東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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花粉症考(鼻水篇)

2013.03.23

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花粉症に関して、これまで色々書いてきた。

カテゴリ 花粉症と東洋医学 参照

 

今日は、花粉症の主要な症状である、「鼻水」「鼻づまり」について、どのように対策をとるべきか、考えてみたいと思います。

東洋医学では、鼻水は「鼻流涕(びりゅうてい)」、鼻詰まりは「鼻塞(びそく)」と呼んで、それぞれ細かく分類し、治療法を考えています。


「鼻」という部位は、東洋医学的にみると、「肺の臓」の入り口であります。

「肺」って何ですか?(その12) 参照

 

つまり、「肺の臓」に異常があれば、当然それが「鼻」の症状として反映される場合があります。

 

 

つまり花粉症における「鼻」の症状を改善するのには、「肺の臓」を安定させることが肝要、ということです。

 

しかしこの「肺の臓」のいじくり方を間違えると、治るどころか、悪化します。

 

 

肺は東洋医学では「嬌臓(きょうぞう)」といわれるように、華奢な女性のように、ナヨナヨして敏感な臓です。

 

ここは非常に診断、治療に慎重を要する部分でありまして、花粉症なら何でもかんでも「小青竜湯」なんてのは、個人的には全然賛成できません。

 


最近、久々にテレビ見てたら、「花粉症に小青竜湯」って、CMでもやってるではないですか!

 

ビックリ~。。。

 


「眠くならない花粉症薬」だってさ・・・。(@_@;)

 

アレじゃあみんなカン違いしちゃうね。。

 


間違っても、花粉症で小青竜湯飲んだけど効かなかった、だから東洋医学はダメ、とか言わないでくださいね。

こういうのはホント、東洋医学、漢方薬に対するミスリードだと思っていて、大反対です。

 

(もちろん、病態によっては効くことがあるし、それで助かっている人がいるという事実は否定しませんが)

私の知り合いの漢方専門の臨床家なんかは、花粉症でも2、30種類の漢方薬を、その人の症状、体質に合わせて自在に加減して使い分けるそうです。

 


・・・当然ですよね。

 


鍼もそうです。

 


ツボのパターン、打ち方、置鍼時間、ぜーんぶ違います。

 


・・・まあともかく、鼻の話に戻りますが、花粉症の人が強く鼻をすする、あるいは強く鼻をかむ、これをよく見かけますが、これ、実は養生法として絶対よくないと思います。

 

鼻を強くすすること、かむこと、それ自体が、「鼻」という部分における気の停滞を強め、症状を悪化させる面があるのです。

 


ですから、もし症状が出てしまったら、すぐに鼻にティッシュをしっかりと詰めて、垂れて来ないようにし、ティッシュが濡れたら交換、これの繰り返しがいいと思います。

 


両鼻にティシュを詰めた姿はみっともないし、口呼吸にもなりますから、当然上からマスクで抑えましょう。

 


・・・で、「表裏寒熱虚実」はどうか、「臓腑経絡」はどうかと、しっかり東洋医学的に診立てられる先生に、鍼してもらうなり、漢方を処方してもらって、

 

症状を抑えつつ、キッチリ養生しましょう。

 

 


そうすりゃ、ほとんどのものは気にならないレベルまで良くなるでしょう。

 


花粉症なんてもんは。

 

悪いのは花粉じゃなくて、患者さんの身体状況。

 

しっかり調えればいいだけの話です。

 

一つ一つ冷静に、確実に。

 

 

 

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どうして眠れないのか

2012.12.06

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「不眠症」に限らず、どんな病気であれ、健やかな睡眠をとれていない患者さんの、なんと多いことか。

食べる、寝る、動く、こういう基本が出来ていないと、どんな症状、病気であれ、治りの良し悪しに大きく関わってくる。

セオリー通りの治療で、スッスッス~ッとよくなっていく患者さんはいいとして、

「・・・ん?な~んか妙に、治りが悪いなあ。」

という患者さんの場合は、上記のポイントを必ず再チェック。

中でも眠れていない、というケースは多い。

あるいは寝てても、常習的に睡眠薬に頼っている、とかね。

睡眠薬というもので、ある意味「気絶」させて、半ば強制的にとらせた睡眠というのは、自然な睡眠と比べて疲労の取れ方が全然弱いように思います。

(患者さんが、皆さん大体そうおっしゃいます。)

