東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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補瀉 48

2016.04.21

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉 

補瀉 45  柳谷素霊先生、経絡治療学会における補瀉 

補瀉 46 北辰会における補瀉

補瀉 47 北辰会における補瀉 2          参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆北辰会の補瀉は、何故ほとんど手技を使わないのか その2(無為自然)

 

 

補瀉という考え方は、『黄帝内経』の中に貫かれ、数千年に渡る鍼灸医学の中にずーっと貫かれていると言っていい、とても重要な考え方です。

 

 

蓮風先生もかつては、この考え方の淵源は、「孫子の兵法」で有名な『孫子』の虚実萹がもとになっているのだと認識しておられたようです。

 

孫子の兵法 参照

 

 

すなわち、戦(いくさ)です。

 

 

病を、邪気と正気の戦ととらえ、

 

正気を集める、すなわち味方の兵を集めて援軍を送るのが補法、

 

邪気を散らす、すなわち敵軍を積極的に蹴散らすのが瀉法、

 

という考え方です。

 

 

これにも、もちろん一理ありますし、このことは、北辰会が少数鍼治療であることの理由でもあります。

 

(鍼をたくさん打って、むやみに戦線を広げずに、一極集中で確実に勝っていく方法、という意味で。)

 

 

しかし、諸子百家の勉強を進める中で、『老子』77章に、

 

「天の道は余り有るを損じて、而して足らざるを補う。」 

 

とあることに、思うところがあったそうです。

 

 

蓮風先生はこのように、東洋医学は人間学であるから、鍼を持つ者は、あらゆる宗教、哲学、諸子百家思想に、人間理解の論理を学ぶべきだ、

 

と、若い頃から繰り返し説いています。

 

 

老子の思想の根幹部分は何と言っても「無為自然」です。

 

「老子」という人物 参照

 

 

『老子』37章にこうあります。

 

 「道常無為、而無不為」

 

(道(タオ)は常に何事もなさないが、それでいて全てを成し遂げている)

 

「道教」って何ですか?(その16)

「道家思想(どうかしそう)」って何ですか?  参照

 

 

東洋医学は、「整体観」といって、人体も含めて、この自然(宇宙)は完璧に整った統一体である、という考えに基づいています。

 

「整体観」って何ですか? 参照

 

 

人間が生理的で健康な状態、というのは、完璧に整った状態、完成品と定義しているわけです。

 

 

そして、その完璧なバランスが崩れてしまっているのが、我々の言う「病」であるわけで、もともと完璧な統一体(整体)であるからこそ、

 

そこには「治る力(正気)」が備わっている訳なので、鍼灸や漢方薬で「気」を動かし、崩れた人体のバランスを整える(完璧に近づける)ことで、

 

その「治る力」を最大化せしめるのが「治療」なのだ、という考えなのです。

 

 

そして、もともと完璧な自然、整体である人体の「治る力」をより最大化するには、あまり人為的で、作為に満ちた鍼をするよりも、

 

自然に逆らわないように、作為を排した、無為自然的な鍼をした方が、より大きな気の動きを得ることが出来るのではないか、

 

と考えるに至ったようです。

 

 

これが、現在では手技をほとんど使わない、大きな理由の2つ目。

 

 

ただ、無為自然というのは、ただ何も考えずにボケーッと鍼をすることではないし、北辰会は、補瀉における手技を全く否定しているわけでもない。

 

 

 

その話を次回。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 47

2016.04.20

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補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

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補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

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補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉 

補瀉 45  柳谷素霊先生、経絡治療学会における補瀉 

補瀉 46 北辰会における補瀉           参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

戦後、様々な鍼灸学校が全国に設立されるとともに、様々な流派が日本国内に起こって来た中の一つが、現在私がお世話になっている、北辰会であります。

 

 

 北辰会がいかなる流派であるかについては、北辰会のオフィシャルHPに簡明に書かれていますので、そちらを参照いただくとして、

 

北辰会も当然、これまで書いてきた「補瀉」については整理された考えを持っており、それは会内の教科書にキチッとまとめられています。

 

