東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「太極」「無極」の意味 参考引用文献

2019.10.07

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このシリーズも、あらゆる書籍を参考にさせて頂きました。

 

 

以下に、メインとなった書籍を挙げておきます。

 

 

 

『漢易研究』鈴木由次郎

 

『宋代易学の研究』今井宇三郎

 

『太玄易の研究』今井宇三郎

 

『太玄経』鈴木由次郎

 

『易学入門』安岡正篤

 

『易と人生哲学』安岡正篤

 

『気の思想』小野沢精一ほか

 

『戴震の哲学』村瀬裕也

 

『王弼の易注』塘耕次

 

『周易参同契』鈴木由次郎

 

『朱子の自然学』山田慶児

 

『朱子の哲学』大濱晧

 

『朱子学と陽明学』島田虔次

 

『朱子学と陽明学』小島毅

 

『易』本田済

 

『易経講話』公田連太郎

 

『東洋易学思想論攷』濱久雄

 

『占いの想像力』池田知久ほか

 

『東洋医学の宇宙』藤本蓮風

 

『鍼灸治療のための易経入門』小林詔司

 

『鍼灸・漢方の名医になるための秘訣』神野英明

 

『鍼灸真髄』代田文誌

 

『鍼灸沢田流』山田国弼

 

 

この他にもたくさんあるんですが、メインとしてはこんなところです。

 

 

 

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「太極」「無極」の意味 14

2019.10.05

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これまでのお話し

 

「太極」「無極」の意味    

「太極」「無極」の意味 2 

「太極」「無極」の意味 3      

「太極」「無極」の意味 4 

「太極」「無極」の意味 5   

「太極」「無極」の意味 6

「太極」「無極」の意味 7  

「太極」「無極」の意味 8  

「太極」「無極」の意味 9   

「太極」「無極」の意味 10 

「太極」「無極」の意味 11      

「太極」「無極」の意味 12

「太極」「無極」の意味 13

『列子』という人物             参照

 

 

さて、続きいきましょう!!

 

 

「太極療法」なるもの。

 

 

鍼灸治療において「太極」という言葉を盛んに用いた近代の鍼灸家では、なんといっても澤田健先生がおります。

 

澤田健という人物     参照

 

 

澤田先生は、自身の治療を「太極療法」と称しました。

 

 

この先生自身の著作はほぼないのですが、高弟である代田文誌先生が治療院見学研修中に聞いた、澤田先生の発言をまとめて書いた「聞き書き書」である『鍼灸真髄』は、

 

鍼灸界のベストセラー、かつロングセラーと言っていいでしょう。

 

 

20181202_153448.JPG

 

 

↑↑真面目そうな代田先生。

 

 

 

この本の中に、澤田健先生がなぜ自分の治療のことを「太極療法」と呼んでいるかが、代田文誌先生の言葉で書いてあります。

 

 

「要するに先生の治療は、五臓六腑の中枢を治すことにより末梢をも治す、局所治療ではなく、根本治療である。末梢的、小局的な治療に対して、自身の治療を太極療法という。」

 

「末梢の治療にばかり気を取られて中枢の根源を忘れた西洋医学は小乗の法であり、根本治療は大乗の法。大乗法華経の一年三千十二因縁の理による太極療法だと言われる。」

 

(以上『鍼灸真髄』P19)

 

 

澤田先生は若い時分から日蓮宗に傾倒し、晩年は時代背景もあったのか、神道、国粋主義に傾倒したことが知られていますが、その発言には仏教の知識が豊富にあることをうかがわせるものが多いです。

 

 

また、

 

「複雑多岐多端になって帰一するところを失った観のある現代西洋医学に対して、それを簡約し、万古不易の治療原則を教えるものである。」

 

とも説明し、また、澤田先生自身の発言として、

 

「昔から治療には小局治療と太極治療とがあって、太極治療は一流でないと出来なかったものだ。」

 

「東洋には名の付く病気などというものはないのだ。病気というのは血の循環が不平均になったということなのであって、それに名を付けるだけでいい気になっているなんて、実にばかげた次第です。」

 

という発言を紹介しています。

 

(同書P30より)

 

 

このように、過激な発言が多いのも、澤田先生の魅力の一つだと思います。

 

(それが原因で叩かれたりもしていますが。(苦笑))

