東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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クーラーで冷えると・・・

2010.06.26

今日は朝一から猛烈に忙しかったです!(感謝)

 

狭い清明院の中を、1日中かけずり回っておりました(笑)

 

さて、今日の患者さん達を診ていて気がついたのですが、やはりこの時期、

「クーラーをつけっぱなしにして寝ちゃってから調子が悪いです。」

という訴えの多いこと多いこと!

 

・・・これ、単純になぜでしょうか?

 

 

なんで、クーラーつけっぱなしにして寝ると調子悪くなるんでしょうか?

 

 

そりゃ冷えるからに決まってんじゃん!・・・という声が聞こえてきそうですが、じゃあ患者さんの訴えが人によってバラバラなのはどうしてでしょう?

 

必ずしもカゼみたいな症状が出る人ばかりじゃなくて、神経痛が出る人、頭痛が出る人、痒みが出る人、怒りっぽくなる人などなど、

 

「クーラーによる冷え」

 

の後から出てくる症状は、メチャメチャ多岐にわたります。

 

・・・今日は、これがどうしてか、考えてみたいと思います。

 

本日は6月26日、この時期は24節気で言うと「夏至(げし)」に入って5日目であります。

 

この「夏至」とは、1年で一番日が長く、とても暑い時期、ということになっています。

 

 

ただ日本ではこの時期は梅雨であり、あまりこのことが実感されることは少ないようですが、いずれにしても自然界の”陽”の気が非常に高まる時期であります。

 

我々人間も動物ですので、自然界が陽に傾けば、人体も陽に傾きながらバランスを取るのが自然な、本来の姿です。

 

ですから、この時期は体の中には陽気が盛んになって、活動的で元気になってきます。

 

 

そしてたくさん汗もかきます。

 

 

陽気が盛んになる、ということは、ある意味「生理的に」「生理的な」熱を持つ、と言ってもいいと思います。

 

 

だから、たくさん汗を出して、その熱が体に籠らないように発散しようとしている訳です。

 

 

これを、クーラーで体の表面を冷やし、玄府(げんぷ=汗腺)の動きを鈍らせ、皮毛を閉じ、生理的な発汗を無理に止めてしまうと、マズイことが起こります。

 

 

要は、体に「余分な熱」が籠るのです。

 

 

具体的な症状としては、咽が異常に渇いたり、食欲が極端に亢進したり、便秘したりします。

 

 

そして、口渇や食欲など、その欲求にまかせてどんどん暴飲暴食してしまうと、もっとひどくなって、しまいには便秘したりします。

 

 

あるいは徐々に徐々に食欲が落ちてきて、ヤル気がない、元気がない、本来活動的になるべき陽気の盛んな時期なのに、いわゆる「夏バテ」状態になります。

 

 

また、局所的に冷やされた部位の血行が極端に悪くなり、そこに痛みやしびれが出たりします。

 

・・・ここまで書いたところで、支部役員前日勉強会のお時間になってしまいましたので(笑)、続きは次回に・・・。

 

参考 Wikipedia 二十四節気

 

 

 

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患者さんの質問(お酒の飲み方)

2010.06.23

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今日、患者さんからこんな質問をいただきました。

その内容が、今つづっている「脾って何ですか?」にもちょっと関わるので、紹介します。

・・・その患者さんは、お酒をよく飲まれる、坐骨神経痛の男性です。

初診時から、経過は良好なのですが、たまにお酒を飲み過ぎると、症状が出てくることがあります。

今日も、前日にお酒を飲み過ぎたことによって、若干症状が出た、とおっしゃいました。

しかし、いつもの、飲み過ぎた時の症状とは若干違います。

体表観察してみると、今日の場合は「酒のせい」というよりも、

お酒というより、全体的に水分全般を取り過ぎてること+体の外からの冷え

によって症状が出ている、と判断しました。

そこで患者さんに再度確認してみると、

「自分では飲み過ぎたような印象があったんだけど、よく思い返してみると、量的にはいつもと変わらないか、少し少ないぐらいだった。」

と言いました。また、

「昨日仕事中にエアコンがきつすぎて寒かった。」

ともおっしゃいました。

 


・・・で、

”あー、ヤッパリネ”

