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これまでのお話・・・
「肝」って何ですか?(その13)
「胆(たん)」って何ですか??(その1)
「胆」って何ですか?(その2)
「胆」って何ですか?(その3)
「胆」って何ですか?(その4)
「胆」って何ですか?(その5)
では、続きいきます!!
◆「胆の腑」の特殊性(その2)
前回、”奇恒(きこう)の腑”という言葉が出てきました。
この”奇”という文字は、”風変わりな”という意味です。
「奇」という文字の考え方については、以前述べました。
「正」と「奇」 参照
そして”恒”という文字は、旧字体では”恆”と書き、色々な意味があるんですが、要は”常に変わらない”というような意味です。
”奇恒の腑”という言葉の意味について、柴崎保三先生の大著『黄帝内経素問』によれば、
「常に変わることのない独立(単独)の腑」
と説明されています。
・・・まっ、つまり、頑固で孤独な、変わりモン、みたいなもんです。
(笑・・・いるでしょ?そういうの。)
しかし、人体や病を考える上で、そういった存在が、捨て置けないケースがよくあるのです。
まあ「胆の腑」はそういう、特殊なグループの一員です。
〇
ところで前回、「胆の腑」は、その「奇恒の腑」の中でも、また特殊なんだ、と述べました。
奇恒の腑には、「胆」の他に骨、髄、脳、脈、女子胞(女性生殖器)があります。
これら「胆」以外についても、そのうち詳しく書こうかと思っていますが、まあ今は置いといて、とりあえずこれら「胆」以外の5つは、
それぞれが単独で、しかもほぼ左右対称に、対をなして存在しております。
しかし「胆」だけは、肝の臓にくっついて、ぶら下がってるような形で人体の右側に存在し、しかも肝の臓と同じ、五行では「木」の性質を持ち、
肝の臓と表裏関係という、形態的にも機能的にも、非常に強い関係性で結ばれています。
(こないだ述べたように、漫才コンビです。)
まあこのように、他の臓腑と直接表裏関係で対をなして深く関わるのは、「奇恒の腑」の中でも「胆の腑」のみなのです。
〇
ここまでで、「胆の腑」というものが、五臓六腑の”六腑”の中でも際立って特殊な存在であり、しかも東洋医学的には生命活動の中心となる五臓六腑以外の、
特殊な分類である”奇恒の腑”の中でも、また際立って特殊な存在である、ということが分かりました。
「胆の腑」はこのように、かなり変わった、実に個性的な存在なんです。
(変わり者中の変わり者です。)
これはつまり、「胆の腑」というものが、「五臓六腑」だの、「奇恒の腑」だのと、こういう”分類学”に収めるには、ちょっと特殊過ぎ、中途半端過ぎる、
取り扱いに注意を要する腑なのだ、ということを示しています。
でも、だからこそ、非常に大事なんです。
次回から、そんなお話。
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2013.02.02
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これまでのお話・・・
「肝」って何ですか?(その13)
「胆(たん)」って何ですか??(その1)
「胆」って何ですか?(その2)
さて、今日からいよいよ東洋医学の言う、「胆の腑」とはどういうものか、を簡単に解説していこうと思います。
簡単に、です。
難しい、いかめしい話が好きな方は、そういう感じの解説サイトや専門書はいくらでもありますんで、そっちを見てもらうとして、
僕がやるのはチョーカンタンな、肝胆(カンタン)の話です。(笑)
・・・でも、ポイントは外さないように注意を払います。
分かる人が読んだら分かる、大事な話も入れていこうと思っています。
〇
前回、「肝胆相照らす」という言葉が出て来ましたが、東洋医学的にも、「胆の腑」と「肝の臓」は非常に密接な関係にあります。
以前書きましたが、この2者(肝と胆)を陰陽で分けると、「肝の臓」は相対的に陰、「胆の腑」は相対的に陽、という関係性にあり、これを”表裏の陰陽関係”なんて言います。
「肝の臓」の詳細については以前書きましたので、そちらをご参照いただくとし、要はそういう、「肝の臓」の働きをサポートするのが、
「胆の腑」の大きな役割の一つ、という訳です。
肝胆で協調して、一つの働き(漫才コンビみたいなもんです。)を成しているワケですね。
そういう意味では、機能における関わりの密接さにおいて、「脾胃」とも似ているものがあります。
カテゴリ 「脾胃」 参照
そして、肝胆は脾胃と同じく、中焦に存在し(ただし肝は下焦まで大きく垂れ下がっていますが。)、この4者で、飲食物を消化、吸収し、
「気血のもと」を調達するとともに、完成した「気血」を上下左右前後、全身へくまなく巡らせる、という役割もやっています。
コレは大変重要な役割でありまして、多くの患者さんでは、ここのところ(肝胆、脾胃の4臓腑)が機能失調を起こして、
それがあらゆる慢性病の原因になり、また、治らない原因になっていることが多く見受けられます。
なんていうか、このワンユニットは「生命のモーター」「自然治癒力のモーター」ですな。
まずコレが大事です。
そしてその中で、「胆の腑」は独特の役割を果たします。
次回へ続く。
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2013.01.31
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久々に書きます!
