東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「胃」って何ですか?(その8)

2010.08.01

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これまでのお話・・・


「胃」って何ですか?

「胃」って何ですか?(その2)
「胃」って何ですか?(その3)
「胃」って何ですか?(その4)
「胃」って何ですか?(その5)
「胃」って何ですか?(その6)
「胃」って何ですか?(その7)

 

☆「胃」と「熱」と「狂」(続編)

 


今日のお話は、ちょっと難しいかもしれないけど、大変興味深い部分でもありますので、続き、いきます!

 


以前、
「脾」って何ですか?(その5)にて、”脾は湿気が嫌い”というお話をしました。

 


その時、「脾はもともと湿っている臓だから、過剰な湿気を嫌うのだ」と書きました。

 


また、「胃はもともと乾いている腑だ」とも言いました。

 


・・・ということは、”胃は熱が嫌い”という考え方が、当然あります。

 

 

なぜならば、よけい乾いちゃうからです。(笑)

(ここには、実は難しいお話(・・というか意味)がありますが、割愛します。(笑))

 


つまり「脾胃」は、人体のど真ん中である「中焦」に存在し、かたや湿り(脾)、かたや乾き(胃)、乾と湿のバランスをも、とってくれている訳です。

 


「胃」って何ですか?(その5)で述べたように、「脾胃」は全身の気血の「昇降のバランサー」でありながら、「乾湿のバランサー」としても一役買っている訳ですネ。

 

(カッチョイー!)

 


・・・東洋医学では、体内、および体外の過剰な”熱”のことを「邪熱(じゃねつ)」と言い、様々な症状、病気を引き起こすもとと考えます。

 


そして特に「胃の腑」が過剰に熱を持つと、それを「胃熱(いねつ)」と呼び、分かりやすいところでは、強いのどの渇き、あるいは食べても食べてもすぐに腹が減る、

 

暑さを極端に嫌がる、などの症状の原因になります。

 


”非”生理的な「邪熱」、および生理的な「熱」というのは、通常、どんどん体外に発散しなくては、正常な体の状態を保てません。

 


大便なり、小便なり、汗なりで、です。

 


「熱」がうまく発散、排泄出来ずに、どんどん「胃」に籠ると、徐々にマズイことが起こってきます。

 


前述のような症状はもちろん、マグマのようにブスブスと籠った熱は、やがてまるで”火が付いた”かのように、突然、一気に激しく「上焦」に向かって突きあげます。

 


これを東洋医学では「胃火(いか)」と言います。

 

(そのまんまだネ。)

 


そして突き上げた先の”上焦”には、「心」と「肺」という臓が存在します。このうち、特に「心」が「胃火」の影響を強く受けると、狂乱、錯乱状態になることがあります。

 


言わば、燃え盛る「胃火」が、「心の臓」に燃え移ってしまった、という状況です。

 


「心の臓」が蔵している「神(しん)」というものが、”顕在意識を清明たらしめているもの”という話は以前
「心」って何ですか?(その6)に書きました。

 


その働きが侵されるために、正常な判断を失い、まるで”もののけ”でも憑いたかのように叫び、わめき、暴れ出します。

 


また、体内の邪熱が極まっているために暑くてしょうがなく、衣服を脱ぎ捨てる、というような状況となります。

 


まさに、前回のブログで紹介した事件のような状況、となる訳です。

 


しかもあの事件の場合は「朝8時ごろ」という時間帯にも大きな意味があると思いますが、それの解説は長くなるので、またそのうち致しましょう。(笑)

 


しかしまあ、あの事件の女性の発言から考えるに、おそらく悪い男に弄ばれたとか、そういうことがあった後のことでしょうから、もしそうだとすれば、

 

ある意味、言ってることにスジは通っています。

 


また、パンツ1枚の姿だった、とか、実際にベランダから飛び降りはしなかった、ということは、少しは理性が残っていたのかも知れません。

 


そういう意味ではそれほど強烈な「胃火」ではなかったか、「心神」がそこまでは弱っていなかったのでは、と考えられます。

 