ということで、治療が終わり、治療後に、

竹「お酒も含めて、少しお水の取り過ぎに注意して下さいね~。」

と声をかけると、

患「先生、体に余分なお水が多い時、お酒の量は変えずに、他の水分の量”だけ”減らしたら、それでも症状軽くなるの?」

と聞かれました。

 


僕は即答で、

竹「なります。この場合はね。酒がたくさん飲みたいんなら、酒以外の水分を極端に減らせば、ある程度の量飲んでも症状が悪化しにくいですよ。」

患「なるほど。へへへ・・・。(笑)」

竹「ただ、”今日みたいな場合は”ですよ!!いつもそうとは限らんよ!」

・・・という会話でした。専門家の先生方なら、この会話の時点で大体どういう患者さんかお分かりになるかと思いますが(笑)、今日はこの会話から、

 

一つの問題を取り出して解説してみようと思います。


☆お酒とその他の水分の違い

清明院で使用している(一社)北辰会専用カルテの問診事項には、飲酒の頻度と一回量を記載してもらう欄があります。

ここに問題がありそうな患者さんであれば、そこからさらにお酒の種類は何か、ペースはどうか、酔うとどういう状態になるかなどなど、

さらに突っ込んで問診していきます。

・・・なぜこのように、”お酒”を医学的に特別視するんでしょうか。

酒のことを東洋医学では、

”大辛大熱(だいしんたいねつ)”

と言って、適量であれば、大いに気血を巡らせる作用があるが、過度になれば体内に余分な熱を生じる飲み物、と考えています。

また発泡酒(炭酸が入ったお酒)の場合は、

上記の作用+気血を体の上(つまり頭部、胸部)に持ち上げる作用がある、

と考えます。

よく、「酒は百薬の長」と言われますが、これはお酒が持つ”気血の巡りをよくする”作用のことを指して言っているのであって、過度に飲んで、

 

結果的に体内に”余分な熱””余分な水分”を生じることを指して言っているのではありません。

 

よく西洋医学で、酒は利尿作用があり、呑んだ量よりも出ていく量の方が多いから、結果的に脱水状態になり、水分補給にはならない、と説かれますが、

 

酒を呑んでいる人をよく観察していると、かえってトイレに行かなくなる人もいます。

 

 

そういう人の場合は浮腫みます。

 

 

このように、「どういう人が」「どういう酒を」「どの程度の量」呑んだかによって、その後起こる現象は一様でなく、これをよくよく聴取して、

 

酒がその患者さんに何をもたらしているか、個別に考えるべきです。

 

(因みにあの、”チェイサー”というのはとてもいい方法だと思います。)

 

 

こうしたことから、日頃よくお酒を飲む、という初診の患者さんには、量、頻度、種類、ペース等々、詳しく聞いておくことが、「正しい」東洋医学的な診断をする上ではとても大事になります。


冒頭の患者さんも、こうした「お酒」というものの特徴から考えると、ちょっと考えにくい症状、所見を呈していたので、
冒頭のようなやり取りになった訳です。

 


お酒以外の嗜好品では「カフェイン類」というのも見逃せませんが、それはまた今度語ることにします。(笑)


まあ、いずれにしても最近のようなジメジメした時期を快適に過ごそうと思ったら、酒だろうがカフェインだろうがジュースだろうが、

 

お茶やお水であっても、過度に飲まないことです!

 


「脾」は湿気(余分なお水)を嫌いますのでネ・・・。

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小児と鍼灸(その2)

2010.06.19

今日も朝からバタバタと臨床臨床・・・。

 


相変わらず鍼にとりつかれております!

(ありがたやー)

 


今日はお昼は清明小学校、午後は清明保育園となりました。(笑)

 


大人はもちろん、小学生も、赤ちゃんも、み~んな鍼でございます!

