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2010.12.07
最近、随分と寒くなってきました。
・・・というよりも昼と夜の寒暖差、湿度の差が激しいですねえ。
以前も、養生や、急激な気候変動について書きました。
まあ、いずれにせよ本格的な真冬はもうすぐそこです。
こういう時の過ごし方を誤ると、普段から精神的、肉体的に疲れている人は特に、大概カゼをひきます。
そして、そこにさらに誤った養生法を重ねることによって、さらにこじれていきます。
早い段階で正しい治療と正しい養生をしてしまえば、カゼなんてものはどうってことありません!
コワいコワいと思って、カゼの人を避けてたってこの時期避けきれませんし、始まりませんから(笑)、
まずは正確な自分の体質を知って、正しい養生法はどんなものかを知るところからスタートするべきでしょう。
西洋医学では、インフルエンザや、肺炎が恐いということもあって、ワクチン接種や、ひいてしまったら解熱剤、抗生剤なんかを使って対応しています。
東洋医学では当然ながら、昔から今日に至るまで、鍼灸と漢方で対応します。
でも双方とも、その前に、まずは「養生」が大事です。
いざひいてしまって、治療しなければならない状況になったとしても、まずは「正しい養生」ありきです。
手洗いうがいはもちろんのこと、普段からのぼせ易い人は足腰をしっかりと防寒しておく必要があるし、
暴飲暴食から胃腸を弱らせている人は飲食を減らし気味にし、胃腸に負担をかけないことがポイントになるでしょう。
また、ハードワーカーで睡眠不足、過労気味の人はしっかりとした睡眠時間の確保、
運動不足で体がなまっていたり、精神的ストレスでイライラしている人は散歩等の軽い運動や、
そういう時間が取れないのであれば、せめて少しぬるめのお湯にゆっくりつかって少し汗を出してあげてから布団に入るとか、
必ずその人の弱点をうまくフォローできるような養生法が効果的です。
よく巷で目にする、
「〇〇さえ食べていればカゼ知らず!」
とかそういう、
”これさえやってればオールオーケー”方式は絶対に間違いです。
これだけ個体差があって、なおかつその個体が置かれている環境も千差万別な訳で、特定の何かをしとけばオールオーケーなんて、どう考えてもありえません。
(特定の感染症に対するワクチンなんかの場合は除く)
そうではなく、
「自分自身の正しい体質と、それを取り巻く今現在の環境、状況」
に対する正確な理解と、
「それに合わせた的確な養生法」
があってこそ、病を未然に防げる、あるいはかかってしまったとしても最小限に食い止めることが可能になるのではないしょうか。
患者さんの話を聞いていると、間違った養生法をしていることが非常に多く見受けられます。
上記に書いたような養生法はあくまでも一例であり、その患者さんに合わせた、もっともっと細かい養生指導も、やろうと思えば可能であります。
きちんとした養生、それをするためのきちんとした自分の体質把握、これが健康の第一歩じゃないかな、と思います。
そのために清明院では、初診時の詳細な問診を大事にしているのです。
治らん治らんと、自分の生活の見直しを棚に上げて、あれ飲んでみたりこれ食べてみたり、ウロウロしてても、思うように治らんのは当たり前です。
東洋医学も西洋医学も確かに優れた医学であり、あらゆる病に効果的ではありますが、
その効果を最大限生かすためにも、
「その人に合った正しい養生の実践」
というのは一大事なのであります。
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2010.11.18
これまでのお話・・・
「五行(ごぎょう)」って何ですか?(その1)
「五行」って何ですか?(その2)
・・・まあこのテーマは、これまでに中国はもちろん、日本でも、世界中でも、ありとあらゆる人によって語り尽くされ、調べ尽くされているテーマであり、
最初に言ったように、詳しく調べようと思ったら専門書がいくらでもあります。
でもそれを、自分の言葉で、「分かりやすさ」を意識しながら、簡単に説明しなおす、文章にしてみる、ということがとても大事じゃないかな、と、
”僕は”
”今のところは”
思っていますので、もうちょっと続けようかな。(笑)
◆「陰陽」と「五行」の歴史
前回、「陰陽論」は「五行説」よりも前から存在する、というお話をしました。
「陰陽論」の起源は約2800年前、周の時代の『易経(えききょう)』にあるとも、そのもっともっと前からあるとも、言われています。
「五行」の起源も、『書経(しょきょう)』であるとも、そのもっともっと前からあるとも言われています。
