東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「問診」の重要性

2010.10.28

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今日、初診の患者さんから問われました。

 


問診中に、

「先生、それって何か今回の症状と関係があるんでしょうか?」

・・・今日の患者さんは、別に怒ってる風ではなく、本当に不思議、という感じで聞いてこられました。

 


これはある意味、当然の疑問だと思います。

 


患者さんの中には、

「何でそんなことまで答えなきゃいかんのだ!」

という感じで、ちょっと怒った風に聞いて来られる時もあります。

 


まあー、この問いにはいつも通り、僕は即答で、

「もちろん関係あります。」

と、お答えし、その理由を説明するようにしています。

 

(まあ、問われた時点で後手であり、本当はそう問われる前にこちらから説明していないといけないわけですが (^^;)

 


東洋医学における問診では、その患者さんの症状が、

いつから発症し、

きっかけは何で、

現在どういう状態にあり、

これまでの経過はどうか、

という、どこの医療機関へ行っても聞かれる、当り前な内容以外にも、

過去~現在の飲食の状況、

大便や小便、睡眠の状況、

女性であれば月経や産後の状況、

現在の生活環境、家族の状況、

果てはこれまでの人生、こうなるに至った根本的な経緯などなども含めて、

あらゆる角度から、多角的に分析します。

 


ですから一見、今回の症状とは直接関係のなさそうなことまでお伺いすることがあるのです。

 


そしてこれらは、どれも外すことの出来ない、重要な情報になります。

 


正確に、かつ的確に問診が取れていればいるほど、東洋医学的な診断の確度は高くなります。

 


病治しは真剣勝負、斬るか斬られるか(・・僕vs病気ですよ。vs患者さんじゃないよ!)の世界ですから、万全を期して挑む必要があります。

 


ですから、色々なことを伺うのです。

 


・・・そして、鍼とお灸を持って、最善の治療方針を僕なりに一生懸命考えるのです。

 

 


病魔を「バサッ」とぶった斬るためにネ。

 

 

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「超」遠方の患者さん

2010.10.21

今日は、当院の患者さんの紹介で、遠く宮崎県(!)から治療に見えた患者さんがおられました。

まあ、今回は他にも都内に用事があったので、そのついでに初診を、という形でしたが、次回見える時は何日か治療のために日をとって、

観光がてら東京に何泊かして、治療に来られるようです。

それ以外にも、清明院では埼玉、千葉、神奈川から、電車を乗り継いで来られる方は珍しくありません。

コレは大変嬉しいことではあるんですが、もし宮崎県に清明院と同じ治療スタイルの鍼灸院があれば、普段はそこに通ってもらい、

何ヶ月かに一遍、用事で東京に来るついでに治療をする、ということも考えられる訳です。

そっちの方が患者さんの経済的、肉体的負担が軽いのは明らかですよね?

清明院の鍼灸治療は、北辰会方式です。

(北辰会方式についてはこちら参照)

初診時、1~2時間という十分な時間をかけて、今回お困りの症状はもちろん、それ以外の様々な症状や、飲食の傾向、大便、小便の状況、睡眠の状況、

生活環境、家庭環境、仕事の状況、精神面などなど、ありとあらゆる情報をキャッチします。

その上で、今回その患者さんがお困りの症状が、どういうバックボーンの上に生じているかを「東洋医学的に」読み解き、

そして入念な体表観察の後、1本、ないし数本の、非常に少ない本数の鍼によって、精神面をも含めた、全身のアンバランスを意識しながらも、

「かなり的を絞りこんだ」

治療を行う訳です。

・・・北辰会方式のみで、鍼灸専門で開業されている北辰会の会員の先生は、関西を中心に全国にいますが、まだまだ少ないのが現状です。

九州、沖縄から青森、北海道まで、各都道府県に何件もあった方が、絶対にいいと思っています。

この状況・・・、

「どげんかせんといかん!」

と思います。

(宮崎県に絡ませてみたんですが。・・・だめ?(微笑))

・・・まーそうはいっても、僕として出来ることは、結局のところ、ひたすら鍼の道を精進し続けるのみなんですがネ。(苦笑)

いち鍼灸師として、「ワン&オンリー」でありたい、という願望も、正直ありますしね♪

とにかく頑張ります!!

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治療の後に下痢が出た!

