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Search Results for: 易経

順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ⑧

2019.05.06

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これまでのお話し

 

順天堂大学医学部に東洋医学研究会が発足!! ①   参照

 

 

 

◆順天堂の歴史を踏まえる。

 

 

かくして、12月に第一回目の講義に伺ってから、1月、2月、3月と、月に一回の講義に伺う中で、徐々に方向性やメンバーが定まってきて、4.25の大安吉日(たまたま)に、

 

順天堂大学医学部内に、小さいながらも大きな一歩、と期待できるような動きである「東洋医学研究会」が同好会として発足した訳ですが、2018年の秋頃に、

 

友岡先生から、この話が実現しそうだという電話が来た時、何となく御縁というか、妙な力を感じたんですね。

 

 

実は、私が開業してすぐの頃、大変お世話になった漢方家の先生(故人)の薬局名は「順天堂薬局」でした。

 

 

また、今から20年くらい前に、叔父が脳腫瘍で癲癇発作を起こし、倒れたことがあったのですが、その時入院、手術したのも、順天堂の静岡病院でした。

 

 

そのせいもあってか、何となく意味があるような気がして、順天堂の歴史に関して、今回色々調べました。

 

 

順天堂の歴史に関しては、公式HPに、非常に美しくまとめてくれてあります。

 

(メッチャカッコいいHPですよね。。。)

 

 

創立は1838年、長崎の出島にあった、あのドイツ人医師、シーボルトの「鳴滝塾」で三年間学んだ、佐藤泰然先生が、34歳の時に東京の薬研堀で、

 

母の姓である”和田”を冠して「和田塾」を開塾したのが始まりです。

 

 

その後、1843年に千葉の佐倉に移り、ここで初めて「順天堂」と名乗ります。

 

(因みに”順天”というのは”天の道理に順(したが)う”という意味であり、出典はなんとあの陰陽論の原典、『易経』だそうです。。。)

 

 

佐藤泰然の息子である松本良順は、あの緒方洪庵(1810-1863)が務めていた幕府の西洋医学所の頭取を務めた、かの新選組の主治医として知られる人物であり、

 

泰然の養子である佐藤尚中は大学東校(現東大医学部)の初代校長となり、その佐藤尚中の養子である佐藤進は、日本発のドイツへの医学留学生です。

 

墓マイラー 24 緒方洪庵先生

緒方洪庵という人物           参照

 

 

 

・・・まあ、あまり細かいことを書いても仕方ないですが、要は、幕末から明治の、東洋医学が事実上の廃止政策の憂き目に遭った時代の、日本の西洋医学化の旗振り役、

 

中枢中の中枢こそが、この順天堂大学医学部なのです。。。

 

 

開学以来180年、順天堂が日本の医療に与えた影響ははかり知れません。

 

 

因みに風水の考え方に「三元九運論」というのがあり、180年を1周期とし、60年ごとに

 

「上元・中元・下元」

 

と呼んで、それをさらに20年ごとに

 

上元一運、上元二運・・・、」

 

と、9つ(九運)に分けて、地運(大地のエネルギー、平たく言えばそこで起こることの運勢)を予測するというものがあるんだそうです。

 

 

最初の60年(上元)でものごとが発生、発展し、次の60年(中元)でものごとが繁栄し、次の60年(下元)でものごとが衰退し、次の時代に入る、

 

という診方をするんだそうです。

 

 

日本の西洋医学を牽引してきた順天堂大学に、180年経って、(恐らく)初めて、東洋医学研究会が出来たことは、何か意味があるような気がしますね。

 

 

またこれ以外にも、個人的に鳥肌が立つようなことがありました。

 

 

 

続く

 

 

 

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「大青竜湯」という薬

2019.04.10

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最近のお話し

 

「牛車腎気丸」という薬

「治打撲一方」という薬

「小青龍湯」という薬

「麻黄湯」という薬

「葛根湯」という薬

「桂枝湯」という薬

 

参照

 

 

ここまで述べてきた、「桂枝湯」「麻黄湯」”桂麻の剤”から派生する方剤は非常に多い。

 

 

また、『傷寒論』以降に著された様々な方剤の書も、結局は『傷寒論』の処方を基本として、いわば「後出しじゃんけん」的に色々なことを言っているものは多い。

 

(・・・言い方が悪いか。(苦笑) ”伝統医学の継承と発展”だね。)