 


・・・念のため言っておきますが、清明院では小児には極力、怖がったり痛がったりすることを、無理に押さえつけてやるようなことはしません。

 


基本的には
打鍼か古代鍼という、皮膚に刺さない鍼を用います。

 


小児というのは、大人に比べて敏感であるため、嫌がるのを無理に皮膚に刺すよりは、こういうやり方の方がよく効きます。

 


小児も「痛くなく、しかもよく効く」ということが体で分かると、だんだんと自分から

”せんせいはりして~”

って感じになってきます。(笑)

 


たまに、発熱時や、炎症があまりにもきつくて急いで治療しなくてはならない場合などに、ふつうの鍼(毫鍼)を使う場合がありますが、

その時は本人や親御さんに十分確認した上で行いますし、どうしても嫌だということであれば、無理に行うことはしません。

 


ですので、小児の患者さんでも安心して治療を受けることが出来るため、清明院には徐々に小児たちが増えていっている訳です。(笑)

 


医学、医療と言えば西洋医学しかない、東洋医学は怪しい、と思っている大人よりも、彼ら子供の方がよっぽど鍼に素直な反応を示します。

 


幼いころに、鍼で病気が治ったことのある子供が大人になったら、

「東洋医学なんて怪しい、胡散臭い。」

・・・なんて言うはずありません。

 

 

コレは20年後、30年後、必ず大きな波及効果を生むはずなんです。

 


清明院では、大人はもちろんですが、今後もどんどん子供の病気に取り組んでいこうと思っています。

 

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鍼灸学生の治療実習

2010.06.03

今日は、こないだお伝えした、大森にある東京衛生学園から、「治療体験実習」の学生さんがお見えになりました!

一体どんな学生さんが来るのかな~・・と思っていましたが、大変礼儀正しく、勉強熱心な方がやってきまして、一安心。

・・・やっぱ学生さんはいいですね~♪

(笑・・・そういう、ね。)

「目」がキラッキラしとる!

治療が終わってからも、なんやかんやと、業界のこと、北辰会について、中医学について、僕自身の学生時代についてなどなど、色々と話しているうちに、

 

6時に来たのが、あっという間に9時になってしまいました。(笑)


まあ僕個人的には、学生のうちは、興味あることを片っ端からやってみる、興味ある治療法を片っ端から受けてみる、友達を台にして実験してみる、

 

それの繰り返ししかない、と思います。


それを一生懸命やってるうちに、方向性なんておのずと決まってくるもんです。

 

時間は容赦なく経っていき、いつかは決断を迫られる訳ですから。


迷ってるヒマがあったら、とにかく走ってみるしかない、と思います。

(僕自身もそうでした。)


・・・結局、これは鍼灸に限らずですが、何が絶対に正しいなんてないし、何が一番いい、というのも、究極的にはない、と思います。

「いや、そんなことないぜ竹下!俺がやってることこそが一番正しいのだ!」

・・・という声が聞こえてきそうですが、それに対して僕は即答で、

「それは”あなたにとって、相対的に”でしょ?」

と言いたいです。(笑)


自分が見ている「世界」というのは、あくまでも「自分ビュー」でしかないんです。

(まずそこを自覚しないことには話になりませんが・・。)


ということは、その中で得た、その人なりの”正解らしきもの”というのは、必ずしも万人の正解ではないよ、ということです。


「陰陽論」というのは森羅万象の法則性をとても美しく説明する哲学です。

(・・・と、僕は思っています。)


それを行ずる存在である鍼灸師が、ある考え方や論のみを絶対視する、ということは、そもそもおかしな話です。

強力な説得力の裏には、強力な勘違いや思い込み、よく言えば”強力な仮説”が必ずある、ということです。

しかしそれで実際にものごと、現象が変化する、要はそこに美しさを感じ、信じるに足るものだと思うか、胡散臭さを感じるか、それはその人それぞれの「感性」の問題です。

鍼灸学生さんにおかれましては、自分が前者の立場をとれるものと巡り合ったならば、あとはそれを徹底的に追求したらいいんじゃないでしょうか。

(別に無理にそうしなくてもいいけど・・・です。(笑))

次回はどんな学生さんが来るのか、あるいはもう来ないのか、なかなか楽しみな感じです。(笑)

明日もガンバろっと。

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「心」って何ですか?(その5)

2010.06.01

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これまでのお話・・・

「心」って何ですか?(その1)
「心」って何ですか?(その2)
「心」って何ですか?(その3)
「心」って何ですか?(その4)

 


今日は、「心」と「血」の関わりについて・・・

 

☆心と血の関係

 

以前、「肝」って何ですか(その2)において、人体を潤し、栄養する重要な要素である「血(けつ)」は、五臓の中の「肝」に蔵され、

全身に配分調節されている、というお話をしました。

 


