東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「偏差」の恐ろしさ

2011.03.09

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東洋医学の内容というのは、鍼灸、漢方だけでなく、気功、養生などなど、実は非常に多岐にわたるワケですが、その中の「気功」の言葉で

 

「偏差(へんさ)」という言葉があります。

・・・これ、一体なんでしょうか?聞き慣れませんよね?

以前、このブログにおいて、「メンケン」という言葉を紹介しました。

「メンケン」って何ですか? 参照

鍼灸におけるこの「メンケン」という言葉と、気功における「偏差」という言葉が、たまに混同されがちなんですが、これは違います。

「偏差」というのは、間違った方法で気功やヨガの呼吸法や瞑想法などをやった場合に現れる、”明らかな悪化”を指して言うようです。

日本では、気功やヨガ教室を開くのに、特に国家資格も必要なく、中にはブームに乗せただけの生半可な知識、経験で教室を開いている指導者も少なくないと聞きます。


運悪く、こうした指導者についてしまい、間違ったやり方をすると、「偏差」というものに見舞われることがありえるでしょう。

具体的によく出る症状としては、

1.めまい、頭痛、頭が重い。

2.胸苦しさ、胸痛、両脇痛。

3.腹部膨満、腹筋のだるさ。

4.動悸。

5.腰、背中が凝っていて痛む。

6.体の冷え。

7.丹田(下腹部)の過熱、身体の過熱、口が渇く。

8.身体が揺れ動く。

9.疲労感。

10.不眠。

・・・などなど、実に多岐に渡るようです。

 


また、上記に挙げたようなものは気功教室などで、簡単な呼吸法などを誤ったやり方でやった場合に起こりやすい症状ですが、もっと本格的な、

 

修行や武術のレベルになってくると、上記のような症状では済まず、狂乱状態や精神錯乱など、極めて重篤な症状となる可能性もあるようです。

 

 

専門的には「四大偏差」といって、

 

1.内気不止(ないきやまらず):体内を流動する気が停滞し、改善しない状態

2.外動不已(がいどうやまず):体が揺れ動いて止まらない

3.走火(そうか):意念。呼吸法が強すぎて陽亢症状が出る

4.入魔(にゅうま):稀であるが、気功中に幻覚が見えて、酷いと精神錯乱や狂躁状態。

 

この4つには十二分に注意しなければならない、とされています。

 


この「偏差」の軽いもので、僕が個人的に問題だと思うのが、”道具”に頼っている場合です。

 

 

例えばブレスレットや指輪、ネックレスなどで、やれ「気の巡りをよくする」とか、「チャクラを開発」だのとうたった商品が後を絶たず、

患者さんがそれを信じて、常に身につけることによって軽い「偏差」的な異常が生じている場合があります。

 


この場合、鍼をすることによって症状が改善しても、そのアクセサリーを付けたら再び症状が戻ってしまうことがあります。

 

 

これはなにも、気の巡りをよくするという意味ではなく、ファッションで身に付けている物でもあり得ます。

 


気を付けなければなりません。

 

・・・まだ書きたいことはあるんですが、長ったらしくなっちゃったんで、今日はこの辺で。(苦笑)

 

【参考文献】

 

馬済人 著 『中国気功学』 東洋学術出版社

 

 

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「肝」って何ですか?(その4)

2010.05.01

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これまでのお話・・・

「肝(かん)」って何ですか?(その1)
「肝」って何ですか?(その2)
「肝」って何ですか?(その3)

 

肝という臓は、人間の体の中でも大変重要な臓でして、上記以外にもまだまだ働きはあります。

 

話があまりマニアックになっていきますと、患者さん向きでなくなるんで、このブログでは極力専門用語は使わずに、分かりやすく解説していこうかな、と思ってます。

(まあ専門家の先生方には、そういうサイトや本がいくらでもあるしね。)

・・・てな訳で今日も、肝の働き、いけるとこまで。

 

◆肝は「目」に関わる

 


・・・これも結局は、「髪」や「爪」と同様に、「目」を養っているのは「血」だから、というオチであります。


肝にためこまれている「血」が十分であり、ちゃんと目に十二分にいきわたっていれば、少々長い時間本を読んでも、PC作業をしても、

 

目が疲れたりかすんだりすることはありません。

 

清明院でも、よく患者さんの下まぶたを下げて(いわゆる”アッカンベー”ね。)、白くなってないかどうか診させていただくことがありますが、


下まぶたをめくった時の色が白くなっていれば、


「あ、肝がためてる血が少ないか、ためてる量はあっても、何らかの原因で、目にきちんと行きわたってないな。」


と考えます。

 