 

 

しかし、臨床の場での実際の澤田先生は、こういう辛辣な物言いもするけど、時には冗談も飛ばし、豪快に爆笑しながら診療を行うような、

 

明るい先生であったようです。

 

(なんか、誰かと似ているような。。。)

 

 

また、澤田健先生のもう一人の高弟である山田国弼(くにすけ)先生『鍼灸沢田流―原理から実際―』では、「太極」の語源である『易経』をはじめとする中国の古典の内容にも触れつつ、

 

また、西洋医学の考え方にも十分に触れつつ、「太極療法」の意義の説明と理論化を試みています。

 

 

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↑↑あまり知られていませんが、この人の著作は非常に精緻で、大変な勉強家であったことが分かります。

 

 

 

この本は入手困難本なんですが、是非入手して読んでもらいたい本ですね。

 

 

・・・とにかく、澤田先生が意識した「太極療法」というのは、どこそこの経穴に鍼灸するとか、どこそこの部位に着眼するとか、そういう意味ではなく、

 

古典の教える鍼灸治療法を通じて、結果的に

 

「血液循環の不平均を正す、それによって自然の良能(治る力)を引き出す」

 

ことが、より人体にとって根源的な「太極」治療なのである(西洋医学へのアンチテーゼとしての意味も込めて)、という立場なんですね。

 

 

澤田先生がこれを述べ、実践しておられたのが、今から約100年前の昭和初期ですが、基本的には今でも通用する考え方であり、現在、世界が中国伝統医学に注目しているのも、

 

中国伝統医学が、近代西洋医学にはない、こういった考え方でもって治療を実践し、結果を出すことが出来ているからでしょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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「太極」「無極」の意味 11

2019.09.27

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これまでのお話し

 

「太極」「無極」の意味    

「太極」「無極」の意味 2 

「太極」「無極」の意味 3      

「太極」「無極」の意味 4 

「太極」「無極」の意味 5   

「太極」「無極」の意味 6

「太極」「無極」の意味 7  

「太極」「無極」の意味 8  

「太極」「無極」の意味 9   

「太極」「無極」の意味 10     参照

 

 

さて、続きいきましょう!!

 

 

◆「周氏太極図」の解釈   その2

 

 

前回、周敦頤(周濂渓)「周氏太極図」↓↓において最も目立ち、清明院のロゴにもなっている「水火匡郭図(すいかきょうかくず)」について簡単に解説しました。

 

 

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↑↑これの中の・・・

 

 

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↑↑これね。

 

 

これは「太極」「陰陽」のお話でしたね。

 

カテゴリ 陰陽    参照

 

 

・・・で、今日はその下の「三五至精図(さんごしせいず)」ってやつについて、簡単に解説しましょう。

 

 

 

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↑↑この図ね。

 

 

要は今日は「陰陽」→「五行」の話ですね。

 

カテゴリ 五行   参照

 

 

・・・易には有名な「河図洛書(かとらくしょ)」という図があります。

 

(ちなみに河図洛書のことを略して”図書(としょ)”と言うそうです。”図書館”の図書とは、もともとはそういう意味だったのか・・・?)

 

 

このうちの「河図」というのは、「十数図」とも呼ばれるそうです。

 

 

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↑↑これです。

 

 

この図は、簡単に言えば易の考え方でもって、宇宙万物創造の過程を描いた図であり、図中の○は陽、●は陰を示し、下が北、上が南、左は東、右は西を示します。

 

(方角を言っているのに、普通の地図とは上下左右が逆です。これは陰陽論では、上と左は陽、下と右は陰だからだと思います。)

 

 

そしてよく、この図を説明する時に、

 

「天一は水・北方を生じ、地二は火・南方を生じ、天三は木・東方を生じ、地四は金・西方を生じ、天五は土・中央を生ず。」

 

「地六は水・北方を成し、天七は火・南方を成し、地八は木・東方を成し、天九は金・西方を成し、地十は土・中央を成す。」

 

と言われ、これはまあ要するに、天地(陰陽)が定まったのちに、五行(森羅万象の性質や分類)が生じていく過程を順に説明しています。

 

 

上記の河図の説を踏まえて、冒頭に出した周氏太極図の中の「三五至精図」↓↓を考えると、

 

 

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真ん中に土(五)