しかし、じゃあ「血」は肝に”しか”関わらないのか、というと、そんなことはありません。

 


肝以外の4臓にも、当然関わります。

 

 

その中で、特に「血」と密接にかかわるのが「心」であります。

 

なぜならば、(その1)で述べたように、心の臓には「ポンプ作用(主血作用)」という働きがあります。

 

この働きは、簡単に言うと、ドクンドクンと、全身に血が行きわたるように、律動的に「血」にプレッシャーを与えている作用、という意味です。

(笑・・・そのまんまだネ。)

 


でも、ということは、心には常に一定量の「血」がプールされていなければその働きを果たせませんよね?

 


つまり、十分に血が入ってなかったら、「ドクン」と動いてもスカッと空振りになっちゃうわけです。

 

ですので、「肝」が蔵している血が少なくなってしまうという、病的な状態(肝血虚)の時、肝以外の4臓の中で「心」という臓は非常に悪影響を受けやすい、と言えると思います。

 

こうした、肝と心の密接な関係性を、東洋医学では「心肝同源(しんかんどうげん)」なんて言ったりします。

 

この場合の「源」というのは、この二臓の安定的な機能の源(みなもと)が心も肝もともに「血」であるから、です。

 


そいで、血が少ない、という影響を心が受けると、心の臓の働きがうまく出来なくなり、不眠や動悸、あるいは精神的に不安定になったりと、実に様々な症状が出るのです。

 

こないだ、「肝」って何ですか?のシリーズ10話を読んで下さった、熱心な患者さんに聞かれました。

 

 


患「先生、あれを読むと、体の働きのほとんどは肝がやってないですか?」


竹「いやいや!そんなことはないです。(笑)肝がやってることはすごく大きいけど、他の臓腑の働きもすごいもんです。

これから他の臓腑も解説していきますが、徐々に色んなことが分かってくると思いますよ。お楽しみに!」

 

 

・・・東洋医学をまったく知らない人達に対する、本格的な東洋医学の、誰にでも分かるような解説。

 

この連載は僕にとってのチャレンジでもあるんです。

 

(次回に続く)

 

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患者さんの声(80代女性:末期癌による全身の浮腫み、激痛、呼吸困難など)

2010.05.25

久々に、「患者さんの声」をいただきましたので、載せさせていただきます。


本症例の患者さんは、今年(平成22年)の2月に他界されました。

以下の文章は、お孫さん(現在清明院に通院中)が書いて下さったものです。

 


80代 女性

症状:全身転移による末期癌による浮腫み、呼吸困難、歩行困難、全身の痛みなど

 

昨年(平成21年)の秋頃、祖母の細い足が急にゾウの足のように浮腫み、それをきっかけに病院の検査で調べた結果、癌の末期と宣告されました。

 


足の浮腫み以外は特に身体に大きな不調がなかったので、家族にとっては大きな衝撃でした。

専門医の先生は祖母の年齢、体力を考えて、手術や抗癌剤治療は勧めませんでした。

 
家族で慎重に話し合った結果、祖母には病気の事は伝えず、これまで通り、普通の生活をしながら祖母を看病し自宅で看取ることを決めました。

 


祖母は以前から足腰の不調等で竹下先生にお世話になっていたので、祖母の身体に関しては、引き続き竹下先生に全面的にお任せすることにしました。

 
これは私達家族からの願いでもありましたが、竹下先生の目指すところは、なるべく苦しませずに逝かせてあげること、でした。

 


昨年の
10月頃から竹下先生と松木先生が交代で週に34日、往診にきてくださり、特に大きな変化は無く新年を迎えられました。

 
癌患者とは思えないほど食欲はあり、癌の末期だなんて誤診ではないか、と疑ったくらいでした。

若干のふらつきがありましたが、鍼のあとはふらつきがなくなり、元気と自信を取り戻している様子でした。

 


その後徐々にふらつきが強くなり、家の中を動く事もままならなくなった頃、さすがの祖母も不安を覚え、落ち込んでいる事が多かったのですが、

やはり竹下先生と松木先生に優しく励まされ、支えて頂いていたように思えます。

 


鍼が終るとニコニコしていて

「心配しなくていいよ。」

って言われた、とうれしそうに話していました。

 