 

 

なので、『傷寒論』は数千年先まで影響を与える、怪物のような本なのだ。

 

 

かつて、とある先生から紹介されて、知る人ぞ知る漢方の大家(故人)の先生にお会いした時、その先生は

 

「もう60年も毎日『傷寒論』を読み続けているが、それでも分からないところがある。。。」

 

と仰っていた。(苦笑)

 

 

そのぐらい、深遠な世界を表現した本なのだ。

 

 

まあ大体、『易経』にせよ『内経』にせよ『論語』にせよ、古代中国の古典というのは、それだからこそ魅力があるんだろう。

 

 

・・・話が逸れたが、麻黄湯の加減方として、東洋学術出版社『中国傷寒論解説 続篇』には、「小青龍湯」「大青竜湯」「葛根湯」の3方剤が紹介されている。

 

 

このうち、「小青龍湯」「葛根湯」についてはすでに語ったので、「大青竜湯」だけ語らないのも、なんか気持ち悪い。。。(^^;)

 

 

・・ということで、今日は「大青竜湯」のお話。

 

 

よく、柴胡剤でも「小柴胡湯」「大柴胡湯」、承気湯類でも「小承気湯」「大承気湯」とあるように、方剤名の前に「大」「小」とついている場合がありますが、

 

当たり前ながら、これは効果の強弱を示すものではありません。(苦笑)

 

 

似ているところがあり、兄弟のようでありながらも、似て非なる方剤を、このように呼び分けています。

 

 

大青竜湯も、出典はもちろん『傷寒論』であり、

 

太陽中風.脉浮緊.發熱惡寒.身疼痛.不汗出而煩躁者.大青龍湯主之.若脉微弱.汗出惡風者.不可服之.服之則厥逆.筋惕肉瞤.此爲逆也.

 

傷寒脉浮緩.身不疼.但重.乍有輕時.無少陰證者.大青龍湯發之.

 

とあり、『金匱要略』では

 

病溢飮者.當發其汗.大青龍湯主之.小青龍湯亦主之.

 

とあります。

 

 

まあ簡単に言うと、大青竜湯の場合は、

 

「表面が冷えて、結果的に浅いところに熱が籠ってしまったもの」

 

に使います。

 

 

大青竜湯の中に入っている「石膏」という生薬は、浅い部分に籠った熱を取るための非常に重要な生薬です。

 

 

ですので、麻黄湯からの加減方をまとめると、

 

麻黄湯の場合は表面を温めて汗をかかす、

 

小青竜湯の場合は表面の冷え+水邪の突き上げ、

 

葛根湯の場合は表面の冷え+うなじのこわばり、

 

大青竜湯で表面の冷え+それによって籠った浅い部分の熱、

 

というバリエーションがあることが分かります。

 

 

鍼の場合も、カゼひきさんを治療する場合はこのように、

 

「どういう体質の人に」

 

「どういう邪気が襲って」

 

「結果的に表面で何が起きていて」

 

「深い部分では何が起きているのか」

 

を考えながら治療していきます。

 

 

なので、漢方薬の考え方と、一緒であり、ある意味応用的です。

 

 

ですので、鍼灸師にとっても、『傷寒論』理解は非常に大事なのです。

 

 

 

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大伯父の人生 2

2018.10.12

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前回のお話

 

大伯父の人生 1       参照

 

 

大伯父の足跡を知るため、今年のお盆の後に群馬から東京に戻って、まずは靖国神社に行ってみました。

 

 

旧日本軍の方で、大伯父を戦死者として把握しているのであれば、靖国神社に祀られている筈。

 

 

・・・で、行って調べたら、ちゃんとありました!!

 

 

 

20180820_234508.JPG

 

 

 

下の名前の文字がハッキリしなくて、ちょっと手間取ったのですが、巫女さんが調べてくれました!!

