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2014.09.11
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「患者さんの声」をいただきましたので、紹介します。
20代女性 会社員
【症状】子宮頸がんの疑い、繰り返す流産、子宮外妊娠、肩こり、腰痛、頚痛、歯痛、つわり、めまい、発熱、だるさ、むくみ等
清明院に通い始めたきっかけは、度重なる流産や子宮外妊娠でした。
他に、子宮頸がん予備軍として診断され、病院に通うも、良くなったか進行してるか?の経過観察のみで、改善方法が無いことに、
不安と不満があったからです。
また、ずっと悩まされていた肩凝り、腰痛等もついでに一緒に治せられればなー…と言う気持ちがありました。
最初の診察は問診も含め約3時間。
問診の前に、自分自身の身体についての様々な質問事項が書かれたカルテを渡され、こたえられる範囲で回答。
その後、先生がそのカルテを見ながら詳しく問診。
身体的な事から、家族構成、初めて痛みが出た時の状況や環境、感情等。
その後、診察へと移っていく感じでした。
人によっては、何でこんなに聞かれないといけないのか?と思うかもしれませんが、私には自身の身体と感情とに向き合い、
紐解いていく時間が出来て、すごく腑に落ちました。
その最初の診察の段階で、とりあえずここに通ってみよう!と思えました。
その後、腰痛だったり、首の筋を痛めたり、肩凝り、虫歯…と色々な症状でもお世話になり、あとは子宮頸がんの症状が進行しない為に通っている感覚でした。
ところが、清明院に通い初めて約3ヶ月で妊娠反応!
先生に妊娠報告すると、そこからは妊娠で出るあらゆる不調に対応し不安を軽減させてくれました。
(先生のゆるーい対応が緊張をゆるめてくれます(笑)
つわり、めまい、貧血、発熱、だるさ、むくみ等。
しかし、そうはいっても、やっぱりまた流れてしまうのではないか?という不安がずっと拭えなかったのは確かでした。
でも、5ヶ月を過ぎた辺りからお腹の中の子の生命力、鍼治療の力、自分の前向きな気持ちを信じようという気持ちにシフトチェンジしていきました。
今までの他の症状緩和を体感してるからこその信頼感ですね。
そして、通い初めて一年未満で無事元気な赤ちゃんを授かりました♪
本当に感謝としか言いようがないです。
また落ち着いたらお世話になるつもりです。
【清明院からのコメント】
最近、忙しさにかまけて「患者さんの声」を書いていただくことを長らく怠っていましたが、やっぱり治った患者さん全員に書いてもらわなきゃな、
と思えるような内容の「声」をいただきました。(苦笑)
この方の「声」も、同じような症状、悩みを抱える患者さん達の、大いなる助けになるんじゃないでしょうか。
この方は、関西の大先輩の紹介で来院されました。
それもあって、患者さん自身が仰っておられるように、初診の段階から当院の治療スタイルを信頼していただけていたようで、
たいへん治療を進めやすかったです。
初診の診察後、
「肝鬱気滞(かんうつきたい)、肝血虚(かんけっきょ)」
と証を立てて治療を開始したところ、1診目から劇的な良性の変化が現れ、その後も順調に治療を進めることが出来ました。
現在、不妊症の患者さんは非常に多いですが、意外とこの方のように、妊娠はするけど育たない、流産を繰り返してしまうとか、
妊娠したはいいものの子宮外妊娠だったとかいう、いわゆる「不育症」の方も少なくありません。
鍼灸では当然、不妊症にも不育症にも、東洋医学の見地から対応できます。
また、妊娠中や、妊娠前の時期に伴う、様々なトラブルにも、この方のように、ことごとく鍼灸で対応していきます。
病院のように、薬を使った方法だと、初産の妊婦さんは特に、胎児への影響を考えて、たとえ症状が抑えられたとしても、
非常に不安になりますので、使いたくない、というのが本音でしょう。
事実、婦人科から薬をもらったものの、怖くて飲めていない、という患者さんは非常に多いです。
しかもその不安感が、諸症状をさらに重く、取れにくくしたりします。
しかしそうであれば、それらの症状を初めから鍼灸治療で難なく改善できれば、この方が仰っているように、妊娠時の不安解消に繋がり、
ポジティブな考え方を持つことに繋がります。
そうすると、結果的に生命力が鼓舞され、流産しにくく、正常妊娠しやすくなります。
まさに東洋医学の「心身一如」を体現された症例だと思います。
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2011.09.10
清明院では現在、スタッフを急募しております!!