2月に入った頃からたまに腹部に痛みを訴えたり、ちょっと動くと息切れがひどかったり、食欲が減ってきたり、

と色々出てきましたが、ほぼ全て鍼で対処して頂き、穏やかに過ごさせていただきました。

 


年明けくらいからは近所の内科医院の先生も往診にきて下さっていて、介護保険を使って介護ベッドや酸素の機械や、

浮腫みをとるマッサージ機などをレンタルして下さり、病状に合わせて薬を出して下さっていました。

 


なんとなく外枠のケアを西洋医学で、内側を東洋医学で、といった感じの西洋医学と東洋医学のコラボレーションだったように思えます。

 


2月の中旬に体調が急に悪化し、2月末に亡くなるまで、竹下先生がお忙しい合間
を縫って毎日来てくださいました。

先生が毎日来て下さる事は祖母にとっての安心でもありましたが、私達家族の安心でもあり心の支えでもありました。

先生の月に唯一のお休みの日まで

 

「いつでも携帯に電話してください。」

 

とおっしゃってくださった先生に、本当に感謝の気持でいっぱいでした。

 

昨年の10月の時点で全身に癌が転移していて、手のほどこしようがない、という状態だった祖母が、亡くなる数日前まで食べたい物を美味しい、と言って食べていられた事、

 

癌の末期患者として苦しんだのは最後のほんのちょっとだけで、しかもその頃はほとんど意識が無かったと思うので、祖母はおそらく自分が重い病気であることに気付かないまま亡くなっていけた事は、

 

祖母自身にとっても私達家族にとっても、幸せな事だったと思います。

 

鍼治療の不思議を見せて頂きました。

 

そして何より竹下先生と松木先生が一生懸命やってくださったおかげだと思っています。

 

心から感謝しています。

 

約半年間、祖母の事でお世話になり、先生方はすっかりうちの親戚一同のヒーローとなり、死ぬときは清明院にお世話になる、と決めている人たちもいるので、

 

 

 

私を含め家族、親戚ぐるみで今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

 

◆清明院からのコメント

 

 

この症例は、末期癌と判明してから、亡くなられるまでの約4カ月間を、ご家族の要望により、ほとんど鍼のみで対応した、貴重な症例であります。

上の文章にもある通り、本症例の目的は、なるべく患者さん御本人を楽に逝かせてあげることでした。

「腎虚水泛(じんきょすいはん)、血熱(けつねつ)」と証を立てて最後まで治療し、それはなんとか達成してあげられたと思いますが、

 

最後は亡くなってしまった訳ですから、僕にとっては、もっとこうしてあげられたんじゃないか、ああしてあげられたんじゃないかと、今でも、

 

色々と考えさせられる症例でもあります。

 

人間は早かれ遅かれ、誰でもいつか必ず亡くなります。

 

悲しいけど、それは皆が分かっていることです。

 

ただ、最後亡くなる時ぐらいはなるべく苦しみたくない、周りに迷惑をかけたくない、というのが、多くの患者さんの考え方です。

 

この患者さん自身もそういう方でした。

 

この症例のように、現代西洋医学的には手の施しようがない状態の患者さんにも、鍼は強い味方になります。

 

鍼をして、安心し、痛みが楽になる、よく眠れる、結果、そんなに苦しまずに、比較的安らかに最期を迎えられる。そういう症例を、僕の短い臨床経験の中でも、何例も経験しています。

 

反対に、病院から手の施しようがない、と言われているにも関わらず、開腹手術、抗癌剤治療を選択し、酷い副作用に苦しみながら、本人もご家族も泣きながら亡くなっていった患者さんも、これまでに何人か診ています。

 

この方が亡くなられる前日の、意識があった最後の往診の時、帰り際に、

「明日も来るからね。」

 

と声をかけると、それまで苦しそうにしていたのに、ニコッと笑って頭を下げた、この患者さんの笑顔を、今でも昨日のことのように思い出します。

 

「東洋医学」とは何なのか、“人の生き死に”に対して何が出来るのか、限界は果てしない、と僕は思っています。

 

 

 

 

クチナシ!!

2010.05.17

以前、花咲く清明院でお伝えした、この花↓の名前なんですが・・・、

多くの患者さんの御協力で、「クチナシ」と判明いたしました!!