2010.10.07

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今日、患者さんから興味深いことを言われました。

 


今、つづっている「大腸って何ですか?」にも通じるものがありますので、書いておこうと思います。

 


その患者さん曰く、やや不安げに、

「先生、こないだの治療の後、下痢が2,3回続きました。」

と。

 


僕は答えました。

「それはよかったですね。」

と。

 

患者さんは、

「エ?大丈夫なんですか?」

僕は、

「下痢が出た後、こないだの症状はどうなりましたか?」

すると患者さんは、

「あ、そう言えばなくなってる・・・。」

というやり取りでした。

 


これは、もちろんこういった変化が、良性の変化なのか、悪性の変化なのか、という判断に自信があるからこそ、言える言葉なんですが。

 


何でもかんでも治療の後に下ればいい、というもんではもちろんなくて、重要なのはそれがいい変化である、という判断が正確につくかどうか、なんです。

 


ここはくれぐれもお間違いなきよう。

 


・・・東洋医学的な治療では、何しろその患者さんの「治る力」を最大限引き出す、ということが目標です。

 


人間には、もともと

「余分なものは、体にためこまず、さっさと排出する。」

という機能が備わっています。

 


東洋医学ではこの機能を最大限利用します。

 


ですから、治療の後下痢した、小便が増えた、汗が出た、場合によっては吐いた、という変化が、一概に悪い変化とは言えません。

「体内の余分なもの」

が出ていってくれている面があるのです。

 


東洋医学の有名な治療法に、「汗・吐・下(かん・と・げ)」と言われるものがあります。

 


これらは読んで字のごとく、

・汗法・・・汗をかかす

・吐法・・・吐かせる

・下法・・・便を下す

という方法です。

 


こういう方法は、昔から存在し、治療により、体が正しく変化すると、

「余分なもの」

は居心地が悪くなって、

「最も出やすい場所」

から外界へと出ていきます。

 

 

そしてこれは、

形あるもの(有形の邪気)、形なきもの(無形の邪気)にかかわらず

・・・なんです。

 

 


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「大腸」って何ですか?(その3)

2010.10.06

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前回までのお話・・・


「肺」って何ですか?(その12)

「大腸」って何ですか?
「大腸」って何ですか?(その2)

 

☆前回の補足


前回、東洋医学の言う、「大腸の腑」「小腸の腑」の図を示して、その”形態的な”特徴の差とその理由を述べました。

 


今回は、ちょっとその補足をしたいと思います。

 


人間は、みんなみんな、毎日「口」から”飲食物”を取り入れています。

 


そしてそこから、生命を維持するのに必要な栄養分を、体の中に摂りこみ、不要なものを「大便」「小便」「汗」「その他の排出物」によって外界に排泄していく訳です。

 


これが出来なくなると、実に様々な症状が出てくる訳ですね。

 


もし、これらが出来ないまま治らず、これらの働きが完全に停止したまま戻らなければ、生物は死んでしまいます。

 


・・・具合悪くて何日か食べてない、と言う人はたまにいても、”何年も”食べてない人とかはいませんよね?

 


こないだニュースで数十年間、何も食べてないという、インドかどっかの修行僧が紹介されてたけど、あの彼ですら、水は飲む訳です。(笑)

 


ちょっと話がそれたけど、要するに東洋医学的な、飲食物の通っていく順番は、

1.口
  ↓
2.食道
  ↓
3.脾胃
  ↓
4.小腸
  ↓
5.大腸
  ↓
6.トイレ

という順番です。

(西洋医学と似ていますが、それぞれの持つ意味が違います。)

 

このうち、人間の栄養である”気血津液(きけつしんえき)のもと”が摂りこまれるのは、3.4.5.のフェイズ(段階)です。

 

この中で最も重要なのが3.のフェイズであり、これについては以前述べました。

カテゴリ「脾胃について」参照

 

次に重要なのが4.最後が5.です。

 

 

4.の重要性については、いずれ述べます。

 


・・・となると、「大腸の腑」って、あんまり重要じゃないのでは!?と思う人もいるかもしれませんが、そうではないのです。

 


ここでは、あくまでも「相対的な」重要度を言っただけであって、「大腸の腑」は、人間の

”飲食物の摂取~排泄”

までのプロセスにおいて、必要不可欠なポジションを占めています。

 


上記のような理由から、「脾胃」においては「脾の臓」「胃の腑」にぴったりと密着し、臓と腑とで協調しながら、速やかに栄養吸収を行い、「小腸の腑」においてはクネクネと細くうねっていることで、

 

飲食物を長くとどめ、「大腸の腑」ではその残りカスをスムーズに、かつ余すことなく体外に排出するため、太く、うねりも軽い構造を持っている、と、東洋医学では考えたのでしょう。

 


・・・長くなっちゃったので、機能の話は次回に持ち越しましょ。(笑)