 

があり、

 

左に火(二)と木(三)、足して五

 

があり、

 

右にも水(一)と金(四)、足して五

 

があり、つまり真ん中と両サイドに「三つの五」があるから、「三五」と言われるそうです。

 

 

そしてこの、木火土金水の五行で描かれる「三五」は、下にある「ナゾの◯」に連なります。(笑)

 

 

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              ↑↑ここね。

 

 

この◯は、「天地の一元気」と理解され、丹書である『周易参同契』「三五、一となり、天地至精」とあるように、

 

陰陽が五行を生じ、それが天地の一元気となる過程をあらわしています。

 

 

そして「三五至精図」ではこの、五行間をつなぐ実線にも、意味があります。

 

 

 

長くなったので続く。(∩´∀`)∩

 

 

 

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「太極」「無極」の意味 10

2019.09.26

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これまでのお話し

 

「太極」「無極」の意味    

「太極」「無極」の意味 2 

「太極」「無極」の意味 3      

「太極」「無極」の意味 4 

「太極」「無極」の意味 5   

「太極」「無極」の意味 6

「太極」「無極」の意味 7  

「太極」「無極」の意味 8  

「太極」「無極」の意味 9        参照

 

 

さて、続きいきましょう!!

 

 

◆「周氏太極図」の解釈

 

 

前回も出したこの図。

 

↓↓

 

 

 

wp-1589886566650.jpg

 

 

 

周敦頤さんの宇宙生成図(周氏太極図)な訳ですが、この図に関する詳細な解説がなされている本はあまりないようですが、私の手元にあるものだと、

 

やっぱり鈴木由次郎先生の『漢易研究』と、今井宇三郎先生の『宋代易学の研究』に詳しいですね。

 

(この二冊はマストだね。10年ほど前に、苦労して入手しといて良かったです☆)

 

 

まず、清明院のロゴにもなったこの図↓↓ですが、

 

 

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これは「水火匡郭図(すいかきょうかくず)」と言います。

 

 

ちょっと難しくなりますが、ここまで来たら、簡単に解説、やってみましょう。

 

 

この図のドーナツの左半分は内側から白→黒→白、右半分は黒→白→黒、です。

 

 

白は陽、黒は陰だとすると、左は陽→陰→陽、右は陰→陽→陰、という順番になっています。

 

 

これを、易の八卦で言うと、左は「離火(りか)の卦」、右は「坎水(かんすい)の卦」で表されます。

 

 

☲(離火)

☵(坎水)

 

 

(↑↑真っ直ぐな横棒が陽を示し、途中で切れてる横棒が陰を示すのね。)

 

 

 

・・・で、「水火匡郭図」は左右で「離火と坎水」、つまり陰陽を示しています。

 

 

陰陽は繋がっており、真ん中には太極があり、図の下にはくっつくように半円が描かれ、これは陰陽が互根であり、しかも五行に連なることが示されています。

 

(五行の説明は次回)

 

 

ここで、宇宙の大きな陰陽を示すなら、陰陽を左右に割るのではなく、上下(天地)に割った方がいいのではないか、という疑問が浮かびますが、

 

清代の著名な学者である毛奇齢先生の解釈では、「左右」は方角で言えば「東西」であり、東西に離火と坎水を置くのは、北宋の儒学者である、

 

邵雍(しょうよう 邵康節しょうこうせつ 1012-1077)が強調した、易の「先天図」の考え方であり、左右が坎離(かんり)ということは上下(南北)は乾坤(けんこん)となり、

 

この思想(先天図の考え方)は道家によって受け継がれてきたことから、この図は、道家の内丹書である『周易参同契』の影響を受けている、という風に解釈なさるそうです。

 

(・・・ま、毛先生のこの説については反対意見や疑義もあるようですが。『宋代易学の研究』『占いの想像力』参照)

 

 

神野英明先生『鍼灸・漢方の名医になるための秘訣』では、先天図というのは、陰陽の対待(たいたい)関係を示した図である、と説明して下さっております。

 

(まあ対待関係を簡単に言えば、対立と統一、つまり、あっちがなけりゃこっちもない、という陰陽関係のことです。)

 

 

因みに、『易経』の説卦伝における「天地定位、山沢通気」という文言を、『太玄経』では、「南北定位、東西通気」と置き換えています。

 