・・・まったく、クチナシの実と言えば、かの有名な漢方薬、「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」の構成生薬の一つ、梔子(しし)じゃないですか!!!

いくら湯液家じゃないにしたって、東洋医学をやっているもののはしくれとして、あー、情けない情けない・・・(>_<)

とんだ恥をさらしてしまいました・・・。今度からはこういうの書く時は気をつけよ・・・。(反省)

清明院の往診患者さんには、代々農家をやっておられる患者さんが何人かおられます。

今日はその患者さん達の、「クチナシ」にまつわる雑学の多さに圧倒されました・・・。(やっぱ患者さんは先生。)

上の写真の、清明院の鉢植えのクチナシは、品種改良された「八重咲き」というクチナシだそうで、このクチナシはいくら大きく育てても実はつかないそうです。

また、クチナシの果実を乾燥させると食品を黄色く着色するのによく用いられ、お正月の栗きんとん、たくあんなどの着色によく使われるそうです。

また、クチナシの果実=梔子(しし)は、つぶして火傷や炎症が起こっているところの患部に貼って、湿布として貼るとよく熱が取れるとか、女の子のいる家には「嫁のクチがナシ」ということでゲンが悪いから植えない、とかetcetc…

出るわ出るわ、「クチナシ」にまつわる雑学の数々・・・。

即席「クチナシ博士」となりました。。。

教えて下さった患者さま各位、ありがとうございました<m(__)m>

「エビデンス」!?

2010.05.14

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皆様、今流行りの(笑)「エビデンスベイスドメディスン」という言葉、御存知でしょうか?

 


知らない方は
こちらをどうぞ(wiki)

 

また以前、スタッフがまとめてくれました。

 

スタッフブログ『清明なる日々』 カテゴリ「EBM」 参照

 


この考え方については、なるほど確かにね、と思わされる部分が多く、僕自身、積極的に取り入れるべき考え方だな、と思う面もあります。

 


・・・今日、往診中にとあるドクターとかち合いました。

 


僕も長いこと往診というものをやっているので、ドクターとかち合うことなんて大して珍しくはないのですが、今日かち合ったドクターとは少ししゃべりました。

 


普通は、往診でドクターとかち合うと、お互いに”譲り合って”

「あ、先生先にどうぞ。」

すると、

「いえいえ、そちらこそどうぞ。」

 


・・・みたいな感じで、お互い西洋と東洋で畑違いなんだから、変に口出したりしないで、見て勉強しよっと。

 


みたいな感じにになることが多いのですが、今日の患者さんはちょっとケースが違いまして、面白かったので書こうかな、と思います。

 


今日の患者さん(70代男性)はお伺いした時、発熱していました。(39.5度)

 


もともと脳梗塞でほぼ寝たきり状態の患者さんです。

 


ご家族に話を聞くと、今朝の段階では何ともなかったらしいのですが、昼にちょっと食欲がないかな、と思ったら、そのあと少し寒気を訴えたので、

 

熱を計ってみるとすでに高熱が出ていた、とのことでした。

 


そしていつも往診で来ている主治医の先生から、薬をもらって、すでに飲んだけど、下がらない、そこで今度はリハビリ訓練で往診スタッフを派遣している病院の先生が、

 

心配して診に来た、という状況でした。

 


僕としてはこの時点で、東洋医学的には様々な病が想定できます。

 


それぞれに治療法もあります。

 


さーて脈でも診てみるか、と思っていると、そのドクターが、

「高熱が出ている時に鍼をするんですか??」

と、不審な顔で聞いてきました。

 

 

僕が、

「ええ、東洋医学ではそういう時の対処法もはるか昔からあります。」

と答え、さらに患者さん自身に対して、

「お父さん、東洋医学で、熱が下がる、早く楽になる、と言われている鍼のやり方があるんだけど、やってみたいですか?」

と聞くと、

「うん。」

とのこと。(笑)

 

 

そして、いつも通り治療いたしました。

 


置鍼中、そのドクターが、何とも言えない表情で、

「まあ鍼もいいんでしょうけど、エビデンスがちょっとねー・・・。」

と、話しかけてきました。

 

 