(一社)北辰会HP 参照

 

 

そのザックリとした概要は、前回述べました。

 

 

現代日本の様々な流派、それぞれが補瀉を論じている中で、北辰会の補瀉は、補瀉するにあたって、手技をほとんど使わない、

 

というのが際立って特徴的だろうと思います。

 

 

北辰会方式の治療と言えば、1時間以上に渡る、長くて詳細な問診と、全身くまなく診る、精密な体表観察。

 

 

そして、わずか一本、あるいはせいぜい2、3本での、少数鍼治療。

 

 

それで得られる、劇的な良性変化や、西洋医学も不得手とするような難病に対する、高い治療成果。

 

 

これが有名でしょう。

 

 

しかし、その一本の鍼に対して、これまで述べてきたように、捻ったり、雀啄したりということは、ほとんどしません。

 

 

・・・これ、なぜか。

 

 

これは大事な内容なので、今日から、何回かに分けて、これが何でなのか、というお話をします。

 

 

◆術者間でのバラつきの問題、定量化の問題

 

 

北辰会は医学理論と医学用語のベースを「中医学」に置いています。

 

東洋医学と中医学 参照

 

 

以前も紹介したように、中医学では実に複雑な補瀉手技を、たくさんたくさん、紹介しています。

 

補瀉 31   参照

 

 

北辰会も、過去にはこういう複雑な補瀉手技もしっかりと追試したようですし、実際にそれなりに効果があるということも確認しているそうです。

 

(数十年前の話ですね。)

 

 

ここで問題になるのは、手技による補瀉を、より効果的にやろうと、どんどん追求していくと、術者によって効果のバラつきが大きくなります。

 

 

指先の感覚のいい者、指先の器用な者ほど、補瀉手技がうまくなります。

 

 

そうすると徐々に、

 

「補瀉手技テクニック追求集団」

 

になっていくきらいがありますね。

 

 

北辰会の目標は、 一人の名人を作ることではなく、名人に限りなく近い鍼灸医をたくさん育てることです。

 

 

なぜならば、その方が結果的に多くの患者さんを救えるからです。

 

 

上手いやつが、超絶手技を見せつけて圧倒したところで、誰も応援してくれません。

 

 

寄り添ってくれません。

 

 

結果的にフォロアーは減り、その流儀で救える患者さんの数は減ります。

 

 

この考え方に基づき、刺鍼においては、あまり手技は使わず、その代わり、望聞問切の四診による診断を限りなく精緻にして、

 

会員間で出来るだけ理論的に共有できる形にし、治療穴を極限まで絞り込み、厳選した一穴に対して丁寧に刺鍼をし、

 

一定時間置鍼する、という、診断の精緻さを極限まで高め、刺鍼については極限までシンプルにする、という方法を採用しているのです。

 

 

こうすることにより、術者間での治療効果のバラつきを極力少なくし、診断結果と経穴の状態に合わせた「刺入深度」「置鍼時間」「目的意識」といった形で、

 

北辰会方式を学んだ者同士で、治療を出来るだけ定量化することが出来る、と考えています。

 

 

 

これがまず重要な一つ。

 

 

 

続く

 

 

 

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4月(一社)北辰会スタンダードコース大阪会場

2016.04.19

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 4.17の日曜日は、大阪で行われた(一社)北辰会スタンダードコースに参加してきました!!

 

 

今回は年度初めの勉強会。

 

 

今回から、基礎的な内容の講義は、業者に依頼して、ビデオ撮影し、会員が自宅のPCで学習できるような「Eラーニング化」を進めていくようです。

 

(素晴らしい☆)

 

 

こうやってどんどん、北辰会方式を学ぶ上で最低限必要な、基礎学問の部分(臓腑経絡学や体表観察学、基礎中医学など)は、

 

自宅で何度も反芻して講義が受けられるように、ガンガンEラーニング化を進めるべきだと思います。

 

 

北辰会方式というのは、他によくある勉強会と違って、「一療法」ではなく、「一医学」を説いている訳なので、基礎から臨床まで、

 