 

『太玄経』については長くなるのでいつか触れるとして、ここでは詳しくは述べませんが、たったこれだけの図で、「南北定位」が易の体、「東西通気」が易の用とし、

 

その上で、先天図は天地自然の法象、後天図は変化活動の法象、と仰る鈴木由次郎先生の解釈が、シンプルでシャープで、個人的にはすごく気に入っています。

 

 

まあ、簡単に言うと、清明院のロゴマークになっている「水火匡郭図」ってのは、

 

「場そのものや、森羅万象の関係性がもつ原理を示した図」

 

ってことなんですね。

 

 

上記のような考え(まあ他にもあるんだが。。)を知って、20代の半ば頃、妙にこの図の持つパワーに夜な夜な一人で興奮し、魅かれており、

 

開業したらロゴはこれかな、とか思っていました。(゚∀゚)

 

(ナツカシー)

 

 

 

続く。

 

 

 

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「太極」「無極」の意味 9

2019.09.25

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これまでのお話し

 

「太極」「無極」の意味    

「太極」「無極」の意味 2 

「太極」「無極」の意味 3      

「太極」「無極」の意味 4 

「太極」「無極」の意味 5   

「太極」「無極」の意味 6

「太極」「無極」の意味 7  

「太極」「無極」の意味 8      参照

 

 

さて、続きいきましょう!!

 

 

◆色々な太極図

 

 

さて、この太極を図に示したものをよく「太極図(たいきょくず)」と言います。

 

 

清明院のロゴマークの元になったこの図が、歴史上最初に登場した太極図だそうです。

 

↓↓

 

 

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これは、中国、北宋の時代の儒学者、周敦頤(しゅうとんい、周濂渓しゅうれんけい ともいう。 1017-1073)先生が『太極図説』に書いた図、

 

ということで「周氏太極図」という呼称が一般的です。

 

 

これは実はいくつかの図が組み合わさった図なんですが、とりあえず一番上の〇は、このシリーズで説明した「無極而太極」を示し、次のシマシマの〇は「陰陽」を示し、

 

次に「五行」、そして最終的に「万物」という、宇宙生成の道理を示しているんだそうです。

 

 

因みにこの図は、後漢の魏伯陽という人物が著したと言われる『周易参同契』という、煉丹術に関する本の影響を受けていると言われます。

 

(鈴木由次郎『漢易研究』参照)

 

 

この図については、なんつっても清明院のロゴの元ですから、後ほどゆっくりとキッチリと説明しましょう。(`・ω・´)ゞ

 

清明院ロゴマークについて    参照

 

 

あと、まあなんつっても、太極図として有名なのはこの図でしょう。

 

↓↓

 

 

陰陽魚太極図

 

 

実は、この図の作者や来源はイマイチ分かってないみたいです。

 

 

まあ、諸説あるようですが、歴史上に登場したのは、一番上に示した「周氏太極図」よりも後、と考えられるようです。

 

(今井宇三郎『宋代易学の研究』参照)

 

 

この図は「太極陰陽魚図」とか、「陰陽魚太極図」とか、「天地自然の図」とか、「天地自然河図」とか、色々な名前があるようで、道教の道士がよく用いたことで知られています。

 

 

あと、アメリカのサーフブランド、タウンアンドカントリーのロゴとかネ。(笑)

 

 

あと、こんなのもあります。

↓↓

 

 

 

 wp-1590744520926.jpg

 

 

↑↑これは中国明代の来知徳(らいちとく 1525-1604)先生が著した図だそうで、「円図」とも呼ばれます。

 

(真ん中の〇を太極、白を陽、黒を陰とし、縦に入った黒線が陰、白線が陽だとする図です。『来註易経図解』より)

 

 

今は深入りしませんが、この図もまた、非常に深い意味を持っているようです。

 

 

あとは、韓国の国旗にみられるように、あらゆる国旗や軍旗、地方自治体のマークなんかにまで使われる「太極図」。(笑)

 

(因みに、李氏朝鮮の国王の旗と、国軍の軍旗に清明院のロゴと同じマークが使われていますが、清明院と李氏朝鮮はまったく無関係ですので。。。(苦笑))

 

 

また、韓国は、この図を朝鮮半島発祥の図だと主張しているとか。。。(苦笑)

