東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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春のカラダ

2012.02.10

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今日も多くの患者さんを診させていただきました。(感謝)

 


皆さん、すでに春のカラダになっているなあ、という印象です。

 

・・・ここで、「春のカラダ」ってなんじゃ?という疑問がわくことでしょう。

 

コレは要するに、「肝の臓」や「胆の腑」の働きが亢進した状態(カラダ)のことです。

 


「胆の腑」に関してはまだ解説してないけれど、「肝の臓」に関しては
こちら

 

なぜ、春先に「肝の臓」や「胆の腑」の働きが亢進するんでしょうか。

 

「肝の臓」は、その働き、性質の上から五行で分けると「木(もく)」に属します。


「五行」に関しては
こちら

 

東洋医学ではこうやって、「気」というものが凝集することによって出来たカラダ、そしてその中の色々なものを、「陰陽」とか、「五行」に分けるんでしたネ。

「気」についてはこちら

「陰陽」についてはこちら

 

こういう思想が背景にあるから、二十四節気でいう立春が過ぎた、いわゆる春先には、自然界の「木(もく)」の気が高ぶり、当然自然現象の一部である人間の「木」の気も高ぶる、

 

だから「肝の臓」「胆の腑」の働きも高ぶる、という発想になっていくんです。

 


こんなの、ホントかな??

 

 

・・・ウソ臭いな!!

 

 

当然、こう思いますが、この考え方に則ってカラダを診てみた結果、ホントにそのようになっているから、仕方ないんです。(笑)

 

・・・まあ、今の人の知恵もスゴイけど、昔の人の知恵もスゴイ、つまり人間てスゴイよね、でも、最近の地球環境問題に目をやると、大自然に対して不遜になったら、

 

天に向かって唾を吐く結果になるよね、って話です。

 

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寒さの中に

2012.02.08


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今日、バイクで往診で外に出ていて、思いました。

(さらに…)

眠りと脾の臓

2011.11.13

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昨日から今日にかけて、例によって寝まくりました。(笑)

 

 

今日は久々のオフでした。

 

行きたい勉強会があるにはあったんですが、どうしてもというほどではなかったんで、今日の朝の段階の気分で決めようと思っていました。

 

・・・で、今朝、

「もうちょっと寝たい・・・。」

ということで、自分の意志の弱さに負けて、ガッチリ2度寝です。

 

「惰眠」をむさぼる、これも最高の日曜日の一つの在り方です。

 


 

ところでこの時期、脾の臓の弱りが出やすいですね。

 

(苦笑・・・いきなり真面目な話ですが。)

カテゴリ 脾・胃 参照

 

夏の間の暴飲暴食のせいであったり、寒くなって汗をかきにくくなったせいもあったり、気温や湿度の乱高下に腎の臓や肝の臓が悪影響を受けてだったり、

色々な原因が重なっているのですが、食後眠くなったり、横になりたくなったり、体が重だるく、集中力が途切れがちになったり、やる気がもう一つでない、

 

これらは最終的には「脾の臓の弱りの症状」であることが多いです。

(絶対じゃないよ、”多くの場合は”という意味です。)

 


・・・こんな時、どうするか。

 

手足を使った軽い運動+鍼ですよね!?

 

という訳で、ヨヨコーに走りに行ってきます!!!

 

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「精神的ストレスで悪化、発症する病」について(その2)

2011.07.22

前回のお話・・・

「精神的ストレスで悪化、発症する病」について

続いていきます!