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今日、とある患者さんに質問されました。
「先生、妊娠したら、安定期に入るまでは鍼しちゃダメですよね??」
と。
僕は即答で、
「へ??むしろ妊娠初期からやるべきですけど?」
とお答えしました。(苦笑)
清明院には、不妊症でお見えの患者さんも多くおられます。
清明院では、不妊症の患者さんを治療して、体調を調えた結果、めでたく妊娠したら、今度は赤ちゃんがお腹の中ですくすくと健全に育つように、治療を続行します。
また、鍼をよく知っている患者さんなら、妊娠初期に、つわりやカゼの症状等を訴えて初診に訪れる場合もあります。
・・・まず重要なのは、「妊娠」というのは病気でも何でもないです。
健康な女性にとっては、条件さえ整えば誰にでも訪れうる、極めて生理的な現象です。
しかし、妊娠中には、わずかな期間に、お母さんの心身には様々な急激な変化が起こります。
それに上手くついていけずに、色々な症状が出ることはあります。
悪阻(つわり)や妊娠中毒症、妊娠糖尿病、腰痛やむくみなどなど、また、様々な不安から、情緒不安定やうつ病になったりすることもあります。
こういう、妊娠中に起こる諸症状に、鍼灸は非常に有効な手段だと思っています。
また、妊娠中にカゼをひいたりした場合、多くのお母さんは、胎児への影響を考え、あまり薬は飲みたくありません。
そういう時にも鍼は有効です。
清明院でもこれまでに、何度も何度も経験しています。
清明院HP内、「患者さんの声」でも、つわりの症例を紹介しております。
ただ、一つ断わっておきたいのは、キチッとした東洋医学的な診立ての出来る、上手な先生の鍼灸なら、どんどん受けて欲しいと思いますが、
生半可な知識の、でたらめな鍼ならば、受けるのは大変危険なのは言うまでもないです。
鍼灸というのは非常に有効であるだけに、使い方を間違えたら大変な凶器なのです。
僕は常々、鍼灸が、「正しく」広まってほしいと、切に願っております。
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2010.01.06
これはですねー、今回正月に地元に帰った時、なんとめでたいことに、帰ったその日に友人の奥さんの妊娠が発覚しまして、その奥さんから聞かれた質問です。
「妊娠中ってつわりとか、体調が色々と変化するらしいけど、もし具合悪くても薬飲んじゃいけないんでしょ!?・・・ということはつらくてもただただ耐えるしかないワケ??」
・・・という質問でした。
結論から言うと、
「妊娠中の辛い諸症状を和らげる方法はいくらでもあります。鍼灸しかり漢方薬しかり。なのでご安心を。ただ、ツボ療法も西洋薬も漢方薬も、
服薬についてはよく専門家の話を聞いて、慎重にしないとダメですね。」
となります。
現代西洋医学の産婦人科領域では、胎児への影響を避けるため、妊娠中は極力服薬を避ける方向で考えることが多いようです。
薬の影響で新生児に奇形や先天異常を起こすケースが稀にあるからです。
それでも、あまりにも妊娠中の症状がひどい場合は、様子を見ながら安全な(要は新生児に異常が起こったという報告のない)薬を出すこともあるようです。
このときによく、東洋医学をほとんど勉強したことのない医師が、安易に症状のみを頼りに、適当な漢方薬を処方したりしているという、
残念な現実もあったりします。(苦笑)
(例えばよく、妊娠中に風邪ひいて、ひき始めには葛根湯ということで、病院でもらって、飲んでみたけど全然風邪が治らなかった、なんて話を患者さんから聞くことがあります。)
まあ、漢方薬で奇形が起こったとか、先天異常が起こったとかっていう報告はないらしいんですが、慎重に服用した方がいいのは間違いないでしょう。
(特に妊娠初期は。)
東洋医学には「安胎(あんたい)」という言葉があります。
要は胎児を安らかに育てる方法、という意味です。
ひとつ例を挙げると、江戸時代から近代まで、日本でよく使われた有名な安胎の薬で、『金匱要略』に出てくる「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」という有名な漢方薬があります。
(個人的には、現代日本人女性の「安胎」を狙おうと思ったら、上記の薬ではちょっとどうなんだろうな・・・と思う面もないではないんですが、
一応、江戸時代なんかは盛んに、妊娠中にこれら”安胎薬”を服用する、という行為が当たり前のように行われていたんだろうと思います。)
ちなみに、僕であれば、妊娠中の諸症状に関しては全て鍼灸と養生指導で対応します。
どうしても患者さんの方で、漢方薬を使いたければ、専門家の先生を紹介するようにしています。
妊娠中のご婦人に対して、東洋医学が出来うるサポート力は半端じゃないと思います。
ホントに、知らなきゃ損するレベルだと思いますね。
(知らない人がホントに多くて困ります(+_+)・・・頑張って広めます!)