 

 

・・・まあ、「太極図」というのは、色々な図柄や来歴や考え方があるにせよ、要は「太極」「陰陽」に含まれる深遠な哲学を、簡単な図で表現しようとした結果な訳ですね。

 

 

確かに、図にしてくれたら、クドクドと漢文で説明されるよりは、分かりやすくていいネ!!(゚∀゚)

 

 

 

続く。

 

 

 

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「太極」「無極」の意味 7

2019.09.22

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これまでのお話し

 

「太極」「無極」の意味    

「太極」「無極」の意味 2 

「太極」「無極」の意味 3      

「太極」「無極」の意味 4  

「太極」「無極」の意味 5      参照

 

 

さて、続きいきましょう!!

 

 

◆「気」の哲学の変遷

 

 

さてここまで、「太極」「無極」「その両者の関係」「鍼灸臨床家としてはどうか」あたりを題材として話を進めてきました。

 

 

「臨床家としてはどうか」というところで、北辰会ではこの医学の言う「陰陽論」を、単に「陰陽論」と呼ぶのではなく「”太極”陰陽論」として、

 

理解、運用するべきだ、というお話(臨床古典学)もしました。

 

 

蓮風先生の御著書では、中国、成都中医薬大学の教授で、易学の大家である鄒学熹先生『易学十講』の論を参考に、陰陽論というのは「陰」「陽」「その境界線」の3つ、

 

「三を含みて一となす」という考えがあり、全て一つであるという太極と、陰陽と境界の太極があるからだ、と説きます。

 

(因みにこの辺の詳細(『易学十講』の部分的翻訳)は、北辰会機関誌『ほくと』17号に掲載されています。)

 

 

まあこれは、簡単に言えば何かを陰陽に分ける時に、その基準(境界)を明確に!というお話です。

 

 

そしてこれには、背景として「気一元論」という考え方があります。

 

「気一元論」を含む記事  参照

 

 

「気一元論」は、簡単に言えば「この世界は全て気で出来ているのさ」という考え方です。

 

 

東京大学出版会『気の思想』によれば、「気一元論」という言い方は、特に誰それさんが言い出した言葉、というワケではないようで、古くは『老子』『荘子』『淮南子』の中にもあるっちゃある考え方であり、

 

この考え方を強調したのは、中国では北宋の張横渠(ちょうおうきょ 張載(ちょうさい)ともいう 1020-1077)、日本では伊藤仁斎(1627-1705)が有名だそうです。

 

伊藤仁斎という人物    参照

 

張横渠もせっかくなんでそのうち紹介しましょう。この人は何とあの程顥と程頤(二程子)の叔父さんです。優秀な一族だねえ~~ (゜レ゜))

 

 

荘子の

 

 

・・・因みに、現代中国では大きく気の哲学について3つの流れがあると考えているそうで、

 

1.程伊川と朱子の「性即理」の考え方(客観唯心論、客観的観念論)

 

2.陸象山と王陽明の「心即理」の考え方(主観唯心論、主観的観念論)

 

3.張横渠と王夫之の「気」の哲学(唯物論)

 

とし、3.の唯物論哲学こそ最高のものである、としているそうです。

 

(by 『朱子学と陽明学』島田虔次)

 

(因みに、王夫之気一元論に関してはこの論文が参考になりました。)

 

 

しかしこの、3.の、気一元論を、全くの唯物論と解し、それを最高のものとする考え方と、北辰会の考え方は違います。

 

 

中国哲学、中国伝統医学に通底する「気」という概念は、唯物論でとらえきれるものではない、と考えています。

 

 

北辰会では「気」を唯物論でとらえ、最小精微な物質である、とするのではなく、むしろ生命原理、生命原体ともいうべきものとして、生気論的に理解しています。

 

 

つまり「気」を、物理学(ニュートン力学)の言うような質量を持った存在、と考えるのであれば、それとは認識を異にする、ということです。

 

(といって、量子力学の言うような素粒子とも同じでないと思いますが。)

 

 

・・・ま、「気ってなに??」という問いに対しては、トートロジー的になるけど、10年前に書いたように、「気は気です。」という答えがやっぱベストかな、と。

 

「気」ってなんですか?(その3)    参照

 

 

ここまでの話で言えば、生成論の太極も、場の論の太極も、認識論、存在論における主観と客観も、ぜーんぶただ一つの気の動きの一様態ですよ、ってことですね。

 

 

次回、清代に「気は動きである」この理論を完成させたと言われる戴震(1723-1778)さんを紹介します。

 

 

 

続く。

 

 

 

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「太極」「無極」の意味 5

2019.09.20

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これまでのお話し

 

「太極」「無極」の意味    

「太極」「無極」の意味 2 

「太極」「無極」の意味 3      

「太極」「無極」の意味 4   参照

 

 

さて、続きいきましょう!!