その内容は膨大にして深遠です。

 

 

ですので、そうやって学習する側が学習しやすいように効率化するのは、とてもいいことだと思います。

 

(因みに、学習意欲そのものがない人はもちろん論外ですが。。。)

 

 

こうやって時代とともに、色々なことがどんどん変化していくのでしょうね。

 

 

朝イチは油谷真空先生による「臓腑経絡学総論」

 

 

いつもながら、ダジャレが炸裂していました。

 

(笑・・・それがEラーニングとして半永久的に残ります。)

 

 

油谷先生は北辰会の代表図書と言っていい、『臓腑経絡学』の主編者です。

 

 

私も今年の年末に「臓腑経絡学 総集編」東京衛生学園で講義しますので、いろいろ参考にさせていただきました。

 

 

午後は神戸の原元氣先生による「体表観察学総論」

 

 

北辰会方式の中核的内容である『体表観察学』

 

 

その膨大な内容を、一つ一つ、スッキリとまとめて講義しておられました。

 

 

・・・さ~てこうやってどんどん、北辰会方式はまとまり、勉強しやすくなり、次なる段階へ進んでいきます。

 

 

その中で、自分に何が出来るか。

 

(なにも出来なかったりして(爆))

 

 

・・・まあ、やるだけやります。

 

 

 

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補瀉 46

2016.04.16

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉 

補瀉 45  柳谷素霊先生、経絡治療学会における補瀉     参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

昭和に入り、澤田健先生によって起こった澤田流柳谷素霊先生によって起こった経絡治療学会、そして、幕末、明治から続く、

 

鍼灸医学を現代の西洋医学の論理で説明しようとする学派(いわゆる現代医学派)、これらの大きな流れは、その後の鍼灸界に大きな影響を与えていきます。

 

 

しかしそんな中、大東亜戦争、そして敗戦によって、日本の鍼灸界は再び受難します。

 

 

敗戦後、GHQによって、再び鍼灸を廃止する動きが起こりました。

 

 

理由は以下の4つです。

 

1.視覚障がい者による治療が行われている。

2.消毒の観念が定着していない。

3.医療としての教育制度が整備されていない。

4.治療効果の科学的根拠が証明されていない。

 

 

その時も、当時の全国の先生方が一丸となって東奔西走して、1947年(昭和22年)、どうにか制度的廃止を食い止めた歴史があります。

 

 

GHQが鍼灸を廃止しようとした理由の一つに、

 

「医療としての教育制度が整備されていない」

 

というものがあり、鍼灸の教育制度を整えることは急務であり、昭和30年代以降、徐々に徐々に、全国に鍼灸学校が増え続けました。

 

 

私が現在講義させていただいている東洋鍼灸専門学校も、柳谷素霊先生が創立した学校であり、私が卒業した、渋谷にある花田学園の創立者である花田傳先生も、

 

もともとは柳谷先生のお弟子さん(というか仲間)でした。

 

(年齢は花田先生の方が10歳くらい上のようです)

 

 

そう考えると、何やら縁のようなものを感じますね。

 

 

因みに、柳谷先生は、藤本蓮風先生のお父様である藤本和風先生にも、一度会っているそうです。

 

(出雲の鍼灸師会の勉強会に柳谷先生が見えて、モデル患者を治療したそうです。その主催者サイドだったのが和風先生。実にワクワクする顔合わせですね。)

 

 

まあともかく、そういった流れの中で、戦後、様々な鍼灸学校の設立とともに、様々な流派、学派、研究会が全国に誕生していきます。

 

 

大きく見れば、その中の一つが、現在私がお世話になっている、北辰会であるわけです。

 

 

◆北辰会における「補瀉」

 

 

北辰会では、このブログで長々と語ってきたこの「補瀉」という問題について、 その教科書である『北辰会方式 理論編』の中で、

 

”補瀉と刺鍼”という章を設けて、約30ページに渡って解説しています。

 

 

その中で、補法と瀉法を

 

「補法は気血が虚ろになっている部分に気血を充実させる方法。瀉法は気血や邪気が欝滞しているところを散らし巡らせ、

 