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2022.11.12
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10.27(木)の夜は、第45回の順天堂東医研で喋ってきました!!
今回のテーマは
前半:東洋医学的診察法⑫「弁証問診その4(女性生理)」
後半:実技デモ「婦人科疾患の体表観察のポイント」
ということで、前回の長瀬先生の講義に続き、婦人科にフォーカスした内容でした。
生理痛、生理不順、PMS、PMDD、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮癌、卵巣癌、不妊症、不育症、更年期障害などなど、婦人科がらみの症状や病気で苦しんでおられる患者さんは非常に多いです。
婦人科医院の方でも、痛み止めやホルモン補充療法などなど、色々な方法で対処しているものの、なかなか対処しきれていないのが現状ではないでしょうか。
そういうものに、東洋医学(鍼灸・漢方)が意外と効果を発揮します。
清明院でも、婦人科の主訴の患者さんを診ない日はありません。
外科手術を急いでせざるを得ないような腫瘍系の疾患以外であれば、ほとんどのものに、少なくとも有効ではある、という印象を持っています。
私の少ない経験でも、減薬、廃薬に導くことが出来た症例は数多くあります。
今回は、シリーズで講義している「弁証問診」にフォーカスし、患者さんが女性であったら、どのような疾患であっても婦人科に関する問診を取ることが重要である旨、お話ししました。
女性の一生における、初潮→月経→妊娠→出産→閉経という生理的な一連の流れにおける諸相には、その女性の体質素因や、重要な病理を示す情報が、多分に含まれています。
ですので、東洋医学的な診療においては全症例において婦人科に関する情報を聴取し、治療の役に立てます。
また、前回から対面ハイブリッド開催になったので、実技デモも行いましたが、音声、映像が思いのほか乱れており、オンライン参加の方には大変見にくかったと思います。
大変失礼しました。<m(__)m>
これは次回の12.15(木)の講義ではキッチリと修正し、リベンジしたいと思います。
暫くはハイブリッド開催になりますので、お近くの大学の方はぜひ現地にて、遠方の医大生の皆さんはオンラインで、お気軽にご参加ください☆(*‘∀‘)
お申込みはこちらから!!
2022.09.16
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9.12(月)の夜は、日本東方医学会の分科会であるDAPAカンファレンスを視聴してきました!!