まあ、薬によって色々な作用機序はあるでしょうし、使用は仕方ない局面もありましょうが。。。

・・・ともかく、なぜ眠れないのか。

東洋医学では心、腎、肝、胆、脾、熱痰、内熱あたりが原因とされている。

「心」って何ですか?(その7)
「肝」って何ですか?(その13)
「脾」って何ですか?(その9)
「怪病多痰(かいびょうたたん)」という言葉
「疲労」によって籠った熱
「痰(たん)」「瘀血(おけつ)」について
「風」「火」について
「湿熱」について        参照

これ、どういうメカニズムか。

まず、寝るということは、東洋医学的には体を休め、陰気を養う、重要な生理現象だ。

大地に体を預け、瞑目し、呼吸は深くなり、筋は緩み、陽気は体内に深く潜り、臓腑筋骨をめぐり、滋養する。

相対的に体表の気が不足するから、表邪を受けやすくなるため、布団をかぶる。

この時、体内深くに、「気の受け皿」がないと、気が潜れないから眠れない。

 

(つまり陰の器の不足)

あるいは陽気が昂ぶり過ぎてたり、熱が盛んだと、これも、気が深くに潜れないから眠れない、あるいは眠りが浅くなる。

 

(陽の過多、上、外ベクトルへの気機の過剰)

また、気の停滞がきつくてもダメ、神が安定していなくてもダメ。

 

(肝胆、心の異常)

あと、僕の好きな奇経八脈なんかも関わる。(蹻脉)

因みに張景岳大先生は、スッキリとぶった切る。

「不眠のキモは神の安定性だ。しょせんは虚実!」

『景岳全書・雑証膜・不寝』から、抜粋意訳by竹下(笑)

「張景岳(ちょうけいがく)」という人物 参照

・・・不眠(不寐)の治療は滋陰清熱が基本であれども、多くのケースで、神主学説が、応用可能。

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色々なカゼ

2012.11.16

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毎年この時期になると、カゼひきさんをよく診ます。

いつも書いているように、いわゆる「カゼ」というものに鍼灸は大変有効であり、東洋医学を勉強しているものにとって、

ウデの見せどころでもあります。

なぜならば、一言でカゼと言ってもパターンは無数にあり、これをしっかりと東洋医学的に分析、把握したうえで治療しないと、

なかなかスッキリと治ってくれないからです。

ノドが痛くなるもの、腹を下すもの、咳、痰がきつくなるもの、発熱するもの、などなど・・・、挙げていったらキリがないです。

こういう様々なパターンを、東洋医学的にきちんと表裏、寒熱、虚実、関連する臓腑、経絡、正邪のバランス、こういうことを勘案しながら慎重に治療を進めないとですし、

急性外感熱病の場合は経過が早いので、短期決戦になりますから、正確性がより厳密に要求されます。

最近、まあこういう言い方は良くないのかもしれないのけども、患者さんから、色々学ばせていただいております。

自分自身のカゼ治療の弱点、盲点を狙いすましたかのような患者さんが来ることもあります。(苦笑)


日々、勉強。

 

まったく、「ありがたい」の一言。

 

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(社)北辰会関東支部9月定例勉強会

2012.09.24

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昨日、9月23日の日曜日は、台東区民会館で行われた、(社)北辰会関東支部定例勉強会に参加してきました!!