まあ、いずれにせよ、ああなる前に治療させてほしかったナー、近いんだし・・・。

 

 

という感じです・・・。

 

 


次回に続く

 

 

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「胃」って何ですか?(その7)

2010.07.31

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これまでのお話・・・

「胃」って何ですか?
「胃」って何ですか?(その2)
「胃」って何ですか?(その3)
「胃」って何ですか?(その4)
「胃」って何ですか?(その5)
「胃」って何ですか?(その6)

 

少し涼しくなったと思ったら、また猛暑。

 

・・・でも個人的には、猛暑って、ちょっと好きです。

(笑・・・溶けそうにはなりますがネ。)

 

僕は、育ちは日本一暑い群馬県前橋市なんですが、生まれは静岡県伊東市です。

 


まあ、海周辺で生まれ、山周辺で育ったわけです。

 


この時期になると、海の近くで生まれた血が騒ぐのか、妙に気分が高揚します。(笑)

 


フジツボ、イソギンチャク、ウミウシ・・・ああ、なつかしい・・・。

(見た目キモいのばっかですが。(笑))

 


・・・まあそれはさておき、ついこないだ、「胃」の話をする上で、とても興味深い事件がありましたね。

パンツ1枚の女性が絶叫し、飛び降り騒動 朝の渋谷が騒然

 

ニュースの記事というのはネットからすぐに削除されてしまいますので、ここに概要を述べておきますが、清明院からさほど遠くない、渋谷区円山町で、28日、朝8時ごろ、パンツ1枚の半裸の女性が、

「女をナメんじゃねえ~!!」

とか、

「電話して来い~!!」

とか叫びながら、マンションのベランダから身を乗り出して絶叫していたそうです。

 


一時は飛び降りを警戒して、消防隊も駆けつけ、あたりは騒然となったそうですが、部屋に入った警察がその女性を取り押さえて一件落着、という事件です。

 


今日はこの出来事を、東洋医学的に考えてみましょう。

 



☆「胃」と「熱」と「狂」

 


東洋医学では、上述のような精神錯乱の病を「狂証(きょうしょう)」と呼び、2500年前に著されたとされる東洋医学の聖典、

『黄帝内経(こうていだいけい)』

の中にはすでに「狂証」の分類、発症機序、治療法まで述べられています。

(専門家の先生方、『黄帝内経霊枢』癲狂篇(22)です。ココ、実におもろい。要チェックです。)

 


また今から約2000年近く前、中国は後漢の時代、張仲景(ちょうちゅうけい)という大名医がいました。

 

 

彼が著したとされる、

『傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)』

という書物は、この現代でも、漢方薬で治療にあたる先生方や、我々鍼灸師にとっても、これまた東洋医学の”聖典”の一つとして、不滅の輝きを放っています。

 


そこにもすでに、こういった病の症状や所見、治療法が書いてあります。

(専門家の先生方、陽明病篇、特に大承気湯、桃核承気湯の条文です。これまた示唆に富んでるよ~。)

 


それらを繙くと、結局、こういう「狂証」の治療の最終的な中心は、なんと!いずれも「脾胃」なのであります。

 


特に上述のような激しい錯乱状態を示すようなものに関しては「脾胃」の中でも特に「胃」が治療対象です。

 


そして、この考え方は現在でも支持されています。

 

 

江戸時代の医師の文献なんかには、実際の症例なんかも出てます。

 


僕も、何人かの先輩から、実際に鍼や漢方薬で治療した症例の話を聞いたことがあります。

 

 

また僕自身も、これに近い症例を経験したことがあります。

 


・・・まあとにかく、なぜ「胃」がおかしくなるとこういう症状が出るのでしょうか。

 

 


ちょっと長くなったので続きは次回に!(笑)

 


