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2010.04.18
最近、初診の患者さんで、
「水分を多く取った方が健康にいいって聞いたんで、たくさん飲むようにしてます!」
と、声高らかにおっしゃる方が多いように思います。
ここで僕が、
「ほおー、それ、誰に言われたの?」
と聞くと、
「あれ、誰だっけな・・・。」
とか、
「いや、何となくテレビでやってたような気がして・・・。」
とおっしゃる方が多い。(苦笑)
そして、そういう方に限って、症状の中に、冷え、足のむくみ、体のダルさを訴えている方が少なくありません・・。
あのー・・、これねえ、間違った養生法である可能性が高いです!
人間の体の、正常な状態の維持には、正常な物質の代謝が基本です!
つまり、必要なものを摂り入れて(同化)、不要なものを排泄する(異化)、コレが出来るから健康(正常な状態)を維持していけるんですよ。
しかも、その能力にはかなり個人差があります。
無駄なものを体の外へ、大便なり小便なり汗なり月経なりで排出できる力は、人によって違うんです。
もちろん、水分排出能力は人によって違う訳です。
弱い人だっているんです。
それなのに、そのキャパを超えた水分が無理やり体に入ってきたら、そういう人にとっては「無駄なお水」が体に溜まるだけです。
誰も彼も、たくさん飲めば無条件に健康になるなら、当然人類の歴史の中で、太古からの常識(健康の秘訣)になっているはずでしょ!?
・・・なってないのはどうして??
「現代人」だけは、これまでの歴史と全然違う体の機能を持ってるんでしょうか!?
・・・ちなみにこのことは、以前にも書きました。是非ご参照ください。
・・・まあなんていうか、自分の健康は最終的には自分で守るしかないんです。
「健康」というのは、人間が本当の意味で幸せに生きるためには、絶対に欠かせない条件だと思います。
雑多で根拠のない、商業ベースの怪しい情報に流されたり、浅はかな考えから、一つしかない大事な体を下手にいじくりまわして、
その条件を失うのは、大変な不幸だと思います。
もちろん僕と縁のあった患者さんには精一杯、治療も、アドバイスもさせていただきますが、みんなホントにこれ、よく考えて~。
お体を大切に。
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2010.04.02
こないだ患者さんから、
「逆子って何で鍼灸で治るんですか?」
という質問を受けました。
「逆子が鍼灸で治る」っていう事実、ウワサは、けっこう一般の患者さんでも知っている方が多いように思います。
足の「至陰(しいん)」というツボにお灸を据えると治る!なんていう話が有名ですね。
(もちろんそれ以外にもやり方は無数にありますが・・・。)
最近では、「不妊症専門」や「婦人科疾患専門」、「女性・小児専門」、と看板を出している鍼灸院も少なくありません。
僕の知り合いの先生にも何人かおられます。
そういう先生方や、これまで逆子や婦人科疾患に鍼灸で対応してきた先輩たちのご努力が、近頃ようやっと実を結んできた、というところではないでしょうか。
これは、大変喜ばしいことだと思っています。
逆子のメカニズムについては、僕は患者さんに説明する時はいつも、
「赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる時は、お母さんの真似をしたがるんですよ~。だからお母さんの上下のバランスが逆になっていると、赤ちゃんも真似して上下逆になっちゃうんです~。(笑)」
な~んて、荒唐無稽、意味不明な説明をさせていただくことが多いです。(笑)
でも、コレは完全にふざけてる訳でもなくて、実は意外と本当のことを言っていて、お母さんが精神的にイライラしてたり、肉体的に疲れてたりすると、
いわゆる「冷えのぼせ」「上實下虚」「上熱下寒」という状態になることが多く、これを東洋医学では非常に問題視します。
・・・これは要するに、「足が冷えて、頭に血が上った」状態です。
この状態は正常、健常な状態とは上下が逆になっちゃってます。
それに対して、東洋医学では正常な(というか理想的な)人体の状態を「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」と表現します。
これはつまり、足が温かくて頭が涼やか、という状態のことを言っています。
最近は、出産ギリギリまで仕事をなさる女性も多く、体は「身重(みおも)」と言われるぐらい重くなっているにもかかわらず、神経を使う、