五臓六腑シリーズであります!!
何となく気が向かなくて、長いこと書いていませんでしたが、今日、なんか知らないけど気が向いたので、書いておこうと思います。
いわゆる”啓示”ってやつデスネ。
(笑・・・たまにあります。)
なんとかしてブログを継続していると、とってもいいのは、こうやって気が向いた時に、あるテーマについて書きためておけば、
そのうち、カテゴリごとにまとまった知識の塊が勝手に出来てくる、ということなんです。
しかも、出版するのと違って、内容の手直し、推敲も迅速、簡単に出来る。
コレは書く側にとってはいいことです。
やはり”継続は力なり”なんですね。
そういう訳で、厳密に推敲した文章ではございませんので、読者諸賢におかれましては、もし本ブログに間違っている内容等ありましたら、ぜひともご教示ください。<m(__)m>
〇
・・・まあ、前置きはさておき、五臓六腑シリーズ最後になります、「胆の腑」です。
東洋医学の言う「胆の腑」は、五臓六腑の中の「六腑」の中の一つです。
ちなみに”胆”という字は新字体であり、旧字体では”膽”と書きます。
”膽”のもともとの意味は『説文解字(※)』によると瓶(ビン、カメ)という意味があり、肝の臓のすぐ横にあり、胆汁を溜めておく瓶のような形をした器官、と理解されていたようです。
※説文解字・・・後漢の時代の許慎(きょしん)が書いたと言われる、世界最古の漢字辞典→wikipedia
↑↑ちなみにこれが、東洋医学的な「胆の腑」の図です。
まあ確かに、”瓶”て感じですねえ。。。
(張介賓(1563-1640)『類経図翼』より)
またこの”膽(胆)”という字は”い”とも読みます。
クマの胆のうで、漢方薬の生薬である、
”熊の胆(い)・・・熊胆(ゆうたん)とも言う”
は有名ですので、聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
リンク先の図を見て頂くと分かるように、東洋医学では珍しく、実際の内臓の姿かたちと、東洋医学の内臓図が近いです。
(笑・・・まあこれはクマさんの胆のうですが。)
この生薬(熊胆)は主に邪熱をとり、炎症をひかせるのに使うのですが、この生薬で面白いのは、水溶液にして目を洗うことで、
結膜炎の炎症をとったり、粉末にして直接ふりかけることで、ヘルペスの激痛をとったり、という使い方があることです。
漢方薬も、飲むばかりではありません。
昔の医者の工夫が見てとれますね。
ちなみに奈良と大阪の境にある生駒山(いこまやま)という有名な山は、『日本書紀』では”膽駒山”と記載されており、漢字学者の白川静先生なんかは、『字訓』という本の中で、
「”胆(膽)”という漢字は”生きる”ということと大きく関わる意味を持つ。」
と解釈しており、ここは興味深いところです。
また、『淮南子(えなんじ) 精神訓』の中に、
”膽を雲となす”
という記載があります。
これは「胆の腑」を自然界のモノで言うと「雲」である、という、なかなか独創的な言説で、これもまた興味深いところであります。
これらの意味は、今後、「胆の腑」の働きや位置づけを説明していくと、うっすらと分かってくると思います。
・・・な~んて、こうやって漢字の解釈やってたら、あっという間に行数が過ぎていってしまいますので、この続きはまた今度・・・。(笑)
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2013.01.23
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今日は、24節気でいうと「大寒」に入って3日目です。
大寒は、「一年のうちで最も寒い時期」、とされております。
しかし、ということは”もうピークですよ”ということです。
逆に言えば、”コレ以上寒くならないですよ”ということです。