☆なんで「そこに」症状が出たのか。


前回のお話では、精神的ストレスで悪化、発症する病に、東洋医学の言う「肝の臓」が大きく関係している理由を述べました。

今回は、ではなぜ、「そこに」症状が起こったのか、という問題です。


強烈な精神的ストレスがあってから発症、悪化した病も、必ずみんながみんな、同じ病になる訳ではありません。


「肝の臓」に負担がかかったからと言って、それが出る”場所””症状”も一様ではありません。


頭痛になる人、メマイになる人、肩こりになる人、胃痛になる人、坐骨神経痛がひどくなる人などなど、実に様々です。


・・・さあ、これをどう考えるか。


これには、

「もともとのその患者さんの状態(体質素因)」

と、

「どうして、もともとがそうなのか」

に対する理解が重要だと思います。

まー、これを知るために、我々は長い時間をかけて、その患者さんの生活状況、生活環境、体質状況等を、詳しく問診するのです。

つまり、もともと弱点としてあった、その患者さんにとっての

「気の動きが滑らかでない部分」

が、「肝の臓」に負担がかかったことにより、

「さらに気の動きが悪くなった」

結果、今回の症状を発症した、あるいは悪化した、と考え、さらに、

「じゃあどうしてそこが元々気の動きが悪かったのか」

という風に考えていくワケです。


この、「病のメカニズムに対する理解」が正確、精緻であればある程、治療も、患者さんに対する生活指導も、シャープになっていきます。


・・・実はこれが、東洋医学的な診断の重要な部分であり、術者のウデの差が出る部分の大きな一つだと思います。

「肝の臓が悪いんだから、肝の臓を治療できるツボに鍼をすりゃあいいのさ!」

と言っちゃえば、なんかいかにも簡単だけど、

「肝の臓を治療できるツボって、いっぱいあるけど、どこにどういう鍼をするの?それはどうして?お灸はどうしてしないの?」

とかっていう、誰もが疑問に思う、細かい問題の解決は、

「この病気がどういうメカニズムで発生し、そこにどういう風に肝の臓が関わって、今回の症状が出るに至ったのか。」

が分かってなければ、適切さを欠きます。


そして当然それは、”治療効果”に反映されてきます。


ぼんやりと病を理解し、治療してたら、治療効果もぼんやりです。

ピンボケします。

シャープに病を理解して治療してたら、治療効果もシャープです。

(基本的には。)

しかし、実はまだ問題は残ります・・・が、言い出すとどんどん難しくなっていっちゃうので、とりあえずこれでおしまい。

 


気が向いたら続きを書こうと思います。(笑)

 

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「精神的ストレスで悪化、発症する病」について

2011.07.21

初診時、問診をしていくと、何か強烈な精神的ストレスがあってから、今回の症状を発症したとか、もともと慢性的にあった症状が急激に悪化したとか、

患者さんがおっしゃる事がよくある。

こういう時、東洋医学では、「肝の臓」の異常を中心として起こっている病である、という風に推論することが圧倒的に多い。

「肝」って何ですか?(その10) 参照

・・・でもこれ、なんか、短絡的な感じがする。

(と、以前は思っていた。今にして思えば、自分の考えが浅かっただけだったが。)

ここで、「強烈な精神的ストレス」と一口に言っても、色々ある。

怒った、喜んで気が緩んだ、思い悩んだ、憂い悲しんだ、驚いた、恐れおののいた、など。

まず、東洋医学の古典(『黄帝内経』『素問 陰陽応象大論(5)、五運行大論(67)』『霊枢 百病始生萹(66)』など)では、これらの感情それぞれの過剰によって、

 

影響を受ける臓腑が違う、ということが明確に述べられている。

怒りは肝、喜びは心、思いは脾、悲憂は肺、驚恐は腎、

という風に。

「七情」まとめ 参照

 


・・・ではなぜ、「精神的ストレスで発症、悪化した病」を、どれもこれも即「肝の臓の異常が中心」と考えることがあるのか、という問題。

感情別に、悪影響を受ける五臓が分かれているというのに。


これは結局、各感情の過不足によって、結果的、最終的に起こる現象が「気の動き方」の異常だからだ。

「気の動き方(方向性やスピード)」を指して東洋医学では「気機(きき)」という。


つまり、感情の過不足が起こると、五臓それぞれに悪影響を与えて、最終的には「気機」に異常が起こってくる、ということだ。


具体的に言うと、

怒れば気は上がり、喜べば気は緩み、思えば気は結ぼれ、悲しみ憂えば気は消え、驚き恐れれば気は下がる、


といった具合。

 

『黄帝内経』「素問 挙痛論(39)、刺禁論(52)、繆刺論(63)」「霊枢 邪気蔵府病形(4)、百病始生(66)」など参照


つまり、本来全身を滞りなくスムーズに周流するべき「気」が、上がったり下がったり、部分的に消えたり停滞したり、緩慢になったりと、

 

異常を起こし、結果的に気の流れがスムーズでなくなる、ということを述べている。

その時、気の流れをスムーズに是正するべく頑張る中心が、「肝の臓」なのであり、その肝の臓の働きが追い付かなくなってるから、

症状がとれない、という風に考えるのである。

だから、その細かい説明を端折って、

「精神的ストレスで悪化、発症する病=肝の臓の病変」

という風に考えることがあるワケだ。

 

・・・しかし、まだ問題は残る。

 

次回に続く。

 

 

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「三焦」って何ですか?(その2)

2011.07.10

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これまでのお話・・・

「心包」って何ですか?(その6)
「三焦」って何ですか?