色んなことを、ド根性で頑張ってらっしゃる妊婦さんも少なくありません。
結局、そういう無理、余分な緊張がお母さんの体に「上熱下寒=上下のアンバランス」という状況を作り出します。
その結果、ある意味赤ちゃんはその真似をして、「逆子」になってしまう訳です。(苦笑)
・・・ということは、色んな方法でお母さんの体の「上下のバランス」を整えてあげれば、逆子が治るのではないか!?という訳です。
僕の知り合いの整体(手技療法)の先生も、骨盤の歪みをとることで何人となく逆子を治したことがある、と言っておりました。
コレも結局、「骨盤」という「下」の状況を改善したことによって、結果、母体の上下のバランスがとれて、逆子が治った、とも理解出来ます。
(・・・まあもちろん、彼ら(手技療法家)には彼らなりの理論もありますけど。)
要は、お母さんの体の状態が正常な状態に改善し、赤ちゃんにとって居心地のいい環境になれば、自然と正常な位置に戻ってくる、という訳です。
ただ、臍帯(へその緒)が極端に短くて、赤ちゃんが動けない、とか、あるいは逆に長過ぎて赤ちゃんの首や体に巻きついてしまっている場合は、
残念ながら帝王切開せざるを得ないケースもあります。
妊娠中に産科で「逆子」の診断を受けて、上記のような特殊なケースでないことが分かれば、慌てず騒がず鍼灸院に直行、でいいと思います。(笑)
普通に東洋医学を勉強しておられる先生であれば、必ず治して下さる筈です。
ただしかし、何でもかんでも考えなしに「至陰のお灸」という先生は怪しいですぞ!!
全く東洋医学的な診たてに基づいていない可能性があります。
こんな風に、徐々に徐々に東洋医学の守備範囲が広い、という認識が広がることは、とてもイイことですね。
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2010.03.31
いや~しかし最近(この3~4日)、異常な寒さですね!
清明院の患者さんでも、
「ここ何年か出ていなかった腰痛が久しぶりに出た!温めると楽。」
・・・とか、
「5年ぶりにカゼひいた!鼻水が止まらない・・。」
とかおっしゃった方がおられました。
以前にも書いたけど、一体、
「暑さ寒さも彼岸まで」
という言葉はどこへ行っちゃったんでしょうか・・・。
まあとかくこういう、時知らずな寒さや暑さがあった時は、体調を崩すことが多いです。
しかしこういう時ほど、「養生(ようじょう)」がモノを言う時もありません。
では、具体的に何をすればよいかというと、それは患者さんによって違うので何とも言えません・・・。(笑)
まあしかし、そう言ってしまっては元も子もないんでネ、参考までに多少の注意点は書いてみましょう。
くれぐれも注意していただきたいのは、ここで紹介する養生法はあくまで参考です。
本来、養生法というのは、患者さん一人一人に合わせて個別に指導されるべきものです。
ですので、実際にお体を調べれば、もっと的確で効果的な養生法を指導してあげられる、ということを前提に、お読みください。
まずこの時期、「春」と言う時期は、こないだも書いたけど、ある意味、1年のうちで最ものぼせ易い時期になります。
(やや語弊がある気もするけど、極端に言うとネ。)
つまり体の「上下のアンバランス」が起こりやすい時期、とも言えます。
またこの時期は、年度末~年度初めの時期ですから、お仕事をされている方なんかは、何かと飲み会の増える時期でもあります。
(歓送迎会ネ。)
・・・ということは、
暴飲暴食+上下のアンバランス
というパターンから、何らかの病になる可能性が高い、ということなんです。
(実際に多いパターンです)
今回のブログの冒頭に紹介した腰痛、カゼも、「暴飲暴食」と「上下のアンバランス」を起こしていたものに、ここ何日かの「冷え」が重なって起こったものでありました。
・・・ということは、事前に
「上下のアンバランスを整え」、
「飲食を控えめに」
していれば、外界がいかに寒くなろうが、高確率で病気知らず、未然に予防することが出来ます。
ここで、「飲食を控えめ」は簡単(分かりやすい)ですが、「上下のバランスをとる」には一体どうしたらいいんでしょう。
これ、一番いいのは「足を使った軽い運動」です。
散歩とかね。
ただ、これを言うとたまに患者さんに、
「ええ~、そんな時間ないよ~!」
とか、
「無目的にただ歩くのって、超苦手なんですけど・・・。」
って言われちゃいます。
(苦笑・・・都会人のサガなんでしょうかネ?)
