東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「六部定位脈診」の根拠

2016.10.22

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僕ら東洋医学、特に鍼灸医学の世界では、手首の脈を診る「脈診」という診察法を非常に重要視します。

 

「脈」で何が分かるの?

脈々と続く脈診

「脈診」の可能性

舌診か脈診か。。。

「舌診・脈診」についてしゃべって来ました!

「いい脈になりましたよ。」という声掛け

「初めて脈診をちゃんと教わりました。」   参照

 

 

僕も、臨床では必ず脈を診てから治療に入り、治療後も脈を診て、治療効果のほどを確認します。

 

 

この「脈診」には、2500年前の『黄帝内経』の時代から、実に多くの診方、考え方、方法論が存在します。

 

 

先人の知恵の結晶と言っていいでしょう。

 

 

日本の鍼灸学校では、数ある脈診の方法の中から、「六部定位脈診(ろくぶじょういみゃくしん)」という脈診法が中心になって教育されています。

 

 

というか、それしか教育されてないような、嘆かわしい現実があったりします。。。

 

(場合によってはそれすらも。。。(苦笑))

 

 

「六部定位脈診」は、近代日本における、伝統鍼灸の一番大きな流派(研究会)である経絡治療学会が提唱している脈診法です。

 

 

この脈診法は、経絡治療学会の先生方の全くの独創というワケではなく、中国の元の時代に居た、滑伯仁(かつはくじん)という名医の、

 

『診家枢要』という本の中で説かれている脈診法です。

 

 

ですので、六部定位脈診の根拠は、滑伯仁の『診家枢要』という風に、私は理解しています。

 

(僕は経絡治療家ではないので、これを読んでくれている経絡治療学会の先生方、ここ、もし間違っていたらご指摘くださいネ。)

 

 

因みに経絡治療学会というのは、このブログでも紹介した柳谷素霊先生の高弟の先生方が、昭和初期に立ち上げた団体です。

 

柳谷素霊という人物

墓マイラー 15      参照

 

 

この脈診の考え方が、今や国家試験にも出てきます。

 

 

こないだ、東京衛生学園の教員養成科で講義してきましたが、あそこには全国の鍼灸学校から鍼灸マッサージの資格を取った、

 

鍼灸学校の教員を目指す優秀な人が集まってくるのですが、そこでも、

 

「脈診と言えば、六部定位脈診しか知らない。」

 

という人がほとんどでした。

 

 

しかしですねー、「脈診」ていうのは、歴史的に見ますと、「六部定位脈診」以外にも、もっともっと、実に色々な診方考え方がありますので、

 

それを歴史的に、平易に、客観的に説いた方がいいと思うんですけどね。

 

(特に学校教育、国家試験レベルでは。)

 

 

で、学生さんが卒業して現場に出てから、自分に合った方法を学べばよいと。

 

 

そう思うんですけどねー。。。(~_~;)

 

 

 

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日本伝統鍼灸学会に参加してきました!! ④

2019.11.29

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これまでのお話し

 

日本伝統鍼灸学会に参加してきました!! ①    

日本伝統鍼灸学会に参加してきました!! ②

日本伝統鍼灸学会に参加してきました!! ③                参照

 

 

 

一般発表18連発を聴いた後は、大ホールでの篠原孝市先生浦山久嗣先生の特別対談「脈診と経絡治療について」。

 

 

篠原先生と浦山先生と言えば、この業界での文献研究では長年トップランナーであります。

 

 

知らない人はいないと言っていいくらい有名な先生方です。

 

 

経絡治療と言えば、六部定位脈診からの母子の補瀉、相克調整。

 

「六部定位脈診」を含む記事   参照

 

 

多くの鍼灸学校では、

 

「これこそが東洋医学的、伝統的、日本オリジナル鍼灸治療の原点!」

 

って感じで教わるんじゃないでしょうか。

 

 

20歳の頃、僕が通っていた花田学園、日本鍼灸理療専門学校というところも、そんな感じでした。

 

 

訳も分からず、とりあえずあの経絡配当を暗記したものです。(苦笑)

 

 

