東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「平補平瀉」という考え方

2015.08.19

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鍼灸治療の治療法に、「平補平瀉法(へいほへいしゃほう)」という考え方がある。

 


僕は個人的には、非常に好きな治療だ。

 

正気(言わば病と闘う力)を経穴に集め、結果的に気血の流れを良くし、治る力を高めるのが補法(ほほう)。

 

邪気(言わば病の原因となる、余分な気)が吹き溜まっている経穴の気を散らし、結果的に気血の流れを良くし、治る力を高めるのが瀉法(しゃほう)

 


補瀉(ほしゃ) を含む記事 参照

 

この、補法と瀉法を、一つの経穴に同時にやるのが平補平瀉法

 


ある経穴に、正気の弱りと、邪気の停滞が、同時に表現されている場合がある。

 

なおかつ、その患者さんの病態も、正気の弱りに加えて、邪気の停滞も無視できないような病態である場合。

 

こういう時は、平補平瀉法でサクッと治すのが一番スマート、かつエレガントなんだが、その際の取穴といい、経穴に対する作法、鍼の操作といい、簡単ではない。

 

初心者、初学者はやらない方がいい。

 

立秋以降、これの応用を八脈交会八穴に施す機会が、非常に多い。

 


秋燥の気 参照

 

虚実錯雑、寒熱錯雑、燥湿錯雑、肺は嬌臓、半表半裏、左肝右肺、肝か胆か。

虚実 を含む記事
寒熱 を含む記事
燥邪 を含む記事
湿邪 を含む記事
「肺」って何ですか?(その12)
半表半裏 を含む記事
「左肝右肺」に関して 7
「肝」って何ですか?(その13)
「胆」って何ですか?(その12)      参照

 

 

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「表裏同治」とは(その2)

2012.01.27

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前回のお話・・・

「表裏同治(ひょうりどうち)」とは

 

前回、東洋医学では、いわゆる「カゼ」とか、最近話題の「インフルエンザ」など、細菌やウイルスによる急性の病のことを、多くは「外感病」と呼び、体の外から邪気が入って、正気を侵害している病、という風に考えます、とか、

外から入るワケですから、浅い部分からだんだんとカラダの奥深くに入っていき、最終的には五臓六腑が障害されて、命にも関わる、という風に段階的に分けて考えています、とか、

その「深さ別」の呼び名として、

表証・・・皮膚表面のような、浅い位置に病がある状態
 ↓
半表半裏証・・・浅い位置と深い位置の中間の、中途半端な位置に病がある状態
 ↓
裏症・・・五臓六腑に関わる、深い位置に病がある状態

・・・というのがある、なんてお話をしました。

 

このように言うと、非常にシンプルに聞こえますが、実は表証にも裏症にも半表半裏証にも、それぞれに非常に様々な、複雑で細かいパターン分類がありまして、

 

しかも治療する上では、その状態になるに至った”流れ”まで考えて、それにキチッと合わせた鍼灸なり漢方薬で治療しないと、

病は治らないばかりか、悪化していくことすらある、と考えます。

 

 

漢方の聖典と言われる『傷寒論』には、この薬を出して、こうなったら悪化、こうなったら成功、こうなったら効果がちょっと弱いからこれを追加しなさい、

 

という話が延々と書かれており、それ(リアルな臨床的見解が豊富)がこの本のバイブルたる所以です。

まあ誰が言ったか、「引きはじめに葛根湯」などという言葉があって、それを鵜呑みにした患者さんから、

「カゼひいたと思って葛根湯飲んだけど、全然治らなかったです。漢方薬って、私の体に合ってないんでしょうか。」

とか、マジ顔で聞かれることがあります。(苦笑)

 

漢方薬が合ってないんじゃなくて、診断が合っていないんです。

 

・・・また、その逆もあります。

「カゼの引きはじめに葛根湯、と思って飲んだら、スゴク効いて、楽になりました。病院の薬と違って副作用もないし、やっぱり漢方薬って効きますね!」

というパターンです。

 


これは、まず効いたのは”たまたま”だし、漢方薬に副作用がないという考え方は危険です。

 

ちなみに副作用についてはこちら

 

キチッとした専門家による診断に基づいて処方されたものならともかく、自分で症状のみから診断して服薬するのは、場合によっては大変危険だと思います。

 


まして体質改善とか言いながら、同一の漢方薬の、年単位での長期服用とか・・・。

 


あまりにも東洋医学が正しく理解されていない現状に驚くこともありますが、それを嘆いてても仕方ない。

 

一生かけて正しい東洋医学を説き、やるのみです。

 

 


・・・なんか話が逸れたから、また次回。(笑)

 

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「表裏同治(ひょうりどうち)」とは

2012.01.26

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「表裏同治(ひょうりどうち)」・・・。

何やら難しそうなこの言葉。

最近多い、カゼひきさんに対してよく使う考え方です。

会社や学校によっては、インフルエンザが流行っているところもあるそうで、患者さん達としては皆さん戦々恐々としていますなあ・・・。


これ、過度にビビることないですよ!!