僕は内心は、

「3千年以上も連綿と続いている方法論に対して、今さらエビデンスもへったくれもないんじゃないかなー・・・。」

と思いつつも、

「確かにねー。エビデンスが明らかになると、もっといいんでしょうけどねー・・・。」

な~んて言いながら、治療を終えました。

(実はまだまだ書きたいことはあるんだけど、誤解を招くのが嫌なんで、こんぐらいにしときます。)

 


あのねー、一つ言うと、鍼が本当に効くのかとか効かないのかとか、そういう議論、僕ら現場の臨床家から言わせれば、ちょっともう”どうでもいいよ”と感じる部分がねー、正直あります。

 


・・・だって効くんだもん。(笑)

 


効くからこそ、数千年もの間、「患者さん」の支持を得てきたし、それに人生を捧げる医者もたくさんいたワケでしょ?

 


効くと分かってるものを何で今さら「現代科学的に」あるいは「現代統計学的に」検証しないと信用できないんでしょ?

 


そうやって検証したら、鍼というものが今よりよく効くようになるんでしょうか??

 


・・・この辺は、言えば言うほど誤解を招く可能性があるんで、ま、いーや、明日も効く鍼を打ちます!!(笑)

 

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「泣く」とはどういうことか(その3)

2010.04.12

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これまでのお話・・

「泣く」とはどういうことか(その1)
「泣く」とはどういうことか(その2)


今日は、「感極まる」「感情が高ぶる」ということと、「肝」という臓がどう関わるか、というお話をしようかな、と思います。

 


以前、東洋医学においては、五臓と感情は関係が深い、というお話をチラッとしました。

(カテゴリ「七情について」の8つのお話参照)

 


その中で、「肝」という臓は「怒り」という感情と関係が深い、というお話をしました。

 


しかし、「泣く」という現象は、なにも「怒り」だけで起こってくる訳ではありませんよね?

 


うれしくて泣く、悲しくて泣く、恐くて泣く等々、「泣く」という行動に移るまでの感情は、実に様々です。

 


しかも単純に、目に対する物理的な刺激でも、涙が出ることはあります。

 


それなのに、なんで「泣く」ことと「肝」の関係が深いかというと、感情の過不足、というものは、つまるところ「気の正常な流れ」を障害するからです。

 


つまり、怒れば気が上がり、喜べば気が緩み、思い患えば気が結び、悲しめば気が消え、恐れれば気が下がる訳です。

(カテゴリ七情について参照)

 


そんで、感情の過不足によって乱れた、これ(気の極端な動き)を正常な状態に戻す、主たる臓こそが「肝」なのです。

 


ですので、この感情の過不足がきつければきついほど、「肝」の仕事は多くなります。

 


頑張らなくてはいけなくなります。

 


こうしたことから、「肝」は五臓の中では、

「将軍の官(しょうぐんのかん)」

とも言われ、外的な刺激(精神的、肉体的両面)に対しての対応を担い、適切な対処を考える臓、と位置付けられています。

 


この時、この働きがスムーズに、速やかに発揮出来れば、「泣く」という現象は起こりません。

 

(いわゆる感極まった状態になることはないわけですね)

 


しかしこれが「肝」にとって許容範囲を超えた、大きな負担になるほどの感情の過不足だと、肝の働きが阻害されます。

 


この病理的状態を、東洋医学では「肝欝気滞(かんうつきたい)」と言います。

 


これが長引いたり、あるいは短期的であっても急激に起こったりすると、「気鬱化火(きうつかか)」という状況が起こります。

(なぜ、そうなるのかという細かい話は、話が逸れるので割愛します。)

 


この「気鬱化火」という病理現象が起こると、気は一気に体の「上」に向かいます。

 


つまり、体の「上」「気」が急激に渋滞する訳です。

 


これが「目」で起こると、目は充血(血も渋滞した状態)して真っ赤になり、熱(鬱熱といいます)を持ちます。

 


これだけで終わったら、すぐに「目」がカラカラに乾いて、干からびて失明しちゃいますので、何とかこれを冷やそうと、「肝」やそれ以外の臓腑が協調して、

 

体の中の正常な「水(津液と言います)」が目に「急激に」集まってきます。

 


そして余剰な分が溢れて、目からその水が流れる、これが東洋医学的な「涙(るい)」です。

 