続いていきます!


☆全身としての「三焦」と「三分割」の重要性


これまで、このブログでも何度か、「上焦」「中焦」「下焦」と、人体を上中下の3部位に分ける考え方を紹介しています。


上焦は、膈(かく)から上、「心・肺の臓」がある場所です。

中焦は、膈から下、おへそより上、「脾の臓」と「胃の腑」「肝の臓」「胆の腑」がある場所です。

下焦は、おへそから下、「腎・肝の臓」「小腸・大腸・膀胱の腑」などがある場所です。

 


これら3つの部位を総称して、「三焦」と呼ぶことがあります。

 


ですから、

「三焦って何ですか?」

と問われたら、

「上焦、中焦、下焦を合わせた、全身まるごとひとくくりのことです。」

と言うことも出来ます。

 


出来ますが、これも「三焦」という言葉の解釈のひとつ、概念のひとつでしかありません。

 


・・・ところで、人体をわざわざ上中下という3セクションに分けて考える、これは一つには中国古来の、

「天地人三才思想(てんちじんさんさいしそう)」

というものが深く関わっているようです。

 

この「天地」という陰陽(大宇宙)の中にある「人間」という陰陽(小宇宙)、これは一言でひっくるめて言っちゃえば「大自然」なので、

本来は一体のものであり、分けられるものではありません。

 

この、本当は分けられないけれども、一応、そこに存在する法則性や秩序を理解するために便宜上「三分割」する、という考え方が、東洋医学においては極めて重要です。

 

もともと一つのものを分けて考えた時、「陰」と「陽」と「その境界線」で「三」です。

 


この考え方を非常に重要視した学者で、成都中医薬大学の教授である鄒学熹(しゅうがっき)という人がおります。

 

蓮風先生が数年前、この先生と実際に有名な麻婆豆腐のお店で会食しながら、易学について薫陶を受けたという話は、北辰会の間では有名です。

 

特にこの先生の、「三を含みて一となす」という考え方は、当時の蓮風先生、北辰会にとって、大変インパクトが大きかったようです。

 

その他にも、この先生の考え方は、蓮風先生や、北辰会の医易学の専門家である神野英明先生にも大きな影響を与えたようです。

 


この業界もホント、上には上がいて、キリがないですねえ・・・。

(苦笑・・・なんか、話がそれてしまった。)

 

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「過緊張」が自覚できないのはなぜか

2011.06.20

毎日、患者さんを診ていると、たまに聞く言葉。

治療の後、僕が、

「今回の症状が出たのは、余分な緊張が強くなってたからだと思います。」

と声をかけると、

「??・・・その自覚はないんだけどなあ・・・。」

と、患者さん。

こういう人の肩を触ると、まるで皮膚のすぐ下に骨でもあるかのようにカチカチ。

・・・ここで、なぜ、余分な緊張をしてしまっている自分を、自覚できないのか。

自覚できれば、症状に悩まされる前に、前もって緊張を加減することが出来るはず。

何か自分で対策を打てるはず。

自覚できないから、”いよいよ”行くところまで行ってしまうまで分からない、ということになる。

今後の人生を長いスパンで考えた時、これは由々しき問題だ。

・・・さて、なぜこういう現象が起こるのか。

これには、東洋医学の言う「心の臓」や「肝の臓」が大きく関わることが多い。

人間が持つあらゆる感覚、感情、の認知の中枢は、「心の臓」にある、と東洋医学は説く。

「心」って何ですか?(その7) 参照

また、外的なストレス刺激に対して、適切に反応を示すのは、「肝の臓」がつかさどる、とも説く。

「肝」って何ですか?(その10) 参照


一つには、この2つの臓、とりわけ、中枢中の中枢である「心の臓」に異常が起こると、

「余分な緊張を自覚できない」

という現象が起こる。

こうなると、患者さんにしてみれば、自覚できていないことを指摘されるので、

「??」

となってしまう場合がある。

 