(根本光人監修『陰陽五行説 その発生と展開』 参照)
・・・まあ、これに関して、詳しく調べた話を書いてもいいけど、そこは誰も読みゃあしない、あるいは読む人が限定され過ぎる気がするので(笑)、ここは要するに、いわゆる「陰陽五行説」のうち、
最初に生まれた考え方は「五行」じゃなくて「陰陽」であり、どちらもとっても古い、古代中国の考え方で、のちに結合した、とそのまま理解していただければよいのではないかと思います。
まあ、こう考えた方が納得がいくのも、そもそもものごとを理解する時に、まずおおざっぱに分けてアウトラインを理解し、次により細かく分けて理解しようとするだろうな、
と考えた方が自然ですし、専門書を見ても、そのように解釈されているものがほとんどだと思います。
(いやいや竹下、五行の方が先だぜ、っていう文献がもしあったら教えて下さい。・・・ま、個人的にはどっちが先かなんて、ホントはどうでもいいんだが。(笑))
自然における様々な現象(人間の生老病死も含む)を観察し、体系的に説明づけていく時、「陰陽」だけでは不十分であり、そこで「五行」が生まれ、
さらにその2つが合体し、「陰陽五行説」となっていったのだろうと、今のところは思っています。
「陰陽」は昼と夜、太陽と月、男と女、火と水、というものなどからの発想と言われ、「五行」つまり木火土金水は、当時の生活に必要不可欠な5つの材質(五材)からの発想であろう、ということが言われています。
また、当時の人々は天体観察を非常に細かく行っていますが、空にみえる非常に明るく目立つ星が木星、火星、土星、金星、水星の5つだったことや、
手足の指の本数である5、両手両足と頭で、人体の出っ張りが5、また、空間を認識する時、東西南北と中央で5、という、「五」という数字が持つ神秘性との関係もある、
なんていう解釈もあります。
いずれにしても重要なのは、これらを考えていく場合の手段は人間の「五感」であった、ということと、「陰陽」にしろ「五行」にしろ、ただ分けたのではなしに、
それらの「循環」「変化」「相互関係」に重きを置いた、ということに注目すべきでしょう。
・・・ではそこで、この2つは、どのタイミングで、どんな考え方で合体したんでしょうか。
長くなっちゃったんで、それは次回。(笑)
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2010.09.27
昨日、9月27日(日)は、代々木青少年オリンピックセンターで行われた、(社)北辰会関東支部定例勉強会に行ってきました!
今回、午前中は臨床コースにて、川田浩之学術副部長による「腰痛」講義。
基礎コースはベテラン講師である、小黒郁夫先生による臓腑経絡学「肺・大腸」。
どちらも絶対にはずせない、大変重要な内容です。
午後は1時から基礎コースと臨床コースに分かれて実技「望診(ぼうしん)」の後、
3時から全員合同で、神野英明先生による特別講義「医易学(いえきがく)」と、盛りだくさんの内容でした。
・・・実技では、僕もひと班、指導を担当させていただきましたが、東洋医学の診察法(四診:望聞問切(ぼうぶんもんせつ))の中で、
この「望診(ぼうしん)」という診察法は、相当難しい診察法の一つです。
古典にも、
”望んで知るを神となす”
という言葉があるぐらいで、”見ただけで”患者さんの状態がすべて分かるのは神業である、と位置付けているぐらい、習得するのが難儀な診察法です。
僕が担当したのは臨床コースの中級班の先生方でしたが、実際に現場で治療をやられている先生でも、なかなか感覚がつかめない、あるいはこれまでずっと勘違いをしてきた、
という先生がいらっしゃいました。
・・・しかし、これは「毎日」「正しい」練習を繰り返さなければ絶対に上達しません。
僕も全然まだまだですが、もっともっと精進して、”神業”を体現できるようになりたい、と思っています。
神野先生による「医易学」講義では、時間も少なかったため、概論的な内容の講義となりましたが、この「医易学」というテーマは、とても1時間半とか2時間で説明しきれる様な内容ではありません。
シリーズ化が必要な科目だと思います。
(北辰会には、そういう科目が山ほどあります。今後、どうなっていくのやら・・・。楽しみですな♪)
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2010.09.26
昨日、9月25日の土曜日は、いつものように、診療終了後は(社)北辰会関東支部定例会前日勉強会がありました!
今回の特別ゲストは、北辰会の「医易学(いえきがく)」の研究の第一人者であり、つい先日、
国内では大変希少な「医易学」の本を出版された、神野英明(じんのひであき)先生です!