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同業の先輩

2010.07.18

今日、ふと思いました。

「これまで、何人の同業の先輩たちと会ってきただろうか。」

・・・当然、数え切れるものではありません。

数え切れないほどたくさんの先輩たちから、その職場、その勉強会、それぞれの現場で、いつもご薫陶をいただいてきました。

それが今日の自分の血肉になっている訳です。

もちろん尊敬できる先輩もいましたし、そうでない先輩もいました。

僕は以前は、この「そうでない」先輩の方には、なるべく目を向けないようにしてきました。むしろ嫌っていました。

変な影響を受けるような気がして恐かったんですね。

今はそんなことありません。その先輩のどこが尊敬できないのか、それは何でなのか、また、そういう先輩の中から何を学ぶべきか、などと、冷静に考えることが出来ます。

そこで、以前は今よりも冷静さを欠いていたんだ、ということに気がつきました。

情熱にまかせて、あまり偏ると、今度は自分が「そうでない」先輩の側に立つ可能性が高くなっていくような気がしてなりません。

・・・陰陽論は最高ですネ。モノの見方考え方。

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最近の出来事

2010.07.13

ワールドカップがスペインの優勝で幕を閉じました。決勝戦、激しい試合でしたネ。

 

今回のワールドカップは日本がベスト16ということで、日本国内もずいぶん熱狂しました。

 

 

本田や遠藤という、新たなスターも生まれました。

 

 

前々回の時も盛り上がりましたが、今回もなかなかのもんでしたネ。

 

ちなみに8年前の熱狂の時、僕は渋谷駅周辺にいました。(笑)

 

 

あの時はすごかった・・・。

 

 

日本も捨てたもんじゃないなー、と思いましたね。

 

今回のワールドカップも、まだまだ各方面にかなりポジティブな影響を及ぼすであろうと思います。

 

本田が帰国後のテレビ出演をすべて断って、母校を訪問し、学生に「夢を見ることの大切さ」を説いた、というニュースを見た時、

「・・・あー、カッコいいなー、やるなぁ本田!」

と思いました。

 

 

彼は初戦のゴールも、デンマーク戦のゴールも、インタビューにはえらく淡々と応じていましたね。

 

 

ホントに「サッカーが好きなだけ、ただそれだけ」なんでしょうね。

 

僕もそうありたい、と思います。

 

・・・ところで、参議院選挙で民主党が過半数割れました。

 

今度は逆にねじれちゃいましたネ。(苦笑)

 

 

・・・コレって要はもうすでに、「どの党が」とかじゃなくて、「政治」そのものに対する国民の不信感が反映されているんだと思います。

 

明治以来、あまりにも変わり映えしない政治体制に、みんな飽き飽きしちゃってて、

「どうせ誰がやったって一緒だから、もうどーでもいーよ。それより明日の自分の仕事のことを考えよっと。」

・・・になっちゃってるんだと思います。

 

 

清明院の患者さんでも、そうおっしゃる方は多いです。

 

ここらでいっそのこと政党だの派閥だの、官僚だの、「一回全部バラシ」にした方がいいんじゃないかな、と思うのは僕だけではないはずです。

まあ、ばらしたところで、次に「本気」の人が集まらないと意味がないとは思いますが・・・。

 

本当の意味で「政治家やってるのが好きなだけ。ただそれだけ。」の人たちがネ。

 

(本当の意味の”政治”ですよ!お金と権力、という意味ではありません。)

 

自分が本当に、心の底から「いい」と思ってないことをやっていても、人の心を動かすことはなかなかできませんよね。

・・・東洋医学は「いい」ですよ。(笑)

 

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クーラーで冷えると・・・

2010.06.26

今日は朝一から猛烈に忙しかったです!(感謝)

 

狭い清明院の中を、1日中かけずり回っておりました(笑)

 

さて、今日の患者さん達を診ていて気がついたのですが、やはりこの時期、

「クーラーをつけっぱなしにして寝ちゃってから調子が悪いです。」

という訴えの多いこと多いこと!

 

・・・これ、単純になぜでしょうか?

 

 

なんで、クーラーつけっぱなしにして寝ると調子悪くなるんでしょうか?

 

 

そりゃ冷えるからに決まってんじゃん!・・・という声が聞こえてきそうですが、じゃあ患者さんの訴えが人によってバラバラなのはどうしてでしょう?