そんな時は、せめてもの方法として、「青竹踏み」で足の裏を刺激することをお勧めしています。
これなら簡単に出来るし、時間もお金もかかりません。
しかもこれ、大概の患者さんは、やらせてみると右と左で痛み方が違います。
なのでそういう方にはその「左右差」が整うまで踏んでもらいます。
その左右差が整うまで踏むと、面白いことに、それだけで”のぼせ”がかなり引きます。
それが色んな症状の予防になるんですね。
東洋医学に基づいた、ちょっと工夫した養生法です。
だまされたと思って、やってみて下さい。
意外と効果てきめんな筈ですよ~。
(笑・・・ホントにだまされたりして♪)
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2010.03.04
いや~、せっかく暖かくなってきたと思ったら、先週末ぐらいからまた寒くなっちゃいましたネ・・。
ところで昔から、この時期のことを「三寒四温」と呼んでいます。
これは、朝鮮半島や中国北東部でも同じような現象があるらしく、3日寒い日が続き、その後4日は暖かい日が続く、という、7日間周期の独特な現象なんだそうです。
これが大体お彼岸(春分の日)ぐらいまで続くので、「暑さ寒さも彼岸まで」なんて言葉もあります。
・・・ところで我々東洋医学を実践する者にとっては、この時期はやっかいです。
なぜなら、人間の体には、暖かい日には皮膚がゆるんで、汗や水蒸気を発散して体にこもった余分な熱を発散し、寒い日には皮膚を緊張させて、
熱(陽気)を漏らさないようにするという、いわば
「自ら陰陽バランスを調節する」
霊妙で重要な働きがあるのですが、これがあまりにも頻繁に、交互に行われると、この働きがついていけず、病になることがあります。
しかも、春先という時期は気が上にのぼせ易い時期でもあります。
これについてもそのうち解説しようと思いますが、この時期によく問題になる「花粉症」なんていう病気は、その典型例です。
要は、寒いなら寒いまま、暑いなら暑いまま、であれば、体の調節機能も余裕で対応できるけれども、これがあまりにも「頻繁で極端」だと、
ついていけなくなる人が出てくる、ということです。
これの治療を考える上では、発散できずにこもってしまった「熱」にとらわれたり、発散しすぎて冷えてしまった「寒」にとらわれ過ぎると、
治療した翌日の気候いかんによっては、症状を悪化させることがあります。
そこで、こういう不安定な時期は、あまり極端な治療はあえてせずに、治療した翌日が暑くても寒くても、患者さんが上手に、スムーズに対応できるような治療を考えなくてはなりません。
(もちろん患者さん一人ひとりに合わせて個別にね。)
ここら辺が、この時期のあらゆる病変に対する治療の、難しくもあり、面白いところでもあります。
・・・ところで、全然話変わるけど、もう終わっちゃったけど、「ひな祭り」ってなんでしょうかね?
次回はそのお話。
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2010.02.23
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前回に続いて、今日は「寒熱(かんねつ)」についてです。
人間はみんな、体に
「冷やす力」
と
「温める力」
が同時に備わっています。
だから、少々の気候変動では、健康状態が左右されることはない訳です。
暑ければ薄着をして、それでもダメなら汗をかいて、体内の余分な熱を漏らし、寒ければ厚着をして、それでもダメなら鳥肌を立ててガタガタ震えて、小便を出して、体を温めようとします。
しかし、これら二つの力のうちの、どちらかが弱ったり、元々持っているその力を超えた、激しい気候変動にさらされたりすると、病変が出現します。
要は体が「熱側に」「冷え側に」傾いてしまうのです。
治療にあたっては、これらがどうなっているかを考えて、崩れた寒熱のバランスがうまく調うように治療します。
上記の二つのうち、人体が元々持つ「温める力」が弱ったり(陽虚)、自然界の「寒さ」があまりにも強い(寒邪の邪気実)ことによって病気になったものを
「寒証(かんしょう)の病」
なんて言います。
この場合、温める治療が主になります。
「温める治療」と言うと、お灸が思い浮かぶと思います。
基本的にはそうですが、これは鍼でも出来ます。
逆に、人体の「冷やす力」が弱ったり(陰虚)、自然界の「暑さ」があまりにも強くて起こる病気(熱邪の邪気実)を
「熱証(ねっしょう)の病」
と言います。
この場合は冷やす治療が主になります。
では「冷やす治療」はどうかというと、これは東洋医学では主に鍼で行います。
お灸でも出来ないことはないけれど、ちょっとやりにくいのであえて初手では使いにくい、と個人的には思います。
もちろん上記の両方とも、漢方薬でも治療は可能です。
この考え方も、治療する上では外せない考え方です。
”寒熱”という相反する概念を使って、病の”性質”を考えるわけですから「病性」と言ったりします。
この「寒熱」(病性)に、前回書いた「虚実」(病勢)を重ねて、さらには「表裏」(病位)も重ねます。
こうすることで、その患者さんの
「どこが」
「どのように」
「どの程度」
悪くなっているかが、徐々に明らかになってくる訳です。
・・・次回は「表裏(ひょうり)」について書きます!