(・・・やたらいい笑顔しております。これも医易学のお蔭なんでしょう。(笑))
神野先生は土曜日の夜に清明院にみえて前日勉強会に参加し、その後の飲み会にも行き、
翌日(日曜日の定例会)は午前中に浅草で雷門とスカイツリーを観光し、
さらに午後の実技指導と「医易学」講義をこなし、その後の飲み会にも参加し、新幹線で大阪まで帰り、
明日はまた普通に診療をこなす、という、無尽蔵の体力を持っております。
(笑・・・北辰会はそういう先生ばかりなんです。なんでだろね?)
神野先生が先日出版された本は『鍼灸・漢方の名医になるための秘訣』という本です。
この本はスゴイ本です。
(・・・しかしすごいタイトルね。ちなみに専門書ですので、患者さんには難しいと思いますが、興味のある方はぜひ読んでみて下さい。)
(画像をクリックで購入ページにいけます。)
・・・「易」というと、細木和子さんとか、占い??という考えが浮かぶ方も多いかと思いますが、
それはあくまでも「易」の一面に過ぎず、本来の「易」というのは、古代中国の思想、哲学に基づいた、
「自然の法則」
を説いたもの(というかそのもの)なんです。
つまり我々東洋医学の臨床家が、普段当たり前に用いる、「陰陽」とか「虚実」とかっていう考え方の根本が、「易」の中に説かれている、ということです。
今日の講義で神野先生が強調していたように、
「根本原理を理解して治療している医者と、根本原理が分からずに治療している医者、あなたならどちらにかかりたいですか?」
といった場合に、患者さんから見たら、当然、明らかに前者であるはずです。
・・・まあ、何をやるんでも、
「根本を理解する、おさえる。」
これは極めて大事なことです。
・・・大変厳しい表現ですが、枝葉が貧弱なのは、根本がしっかりしてないからだ、ということなんですね。
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2010.05.15
これまでのお話・・・
「肝(かん)」って何ですか?(その1)
「肝」って何ですか?(その2)
「肝」って何ですか?(その3)
「肝」って何ですか?(その4)
「肝」って何ですか?(その5)
「肝」って何ですか?(その6)
「肝」って何ですか?(その7)
引き続き、「肝」を構成する”7枚の葉っぱ”の意味について考えてみましょう。
前回述べたように、他の奇数に比較すると、影が薄いとはいえ、古代の中国では、様々な古典の中に”7”が出てきます。
『論語』『孟子』『荘子』などなど・・・。
僕ら東洋医学を学ぶものにとってなじみが深いモノの中では
『黄帝内経(こうていだいけい)』
という、東洋医学のバイブルと言ってもいい、大古典の中に、女性は7の倍数に応じて成長する、という記載が出てきます。
(つまり、7歳、14歳、21歳、28歳・・・と、女性の生涯の中で、身体的に大きな節目が訪れるよ、という記載です。)
また、東洋医学の根本思想である「陰陽論」の来源ともいわれる、『易経(えききょう)』の中にも、”7”という数字が「繰り返し、つまり循環」を示す数字として登場します。
(本田濟『易』P224~参照)
また、ここで詳しくは述べないが、今井宇三郎先生の『宋代易学の研究』の第二章(P146~)に、『易』において有名な「河図洛書」の「河図」には、
後漢の『漢書』五行志や、後漢の儒学者、鄭玄(じょうげん)の『周易鄭玄注』によって、1~5までの数字を「生数(せいすう)」、6~10までを「成数(じょうすう)」と呼んでおり、
7は生数5+2と考えられ、五行では火の成数ということになるが、龍雷相火といわれる肝の臓に、五行において火の意味を持つ成数7が乗せられていることは興味深いが、
この意味で肺の八葉を解釈しようとすると、こちらは「木」の成数ということになるので、肝の七葉、肺の八葉の意味に一貫性が見出しにくい。
ここは、詳しい読者諸賢の方は是非ご教示下さい。
個人的には、蕭吉(しょうきつ)撰『五行大義』の生成数解釈でここに関しては強引に理解しています。
(中村璋八ほか注『五行大義 上下巻』、神野英明『鍼灸漢方の名医になるための秘訣』P106~参照)
さらには仏教においても「初七日」「四十九日」と、7および7の倍数(乗数)に、極まり、そしてまた繰り返す、あるいは次なる段階へ進む、という意味がのせられています。
さらにさらに、中国古代の文学作品や詩集には、タイトルに「七」のつく作品が異常に多い、という特徴があるそうです。
この理由については、最終的には”不明”らしいですが(苦笑)、僕個人としては、「七」という数字に込められた、
「永続性」と「形式美」
に、当時の文学者たちは何かを感じていたんじゃなかろうか、と思っています。
(終わりと始まりを、同時に、かつストーリー性を持たせて表現できる数、という意味でね。)
・・・また、卑近な例として、7月7日の七夕祭りがありますね。
これも実は、織姫と彦星が、いつも会いたいのに年に一度しか会えない、ということから、「やっと会える日」の強調というよりも、好きな人がすぐそこにいるのに会えない、
”無限にも感じられる辛い時間”
というものの永続性とその極みを”7”に込めた、という解釈もあるようです。
(ロマンチック!!)
