

上手に説明することは出来る、ということも分かってきました。

 

(ただ、これをサラッとやるには、それなりの勉強量や知能は必要ですが。)

 

 

まあ、どんなに理路整然と説明できたとしても、そこに効果、実効性が無ければ、価値は薄い。

 

 

また、どんなに効果、実効性があったとしても、それの説明がイマイチでは、価値は薄い。

 

 

ですので、プロの鍼灸師として、その両面を満たしつつ、鍼灸という道具の効果を自分なりに最大化し、しかも自分自身が健全に安定した状態で、

 

鍼灸臨床家生活を進めることが出来る方法論、学問として、かつて

 

「こんなもん無くなっちまえばいい」

 

とすら思っていた東洋医学を、消去法的に選択していった、というワケです。

 

 

 

続く

 

 

 

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「邪気」と「邪鬼」 2

2016.05.01

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 前回のお話

 

「邪気」と「邪鬼」  参照

 

 

では続きいきましょう。

 

 

前回、「邪鬼=オニ」の話をしました。

 

 

「邪鬼」を祓うのは巫祝(ふしゅく:呪い医療)です。

 

 

巫医(ふい)の仕事です。

 

 

現代では、こないだ事件になった、パプアニューギニアのウィッチドクターが有名ですが(苦笑)、『黄帝内経』の時代、また、それ以降の時代でも、

 

巫医は少数派ながら、一定数いたようです。

 

 

◆『黄帝内経 霊枢 官能萹(73)』における、鍼灸師への向き不向き

 

 

霊枢に、官能萹という篇があります。

 

 

この篇では、医療をやるにあたっての、向き不向き(適性)が説かれています。

 

 

そして、適性がある者に教えないのは損失であり、適性がない者に教えるのは害悪だと説いています。

 

 

この言葉は重い。

 

 

ともかく、適性は以下の通り。

 

 

1.鍼灸師に向いてる人

 

  ☞言葉が穏やかでゆったりとし、器用で慎重、心が繊細な者。

 

2.教員、理論家に向いている者

 

  ☞流暢にものを言い、頭の回転の速い者

 

3.整体療法家や呼吸療法家に向いてる者

 

  ☞関節が緩やかで筋肉が柔らかくて心が穏やかな者

 

4.呪い師や精神療法家に向いている者

 

  ☞嫉妬深く、言葉に毒があり、他人を軽視する者

 

5.按摩師に向いている者

 

  ☞怪しい手(毒手)を持っており、よくモノを傷つける者。

 

(怪しい手(毒手)を持っているかどうかは、器の下にカメを入れた状態にし、器の上からなでて、50日後にカメが死んだら毒手を持っている、と考える。)

 

 

・・・さて、あなたの適性はどれでしょうか?(笑)

 

 

まあどれも、分かる気がしますね。

 

 

これをみますと、『黄帝内経』が成立した頃も、まだ祝由(呪い医療)が行われていたことが分かりますね。

 

 

「邪鬼」を制する呪い師は、”言葉に毒がある”そうですよ。

 

 

ふふ。

 

 

いずれにせよ、治りゃいいのだよ。(笑)

 

 

勝てば官軍、負ければ賊軍。

 

 

それが臨床。

 

 

 

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補瀉 9

2016.02.16

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これまでのお話・・・

 

補瀉 1

補瀉 2

補瀉 3

補瀉 4

補瀉 5

補瀉 6

補瀉 7

補瀉 8 参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

 

このシリーズは、患者さんからすると意味不明な内容かもしれませんが、我々東洋医学では、このようなことを考えながら、一本一本鍼をしているのです。

 

 

西洋医学的な考え方に基づいて、やれ局所の血行を良くしようとか、筋肉の緊張を緩めようとか、そういう目的でやっていないのです。

 

 

それをおぼろげにでも、知っていただくという意味で、不利益でないと思います。

 

(まあ、ほとんどの人はついて来れないでしょうが、まあいいです。書きたいから書いてます。気分です。)

 

 

ここまで、『黄帝内経』における”補法”について語ってきました。

 

 

今日からは”補法”と対をなす”瀉法”についてまとめていきます。

 

 

◆『黄帝内経霊枢』終始萹(9)における瀉法

 

 

ここには、十二経の病証と治療法が書かれているのですが、その中に、

 

「陽受気于四末、陰受気于五蔵。故写者迎之、補者随之。」

 

とあります。

 

 

 

訳しますと、

 

「陽は外にあり、気を四肢に受け、陰は内にあり、気を五臓に受ける。ゆえに瀉法をする時は、これを迎え、補法をする時はこれに随う

 

となります。

 

 

また、

 

「脈実者、深刺之、以泄其気。」

 

とか、

 

「補須、一方実、深取之、稀按其痏、以極出其邪気。」

 

と書いてありまして、

 

 

 

これも訳しますと、

 

「実のものは深く刺せ!」

 

ということを言っております。

 

 

これまでにも出てきた、

 

「迎随の補瀉」と、「深浅の補瀉」

 

ですね。

 

 

 瀉法する時は邪気を迎え撃ち、邪気がある所へ深く鍼をもっていく。

 

 

 実に緊張感のある治療術です。

 

 

 

続く

 

 

 

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代々木公園の蚊でデング熱!?