他にも、白内障や緑内障、疲労性の網膜剥離などなど、眼科のあらゆる病気は、東洋医学的には「肝」の異常を中心として起こっていることが少なくありません。

 

◆肝は「魂(こん)」を蔵(ぞう)す


・・・コレ、響きからして、いかにも東洋医学~!って感じでしょ?(笑)

「一体なんなのだ、この「魂(こん)」というものは!?ワケのわからんことを言うな!!」

と、僕も学生の頃は思っていました。

これについて細かく細かく解説をしていくと、どんどん肝の話から逸れていきますし、僕自身が年末に北辰会で講義する内容のネタばらしにもなっていきそうですんで、ここではごく簡単に述べてみます。

ここで言う「魂(こん)」ていうのも、人体を循環する「気」の一種だと考えて下さい。

つまり、生きている人間の体の中を絶えず流動し、心身のバランス調節をしてくれているものの一つです。

(「気」については、「気」ってなんですか? 参照)

 

で、「魂」は、日中活動時は「気」のように全身を行ったり来たりしていますが、睡眠時は、「肝の臓」に戻る、という運動パターンを持っています。

「肝の臓」が家だとすると、その家の主人が「魂」といった感じです。

 


このように肝の臓は、「血」であったり「魂」であったり、色々な重要なものを”蓄える”という性質があるということが、肝の臓を理解する上ではひとつ、重要です。

 


 

・・・で、「魂(こん)」「気」との違いはどうかというと、「気」が全身を巡って、”全ての生命活動を”調整するものであるのに対して、「魂」は、

「人間の無意識の精神活動を調節しているもの」

と言われます。

(笑・・・分かりにくいねえ~)

 

要はこの、「無意識の精神活動」っていうものは、僕らが普段、普通に「意識的に」やっていることの”支え”であり”裏”となっているものです。

 

例えば、「何かしよう」と思う時も、それを実際に行動に移す時も、その背後には、必ずこの「魂」の働きがある、ということです。

 


だから、目立ちませんが、大変重要なものです。

 

この「魂」の働きの具体例としてよく言われるのは、「夢」や意識昏迷状態での「うわごと」などです。

「夢」についてはかつて「夢」はなぜ見る?にちょこっと書いてますのでご参考あれ。)

 

 

本来は、「寝てる」という状態であれば、人間は当然無意識状態ですから、「魂」の出番はありません。

 

だから寝ている時は「魂」「肝」におとなしく帰っています。

(その時「魂は肝に蔵されている」わけね。)

 


しかし肝が病になると、この「魂」が不安定になって、(肝の臓に蔵することが出来なくなって)寝ている間も肝に帰らなくなります。

 

(非行少年のように、夜遊びし出すわけです)

 

そうすると、「夢」をよく見て、しかもそれをいつまでも覚えている、という病的な現象が起こります。

 

これを東洋医学では「多夢(たむ)」と呼び、うわごとや、酷いものでは夢遊病なども含めて、「魂(こん)」が夜の間に肝の外で遊んだ、

 

という意味で、「遊魂(ゆうこん)現象」なんて言います。(笑)

 

・・・面白いですねえ。(笑)

 

東洋医学にはこういう、西洋医学にはない、独特の病のとらえ方がたーくさんあります。

 

どれもとても面白いです。

 

しかしもちろん、この医学は面白いだけで終わりません。

 

例えば上記のような、毎晩毎晩、悪夢にうなされて睡眠不足で困っている、という患者さんがいた時に、これを”遊魂現象”と考え、「肝」に着眼して診察し、

実際に肝の病が中心だ、と確定したとします。

 


そして、それを上手に治療していくことによって、夢を見なくなり、ぐっすり眠れるようになる、

 

そして、それに伴って、肝の臓に関する病的なツボの反応やその他の症状が体から消えていく、という現象が「現実に」起こるんです。

 

そういう症例を実際に経験するたび、東洋医学はこのような一見不可思議な説明から、確かに一部「真実」を捕まえている、と再確認出来る訳であります。

 

 


次回につづく。

 

 

 

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鍼灸には保険が効かない!?(その1)

2010.03.21

この間、いいコメントをいただきましたので、「鍼灸と保険」というテーマで何回かに分けて書こうかな、と思います。

(そういうことにも目を向けていかないとね。現実は大事です。目をそらさずに行きましょう!)