ドンドン行きますよ~!!
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2010.01.24
これまで、「寒」「燥」「湿」「熱」「風」「火」の6つについて書いてきました。
この6つは、東洋医学では「六淫(ろくいん、りくいん)の邪気」と言って、人間の健康を阻害する「邪気」の中の代表選手、と位置付けられています。
では「邪気」はこれ以外にはないのか、というと、当然あります。
それらを全て書いて、そのパターン(組み合わせ)についてまで解説すると、東洋医学の教科書みたいな内容になっちゃうので、それは避けます。(笑)
・・・でもまあ、ここまで来たんで、簡単ではありますが、患者さんに少しでも東洋医学を理解してもらいたいので、あまり専門的にならないように、
有名な「痰(たん)」と「瘀血(おけつ)」について書いてみたいと思います。
◆「痰」について
まずは「痰」ですが、これは簡単に言うと体内の「余分なお水が停滞したもの」です。
ですので、以前書いた「湿」の仲間です。
ただ、ネバネバしていて、なかなか動きにくい、「余分なお水」ですので、「湿」よりも凝滞性、粘滞性が強く、動きにくい頑固な邪気、と言えると思います。
なぜ、ネバネバと動きにくくなるかと言うと、体に余分なお水を排出する力がなくて、それが長いこと体にとどまったり、余分なお水に「熱」が加わって、
カレーのように少し煮詰まったような状況になると、体内の余分なお水はますますネバついてきます。
また、「痰」と聞くと、どうしてものどに絡むあの「痰(喀痰)」を想像しがちですが、東洋医学の言う「痰」は全身どこにでも溜まることがある、と考えます。
そしてこれは、症状で言うと、なかなか治りにくい「重ダルさ」や「神経痛」の原因となり、治療にも時間がかかることが多いです。
原因は主に暴飲暴食(特にお酒や脂っこい物、甘いもの)です。(苦笑)
気を付けたいですね。。。
◆「瘀血」について
次に「瘀血(おけつ)」ですが、これはちょっと東洋医学に興味のある人なら聞いたことはあると思います。
よく、ある種の生理痛や、体の痛みを起こすもとになります。
瘀血の「瘀」の字はもともと「とどこおる」という意味があります。
つまり、「瘀血」には「滞った血」という意味があります。
ま、いわゆる血行不良ですね。
それも、一時的な血行不良ではなく、慢性的で頑固な、体のある部分の凝り固まったような血行不良を指して「瘀血」と呼ぶことが多いです。
これは、かなり慢性的で頑固な「痛み」の原因になり易く、これもまた治療に時間がかかることが多いです。
原因は様々ありますが、冷えやストレス、繰り返す怪我から来るものなどが多いです。
実際の患者さんを診ていますと、これら「痰」や「瘀血」、その他の邪気が複雑に絡み合って症状を出しているものが多く、これらの割合やそれぞれの程度、
またその「邪気」が生じた成り行きをキチッと明らかにした上で治療しないと、なかなかうまくいかないのが実際です。
まあこのように、「五臓六腑」だとか「邪気」だとか、東洋医学の言う、色々な要素の強弱のコントラストを明らかにして治療し、こちらの予想通りの変化を患者さんが見せた時、
「あ~、この医学はホント芸術的だな~。」
となります。
これを何度も経験しちゃうと、もうやめられませんネ。(笑)
それにしても、最初に考えた人も、それを発展させた人も、ほんとスゴイ!