てことは、さらに言えば、”徐々に暖かくなってくるよ”ということでもあります。
大自然に対する古代中国人の考え方では、春は五行でいうと「木(もく)の気」が盛んになる、と考えます。
人間では、「肝の臓」や「胆の腑」が、「木」に分類されます。
この時期(春)、肝や胆が影響を受け、もともとこれらの臓腑に不調を抱えている患者さんでは、症状の悪化を診ることがあります。
清明院でも、この「肝や胆」に問題を抱えておられる患者さんは多いです。
まだ、患者さんが症状として自覚はしていなくても、特に何があったわけでもないのに、肝や胆の反応を示すツボの異常が、いつもよりきつくなっているパターンの患者さんが、チラホラおりました。
自然界では陰が極まり、すでに「木気」「陽気」が、芽生え始めており、それにつられて、人体にも同じことが起こっているようです。
もう春が、そこまで来ています。。。
微妙な変化を意識していれば、気付くことと思います。
・・・な~んて、カン違いだったりしてネ。(爆)
とりあえず、鍼最高。
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2013.01.21
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昨日、1月20日の日曜日は、大阪、上本町で行われた、(般社)北辰会、本部臨床コースに参加してきました!!
今回、午前中は刺鍼クラスでの実技練習
「古代鍼」
でした。
古代鍼というのは、日ごろ我々が当たり前に使っている道具で、いわゆる「刺さない鍼」ですが、この扱いには、
非常に治療家の個性が出ます。
僕自身、普段意識してない悪い癖を先輩から指摘されて、非常に勉強になりました。
そして午後は蓮風先生の講義
「肝病について-序論-」
でした。
現代人に非常に多く、単純な慢性病から難病まで、全てに渡って大きく関わる、「肝の臓の病変」についてです。
「肝の臓」については、以前このブログにも書きました。
北辰会では、この「肝の臓」をいかに治すか、ということを、非常に丁寧に研究し、臨床実践しています。
どういう新見解が出るか、今後の展開を楽しみにしたいと思います。
最後は京都の木下慶二先生による臨床レポート
「意識消失の症例2例」
でした。
木下先生は鍼灸師であると同時に柔道整復師であり、柔道の先生もなさっており、いわゆる「締め技」で失神してしまった生徒を診ることは少なくないそうです。
一般にはあまり知られていませんが、こういう時、意識を付けるのに、実は鍼灸が効くんです。
今回の発表では、事前に、奥村裕一学術部長が、中国、日本における、
「意識消失」
に対する、古典からの鍼灸の治療例を紹介して下さいました。
スポーツや事故で意識が無くなっているもの以外でも、何らかの病気で意識がなくなっている場合、鍼灸師だったら、
救急車を呼ぶ以外に、たくさん出来ることがあるのです。
出来たら出会いたくはない症例ですが(苦笑)、万が一出会ってしまった場合に、この日学んだことを活かし、的確に対応したいと思います。
そして、終わった後は酒・・・。
充実の週末。(笑)
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2012.11.18
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患者さんの話を聞いていると、よく出てくるのが、
「〇〇が終って、ホッとしたら症状が出ました。」
とか、
「〇〇があると思っただけで、色々な症状が出ます。」
というお話。
前者は、会社での仕事が終わると、症状が出るとか、忙しい平日が終わり、土日の休日になると症状が出る、というやつです。
後者は、大したことないことでも、本人がプレッシャーに感じただけで、様々な症状が出る、というやつです。
・・・これ、何ででしょ?