 


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「肺」って何ですか?(その2)

2010.08.25

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これまでのお話・・・

「肺」って何ですか?(その1)

 


・・・今日、患者さんから、

「五臓六腑の話し、分かりやすいです!楽しみにしてますので、どんどん書いて下さい!」

と言われ、すっかり上機嫌なので、続きを書きます。(笑)

 

☆肺の位置

これは、前回も書きましたが「胸部」です。

東洋医学では、人間の体の「膈(かく)」から上の部分のことを「上焦(じょうしょう)」と呼びますが、

(「膈」についてはこちら参照)

「肺の臓」はまさしくこの”上焦”「胸部」に位置します。


そして、胸部にはもう一つ、重要な臓である「心」があります。

ではこの「心」と「肺」との位置関係はどうかと言うと、

 

「肺」の方が「心」よりも上にあり、ちょうど「心」に乗っかったような位置関係

 

にあります。

 

そして、以前書いたように、「心」と「肺」は、それ以外の3つの臓と比較すると、相対的に結びつきが強い、と考えられています。

 

これは東洋医学では、「氣管(きかん)」という、空気の通り道で、心と肺が直接つながっているためだ、としています。

(形態的には、ですよ。機能の話は追々しましょう。)

 


☆「肺」と「呼吸」

 


東洋医学の言う「肺」は、ちょうど「ふいご」のような役割を果たす、と考えています。

 


要するに空気を吸ったり出したりする訳です。

(簡単ネ。)

 

ここで大事なのは、

天空の清らかな空気(清気)を取り入れ(吸)、

体内の汚れた濁気(だっき)を排出する(呼)、

という風に、単なる出し入れではなく、「気の清濁入れ替え作業」を行っている、という考え方です。

 


東京なんかにいますと、全然「天空の清らかな空気」という感じがしませんが、生活できる、ということは、これでもまだ何とか「清らか」なようです。(苦笑)

 

この「清らかな空気」というものが、体内を巡る最も重要な「気」というものの原料の一つになります。

 


「気」の原料は他に何があるか、と言うと、「飲食物」です。

カテゴリ「脾胃」について 参照

 

人間が外の世界から取り入れているものは「空気」と「飲食物」だけです。

基本的には、それ以外のものは取り入れることは出来ません。

なので、結局はこの2つから「気」を作り出し、不要なものは大小便と汗などによって体外に排出することで、生命を維持している訳です。


逆に言うと、それしか出来ないんです。

 


人間ていうのは。

 


昔っから。

 


・・・東洋医学を「古い」という人がいるが、僕はそうは思いません。

人間自体の基本が変わってないんだから、東洋医学の基本原理だって変化する必要がないんです。


少なくともここ数千年は。

対して、この数百年で劇的に変化した西洋医学。

 


「医学」としての完成度が高いのはどっちでしょうかネ・・・。

 


ちょっと話がそれたけど、「肺」の基本的な機能は何と言っても「呼吸」だ、というお話でした。

 

 

次回に続く

 

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「胃」って何ですか?(その8)

2010.08.01

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これまでのお話・・・


「胃」って何ですか?

「胃」って何ですか?(その2)
「胃」って何ですか?(その3)
「胃」って何ですか?(その4)
「胃」って何ですか?(その5)
「胃」って何ですか?(その6)
「胃」って何ですか?(その7)

 

☆「胃」と「熱」と「狂」(続編)

 


今日のお話は、ちょっと難しいかもしれないけど、大変興味深い部分でもありますので、続き、いきます!

 


以前、
「脾」って何ですか?(その5)にて、”脾は湿気が嫌い”というお話をしました。

 


その時、「脾はもともと湿っている臓だから、過剰な湿気を嫌うのだ」と書きました。

 


また、「胃はもともと乾いている腑だ」とも言いました。

 


・・・ということは、”胃は熱が嫌い”という考え方が、当然あります。

 

 

なぜならば、よけい乾いちゃうからです。(笑)

(ここには、実は難しいお話(・・というか意味)がありますが、割愛します。(笑))

 


つまり「脾胃」は、人体のど真ん中である「中焦」に存在し、かたや湿り(脾)、かたや乾き(胃)、乾と湿のバランスをも、とってくれている訳です。

 


「胃」って何ですか?(その5)で述べたように、「脾胃」は全身の気血の「昇降のバランサー」でありながら、「乾湿のバランサー」としても一役買っている訳ですネ。

 

(カッチョイー!)