 

 

◆「陰陽論」ではなく「”太極”陰陽論」。 その①

 

 

ここまでで、「太極」の意味、「無極」の意味、さらには「太極と無極の関係」について、僕なりに考えてみました。

 

 

まあ簡単にまとめると、「太極」はもともとは中国哲学の古典中の古典である『易経』の宇宙生成論から始まって、歴史的変遷を経て、道教や仏教との接触、

 

「無極」という言葉との比較検討を経て、より理解が深まり、高度な哲学用語となって、今に至っている、という感じでしょうか。

 

 

・・・で、この「太極」なるものを、我々東洋医学をやるものがどう考えるか、という話なんですが、何年か前に私も北辰会でこの辺の話を講義させていただいたことがあるんですが、

 

その内容は蓮風先生の御著書、『東洋医学の宇宙―太極陰陽論で知る人体と世界―』に書いてあります。

 

 

この本の中で、「太極」の意味に関して、蓮風先生はシンプルに、3つの意味で纏めて下さっています。

 

 

つまり、

 

1.天地創造分化の大本

 

2.陰陽する場

 

3.認識以前の状態

 

この3つです。

 

 

 

1.はこれまでにも出てきている、生成論の話です。

 

 

まずは混沌とした状態があって、それが陰陽に分かれて、さらに細かく分かれて、万物となった、という話です。

 

 

この話は有名な『淮南子』にも出てきます。

 

『淮南子』を含む記事    参照

 

 

2.は、「陰陽」というのは要は森羅万象(気)の「動き」のことで、相対的に動的な面を陽、相対的に静的な面を陰、と分ける訳なんですが、

 

この、「陰と陽が交わり、関わり、相互に動く場」そのものを「太極」と言う、という理解です。

 

 

よく我々は、もう間もなく亡くなる患者さんの脈や腹を診察した時、所見が1日の中でもコロコロ変わる、という状況に接することがあります。

 

 

そんな時、

 

「いよいよ太極が小さくなってきた」

 

という表現で、その現象を評価することがあります。

 

 

まさに、生命が現象する場(太極)である脈や腹部が、非常に小さく、狭く、弱々しくなってくると、脈で言えば、早くなったかと思ったら急に遅くなったり、

 

強くなったかと思ったら急に弱くなったりしますし、腹で言えば、臍の位置がコロコロ変わったり、また、腹の状態と脈の状態がチグハグになったりします。

 

七死の脈⑩ 附録 形気の不和について

腹診における逆証所見 まとめ

「順証」と「逆証」について             参照

 

 

3.は、認識する主体が、対象物を認識する”以前の”状態を「太極」と呼ぶ、ということであり、五感なり何なりで、対象を認識した時点で、

 

すでにそれは太極から陰陽の範疇に入っている、という意味ですね。

 

(ただし、次回書きますが、陰陽であっても、必ず”太極を踏まえて”陰陽に分ける、分析する、という意識が大事です。)

 

 

つまり、我々が日々患者さんを診るということは、

 

1(生成論).太極から生じた万物の一部である患者さんを、同じく太極から生じた万物の一部である我々が、

 

2(場の論).患者さんそのものを太極と考え、それを踏まえた上で、陰陽という物差しでもって、

 

3(認識論).四診という手法で陰陽の不調和を認識し、それを調える

 

という行いである、ということです。

 

 

次回もう少し補足します。

 

 

 

続く。

 

 

 

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「太極」「無極」の意味 3

2019.09.18

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これまでのお話し

 

「太極」「無極」の意味    

「太極」「無極」の意味 2    参照

 

 

さて、続きいきましょう!!

