東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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言葉のチカラ

2009.12.19

今日、昼ごはんにうどんを食べに行きまして、「ジャージャーうどん」というものを注文しました。

あの、汁無しうどんにピリ辛の肉味噌のようなものがかかっているやつです。

僕はああいうのかなり好きなので、よく食べます。

注文したまでは良かったんですが、店員さんが持ってきた時、

店「お待たせしました。ジャージャーうどんになります。食べ方はご存知ですか?

竹「ハ?口に入れて、噛んでのみ込めばいいと思いますが・・・。」

店「はは(笑)まずこちらの肉味噌をうどんとあえて頂いて、どうのこうのどうのこうの・・・・」

竹「・・・はい。(分かったから早く食べさせなさい!と思いつつ)」

・・・さて、上記の会話の中の太字部分の質問て、要りますかねー?要るなら、「当店でのおいしい食べ方、ご存知でしょうか?」が正確だと思うし、いちいち聞かずに、持ってくると同時に説明してしまうという手もあるはずですよね。

こういう何げない会話の中にさえ、ちょっとした言い方とか、言葉のチョイスやタイミング一つで、相手の受ける印象は全然変わってくるということ、ありますよね・・・?

あと上記の会話の中の「はは(笑)」も余分ですよね。別に僕はボケた訳じゃなくて、「その質問、おかしいぜ。」ということを暗に伝えたつもりだったんで、正解は、「失礼しました。当店ではですね…」が正解ですよね?

・・・別に細かい性格な訳ではないんですが、普段患者さんと接しているため、「言葉」というのは重要な治療手段の一つであると同時に「もろ刃の剣」であることも痛感しているだけに、意外とこういうの気になっちゃうんですよね~(苦笑)

・・職業病ですな。

しかし言葉の力というのはスゴイもんです。

病院で、「余命〇ヵ月です。」と告げられて絶望する患者さん、「単なるストレスでしょう。」と言われて、行き場をなくす患者さん、そういう方々を普段診ている僕にとって、「言葉」というのも、患者さんの運命を左右すると言っても過言ではないほど、重要なものです。

常に肝に命じておかなければなりません。

(・・・ただ、ジャージャーうどんは美味かったです。)

「腹診(ふくしん)」で何が分かるの?

2009.12.16

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今日は、「四診」シリーズの一つとして、「腹診」について書こうと思います。

 

 


詳しく述べたらキリがなさすぎる診察法なので、簡単に紹介しますね。

 


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・・・たまーに、初めて当院に来られた患者さんのおなかを診ていると、

「おなかの状態と私の症状と、何か関係あるんですか?」

という質問をいただくことがあります。

(苦笑・・滅多にいませんけどね。)

 

 


・・・まあでも、肩が悪けりゃ肩だけ、腰が悪けりゃ腰しか診ない医療に慣れている患者さんからすれば、当然の疑問でもありますよね。

 


東洋医学では、どこの病気であろうと、「全身の状態を調える」ことに主眼を置きます。

 


ですので、すべての内臓をしまっている「胸腹部、特に腹部」という部位は、重要な情報源であり、「腹診」は我々にとって欠かすことのできない診察法です。

 


まず、「脈診」で述べたのと同じように、東洋医学の腹診と西洋医学の腹診はこれまた診ている「モノ」が違います。

 

 


東洋医学の腹診で
は・・・

 


1.内臓の状況

(どの内臓(東洋医学的な“五臓六腑”)が弱っているか)

 


2.全身の前後、左右、上下のアンバランス

(体全体の大きな傾き、捻じれ、血行の偏り)

 


3.病気の程度、勢い

(病気そのものの進行状況、これからどうなっていくかetc..)

 


4.その患者さんの生活習慣の中で何が一番問題か

(飲食の不摂生なのか、精神的なストレスなのか、睡眠不足等の疲労なのか、あるいは冷えか、など)

 

 


・・・他にも挙げればキリがないんですが、「腹診」というのは、大体これぐらいの情報を、おなかを触ることによって一遍にキャッチします。

 


鋭い人は気付くと思いますが、上記1.~4.は、「脈診」で挙げた内容とほぼ同じですよね?

