東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「病理」と「病機」

2016.10.25

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先日告知したように、11.27に、北辰会で喋ります!!

 

11.27、三時間喋ります!! 参照

 

 

今、その内容の細かい部分を詰めている作業中です。

 

 

3時間ももらって、対外的に喋るんだから、せっかくなんで、永久保存版の講義にしようと思っています。

 

(数年前から、北辰会の講義は年に数回しかないので、毎回そういう気持ちでやっています。)

 

 

 

 

ところで北辰会では、中医学の言う「病因病機」のことを「病因病理」と呼んでいます。

 

(これらは、いわば疾病のメカニズムみたいなもんです)

 

 

これに関して、「機」「理」の、字義の違いに触れつつ、こないだ述べました。

 

「理」の意味 5 参照

 

 

要約すると、結局、なぜ北辰会方式では「病因病理」と呼ぶのか、明確な回答は先輩に聞いてもなかなか得られず、

 

「どっちでもエエんちゃう??」

 

とか言われて、

 

「だったら中医学の教科書に合わせて、病因病機と言った方が良いんじゃないすか!?」

 

と思ったりして、ハッキリしないイライラ感みたいなものがありましたが、色々とまとめていると、やっぱり「病因病機」という呼称よりも、

 

北辰会方式では「病因病理」という呼称の方がいい気がしている、という話をしました。

 

 

「病機」というのは読んで字のごとく「病の機序」であり、病のメカニズムのことです。

 

(肝鬱気滞→脹痛、みたいなね。)

 

 

それに対して「病理」というのは、先日書いたように「ある病機の、生理面も含めた、理論的根拠」という意味に解します。

 

(肝鬱気滞を緩めんがための生理的欲求として、甘いものや酒を過食過飲したら、結果として胃熱が生じた、みたいなね。)

 

 

こういう風に、ある症状の背景にある「生理的な欲求」についてまで考えることで、各病機の標本主従が明確になり、病の全体像の「本質中の本質」が把握しやすいのではないか、と考えています。

 

 

具体的に言うと、精神的なストレスの過剰から気機が鬱滞し、肝の臓の病変を起こし(病因→病機)、それを緩めんがために甘いものを過食(病機→生理)した結果、

 

二次的に脾の臓や胃の腑の病変を起こした(病因→病機)という患者がいた場合、肝の病機と脾胃の病機の標本を考えると、本は肝、となります。

 

 

ここで、病因病機のみしか意識しなければ、この症例における時系列的、理論的な標本の判断が難しくなります。

 

 

そして、それが分析出来た上で、四診によって現時点、治療時点における各病機の標本主従を明確にして「証」を弁出して、養生指導も欠かさずに、治療を進めていくのです。

 

 

そうすると、治療の結果、何が動いて、何が動いてないかが分かります。

 

 

因みに、例えば上記のケースで、病因病理の上では「本は肝」であっても、初診時の状況(主訴その他の状況)によっては、「急則治標」で胃の熱から叩く、

 

とかいうケースもあり得るワケです。

 

 

やれ弁証論治派、といっても、ここまで理路整然とやっているところもなかなかないと思いますけどね。

 

 

 

11.27は、イヤというほどこういう話をしてやるうー!!(=゚ω゚)ノ

 

 

 

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患者さんの声(20代女性 悪心、胃の痞え、食欲不振、疲れやすい、緊張しやすい、呼吸しにくいなど)

2016.09.16

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清明院では現在、院内診療、訪問診療ともに多忙のため、求人募集しております。

募集内容の詳細はこちら

 

 

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「患者さんの声」をいただきましたので紹介します。

 

 

20代 女性 

 

【症状】悪心、食欲不振、胃の痞え、疲れやすい、緊張しやすい、呼吸しにくい、生理痛(激痛)

 

【既往歴】栄養失調、自律神経失調症、逆流性食道炎、機能性胃腸症、不安神経症、パニック障害

 