 

 

この字を使って「乾二(かんじ)」とは、なかなか珍しいですね。

 

”幹”の字を使って”幹二”だと聞いていたので、巫女さんを手こずらせました。。。)

 

 

僕としてはこの字を見ると、『易経』”乾坤(けんこん)”からとったのかな、とか、あるいは”いぬい”と読むことから干支の”戌亥(北西の意)”とかけてあるのか、

 

とか思ってしまいますが、本当のところどうなのか、今となっては知る由もないです。。。

 

(もしかしたら、PCもネットもない、戦時中のドサクサ当時ですから、役所の職員さんの書き間違いの可能性だってあります。(苦笑))

 

 

戦没者遺族は、靖国神社に行くと、こういうもの(調査結果)がもらえます。

 

 

これを見ると、ほうほう、階級は陸軍伍長、まあ、下士官の中では一番下、一兵卒よりは高い階級、ってやつなんですね。

 

日本軍階級表 参照

 

 

ただ、戦死すると階級が上がることがあるようで、大伯父の場合は軍歴を見ると、戦死したことで「上等兵」から「兵長→伍長」と、二階級上がったようです。

 

(まあ、せめてもの供養みたいなもんか。。。)

 

 

所属部隊は野戦照空第二大隊、とあり、これはどういう部隊かと言うと、「照空」ですから、敵の戦闘機が来た時に、空をサーチライトのようなもので照らして、

 

撃ち落とす役割の高射砲部隊などを助ける、という役割の部隊なんだそうです。

 

(うーん、空が曇ってたりすれば見えないだろうし、当時のサーチライトなんて、大したものでもないだろうし、どの程度役に立つものだったのか、ちょっと想像がつきませんが。。。)

 

 

とりあえず、靖国神社での調査で、亡くなった場所と日時がハッキリ分かってよかったです。

 

 

ルソン島の中でも、大伯父が亡くなったソラノ(ソラーノ)は、市街地とは言っても、マニラの真北の山岳地帯の小さい集落で、ド田舎のようです。

 

 

1941年から1942年、大東亜戦争開戦初期に、日本はフィリピンに進軍し、当時フィリピンを植民地にしていたアメリカ軍、マッカーサーをフィリピンから追い出しましたが、

 

大戦末期のフィリピン戦では、1944年の10月の、有名なレイテ沖海戦に始まり、陸海での激戦を経て、甚大な被害を出しながら、12月にはレイテ島が陥落しました。

 

 

その後、1945年の1月にはルソン島に上陸され、激しい地上戦、市街戦の末、3月3日には首都マニラも陥落しました。

 

 

・・・まあ、開戦当時に敗走したマッカーサーの有名な

 

「I shall return.」

 

の言葉通り、日本の占領はわずか二年で、見事にリベンジされてしまったワケですね。

 

 

大伯父が亡くなったのは、このマニラ陥落のわずか二日後、ということになります。

 

 

今回、フィリピン戦に関して、初めて詳しく調べましたが、この後の、1945年の3.26から始まる沖縄戦が地獄であることは知っていましたが、

 

フィリピン戦もかなりの地獄でした。。。

 

墓マイラー 46 番外編 沖縄慰霊編   参照

 

 

3.3にマニラが占領された後の日本軍は、終戦後の9月まで、ルソン島北部の山岳地帯やジャングルに逃げながら、ゲリラ戦を戦っていたようですが、

 

このゲリラ戦は本当にタフな、地獄の闘いだったようです。

 

 

3月の段階で戦死した大伯父は、その地獄を味わわなくて済んだ、という意味では、まだ良かった方なのかもしれません。。。

 

 

 

続く

 

 

 

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「伝統」とは何か。 5

2017.03.25

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これまでのお話

 

「伝統」とは何か。

「伝統」とは何か。 2 

「伝統」とは何か。 3

「伝統」とは何か。 4  参照

 

 

では続きいきます。

 

 

◆続、易の三義

 

 

中村天風先生と並んで、近代日本における東洋学の大家と言われる安岡正篤先生『易と人生哲学』や、『易経講座』の中に、

 

易の三義について書いてあります。

 

(本によって書いてあることが微妙に違ったりします。。。(^_^;))

 

 

安岡先生は、易について、

 

「民族が極めて長い歳月を通じて得た統計学的研究とその解説」

 

と端的に述べ、その上で、易の三義である「変易」「不易」「簡易」を説きます。

 

(因みに後漢の時代の大儒学者である鄭玄は、”簡易”を筆頭に置いています。意味が深いように思います。)

 

 

ともかく、まず第一の「変易」ですが、これは読んで字のごとく「変わる」「変化」という意味です。

 

 

『易経』を英語で言うと『The Book of Changes』なんですが、自然界、人生というのは常に変化してやまないものなんですね。

 

 

自然界の四季、人生における生老死、水が潤す、火が燃え移り、焦がす、なんかのことですね。

 