やってて、いつも感心します。
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2010.01.19
それにしても、最近寒いし、空気が乾燥してますねー。
東洋医学では、空気の乾燥が人体に悪影響を与えることを「燥邪(そうじゃ)」と呼んで問題視する、ということは以前このブログでも紹介しました。
「乾燥」に強い清明院 参照
ではこの「寒さ」の方はどうか、というと、こちらも、もし人体に悪影響を与えたならば、病の原因の一つと考え、東洋医学では、「寒邪(かんじゃ)」と呼んで問題視しています。
最近はこれら2つが合わさっていますね。
すなわち「乾燥」ではなく「寒燥」の日々です。
最近の寒さや乾燥によってかぜをひいたり、体調を崩したりした場合、東洋医学では、「寒邪と燥邪」によって「正気(せいき・・・人体の正常な気)」の働きが阻害されたもの、と考え、治療します。
この場合、治療するにあたって、厄介なことがあります。
東洋医学は何でも陰陽に分けますが、「邪気」にも、「陽邪」と「陰邪」の2種類があります。
性質の上から、「寒邪」は陰、「燥邪」は陽、と分類されます。
となると、「寒(陰)」と「燥(陽)」の合体した「寒燥の邪気」というものは、邪気の中でもある意味、陰陽のバランスのとれた、「手強い奴」なんです。
通常、極端な「冷え」であれば積極的に温めればいいわけだし、極端な「熱」であれば積極的に冷ませばいい、というのは誰が考えても分かりやすいと思います。
ところが、邪気がその両面の性質を持つ場合、
「この二者がどういうバランスで人体に悪影響を与えたか」
ということをよく分析して、明らかにした上で治療しないと、ミスを犯す場合があります。
「寒燥の邪気」の例で言うと、「寒邪」による「冷え」が中心なのか、「燥邪」による「乾き、乾燥」が中心なのかで、治療のやり方や、養生指導が変わってきます。
単純に、
「冷えたんだから温めりゃいい!」
・・・と考えて温めてみたら、咽がチリチリに乾燥して全然治らんかった、とか、
「乾燥してんだから潤せばいい!」
・・・とか言って飲み物飲みまくってたら、体が冷えちゃって全然治らんかった、ということになります。
(経験のある方もいるのでは?)
冷えが中心であれば、温まるように治療し、乾きが中心であればからだが潤う(必要な水分を取り込み、不要な水分を排出する力を高める)ように治療するのが東洋医学です。
・・・結局、健康な人体のバランスをキチッと整えるためには、からだ側(正気)のバランスと、それを阻害する因子(邪気)のバランスを正確に把握できてないと難しい、ということです。
東洋医学ではそれをキチッと把握する「学」と「術」を、数千年に渡って研究し続けて、膨大な成功例、失敗例を集積し、もっとも確からしい理論を採用し、現代に伝えています。
非常に信憑性の高い医学だと思います。
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2010.01.08
たまーに、治療の予約が入っている患者さんから、その日になって電話がかかってきて、
「ちょっと風邪ひいちゃったみたいで熱があるんですけど、鍼しても大丈夫なんでしょうか?」
と聞かれることがあります。
僕の答えは当然、
「もちろん大丈夫です。高熱で、歩くのもお辛いような状態じゃないのであればお越しください。鍼にはむしろ熱を早く下げる効果もあります。」
と、答えています。
ここでもし、
「いやあ、歩くのもつらい状態なんですけど…。」
と言われてしまったら、そのときの状態(症状)を電話で聞ける限り聞き、出来る限りの養生のやり方をお伝えするか、
場合によっては救急で病院に行ってもらうのを勧めることもあります。