 

必ずしもカゼみたいな症状が出る人ばかりじゃなくて、神経痛が出る人、頭痛が出る人、痒みが出る人、怒りっぽくなる人などなど、

 

「クーラーによる冷え」

 

の後から出てくる症状は、メチャメチャ多岐にわたります。

 

・・・今日は、これがどうしてか、考えてみたいと思います。

 

本日は6月26日、この時期は24節気で言うと「夏至(げし)」に入って5日目であります。

 

この「夏至」とは、1年で一番日が長く、とても暑い時期、ということになっています。

 

 

ただ日本ではこの時期は梅雨であり、あまりこのことが実感されることは少ないようですが、いずれにしても自然界の”陽”の気が非常に高まる時期であります。

 

我々人間も動物ですので、自然界が陽に傾けば、人体も陽に傾きながらバランスを取るのが自然な、本来の姿です。

 

ですから、この時期は体の中には陽気が盛んになって、活動的で元気になってきます。

 

 

そしてたくさん汗もかきます。

 

 

陽気が盛んになる、ということは、ある意味「生理的に」「生理的な」熱を持つ、と言ってもいいと思います。

 

 

だから、たくさん汗を出して、その熱が体に籠らないように発散しようとしている訳です。

 

 

これを、クーラーで体の表面を冷やし、玄府(げんぷ=汗腺)の動きを鈍らせ、皮毛を閉じ、生理的な発汗を無理に止めてしまうと、マズイことが起こります。

 

 

要は、体に「余分な熱」が籠るのです。

 

 

具体的な症状としては、咽が異常に渇いたり、食欲が極端に亢進したり、便秘したりします。

 

 

そして、口渇や食欲など、その欲求にまかせてどんどん暴飲暴食してしまうと、もっとひどくなって、しまいには便秘したりします。

 

 

あるいは徐々に徐々に食欲が落ちてきて、ヤル気がない、元気がない、本来活動的になるべき陽気の盛んな時期なのに、いわゆる「夏バテ」状態になります。

 

 

また、局所的に冷やされた部位の血行が極端に悪くなり、そこに痛みやしびれが出たりします。

 

・・・ここまで書いたところで、支部役員前日勉強会のお時間になってしまいましたので(笑)、続きは次回に・・・。

 

参考 Wikipedia 二十四節気

 

 

 

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患者さんの質問(お酒の飲み方)

2010.06.23

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今日、患者さんからこんな質問をいただきました。

その内容が、今つづっている「脾って何ですか?」にもちょっと関わるので、紹介します。

・・・その患者さんは、お酒をよく飲まれる、坐骨神経痛の男性です。

初診時から、経過は良好なのですが、たまにお酒を飲み過ぎると、症状が出てくることがあります。

今日も、前日にお酒を飲み過ぎたことによって、若干症状が出た、とおっしゃいました。

しかし、いつもの、飲み過ぎた時の症状とは若干違います。

体表観察してみると、今日の場合は「酒のせい」というよりも、

お酒というより、全体的に水分全般を取り過ぎてること+体の外からの冷え

によって症状が出ている、と判断しました。

そこで患者さんに再度確認してみると、

「自分では飲み過ぎたような印象があったんだけど、よく思い返してみると、量的にはいつもと変わらないか、少し少ないぐらいだった。」

と言いました。また、

「昨日仕事中にエアコンがきつすぎて寒かった。」

ともおっしゃいました。

 


・・・で、

”あー、ヤッパリネ”

ということで、治療が終わり、治療後に、

竹「お酒も含めて、少しお水の取り過ぎに注意して下さいね~。」

と声をかけると、

患「先生、体に余分なお水が多い時、お酒の量は変えずに、他の水分の量”だけ”減らしたら、それでも症状軽くなるの?」

と聞かれました。

 


僕は即答で、

竹「なります。この場合はね。酒がたくさん飲みたいんなら、酒以外の水分を極端に減らせば、ある程度の量飲んでも症状が悪化しにくいですよ。」

患「なるほど。へへへ・・・。(笑)」

竹「ただ、”今日みたいな場合は”ですよ!!いつもそうとは限らんよ!」

・・・という会話でした。専門家の先生方なら、この会話の時点で大体どういう患者さんかお分かりになるかと思いますが(笑)、今日はこの会話から、

 