ちなみに、目で起こらない場合でも、この病理(気鬱化火)の場合は、頭痛であったり、肩こりであったり、必ず「上」で症状が起こってきます。


(感情が極まっても、泣く人ばっかじゃないもんね)

 

では物理的な刺激で涙が出るのはどうしてか、次回はそのお話。

 

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「逆子」と鍼灸

2010.04.02

こないだ患者さんから、

「逆子って何で鍼灸で治るんですか?」

という質問を受けました。

「逆子が鍼灸で治る」っていう事実、ウワサは、けっこう一般の患者さんでも知っている方が多いように思います。

足の「至陰(しいん)」というツボにお灸を据えると治る!なんていう話が有名ですね。

(もちろんそれ以外にもやり方は無数にありますが・・・。)


最近では、「不妊症専門」「婦人科疾患専門」、「女性・小児専門」、と看板を出している鍼灸院も少なくありません。


僕の知り合いの先生にも何人かおられます。

そういう先生方や、これまで逆子や婦人科疾患に鍼灸で対応してきた先輩たちのご努力が、近頃ようやっと実を結んできた、というところではないでしょうか。


これは、大変喜ばしいことだと思っています。


逆子のメカニズムについては、僕は患者さんに説明する時はいつも、

「赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる時は、お母さんの真似をしたがるんですよ~。だからお母さんの上下のバランスが逆になっていると、赤ちゃんも真似して上下逆になっちゃうんです~。(笑)」

な~んて、荒唐無稽、意味不明な説明をさせていただくことが多いです。(笑)

でも、コレは完全にふざけてる訳でもなくて、実は意外と本当のことを言っていて、お母さんが精神的にイライラしてたり、肉体的に疲れてたりすると、

いわゆる「冷えのぼせ」「上實下虚」「上熱下寒」という状態になることが多く、これを東洋医学では非常に問題視します。

・・・これは要するに、「足が冷えて、頭に血が上った」状態です。

この状態は正常、健常な状態とは上下が逆になっちゃってます。


それに対して、東洋医学では正常な(というか理想的な)人体の状態を「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」と表現します。


これはつまり、足が温かくて頭が涼やか、という状態のことを言っています。


最近は、出産ギリギリまで仕事をなさる女性も多く、体は「身重(みおも)」と言われるぐらい重くなっているにもかかわらず、神経を使う、

 

色んなことを、ド根性で頑張ってらっしゃる妊婦さんも少なくありません。


結局、そういう無理、余分な緊張がお母さんの体に「上熱下寒=上下のアンバランス」という状況を作り出します。


その結果、ある意味赤ちゃんはその真似をして、「逆子」になってしまう訳です。(苦笑)

 


・・・ということは、色んな方法でお母さんの体の「上下のバランス」を整えてあげれば、逆子が治るのではないか!?という訳です。

 


僕の知り合いの整体(手技療法)の先生も、骨盤の歪みをとることで何人となく逆子を治したことがある、と言っておりました。


コレも結局、「骨盤」という「下」の状況を改善したことによって、結果、母体の上下のバランスがとれて、逆子が治った、とも理解出来ます。

(・・・まあもちろん、彼ら(手技療法家)には彼らなりの理論もありますけど。)

要は、お母さんの体の状態が正常な状態に改善し、赤ちゃんにとって居心地のいい環境になれば、自然と正常な位置に戻ってくる、という訳です。


ただ、臍帯(へその緒)が極端に短くて、赤ちゃんが動けない、とか、あるいは逆に長過ぎて赤ちゃんの首や体に巻きついてしまっている場合は、

 

残念ながら帝王切開せざるを得ないケースもあります。

妊娠中に産科で「逆子」の診断を受けて、上記のような特殊なケースでないことが分かれば、慌てず騒がず鍼灸院に直行、でいいと思います。(笑)

普通に東洋医学を勉強しておられる先生であれば、必ず治して下さる筈です。

 

 

ただしかし、何でもかんでも考えなしに「至陰のお灸」という先生は怪しいですぞ!!

 

 

全く東洋医学的な診たてに基づいていない可能性があります。

 

こんな風に、徐々に徐々に東洋医学の守備範囲が広い、という認識が広がることは、とてもイイことですね。

 

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