 

 


・・・そうなんです。

 

 


東洋医学の診察では、色々な診察法を、「合目的的に」重ね合わせて用いることによって、

 

「現段階で最も正すべき、東洋医学的なアンバランスの起こっている部分」

 

をより絞り込んでいくのです。

 

 


それらによってはじき出された、「今、一番戻さなきゃいけない全身的なアンバランスの根幹部分」つまり“現時点における病気の東洋医学的な本質、病態”を指して、
「証(しょう)」と呼ぶわけです。

 

 


ちなみに、東洋医学における「腹診」は、歴史的には中国よりも、むしろ日本において、江戸時代を中心に、盛んに研究されてきました。

 

 


(一社)北辰会代表理事 藤本蓮風先生曰く、

「まさに、日本人は相手のハラを探ろうとしたわけや。」

腹部を触ることによって患者さんの深層心理を探ろうとした日本人・・・。

 

 


この藤本先生の考え方、大変面白いですね。

 

 

 

 

 

 


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患者さんの言葉(生きる力)

2009.12.15

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先日、とある患者さんのお母様から、何気ない会話の中で嬉しいことを言われました。

母「先生の治療を受けるようになって、娘が見違えるように元気になりました!」

竹「あー、それは良かったですねー。」

母「こないだ娘がね、

「お母さん、なんか最近生きる気がしてきた!」

って私に言うんですよ~。ありがとうございます~。」

竹「・・・(一瞬沈黙)ああ~、それはいいことですね~!(笑)」

この会話の赤字部分に、僕はけっこう本気で感動しました。

 

 

面白いもので、対象者(この場合、患者さんご本人)から言われるよりも、第3者から言われる方が、人間の感情を揺さぶる効果は高いですね。

 


これがなぜ効果的なのか、という問題は今度語ることにして、たとえ癌とかアトピーとか、それ以外のいわゆる「難病」じゃなくても、病院で病名もつかず、

 

「ストレスでしょう」

 

とだけ言われ、様々な辛い症状を治らないまま抱えておられる患者さんにとっては、毎日がまさに生き地獄だったりします。

 


仕事もつまんない、友達もいない、恋人もいない、家族ともうまくいかない、体のあちこちに色々な症状がある・・・

「いったい私はなんで生きているんだろう・・・。」

とか、

「これから何を目標にして生きていったらいいんだろう・・・。」

とか、色々と悩み、しまいには、

「どうしたらここから逃げれるんだー!」

とか、

「何かにすがりたい―!」

とか、クヨクヨ、ウジウジと弱腰に考えてしまって、余計に悪循環に陥ってしまい、暗い日々を送っておられる患者さんを、多く見かけます。

 


そういう患者さんの多くを笑顔に変えることが、「鍼」には出来ると思います。

 


当然ですが、鍼にすがりゃあオールオーケーという意味ではないですよ。

 

 

誤解なきように!

 


自助努力が大切なのは言うまでもないです。

 

 

鍼は魔法ではなく、患者さん自身の「治る力」を手助けする大変優れたツールだ、ということです。

 


なぜそういうことが出来るかと言うと、東洋医学っていうのは、人間の「精神面も含めた」「全体的な」アンバランスを診る、正す、という観点を絶対にはずさないからなんだと思います。

 


ということは、人間の「心」と「体」も、分けて考えないんです。

 


西洋医学では心は心療内科、体は内科や外科、ですよね?

 


東洋医学では心と体を分解して考える、という考え方自体がそもそもありません。

 


専門的に言うと分ける考え方もありますが、それは便宜上分けてるだけで、結局は一つのもの、という考え方が貫かれています。

 


それを「心身一如(しんしんいちにょ)」と言います。

 

「心身一如」自体はもともと禅の言葉)

 

体の治療即心の治療、心の治療即体の治療、という考えのもとに成り立った医学であるため、この医学に基づいて「治療」を施すと、体の症状が良くなるにつれて心も穏やかになってくる、

 

前向きになってくる、という現象がしばしば起こります。

 


心の問題以外にも、肩こりの治療をしてたら胃痛が治った、とか、頭痛の治療してたら生理痛も治った、とか、東洋医学には副産物がたくさん付いてきます(笑)

 

 

副作用どころか副効果、です。

 


それで、上記のような言葉につながる訳です。

「人生を変える一本の鍼」

・・・これって、素晴らしいことだと思いません??

 


いや~しかし、冒頭の赤字部分の言葉、あとからじわじわ来ます(笑)

 


東洋医学は、鍼はほんとにスゴイです。今日も明日も明後日も、鍼が出来る、させていただける、ということを、誇りに思います。

 

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「脈診」で何が分かるの?