 

2年半程前に、仕事のストレスと過労から、パニック・胃腸障害・自律神経失調など、とにかく日常生活がままならない程、身体を壊しました。

仕事を辞め、漢方薬で治療をし、2年かけて少しづつ少しづつ良くなってきたのですが、あと一歩というところでなかなか全快せず。

体力勝負の仕事の為、なかなか復帰出来ずにいたところ、ネットで清明院を見つけました。

病気と闘うのにも疲れ果て、金銭的にも悩みましたが

 

「これでダメなら諦めよう」

 

という気持ちでお願いしたのが始まりです。

初めての鍼の最中、感じた事のない頭のモヤモヤした痛み?が起きたので驚いたのですが、たった鍼1本刺しただけなのに身体にこんな反応が出るなんて・・・と、

 

逆に期待が膨らんだのを覚えています。

私の場合、翌日くらいまで少し症状が強くなるけど、そのあとスッと軽くなる、という変化を繰り返し、

 

「あれ?いつもより食べられる」

 

「そういえば疲れにくくなった」

 

と、小さい変化の積み重ねで、気づけば身体はみるみる回復。

鍼灸治療開始以前から服用していた漢方も併用してはいましたが、あれだけ手こずっていた症状が、あっという間に回復したのは間違いなく先生の鍼のお陰です。

そしてたった2カ月でついに念願の仕事復帰が出来ました!

その後、高血圧に悩む母を紹介しました。

 

母もみるみる元気になり、母娘共に長く病気に振り回されて来たので、もっと早く先生に出逢えていれば・・・、と思うばかりです。

そして、あるのが当たり前だった、のたうち回る程の生理痛までなくなり、根本治療の意味を実感しています。

4か月たった今、仕事がハードだと少し体調を崩す事もあるのですが、少し休めば自分で回復出来るようになりましたし、

 

何かあっても清明院があるから大丈夫!と前向きな気持ちで取り組めています。

一回6000円。

 

初めは迷いましたが、元気になった今は、健康で好きな仕事を続けられる為なら惜しいとは思いません。

今後も仕事との向き合い方を改めつつ、身体のバランスをしっかり整える為通い続けたいと思っています。

 

どうぞ宜しくお願い致します!

 

【清明院からのコメント】

 

この方の初診は2016年5月でした。

 

初診時、これまで様々な治療を繰り返してきたけど、どれもなかなか決め手にはならず、苦労しておられる様子がよく分かりました。

 

こういう患者さんが、実は非常に多いのです。

 

西洋医学の専門病院の網の目からこぼれた患者さんです。

 

そして、こういった症状、状態に、鍼灸治療が効く、ということを知っている患者さんが、これまた非常に少ない。

 

そして、それに応えられる鍼灸院も、非常に少ない。

 

嘆かわしいことですね。

 

この患者さんは、初診時、「肝鬱気滞≧脾腎気虚」と弁証し、慎重に治療を開始しました。

 

発症以来の経過が2年と、やや長いことに加えて、これまでに西洋医学、漢方薬など、様々な処置を入れているために、

 

かえって病を複雑化した側面もあったものと思います。

 

治療後は多少の瞑眩現象が起こりますが、体表所見の変化を冷静に追っていくと、確実に改善しています。

 

極力、瞑眩現象が激しく出ないように配慮しつつ、週1、2回ペースで治療を進めること15回ほど、期間にして2カ月弱ほどで、

 

仕事に復帰できるほどに回復しました。

 

この患者さんが診断を受けたような病名の数々は、実は西洋医学は苦手なんじゃないでしょうか?