・・・さらに天体モノでいくと、何と言っても「北斗七星」の7です。
古代の中国人は夜空を見て、北極星の周りを回る北斗七星の柄の部分がどの方角を指すかで季節を定めました。
(ちなみに北辰会の”北辰”というのは北極星という意味がありマス・・。すごいネーミングだネ・・。)
そして道教においては、七夕に七星を祭る、という儀礼が存在し、内丹術(・・・ここでは詳しくは述べないけど、まあ要は気功みたいなもんです。)においても、”七”を極めて重要視します。
(これには”不老長寿”という考え方と”7”の神秘性、永続性が関係しているのではないか、と思っています。)
・・・また、空間を認識する上でも”7”は実は重要です。
つまり、「東西南北」の4と、「上下」の2を足すと”6”という数字が得られ、これを「六合(りくごう・・・宇宙のこと)」と言いますが、
これに「中央」、つまり「観測者の立ち位置」を加えると”7”という数字が得られます。
これにより広大無辺な六合空間の中に「基準」が出来るので、基準点から見て「空間」というモノを”どこからどこまで”と規定することが出来ますし、
当然、その空間の中で、2点間の移動を考えることが出来ますから、その移動速度と合わせて”いつからいつまで”という「時間」も規定することが出来ます。
小学生の頃やった、「道のり、早さ、時間」てやつが規定できるようになるわけです。
こう考えると、時間と空間を「規定する」「決定づける」数字が”7”なのであります。
それが、狭義の「魂」(意識の支え)と「血」を蔵し、「全身」という空間区分における「気」の配分調節をつかさどるという役割を持つ「肝」の「形態」に、
さりげなくのせられている、という東洋医学・・・、シャレてないすか?
・・・今日のブログは、細かい部分をかなりはしょりまくって書いたものなので、ちょっと意味が分かりにくかったかもしんないけど、何となく壮大で面白そう、
ということが伝われば、とりあえず満足です(苦笑)
今日はあえて書きません(てか書けません)が、ここからさらに、まだまだ2次的、3次的に生じる疑問や、それに対する考察についても、
これまた面白い考え方が山ほど!!
そのほかにもまだまだ僕の中で何年かあたためてる事案が山ほど!!
・・・ですので、東洋医学の中にさりげなく出てくる数字の意味には、深い意味が込められているとしか思えないことが多く、無視しない方が良いのですが、
これに最初からあまり拘ってばかりいると、基礎固めが全然進まないので(苦笑)、初学の方にはまったくおススメしません。
こういう細かい部分で、なおかつ初めに提唱した人の見解が残っていないので、原義や解が出しにくい部分に対して、色々な古典を幅広く調べて渉猟し、
肝の臓の七葉の意味の仮説に関して猛烈に詳しくなったとして、・・・「で?」ってなります。(笑)
しかし、そうはいっても東洋医学面白い~・・・、やめられない止まらない~・・・。
続く
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2010.05.10
昨日、5月9日の日曜日は、大阪、上本町にて行われた、(社)北辰会本部臨床コースに参加してきました!