今回、用事があったので中座し、半分以上聴きましたが、篠原先生が、そもそも論的に疑問を投げかける、浦山先生がそれに答えるけど、篠原先生は納得しない、

 

という感じのやり取りが延々と続いていました。。。

 

 

あと、福岡の馬場先生の名前がかなり出ていましたが、なら馬場先生も入れてやったらいいのに、と思ったりとかね。

 

 

テープ起こしするといううわさもあるようですが、どうなるんでしょうね。。。

 

 

まあ脈診に関しては、六部定位脈診だけではもちろんなくて、東洋医学の歴史と同じだけ、研究と実践がありますから、まだまだ僕の知らないこともあるとは思いますが、

 

今年の12.22(日)、東京衛生学園で行われる(一社)北辰会の年末代表特別講演会において、現時点における私の見解を述べたいと思います。

 

(お申込みはこちらから!!!)

 

 

申し込んでない人はお急ぎあれ!!!

 

 

 

続く

 

 

 

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「体用理論」に関して 5

2019.08.06

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これまでのお話し

 

「体用理論」に関して 1

「体用理論」に関して 2   

「体用理論」に関して 3  

「体用理論」に関して 4     参照

 

 

◆滑伯仁の「体用」観。

 

 

尊敬する大先輩である神野英明先生『鍼灸・漢方の名医になるための秘訣』に、中国元代の名医、滑寿(かつじゅ 別名:滑伯仁かつはくじん 1304-1386)の見解が紹介してあるので、触れておきます。

 

 

滑伯仁についてはこのブログに何度も出てきていますが、そのうちきちんと紹介しましょう。

 

「滑伯仁」を含む記事 参照

 

 

滑伯仁は、現代の鍼灸学校の経絡経穴学の教科書の元ネタと言っていい『十四経発揮』や、現代の鍼灸師の脈診と言えば一番有名な「六部定位脈診」の根拠となる『診家枢要』を著した人物であり、

 

『難経』の解釈本としても極めて重要な『難経本義』の著者でもあり、現代の日本伝統鍼灸の臨床家にとっては避けて通れない人物です。

 

「六部定位脈診」の根拠    参照

 

 

その滑伯仁の発言として、張景岳先生が紹介しているくだりです。

 

「最も微妙なものは理、最も顕著なものは象、体用は根源的に一つ、微妙と顕著には間が無く、その理を理解すれば現象は押し広げて分かるものです。」

 

と。

 

(滑伯仁の発言を張景岳が引くってのも、ワクワクしますね。)

 

「張景岳(ちょうけいがく)」という人物    参照

 

 

元の時代に、鍼灸医学を猛プッシュして下さった名医である滑伯仁先生は、最も霊妙な原理と、最も顕著な現象は、根源的に一つ(体用一源)で、

 

しかもその間は無い(体用無間、顕微無間)と言います。

 

 

どういうレベルでそう言えると発言したのか、また、どういう文脈で述べたのか、非常に気になりますが、基本的には朱子学の見解の通りなんだと思います。

 

 

体用理論に関しての補足、一先ずここまでとします。

 

 

また私自身の理解が深まったら、補筆するかもしれません。

 

 

 

【参考文献】

 

『宋代易学の研究』今井宇三郎著 明治図書出版

『鍼灸漢方の名医になるための秘訣』神野英明著 たにぐち書店

『臓腑経絡学』藤本蓮風他 アルテミシア

 

 
 
 

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『素問』脉要精微論(17)における「脈の内外上下」 1

2018.07.19

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「東洋医学的な鍼灸治療」をなさる、あるいは標榜している先生方は、ほぼ皆さん「脈診」をします。

 

「脈」で何が分かるの?   参照

 

 

まず、そもそも治療のたびに「脈診」を行う鍼灸師自体が、この日本では少数派でしょう。(苦笑)

 

 

しかも「脈診」には、東洋医学と同じだけ歴史がありますので、現代では、この「脈」の診方考え方が、各流派によって異なっていたりします。

 

 

(一社)北辰会では、東洋医学の歴史と伝統、さらには日本鍼灸界の現状を踏まえた上で、北辰会方式にとってより有用性の高い脈診法として、

 