 

清明院はむしろ得意ですね。

 

また、主訴である諸症状の改善とともに、生理痛(激痛)が改善していることは括目するべき事実であり、西洋医学ではこういう効かせ方は難しいのではないでしょうか。

 

その患者さん自身が持つ「治る力」の最大化という、体質改善、根本治療を目標とする東洋医学の真骨頂だと思います。

 

因みにこの患者さんのお母様は先日紹介した

 

患者さんの声(60代女性 ふらつき、のぼせ、悪心、食欲不振、肩こり、全身倦怠感)

 

の患者さんです。

 

清明院ではこのように、一人をきっかけに、おじいちゃんおばあちゃんから赤ちゃんまで、全家族が患者さんになるケースがよくあります。(笑)

 

 

 

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患者さんの声(60代女性 ふらつき、のぼせ、悪心、食欲不振、肩こり、全身倦怠感)

2016.09.09

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「患者さんの声」をいただきましたので紹介します。

 

(ついつい書いてもらうのを怠けてしまうね。イカンイカン。)

 

 

60代 女性 

 

【症状】眩暈、のぼせ、悪心、食欲不振、肩こり、全身倦怠感

 

【既往歴】高血圧

 

 

「清明院」に通い始めて約2ヶ月になります。

 

数年来、高血圧の諸症状に悩まされ続けてきました。

 

降圧剤は飲みながらも、家系だから、体質だから仕方がないのか・・・と、半ば諦め気味で、サプリメントや漢方薬も色々試してきました。

 

ある日、軽い眩暈に襲われ、中々回復せず、ほぼ一日中ソファーに横になっている日が続き、とうとう義母の四十九日法要にも行くことが出来せんでした。

 

悶々としていた時に、縁あって娘の通う「清明院」にお世話になることになり、初日は這う様にして出かけて行きました。

 

初診は問診、診察、治療合わせて3時間。

 

体力がもつかどうか不安でしたが、治療後、かなり身体が楽になり、付き添ってくれた娘と久しぶりにお茶をして帰れる程になりました。

 

毎回、確実に元気になっていくのを実感していたので、私に“キャンセル”という選択肢はありませんでした。

 

猛暑日も台風の日も何より優先して通い続けました。

 

お陰様でかなり元気になりましたので、来週には義母のお墓参りに熊本まで帰ります。

 

病院通いは、私にはストレスでしかありませんが、「清明院」に通うことは楽しみで、予約日が待ち遠しくて仕方ありません。

 

東洋医学は以前から信頼しておりましたが、とりわけ「清明院」の鍼一本の治療には驚いてしまいます。

 

竹下先生、スタッフの皆様、本当に有難うございます。

 

今後とも宜しくお願い致します。

 

最後に紹介してくれた娘に“有難う!”。

 

 

【清明院からのコメント】

 

 

本症例の初診は2016年の7月、当該患者さんの娘さん(清明院の患者さん)からの紹介でした。

 

最初に来られたのは娘さんで、娘さんが短期間でずいぶんよくなったので、お母様を紹介して下さいました。

 

主訴は高血圧に伴う、眩暈を中心とした諸症状です。

 

清明院では日常的によく診る症状です。

 

原因不明(本態性)の高血圧症の患者さんというのは、症状の原因がよく分からず、対処方法がよく分からない不安感、

 

また今後、高血圧によって脳卒中や心筋梗塞を起こす不安感、またさらに、一生降圧剤を飲む憂鬱さを抱えている方が少なくなく、

 

その不安感や憂鬱さから、諸症状をより増悪させているケースが多いです。

 

こういうものに、鍼灸がとてもいいです。

 

降圧剤から離脱できたケースもあります。

 

初診時、「肝胃不和」と弁証し、治療すると、直後に症状が劇的に楽になりました。

 

そのまま週2回ペースの治療を継続し、8診目には非常に良好な状態となりました。

 

現在ではメンテナンスのため、治療を継続しております。

 

「通院が楽しみになる。」

 

これが本来の医療でしょうね。

 

 

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東洋医学は宗教か。 15

2016.09.08

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↑↑三島由紀夫が書いた書「清明」。奈良の超絶パワースポット、大神神社にあります。