今回は、午前中は各班に分かれての実技指導。
(ちなみに僕は油谷真空先生担当の班でした。油谷先生の体表観察時のタッチ、刺針テクニックは”サスガ”の一言でしたね。)
午後は代表理事である藤本蓮風先生による新刊書籍、『東洋医学の宇宙』の解説のあと、西川順子先生による症例レポート「帯状疱疹(ヘルペス)」。
そして最後に、この度ついに、長年の医易学(いえきがく)研究の成果である『鍼灸・漢方の名医になるための秘訣』という書籍を出版された、
神野英明先生による「医易学の臨床応用」という講義。
(この書籍については、昨日の定例会での100部限定特別先行販売しかされておりませんので、まだ一般には入手出来ませんが、「易学」という、
東洋哲学の根本とも言える、大変高度で深遠なテーマに、”鍼灸臨床家”という立場から見事に斬り込んだ、非常に貴重かつ画期的な書籍です。
また一般に購入できるようになりましたらこのブログでもお伝えしようと思います。)
そして終わった後は神野先生の出版祝も兼ねて飲み会・・・。
神野先生がとても嬉しそうだったのが印象的でした。
僕は午前中に鍼を受けたこともあって、若干、まわってしまいましたね・・・。(苦笑)
一日通して、みんなスゴイ先生達だな~・・・。
僕も頑張らないとな~・・・。
と思った、というのが正直な感想です。
最高にポジティブな刺激ですね。
(来月はそんな中で症例発表です!・・・こわ~。(苦笑))
関東支部の講師である僕が言うのもなんだけど、・・・まあ~、最近以前にもまして、ホントにすごい勢いですねえ、北辰会。
今後も出版を控えている書籍がまだまだあります。
現在、ここ数年間での出版書籍数ではぶっちぎりの業界ナンバーワンでしょうね・・・。
まあ、他と比較しての勝ち負けとかじゃなく、僕としてはこういう積極的かつ先駆的な活動が徐々に徐々に実を結び、多くの患者さんが救われ、
世間の東洋医学に対する認識が変わっていくことを願ってやみません。
そんなことを考えながら、最終の新幹線で新宿に帰ってくる訳です・・。
コレ充実の日曜日。(笑)
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2010.04.25
清明院の患者さんは、何故か高学歴の患者さんが多いのですが、その中に、応用数理学をやっておられる方がおります。
(まあ、その方がやっておられる学問の世界なんていうのは、僕のようなズブの素人が見たら、まるで宇宙の言語のようでありますが・・。)
その患者さんと話していると、東洋医学に関する、非常に示唆に富んだ見解を得ることがあります。
(やっぱり患者さんは“先生”だね。)
この東洋医学というのは、何かと「数字」が出てきます。
「気一元の思想」の1、
「陰陽」の2、
「天地人三才思想」の3、
「東南西北」や「四神」や「四診」の4、
「五行」「五運」の5、
「六気」「六淫」の6、
「七死脈」「七竅」の7、
「奇経八脈」や「八風」や「八法」の8、
「九竅」「九宮」の9、
「十干」の10、
・・・などなど、挙げていけばキリがないほど、「数字」とその組み合わせのパターンで、自然界、および人体を考え尽くしています。
これって、単純に、なぜだろう・・・と、思いませんか?
まあ、古代中国人は農耕民族ですから、当然、
1.農作物の分配管理のための「計算」、
2.農地管理のための「測量」、
3.収穫時期を正確に知るための「天文学⇒暦法」
という3つの柱は、当然必要に迫られていたんであろうと思います。
この3つはそのまま、以下のように、数学の対象に置き換えられます。つまり・・
1.の「計算」は「量」と「構造」に、
2.の「測量」は「空間」に、
3.の「天文学⇒暦法」は「変化」に、
とね。
この様な考え方から、古代中国では自然発生的に
「現象を数字の変化に置き換えて、論理的に理解する」
という習慣がついていたんだと思います。
具体的に数学の話になると、やれ因数分解とか、展開公式とかっていう話になるけど、中国では「考え方」としては、数千年のはるか昔から、
生活に根付いていただろうし、詳しくはないが、実際に「算木(さんぼく)」という木を使った計算法もあったようです。
また、中国の数学は、西洋において数学が発展、発達する全然前から、かなり現代数学的にも正確な公式や定理が、ガンガン発表されていたようです。
現存する最も古いものとしては、『易』の洛書の魔方陣なんかが、興味深い例として有名ですね。
その他にも、円周率やらピタゴラスやら、大変高度な数学の問題を、西洋数学が証明する1000年以上も前から既に証明していたようです。
・・・ただですねー、やっぱりなんぼ美しく数学的、論理的に自然現象を切り分けてみたところで、実際の現実に起こる現象とは、若干の「ずれ」が生じることがありゃあしませんかねえ。
そうは言っても、一応は分けて考えなかったら、それはそれで難し過ぎますねえ・・・。(苦笑)
理解出来る人が限られ過ぎる、というかね・・・。
ここを克服(数理学を柔らかくする)する一番いい考え方として、先哲が考え出したのが、「気」であり、「陰陽論」であるのではないか、と思っています。
カテゴリ「陰陽」 参照
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2010.03.31
いや~しかし最近(この3~4日)、異常な寒さですね!