午前中は本山裕子先生による講義

「出血について」

でした。

今回、私用により午前中は参加出来ませんでしたが、受講生から、本山先生の勉強量が伝わる、素晴らしい内容だったとうかがいました。

「出血」というのは、女性の月経に限らず、鼻血や吐血、喀血、下血、痔からの出血など、よくよく聞いてみると、

意外と悩んでいる患者さんの多い症状です。

特に下血や痔からの出血は、検査に行くのが恥ずかしいのもあって、発見、治療が遅れやすい症状でもあります。

また、なかなか止まらない出血という症状は、いくつかのタチの悪い難病や重病と関わることもあり、注意が必要な症状でもあります。

まあ、臨床的には、まずはその患者さんの出血の、東洋医学的なメカニズムをしっかり見極め、処置が出来る、

ということが重要だと思います。

午後は実技指導、

「上肢の診察」

でした。

僕も臨床コースをひと班担当させていただきましたが、受講者の方々が熱心で、素直に受けてくれたので、やりやすかったです。

「技術」というのは、よっぽどの天才でもない限り、一筋縄で上手くなるものではありませんが、教わったことを素直に反省し、

何度も何度も素直に反芻した人だけが、少しづつ身につけれるものなんだろうと思います。

そして最後は、北辰会本部講師の高木幸二先生による講義

「男性カルテ解説」

でした。

「女性生理」があるなら、「男性生理」というものも当然存在します。

北辰会では、かなり突っ込んだ内容まで、専用カルテを使って聞きます。

これは東洋医学的に、主に病の「虚実」を明確にせんがためです。

「虚実」って何ですか?
虚実の深さ        参照

こうやって、客観的に知りうる、あらゆる情報を駆使して、より正確な東洋医学的な診断を付けるのです。

間違える可能性を最大限減らし、成功する可能性を最大限高めるには、それが一番いいからです。

医療者として、当然の姿勢じゃないでしょうか?

まーともかく、終わった後は酒・・・。

ちょっと、論争めいた雰囲気にもなりましたが、それもコミで、充実の週末。(笑)

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緩めりゃいいってもんじゃない。

2012.06.29

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ここんとこ、気候が不安定だったせいもあって、何人かぎっくり腰の患者さんを診ました。

(5、6人診たかな・・・?)


お蔭さまで全員経過良好なんですが、ここで、いつも思うのは、ぎっくり腰をやった人の腰を触ると、だいたい過緊張(筋肉が緊張しすぎている部分)があります。

僕は昔は、こういう筋肉の緊張を見つけたら、キツイ鍼をそこに何本か打って、ガンガン緩めりゃいいと思っていました。

「痛いから筋肉が緊張するし、緊張してるから痛い→だから緩めりゃ楽になるはず!」

という短絡的な、実にめでたい発想です。

事実、この考え方でもって、マッサージ店なんかでグイグイ患部を揉まれた結果、さらに悪くなった患者さんを診ることは珍しくありません。

現実は、甘くないのです。(笑)

僕もかつては、何度も失敗しました。

治療直後に、全く動けなくなってしまう患者さんもいました。

また、治療後は何となくよくても、次の日にもっとヒドくなったりとか・・・。(恥)

ぎっくり腰に限らず、人間の体に異常が起こった時は、その局所に限らず、全身様々な場所に過緊張と過弛緩が表われます。

我々はそれを「虚実(きょじつ)」なんて表現したります。

コレを正確に調整すると、基本的には弛緩している部分は緊張し、緊張している部分は弛緩します。

しかし場合によっては、もっと緊張する場合、もっと弛緩する場合もあります。

要は「診立て」の正確さが大事なのです。

つまり、まずは正確な知識と、十分な経験が大事なのです。

それなしで患者さんを触ってるなら、巷の無資格マッサージなんかと変わらんのです。


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表裏内外(ひょうりないがい)

2011.12.06

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「気」を動かし、人体の「陰陽」のバランスを整えて、大自然、大宇宙の「陰陽の動き」にマッチした、健康な体、病気にならない体になろうぜ、というのが、東洋医学の眼目。

 

 

理論的立て付け。

 

・・・で、治療する上では、病の「陰陽」を、人体の「何と何」に設定するかが問題。

 


そこには、無数の物差しがある。

 

しかも、その組み合わせもある。

 


だから診断パターンは無限。

 

方法論も無限。

 

この医学は

 

”陰陽バランスの調和をはかる”

 

という「治療戦略」そのものは数千年前に確立、完成されているけど、「治療戦”術”」についてはまだまだいくらでも進化可能。

 


・・・と、いつか先輩から教わった。

 



 

表裏の境界線。

 

内外の境界線。

 

病が裏へ、内へ行かないようにひたすら工夫。

 


病がなんとか表へ、外へ赴くようにひたすら工夫。

 

上下左右前後、寒熱虚実、臓腑、正邪のバランス調整を駆使しながら。

 


でも、浮かすだけじゃ不十分だったりもする。

 


あえてピントをぼかした戦術に出た方がいい時もある。

 

いちいち枝葉に構えてちゃ、キリがなかったりもする。

 

・・・そういう意味で、「枝葉に構わず」の夢分流はやっぱすごい。

 


カッコイイ。

 

「ザコはどいてろ」方式だ。

 

(by『スラムダンク』水戸洋平(笑)

 

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「境界線」の大事

2011.11.27

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清明院では現在、スタッフを急募しております!!