 

 

◆「無極」の意味

 

 

(一社)北辰会の会員諸氏にとって、この「太極」「無極」というパワーワードは、非常に気になるワードでしょう。

 

 

また北辰会の会員以外の先生方も、東洋医学の勉強がある程度進んだら、気になる人は多い筈。

 

 

 

僕がちょうど北辰会にチョロチョロと出入りするようになった2000年代の初頭の頃、蓮風先生はよく「初学者のための太極陰陽論」というテーマで講義なさっていました。

 

(当時は難解で、聴いていてもよく分かりませんでしたが。。。(∩´∀`)∩)

 

 

その講義内容を分かり易くまとめた本が『東洋医学の宇宙―太極陰陽論で知る人体と世界―』です。

 

 

因みにこの本は、堀内齊毉龍先生『弁証論治のための論理学入門』と姉妹編になっていることも見逃せません。

 

 

しかも、蓮風先生の御尊父である藤本和風先生「無極会」という勉強会を主催されていたことでも知られています。

 

(残念なことに、無極会は現在はありませんし、無極会としての著作も残っていません。。。)

 

 

・・・まあそんな訳で、このワードは藤本家、北辰会が非常に大事にしていることが分かります。

 

 

東洋医学の考え方を理解していくうえで、また、北辰会方式を習得していくうえで、妙に気になる、この「太極」「無極」に対する理解というのは、

 

根本哲学に関わるという意味で、重要ではないでしょうか。

 

 

前回、北宋代の周敦頤(1017-1073)「無極而太極」という、これまたパワーワードを紹介しました。

 

 

ここで、まずは「無極」について調べてみましょう。

 

 

平河出版社『道教事典』によれば、

 

 

◆無極

 

元来は”極まりない”という意味。

 

『老子』『荘子』『列子』に、無名、無物、無形などとともに、”無”の様態を形容する語の一つとして、哲学的意味を付与されている。

 

「老子」という人物

「荘子」という人物

『荘子』の渾沌のお話

「列子」を含む記事          参照

 

(列子に関しては紹介してなかったですね、良い機会なんで、これも書きましょう!!)

 

 

その後、『易経』の「太極」とともに、”太極=有の原理”、”無極=無の原理”として、より重い意味を持つようになる。

 

『易経』を含む記事    参照

 

 

つまり、有の本源に無を置くという思想から、儒教を超える道家思想、という図式を表現した。

 

道教文献の中にはもちろん”極まりない”という意味での「無極」という使われ方もあるが、主に、”太極の本源としての無極”という用例が目立つ。

 

また、「無極」を、経典そのものや、神仙の名称としても用いている。

 

南宋代の朱子(朱熹 1130-1200)は、無極と太極を同一次元のものとし、ともに「理」の基本的性格を表す語とし、有の次元に無の原理性を取り込んだ。

 

(んー、ここはムツカシー(゜o゜))

 

(以上引用。土田健次郎氏の文章を竹下が抜粋要約補足改変。)

 

 

 

 

・・・まあなるほど、「無極」はもともとは諸家の本に出てくる、極まりない、というほどの意味の言葉だったのが、『易経』の太極(生成論の最初を意味するアレね)と比較検討されていくことで、

 

理解が深まっていき、これも認識論哲学的な、重い意味を持つようになった、と。

 

 

このように、儒家の考え方と道家の考え方というのは、時代時代で接触したり離れたりしつつ、言葉の意味の検討を通じて、切磋琢磨してきた歴史があるようですね。

 

(また、古代中国で、インドから来た仏教を理解するのに、道家や儒家の考え方がその解釈に入っていったことも興味深いですね。)

 

 

まあ、「太極」「無極」という熟語の理解においては、宋代の周敦頤から朱子の流れがやはり決定的であるようで、ここをもう少し理解するためには、

 

朱子学における「理」の意味を少し掘り下げて理解した方がいいように感じます。

 

 

 

続く

 

 

 

【参考文献】

 

『道教事典』平河出版社

 

 

 

 

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「太極」「無極」の意味 2

2019.09.16

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前回のお話し

 

参照

 

 

さて、続きいきます。

 

 

まずは辞書引きからいきましょうか。

 

 

平河出版社『道教事典』によれば、

 

 

 

 

◆太極

 

天地万物の根源。

 

『易経』の生成論(太極→両儀→四象→八卦)の最初。

 

『周易正義(※)』においては”一元の気”と説明。

 