 

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これまでのお話

 

東洋医学は宗教か。

東洋医学は宗教か。 2 

東洋医学は宗教か。 3

東洋医学は宗教か。 4  

東洋医学は宗教か。 5

東洋医学は宗教か。 6 

東洋医学は宗教か。 7 

東洋医学は宗教か。 8

東洋医学は宗教か。 9

東洋医学は宗教か。 10 

東洋医学は宗教か。 11

東洋医学は宗教か。 12

東洋医学は宗教か。 13

東洋医学は宗教か。 14       参照

 

 

さて、どんどんいきましょう。

 

 

◆宗教や哲学、思想が対立するという現実

 

 

ここまで、哲学や宗教や、僕自身の実体験の話をしながら、

 

「東洋医学は宗教か。」

 

という、ややこしい問題について、あれやこれやとダラダラ書いております。(苦笑)

 

 

僕のこのブログは、毎日の診療の合間に清明院の院長デスクに座りながら、特別何か本を調べたりしながら書いているわけでもなく、

 

ほぼ思い付きで、僕が喋ってるのをそのまま文章にしていく感じで、1記事15~30分くらいでサクサク書いているので、

 

時には話があっち行ったりこっち行ったり、ややこしかったり、読みにくかったりするかもしれませんが、そこはまあ、

 

これは別に書籍でも論文でもないので、ご了承ください。

 

(そういう感じで書かないと、7年も毎日なんて、書けましぇん。(*‘∀‘))

 

(因みに論文とかを書く時は、僕はけっこうキチーッと調べ、色んな人の意見を聞き入れながら書きます☆)

 

 

インターネットというのは、超高性能拡声器であると同時に、僕のようなド庶民の大変優れた「ガス抜き」なんですよ。

 

 

 

 

・・・まあともかく、こないだ、「排他」は良くないね、というお話をしました。

 

 

しかしこれに対して、

 

「いや、排他は別におかしくない!むしろ思想というのは、最終的にそうなるものである!!」

 

という激しい意見もあります。(笑)

 

 

まあ考えてみると、「排他」は良くない、なんてのはいかにも理想論的で、現実を見てみろよ、という話なのかもしれません。

 

 

戦争、民主主義、裁判など、あらゆる社会の現実や社会のシステムは、全て対立や、パワーバランスの不均衡が根底にあります。

 

(必ず敗者、つまりある意味”排他された側”が存在する訳ね。)

 

 

確かに、そういう現実を無視してはいけない。

 

 

鍼灸医学というものは、術者側も患者側も、現実社会を生きる人たちのためにあるもの。

 

 

ある思想や哲学や宗教を共有するコミュニティ(共同体)が味方を増やして、大きくなっていくときに、そのコミュニティの中心人物は、

 

「あっちの考えより、こっちの考えの方がいいぜ!」

 

という主張をしなかったら、最初からこっちのことをよく調べてくれて、しかも、よく分かってくれる人(つまりファン)しか寄ってきません。

 

 

人がすでにいいと思っているモノよりも、さらにいい、ということを上手にアピールしなければ、衆目を集めることは不可能でしょう。

 

 

また、

 

「あれもいいけど、これもいいよ。」

 

では、説得力がイマイチないし、訴えとしてパンチが弱いし、それでは、そのコミュニティの繁栄が、かなり限定されたものになってしまいます。

 

 

こういった理由から、自分自身の考えの正当性を説明する時に、どうしても他者批判を伴う場合が出てきます。

 

 

またそうした方が、より分かりやすく、相手に訴えることが出来やすいでしょう。

 

 

ただここに、分不相応な大言壮語が伴うことも多々あります。

 

 

いわゆる”ハッタリヤロー”です。

 

(笑・・・でもこれも、時には大事だったりします)

 

 