ぜひ我々とともに、切磋琢磨しましょう!!詳細は
こちら。

 


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以前から分かっていたつもりだったが、最近、これをよく感じる。

経穴(けいけつ)というものは、教科書のような、丸いポチッとした形をして存在してることはほとんどなく、大概はあやふやな、いびつな形をして存在していることが多い。

それが硬かったり、軟弱だったりする訳だ。

しかも皮膚表面に浮いてたり、深部に沈んでたり。

・・・で、それにピタッと合わせた鍼をしなければならない。

そこで大事なのが、「境界線」に対する意識。

虚実の境界線。

寒熱の境界線。

表裏(深浅)の境界線。

隣り合った経穴との境界線。

全体の中で、それが持つ意味。

フェザータッチと論理性、どちらも大事。

・・・で、そこを意識して上手に動かすと、非常に高い効果。

だが反面、危険もある。

意図したベクトルと逆方向に気が動けば、「悪化」だ。

境界線は曖昧だけど大事。

ひかない訳にはいかない。

そして、その両岸には「主従」があり、「法則性」がある。

最近も、夢分流から教わった。

うれしい再発見。

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「熱中症」について

2011.06.30

昨日の記事を受けて、「熱中症」というものについて、僕の考えを述べてみたいと思います。(笑)

 

・・・と言っても、西洋医学的な熱中症の程度分類やら、塩分やミネラルのお話、意識障害やけいれんについてとか、そういうサイトはゴマンとあるんで、

ここでは、要するに患者さんから見て、我々鍼灸医学、東洋医学に聞きたいこととしては、

1.熱中症って、コワいコワいって言うけど、要するにどうすれば回避できるの??

2.それでも、もしなっちゃったら、どうすれば最小限に食い止められるの??

3.熱中症に対して、東洋医学はどう考え、何が出来るの??

という3点に尽きるかと思いますので、この3点について書いてみたいと思います。

 

・・・まあ、まずは熱中症の定義ぐらいは、簡単に述べておきましょう。


「熱中症(暑熱障害 Hyperthermia)」


というのは、

体の中と外の”熱”によって引き起こされる、様々な体の不調

 

のことで、専門的には、

「暑熱環境下にさらされる、あるいは運動などによって、体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあった者が発症し、

体温を維持するための生理的な反応より生じた失調状態から、全身の臓器の機能不全に至るまでの、連続的な病態を指して言う。」 

 だそうです。

赤字部分は具体的に言うと、吐き気とかのぼせ感、めまいやけいれんなどのことを指します。

 

(詳細はこちらのサイト 甲府病院「熱中症」ページ 参照)

 

・・・ちなみに、”熱中症”とは、熱に中る(あたる)症(証)のことを言います。

(よく、脳卒中のことを”中風(ちゅうふう)”と言いますが、あれも”風に中(あた)る”という意味があります。)


「中る」というのは東洋医学によく出てくる言い方で、侵される、毒される、というような意味です。


ちなみにちなみに、よく聞く「霍乱(かくらん)」というのは東洋医学の病名で、暑気あたり、いわゆる日射病を指す場合があります。

 

(『霊枢』経脈篇(10)、五乱(34)『素問』通評虚実論(28)、気交変大論(69)、六元正紀大論(71)『傷寒論』弁霍乱病脈証并治(13)『金匱要略』禽獸魚蟲禁忌并治(24)などなど)

で、まず1.についてですが、同じように炎天下でスポーツしてようが、同じように猛暑の日にクーラーのない部屋にいようが、

全員が全員熱中症を発症する訳ではありません。

 


熱中症を発症するには、それなりの理由がすでにしてその人の体にあるはずです。

 

 


・・・長くなったので、続きは次回。

 

 

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「錯雑証(さくざつしょう)」という考え方(その3)

2011.06.08

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これまでのお話・・・

「錯雑証(さくざつしょう)」という考え方
「錯雑証(さくざつしょう)」という考え方(その2)