 

『易経』は、その「変化」について書かれた書であると。

 

 

ですから「易」という字の意味は「変化」なんだと。

 

 

ただその根本には「不変なるもの」がある。

 

 

まあ自然界で言えば、春の後に冬が来ることはないとか、水には火が付かないとかです。

 

 

要は「原理原則」というものがある訳です。

 

 

変化するものの中の変化せざるもの、これを「易」のもう一つの意味、「不易」と言います。

 

 

安岡先生は、「不変」がなければ、「変化」という意識が生じることはない、と説きます。

 

 

人間の知恵が発達すると、変化のうちにある、不変の真理を探究し、それに基づいて、変化を意識していく。

 

 

そして、変化の原則に従いつつも、自ら変化していく、となります。

 

 

しかし、その宇宙万物の変化たるや無限、無窮であり、その意味では、その造化の働きは簡単、明瞭であると説きます。

 

(ここが分かりにくい!(笑))

 

 

ここを竹下的に簡単に説明しますと、まあ要は、変化してやまない自然界、人生、万物の変化(変易)の中に、一定不変の原理原則(不易)を見出し、

 

それを限りなく簡明に示した(簡易)ものが『易経』であり、その三つの意味が「易」の字義である、というワケです。

 

(僕はそう考えました(^_^;))

 

 

で、これを「伝統」と絡めて考えてみますと・・・、それは次回。(笑)

 

 

 

続く

 

 

 

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「伝統」とは何か。 4

2017.03.24

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これまでのお話

 

「伝統」とは何か。

「伝統」とは何か。 2 

「伝統」とは何か。 3  参照

 

 

では続きいきます。

 

 

◆「易」の三義

 

 

「気」とともに、我々の医学のもとになっている「陰陽」という哲学。

 

 

これが一体どういうものなのか、ということについては、『黄帝内経』の中には詳述されていません。

 

 

『黄帝内経』は、陰陽についてある程度理解していることを前提に書かれているような雰囲気があります。

 

 

その「陰陽」について詳しく書かれている大古典が『易経(えききょう)』という書物です。

 

 

北辰会も以前からそうですし、近年では他の様々な流派の先生方も、この『易経』を非常に重視するようになってきました。

 

 

鍼灸師が、『易経』に関する内容を書いた本も、いくつか出て来はじめました。

 

 

いいことです。

 

 

でもこれ、なかなか難しいんです。

 

 

あんまり東洋医学の基本的なことが分かっていないうちに、興味本位で噛り付くと、普通に歯が折れます。(゚∀゚)

 

 

また、ある程度基本が分かった段階で、『易経』に関する色々な説明を受けても、

 

「うんうん、なるほど分かった。・・・で?それをどうやって臨床に使ったらいいの??」

 

と、なりやすく、そこで脱落しやすいお勉強の一つでもあります。(苦笑)

 

 

こういった、「根本哲学」なんてモノは、結局、実際には役に立たない!とか言っちゃう人がいるのも分からないではないくらい、

 

なかなか取っ付きにくい学問だと思います。

 

 

僕もこれまで、『易経』、「易学」、「医易学」については、このブログ上でもあまり触れてきませんでした。

 

(易に関してはエキスパートを何人か知っているので、理解が曖昧な状態で何か書くのが、怒られそうで怖くてね。。。)

 

 

でも「補瀉」とか「三陰三陽」の時みたいに、そのうち、気が向いたらバーッと書こうと思っていますので、少々お待ちを。(笑)

 

 

・・・前置きが長くなったけど、「易」には三義と呼ばれるものがあります。

 

 

これは、「易」という言葉が持つ、三つの意味、というほどの意味です。

 

 

長くなりそうなんで、続く。(*‘∀‘)

 

 

 

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三旗塾、中医オープン講座に行ってきました!!

2017.03.21

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3.19の日曜日は、三旗塾、中医オープンセミナーに行ってきました!!