 


まず初めに、今現在、日本は言うまでもなく「国民皆保険制度」というものを採用しています。

 

これのお蔭で、前年の収入に応じて1~3割の負担金で国民誰でもが低額で医療を受けることが出来ます。

(皆さん持ってますよね?保険証。)

 


仮に収入がなくても、生活保護制度、後期高齢者医療制度等によって、その権利は守られますし、病気によっては全額公費負担になる制度もあります。

 

とても弱者思いの、いい制度ですよね。

 


しかしこれは、「保険医療機関」での治療がメイン(というかほとんど)です。

 


つまり、国家資格である「医師免許」「歯科医師免許」を持った医師が営業している、病院、医院、診療所、クリニック、歯科医院での治療に関して、

 

保険者(国や保険組合等)から治療費の大部分(7~9割)が支払われるわけです。

 


あと一部、柔道整復師がやっている接骨院、整骨院でも保険が使える、という認識があります。

 


しかしこれは正確に言うと、接骨院の場合は原則として、一度窓口で治療費を全額(10割分全額)払って、
自分の保険負担割合との差額分を、

 

患者さん自身が、自分で保険者(例えば国保なら区役所)に請求する、という方法をとるものです。


(あくまで「原則」としてね。)

 


しかしそれだと、一時的にでも患者さんの負担が大きくなりますので、多くの(というかほとんど全ての)接骨院では、「受領委任」といって、

 

保険者への差額の請求手続きを接骨院が代行するため、窓口では一部負担金のみをいただく、という形をとっています。

 


接骨院に治療に行ったことのある方は、申請書にサインを求められた経験があると思います。

 


これは、上記の手続きを接骨院さんの方に任せますよ、という確認なんです。

 


これにより、接骨院、整骨院では保険が使える、という認識が国民に浸透しています。

 


もう一つ言うと、接骨院で保険が使えるのは「骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷の5つの外傷(ケガ)のみ」についてです。

 


最近、慢性の腰痛や肩こり、単なる疲労感などに対する不正な保険請求が問題になっていますね・・・。

 

(逮捕者も全国に出ています)

 


ではいよいよ、鍼灸の場合はどうかというと、一応、保険は使えます。

 


・・・が、なぜかほとんど全然、使っている鍼灸院ありませんよね?

 


これはなぜかというと、保険を使って鍼灸を受けるためには、「医師による同意書」というものが必要になることと、保険制度においては、

 

一回の治療費がかなり低く設定されていること(総額でなんと1500円程度!)が理由になると思います。

 

しかも、保険適用になる症状として、「腰痛、頸肩腕症候群、リウマチ、五十肩、神経痛、頸椎捻挫後遺症」という、たった6つの疾病に限定(!)されており、

 

なおかつ、ひと月の治療回数、治療開始から終了の期間に至るまで、全て同意書を書いた医師が決定します。

 


さらには、上記6つの疾病を、病院と鍼灸院で併療(同時に治療)することは認められていません。

 


これまでに、患者さんがそのことを知らずに、同じ疾病で医院と鍼灸院に同時にかかってしまって、鍼灸院に「だけ」保険者から治療費が支払われなかった、

 

なんていう恐ろしい事例もあったようです。

 


しかも、今では撤廃されましたが、つい最近までは、鍼灸の治療回数には、なぜか法的に制限(ひと月10回までだったかな?)があり、

とてもまともに商売できるような仕組みではございませんでした。

 


そのため、保険専門の鍼灸院というものはほとんどなく、積極的に保険を使っている鍼灸院は、単純にすぐ隣にある医院と業務提携していたり、

単純にそこの鍼灸院の院長の親や親戚が医師であったり、という特殊な場合以外は、なかなか導入しにくいのが現状です。


「・・・あのさー、これ、なんか不公平じゃない?」

と思います。

 

さも日本という国に、保険制度に、鍼灸なんて効かない、嫌いじゃ、滅びよ!と言われているような気ィすらします。(苦笑)

 


しかも前回のブログにも書いたように、患者さんからは怪しい、痛そう、熱そう、恐いなんて言われます。(苦笑)

 


なんで、こんなことになるんでしょう。僕ら一生懸命やってるつもりなんだけどなー・・・。

 


毎日毎日、睡眠時間、遊ぶ時間を削って、鍼の本を読み、休日は勉強会にいき、知識、技術を少しでも高め、
患者さんの健康に少しでも寄与しようと頑張っているのは、

 

鍼灸の学術を最大化するためであって、こんな扱いを受けるためじゃない!

 


・・・とかって、卑屈になったこともあります。でも冷静に考えれば、こうなるには、それなりの理由、いきさつがあったはずです。


(次回に続く)

 

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「腹診(ふくしん)」で何が分かるの?