2009.12.11

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これまでも書いてきたように、東洋医学は、人間の体に対して、西洋医学とは違う独特の捉え方をしています。

 

ですので、当然病人を診る時の診断方法も、西洋医学の方法とは異なります。

 

それらを「四診(ししん)」というのですが、これからこのブログで、何回かに分けて、それらを紹介していきたいと思います。

 

まずは「脈診(みゃくしん)」からです。

 

↓↓脈診というのは、手首の内側(親指側)にある、血管の拍動を調べる診断法です。


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「それは西洋医学でも診ますけど・・・?」

と思った方もいるかもしれませんが、東洋医学の「脈診」は西洋医学のそれとは診ている「モノ」が違います。

 


西洋医学の脈診では、主に「脈の速さ」「律動性」を確認するために診ます。

 


ここで問題にするのは1分間に何回打つか、途中で途切れたりしないか、です。

 


これにより主に心臓などの循環器系の異常を窺うわけですね。

 

それに対して東洋医学の方では、脈の速さはもちろん、脈を打つ時の手首の血管の硬さ、拍動を打っている位置、皮膚表面からの深さ、左右差、

 

勢いや力の有無なんかも含めて、細かく細かく、それらを同時に診ています。

 


それをすることによって何が分かるのかと言うと・・・

1.その患者さんの全身状態

(今現在どの程度体力が弱っているか、場合によっては患者本人に自覚がなくても、緊急の処置が必要な脈もあります。)


2.どの臓腑に一番負担がかかっているか

(これは脈だけでは言いきれないけれども、おおよその見当は付きます。)


3.日常生活における一番の問題点は何か

(飲食の不摂生なのか、睡眠不足なのか、精神的なストレスなのかなど、これも脈以外の診断法と併せて考えなければいけないけど、おおよその見当は付きます。)


4.体の上下、左右、前後におけるアンバランスが起こっている位置

(え?何で脈で??と思う人もいるかも知れませんが、東洋医学では、体のあらゆる部分を全身の縮図と考えます。
ですので、脈も全身の縮図と考えています。


だから、足の裏だけで全身が治療出来るとか、耳だけで全身が治療できるとか、そういう発想があるわけです。

脈もしかりです。ただこれも、脈だけで判断するのではなく、それ以外のあらゆる診断法と組み合わせて判断していきます。)


5.病気の勢い

(その患者さんの病気が、おとなしく経過する病気か、どんどん悪化していく病気か、古い病気か、もう治りかけているかなど、他の診断法と併せて、総合的におおよその見当をつけます。)

上記以外にも、専門的なことを言えばいくらでもあるんですが、いい専門書がいくらでもあるし、難しくなるのでここでは省きます。

(難しいことは省いてばっかり(笑))

 


・・・まあ要するに、東洋医学の脈診は、西洋医学の脈診と違って、患者さんのその場その時の「全身の状態」に意識の中心を置いている、ということが言えると思います。

 


これがある程度分かるようになると、大変便利です。

 


やっぱり、その場その時の患者さんの状態が確認できない状況で鍼をする、というのは、大変恐いことです。

 

そのため、「脈診」は僕にとっては、毎回の治療において欠かすことの出来ない大事な診察法です。

 

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患者さんの声(40代女性:偏頭痛、四十肩、首肩こり、腰痛など)

2009.12.02

今日は、新たに届いた「患者さんの声」をアップしたいと思います。

新しい「患者さんの声」については届き次第随時更新していきますので、HPの方と合わせて、是非ご覧になって下さい。

(↓↓清明院HP内「患者さんの声」)

http://seimei-in.com/voice/index.html


◆40代 女性 

症状: 偏頭痛、四十肩、首肩こり、腰痛

 

 

肺気腫で寝たきりだった母が、左膝に拘縮を起こした時に週3日往診に来ていただいたのがきっかけで、竹下先生には家族ぐるみでお世話になっています。

 

母はほんの少しの刺激で、呼吸苦の発作を引き起こす時もあり、出来るだけ負担のかからないように全身状態に気を配って治療して下さる姿勢に、

 

母も私も安心と信頼を覚えました。

 

 
母はもともと薬剤師で、漢方薬を中心に扱っていたことから、東洋医学には少なからず馴染みがありましたし、鍼灸治療には効果があることも知ってはいました。

 