一つの問題を取り出して解説してみようと思います。


☆お酒とその他の水分の違い

清明院で使用している(一社)北辰会専用カルテの問診事項には、飲酒の頻度と一回量を記載してもらう欄があります。

ここに問題がありそうな患者さんであれば、そこからさらにお酒の種類は何か、ペースはどうか、酔うとどういう状態になるかなどなど、

さらに突っ込んで問診していきます。

・・・なぜこのように、”お酒”を医学的に特別視するんでしょうか。

酒のことを東洋医学では、

”大辛大熱(だいしんたいねつ)”

と言って、適量であれば、大いに気血を巡らせる作用があるが、過度になれば体内に余分な熱を生じる飲み物、と考えています。

また発泡酒(炭酸が入ったお酒)の場合は、

上記の作用+気血を体の上(つまり頭部、胸部)に持ち上げる作用がある、

と考えます。

よく、「酒は百薬の長」と言われますが、これはお酒が持つ”気血の巡りをよくする”作用のことを指して言っているのであって、過度に飲んで、

 

結果的に体内に”余分な熱””余分な水分”を生じることを指して言っているのではありません。

 

よく西洋医学で、酒は利尿作用があり、呑んだ量よりも出ていく量の方が多いから、結果的に脱水状態になり、水分補給にはならない、と説かれますが、

 

酒を呑んでいる人をよく観察していると、かえってトイレに行かなくなる人もいます。

 

 

そういう人の場合は浮腫みます。

 

 

このように、「どういう人が」「どういう酒を」「どの程度の量」呑んだかによって、その後起こる現象は一様でなく、これをよくよく聴取して、

 

酒がその患者さんに何をもたらしているか、個別に考えるべきです。

 

(因みにあの、”チェイサー”というのはとてもいい方法だと思います。)

 

 

こうしたことから、日頃よくお酒を飲む、という初診の患者さんには、量、頻度、種類、ペース等々、詳しく聞いておくことが、「正しい」東洋医学的な診断をする上ではとても大事になります。


冒頭の患者さんも、こうした「お酒」というものの特徴から考えると、ちょっと考えにくい症状、所見を呈していたので、
冒頭のようなやり取りになった訳です。

 


お酒以外の嗜好品では「カフェイン類」というのも見逃せませんが、それはまた今度語ることにします。(笑)


まあ、いずれにしても最近のようなジメジメした時期を快適に過ごそうと思ったら、酒だろうがカフェインだろうがジュースだろうが、

 

お茶やお水であっても、過度に飲まないことです!

 


「脾」は湿気(余分なお水)を嫌いますのでネ・・・。

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小児と鍼灸(その2)

2010.06.19

今日も朝からバタバタと臨床臨床・・・。

 


相変わらず鍼にとりつかれております!

(ありがたやー)

 


今日はお昼は清明小学校、午後は清明保育園となりました。(笑)

 


大人はもちろん、小学生も、赤ちゃんも、み~んな鍼でございます!

 


・・・念のため言っておきますが、清明院では小児には極力、怖がったり痛がったりすることを、無理に押さえつけてやるようなことはしません。

 


基本的には
打鍼か古代鍼という、皮膚に刺さない鍼を用います。

 


小児というのは、大人に比べて敏感であるため、嫌がるのを無理に皮膚に刺すよりは、こういうやり方の方がよく効きます。

 


小児も「痛くなく、しかもよく効く」ということが体で分かると、だんだんと自分から

”せんせいはりして~”

って感じになってきます。(笑)

 


たまに、発熱時や、炎症があまりにもきつくて急いで治療しなくてはならない場合などに、ふつうの鍼(毫鍼)を使う場合がありますが、

その時は本人や親御さんに十分確認した上で行いますし、どうしても嫌だということであれば、無理に行うことはしません。

 


ですので、小児の患者さんでも安心して治療を受けることが出来るため、清明院には徐々に小児たちが増えていっている訳です。(笑)