今回のテーマは
Case 37【漢方クリニックからの紹介 40代不妊の症例】
Case 38【死産に関わった症例】※非公開
という二本立て。
先日の北辰会での「陰部瘙痒感、堕胎」の症例もそうでしたが、非常に多いです、不妊や不育に限らず、婦人科疾患のご相談。
通常、結婚して、普通に性生活があるのに1、2年妊娠しない、となれば、不妊症を疑って、夫婦ともに婦人科でホルモンの値や精子の状況等、検査される方が多いようです。
そして、食生活等の生活習慣の改善から、排卵日を意識したタイミング法、人工授精、体外受精と、それぞれのケースに応じて不妊治療が始まります。
それですぐに赤ちゃんを授かってしまえば、鍼灸には来ないでしょうが、上記をやっても、なかなか授からないといった場合に、鍼灸院の門をたたくケースが多いようです。
なので、鍼灸院に見える不妊症や婦人科疾患の患者さんというのは、その時点でけっこう重い、あるいは難しいものが多い、という現実があります。
鍼灸治療は、不妊や不育の治療における、どのフェイズで介入しても、有効、有益な手立てとなり得ると、私は考えています。
しかし、もちろん難しいケースがあるということも事実ですし、ある意味人生のかかった不妊治療で、切迫感のある患者さんと向き合うということは、容易なことではありません。
今回は、参加された先生方が提示して下さったいくつかの文献も引きつつ、現実に即した、なかなかリアルな、いい議論が出来ていたと思います。
◆参考
妊娠中でのCOVID感染の転帰の論文
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35970201/
妊娠中の鍼治療の安全性:システマティックレビュー
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4112450/#!po=40.1515
妊娠中のアルコール暴露での転帰の論文
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34446055/
妊娠と鍼灸についての文献
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32952799/
次回は10.14(月)の20:00~やるようです。
お申込みはこちらから、ご興味のある医師、鍼灸師、薬剤師の方はぜひ!!
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2022.09.15
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9.4(日)は、(一社)北辰会ライブ配信「陰部瘙痒感、堕胎の症例解説」を解説してきました!!
(・・とはいっても、僕は最後にチョロッとコメントするのみだったんで、もう楽チンです。司会進行や細かな解説は、もう次世代が立派にやってくれてます。)
まあ、北辰会の真骨頂とも言われる、症例検討会。
かつて、その激しいやり取りは、会の内外で賛否両論を巻き起こしたこともありました。笑
現在では、事前に学術部の担当メンバーによってしっかりと添削、査読を入れて、ある程度論点を明確にした上で発表されます。
この症例は、決して綺麗な症例ではなかったかもしれないが、術者の苦悩や、一生懸命さの伝わる、会員の先生方にとって非常に示唆や教訓に富んだ症例だったと思います。
・・まあ何しろ、
「西洋医学が治せないような難病を、鍼灸のみで、数回の治療で劇的に治してみせた!!」
みたいな、完璧で鮮やかな、世の中の度肝を抜くような症例なんていうのは、そうそうあるもんじゃないし、術者はみんな、日夜試行錯誤して、
艱難辛苦、苦汁辛酸を舐めながら、苦悩しながらやっているのが、偽らざる現実なのであります。笑
この症例も、福岡の筒井まりか先生が苦心しながら、どうにか妊娠出産という、患者さんの一番の目標達成に漕ぎ着けて見せた症例で、素晴らしかったと思います。
まあしかし、2時間じゃ正直、全然足らないですね。
あの症例一例で半日とか、丸1日かけてやってもいいくらいだと、個人的には思っています。
(以前は北辰会の症例検討会は、一症例で半日丸々やってたんですよね。)
また、若い先生方には、こういう苦慮した症例でも、ガンガン自分の症例を表に出して欲しいですね。
(僕もそうしていました。)
その術者がやった一症例には、ある意味すべてが詰まっており、それを第三者としての大先輩から、冷静に、深く細かく検討してもらう、という経験から、
非常にプライスレスな知見を得ることが出来、それをこれからの患者さんに、大いに還元できるものと思います。
まあ要は、真面目に症例出したら、結果、臨床家レベルが上がる、ということです。
自分の業績加算目的とか、単なる売名とか、そんなクソしょーもない発想じゃないんです。笑
ですので皆さん、症例を出しまくりましょう。(^^)
〇
2022.07.09
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昨日のニュースで、心を痛めてしまっている方がほとんどだと思います。
私もその一人だし、昨日の夜から、今日診た患者さんにも、多かったです。
まだ事件の詳しい背景は分かっていないし、今後全て明らかにされるかどうかも分かりませんので、今あのニュースを見ても、やるせない気持ちになるだけ、ここは落ち着いて、各人が自分の人生に、集中していきましょう。
暫くは発信を控えようかとも思いましたが、ここはいつも通りいきたいと思います。
〇
7.3(日)は、超越漢方勉強会にオンライン参加し、視聴しました。
これは、日本東洋医学会関西支部の先生方を中心に行われている勉強会で、今回は北辰会の漢方医でもある竹本喜典先生や、いつもお世話になっている賴建守先生が講演されるということで、初めて参加させて頂きました。
細々書いたらキリがないけど、内容は鍼灸家から見ても素晴らしかったと思います。
「半夏(はんげ)」という生薬について、有名な先生方がワイワイと非常に盛り上がっていました。
半夏はサトイモ科のカラスビシャクの塊茎の外皮を除去して乾燥させたもので、化痰止咳平喘薬、と言われるグループに属する生薬です。
(まあ要は痰をとって呼吸を楽にする作用のある生薬ね。)
性味は辛温、微量ですが有毒、帰経は脾、胃と言われます。
(『中医臨床のための生薬学』P334 参照)
そのままなめると、マジで咽喉(というか気道全体)がとんでもない乾燥感に襲われます。苦笑
昔、蓮風先生が半夏をなめてとんでもない目に遭ったというので、真似してなめたら、やはりドエライことになりました。苦笑
絶対真似しちゃダメです!!