鍼と養生で、しっかり体調管理してたら、まずカゼなんて引きません!

もしひいてしまっても、すぐにちゃんと鍼すればほとんどは軽く、短く済みます!!



ところで東洋医学に、”インフルエンザ”という考え方、概念はありません。

「ウイルス」や「細菌」という概念は、診断に顕微鏡を使うようになってからの話です。

・・・つまり、つい「最近」です。

 

(言いたかっただけ。)

 



 

しかし、インフルエンザにかかった時に発する、高熱や節々の痛み、寒気や咳、ノドの痛みなどなどに対する、東洋医学的な考え方というのは、山のようにあります。

 


東洋医学ではこういった、「外から邪気が入った」病のことを「外感病(がいかんびょう)」といいます。

 


それの動きと治療方法を示した、バイブル的な書物が、中国漢代の『傷寒論(しょうかんろん)』であったり、中国明清代の『温病学(うんびょうがく)』という分野です。

 

外から邪気が入って、体表の浅い部分に邪気が存在し、カラダの正気(せいき)とバトルをやってる状態を「表証(ひょうしょう)」とか、

「表(ひょう)の病」とか、「太陽病(たいようびょう)」とか、「表熱証(ひょうねつしょう)」とか、「衛分証(えぶんしょう)」などという言い方をします。

まあ要は、「外感病」という病気を”浅い状態””深い状態”に分けて考え、対処している、ということです。

 

”深い状態”のことを「裏証(りしょう)」とか、「裏(り)の病」などなど、これまた色々な呼び名で定義づけています。

 

そして”浅い病”と”深い病”の中間の、中途半端な状態を

 

「半表半裏証(はんぴょうはんりしょう)」

 

とか、

 

「半表半裏(はんぴょうはんり)の病」

 

とか呼んで、定義づけております。

 

 

基本的に、外感病は浅かったら(表の病なら)程度は軽いです。

 

症状がどんなにひどくても、命に関わることはまずないです。

 

深かったら(裏の病なら)病は重いです。

 

場合によっては命に関わります。

 

・・・長くなったので、次回に続く。

 

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「錯雑証(さくざつしょう)」という考え方(その3)

2011.06.08

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これまでのお話・・・

「錯雑証(さくざつしょう)」という考え方
「錯雑証(さくざつしょう)」という考え方(その2)

 

・・・ここまでのお話で、病気の中には、

・「性質」が冷えか熱か、

・「趨勢」が虚か実か、

・「位置」が表か裏か、

スッキリと分けられない、ハッキリしないものがある、そういう病気を東洋医学では「錯雑証(さくざつしょう)」などと呼び、非常に注意を払っている、というお話をさせていただきました。

 

 

まあ、あまり難しく考えないでほしいけど、これはつまり、

 

1.表裏、

2.寒熱、

3.虚実

 

の病変が、一つの体に「両方同時に」存在している場合のことをいいます。

 


具体的に言うと、

1.「表裏が同時に存在」というのは、一つには病が、浅い位置と深い位置のちょうど中間ぐらいの、中途半端な深さにあることを言い、これを専門用語では「半表半裏証(はんぴょうはんりしょう)」なんて言ったりします。

(これを初めて聞いた時、なんちゅ~そのまんまなネーミングなんだ!と思いました・・・。(笑))

 

もう一つは、浅い部分である表の部位と、深い部分である裏の部位が同時に病んでいて、甲乙つけがたい状態にある場合も、臨床的にはあります。

 

2.「寒熱が同時に存在」というのは、一つの体に、”冷えによる病”と”余分な熱による病”とが同居している状態を言います。

いつかこのブログにも書いた、頭がカッカのぼせて、足が冷える、「上熱下寒(じょうねつげかん:いわゆる冷えのぼせ)」なんていうのは、コレの典型例です。

「上熱下寒」を含む記事 参照

3.「虚実が同時に存在」というのは、「虚(きょ)・・・つまり治る力の衰え」と、「実(じつ)・・・つまり発病因子の侵襲」が、”同程度”存在するものを言います。

 

この”同程度”の中にも、

 

A.「虚」が主体のもの、

 

B.「実」が主体のもの、

 

C.「虚実」ともに明明白白のもの、

 

と、3パターンあるのですが、この「虚」「実」ともに明明白白なパターンは、陰陽のバランスが大きく崩れているものと考え、中医学ではかなり重症、と位置付けています。

 


これをうまく調整できるのは相当な腕達者、ということです。

 

・・・では、これら錯雑証に出会ってしまった場合の、治療はどうしたらよいのでしょうか。

 

 


次回に続く

 

 

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