 


・・・東洋医学では、体内、および体外の過剰な”熱”のことを「邪熱(じゃねつ)」と言い、様々な症状、病気を引き起こすもとと考えます。

 


そして特に「胃の腑」が過剰に熱を持つと、それを「胃熱(いねつ)」と呼び、分かりやすいところでは、強いのどの渇き、あるいは食べても食べてもすぐに腹が減る、

 

暑さを極端に嫌がる、などの症状の原因になります。

 


”非”生理的な「邪熱」、および生理的な「熱」というのは、通常、どんどん体外に発散しなくては、正常な体の状態を保てません。

 


大便なり、小便なり、汗なりで、です。

 


「熱」がうまく発散、排泄出来ずに、どんどん「胃」に籠ると、徐々にマズイことが起こってきます。

 


前述のような症状はもちろん、マグマのようにブスブスと籠った熱は、やがてまるで”火が付いた”かのように、突然、一気に激しく「上焦」に向かって突きあげます。

 


これを東洋医学では「胃火(いか)」と言います。

 

(そのまんまだネ。)

 


そして突き上げた先の”上焦”には、「心」と「肺」という臓が存在します。このうち、特に「心」が「胃火」の影響を強く受けると、狂乱、錯乱状態になることがあります。

 


言わば、燃え盛る「胃火」が、「心の臓」に燃え移ってしまった、という状況です。

 


「心の臓」が蔵している「神(しん)」というものが、”顕在意識を清明たらしめているもの”という話は以前
「心」って何ですか?(その6)に書きました。

 


その働きが侵されるために、正常な判断を失い、まるで”もののけ”でも憑いたかのように叫び、わめき、暴れ出します。

 


また、体内の邪熱が極まっているために暑くてしょうがなく、衣服を脱ぎ捨てる、というような状況となります。

 


まさに、前回のブログで紹介した事件のような状況、となる訳です。

 


しかもあの事件の場合は「朝8時ごろ」という時間帯にも大きな意味があると思いますが、それの解説は長くなるので、またそのうち致しましょう。(笑)

 


しかしまあ、あの事件の女性の発言から考えるに、おそらく悪い男に弄ばれたとか、そういうことがあった後のことでしょうから、もしそうだとすれば、

 

ある意味、言ってることにスジは通っています。

 


また、パンツ1枚の姿だった、とか、実際にベランダから飛び降りはしなかった、ということは、少しは理性が残っていたのかも知れません。

 


そういう意味ではそれほど強烈な「胃火」ではなかったか、「心神」がそこまでは弱っていなかったのでは、と考えられます。

 


まあ、いずれにせよ、ああなる前に治療させてほしかったナー、近いんだし・・・。

 

 

という感じです・・・。

 

 


次回に続く

 

 

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ぎっくり腰!?

2010.07.30

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いや~、わたくし事で恐縮ですが、実はおとといの晩、僕としたことが、3年ぶりに”ぎっくり腰”になりました。(笑)

おとといの夕方、たまたま夜の患者さんがみえるまで、30分ほど時間があいたので、

「よっしゃ、掃除機でもかけよかな♪」

と思って、鼻歌交じりに”ブイ~ン・・・”とやっていたら、突然腰が、

「ピシッ!」


となって、歩くのも辛い状況に・・・。

(当然、その時点で鼻歌は中止。)

しかもその時点で、患者さんがみえる時間まで15分を切っていました。(苦笑)

しかし、頭をよぎった言葉は

”ピンチはチャンス(by小泉元総理)”、

こういう時こそ鍼師の本領発揮です。

即座に脈、舌の状態、どういう動きで痛みが出るか、それから痛みの性質、記憶にある限りの、この2,3日の飲食、大小便、睡眠等の状況から、

『痺証(痛>着痺)、バックボーンに腎虚あり』


と考え(細かい説明省略)、とあるツボに刺鍼。

即座に、ある程度ならば動けるようになる。

そしてそのままどうにかこうにか、夜の患者さんを十数人治療し、診療終了後、もう一度自分で自分を治療。

さらなる改善を確認し、すぐに楽な姿勢で休む。

 

(清明院の院内で)


そのまま清明院で寝てしまい、夜の2時過ぎに何となく目が覚めたので、再度ダメ押しで治療。

またグーッと眠気が来て、再び寝る。

朝、痛みの程度は発症時を数字の10とすると1~2程度。

ほとんど問題ない。

昼に副院長に鍼してもらう。

そして今日、痛みの程度は0。

可動域いっぱいまで動かした時のわずかな違和感を残すのみとなり、ほぼ完治。

今日はもちろん、おととい、昨日の患者さんでも、僕が腰を痛めているなんて、誰も気が付かなかっただろうと思います。

鍼最高。


おしまい

 