(・・といっても、やっちゃう奴いるんだろうなあ。。。)
そしてこの半夏の毒性を消すのが生姜(生薬名しょうきょう:生のショウガ)なんですね。
因みに、半夏+生姜で小半夏湯という漢方薬で、これに茯苓を加えたのが、妊娠悪阻に良く用いられる小半夏加茯苓湯ですね。
この方剤は船酔いなんかにも応用されることがあり、実は小半夏加茯苓湯には、僕も以前助けられました。笑
我々鍼灸師が、経穴の、ある一穴で盛り上がれるように、漢方家もあのように、生薬一つであーでもないこーでもないと盛り上がれるようであって欲しいな、楽しそうだな、と思いましたね。
臨床は、そりゃあ厳しいことも多々ありますが、やはり、仕事は基本的には楽しんでやらないと。
〇
2018.08.31
↑↑圧倒的貫禄。これは墓マイラー 森道伯先生で紹介したお写真をもとにした肖像画らしいんですが、素晴らしい出来栄えですね。
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昨日、墓マイラー 森道伯先生という記事を書きました。
・・・まあ、東洋医学をやっている者にとっては言わずと知れた、「一貫堂医学」の創始者であります。
このブログにも、これまでチョイチョイ、名前だけは登場していました。
・・・さて、どんな人物か。
〇
1867年、大政奉還の年に、水戸藩(現茨城県中・北部)の、代々武家の家系に生まれる。
父は白石又兵衛という。
遠い祖先に清和源氏・源頼義がいる。
(清和源氏とは、清和天皇の血を引く源氏姓の一族。後述しますが、皇室とご縁がありそうです。)
2歳の時、水戸藩の内乱を逃れて、今の茨城県、笠間城下の陶器商である森喜兵衛の養子となる。
(だから森姓なわけね。)
12歳で養父が死去。
この時、養母を連れて東京に出て、すでに東京にいた長兄・又二郎とともに、鱉甲彫刻をして生活する。
(なんて立派な12歳なんだ!( ゚Д゚) 現代にはこんなんいないでしょうな。。。)
この時の荷物の中に、実父の白石家に伝わる家伝の医書があったそうです。
(この一冊が原点か。因みに詳細不明。)
1887年(明治15年)、15歳の時、実父の勧めにより、東京(浅草蔵前)で開業していた、実父の知己であり、仙台出身の産科の名医である、
遊佐大蓁(ゆさたいしん:正しくは快慎かいしんというらしい)について、3年間医学を学ぶ。
因みにこの遊佐先生の先祖は大庄屋で、医家としての初代の人物は、婦人科で有名なあの賀川玄悦(1700-1777)の学統であり、
道伯が師事したのは医家としての遊佐家の2代目で、4代目の遊佐寿助は宮城県薬剤師会の初代会長であったらしい。
墓マイラー 14 参照
(繋がるね~~(゜o゜))
・・・ともかく、その後も鱉甲職人を続けながら、清水良斉という漢方医について漢方を学ぶ。
この清水先生がまた謎の人物で、名医だったそうだが大酒呑みで、ある時、旅に出ると家を出たまま、忽然と姿を消したそうで、その後を継ぐ形で「道伯」と号し、診療を行うようになったそうです。
(まあ、神が道伯先生に診療所を与えたんでしょうかね。。。)
因みに道伯は鱉甲彫刻職人としても「西町の豊光(彫刻師としての道伯の号)」と呼ばれ、名が売れていたらしい。
(サスガです。<m(__)m> きっかけは生活の為でも、やるからにはマジ、って感じだったんでしょうな。)
明治24年、24歳で最初の結婚。
26歳で長男義之介、30歳で次男光隆が生まれる。
(結婚してすぐに長女が生まれたそうですが、出生後すぐに亡くなってしまったそうです。)