 

・・・ここまでのお話で、病気の中には、

・「性質」が冷えか熱か、

・「趨勢」が虚か実か、

・「位置」が表か裏か、

スッキリと分けられない、ハッキリしないものがある、そういう病気を東洋医学では「錯雑証(さくざつしょう)」などと呼び、非常に注意を払っている、というお話をさせていただきました。

 

 

まあ、あまり難しく考えないでほしいけど、これはつまり、

 

1.表裏、

2.寒熱、

3.虚実

 

の病変が、一つの体に「両方同時に」存在している場合のことをいいます。

 


具体的に言うと、

1.「表裏が同時に存在」というのは、一つには病が、浅い位置と深い位置のちょうど中間ぐらいの、中途半端な深さにあることを言い、これを専門用語では「半表半裏証(はんぴょうはんりしょう)」なんて言ったりします。

(これを初めて聞いた時、なんちゅ~そのまんまなネーミングなんだ!と思いました・・・。(笑))

 

もう一つは、浅い部分である表の部位と、深い部分である裏の部位が同時に病んでいて、甲乙つけがたい状態にある場合も、臨床的にはあります。

 

2.「寒熱が同時に存在」というのは、一つの体に、”冷えによる病”と”余分な熱による病”とが同居している状態を言います。

いつかこのブログにも書いた、頭がカッカのぼせて、足が冷える、「上熱下寒(じょうねつげかん:いわゆる冷えのぼせ)」なんていうのは、コレの典型例です。

「上熱下寒」を含む記事 参照

3.「虚実が同時に存在」というのは、「虚(きょ)・・・つまり治る力の衰え」と、「実(じつ)・・・つまり発病因子の侵襲」が、”同程度”存在するものを言います。

 

この”同程度”の中にも、

 

A.「虚」が主体のもの、

 

B.「実」が主体のもの、

 

C.「虚実」ともに明明白白のもの、

 

と、3パターンあるのですが、この「虚」「実」ともに明明白白なパターンは、陰陽のバランスが大きく崩れているものと考え、中医学ではかなり重症、と位置付けています。

 


これをうまく調整できるのは相当な腕達者、ということです。

 

・・・では、これら錯雑証に出会ってしまった場合の、治療はどうしたらよいのでしょうか。

 

 


次回に続く

 

 

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「錯雑証(さくざつしょう)」という考え方(その2)

2011.06.05

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前回、東洋医学的に診断、治療するのには、「弁証(べんしょう)」という過程が欠かせないヨ、というお話をしました。

 

そして、たくさんある弁証のやり方の中から、「八綱弁証(はっこうべんしょう)」というものを紹介しました。

 

この、八綱弁証では、病気の何を明らかにするかというと・・・、

・表裏(病気の位置が、浅いところにあるか深いところにあるか)

・寒熱(病気の性質が、冷えによるものか熱によるものか)

・虚実(病気の趨勢がどうか、いわば勝ち戦か負け戦か)

を、明らかにします。

 


・・・なんだかムズいように聞こえるかもしれないけど、ここはそんなに難しいことは言っていません。

 


単純に、素直に、そのまま理解して下されば、と思います。

 


・・・例えば病の「寒熱(かんねつ)」を考えた場合、この病は冷えのものだ!ということが明らかならば、治療方針を考えるのは簡単です。

 


温めりゃよいのです。

 


つまり、鍼灸治療ではお灸や、気を集めて温めるような鍼が中心になるし、漢方薬であれば温める作用のある生薬を使った処方になってきます。

 


また、病の「虚実(きょじつ)」を考えた場合も、この病は勝ち戦だ!押せ押せムードだ!ということが明らかならば、治療方針としては、

バンバン悪いものを体外に排出するように持っていけばよい、ということになります。

 

積極的に汗をかかせたり、便を下したり、尿を排出させたり、吐かせたりすればよいのです。

(・・・単純でしょ?簡単な話です。)

 

しかし、問題は、これら(表裏・寒熱・虚実)が明確に割り切れず、偏りが中途半端な場合です。

 

東洋医学ではそれのことを、「錯雑証(さくざつしょう)」と呼んで、大変重要視します。

 

 

次回に続く

 

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