「胃の気の脈診」「脈状診(張景岳の十六脈を基本に)」

 

という考え方でもって、脈を診ています。

 

胃の気の脈診⑧ 衝和と弦急の脈

七死の脈⑧ 附録 数脈について     参照

 

 

日本の鍼灸学校なんかで、主に教育されている脈診法は、「六部定位脈診(ろくぶじょういみゃくしん)」と言います。

 

「初めて脈診をちゃんと教わりました。」

「六部定位脈診」の根拠         参照

 

 

この脈診法は、昭和の時代に、柳谷素霊先生のお弟子さんたちが、世に広めたと言われる脈診法です。

 

柳谷素霊という人物  参照

 

 

もちろん、臨床上有用な脈診法です。

 

 

さらに最近では、『本草綱目』で有名な、明代の李時珍(1518-1593)先生が残した「気口九道脈診」という脈診法を主張する先生方も出てきました。

 

「李時珍(りじちん)」という人物   参照

 

 

学ぶ側にしてみれば、よく言えば非常に多種多様、悪く言えば何が何だか分からない状況であるわけです。(^^;)

 

 

なんか話が長くなってきたんで、次回に続く。。。

 

 

 

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「初めて脈診をちゃんと教わりました。」

2016.10.13

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東洋鍼灸専門学校での後期講義、始まっております。

 

 

昨日は「脈診」に関して講義してきました。

 

 

東洋医学的な診断治療を行う上で、欠かせない診察法である「脈診」

 

 

このブログでも、何度も触れています。

 

「脈」で何が分かるの?

「脈診」の可能性

脈々と続く脈診

舌診か脈診か。。。

「舌診・脈診」についてしゃべって来ました!   参照

 

 

脈診と言えば、現代日本では一番大きな、伝統鍼灸の学派である「経絡治療学会」が提唱する「六部定位脈診」という脈診法が、

 

経絡治療学会の講師の先生方などによって、全国の多くの学校で教えられています。

 

 

国家試験にも出題されます。

 

 

これは、昭和初期に「古典に帰れ」と提唱したといわれる柳谷素霊先生の高弟の先生方が提唱した脈診法であり、その後、

 

現代まで、ずーっとメジャーな脈診法として扱われています。

 

柳谷素霊という人物

墓マイラー 15      参照

 

 

学生さんに聞いても、脈診と言ったら「六部定位脈診」しか知らない、東洋医学的な治療方式と言ったら「経絡治療学会のやり方」しか知らない、

 

という学生さんも多いです。

 

 

しかし、脈診の歴史を紐解くと、中国でも日本でも、必ずしも「六部定位脈診」のみが行われてきたわけではない。

 

 

・・・というか、「六部定位脈診」が、こんなに偏って、広く教育されているのって、近現代の日本のみなんじゃないだろうか。(苦笑)

 

 

そこで僕は毎年、「脈診」そのものの、客観的に見た、極力偏りのない「脈診の歴史」から講義しています。

 

 

その上で、今やグローバルスタンダードと言っていい、現代中医学が採用している脈診(28脈状診と言います。)の基本的理論と実際を説いてから、

 

我々北辰会の脈診法(胃の気の脈診と言います。)について、理論と実際を紹介するようにしている。

 

 

これをすると、毎年学生から、

 

「初めてちゃんと脈診を教わりました!」

 

と言われて、驚きます。

 

(3年生ですよ。。)

 

 

まあ要はその講師が、自分のやり方考え方について「だけ」しか語っていない、なんてことは、真面目な学生さんは御見通しなんですね。

 

(真面目だったわけではない僕ですら、学生時代そう思っていました。)

 

 

その先生の見解はどうでもよくて、そうでない、永遠に使える東洋医学のスタンダード、基礎基本を、学生さんは求めているんだと思います。

 

 

まずそれを理解し、その上で、色々と取捨選択していきたいんだと思います。

 

 

当然ですよね。

 

 

日本で唯一、東洋医学を勉強できる公的教育機関である鍼灸学校がそうなっていないというのは、大いに問題だと思っているのは、私だけでしょうか。。。

 

 

 

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