・・・とは言え、健康診断の血液検査さえも逃げ出したくなるほど、針嫌いな私です。

 
 
介護者定番病の一つと言われる腱鞘炎を患った際、整形外科で処方された湿布を貼って凌いでいたところ、セーターで隠した包帯をすかさず見つけた先生は苦笑しながら、

「早く言って下さい。」

と気軽に診て下さり、この期に及んでなおも腰が引けていた私も、観念して治療を受けました。

ところが、痛みは全く感じず、蚊に刺されたような刺激があるだけで、まさに拍子抜けです。

 


決して西洋医学を否定せず、専門医やかかりつけ医の意見を尊重しながら、鍼灸治療を行う姿勢もまた、先生への信頼を深めてくれました。

3回の母の治療後に必ず診ていただき、整形外科では長引くと言われていた痛みが1週間ほどで和らぎ始め、気づけば楽になっていたのを今も忘れられません。

 

 
以降、ぎっくり腰の再発、四十肩、ストレスによる不眠や倦怠感、肩こり、頭痛、アレルギー性鼻炎など

あらゆる症状に早め早めに対応していただき、お灸もそれまで抱いていたイメージとは全く異なるものであると、身をもって体験しました。

 
 
介護する側もされる側も青息吐息になりがちの在宅介護生活を、無事に乗り切れたのは鍼灸治療があったからこそと、心から感謝しています。

 


特にこれといった症状のない現在、けれど五十路を間近に控えた身体は若いころとは違った症状を訴え始め、そんな身体のメンテナンスとして
2週に1度のペースで治療を受けています。

問診後のお腹の触診で、

「○○な事がありませんか?」

と、ずばり言い当てられ、体は隠し事が出来ませんね、と苦笑することも度々ですが、これからも鍼灸治療は続けるということは、隠さずに申し上げます。

 

 

<清明院からのコメント>

 

 


この方のお母様は、重度の肺気腫を患っておられ、安らかに亡くなられる、ほんの数日前まで往診にて治療させていただいておりました。

その頃から、主介護者であった娘さんを治療させていただくようになり、現在に至ります。


 
寝たきりの人ひとりを、在宅で介護する、ということは、並大抵のことではありません。

主介護者(この場合娘さん)やその周りにいるご家族にかかる精神的、肉体的負担は想像を絶するものがあります。


 
特にこの患者さんのお母様の場合は、一度呼吸苦の発作が起こってしまうと、見る見るうちにパニック状態になってしまい、

御家族は夜中も目を離すことが出来ず、相当大変だったろうと思います。

 
こうした場合に、当院では被介護者はもちろん、介護者であるご家族にも鍼灸治療を受けることをお勧めしています。

 
この方の場合は「心肝気鬱(しんかんきうつ)」と証を立て、鍼灸治療を続け、肉体的な負担が減ると、精神的にも前向きになり、

つい暗く弱気で落ち込み気味になってしまいがちな介護生活を、なんとか乗り切ることが出来ました。

本当に最後まで、在宅介護でよく頑張ったと思います。

 
 
また、本患者さんのように、お母様が亡くなられた後も、当院を信頼して治療の相談をしてきて下さることは、我々にとっても大変嬉しいことであります。

 
娘さんから頂いたこの文章を読んでいてふと思い出しましたが、お母様が亡くなられた後、娘さんご夫婦が、主治医の先生、ヘルパーさんと私を、

 

 

「お別れ会」といってお食事会にご招待いただき、決してしんみりせずに、楽しいひと時を過ごさせていただいたことがありました。

 


 
当時まだまだ経験が浅く、知識も少なく、呼吸苦発作が起こらないようにと祈るように、慎重に、緊張しながら治療する私を、もともと薬剤師であり、

 

医療人としては大先輩であるのに、

「先生、先生」

と呼んで下さり、丁寧な態度で、最大限立ててくれたお母様の、優しいお人柄がよく表れているように感じた食事会だったことを、懐かしく思い出します。 

 

 
今後も、このご一家の健康な日々を見守っていきたいと考えております。

 

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「経穴(けいけつ)」って何ですか?