2009.12.16

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今日は、「四診」シリーズの一つとして、「腹診」について書こうと思います。

 

 


詳しく述べたらキリがなさすぎる診察法なので、簡単に紹介しますね。

 


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・・・たまーに、初めて当院に来られた患者さんのおなかを診ていると、

「おなかの状態と私の症状と、何か関係あるんですか?」

という質問をいただくことがあります。

(苦笑・・滅多にいませんけどね。)

 

 


・・・まあでも、肩が悪けりゃ肩だけ、腰が悪けりゃ腰しか診ない医療に慣れている患者さんからすれば、当然の疑問でもありますよね。

 


東洋医学では、どこの病気であろうと、「全身の状態を調える」ことに主眼を置きます。

 


ですので、すべての内臓をしまっている「胸腹部、特に腹部」という部位は、重要な情報源であり、「腹診」は我々にとって欠かすことのできない診察法です。

 


まず、「脈診」で述べたのと同じように、東洋医学の腹診と西洋医学の腹診はこれまた診ている「モノ」が違います。

 

 


東洋医学の腹診で
は・・・

 


1.内臓の状況

(どの内臓(東洋医学的な“五臓六腑”)が弱っているか)

 


2.全身の前後、左右、上下のアンバランス

(体全体の大きな傾き、捻じれ、血行の偏り)

 


3.病気の程度、勢い

(病気そのものの進行状況、これからどうなっていくかetc..)

 


4.その患者さんの生活習慣の中で何が一番問題か

(飲食の不摂生なのか、精神的なストレスなのか、睡眠不足等の疲労なのか、あるいは冷えか、など)

 

 


・・・他にも挙げればキリがないんですが、「腹診」というのは、大体これぐらいの情報を、おなかを触ることによって一遍にキャッチします。

 


鋭い人は気付くと思いますが、上記1.~4.は、「脈診」で挙げた内容とほぼ同じですよね?

 

 


・・・そうなんです。

 

 


東洋医学の診察では、色々な診察法を、「合目的的に」重ね合わせて用いることによって、

 

「現段階で最も正すべき、東洋医学的なアンバランスの起こっている部分」

 

をより絞り込んでいくのです。

 

 


それらによってはじき出された、「今、一番戻さなきゃいけない全身的なアンバランスの根幹部分」つまり“現時点における病気の東洋医学的な本質、病態”を指して、
「証(しょう)」と呼ぶわけです。

 

 


ちなみに、東洋医学における「腹診」は、歴史的には中国よりも、むしろ日本において、江戸時代を中心に、盛んに研究されてきました。

 

 


(一社)北辰会代表理事 藤本蓮風先生曰く、

「まさに、日本人は相手のハラを探ろうとしたわけや。」

腹部を触ることによって患者さんの深層心理を探ろうとした日本人・・・。

 

 


この藤本先生の考え方、大変面白いですね。

 

 

 

 

 

 


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緊急情報!

2009.11.28

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今日は清明院から緊急のお知らせです。

 

先日、政府の行政刷新会議の事業仕分け作業で、医療用漢方製剤を健康保険から外すという案が、なぜかほとんど何の議論もないまま出されました。

 

私の所属する(社)日本東洋医学会および、(社)北辰会では、これに対して断固反対の意向を表明し、署名活動を開始しました。

 

以下、(社)日本東洋医学会からの呼びかけ文を載せておきます。↓

 

(以下本文)

 

この議論は長年、自民党政権時代に政府ならびに財務省が再三提案しては消えた案件ですが、今回の仕分け作業の中で、他の課題と一緒くたになって提出されました。

 

過去には平成5年、6年に(社)日本東洋医学会が署名活動を行い、それぞれ、2週間で24万名、3ヶ月で148万名の皆様から署名を頂戴しております。

 

しかしながら今回は平成5年、6年にあった保険給付はずしと異なり、診療報酬の問題等大きな問題の中で埋もれたまま、仕分け作業班の意見が通ってしまう可能性もあります。

 

仕分け作業が終わるのが11月下旬、審議に持ち込まれる12月上旬には政刷新会議仕分け結果の審議が行われ、そこで決定されると他の案件とともに、漢方の保険給付がはずされる危険性が大です。
 

 

漢方は現在、医療の現場で医師の7割以上が用いて、がん患者さん、更年期障害などの女性疾患、花粉症などのアレルギー疾患、腰痛、膝関節症などの疼痛管理などに、医療の現場で医師が使うことによって、大きな効果を挙げており、医療として欠かせない薬です。