場合によっては気化させる方法。」

 

と定義し、さらに”医易学的な補瀉の解釈”を紹介したうえで、補瀉が単純なプラスマイナスではないことを説明し、

 

実際の臨床事実から、補法よりも瀉法の重要性、また、補法をした結果、瀉法的に働くことや、その逆の例もあることから、

 

補瀉に関して、単純な二者択一的な判定が出来ないケースもある、ということを述べています。

 

(医易学については、壮大なテーマですが、いつか語りましょう。)

 

 

そして、いくら瀉法が重要であると言っても、瀉法の目的は、邪気を散らすことによって正気を守ることなのである、

 

という部分をポイントとして強調しています。

 

 

つまり補瀉の目的は、正気(治る力)を高めることにあるのです。

 

 

また北辰会では、中医学や、他の流派が述べているような複雑な補瀉手技については、もちろん過去に理解、追試した歴史的経緯はあるにせよ、

 

現在では補瀉するにあたって、ほとんどと言っていいほど手技を使わない、という結論に至っています。

 

 

この辺の話をして、いよいよまとめましょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 45

2016.04.14

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

補瀉 44   澤田流における補瀉            参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

明治時代に受難にあった東洋医学は、国内全体としては存続の危機を迎えつつも、力強く臨床を続けた先人たち、また何より、

 

それを熱心に支持した患者さん達の支持によって、命脈を保ってきました。

 

 

そして、昭和の時代に入って、

 

「本来の古典的な考え方に基づく、東洋医学本来の鍼灸治療を復活させよう!!」

 

という動きが高まり、昨日紹介した澤田健先生と、もう一人、私が現在講義させていただいている東洋鍼灸専門学校を作った、

 

柳谷素霊先生が登場します。

 

 

この二人の先生は、我々北辰会の代表である藤本蓮風先生にも、多大な影響を与えている二人と言っていいと思います。

 

 

◆柳谷素霊先生、そして経絡治療学会における補瀉 

 

 

柳谷素霊先生(1906~1959)は、昭和2年(1927年)に、この業界では非常に有名な言葉である「古典に還れ」というメッセージを強く叫んで、

 

臨床、教育、研究、古典書籍の出版等々、膨大な仕事をしました。

 

(本人が言った言葉ではないという説あり。どーでもいいが。(笑))

 

 

柳谷先生の著書の中に『補瀉論集』という本があり、その中に、江戸期の様々な先生による「補瀉」に関する考え方が紹介してあります。

 

 

その冒頭(第一章)に、

 

「補は正気を補うのであり、瀉は邪気を排除するのである。」

 

と述べ、

 

「鍼灸によって与える刺激の”緩急劇易”こそ、補瀉手技を解明する手がかりであると考える。」

 

と述べています。

 

 

そして、当時、柳谷先生のもとに集まった有力な弟子たちがのちに組織した「経絡治療学会」という学派は、現在の日本の鍼灸界でも、

 

非常に大きなプレゼンスを示しています。

 

 

僕が鍼灸学校に通っていた頃も、学校の有力な先生の中には経絡治療学会の先生が何人かいらして、クラスメイトの何人かは、

 

学校の勉強の延長のような感じで、当たり前のように経絡治療の勉強会に参加していました。

 

 

その学派の考え方を持った学校教員が多いということは、当然そうやってフォロアーも増えますから、その分業界に与える影響も大きくなります。

 

(反対勢力、対抗勢力の存在も含めて。)

 

 

経絡治療学会の前身である「新人弥生会」が発足したのが昭和14年(1939年)ですから、現在、2016年までの約80年の歴史が、

 

この業界に与えた影響は計りしれません。

 

 

因みに、現在も使われている経絡治療学会の教科書である『日本鍼灸医学 基礎編』には、補瀉の基本として、

 

徐疾の補瀉、強弱の補瀉、開闔の補瀉

 

について述べ、実際の手法として、

 

鍼の材質や長さ、迎随、深浅、呼吸、徐疾、開闔、前柔、後柔、捻転、揺動など

 