 


医学、医療と言えば西洋医学しかない、東洋医学は怪しい、と思っている大人よりも、彼ら子供の方がよっぽど鍼に素直な反応を示します。

 


幼いころに、鍼で病気が治ったことのある子供が大人になったら、

「東洋医学なんて怪しい、胡散臭い。」

・・・なんて言うはずありません。

 

 

コレは20年後、30年後、必ず大きな波及効果を生むはずなんです。

 


清明院では、大人はもちろんですが、今後もどんどん子供の病気に取り組んでいこうと思っています。

 

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鍼灸学生の治療実習

2010.06.03

今日は、こないだお伝えした、大森にある東京衛生学園から、「治療体験実習」の学生さんがお見えになりました!

一体どんな学生さんが来るのかな~・・と思っていましたが、大変礼儀正しく、勉強熱心な方がやってきまして、一安心。

・・・やっぱ学生さんはいいですね~♪

(笑・・・そういう、ね。)

「目」がキラッキラしとる!

治療が終わってからも、なんやかんやと、業界のこと、北辰会について、中医学について、僕自身の学生時代についてなどなど、色々と話しているうちに、

 

6時に来たのが、あっという間に9時になってしまいました。(笑)


まあ僕個人的には、学生のうちは、興味あることを片っ端からやってみる、興味ある治療法を片っ端から受けてみる、友達を台にして実験してみる、

 

それの繰り返ししかない、と思います。


それを一生懸命やってるうちに、方向性なんておのずと決まってくるもんです。

 

時間は容赦なく経っていき、いつかは決断を迫られる訳ですから。


迷ってるヒマがあったら、とにかく走ってみるしかない、と思います。

(僕自身もそうでした。)


・・・結局、これは鍼灸に限らずですが、何が絶対に正しいなんてないし、何が一番いい、というのも、究極的にはない、と思います。

「いや、そんなことないぜ竹下!俺がやってることこそが一番正しいのだ!」

・・・という声が聞こえてきそうですが、それに対して僕は即答で、

「それは”あなたにとって、相対的に”でしょ?」

と言いたいです。(笑)


自分が見ている「世界」というのは、あくまでも「自分ビュー」でしかないんです。

(まずそこを自覚しないことには話になりませんが・・。)


ということは、その中で得た、その人なりの”正解らしきもの”というのは、必ずしも万人の正解ではないよ、ということです。


「陰陽論」というのは森羅万象の法則性をとても美しく説明する哲学です。

(・・・と、僕は思っています。)


それを行ずる存在である鍼灸師が、ある考え方や論のみを絶対視する、ということは、そもそもおかしな話です。

強力な説得力の裏には、強力な勘違いや思い込み、よく言えば”強力な仮説”が必ずある、ということです。

しかしそれで実際にものごと、現象が変化する、要はそこに美しさを感じ、信じるに足るものだと思うか、胡散臭さを感じるか、それはその人それぞれの「感性」の問題です。

鍼灸学生さんにおかれましては、自分が前者の立場をとれるものと巡り合ったならば、あとはそれを徹底的に追求したらいいんじゃないでしょうか。

(別に無理にそうしなくてもいいけど・・・です。(笑))

次回はどんな学生さんが来るのか、あるいはもう来ないのか、なかなか楽しみな感じです。(笑)

明日もガンバろっと。

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「心」って何ですか?(その5)

2010.06.01

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これまでのお話・・・

「心」って何ですか?(その1)
「心」って何ですか?(その2)
「心」って何ですか?(その3)
「心」って何ですか?(その4)

 


今日は、「心」と「血」の関わりについて・・・

 

☆心と血の関係

 

以前、「肝」って何ですか(その2)において、人体を潤し、栄養する重要な要素である「血(けつ)」は、五臓の中の「肝」に蔵され、

全身に配分調節されている、というお話をしました。

 


しかし、じゃあ「血」は肝に”しか”関わらないのか、というと、そんなことはありません。

 


肝以外の4臓にも、当然関わります。

 

 

その中で、特に「血」と密接にかかわるのが「心」であります。

 

なぜならば、(その1)で述べたように、心の臓には「ポンプ作用(主血作用)」という働きがあります。

 

この働きは、簡単に言うと、ドクンドクンと、全身に血が行きわたるように、律動的に「血」にプレッシャーを与えている作用、という意味です。

(笑・・・そのまんまだネ。)

 


でも、ということは、心には常に一定量の「血」がプールされていなければその働きを果たせませんよね?