 

また、全国の医学部・医科大学でも医学教育の中に漢方教育が取り入れられ、日本東洋医学会で専門医教育も行われ、専門家育成も進んでいます。

 

今回の行政刷新会議の判断は国民不在のものであり、断固として阻止すべきと考えます。

 

 

            平成21年11月20日
            社団法人日本東洋医学会会長 寺澤捷年
            日本臨床漢方医会理事長 石川友章
            NPO健康医療開発機構理事長 武藤徹一郎
            医療志民の会共同事務局長 木戸寛孝

 

 

本趣旨にご賛同いただけます皆様からのご署名をお願い致します。
メールアドレスをご記入の上、連絡の可否の欄を可にしていただいた方には、漢方関連のニュースをお知らせ致します。

 

(以上)

 

・・・とあります。

 

僕個人としても、鍼灸と漢方は同じ「東洋医学」という一家の家族みたいなものと考えているので、署名しようと思います。

 

患者さんにもご賛同いただける方には是非協力していただきたいと思います。m(__)m(以下に電子署名サイトURL↓)

http://kampo.umin.jp/contents02.html

 

医療費削減しないといけないのは分かるし、他の案件も山積みで忙しいのも分かるけど、自分たちが一生懸命仕事でやってることを、

 

こう勝手に話進められちゃったら、そりゃカドたっちゃいますよ、誰だって。

 

数字とか合理性もいいけど、「医療」っていうのは「患者さん」という弱者のためのものなんだから、現実の患者さんの声をまずはよく聞かないとねぇ。

 

・・・ただ、この件で僕が思うのは、漢方薬も鍼灸も、キチッとした東洋医学的な診断に基づいて処方するから、医療として初めて成立する(効果が期待できる)んであって、

訳も分からずに「カゼに葛根湯」とか、「くしゃみ3回小青竜湯」みたいな使い方をしているDrがいるから、こういう案が出てしまう面がある、

 

ということも考えなくてはいけないと思います。(鍼灸の場合もしかり)

 

僕レベルでも、患者さんから、

 

「病院で漢方薬もらったけど全然効かなかった」

 

という残念な言葉を耳にすることは実際しばしばあります。

 

 

詳しく聞くと、専門でない僕から見ても、どう見てもメチャメチャな処方がされていることも珍しくありません。

 

いくら漢方、鍼灸が広まってよかった、といっても、「効かない」「意味ない」という評判が広まっていいはずありません。

 

こういう現実を踏まえた時、今やらなくてはいけないのは、東洋医学の現場の医療の、教育制度、資格制度も含めた、現実的な構造そのものの改革じゃないのかな、と僕は思います。

 

例えば、漢方薬を処方できるのは認定専門医のみにするとかね。(薬局もしかり)

 

 

コンビニや薬局の店頭で売っていいのは、濃度をかなり抑えた「漢方サプリ」的なもののみにするとかね。

 

(まあエキス剤ってそういうことなのかもしれないが、そうであればそれに保険が使えるのはおかしい、ともなる。)

 

 

漢方薬はあくまでも「薬」であり、サプリメントや栄養ドリンクとは目的からして違います。

 

 

「薬」の目的は病気の治療であり、日々の健康維持や、疲労回復、栄養補助は補足的な意味であって、薬の本質ではないのです。

 

お隣の韓国や中国では、もうとっくに東洋医学と西洋医学の二本立て医療が実現しているというのに…。

 

ちなみに余談ですが、今や欧米では東洋医学振興の動きが高まっていますし、韓国では若い女性が結婚したい職業のNO1は韓医師(鍼灸、漢方を扱う医師)なんだそうです。(苦笑)

 

・・・なんか遅れてないですか??

 

 

日本の医療って。

 

 

どうして?やっぱまたお金と利権の話?と思う方も多いんじゃないでしょうか。(苦笑)

 

 

基本的には明治の初期の制度をそのまま踏襲していますし、我々鍼灸マッサージ師に関する法律(あはき師法)は、戦後間もない昭和22年から基本的には変わっていません。。。

 

(社)北辰会代表理事、藤本蓮風先生の言葉ですが、

「医療とは、正しく患者に働きかける意志と行動である。」

という、いい言葉があります。

 

(アルテミシア『臓腑経絡学』「総合と総体」参照)

 

 

日本の医療も、客観的に見てそう思える医療であってほしいんですがね・・・。

 

 

・・・皆さんは、いかが思われますでしょうか?

 

 

 

 

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