そもそも、宗教であれ哲学であれ、何かに対する「自分自身の考え」というのも、親や強烈な指導者から叩き込まれた盲信的絶対的情報でもない限りは、

 

人生の中で「自分で」色々な実体験を伴いつつ、色々な情報の忖度の繰り返しと、「他者批判」から生まれてくるものなんですよね。

 

 

そう言う意味では、自分自身の確固たる考え方や、それを共有できるコミュニティが構築されてくるまでの過程で、

 

自分と他との「対立」というのは避けられない。

 

 

その闘争を経て、結果的に自分の考えと、自分のコミュニティが繁栄して、成熟して、安定したものになれば、「排他」は生まれにくくなっていくんじゃないかな、

 

とも思います。

 

 

繁栄や安定によって、気持ちが満たされ、

 

「あいつらももう別に俺のこと邪魔してこねえし、俺は俺で仲間たくさんいるし、まあいいか。」

 

と思えるようになってくるからでしょう。

 

 

一見余裕をかましたような、その状態というのは、結局は「闘争」の結果、勝ち取ったものなんですよね。

 

 

 

 

・・まあー、こうやって考えると、人間には何らかの形での「ガス抜き」というのは、非常に重要なんだなー、と思いますねえー。

 

 

そういう意味では「インターネット」って、いい道具だよねえーー(*‘∀‘)

 

 

2ちゃんねるやSNSが、イジメや犯罪を助長していると言う人がいるが、それらがイジメや犯罪を抑制してる方の効果との比較はしたのか??

 

 

イジメられっ子がSNSで同じような境遇の友達と知り合って人生が明るい方向に変わることだってあるだろうし、ストレスでブチ切れんばかりの犯罪者予備軍が、

 

ネットに好きなことを書き込んで、誰かの同意や承認を得ることで、ストレスの溜飲が下がることだってあり得るでしょうに。

 

 

また、コンプレックスの塊のような人物が、ネット上の文章なり写真なりで自分を飾ってカッコよく見せて、賞賛を得ることで、満たされることもあるでしょう。

 

 

・・・うーん、話が逸れた。(苦笑)

 

 

 

続く

 

 

 

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東洋医学は宗教か。 7

2016.08.25

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これまでのお話

 

東洋医学は宗教か。

東洋医学は宗教か。 2 

東洋医学は宗教か。 3

東洋医学は宗教か。 4  

東洋医学は宗教か。 5

東洋医学は宗教か。 6    参照

 

 

さて、どんどんいきましょう。

 

 

◆「魂」の存在をどう考えるか。

 

 

私が2008年頃から講師を務めさせていただいている、鍼灸学術研究団体である北辰会は、その理念の中に、

 

「東洋医学で、患者さんの心と体と魂を救う」

 

と掲げております。

 

北辰会の理念は こちら

 

 

ここだけを読んだら、多くの人は

 

「いやこれ、宗教じゃん」

 

という感想を持つかもしれません。

 

(苦笑・・・私の身内(理系)なんかはそうでした。)

 

 

よく、一般人や、無知な鍼灸学生などから侮蔑、嘲笑気味に”宗教臭い”とか言われがちな東洋医学、鍼灸医学の中でも、

 

北辰会は正直”特に”だと思います。(苦笑)

 

 

まあ近年になって、そのイメージもだいぶ払拭されてきたようにも思いますが。

 

 

この理念に関して、僕が分かる範囲で、簡単に説明致してみます。

 

 

北辰会では「心・体・魂」という三位一体の生命観を持っていますが、この「魂」というものの存在に、蓮風先生は若い時分から非常に興味を持っていたようです。

 

 

これは非常に多義的な言葉だと思いますが、北辰会の理解を平たく言えば、人間の持つ、心(精神)の内面の、もっともっと深い部分(在意識的、本能的なもの)

 

を包含し、意識や時間や空間すらも超越した、霊的で、スピリチュアルな部分、というか観念(想念というべきか。)のことです。

 