本来、”ホッとする”ということはリラックスすることなわけですから、症状が楽になりそうなもんです。
これはその、”ホッとする”前の状態が、緊張し過ぎているからなんです。
いわば、あまりに緊張し過ぎて、感覚が鈍くなっている、というパターンです。
この逆に、あまりに緊張し過ぎて、感覚が過敏になることもあります。
この場合は、何かプレッシャーがあると、感覚が過敏になり、普段は気にならないような痛みやかゆみが出てしまう、というパターンです。
東洋医学的には、前者の場合には「肝の臓」が、後者の場合には「心の臓」が病んでいる、と考えます。
”ホッとして”、その過緊張が緩むと、これまで自覚していなかった症状を自覚するのが、「肝の臓」の異常、また、大したことないようなことに対して、
異常に緊張してしまい、その場ですぐに何か症状が出てしまうのが「心の臓」の異常、という風に考えます。
まあ、知ってる人からすれば当たり前の話だけど、最近改めてコレ、非常に重要と思いました。
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2012.10.24
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東洋医学の、五行論(ごぎょうろん)という考え方では、「肝の臓」を「木」に分類します。
「五行」って何ですか?(その8)
「肝」って何ですか?(その13) 参照
現代人、都会人は、体を動かさず、毎日毎日パソコンに向かって、イライライライラ・・・。
職場の人間関係に、イライライライラ・・・。
彼氏や彼女に、イライライライラ・・・。
奥さんや旦那さんに、子どもに、親に、イライライライラ・・・。
自分自身に対しても、イライライライラ・・・。
なんで、そんなことになっちゃってんすか?・・・というぐらい、まさに「ハチ切れんばかり」の状態の人をよく見かけます。(苦笑)
こういうことだと、本来は伸び伸びと、縦横無尽に空間や土中に広がっていく「木」に例えられる「肝の臓」が、鬱々として伸びれなくなることがよくあります。
要は、「肝の臓」に機能失調が起こるワケです。
そうなると、「木」である「肝の臓」はなんとかせねばと、地面から「水」をぐんぐん吸い上げて吸い上げて、何とかいい状態を作ろう作ろう、
正常な状態を保とう保とうとしますが、そうすると今度は地面の水が枯れてくることもあります。
(これを「木旺水虧(もくおうすいき)」なんて言ったりします。)
ちなみに、五行で「水」に例えられるのは「腎の臓」であります。
要は、「腎の臓」の力を借りて、どうにか立て直そうとする訳ですが、この「水」が枯れてくる場合がある。
そうすると徐々に「木」は水分を失い、硬く脆くなっていき、ついには梢が擦れて火がついて山火事になるか、「ボキッ」と折れるか、です。
で、治療としては、そうならないために、早い段階でどうするか考えなくてはなりません。
まず、梢が擦れないように、地下の水が枯れないように、「木」そのものを間引くか、「水」を足すか、と考えます。
ここで、自然界における大地の地下水の原料はなんでしょうか。
雨ですよね?
では雨に相当するものは人間で言うとなんでしょうか。
原料は飲食物でしょう。
では飲食物はドコに入るんでしょうか。
「胃の腑」ですねえ。
「脾の臓」や「胃の腑」は、五行でいうと「土」にたとえられます。
つまり、「木」である肝の臓を立て直すための、潤沢で清浄な「水」を得るためには、「土」である脾の臓や胃の腑の働きが重要なのです。
飲食物は、ヘタに足しまくると、カラダ全体がびちゃびちゃのパンパンになって、結果的に「水」は淀み、「木」は「根グサレ」を起こします。
飲食物が”その患者さんの体にとって”適量になるように、量を加減しなければいけないし、加工食品だらけの現代においては、質も考えなければいけません。
また、雨が降った場合にびちゃびちゃにならないように、土壌(脾や胃)の側の状況にも注意を払わないといけない。
「木」の異常一つとっても、対処法は様々なんですが、ごく当たり前の自然現象に基づいて考えれば、何が大事か、よく分かると思います。
ポイントは「木」、「水」、「土」です。
これは、「水」の異常や、「土」の異常の場合でも、こうやって、同じように考えていくことが出来ます。
なぜ、こうなる理論設計になっているか。
水害は、現代の中国でも大問題。
東洋医学が、長江、黄河といった、大きな河川の流域に発展した、農耕民族が作った医学であることと、関係が深いだろうな、思っています。
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2012.09.06
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これまでのお話・・・
タバコと東洋医学
タバコと東洋医学(その2)
タバコと東洋医学(その3)
タバコと東洋医学(その4)
タバコと東洋医学(その5)
タバコと東洋医学(その6)
では、続きいきます!!