2009.11.29

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この疑問については、清明院HP内の「よくある質問」のコーナーに挙げてありますので、まずはそちらをご覧ください。

清明院HP内「よくある質問」

 

ここに書いてあるように、「経穴」というものは、

1.目には見えず、機械で測定することも出来ず、

2.緊張度や寒熱などが「変化する力」が大事であり、

3.「ある病気、症状=〇〇という経穴」という考え方は間違いである、

と述べてあります。

 


今日はさらにこのことを詳しく、分かりやすく、述べてみたいと思います。

 


なるべく患者さんに分かるように、専門用語は極力避けて、説明してみようと思います。

 


まず、1.目に見えない、機械で測定できない という定義づけですが、これは、”「気」って何ですか?”のところで述べたとおり、東洋医学のいう「気」というものは、

 

絶えず動いており、ギュッと集まれば形を成し、ふぁ~と散れば形を成さないものである、という、この宇宙の有形と無形の間を自由に行き来する存在であり、

 

人間の「カラダ」というものは、その「気」が集まった形であると考え、さらにそのカラダの中を「流れる気(経絡の気)」も、形のない存在、と考えます。

 


「気が集まって、形を成した姿」である人間の体を、縦横無尽にめぐる「経絡の気」は、「形のない存在、つまりここでは目に見えない存在」として、

 

ぐるぐると全身を廻りながら、人間の「陰陽のバランス、調和」を保っている、最も重要な存在、と考えます。

 

東洋医学ではそのように考えているため、目に見えない経絡の上にある「経穴」というものも、当然目には見えないですよ、となります。

 

 

で、この「気」そのものを物理的、あるいは数値に置き換えたりして、機械で捉えることは現状出来ていません。

 

 

だから非科学だ、ではなく、現状の最先端科学ですら追い付いていない、大いに研究対象とすべき「未」科学とはいえまいか、というのが、私個人の考え方です。

 

次に、2.経穴が変化する力の重要性 ですが、これは実際に、毎日毎日患者さんの経穴を診ていますと、それは実に様々に変化します。

 


時には冷えたり、熱を持ったり、ガチガチに硬くなったり、ふにゃふにゃに柔らかくなったりと、その場その時によってあらゆる変化を見せます。

 


・・・要するに、「経穴」はこうやって色々と変化しながら、時々刻々と移り変わる外界の環境に適応するべく、結果的に体全体の「陰陽のバランス調和」を保ってくれている訳です。

 


この変化する力が強ければ強いほど、「陰陽バランス」を保とうとする力が強い、すなわち、「生命力が強い」と考えます。

 


東洋医学ではこの、人間みんなが持つ「陰陽バランスを保とうとする力」すなわち生命力、言いかえれば自然治癒力(免疫力と言ってもいいかもしれません)、

 

さらに平たく言うと、人間もともと持つ「治る力」を、鍼灸や漢方で調えて、最大限活かしきることによって、病気を治そうぜ、というのが目的なんです。

 


まあ簡単に言うと”カラダにとって無理や負担の少ない、やさしい医学”ですね。

 


ですから、3.〇〇の病気には〇〇という経穴 という考え方で、同じ経穴に延々と処置をしていても、時々刻々と変化する、外界や人間の体の微妙な変化に、

 

到底ついていけるはずはないんです。

 


ただ、そういった本をよく見ますと、確かに〇〇という症状の場合に、変化の出やすい経穴が、大体紹介されていることに気付きます。

 

 

あるいは、有名な古典からの引用も多いです。

 

(つまりは、過去の名医の経験則です。)

 


なので、中には本に書いてある通りのことをやって、病気や症状がよくなる人がいるのはそのためなんです。

 


しかし、「経穴」というものはそういう、通り一遍の使い方をすると、場合によっては症状を悪化させることもあります。

 


そもそも、人間の健康に関することを、軽々に扱ってはいけません。

 


最近はインターネットもあるし、あらゆる情報が無数にあふれ、しかもそれを簡単に手にできる時代です。

 


その中にはもちろん正しく尊い情報もありますが、単なる「お金もうけ」のための、おかしな情報もかなり混ざっています。

 

 

あるいは、医療従事者ですらない者による、無責任な知識のひけらかし、単なる売名行為も少なくありません。

 


しかも、おかしな情報に惑わされない、冷静な自分を持つことすら難しい、ストレスフルな世の中ですしね(苦笑)

 


僕はこのブログで、自分が出来る限り最大限、「正しく尊い情報」を発信していこうと思っています。

 

(まあ、そうはいっても間違うこともあろうかと思います。もし誤謬を見つけて下さったら、ぜひご教示ください。)

 