明治32年、32歳の時に妻が妊娠中に腸チフスに罹り、流産し、亡くなる。
この時、道伯自身も、水戸に旅した際に風湿に中たり、強烈な黄疸を発し、清水良斉の治療を受けるも、生死を彷徨う。
(この時のエピソードについては後述します。)
1902年(明治35年)、35歳で「日本仏教同志会」創立、社会教化運動を行う。
(これは明治39年には解散したらしいですが。。)
↑↑こういうところも、道伯先生の面白いところです。
医家であると同時に、彫刻家であり、宗教家、社会活動家でもあったんですね。(゜o゜)
道伯先生は大変博学で、禅宗、真言密教にも精通しており、熱心に観音信仰をしていたそうです。
また政治や経済にも明るく、観劇に行く趣味もあったとか。
30代の頃、清水良斉先生の失踪後、「一貫堂」の看板を掲げて「道伯」と号し、診療を行うようになったそうです。
「一貫堂」はかつて師事した遊佐先生の診療所からとったもので、論語の里仁第四にある「吾道一以貫之」に基づいているそうです。
明治41年、41歳で再婚し、42年、道伯先生にとっては第4子である敬三郎が出生。
1918年(大正7年)、51歳の時、スペインかぜが大流行した際、病のパターンを胃腸型、肺炎型、脳症の3つに分け、それぞれ漢方で治療し、
大いに効果を挙げたという逸話はあまりにも有名です。
1923年(大正12年)、56歳で関東大震災に遭遇、居所保護法の建議案を訴えて、上野公園で演説を行う。
(こういう、政治活動家的な側面もあったようですね。)
1926年(大正15年)、59歳の時、門人・西原学氏が「漢方専門」と標榜したところ、医師会から圧迫を受けたことをきっかけに、森先生は憤慨し、
長野市善光寺にて「漢方医道復興大講演会」を開催し、
「漢方を滅さんと欲せば、まず森道伯の首を刎ねよ!!」
との有名な文句を叫び、専門科名認可の訴訟を起こし、ついにこれを獲得しました。
(スゲエ!(゜o゜) でも森先生は無資格!!みたいなね。。(笑))
・・・この、魂の籠った一言が、昭和の「漢方復興運動」の第一声と言ってもいいでしょう。
今日、街中に当たり前に「〇〇漢方クリニック」とか、総合病院内の中に「漢方外来」なんてのがあるのは、古くは森先生のこの行動のお陰と言ってもいいでしょう。
1930年(昭和5年)、63歳の時、森道伯の名声を伝え聞いた竹田宮、北白川宮から治療の依頼あり。
(ここで皇室と繋がるわけです。何かの縁なんでしょうね。)
同年8月、歩行困難を訴え、9月には病床に伏せ、脊髄炎、尿毒症を起こす。
1931年(昭和6年)、64歳で逝去。
亡くなる3年前には、自分の死期を家人に告げていた。
(ということはやはりあの墓石は自分で建てたっぽいですね。。。)
道伯先生は32歳の時に大病をした時に、観音菩薩に、
「寿命をもう32年延ばしてくれ、そしたら残りの人生は東洋医学の復興のために生きる」
と日夜お願いし、鍼灸と漢方薬で全治した経験があるらしく、その予言の通り、64歳でこの世を去った。
臨床でも、非常に直観が冴えており、不問診で患者の状態をピタッと言い当てたり、患者がこれからかかる病を予言し、その通りになったりと、
霊能力者っぽい逸話も多い先生であります。
〇
以前書いた丸山昌朗先生といい、自分の死期を正確に悟っていたエピソードは、他の先生でもけっこうありますね。
名医らしいエピソードだと思います。
また道伯先生は
「術は以心伝心で初めて伝わるもの」
とし、著述を好まず、書籍は残っていないそうです。