清明院の患者さんでも、
「ここ何年か出ていなかった腰痛が久しぶりに出た!温めると楽。」
・・・とか、
「5年ぶりにカゼひいた!鼻水が止まらない・・。」
とかおっしゃった方がおられました。
以前にも書いたけど、一体、
「暑さ寒さも彼岸まで」
という言葉はどこへ行っちゃったんでしょうか・・・。
まあとかくこういう、時知らずな寒さや暑さがあった時は、体調を崩すことが多いです。
しかしこういう時ほど、「養生(ようじょう)」がモノを言う時もありません。
では、具体的に何をすればよいかというと、それは患者さんによって違うので何とも言えません・・・。(笑)
まあしかし、そう言ってしまっては元も子もないんでネ、参考までに多少の注意点は書いてみましょう。
くれぐれも注意していただきたいのは、ここで紹介する養生法はあくまで参考です。
本来、養生法というのは、患者さん一人一人に合わせて個別に指導されるべきものです。
ですので、実際にお体を調べれば、もっと的確で効果的な養生法を指導してあげられる、ということを前提に、お読みください。
まずこの時期、「春」と言う時期は、こないだも書いたけど、ある意味、1年のうちで最ものぼせ易い時期になります。
(やや語弊がある気もするけど、極端に言うとネ。)
つまり体の「上下のアンバランス」が起こりやすい時期、とも言えます。
またこの時期は、年度末~年度初めの時期ですから、お仕事をされている方なんかは、何かと飲み会の増える時期でもあります。
(歓送迎会ネ。)
・・・ということは、
暴飲暴食+上下のアンバランス
というパターンから、何らかの病になる可能性が高い、ということなんです。
(実際に多いパターンです)
今回のブログの冒頭に紹介した腰痛、カゼも、「暴飲暴食」と「上下のアンバランス」を起こしていたものに、ここ何日かの「冷え」が重なって起こったものでありました。
・・・ということは、事前に
「上下のアンバランスを整え」、
「飲食を控えめに」
していれば、外界がいかに寒くなろうが、高確率で病気知らず、未然に予防することが出来ます。
ここで、「飲食を控えめ」は簡単(分かりやすい)ですが、「上下のバランスをとる」には一体どうしたらいいんでしょう。
これ、一番いいのは「足を使った軽い運動」です。
散歩とかね。
ただ、これを言うとたまに患者さんに、
「ええ~、そんな時間ないよ~!」
とか、
「無目的にただ歩くのって、超苦手なんですけど・・・。」
って言われちゃいます。
(苦笑・・・都会人のサガなんでしょうかネ?)
そんな時は、せめてもの方法として、「青竹踏み」で足の裏を刺激することをお勧めしています。
これなら簡単に出来るし、時間もお金もかかりません。
しかもこれ、大概の患者さんは、やらせてみると右と左で痛み方が違います。
なのでそういう方にはその「左右差」が整うまで踏んでもらいます。
その左右差が整うまで踏むと、面白いことに、それだけで”のぼせ”がかなり引きます。
それが色んな症状の予防になるんですね。
東洋医学に基づいた、ちょっと工夫した養生法です。
だまされたと思って、やってみて下さい。
意外と効果てきめんな筈ですよ~。
(笑・・・ホントにだまされたりして♪)
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2010.03.27
これまでのお話
鍼灸には保険が効かない!?(その1)
鍼灸には保険が効かない!?(その2)
鍼灸には保険がきかない!?(その3)
鍼灸には保険が効かない!?(その4)
鍼灸には保険が効かない!?(その5)
ここまで、日本における鍼灸を取り巻く保険の現状、歴史、アピール方法、海外の鍼灸事情について、甚だ簡単ではありますが、書き連ねてきました。
(分かりにくくなかった?ちょっと心配・・・。)
ということで今日は番外編というか、過去の記憶編にします。(笑)
こういうのをテーマに書いていて、患者さんから
「なんか最近のブログ、難しい話してるナー。」
とか、
「要は単に保険使えないってことでしょ?ならただそう書けばいいじゃん!くどいよー。」
とか思われやしないかと、内心ビクビクしながら書いてます。(苦笑)
・・・でもね、これは大事なことなんです。
僕は清明院のHP上でもこのブログ上でも、日々の臨床でも、盛んに東洋医学の素晴らしさをアピールしていますが、コレは逆に言うと、
「そうせざるを得ないと思った現状」
があるからであります。
初めからみんな東洋医学の素晴らしさが分かってたら、こんなにあの手この手でアピールする必要もないんです。
・・・初めてこの業界に入った時、とある病院の「整形外科のリハビリ室」というところに勤めたんですが(給料は月11万!常に餓死寸前でした(笑))、
そこの院長先生から、何人かまわりに他の先生がいる時に、
院「おい、お前将来はどうしていきたいんだ?」
と聞かれ、当時、東洋医学への理想に燃える僕は、
竹「ハイ!鍼の医者になりたいと思っています!!」
と答えました。
(美しいっしょ?コレを即答だよ?この状況でなかなか言えないセリフだよね。(笑))
・・・すると、
院「?・・・鍼なんかでどうやって食ってくんだ?(笑)」
と笑われました。周りの先生達にも失笑されました。
院長曰く、
院「お前なあ、日本は国民皆保険の国だぞ?知ってるか?鍼なんて仮に自費でやったって、単価も低いし、同意書を使って、保険でやったらもっと二束三文だし、