の手技を挙げ、気が至ったら(効果が出たら)抜鍼する、と説いています。

 

 

なるほど、基本的な内容であり、これまでこのシリーズに書いてきたことを、標準的に網羅したような内容なんですが、

 

要はこの”気が至る(効果が出た)”、つまり、適切な補瀉がなされたかどうか、ということを、どうやって判断するか、

 

そして、そう判断できる根拠はなにか、というのが、最も重要なポイントじゃないかな、と思います。

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 44

2016.04.13

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

補瀉 43  坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉             参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

 

ここまでで、ザックリと江戸期の日本鍼灸古流派の色々な先生方における、「補瀉」に対する考え方を紹介してきました。

 

 

実に百花繚乱でしたね。(笑)

 

 

まあ、江戸期にはまだまだ、紹介したい流派や考え方は山ほどあるんですが、キリがないので、ここではこのぐらいにしておいて、

 

また何か機会があったら、その都度紹介していきましょう。

 

 

さて今日から、明治以降、現代までの話しに入ろうと思います。

 

 

明治時代は、我々東洋医学にとっては、受難の時代でした。

 

 

明治政府はとにもかくにも近代化(という名の西洋化)を進め、そして欧米列強に対抗していくための富国強兵政策に舵を切った中で、

 

残念ながら医学も西洋化ということで、東洋医学は廃止路線、となりました。

 

 

西洋医学を修めた者のみが、医師として診療行為を行うことが出来る、という法制度に変わりました。

 

(明治7年(1874)、医制)

 

 

当然、この動きに対して、”温知社”という団体を中心とした全国的な漢方医学存続運動も展開されますが、明治28年(1895)、

 

漢医継続願は僅差で否決されました。

 

 

これにより、日本における東洋医学と、それを実践する医者たちは、いよいよ厳しい立場となりました。

 

 

しかし、その中にあっても、僅かでしたが、強く、漢方、鍼灸医学を続けた人物たちはおりました。

 

 

◆澤田流における補瀉 

 

 

そこで今日は、以前このブログでも紹介した、澤田健(1877~1938)先生の澤田流における補瀉を見てみようと思います。

 

澤田健という人物

墓マイラー11

”澤田健”を含む記事   参照

 

 

この先生は、昭和に登場した鍼灸医です。

 

 

明治から大正、昭和初期の時代には、上記のような時代背景から、鍼灸治療がなぜ効くのか、という問題を、西洋医学的に説明しよう、という動きが主流でした。

 

 

ですので、あまりこの「補瀉」という、 ”気の存在”を前提とした議論は出てこなかったようです。

 

(詳しい人、何か面白い言説があったら教えてくださいねー☆)

 

 

その中にあって、「鍼灸の名人」として颯爽と世に登場したのが澤田健先生です。

 

 

澤田先生はもともと柔道の先生でもあり、最初、朝鮮半島で接骨院を開業しており、後に日本に帰って鍼灸の名人として成功します。

 

 

1927年(昭和2年)に出版された、中山忠直という人が書いた『漢方医学の新研究』 という本の中でも紹介されて、非常に有名になりました。

 

(実はこの本は、北辰会の奥村裕一学術部長にも大きな影響を与えた本だったりします。)

 

 

そして、澤田先生が診療中に言ったことを、弟子である代田文誌先生がまとめた『鍼灸真髄』という本の中に、”補瀉”について書いてあります。

 

 

そこには、

 

「基本的には鍼は瀉、灸は補。急性で実証には鍼で瀉法、慢性で虚証には灸で補法がよい。(P135 補瀉の説)」

 

と書かれており、また、

 

「・・・ここにあるものをあそこでとり、あそこにあるものをここでとる、それが補瀉迎隨です。・・・中略・・・、

 

例えば腰の病を、腰に鍼して邪気を追い出したら、今度は足に鍼して邪気を抜くということです。(P207 補瀉迎隨)」

 

ともあります。

 

(抜粋省略 by 竹下)

 

 