2014.08.28

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最近、海外旅行歴のない日本国民が、70年ぶりに「デング熱」という病気に感染したというニュースが、国民に不安と衝撃を与えています。

(さらに…)

直後効果がある病とない病

2014.07.13

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学生さんからチョコチョコ出る質問。

「先生はそれだけ長い時間問診して、体表観察して、証と病因病理を立てて、結果的に初診で全然効果がなかったときって、どうしているんですか?」

とか、

「こないだモデル患者さんを治療したら、全然患部の痛みに変化がなかったんですが、治療に失敗したんでしょうか。」

とか。

これらの質問は、治療後に患者さんが実感できる治療効果が出ないといけない、それが無かったらイコール鍼が効いていない、という前提に基づいた質問ですね。

確かに、初診時の直後効果は、患者さんに希望を持ってもらう上で重要です。

しかし、初診時に患者さんが希望を持つ要素というのは、患部の状態、症状の変化、それだけではない。

清明院には、癌の患者さん、糖尿病の患者さん、リウマチの患者さん、アトピーの患者さんなどなど、多くの重傷、難病、奇病の患者さんが、

”その病気そのものを東洋医学的に診立てて、鍼灸で治してほしい”

と訴えて、治療に見えます。

こういったすべての病気に対して、直後で明確な変化を出すのは困難です。

直後効果、直後効果と拘る前に、まずはその病気がどういう病気なのか、自分なりに診断する習慣をつけることが先です。

その場で痛みや症状が取れてないと嘘だ、という考え方に基づくと、そのうちとんでもない失敗をします。

かつての僕のように。(苦笑)

例えば、治療直後は良かったけど、翌日劇的に悪化したとか言われたりね。

 

(それも、悪化の原因がよく分からないとかね)

その場で症状を変化させるということは、患者さんに希望を感じてもらう上では重要ですので、

「そういう病気の場合は」

そうしてあげた方がいいのですが、当然ながら世の中、そういう病気ばかりではないのです。

 

 

例えば癌の患者さんの治療直後に、

 

「どう?癌、小さくなった??」

 

とか、あり得ないでしょ??


その病の陰陽の傾き(表裏寒熱虚実)はどうか、五臓六腑で言うとどれが中心に病んでいるか、邪気の種類はどうか、

正気と邪気のバランスは、などなど、ということが明らかにできて、初めて東洋医学的な治療が成立します。

そういう事を考えずに、どこかに鍼すると、どこかの筋肉がゆるむとか、どこかに鍼すると、どこかの痛みが取れるとか、

そういう反応で無邪気に遊んでいるうちは、その程度の

”治療らしきこと(というか鍼に対する人体の反応遊び)”

しかできません。


残念ながら。

それを治療だなんて、思ってたらヤバいです。

 

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希望

2013.11.15

清明院では現在、スタッフを急募しております!!

ぜひ我々とともに、切磋琢磨しましょう!!詳細はこちら。

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本日初診の、なんと90歳の女性。

(さらに…)

「腰下肢痛」についてしゃべってきました!!

2013.07.03

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今日も学校で、「腰下肢痛」について喋ってきました!!

教科書の内容としては、要は腰痛坐骨神経痛のことなんですが、腰と足の痛み、しびれというのは、まあ鍼灸師になったら、必ず診る症状じゃないでしょうか。

というわけで、気合い入れて講義してきました。

西洋医学では原因として、腰の部分の骨や筋肉、神経の異常を主に考えます。

他にも骨盤の中に存在する内臓の異常から、腰痛になることもあります。

また、単に腰痛、坐骨神経痛といっても、まれに悪性腫瘍なんかが隠れてる場合があるから注意が必要です。

僕もこれまでに何例か、経験しています。

東洋医学では、腰という場所は、「腎の臓」が深くかかわる、とされます。

「腎」って何ですか?(その11) 参照

しかし、臨床的には、腎だけでなく、ほかの臓腑や、あらゆる邪気が複雑に絡み合って発症します。

今日はその辺をアツく講義させていただきましたが、どの程度伝わったかなー・・・??

僕は学生さんには、この講義を通じて、東洋医学というものの圧倒的な「深遠さ」に気付いてもらいたい、と思っています。

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