これからはその同意書すらも俺ら(医師)からは出なくなるぞ?」
当時ケンカっ早かった僕のコメカミが、「・・ミシッ」と音を立てます。
でもさらに院長は続けました。
院「そりゃあまあ”鍼の名人”なんて言われるようになりゃあ、そこそこ食えるかも知んないけど、そうなる頃にはもういいオッサンだぞ。若いうちにしっかり稼いでイイ女でも捕まえろ(笑)」
竹「(明らかに不愉快な顔しながら)・・・そうですか。じゃあどうしたらいいと思います?」
院「柔整(柔道整復師)とれ柔整。そんで接骨院やればまだそこそこ稼げる。あいつらの方がまだ独立して商売できる。頭は悪いけどな。ははは(笑)
俺が言うんだから間違いない、そうしとけ!ははは(笑)」
・・・その時、周りにいた柔整師の先生達も、なぜか一緒になって笑っていました。
当時「美しい」(笑)ココロを持って、理想に燃える僕には、到底理解出来る状況ではありませんでした。
(まあ、今でも理解したくありませんがね。)
当時の僕がこの時何を思ったかは、言うまでもありませんが、この時期の色んな感情が、今の僕の仕事に生きている面は多分にあると思います。
(そういう意味では必要な時期だったんだね。)
上記の会話、皆さんはどう思いますか?
これが一日何百人も患者さんの来ている、地元では有名な医者の言葉ですよ?
まあしかし、コレが現実です。 現実なんです。
いかに医療従事者といっても、「食っていく」とか「家族を養っていく」ということは生易しいことではありません。
でも、そのためなら何でもアリ、ではないでしょ?とりわけ、医療を真剣にやろうと思ったら、ねえ?
患者さんが、プライドも意地もなくした、食えてりゃ別にそれでいいや、という考え方の医療従事者に、どうしてかかりたい、自分の体をまかせたいなんて思うんでしょうか?
しかも、保険が使える=食える、保険が使えない=食えない、あるいはろくに食えない、だからやめとけ、という、制度に依存しきったような短絡的な考え方は、
真面目にやってる鍼の先生方、あるいはその患者さんへの冒涜でしかありません。
「病める患者さんをいかに救うか。」
白衣着てて、この部分を大事にしないなら、医療やってる意味なんてなくないですか!?
他にいくらでも稼げる仕事なんてあるよ。
・・・まあ確かに、今にして冷静に思えば、あの院長のおっしゃったことは、事実を言っているに過ぎない、とも取れます。
しかし、考え方が現実的過ぎるように思います。
だから言うんなら、現状を述べた上で、
「・・・そのぐらい大変な業界だけど、志を高く、頑張れよ!」
で、いいじゃないですか。
別にねえ、鍼医者目指して、もし失敗したって、人間そう簡単に死にゃあしませんよ。体とか、割と丈夫だし。
それに費やした時間だって、無駄になんかなる訳ないし。
このように、僕がこれまでにしてきた経験、苦い思い出は山ほどあります。
でもまあそれが今に繋がってると思うので、ちょいちょいこのブログで紹介していこうかな、と思ってます。
・・・まあ、ちょっとカタイ話が続いていたんで、今日はあえて番外編にしてみました。(笑)
保険が効くか効かないか、という問題は、「こんな考え方を生むぐらい」重要なんだ、ということを分かっていただきたかったのです。
だからこのことは大事なので、正しく理解し、それぞれにイイ方法を考えましょう。
(次回に続く )
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2010.03.18
最近は、メディアに東洋医学が取り上げられることも増えてきましたね。
コレはとてもいいことだと思います。
それで、ちょいちょい耳にすることもあるんじゃないかと思いますが、「東洋医学」という言葉と、「中医学」という言葉があります。
今日は、
「この2者の違いはなぁに?」
という話でもしようかな~、と思います。
よく世間で「東洋医学」と言われているものっていうのは、
古代中国に端を発し、
「気」や「陰陽五行」という哲学をもって自然や人体を認識し、
それを基本とし、病の仕組みや治療方法を考え、
数千年にわたって結果を出し続け、患者から支持され続けている、
伝統的な医学
を指して言います。
「中国伝統医学」なんていう言い方をするときも、上記のような意味合いが強いと思います。
それに対して「中医学」というのは、
新中国(中華人民共和国)が、上記の考え方を踏襲しつつも、それまでの自国の伝統医学を、「唯物論(ゆいぶつろん)」でもって、国を挙げて”いったん”論理的、体系的にまとめあげた医学
と言えるのではないかと思います。
(ちなみに、この中医学が、果たして本当に論理性が高いか、論理的か、という問題については議論がありますが、それについてはここでは触れません。)
因みに「中医学」は、先ほど言う「中国伝統医学」と区別するために、あえて「”現代”中医学」と言われることもあります。
・・・しかしこの、「唯物論」という発想は、自然界の全ては「物質」で構成されており、「物質」間に働く物理法則でもって理解可能、というのが基本スタンスですから、
この考え方の中にあっては、東洋医学のいう「気」というものも、
「気とは物質である」
ということになり、確かに理解しやすい部分がある半面、深く勉強していくと、色々な不具合、納得しにくい部分が生じてしまいます。
(少なくとも私はそう思います。)
要は、
「気」は現代物理学のいう、質量を持った「物質」とは、言い切れないのではないか?