前回、禁煙した時に僕自身の身に起こった、様々な症状について書きました。
・・・で、なぜ、それらの症状が起こったのか、というお話です。
1.イライラ感
これについては、「肝の臓」のところでよく出てきましたが、伸び伸びとした自由な状態を好む「肝の臓」が、タバコという嗜好品を奪われたことにより、
欲求不満がたまって、機能失調を起こしたことが、一番大きいと思います。
肝の臓が機能失調を起こすと「易怒(いど)」といって、些細なことで怒りっぽくなったり、イライラしたりするようになります。
2.のぼせ感、頭に汗が出る、鼻血
コレは、タバコによって、深い呼吸をすることで、無理やり下げていた気が、下げられなくなったことによって、上半身に気が鬱滞して、
熱をこもらせ、これらの症状が出たものだと思います。
3.口内炎の多発
これも、2.と同じように、上半身(上焦)に気が鬱滞し、熱がこもった結果であろうと思います。
現代医学的には、唾液に含まれる抗菌物質の濃度が、喫煙者は煙の毒で刺激されるせいか、非喫煙者よりも高いようで、
このせいで口内炎が出来にくいという説もあるようです。
この論から言えば、煙を肺まで入れないのであれば、タバコはむしろ健康にいい、とも取れますが、この論には異論もあるようです。
4.痰が絡む
タバコをやめて、余計に痰が絡むなんて、信じられないようですが、ホントの話です。
実際に経験した人が言うんだから間違いない。苦笑
コレはタバコと東洋医学(その2)で述べた内容そのものです。
5.体重の増加
これについては、スススーッと、これまでにないペースで一気に増えてきたので、このまま80㎏、90㎏の、
メタボ中年のだらしない体になっていくんではないかと、正直焦りました。
人からは、タバコを吸えないストレスから、暴飲暴食になっているんじゃない?とか、よく言われましたが、僕はかつては、これを暴飲暴食と言わなかったら、
何を暴飲暴食というのか、という食生活でしたから、食生活自体は、以前よりも全然マシになっていると思います。
・・・にも関わらず、なぜ太るのか。
コレは、上記のように「肝の臓」の機能失調や、「痰」という邪気が助長されたことで、結果的に消化吸収機能が煙草をやめる前よりも、
うまく働かなくなった結果だと思います。
ですので、鍼灸と養生で、「肝の臓」を調整しつつ、「痰」や「のぼせ」を根気よく除去していくことで、徐々に徐々に普通の状態に戻ってきた、という印象です。
(これ正直、2年近くかかりました・・・。)
・・・まあこのように、長く続けてきたことを急にやめたら、色んなことが起こるというのは、タバコに限らず、よくある話です。
よく、痛み止めやステロイドで、何年も症状をごまかし続けていた患者さんが、一念発起して、急に廃薬しようとすると、一気に色んな症状が噴出することがありますが、
それと似たような現象なのかもしれません。
でも、その辛いリバウンドを乗り越えることが出来れば、次に進めるワケですから、やってみた方がいいとは思います。
タバコと東洋医学、ひとまず終わり。
これについてはまだ色々あるので、また気が向いたら、書き足すかもしれません♪
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2012.08.26
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これまでのお話・・・
タバコと東洋医学
タバコと東洋医学(その2)
タバコと東洋医学(その3)
タバコと東洋医学(その4)
では、続きいきます!!