・・・一般的には、発熱時は鍼灸はやっちゃダメ!という認識が根強くあるようです。
鍼灸学校で使われる『はりきゅう理論』という教科書では、鍼灸施術の禁忌として「⑤高熱症状を呈している場合」という表現で記載されています。(旧版P28)
(ある意味、微熱ならいいってことですね。)
なぜこうなのかについてはまた今度語ることにして、東洋医学では、数千年も前から、風邪のみならず、熱の出る病気に対しては、あらゆる考え方や方法論が試されています。
もちろん、古代中国には水銀式の体温計はなかった訳ですから、医者が患者の体を触っての熱感をもって、治療、診断の対象にしています。
そういうものに対して、ちゃんと鍼灸や漢方で対応し、結果を出してきたと、あらゆる文献に残っていますし、現代でも、中国や韓国などでは、
風邪をひいて発熱したときに鍼するなんてことは、別に当り前のことだそうです。
(韓国では、風邪をひいて発熱した時は、家庭にある鍼で自分で治療を行う、とか、中国でも、高熱を出してぐったりしている状態で中医学の病院に普通に運ばれてくる、なんて話も聞いたことがあります。)
また、(公社)全日本鍼灸学会の鍼灸論文検索サイト「JACRiD」で「発熱」と検索すると、この通り、いくつかの論文が出てきます。
ここで、
「風邪をひいて熱が上がっている状態」
というのを、東洋医学でどう考えるかというと、外から入ってきた冷えや異物(邪気と呼びます)に対し、患者さんの体の恒常性を保とうとする力(正気)が、
邪気を排出しようと一生懸命戦っている状態、と考えます。
ということは、体の「陰陽」のアンバランスを整えて、「治る力」を増強する鍼灸治療は、体にしてみたら、この戦いの強い味方なんです。
よって、熱があっても鍼して全然問題ない、むしろやるべき!という風に、僕は考えています。
ちなみに、今日来た患者さんでも、風邪をひいて38℃弱発熱している方がおられましたが、治療後体温を計ってみると、多量の発汗とともに36.6℃まで下がっていました。
・・・信じられないかもしれませんが、まあ、事実だからしょうがないですね。(笑)
効くものは効きます。
(ただ、断わっておきますがどんな発熱でも鍼すれば間違いなくその場で下がる訳ではないですよ。誤解なきように!)
ですから、最近話題になった新型インフルエンザなんかも、鍼では全くお手上げかというと、学術的には全然そんなことないです。
しかし、ああいった感染力の強い、未知の感染症の場合は、保健所への届け出等、法律的な問題も関与してきますので、
現状の日本の一般の鍼灸院で診るケース自体が少ない、ない、ということなんです。
・・・ちなみに、今日書いたのは、あくまでも僕が思う、「東洋医学的に正しい鍼灸」をやった場合においての話です。
皆様に、この医学に対する「正しい」認識をどうか持っていただきたい、と思っています。
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2009.12.27
これは、たま~に患者さんから言われます。(苦笑)
・・・てゆーかコレ、フツーに若干失礼ですよね??
大体の場合は、ウチの鍼灸は痛くないよ、恐くないよ、という説明をした後に来るのがコレです。(苦笑)
まあ答えは当然、
「効きます。だから生活できてます。」
なんですが、要はコレってね、鍼灸治療を受けたことのない患者さんにとっての「鍼灸治療」とは、痛いところや凝ってるところを中心に、
全身に鍼を刺されまくり、灸をすえられまくり、拷問のような治療に耐えたのちに、凝りや痛みのとれた体をめでたくGET出来るもの、
という先入観+固定観念から、勝手にそういう風に想像しているのではないでしょうか?