 

北辰会方式の鍼灸治療では、患者さんをやる時に、そこまで射程に入れなければいけない、実際に入れられる、と、理念に掲げた訳です。

 

 

北辰会、蓮風先生の言う「魂」を、もっと細かく、もっと分かりやすい言語でもって説明した場合、どういうものであるかについては、

 

蓮風先生のブログや、北辰会機関誌の『ほくと』の中に、講義録として、ある程度掲載されています。

 

(興味のある人は、まずそれを一通り読んでもらったら宜しい。)

 

ブログについてはこちら(『鍼狂人の独り言』の”魂”を含む記事)

 

 

北辰会が、その前身である大阪経絡学説研究会から始まって、昭和54年(1979年)に正式に北辰会として設立、発足し、その後、

 

徐々に数百人規模の大きな団体となっていった、昭和40年代~60年代というのは、戦後の復興~高度経済成長の極みから、

 

急転直下のバブル崩壊、そしてそれ以降の就職氷河期、という極端な時代背景があり、日本人が経済的、物質的に非常に豊かになっても、

 

心の内面は本当は満たされない、ということを思い知り、物質的に豊かな時代も、厳しい時代も、結局は精神面の不満足、不安、

 

不満などのストレスから、あらゆる病になる人も多く、それを解決するために、そういう患者を診療する側の医療従事者はもちろん、

 

一般人も含めて、当時は社会全体にそのような

 

「目に見えない、人間の内面のディープで不可思議な世界への探求」

 

を志向する空気が、ある意味で非常に盛んだったのではないでしょうか。

 

(この時代のこういったムーブメントを指して、新宗教ブーム、オカルトブーム、なんていう言葉もあります。)

 

 

そうした時代背景もあり、蓮風先生をはじめ、北辰会の諸先輩も、患者さんを治療する日々の中で「魂」というものの存在を強く意識するようになっていったのでしょう。

 

 

ただ、北辰会が宗教団体と違うのは、魂を救うのに、宗教的な呪い的な儀式などではなく、あくまでも『黄帝内経』に基づく

 

「東洋医学(中国伝統医学)の論理でもって」

 

しかも

 

「鍼灸治療でもって」

 

それをやる、むしろそれをするのは鍼灸じゃないとダメなんだ、というスタンスを堅持しているというところが重要だと思います。

 

 

だから、北辰会はどこまでいっても宗教団体ではなく、東洋医学の学理を学び、鍼灸治療の技術を磨く、「鍼灸学術団体」なのです。

 

 

もう一つ大事なのは、一般的な東洋医学、つまり『黄帝内経』に端を発し、立脚する中国伝統医学の世界には、ほとんど「魂」であったり、

 

「霊的なもの」の存在というのは説かれていません。

 

 

 

約2500年くらい前に成立したと言われる東洋医学のバイブルである『黄帝内経』よりもさらに以前は、巫術(まじない)が医療の中心であったようで、

 

そこから『黄帝内経』に至って、「気」「陰陽」という自然哲学に立脚した、「臓腑経絡学説」に基づく、科学的な医学医療が確立され、

 

展開されていった、という流れがあります。

 

 

『黄帝内経』は、「呪い医療」の詳細な説明や実践方法の紹介は、意図的に排除し、避けた訳です。

 

(ところどころ、仄めかしてはいますが。)

 

 

ですので、人間存在を考える時に「魂」というものの存在を「あるもの」として意識し、それをどうこうしようとするならば、その人間観自体は、

 

東洋医学的というよりも宗教的、呪い医療的にはなります。

 

 

なりますが、それをどうこうする際の「論理と手法」が徹底して東洋医学的、中国伝統医学的であるならば、むしろそれこそが真の東洋医学なんではないでしょうか。

 

『黄帝内経』以前の歴史をも踏まえている、という意味で。)

 

 

東洋医学の世界観というのは「気一元」です。

 