もっとも有名な弟子である矢数格(道斎)先生の『漢方一貫堂医学』が、森先生を知る重要な手がかりだと思います。
また、この先生は臨床において漢方だけでなく鍼灸も非常に重用したようであり、弟子には「人迎脈口診」の研究で有名な小椋道益先生や、
『漢方医術復興の理論』の著者で、昭和の時代に経絡治療を唱道したことで知られる竹山晋一郎先生、また婦人科医で、現在私が講師としてお世話になっている
東洋鍼灸専門学校の校長でもあった石野信安先生、他にも刺絡で有名な工藤訓正先生や、道伯先生と直接は会っていないようですが柳谷素霊先生門下の西沢道允先生など、
鍼灸師に与えた影響や、鍼灸そのものとの縁も深いです。
お弟子さんの諸先生方の後日談によって、この先生の臨床でのエピソードはたくさんあるのですが、特に印象に残ったものを二つ紹介します。
矢数格(道斎)先生の弟君である矢数道明先生が、漢方を学びながらも西洋医学にも興味を持ち、こっそりと患者の尿検査をしていたところ、それが道伯先生の耳に入り、
「試験管で小便の検査をしなければ治療が出来ないような漢方家になるならやめてしまえ!破門だ!!」
と怒鳴られたとか、あるお金持ちの患者さんが、処方を渡されて、帰るときに受付で
「これで本当に治るんでしょうか?」
と尋ねると、
「疑うような薬なんか飲むな!」
と一喝し、一旦渡した薬を引き取った事があるそうです。
(後日この患者さんは自分の態度振る舞いを反省し、無事治ったそうです。)
・・・とまあ、アツい臨床家、という感じの森先生。
この情熱が、多くの患者さんを救い、多くの優秀な後輩の心に火をつけ、現代まで脈々と続いているのでしょう。
「漢方医学復興」といえば、森道伯と同じ時代を生き、似た主張をした大人物である和田啓十郎先生とは、親交や面識があったかどうかは分かりませんが、
和田先生の場合は先に西洋医学を学び、その後に東洋医学に傾倒した人物で、業界に対して、ある種のイデオローグ的な言行を取ったのと違い、
森先生は最初からまさに「一貫して」漢方医学であり、生涯一臨床家であったと、後の竹山晋一郎先生は両者をともに”天才”と評価しつつ、
対比、比較しています。
また、和田啓十郎先生の息子さんである和田正系先生と、森道伯先生の高弟である矢数格(道斎)先生が、千葉医専(現千葉大学医学部)の同級生であったことは、
単なる偶然でない気がしてなりません。
・・・以上、どんなにコンパクトにまとめても僕の頭と文章力ではこれぐらいになってしまうので、肝心の「一貫堂医学」がどういうもので、
鍼灸ではどういう風に応用が利くか、みたいな話は、また違うところで書きましょう。(笑)
イヤーなんか、森家と和田家と矢数家、そして大塚家、柳谷素霊先生、千葉大学、北里大学、東洋鍼灸専門学校と、一連の近代日本東洋医学の歴史の流れ、重みを感じます。
また、僕としては、一貫堂も、森道伯先生の弟子には鍼灸師もいるのに、どこからか、鍼灸師と漢方医が一枚岩でなくなってしまったような感じがして、それが悔やまれますね。。。
◆参考引用文献
『漢方一貫堂医学』矢数格
『漢方一貫堂の世界』松本克彦
『漢方医術復興の理論』竹山晋一朗
『森道伯先生生誕百年祭記念文集』仁性会
『森道伯先生伝並一貫堂医学大綱』道齋矢数格編
『漢方治療百話 第八集』矢数道明
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2018.06.07
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これまでのお話
では続きいきます!!