まあ、この記載だけではなかなか評価することは出来ませんが、要するに澤田先生は、補瀉の瀉については実邪を散らすこと、

 

補については正気を集めること、とオーソドックスに認識し、補瀉迎隨については、操作した正気と邪気の動きを、

 

よりスムーズにする方法、という風に認識していたことが分かります。

 

 

そして、そのことが分かるのにずいぶん苦心した、と書いています。

 

 

澤田先生ほどの人物がそう言うのですから、補瀉を理論的、感覚的に完璧に一致するところまで理解するのは、

 

相当難しい、ということが分かりますね。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 43

2016.04.10

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補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

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補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

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補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

補瀉 42  石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉    参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆坂井豊作(1815-1878)『鍼術秘要』における補瀉 

 

 

さて今日は、坂井豊作先生『鍼術秘要』を見てみたいと思います。

 

 

この先生も、前回紹介した石坂宗哲先生と同じ、江戸後期の鍼灸医です。

 

 

当時流行していたオランダ医学(西洋医学)にかぶれて、全く東洋医学的な鍼が実践されていないことを嘆き、

 

自分なりに研究、実践し、その成果をまとめたのが『鍼術秘要』である、と述べています。

 

 

石坂宗哲といい、坂井豊作といい、江戸後期にオランダ医学が日本に入ってきた時、当時の多くの医師達は皆そっちに流れてしまって、

 

西洋医学が優れていて東洋医学は劣っている、と考えるようになり、真面目にその優劣を論断した医者はほとんどいなかった、

 

という現実を非常に嘆いていたようです。

 

 (今の時代も大して変わんねーね。はあ。)

 

 

坂井先生の特長は、何と言っても”横刺術”です。

 

 

鍼を垂直に刺すのではなく、水平に刺す。

 

 

それによって、病んでいる経絡にビターッと鍼が当たるため、垂直に刺すのの10倍効く、と言っております。(笑)

 

 

また面白いのは、鍼が効く病というのは、「肝の臓」を中心に病んでいる病である、と断言しています。

 

(これも重要な指摘じゃないかな、と思います。)

 

 

そんな『鍼術秘要』の最初の部分に、「針術の要言」という項があり、そこに補瀉について書かれています。

 

 

そこには、

 

「瀉法は鍼の痕から気を漏らしだすやり方であり、補法は凝った経絡を切り裂いて金気を内に送り込むやり方である。」 

 

と、書いてあります。

 

(抜粋意訳 By 竹下)

 

 

そして、この後の段で開闔の補瀉を説き、実際に使うのは瀉法がほとんどである、と説いてます。

 

 

まあこれも一つの考え方ですが、鍼をするにあたって、何かを注入するとか、何かを引きずり出すとか、そういう考え方が、昔から実際にあります。

 

 

これについては、最後のこの補瀉の話をまとめる時に述べようと思っていますが、実はちょっと危険です。

 

 

 北辰会では、そういう考え方で補瀉をやってはいけないと、戒めている部分でもあります。

 

 

坂井豊作先生は63歳でなくなっていますが、もしかしたら寿命を早めた側面があるかもしれませんね。

 

(特にこの補法に対する考え方は。)

 

 

いずれにせよ、「肝の臓」の不調 をベースとした、十四経絡の不通が、鍼で対応できる多くの病に共通している、という認識と、

 

治療における”横刺”という技法は、北辰会にも大きな影響を与えていますし、大いに参考にするべきところだと思います。

 

(ただまあ、坂井流では鍼を100本以上打ったそうですけどネ・・・。(苦笑))

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 42

2016.04.09

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補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

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補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

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補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

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補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

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補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

補瀉 41  菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉      参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆石坂宗哲(1770-1841)『鍼灸茗話』における補瀉 

 

 

さて今日は、石坂宗哲先生『鍼灸茗話』を見てみたいと思います。

 

 

この先生は、前回紹介した本郷正豊先生や、菅沼周桂先生より後の時代、江戸後期の鍼灸医です。

 

 

この先生は、おそらく日本で初めて、西洋医学と東洋医学を折衷したような理論(らしきもの)を残した先生ではないでしょうか。

 