 

 

このセミナーは、金子朝彦先生の主催する「三旗塾」が開催する、年に一回のイベントだそうで、普段やっている中医学の勉強ではなく、

 

他の流派の先生をゲストに呼んで講演してもらうという、斬新な試みです。

 

(まあ、随分過去にはこういうのは、他の流派間でもあったらしいんですが、いつの間にか行われなくなった、言わば対外試合、

 

対外交流みたいな感じですかね。)

 

 

去年の日本中医学会で、以前から気になっていた金子先生とお会いして、FBで繋がって以来、この日がちょうどオフの日だったんで、

 

行ってみることにしました。(*‘∀‘)

 

 

会場に行ってみると、かなり知っている顔が。。。(笑)

 

 

今年は積聚会の西岡由記先生、長野式の伊藤弘隆先生による特別講義でした。

 

 

西岡先生は、そのご著書である『易経と難経』を数年前に読まさせていただいて以来、ずうっと講義を聴いてみたいと思っていた先生ですし、

 

長野式は、実は僕は15年以上前に、毎月足しげく勉強しに行っていた時があります。

 

 

ですが、この講座では面白いことに、積聚の先生が積聚治療の話をしない、長野式の先生が、長野式の話をしないのです。

 

 

一人の鍼灸臨床家として、自分の研究や、普段の治療を語る、といった、これまた斬新な企画でした。

 

 

金子先生のアイデアが、イー感じで炸裂してると思います。

 

 

西岡先生は傷寒論と難経と易経を絡めて、脈診に関する話しを非常に分かりやすく講義されていましたし、伊藤先生は非常に難しい、

 

患者さんのトラウマに対する独自のアプローチを紹介して下さいました。

 

 

久々にガンガンメモって、ガンガン質問しまくっちゃいました。(笑)

 

 

大変、いい刺激をいただきました☆

 

 

今はIT情報化社会、他流派の勉強会の様子なんかも、ネットで即時的に、かつ写真入りでリアルに覗くことが出来ます。

 

 

しかも何か情報発信したら、一瞬で地球の裏側まで届く時代。

 

 

これから、各流派が健全に刺激し合って、みんなで過去よりももっといいものが構築出来たら、素晴らしいですね。

 

 

 

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総合と総体 10

2016.12.18

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これまでのお話

 

総合と総体 1

総合と総体 2

総合と総体 3

総合と総体 4

総合と総体 5

総合と総体 6

総合と総体 7   参照

 

 

 

◆「太極」とは。

 

 

ここまで話してきたように、この医学において重要なのは、人間(患者)を「気一元」「天人合一」の考え方でもって、

 

「一」にまとめて、「総体」のアンバランスを診ている、というところにある、というお話をしてきました。

 

 

よく、この医学の根本は「陰陽」だ、と言われます。

 

カテゴリ「陰陽」   参照

 

 

脈診にしても舌診にしても腹診にしても、要は生体の「陰陽」のアンバランスをうかがうためのものなんですね。

 

 

陰陽を考える上で重要な言葉に「太極」という言葉があります。

 

 

この言葉の意味は、『漢方用語大辞典』によれば

 

「宇宙の太元気、宇宙を構成する陰陽二元気の根本。」

 

とあります。

 

 

また、『道教事典』では、もっと詳しく解説されており、まとめると、

 

「『易経』の繋辞伝における生成論の始めであり、朱子学においては認識論的意味を持たせられるようになった。」

 

と、何やら難しいけど重要なことが書いてあります。(笑)

 

 

蓮風先生のご著書である『東洋医学の宇宙』には、「太極」に関しては

 

1.太極陰陽は天地創造分化の大本

2.陰陽する場が太極

3.太極は認識以前の状態

 

と、箇条書きでサクッとまとめてくれております。

 

(ここは要は生成論と認識論、両方踏まえている訳ですね。)

 

 

蓮風先生はこのように、難しいことをサクッと簡単にまとめて説明するのが非常に上手い先生だと思います。

 

 

僕なんかは先生のこういうところを見て、凄く臨床家的だなあ、凄いなあ、と思う訳です。

 

 

何故なら臨床では、患者さんに対して、病気や、体の難しい問題を、すぐにパッと簡単に説明する能力が常に問われるからです。

 

(クドクド理屈を言っても、多くの患者さんは、なかなか聞いてくれないです・・・。苦笑)

 

 

まあともかく、「太極」は陰陽の大元になるもので、同時に陰陽に分けられる「場そのもの」でもあると。

 

 

また、医者と患者で例えれば、医者が患者を認識する以前の状態が「太極」で、認識した段階で「陰陽」に一応分けられるんだけれども、

 

常に「太極」、つまり一元の場から目を離さずに、意識を離さずに、「陰陽」の傾斜を意識する訳ですね。

 

 

このように、東洋医学の言う「陰陽論」というのは、単純な二元論ではなく、「二元的一元論」なのだ、というのが北辰会の主張であり、

 

その意味から、「陰陽論」と言わずに「太極陰陽論」と呼んでおります。

 

 

 

続く

 

 

 

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「形而上学」と「形而下学」 2

2015.04.09

 

 

 

 

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前回のお話

「形而上学」と「形而下学」 参照

 


では続きいきます!