・・・だいぶ前に、寝違いの患者さんを治療した時、うまくいって、治療直後に劇的に痛みが取れたことがあります。患者さんは信じられない、といった様子で、

「先生には”気の流れ”とかが見えるんですか??」

と聞いてきました。

 

僕は即座に、

「いえいえ、まったく見えませんよ。普通に東洋医学的に診立てて治療しただけですよ。(笑)すごいのは僕じゃなくて、東洋医学なんだと思います。

 

しっかりと勉強して経験を積めば、今のは誰でも出来ます。」

と、答えました。

 

患者さんは

「なるほどー・・・。」

と仰っていましたが、ここでもし、

「ええ、見えます。実は私には神通力があるんです。今後寝違いを2度と起こさないためには、このネックレスを100万円で・・・」

と答えてたら、今頃お金持ちになってたのかしら・・・。(苦笑)

 

 

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ある腰痛の患者さん

2009.11.17

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本日、「腰痛」を訴えてみえた患者さんに、あるご質問をいただきました。

 


足の臨泣というツボに一本鍼をした後、

患「先生、このツボって何に効くんですか?」

竹「腰痛に効きます。」

患「あ、そうですよね(笑)」

・・・というやり取りでしたが、これ、もっと正確に言うと、

「腰痛以外の諸症状にも効く中で、もっとも腰痛に対して効果を発揮するであろうツボを選びました。」

と答えるのが正確なんでしょうネ。

 


しかし、あまり正確に答えると、経験上

 

「?」

 

とか

 

「・・・はい。」

 

と怪訝な表情になってしまうことが多いので(苦笑)、いつも患者さんからの質問にはなるべくサクッと簡潔に答えるようにしています。

 

 

教育の現場でもそうなんですが、正確性よりも分かり易さを優先した方が良い場合というのは、厳然とある。

 


患者さんからしてみれば、腰が悪いなら腰に、肩がこるなら肩に鍼を打つのが、なんとなく当たり前ではないか、と思うのは当然だと思います。

 


しかしこの考え方を延長していくと、脳が悪いなら脳に、心臓が悪いなら心臓に鍼をする、という風になってしまいます。


(・・・まあ、
極端に言うと、ですがね。)

 


東洋医学的な鍼灸治療、というのは、あくまでも全身のバランスを診て、調える、という考え方をはずしません。

 


ですので患者さんが何を訴えてきても、必ず我々は全身を診ます。

 


その中で、もっとも患者さんの訴えを速やかに除去できる可能性が高い、精選された経穴を、”ごく少数”選ぶのです。

 


最適な鍼の深さ、太さ、長さでね。

 


なぜなら、それが治るまでの最短距離だと考えているからです。

 


もちろんその考え方でもって体を診察した結果、腰痛の患者さんの腰に鍼を打つ場合もありますが、経験上、それは意外と少ないケースだと思います。

 


例えば腰痛一つとっても、

・運動不足や睡眠不足からくるもの、

・飲食の不摂生からくるもの、

・精神的なストレスからくるもの、

・骨の変形や体の歪み

 

等々、様々な「東洋医学的に考えられる原因」があります。

 

 

また実際は、これらががんじがらめにあいまって、最終的に「結果」として、腰痛が出てきているものが多いのです。

 


そのがんじがらめに絡まった、
「病気の東洋医学的なメカニズム」を考えた場合、「悪いところに打つ方式」「結果」しか相手に出来ないケースが多く、

 

効果がマイルドすぎてしまうことがあります。


(よくある、そんときゃ少しいいけど、すぐ戻っちゃって、全然治っていかない、ってやつです。)

 


もちろん、軽く患部をマッサージすれば、症状がすべて解決してしまうような、軽症(局所の筋緊張や血行不良のみの問題)のものであれば、

 

それで良くなってめでたしめでたし、というものもあります。

 


しかし、慢性の病気や、重症の病気となると、そうはいきません。

 


なぜ慢性化しているか、なぜ重症化しているのかを「東洋医学的に」考え、必要最小限の適確な刺激を与えてやることが、当院の言う、

「治る力を最大限活かしきる」

ことに繋がるのです。

 


清明院ではこのように考え、お陰様で、これまでいい結果を得てきております。

 


以前、とある先輩が何気なく発した言葉に僕はハッとしたことがあります。


「最小は最大だよね。」


・・・これを書いていてふと、思い出しました。

 

 

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