しかし、治療が進み、「心の臓」が安定してくると、

「ああ、自分はなんて余分な力が入っていたんだろう。」

と気が付くことがある。

 

ここ、重要なポイント。

 

こうなれば、こっち(治療者)のもん。

 

「してやったり」です。(笑)

 

真面目で勤勉な日本人・・・。

 

余分な緊張がない方が、かえってパフォーマンスが上がる、ということを、「カラダ」でも「アタマ」でも、しっかりと理解した方がいいように思います。

 

鍼は、時間をかけてでも、それを気付かせることが出来る、スゴイ道具です。

 

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「梅雨」と「湿」と「土」と「脾」

2011.05.31

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いや~、毎日毎日、お天気がハッキリしませんなあ!


雨でジメジメしてみたり、寒かったり暑かったり、風が吹いたりと・・・。

毎朝、空を睨みつける人も多いのではないでしょうか。

以前、「肝の臓」と季節の関係を簡単に述べたことがあります。

「春」と「木」と「風」と「肝」 参照

 


・・・で、今日は、この時期に問題になりやすい、「脾の臓」と「湿気」の関係について述べてみたいと思います。

清明院でも、慢性的に「脾の臓」や「胃の腑」を患っておられる患者さんや、妊娠中でつわりが出ている患者さんなど、この時期は多少の悪化をみます。

カテゴリ 脾・胃 参照


しかし、鍼でキッチリと対処しますので問題ナシです。

「脾」って何ですか?シリーズで述べたように、「脾の臓」というのは、「胃の腑」と協調しながら、いわゆる人間が生きていく上で欠かせない

 

”消化・吸収機能”

 

を調節してくれています。


そして、この要となる「脾の臓」というのは、体内、それから体外(自然環境)の湿気(余分なお水)に弱いのです。

「余分なお水」というキーワードを含む記事 参照

 


まあしかし、こうして読み返してみると、あらためて書くまでもなく、ありとあらゆる書き方で、すでに書いていますネ・・・。(笑)

 

という訳で、上記のリンクを、よくお読みください。<m(__)m>

 

ホントは今回は、五行の「土」と二十四節気とか、色々絡めてお話ししたかったんですが、いかんせん時間がない・・・。

 

・・・ですのでそれはまたの機会として、まあともかく、こういう時を比較的楽に乗り切るためには、

・水分を必要以上にとり過ぎない

・脂っこい物とか、刺激物とか、極端に熱いもの、冷たいものなど、胃腸(脾胃)に負担のかかるものを食べない

・軽くていいから手足を使った運動をする

・鍼にガンガン来る

「決まり」です!(笑)

 

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(社)北辰会関東支部2月定例会

2011.02.28

昨日、2月27日(日)は、代々木オリンピックセンターで行われた、(社)北辰会関東支部定例会に行ってきました!!

今回の定例会は、午前中基礎コースは土田丈先生による

「臓腑経絡学 肝・胆」

午前中臨床コースは尾崎真哉支部長による

「疾患各論 リウマチ」

これはどちらも非常に重要な内容です。

臨床上、「肝の臓」、「胆の腑」に異常を起こしている患者さんは少なくないし、「リウマチ」という病も、診る機会の非常に多い疾患の一つです。

僕は北辰会HPに載せるための宣材写真を撮るため、幸い両方の講義を少しづつ聴講させていただきましたが(役得)、お二人とも素晴らしい内容の講義をしておられました。

そして午後は本部講師である森洋平先生による

「北辰会の刺鍼術 講義+実技」

でした。

・・・コレまた素晴らしい内容で、受講生の方は北辰会の刺鍼術が、理論的にも実践的にも、よく分かったんじゃないだろうかと思います。

アンケートが楽しみなところです。

北辰会では、撓入鍼法(とうにゅうしんぽう)という独特の刺鍼術を用います。

そして、撓入鍼法をやりやすくするための独自の鍼”蓮風鍼”も開発しています。

昨日はこの、”蓮風鍼”の製造メーカーである、タフリー社さんも勉強会に見えてまして、なかなかの盛況ぶりでした。

・・・まあそうはいっても、一回講義を受けて、その時間だけ練習しただけで、完璧に出来るようになるワケありませんので、受講生の方々は、

 