 


つまり、十分に血が入ってなかったら、「ドクン」と動いてもスカッと空振りになっちゃうわけです。

 

ですので、「肝」が蔵している血が少なくなってしまうという、病的な状態(肝血虚)の時、肝以外の4臓の中で「心」という臓は非常に悪影響を受けやすい、と言えると思います。

 

こうした、肝と心の密接な関係性を、東洋医学では「心肝同源(しんかんどうげん)」なんて言ったりします。

 

この場合の「源」というのは、この二臓の安定的な機能の源(みなもと)が心も肝もともに「血」であるから、です。

 


そいで、血が少ない、という影響を心が受けると、心の臓の働きがうまく出来なくなり、不眠や動悸、あるいは精神的に不安定になったりと、実に様々な症状が出るのです。

 

こないだ、「肝」って何ですか?のシリーズ10話を読んで下さった、熱心な患者さんに聞かれました。

 

 


患「先生、あれを読むと、体の働きのほとんどは肝がやってないですか?」


竹「いやいや!そんなことはないです。(笑)肝がやってることはすごく大きいけど、他の臓腑の働きもすごいもんです。

これから他の臓腑も解説していきますが、徐々に色んなことが分かってくると思いますよ。お楽しみに!」

 

 

・・・東洋医学をまったく知らない人達に対する、本格的な東洋医学の、誰にでも分かるような解説。

 

この連載は僕にとってのチャレンジでもあるんです。

 

(次回に続く)

 

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患者さんの声(80代女性:末期癌による全身の浮腫み、激痛、呼吸困難など)

2010.05.25

久々に、「患者さんの声」をいただきましたので、載せさせていただきます。


本症例の患者さんは、今年(平成22年)の2月に他界されました。

以下の文章は、お孫さん(現在清明院に通院中)が書いて下さったものです。

 


80代 女性

症状:全身転移による末期癌による浮腫み、呼吸困難、歩行困難、全身の痛みなど

 

昨年(平成21年)の秋頃、祖母の細い足が急にゾウの足のように浮腫み、それをきっかけに病院の検査で調べた結果、癌の末期と宣告されました。

 


足の浮腫み以外は特に身体に大きな不調がなかったので、家族にとっては大きな衝撃でした。

専門医の先生は祖母の年齢、体力を考えて、手術や抗癌剤治療は勧めませんでした。

 
家族で慎重に話し合った結果、祖母には病気の事は伝えず、これまで通り、普通の生活をしながら祖母を看病し自宅で看取ることを決めました。

 


祖母は以前から足腰の不調等で竹下先生にお世話になっていたので、祖母の身体に関しては、引き続き竹下先生に全面的にお任せすることにしました。

 
これは私達家族からの願いでもありましたが、竹下先生の目指すところは、なるべく苦しませずに逝かせてあげること、でした。

 


昨年の
10月頃から竹下先生と松木先生が交代で週に34日、往診にきてくださり、特に大きな変化は無く新年を迎えられました。

 
癌患者とは思えないほど食欲はあり、癌の末期だなんて誤診ではないか、と疑ったくらいでした。

若干のふらつきがありましたが、鍼のあとはふらつきがなくなり、元気と自信を取り戻している様子でした。

 


その後徐々にふらつきが強くなり、家の中を動く事もままならなくなった頃、さすがの祖母も不安を覚え、落ち込んでいる事が多かったのですが、

やはり竹下先生と松木先生に優しく励まされ、支えて頂いていたように思えます。

 


鍼が終るとニコニコしていて

「心配しなくていいよ。」

って言われた、とうれしそうに話していました。

 