であればそれは全然違います。
その認識は間違ってます。
少なくとも清明院では、そのような乱暴な治療はしませんし、治療の刺激は驚くほど軽いものです。
使う鍼は多くて3本程度、全身状態を詳しく診察したのちに、「ここぞ!」というところにピタッと鍼が入れば、痛みをまったく感じないか、
感じても蚊に刺された程度で、数秒で治まります。
そして、鍼を打ったまま数分、場合によっては数十分安静にしていると、体の冷えている部分は温まってきて、熱っぽい部分はスーッとしてきます。
そして、大体の患者さんは寝てしまいます。
それが、体の「気の流れ」「陰陽のアンバランス」が整っていく感覚であり、清明院が理想とする、刺鍼に対する反応であります。
これを繰り返していくことによって、あらゆる病に対応していきます。
きつい刺激を人体に与えることは、かえってマイナスになると思っています。
「じゃあ病院が行う外科手術は超キツイ刺激ですけど、人体にマイナスなんですか!?」
という突っ込みに対する答えは、
「はい、患部(例えば癌化した内臓)以外にとってはマイナスです。」
となります。
現代は麻酔の技術が発達しているため、手術に痛みを伴うことはありませんが、
とりたい組織をとるために、正常な組織を切り開いていく必要がありますので、切り開かれた正常な組織にとっては、要は大怪我をしたのと同じことです。
当然、癒着など、後遺症の原因になったりもします。
東洋医学が考案された時代は、麻酔の技術そのものがなかった訳ですから、医者のテーマは人体の「形態」ではなく、「機能」に相対的に焦点が当たっていたであろう、
という話は、以前お話しした通りです。
人体の「機能」を整える、すなわち、東洋医学の言う、「気」を上手に動かして「陰陽」のバランスを整える、最高にシンプルな道具が「鍼灸」なんです。
なので、むしろ刺激量が極力少ない「正確な」鍼の方が、気の動きが分散しないため、効くんです。
間違ったキツい鍼を何本刺しても、マイナスです。
お分かりいただけましたでしょうか?
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2009.12.20
(その1)では、現代人は水分を飲む量が多過ぎてることが多いように思う、というお話をしました。
今日はその続きとして、飲むものの種類(質)について考えてみたいと思います。
清明院では初診時、(一社)北辰会専用カルテを使用しています。
ここには、一日の水分摂取量と、尿の量の比較、また、カフェイン類(コーヒー、紅茶etc..)をどのくらい摂っているか、飲酒量と飲酒頻度はどうか、
などなど、詳しく質問事項が並べてあります。
「飲み物」というのは、当然それぞれの種類によって、体内に入った時に人体に及ぼす影響は異なります。
東洋医学では、単なる「水」でさえも、30種類程度に分類して考えている(ホジュンにも出てきましたね☆)ほど、飲み物が持つ作用というのは、
時には薬にもなり、時には毒にもなる、と考え、大変重要視しています。
つまり、飲み物の種類、量、出入りのバランス、体表所見や症状をトータルで考えて、摂取している水分がその人にとって余分な「毒」になる場合、
結果的に体内に「余分なお水」が増えてしまって、それが結果的に「ムクミ」となる訳です。
ここで、この世の全ての飲み物について解説することなど、到底出来ませんし、そういった専門書もたくさんありますので、ここでは、患者さん向けに、
おおよその傾向を述べますので、参考にしていただければ、と思います。
1.甘い飲み物(糖分の多いもの。たくさんありますね。)
・・・心身の緊張を緩め、少量、適量であれば胃腸には良い。しかし飲み過ぎればかえって胃腸を弱らせ、便秘、のぼせ、慢性の炎症などのもとになる。
2.苦い飲み物(コーヒーが代表選手かな。)
・・・これも心身の緊張を和らげ、適量であれば便秘やのぼせの解消に役立つ。しかし飲み過ぎればかえってのぼせて、全身的には冷える。
3.酸っぱい飲み物(果汁100%ジュースとか、ああいうのの甘くないやつね。)
・・・これは体を引き締め、シャキッとさせますが、飲み過ぎれば血行を悪くし、体を冷やします。
4.冷たいものがいいのか、温かいものがいいのか
・・・これはその人の体質によってケースバイケースなんですが、基本的には極端に冷たいもの、極端に熱いものは避けて、一気飲みはしないように、チビチビ飲むのが無難でしょう。
5.お酒は?
・・・お酒は「百薬の長」という言葉があるくらいで、適量であれば、心身の緊張をほぐし、血行を良くする作用があります。
問題は飲み過ぎた場合、胃腸、肝臓、腎臓、その他内臓を弱らせ、慢性炎症、その他様々な症状の原因、引き金になりえます。
まあ、もろ刃の剣ですな。(苦笑)
6.カフェイン類は?