僕も含め、今後よくよく、毎日毎日練習して、各々が上達していくことでしょう。

そして終わった後は飲み会・・・。

今回も濃かった・・・。(苦笑)

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「膀胱」って何ですか?(その5)

2011.02.27

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これまでのお話・・・


「腎」って何ですか?(その11)

「膀胱(ぼうこう)」って何ですか?
「膀胱」って何ですか?(その2)
「膀胱」って何ですか?(その3)
「膀胱」って何ですか?(その4)

 

さーここらで、「膀胱の腑」シリーズをいったん終わりにしましょう!!

 

☆「下焦」という世界



「腎」って何ですか?(その3)で述べたように、東洋医学ではおへそから下の、下腹部のことを「下焦(げしょう)」と呼び、とっても大事な臓腑がしまわれている場所だ、と考えています。

すなわち「腎の臓」、「肝の臓」、「小腸の腑」、「大腸の腑」、「膀胱の腑」、「女子胞(じょしほう:子宮のこと)」が存在し、上焦、中焦と比較すると、

 

最も多くの臓腑が存在します。


それも、消化や排泄、泌尿生殖器といった、生命を維持する上で欠かせない、重要な臓腑ばかりです。

気功などでも、おへその下には臍下丹田(さいかたんでん)という、気を集める特別な場所があるとし、古来から非常に重要視しています。


このように人体の中で非常に大事なポイントに、さりげなく(でもないか。)存在する「膀胱の腑」・・・。

その膀胱の腑と最も関係の深い経絡に、「足太陽膀胱経(あしたいようぼうこうけい)」という経絡があります。

(経絡の話も、そのうち書きます。)

その経絡上に、「崑崙(こんろん)」という経穴(ツボ)があります。


今日はオマケで、その話をちょこっと書いて終わりたいと思います。

☆神秘の霊峰「崑崙山」と「崑崙」という経穴

ちょっと番外編になりますが、この「崑崙」・・・。

 

外くるぶしの後ろにあるツボでございます。

 

 

崑崙

 

 

↑↑若干ムクミが気になりますが。。。

 

 


もともと、「崑崙山」という山の名前から取ったモノだと言われております。

(・・・まあ、カタチ的に外くるぶしが崑崙山で、そのふもとってとこでしょう。)


この崑崙山という山は、中国の太古の伝説にもよく登場する山でして、伝説では神様や仙人が住む、霊峰なんだそうです。

実際に現在も、チベット高原の北には同名の山脈が存在します。

(そこは普通の山脈のようですが。(笑))

古代中国で神秘思想が流行した時期、もともと山というのは神聖なものとして扱われていましたが、中でもこの崑崙山は特別扱いだったようです。

「コンロン」とは「渾淪」とも書き、こう書くと非常に深い意味を持ちます。


『列子』天瑞第一にこうあります。

「太初は、気の始めなり。太始は、形の始めなり。太素は、質の始めなり。気形質具わって未だ相離れず、故に渾淪(こんろん)という。」

穴沢辰雄『列子』明徳出版社 P32 参照)

 

 

・・・ここでは、「渾淪」とは宇宙開闢以前の混沌(カオス)のことです。

 

また道教などでは「崑崙」という言葉はそのまま「脳」を示す、とあり、これまた深い意味があります。

 


近代日本の著名な鍼灸家も、このツボは非常に強力なツボだと認識しているようです。

柳谷素霊先生の見解に、藤本蓮風先生も同意しています。藤本蓮風『経穴解説 増補改訂新装版』メディカルユーコンP226参照)

僕自身の臨床経験でも、診断点、治療点として、非常に使えるツボじゃないかな、と認識しています。

・・・まあ、あんまり書いてると止まらなくなりますが、個人的には「足太陽膀胱経」の中でも、非常に臨床における利用価値の高い、興味深い経穴だと思っております。(笑)

 

そして、そう思うに至るまでに、実践はもちろん、あらゆる着想のきっかけがあった、ということです。

 

まあ、これを一つのオマケとしまして、「膀胱の腑」シリーズ、いったん終了でございます!!

 

 

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