 

現代の鍼灸家、漢方家でも、東洋医学と西洋医学を折衷したり、使い分けたりする先生がおられます。

 

 

まあ言ったら、そういう先生たちの”ハシリ”ですね。

 

 

石坂先生は、かの有名なドイツ人医師、シーボルトとも親交があったことでも有名です。

 

 

彼がシーボルトに鍼灸を教える時のテキストであった『鍼灸知要一言』は、オランダで翻訳されて、当時の西洋医学界で紹介されたことでも有名です。

 

 

そんな石坂先生の娘婿である石坂宗圭先生が、義父である石坂宗哲先生の談話を収録したのが『鍼灸茗話』という本です。

 

 

この本は、昭和31年に柳谷素霊先生によって注釈を入れられて、出版されました。

 

(昭和13年には原稿は完成していたらしいですが。戦争おそるべし。)

 

 

その最初の部分に、補瀉に関する記載があります。

 

 

そこには、

 

「補瀉については既に他の本で述べたので、そこで述べてないことを言うとすれば、補は気を集めた結果、邪気が消退すること、瀉は刺絡の類のこと。」 

 

と、書いてあります。

 

(抜粋意訳 By 竹下)

 

 

で、他の本というのは、一つには『鍼灸説約』。

 

 

ここでは、まあ色々書いてあるんですが、結論としては

 

「補法はわずかな刺激で経脈の流れを調えることであり、瀉法は刺絡すること。」

 

と言っています。

 

 

 

また、『 鍼治十二條提要 』という本の中では、

 

「補法は迎隨があり、虚法と実法があり、鍼の基本は補法だよ。瀉法というのは瀉血のことだよ。」

 

 と述べ、『鍼灸治要一言』の中では、上記の内容を述べつつ、

 

「補法には迎隨があり、右手(刺す方の手)は常に患者に合わせて動かしている。これを”鍼の呼吸”という。」 

 

と言っています。

 

”鍼の呼吸”だってさ。面白い表現するね。(*^^*))

 

 

瀉法が刺絡、迎隨は補法のみ、と言い切ってしまうのはどうかと思いますが、これが当時、西洋医学と積極的に接触した石坂宗哲ならではの、

 

新進的な考え方だったのでしょう。

 

 

この先生は現代の先生方にも非常に評価が高く、初期の北辰会でも、この先生の刺鍼手技である「誘導刺」「散導刺」という技術を採り入れていた時期があったようです。

 

(今ではほとんど使いませんが。)

 

 

僕も随分前に、蓮風先生から研修中に、

 

「お前はそろそろ石坂宗哲を読め!独創的なことが書いてあるぞ。」

 

 と、突然言われたことがありました。

 

 

 

続く

 

 

 

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補瀉 41

2016.04.08

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉      参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

 

◆菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

 

 

さて今日は、菅沼周桂(1706-1764)先生『鍼灸則』を見てみたいと思います。

 

 

この先生も、前回紹介した本郷正豊先生と同じ、江戸中期の鍼灸医です。

 

 

この先生の主張は、実はなかなかブッ飛んでいます。

 

 

この先生は、鍼灸治療は70穴あれば事足りるとして、春夏は浅く打ちなさいとか、秋冬は深く打ちなさいとか、母子の補瀉とか、

 

禁鍼穴とか禁灸穴とか、そういう古典的な教えを否定していきます。

 

 

そして、

 

「そうやって古典の記載を無視してやっても、効いちゃって効いちゃってしょうがないんですけど?」

 

と言っています。(笑)

 

 

この時代にこの主張をするのは、それ相応の知識と経験があった上でのことと思います。

 

(あるいはただのホラ吹きか・・・。)

 

 

この『鍼灸則』の附録の部分に、補瀉に関する記載があります。

 

 

そこで彼は、

 

「色々な説があるけどさー、瀉して邪気を取って、カタマリが取れればそれを瀉、邪気が取れて正気が回復したら、それを補。

 

要は、補瀉っつーのは、手指(の感覚の妙)にあるっつーだけの話。」 

 