今日は、東洋医学の考える”ため息”について触れます。
清明院が使用している、「北辰会専用カルテ」の予診票の項目には、
「ため息がよく出る」
〇か☓か△か、という問診項目があるぐらい、”ため息がよく出るかどうか”については、東洋医学的には注目します。
よく、クラ~イ顔して、
「ハァ~・・・。。」
ってやってる人、見かけますよね。(苦笑)
このため息のことを、東洋医学では「太息(たいそく)」といい、その意味づけは、ざっくり言うと胸の周辺部分の「気の停滞の除去」です。
肝の臓、胆の腑、心の臓、肺の臓の働きが主に関わります。
主にこれらの臓腑の働きが、何らかの原因によって失調しているときに、生理的にそれを是正しようとするため、
”ため息”が出やすい、ということになろうかと思います。
(太息については、『黄帝内経』の『素問 五常政大論(70)』『素問 至真要大論(74)』『素問 平人気象論(18)』『霊枢 口問篇(28)』『霊枢 邪気蔵府病形篇(4)』
あたりに記載があり、特に『霊枢 口問篇(28)』の記載が非常に参考になります。)
〇
患者さんが呈する、あらゆる症状というのは、何気ないものでも、その一つ一つが、その人の中身(五臓六腑の状態)を反映してくれる鏡なのです。
「表を以て裏を知る」 参照
ここまでをまとめると、「タバコを吸う」ということは、
1.胸部に絡んだ痰の邪気を乾かしつつ、
2.深い呼吸により、上った気を下げ、
3.自分好みの香りで気を巡らせ、脾の臓の働きを鼓舞し、
4.「ため息」によっても胸部の気を巡らせ、胸部周辺の緊張を緩め、様々な臓腑の失調をフォローしようとする
行為である、ということなのです。
逆に言えば、
「そうする必要があるような体の状態である」
ということです。
これはもちろん、喫煙習慣を肯定しているわけではなく、この対処法は、非常に不健康な対処法だ、という指摘です。
だから、東洋医学的には、「タバコを吸う習慣がある」という時点で、様々な臓腑の機能失調や、胸部を中心に、痰の邪気を持っている可能性が高い、と考えます。
また、タバコの葉に含まれるニコチンの毒性を考えると、上記のような”いい側面”というのはあくまでも一時的、対症的なものに過ぎず、
東洋医学的には徐々に胸部を中心に「熱毒」を籠もらせる結果になるので、ほどほどにしないといけないし、出来れば吸わない方がいい、
ということになります。
(今の時代、他人様に迷惑をかける可能性も高いし。。。)
ただ、あまり患者さんを脅かして、無理やり、急に止めさせたりすると、上記のような、
”タバコを吸うことによって抑え込んでいた異常”
が一気に表面化して、様々な症状を呈することがあります。
僕のように。(^^;)
次回こそいよいよ、その話が出来そうですな。(笑)
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2012.08.09
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これまでのお話・・・
乳製品は体にいい?
乳製品は体にいい?(その2)
乳製品は体にいい?(その3)
乳製品は体にいい?(その4)
乳製品は体にいい?(その5)
乳製品は体にいい?(その6)
では、どんどんいきます!
前回、「コーヒー」について書きました。
毎日毎日、患者さんの話を聞いていると、コーヒーや紅茶、緑茶などといった、いわゆる「カフェイン類」を過飲している人は多く、キチッと養生指導しなくてはいけないことが多いです。
これまでに多い人で、1日10杯も飲んでる、なんて人もいました。
ナンボいい鍼をしても、患者さんが誤った食生活を続けていたりすると、治療の大きな妨げになるものです。
カフェイン含有食品として有名なのは、紅茶、緑茶、コーヒーあたりです。
(因みに含有量的には紅茶>お茶>コーヒーの順ですが、インスタントコーヒーはレギュラーコーヒーの約70倍ものカフェイン量なんだそうです。。。(゜o゜))
問題はカフェインが入ってるものを、その人の”適正量”、”許容量”を超えて摂ってしまっているかどうか、また、それがどの程度、今回の症状に影響を与えているかどうか、です。
カフェインについて栄養学的に詳しく、一般人に分かりやすく解説したサイトは山ほどありますので、ここではしませんが、”いい作用”としては、
脳の働きを活発にするとか、利尿作用、虫歯予防作用、胃液分泌促進あたりが有名です。
反対に、過飲した場合の”悪い作用”は、胃潰瘍や卵巣嚢腫や乳腺嚢腫になりやすいとか、イライラや頭痛といった中毒症状が出るとか、です。
このカフェイン類というのは、東洋医学的にはどういう意味を持つのでしょうか。
・・・これは摂った人の、その時の状態によって、発現する作用が違ってくると思いますので、これまた臨機応変に、個別に考える必要があると思いますが、基本的には肝気を鼓舞する、という押さえ方で良いと思います。
因みに、何度も言うようですが、そもそも「過飲」の量だって、人それぞれ違います。