2月に入った頃からたまに腹部に痛みを訴えたり、ちょっと動くと息切れがひどかったり、食欲が減ってきたり、

と色々出てきましたが、ほぼ全て鍼で対処して頂き、穏やかに過ごさせていただきました。

 


年明けくらいからは近所の内科医院の先生も往診にきて下さっていて、介護保険を使って介護ベッドや酸素の機械や、

浮腫みをとるマッサージ機などをレンタルして下さり、病状に合わせて薬を出して下さっていました。

 


なんとなく外枠のケアを西洋医学で、内側を東洋医学で、といった感じの西洋医学と東洋医学のコラボレーションだったように思えます。

 


2月の中旬に体調が急に悪化し、2月末に亡くなるまで、竹下先生がお忙しい合間
を縫って毎日来てくださいました。

先生が毎日来て下さる事は祖母にとっての安心でもありましたが、私達家族の安心でもあり心の支えでもありました。

先生の月に唯一のお休みの日まで

 

「いつでも携帯に電話してください。」

 

とおっしゃってくださった先生に、本当に感謝の気持でいっぱいでした。

 

昨年の10月の時点で全身に癌が転移していて、手のほどこしようがない、という状態だった祖母が、亡くなる数日前まで食べたい物を美味しい、と言って食べていられた事、

 

癌の末期患者として苦しんだのは最後のほんのちょっとだけで、しかもその頃はほとんど意識が無かったと思うので、祖母はおそらく自分が重い病気であることに気付かないまま亡くなっていけた事は、

 

祖母自身にとっても私達家族にとっても、幸せな事だったと思います。

 

鍼治療の不思議を見せて頂きました。

 

そして何より竹下先生と松木先生が一生懸命やってくださったおかげだと思っています。

 

心から感謝しています。

 

約半年間、祖母の事でお世話になり、先生方はすっかりうちの親戚一同のヒーローとなり、死ぬときは清明院にお世話になる、と決めている人たちもいるので、

 

 

 

私を含め家族、親戚ぐるみで今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

 

◆清明院からのコメント

 

 

この症例は、末期癌と判明してから、亡くなられるまでの約4カ月間を、ご家族の要望により、ほとんど鍼のみで対応した、貴重な症例であります。

上の文章にもある通り、本症例の目的は、なるべく患者さん御本人を楽に逝かせてあげることでした。

「腎虚水泛(じんきょすいはん)、血熱(けつねつ)」と証を立てて最後まで治療し、それはなんとか達成してあげられたと思いますが、

 

最後は亡くなってしまった訳ですから、僕にとっては、もっとこうしてあげられたんじゃないか、ああしてあげられたんじゃないかと、今でも、

 

色々と考えさせられる症例でもあります。

 

人間は早かれ遅かれ、誰でもいつか必ず亡くなります。

 

悲しいけど、それは皆が分かっていることです。

 

ただ、最後亡くなる時ぐらいはなるべく苦しみたくない、周りに迷惑をかけたくない、というのが、多くの患者さんの考え方です。

 

この患者さん自身もそういう方でした。

 

この症例のように、現代西洋医学的には手の施しようがない状態の患者さんにも、鍼は強い味方になります。

 

鍼をして、安心し、痛みが楽になる、よく眠れる、結果、そんなに苦しまずに、比較的安らかに最期を迎えられる。そういう症例を、僕の短い臨床経験の中でも、何例も経験しています。

 

反対に、病院から手の施しようがない、と言われているにも関わらず、開腹手術、抗癌剤治療を選択し、酷い副作用に苦しみながら、本人もご家族も泣きながら亡くなっていった患者さんも、これまでに何人か診ています。

 

この方が亡くなられる前日の、意識があった最後の往診の時、帰り際に、

「明日も来るからね。」

 

と声をかけると、それまで苦しそうにしていたのに、ニコッと笑って頭を下げた、この患者さんの笑顔を、今でも昨日のことのように思い出します。

 

「東洋医学」とは何なのか、“人の生き死に”に対して何が出来るのか、限界は果てしない、と僕は思っています。

 

 

 

 

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