と、書いてあります。

 

(抜粋意訳 By 竹下)

 

 

いいですねー。(笑)

 

 

こういう人、嫌いじゃないです。

 

 

また菅沼先生は、

 

「みんなカッコつけて金とか銀の鍼使うけど、俺は鉄の鍼だけ。それで十分効きますけど、何か?」

 

とも言っております。(笑)

 

 

いつの時代にもいるのです。

 

 

こーゆー「人と同じ」がイヤな人。

 

 

しかもそれでいて立派に、結果を出す人。(笑)

 

 

おそらくは、性格的には豪放磊落であっても、手先は非常に繊細な感覚を持った先生だったのではないでしょうか。

 

 

因みにこの先生は、治療において三稜鍼を使った「刺絡」という手法をよく用いたことでも有名です。

 

 

個人的に、「補瀉」を書いたら、今度は「刺絡」を書こうかな、と思っています。

 

 

 

続く

 

 

 

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これまでのお話・・・

 

 

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補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

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補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉         参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

 

◆本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉 

 

 

さて今日は、本郷正豊先生『鍼灸重宝記』(1718)を見てみたいと思います。

 

 

この先生は、江戸中期の鍼灸医です。

 

 

実は『鍼灸重宝記』は以前、このブログにもチラッと登場したことがあります。

 

「沢庵和尚(たくあんおしょう)」という人物 参照

 

 

この本は、現代の「経絡治療」と呼ばれる流派の先生方の大元中の大元と言っていい、明治時代の鍼灸医で、脈診の大家と言われた八木下勝之助先生が、

 

他の本を一切読まずに、『鍼灸重宝記』のみを読んで、90歳を超えるまで治療されていたことで有名です。

 

 

そしてこの本は、北辰会の藤本蓮風先生とも縁のある、東方会の小野文恵先生が、大東亜戦争をまたいで現代語訳され、出版したことでも有名です。

 

 

そしてその本の推薦文は、私が今教えに行っている、東洋鍼灸専門学校柳谷素霊先生が書いています。

 

 

小野先生は、柳谷先生の有力なお弟子さんの一人だったんですね。

 

 

なので、なんかこの本を読むと、脈々と続く大きな歴史の流れを感じるんです。

 

 

ここにも、補瀉に関する記載があります。

 

 

そしてそれは何と、前回紹介した岡本一抱『鍼灸抜萃大成』の内容と全く一緒です。

 

(笑・・・例の呪文唱えるやつね。)

 

 

そして実はこの記載は、沢庵和尚『針記』の記載そのままなんだそうです。

 

(この辺は長野仁先生が非常に精緻に研究しておられますので、専門家の先生方は長野先生の論文等を参考にしてください。)

 

 

因みに『鍼灸重宝記』には、お灸でやる補瀉についても記載があり、瀉法の場合は火を扇ぐか吹き消せといい、補法の場合は、自然に消えるようにしなさいと説きます。

 

 

これもなかなか面白い記載。

 

 

瀉強補弱、強弱の補瀉と言ってもいいでしょう。

 

 

また、この本には「腹部打鍼術」についても書かれており、夢分流の流れを汲んでいることが分かります。

 

 

まあともかく、江戸期の超有名医家であり、現代の鍼灸家にも強い影響を与え続ける岡本一抱、本郷正豊の両者が、

 

禅僧である沢庵和尚の影響を受けていたなんて、興味深いですね。

 

 

我々が使う打鍼術の創始者、夢分斎も禅僧であるし、「禅宗」というものを考えることは、日本独特の鍼灸を考える上で、一つのキーワードなのかもしれませんね。

 

 

禅宗の旗印と言えば、何と言ってもこれです。

 

「不立文字、教外別伝、直指人心、見性成仏」

 

 

・・うーん。。。

 

 

ただ、こう言ってしまうとねー。。。

 

 「禅宗(ぜんしゅう)」って何ですか?

「禅宗」って何ですか?(その2)

「禅宗」を含む記事 参照

 

 

 

続く

 

 

 

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