 

この世界、万物、森羅万象は「気」から出来ている、と説きます。

 

 

であれば、上に述べた「魂」「気」で出来ている、となります。

 

 

その「気」に、直接働きかけ、操作するべく考え出されたシンプルな道具が、鍼灸なのです。

 

 

だから当然、気の流れを調えることで、結果的に「魂を救う」ことも、鍼灸治療の射程圏内に入ります。

 

 

ある意味単純明快であり、悪く言えばルーチンワーク的な「How to 治療」みたいなものがいつまでたっても跳梁跋扈する鍼灸業界において、

 

北辰会、蓮風先生が、この難しい問題を中途半端に扱わず、変にごまかさず、真正面から理念として述べている姿勢を、

 

「僕なんかは」リスペクトしている訳です。

 

 

要は日々の鍼灸治療の実践を通じて、真剣に人間学をなさっているわけで、その一つのあり方の主張な訳です。

 

 

ただし、あまり変にこういうところを強調したり、初学者や素人に対して、伝え方を過てば、妙な誤解のもとになり、話が前に進みにくくなる面もあります。

 

 

この辺のバランスは、教わる側のリテラシー、理解力、スタンスの問題も絡んでくるので、現代日本社会の中で、東洋医学教育に携わるものとして、

 

大変難しいところだとは常々思っています。

 

 

 

続く

 

 

 

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男女の生命力

2016.02.05

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こないだ、学生から問われました。

 

「女性の方が寿命が長いのは東洋医学的にどう考えられますか?」

 

と。

 

僕は、

 

「知らんがな。」

 

と答えました。(笑)

 

 

男性と女性では、言うまでもなく生理的特性が違う。

 

 

女性は妊娠、出産できる。

 

 

そのことについては、東洋医学では細かく説明している。

 

 

男性は平均値から見れば、基本的な運動能力が女性よりも高い。

 

 

でもこれはあくまでも平均値の話しであって、運動能力の低い男性も、運動能力の高い女性もいる。

 

 

また、細々した身体的特徴にも違いがある。

 

 

これについても、東洋医学では説明している。

 

 

平均寿命は女性の方が長い。

 

 

このことから、女性の方が生命力が強いと言えるか。

 

 

男女の生命力については、遺伝学的にXY染色体の見地からあれこれと論じてみたり、ストレスに強いとか痛みに強いとか、色々説明している人がいるらしいです。

 

 

また、東洋医学の本の中には、

 

「女性は月経があるから血虚になりやすい」

 

などという、トンデモ解説をしてある本もあるらしい。。。(苦笑)

 

(因みに僕は、この解釈はまったく間違っていると思っています。女性にとって月経はごく自然な生理現象であり、それをもって血虚になりやすいなんてことはありません。)

 

 

・・・ま、畢竟するに、あんまり面白くない話題ですね。(爆)

 

 

僕的な結論は、

 

「別に、人間としての大枠は大して違わないんで、一人一人に合わせて陰陽調整して、治療すればよくね?」

 

で終了です。

 

 

「男女」「ヒト」です!

 

安藤昌益(あんどうしょうえき)という人物 参照

 

 

人間の生命力の堅脆なんてのを、平均寿命の男女比較で考えるという発想が、実に西洋医学的。

 

 

 

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11月(一社)北辰会スタンダードコース東京会場

2015.11.26

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そー言えば書いてなかったので、こないだの日曜日に行われた、(一社)北辰会スタンダードコース東京会場について書いておきましょう。(笑)

 

 

今回は午後からの参加。

 

 

午後一は私自身が喋りました。

 

 

テーマは「経穴解説」

 

 

去年の内容とかぶらないように、基本を外さないように、初心者から上級者まで楽しめるように、と配慮して講義しました。

 

 

そして今回はあえて、のっけからテンション高めに喋りました。(笑)

 

 