全日、ラストは鍼灸実技セッション「女性鍼灸」を聴きに。
清明院も、ま~多いです、女性特有の疾患でのご来院。
PMS、PMDD、生理痛、生理不順、無月経などの月経に伴う諸症状はもちろん、つわり、妊娠中毒症、妊娠糖尿病、逆子などなど、妊娠時のトラブル、
不妊症、不育症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、乳癌、子宮癌などなど、清明院には、西洋医学で解決しない女性疾患でお困りの患者さんが、毎日たくさん見えます。
もちろん、上記のような新患一つ一つについて、鍼灸で全て完璧に治せるなんて主張はしませんが、鍼灸治療が介入してから、顕著に良性の変化が起こって、
患者さんに喜んでいただける、なんてことは、日常茶飯事として経験します。
まあ、女性特有の疾患についても、清明院では、いつも通り、四診合参の上、弁証論治するのみなんですが、他の先生方がどうやっているか、気にならないでもないです。
・・・というわけで今回、覗いてみました。(゜レ゜)
一人目は大阪の「まり鍼灸院」院長の中村真理先生。
中村先生には、去年の日本東洋医学会で初めてお目にかかったのですが、とてもパワフルな先生、という印象です。
この先生の発表は、たくさんの症例をまず集積して、それを統計学的な手法でもってキチッと分類、分析して、何が言えるかを述べる、という手法であり、
EBMを踏まえた発表が当たり前となっている昨今、非常に参考になる発表姿勢だと思います。
また、病態把握の方法として中医学の理論と用語を採用しており、そういう意味でも分かりやすいご発表でした。
発表後、フロアの婦人科医の先生から、少々厳しい突っ込みもありましたが、それも含めて大変勉強になりました。
会場にいた人は分かると思いますが、あの突っ込み、
「もし僕ならどう答えるかなー・・・。」
と思いましたね。。。(゚∀゚)
二人目の先生は近畿大学東洋医学研究所の附属診療所の鍼灸師である井本蓉子先生。
このように、医学部を持つすべての大学に当たり前に東洋医学研究所があり、そこには当然、付属の鍼灸院、付属の漢方クリニックがあり、
そこに多くの鍼灸師が勤務し、毎日患者さんの治療にあたる、というのが日本の標準的な姿になるといいと思います。
(しかも出来れば附属病院の西洋医学とも緊密に連携しながら治療にあたったら、と思います。)
井本先生は、とても優しそうな先生でした。
あの落ち着いた雰囲気は、多くの患者さんを安心させていることでしょう。
また、治療に対する一生懸命な姿勢もよく伝わりました。
女性疾患については、女性の鍼灸師の先生の方が、患者さんも相談しやすいでしょうし、鍼灸師の先生自身も、月経や妊娠出産に関しては、
自分の実体験を通じて、アドバイスしやすいだろうと思います。
20年前と比べたら、「女性・小児専門」と掲げた、女性院長の鍼灸院が全国にずいぶんと増えましたが、これは大変良いことだと思いますねえ。
続く
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2018.04.30
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久々に治療に来た、小児の患者さん。
もともとは、お母さんが不妊治療で見えていた。
清明院で不妊症を治療し、無事妊娠し、出産なさった。
出産してすぐの頃、不調を訴えて、赤ちゃんを一度連れてきた。
その時はキョトンとしていて、おとなしい子だった。
つい最近、それから何年か経って、「カゼが治らない」と訴えてやってきた。
近医の薬を飲んだが、治らない。
熱が出て、咳が出て、下痢が出て、食欲もない。
今回は、体表観察に入ると、即座にギャン泣き。
「こわい!いやだ!かえる~~!!」
と、ギャン泣き。(苦笑)
う~ん、小児科で、何があったんだ。。。( ;∀;)
・・・で、二診目に連れてきた。
前回の治療後、諸症状、劇的に改善。
またギャン泣きかと思いきや、今回はまったく泣かなかった。
僕と目が合うと、ニコニコしている。
痛くないこと、怖くないことを理解したのだ。
僕が
「もうこわくないか?」
と聞くと、
「こわくない。」
と恥ずかしそうに笑う。
・・・鍼はこわくなく、よくきくのだ。(゚∀゚)
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