 

前回は「形而上学」の意味と言葉の由来を紹介しました。

 

今日は「形而下学」いきましょう。

 


◆形而下学


1.形而上学の反対であって、実体のあるものを対象とする応用科学の学問。

2.フランシス・ベーコン(1561 – 1626)は、形而下学は、原因のうち質料因や作用因を探求するものとして、自然・博物学(自然誌)と形而上学の中間に位置づけた。

(言葉の意味の説明に専門用語使うの、やっぱりやめてほしいですねー。。。(苦笑))

 


また、「形而上学」「形而下学」の比較として、

形のあるものを考えるのが「下」で、形のないものを考えるのが「上」で、「神」を考えるのが「上」、「宇宙」を考えるのが「下」。

でも宇宙は神が創造したとすると、繋がってしまった考え方になってしまい、この区別は良くわからなくなる。

という考え方もあるようです。

 


 


・・・まーいずれにせよ、形あるものについて考えるのが形而「下」学

 


形ないものについて考えるのが、形而「上」学

 

 

この二つには、連続性、不連続性、どっちもありますかね。

 

東洋哲学では、この宇宙の始まりを考えたとき、形而上の世界から、形而下の世界への流れは、

『易経』、
『淮南子』、『老子』

の中に著されています。

 

ビッグバンなんちゅう考え方は、東洋には出てこないわけです。

 

(似たような話は、ないではないけど)

 


で、もともとそういう世界観に基づく、我々東洋医学の立場としては、形あるものもないものも、結局は全て「気」から出来ており、

この「気」の動きに、一定の法則性を見出し、鍼灸や漢方薬を使って、ある意味”作為的に”「気」の動きをあやつり、

結果的に生体の「治る力」を最大化せしめ、病を治すのが、僕ら東洋医学の医者の仕事なわけです。

 

西洋医学が治せない病を、東洋医学が治せることが大いにあるのも、頷けますよね。

 

というのは、東洋医学は初めから、人間や、大自然、大宇宙を考える時に、「形ないもの」を大いに認識の射程に入れており、むしろそれをこそ重要視している立場だから、

 

そうでない立場である西洋医学が出来ないことが出来たって、何ら不思議はない、と考えられるからです。

 

西洋医学では、極端に言えば形ないものは”いじくる射程”に入れておらず、形のみを徹底的に重視しています。

 

それの良さはもちろんあるんだけど、生命、自然を考えていく上では、それ一辺倒だと、場合によっては偏りが生じ、盲点が生じるんだと思います。

 

人の健康や病気を考える上では、「形ないもの」をこそ積極的に重要視した方が、うまくいく場合が多いのです。

形のあるような無いような世界 4 参照

 


だから、僕ら東洋医学には、現代において大きな存在意義があるんです。

 

おわり

 

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「形而上学」と「形而下学」

2015.04.08

 

 

 

 

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哲学の言葉で、「形而上学(けいじじょうがく)」とか、「形而下学(けいじかがく)」とかいうのがあります。

 

なーんか非常に難しくて、つかみにくい言葉なんですが、我々、「気」というものを真剣に扱う者としては、無視できない学問なんです。

 

まず「形而上学」からいきますが、辞書によれば・・・、

 


◆形而上学


1.存在者を存在者たらしめている超越的な原理、さらには神・世界・霊魂などを研究対象とする学問。第一哲学。

2.客観的実在やその認識の可能を端的に認める哲学的立場。不可知論や実証主義の立場から独断論や実在論を称した語。

3.事実を離れて抽象的なものにだけとどまる議論を揶揄していう語。

4.アリストテレスの中心著作。全一四巻。彼自身は「第一の哲学」と呼び,ありとしあるものについての普遍学としての存在論と,

究極第一に有る実在をめぐる神学に区分される。


とのことです。

(言葉の意味の説明に、専門用語を多用するのをやめていただきたいですねー。。。(笑))

 