ということです。
また、東洋医学のいう「陰陽五行」という認識方法、法則も、必ずしも物理現象の解釈、という範疇のみに用いるものでもありません。
新中国(中華人民共和国)は、主に1950年代に、現代まで続く「中医学」の国定教科書の第一作目を作成していった訳ですが、この「まとめる」という過程では、
当然、「そぎ落とす(端折る)」という作業をしなくてはなりませんので、まとめ上げられた完成品は当然、分かり易いし教育に使い易い反面、
東洋医学の悠久の歴史が持つ、全ての情報を網羅したものには当然なりえません。
「唯物論」の基軸からして、”例外”や”矛盾”や”説明しにくい因子”は、一定程度排除される訳です。
・・・こないだ、患者さん(とある科学者さん)と話していたのですが、どんな優れた論文でも、「まとめる」時には必ず、それを書いた人の「美学=美意識」が入り込んでしまうそうです。
(そりゃそうだわね)
なおかつ、その論文を評価する側、採用する側の「美意識」も、その論文がいかほど世の中に許容されるか、という意味では、大きく関与してくるそうです。
・・・ですので、当然、まとめられた当時(1950年代)の時代背景の影響や、編纂者のリーダーの美意識の影響なんかを多分に受けて、一貫した考え方(この場合は唯物論)、
美意識でもって、「東洋医学」を現代風にまとめ直したものが、いわゆる「中医学」だ、ということになります。
「唯物論」でもってまとめたたことの是非論についてはともかく、僕から見れば、少なくともこれをやったということには、大変意義があると思います。
僕自身、「中医学」というものがあったから、東洋医学を勉強する気になった、と言っても過言ではありません。
鍼灸の学生時代に、鍼の世界というのはオカルトや迷信や単なる神秘じゃなくて、れっきとした医学なんだ!と思えたのも、「中医学」というものの、
ある種の論理性に出会ったお蔭だと思っています。
そうして、知識を少しずつ深めていった後に、中医学の考え方だけでは説明がつかない部分や、また、日本の歴代(特に江戸期)の医者達の、面白い見解や独創なんかに出会っていく訳ですね。
・・・ちなみに「中医学」が中国独自の伝統医学だとすれば、韓国にも、それとよく似た「韓医学(かんいがく)」というものがあります。
両国ともに、西洋医師とは別に、それぞれに自国の伝統医学を修め、実践する専門資格である、「中医師」、「韓医師」という国家資格を設け、
大学教育、インターン含め10年ほどかかって取得させ、現在、両国の国民の健康に大いに寄与しています。
・・・となると、あれ? 日本はどうなの??
「日医学」は?
「日医師」は?(苦笑)
日本の明治維新以来の西洋化、富国強兵、産業立国という方向性が、医療制度において、思わぬところで周辺2国との「差」を生んだようですネ。
(あえて「違い」と言わずに「差」と言わせてもらいます。)
まあ今日のブログは、患者さんはあんまり興味ないかも知んないけど、日本の東洋医学の現状が少しは分かるんじゃないかな、と思って書いてみました。
医学、医療というのは、庶民の幸福な暮らしと直結するものであり、その時その時の時代の背景にある支配的な思想や哲学の影響をモロに受ける、ということです。
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