興味深いことに、患者さんに聞いていると、カフェイン類を摂ると、シャキッとする人と、ホッとする人の2パターンがおります。
同じ人でも、状況によって違う(逆の反応を示す)場合もあります。
会社にいる時はシャキッとするけど、家にいる時はホッとする、とかね。
家でカフェインを摂るとホッとする人には、寝る前にカフェイン類を摂った方が、かえってよく眠れる、どうして??なんておっしゃる方もいます。
このことから、興奮状態になったり、安静状態になったりすること(精神情緒の変動)にカフェインが関わる、と考えられ、それならば、東洋医学的には、
気の巡りや精神状態や思考機能に大きく関わる訳ですから、臓腑で言えば「肝の臓」や「心の臓」「脾の臓」あたりに作用する面が相対的に大きいのかもしれません。
つまり、「肝の臓」や「心の臓」、「脾の臓」を中心に病んでいる人は、摂取量に注意が必要、と考えます。
「肝」って何ですか?(その13)
「脾」って何ですか?(その9)
「心」って何ですか?(その7) 参照
このように、臨床的にはあくまでも総合的に判断するべきで、ある情報のみをもって何かを断言することはできません。
・・・とまあ、このシリーズに関して、こんなもんなんですけど、山の子供さんからご質問いただいたので、せっかくなんで、タバコの問題もついでにいっときましょうかネ。
やはり皆さん、この辺の話は興味あるんだな。。。
◆参考文献
『食材効能大辞典』東洋学術出版
『東方栄養新書』メディカルユーコン
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2012.07.08
2016.05.09
2016.04.12
2016.04.28
2015.06.04
2012.12.23
2014.02.17
2014.04.26
2024.11.07
2024年10月の活動記録2024.11.01
2024年 11月の診療日時2024.10.10
清明院15周年!!!2024.10.09
2024年9月の活動記録2024.10.01
2024年 10月の診療日時2024.09.19
2024年8月の活動記録2024.09.01
2024年 9月の診療日時2024.08.03
2024年7月の活動記録2024.08.01
2024年 8月の診療日時2024.07.10
患者さんの声(70代女性 目の痛み、不安感)2024.07.05
2024年6月の活動記録2024.07.01
2024年 7月の診療日時2024.06.05
2024年5月の活動記録2024.06.01
2024年 6月の診療日時2024.05.10
2024年4月の活動記録2024.05.01
2024年 5月の診療日時2024.04.13
(一社)北辰会、組織再編。2024.04.02
2024年3月の活動記録2024.04.01
2024年 4月の診療日時2024.03.14
2024年2月の活動記録2024.03.01
2024年 3月の診療日時2024.02.15
2.17(土)ドクターズプライムアカデミアで喋ります!2024.02.04
3.10(日)(公社)群馬県鍼灸師会で講演します!2024.02.03
3.3(日)「浅川ゼミ会」にて講演します!2024.02.02
2024年1月の活動記録2024.02.01
2.25(日)順天堂東医研、第5回特別公開シンポジウム「日本とインドの伝統医学」に登壇します!!2024.02.01
2024年 2月の診療日時2024.01.11
2023年、9月~年末の活動一覧2024.01.05
診療再開!!2024.01.01
2024年 1月の診療日時2023.12.30
2023年、鍼療納め!!2023.12.21
(一社)北辰会、冬季研修会のお知らせ2023.12.01
2023年 12月の診療日時2023.11.26
患者さんの声(60代女性 背部、頚部の痒み、首肩凝り、高血圧、夜間尿)2023.11.25
患者さんの声(70代女性 耳鳴、頭鳴、頭重感、腰下肢痛、倦怠感)2023.11.22
12.3(日)市民公開講座、申し込み締め切り迫る!!2023.11.21
今週からの講演スケジュール2023.11.16
日本東方医学会学術大会、申し込み締め切り迫る!!2023.11.01
2023年 11月の診療日時2023.10.10
清明院14周年!!2023.10.04
12.3(日)市民公開講座やります!!2023.10.01
2023年 10月の診療日時2023.09.23
第41回、日本東方医学会学術大会のお知らせ2023.09.22
第55回、順天堂東医研に参加してきました!2023.09.21
第27回、日本病院総合診療医学会で発表してきました!!2023.09.20
Dr’s Prime Academiaで喋ってきました!2023.09.01
2023年 9月の診療日時2023.08.18
第54回、順天堂東医研で喋ってきました!2023.08.17
順天堂東医研の学生さんと、「森のくすり塾」へ。2023.08.16
診療再開!!