まあ要は、これまで語ってきたような、我々が患者さんを診ていくときに中心に据える「気」というものがどういうものなのか、という問題を深く考察していく学問、と思ってくれればいいと思います。

カテゴリ 「気」 参照

 

 

これは英語ではmetaphysicsと書きます。

 


Meta「のちに」「背後に」「超越した」「上」という意味で、physics「物理学」ですね。

 

物理学の上にある学問、というニュアンスでしょうか。

 

語源はラテン語のMetaphysica(メタフシュカ)であり、これの原語の意味は、アリストテレスの講義草稿を整理する際、編者のアンドロニコスが、

 

「自然学(フュシカ)」「のちに(メタ)」無題の草稿を置いて、

「自然学の後に置かれた諸講義案(タ・メタ・タ・フュシカ)」

と呼んだことに由来するそうです。

 


で、この言葉に”形而上学”という日本語が訳語として当てられているわけですね。

 

で、「形而上学」という言葉の語源なんですが、なんとあの『易経』なのであります。

「易」を勉強する意味 2 参照

 


『易経』の中に、

「形而上者謂之道、形而下者謂之器」(繋辞上伝より)

という一文がありまして、これの意味は

「形の上のものを道と言う、形の下のものを器と言う」

というほどの意味だそうでございます。

 

形として触れることの出来るもの、形として理解、認識できるものの”上の”存在について考える学問、というわけで、「形而上学」という訳語を当てた訳ですね。

 

難解な哲学用語の淵源に、『易経』発見!!

 


因みに、日本語にこの訳語を付けたのは井上哲次朗(1856 – 1944)という明治時代に活躍した学者です。

 

この人は日本初の哲学の教授だったそうです。(東京帝国大学)

 


中国では、もともと清末民初に活躍した啓蒙思想家・翻訳家の厳復(1853-1921)という人物によって、metaphysicsの事は「玄学」と訳されていましたが、

現在では日本から逆輸入される形で「形而上学」と用いられているようです。

 

しかし、中国国内では、毛沢東がソ連のことを「教条主義」「形而上学」という言葉を使って痛烈に批判したため、現在ではけなす言葉として用いられることが多いようです。

 

続く

 

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「易」を勉強する意味 2

2015.03.29

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前回のお話

「易」を勉強する意味 

 

では続きいきます!

今日は、「易」が提示する、3つの真理について。

一つ目は「変易(へんえき)」

これは、全てのものは変化していく、という考え方です。

ギリシャ哲学のヘラクレイトス(万物は流転する)も、仏教の釈迦(諸行無常)も、似たようなことを言っておりますが、

易の場合は少し違います。

どう違うかというと、まず2つ目の「不易(ふえき)」

変化流転していくのだが、その中に不変のものがある、と説いたわけです。

(まあこれは、ヘラクレイトスも不変のものとして”ロゴス”を挙げていますが。)

そして「易」の言う、その不変のものこそが、3つ目の「簡易(かんえき)」、つまり単純なもの(法則性)であるということです。

この単純にして深遠な法則性が、「陰陽」である、という訳です。


ここで言う単純というのは浅薄という意味ではなくて、あらゆる複雑怪奇な事象を、単純明快な論理に純化したという意味での「単純」です。

これによって、あらゆる事象が、今後どうなるか、という未来予測が出来るようになります。


因果律(原因と結果)ですね。

だから、医学に応用が出来る、という訳です。

ここが「医易同源」と言われる所以ではないでしょうか。

それも、東洋医学的な「気」への働きかけということの背景が、いかに壮大なものであるか、ということに気づきます。

また当然ながら、「占い(占術)」にも応用可能になるわけですな。

陰陽については『黄帝内経』の中にあらゆる形で説かれていますが、その変化のメカニズム、原理については『易経』なんです。

であるからして、真の東洋医学の医者であろうと思うならば、「易学」をやらないわけにはいかない、となるのです。

 

 

中国漢代、張仲景『傷寒論』原序

陰陽に会通すれば、玄冥幽微にして変化極り難し」

「張仲景(ちょうちゅうけい)」という人物   参照

中国明代、張景岳『類経附翼 医易義』

陰陽は『内経』に備わるといえとも、変化は『周易』に大なるはなし」

「張景岳(ちょうけいがく)」という人物   参照

 

【参考文献】

 

『周易と中医学』楊力 医道の日本社

『易と人生哲学』安岡正篤 致知出版社

 

 

 

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