・・・これは、ここぞ!という時に使うべきであって、日常的に常用、過飲するのはお勧めできません。常用していると徐々に体の上下のバランスを大いに崩すようです。
(いわゆる冷えのぼせみたいな状態ですね。)
・・・とまあ、超簡単にザックリと示してみました。
まだまだ挙げていけばキリがないんですが、結局は、量的にも質的にも「偏らない」ことがとても大事だ、ということです。
色々な物をバランスよく、しかも全体量として行き過ぎない程度に飲む、というのが理想なんです。
ちなみに、これは何も東洋医学独特の考え方でなく、現代の最先端の栄養学でも、ほぼ同じような結論に至っているようです。
よく知られた言葉で、「医食同源(いしょくどうげん)」という言葉があります。
(因みに「医食同源」という言葉自体は東洋医学にはないようですが。参考サイト)
上記のような飲食物の特性を知っていれば、体調が悪い時、何かを控えて、何かを多めに摂るだけで、特別に鍼灸、漢方で治療なんてしなくても、
自分で十分に対応できちゃいます。
まさに「未病を治す」ことが出来る訳です。
普段の自分自身の食生活の傾向を知っておくことは大変重要ですので、この機会によく見直してみるといいと思います。
調子の悪い人はたいがい「偏り」があるはずです。
まさに東洋医学のいう「陰陽」のアンバランスなんですね。
◆参考文献
『東方栄養新書』メディカルユーコン
『中国伝統医学による食材効能大事典』東洋学術出版社
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2012.07.08
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2014.04.26
2024.09.19
2024年8月の活動記録2024.09.01
2024年 9月の診療日時2024.08.03
2024年7月の活動記録2024.08.01
2024年 8月の診療日時2024.07.10
患者さんの声(70代女性 目の痛み、不安感)2024.07.05
2024年6月の活動記録2024.07.01
2024年 7月の診療日時2024.06.05
2024年5月の活動記録2024.06.01
2024年 6月の診療日時2024.05.10
2024年4月の活動記録2024.05.01
2024年 5月の診療日時2024.04.13
(一社)北辰会、組織再編。2024.04.02
2024年3月の活動記録2024.04.01
2024年 4月の診療日時2024.03.14
2024年2月の活動記録2024.03.01
2024年 3月の診療日時2024.02.15
2.17(土)ドクターズプライムアカデミアで喋ります!2024.02.04
3.10(日)(公社)群馬県鍼灸師会で講演します!2024.02.03
3.3(日)「浅川ゼミ会」にて講演します!2024.02.02
2024年1月の活動記録2024.02.01
2.25(日)順天堂東医研、第5回特別公開シンポジウム「日本とインドの伝統医学」に登壇します!!2024.02.01
2024年 2月の診療日時2024.01.11
2023年、9月~年末の活動一覧2024.01.05
診療再開!!2024.01.01
2024年 1月の診療日時2023.12.30
2023年、鍼療納め!!2023.12.21
(一社)北辰会、冬季研修会のお知らせ2023.12.01
2023年 12月の診療日時2023.11.26
患者さんの声(60代女性 背部、頚部の痒み、首肩凝り、高血圧、夜間尿)2023.11.25
患者さんの声(70代女性 耳鳴、頭鳴、頭重感、腰下肢痛、倦怠感)2023.11.22
12.3(日)市民公開講座、申し込み締め切り迫る!!2023.11.21
今週からの講演スケジュール2023.11.16
日本東方医学会学術大会、申し込み締め切り迫る!!2023.11.01
2023年 11月の診療日時2023.10.10
清明院14周年!!2023.10.04
12.3(日)市民公開講座やります!!2023.10.01
2023年 10月の診療日時2023.09.23
第41回、日本東方医学会学術大会のお知らせ2023.09.22
第55回、順天堂東医研に参加してきました!2023.09.21
第27回、日本病院総合診療医学会で発表してきました!!2023.09.20
Dr’s Prime Academiaで喋ってきました!2023.09.01
2023年 9月の診療日時2023.08.18
第54回、順天堂東医研で喋ってきました!2023.08.17
順天堂東医研の学生さんと、「森のくすり塾」へ。2023.08.16
診療再開!!2023.08.01
2023年 8月の診療日時2023.07.24
第53回、順天堂東医研に参加してきました!2023.07.23
(一社)北辰会関東支部に参加してきました!2023.07.22
Dr’s Prime Academiaで喋ってきました!2023.07.21
第73回 日本東洋医学会に参加してきました!