 (※)唐代に国家事業として編纂された儒教経典の注釈本『五経正義(653年)』の一つ。

 

北宋の周敦頤(1017-1073)は、太極の無形であることを強調するために「無極にして太極」の語を用いた。

 

さらに周敦頤は、『周易』の生成論を補足拡大して「無極而太極→陰陽→五行→八卦→万物」と述べた。

 

その後、南宋の朱子(朱熹 1130-1200)は『太極図説解』の中で周敦頤の「太極而無極」を重んじ、「無極を太極の本体」「太極を無極の作用」としつつ、太極無極の不即不離化をはかった。

 

朱子はさらに「体用論」「理気説」の立場で宇宙を認識せんとした。

 

このように、「太極」という熟語は生成論から始まり、朱子に至って認識論という意味を付与される、という変遷をした。

 

その後、17世紀に明末清初の儒学者、王夫之(1619-1692)が朱子の理気説に反論して「気が理に優先する説」を徹底させた。

 

因みに王夫之の思想は後の毛沢東にも影響を与えたと言われる。

 

さらにその後、18世紀に清代考証学の大成者と言われる戴震(1723-1778)が出て、「存在の根源を気に求める思想」を決定的にした。

 

(以上引用、花崎隆一郎氏の文章を竹下により抜粋補足意訳、箇条書きに変更。)

 

 

 

 

もともとは万物が陰陽に分かれる前の混沌とした状態のことを「太極」と呼んでいたようですね。

 

 

それが、宋代になって、ものごとを認識する際の認識論哲学の用語としても用いられるようになった、という感じでしょうかね。

 

 

「体用論」については以前少し書きました。

 

「体用理論」に関して 5    参照

 

 

話しが難しくなってきましたが、東洋医学をきちんとやるなら避けて通れないこの難題、徐々にまとめていきましょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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「体用理論」に関して 5

2019.08.06

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これまでのお話し

 

「体用理論」に関して 1

「体用理論」に関して 2   

「体用理論」に関して 3  

「体用理論」に関して 4     参照

 

 

◆滑伯仁の「体用」観。

 

 

尊敬する大先輩である神野英明先生『鍼灸・漢方の名医になるための秘訣』に、中国元代の名医、滑寿(かつじゅ 別名:滑伯仁かつはくじん 1304-1386)の見解が紹介してあるので、触れておきます。

 

 

滑伯仁についてはこのブログに何度も出てきていますが、そのうちきちんと紹介しましょう。

 

「滑伯仁」を含む記事 参照

 

 

滑伯仁は、現代の鍼灸学校の経絡経穴学の教科書の元ネタと言っていい『十四経発揮』や、現代の鍼灸師の脈診と言えば一番有名な「六部定位脈診」の根拠となる『診家枢要』を著した人物であり、

 

『難経』の解釈本としても極めて重要な『難経本義』の著者でもあり、現代の日本伝統鍼灸の臨床家にとっては避けて通れない人物です。

 

「六部定位脈診」の根拠    参照

 

 

その滑伯仁の発言として、張景岳先生が紹介しているくだりです。

 

「最も微妙なものは理、最も顕著なものは象、体用は根源的に一つ、微妙と顕著には間が無く、その理を理解すれば現象は押し広げて分かるものです。」

 

と。

 

(滑伯仁の発言を張景岳が引くってのも、ワクワクしますね。)

 

「張景岳(ちょうけいがく)」という人物    参照

 

 

元の時代に、鍼灸医学を猛プッシュして下さった名医である滑伯仁先生は、最も霊妙な原理と、最も顕著な現象は、根源的に一つ(体用一源)で、

 

しかもその間は無い(体用無間、顕微無間)と言います。

 

 

どういうレベルでそう言えると発言したのか、また、どういう文脈で述べたのか、非常に気になりますが、基本的には朱子学の見解の通りなんだと思います。

 

 

体用理論に関しての補足、一先ずここまでとします。

 

 

また私自身の理解が深まったら、補筆するかもしれません。

 

 

 

【参考文献】

 

『宋代易学の研究』今井宇三郎著 明治図書出版

『鍼灸漢方の名医になるための秘訣』神野英明著 たにぐち書店

『臓腑経絡学』藤本蓮風他 アルテミシア

 

 
 
 

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