・・・まあ、感想は様々でしょうが、何となく今回は、緊張感に満ちた、ヤバい感じの講義がやりたかったんですね。

 

 

こないだの伝統鍼灸学会といい、普段の学校教育といい、ここんとこ”よそ様”相手の講義が続いていたので、ストレスがたまっていたんでしょうかね。。。(苦笑)

 

 

ただね、怒っていたわけではなく、真剣に訴えていたのです。

 

 

鍼の面白さを。

 

 

 

 

トリは藤本新風先生による刺鍼デモと公開臨床。

 

 

新風先生が彰宣から藤本家の十五代目、新風と改名し、初めて北辰会の副代表として関東で講義と実技をした、歴史の1ページでしたね。

 

 

そんな歴史的瞬間の、実技の司会をやらせていただき、光栄でした♪

 

 

・・・気合入ってましたねー、新風先生。

 

 

個人的には、僕自身の講義も含めて、1日、非常に楽しかったですね。(笑)

 

 

新風先生も楽しかったようです。

 

 

なので来年はもっともっと人集めて、盛大にやりたいですね、個人的には。

 

 

 

・・・鍼の真剣な世界を。

 

 

 

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「四逆散」というお薬 3

2015.06.10

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これまでのお話


「四逆散」というお薬

「四逆散」というお薬 2       参照

 

では続きいきます!!

 

ここまでで、四逆散という超有名な薬に関して、和田東郭、浅田宗伯の見解を示しました。

 

さて今日は、また違う人の見解を見てみましょう。

 

今日は目黒道琢(めぐろどうたく 1739-1798)先生です。

 

まあこの先生は、和田東郭荻野元凱と同時代の東京(江戸)にいた、超秀才、研究熱心バリバリ!みたいな先生です。

 


和田東郭という人物
荻野元凱という人物   参照

 


彼が言うには、

四逆散の状態とは、みぞおちが常に痞え、両肋骨下が、ガチガチに張って凝り、左脇腹が特に甚だしく、みぞおちの凝りがきつすぎて、

胸の中までも痞え感、膨満感を感じ、何となく胸中が不快で怒りっぽく、或いは肩とか背中が張って、或いは背中のみぞおちの裏あたりが張ったりします。

これらは、肝鬱(肝の臓の機能亢進)の症状です。

こういうものに、四逆散を使うといいです。

最近、肝鬱の人が多いので、四逆散の合う人が極めて多いです。

和田家(和田東郭の一派の事と思われる)では、慢性症状の病人を百人治療すれば、五、六十人は此の方に加減して用いると、

弟子が言っています。

水分の動きが強い証は、山薬、生地黄を入れると有効という。

私も、よく四逆散を用いて、いい成果が上がってます。

また、疝気(急性の腹痛)にも、四逆散の適応症が多いです。

『餐英館(さんえいかん)療治雑話』より抜粋意訳 by竹下

 


・・・だそうです。

 


同年代(5つ下)の和田東郭のやり方を参考にしているあたり、この時代は和田東郭がかなりリード的な存在だったようですね。

 

肝鬱(精神的なストレスによって、肝の蔵の機能が更新している病態)は、現代人にも非常によく見受けられる病態です。

 

これに対して、応用的に四逆散を使っていたのですね。

 

しかし、和田東郭の患者100人中5,60人は四逆散加減だったとは、興味深いところです。

 

江戸の平和に思える町民文化は、意外と人間関係によるストレス社会だったのでしょうかね。。。(苦笑)

 

肩こりと東洋医学 7   参照

 

「四逆散」というお薬 4   に続く

 

 

 

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心持ちを変える方法

2015.05.25

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患者さんが、日々の中で抱える精神的なストレスが、今現在の症状と大きく関わっていることは少なくない。

(さらに…)

患者さんの声(70代女性 原因不明のまぶたの脹れ)

2015.05.07

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「患者さんの声」をいただきましたので紹介します。

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