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「脾」って何ですか?(その2)

2010.06.16

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前回のお話

「脾」って何ですか?(その1)

 

「脾」の解説を続けます。

 

☆「脾」と「胃」はセット

 


東洋医学の「脾」という臓が一番深く関わる臓腑は、何と言っても「胃」という”腑(ふ)”です。

 


よく東洋医学家の間では、この2者をまとめて、「脾胃(ひい)」と呼んで、生理学、病理学を考えます。

 


この「胃の腑」については、また後ほど細かく解説しようと思いますが、東洋医学ではこの両者を、

「概念」の上から、

「機能」の上から、

「形態」の上からも、

キチッと分類し、説明しています。

 


人間の生命維持に欠かせない、毎日のことである「摂食行動」というイベント時には、脾と胃、この両者が非常にうまく協調することによって消化、吸収というスムーズな営みを作ります。

 

つまり「脾」を理解し、治療するためには「胃」への理解も欠かせない、まさに脾胃は2つで1つ、ニコイチ!!という訳です。

 


・・・と言っても、今はまず「脾」の方から解説していきます。

 


まず、人間がものを食べる、あるいは飲む、という行為を行うと、飲食物は「胃の腑」に入ります。

(これはなんとなく、一般的にも理解しやすいですよね?)

 


すると、ここでまず働くのが「脾」です。

 


「脾の臓」というのは「胃の腑」に隣接し、密着している臓、と考えられています。

 


これが、(形態については次回説明しようと思っていますが)刀のような形になったり、馬の蹄鉄のようなU字型の形に変化したりして、

 

飲食物の入った胃の腑をグイグイと揉む、と考えます。

(まあコレが要は、西洋医学的に言う”胃の蠕動運動”ってやつの、東洋医学的解釈です。イメージしにくいかな?)

 


そして、このように脾が胃を刺激することによって、飲食物を、胃よりも下に存在する「小腸の腑」「大腸の腑」に送っていきます。

 


ただ、ここで当然考えなくてはならないのは、単純に入ってきた飲食物を下へ下へ送っていくだけでなく、体にとって必要なものを取り出さなくてはなりません。

 


それこそが「脾」の最も重要な働きなんです。

 


要するに脾は「胃の腑」に入ってきた飲食物から体にとって重要な栄養である「気血のもと」を取り出し、なおかつ速やかに大便、小便を作って、

 

無駄なものが体に溜まらないようにする、「消化、吸収の要」なんです。

 


だからこの「脾」が弱ると、実に様々な消化器症状を呈します。

 


腹痛、下痢、便秘、嘔吐、胃もたれなどなど、挙げていけばキリがありません。

 


そして、「脾」が弱れば、無駄なもの、要らないものが体の中に留まりやすくなりますので、浮腫みやだるさ等の原因にもなり、他の4つの臓にも大変悪影響です。

 

現代は、戦後の食べるものがない時代とは180度違いますので、食べ過ぎ、飲み過ぎ、あるいは食事の欧米化により「脾」を痛めている人がとても多いように思います。

 


パンとコーヒー、チョコレート、キャラメル、ファーストフード、コーラ、スプライト、ファミレスでの肉食などなど、これらはすべて、

 

過剰になると、こぞって「脾胃」をいじめます。

 


小さい頃から、こういう加工食品まみれの食生活をしている現代の子供が、中年になる頃には、一体どんな「脾胃」になっちゃうんでしょうか・・・。

 


うちの身内にもいるけど、現代の、あまりにも多いアレルギーベイビー、消化器疾患の増加の大きな一因に、これがあるような気がしてなりません。

 


やっぱ日本人は白メシとみそ汁、魚と群馬の山で採れた野菜です!(笑)

 


欧米風の食卓や考え方も「一見」オシャレでスタイリッシュでいいけども、自分がどこまでいっても日本人であることを忘れてはイカンよなー、と思います。

 

 


次回に続く

 

 

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「寒痢」と「熱痢」

2010.06.13

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今日は久々のオフでございます。

 


先輩から頼まれていた古文献の閲覧、コピーをしに国立公文書館に行こうかな、と思っていましたが、電話したら、あそこって土日休みなんですってね!

 


知らんかった・・・。

 


じゃあ僕が行けるなんて至難の業じゃないですか!

 


ホントもう、役所とか、そういうとこって、何でいつもそうなの?

 


コンビニを見習いなさい!と言いたくなります。(笑)

 


・・・まあそれはともかく、今朝起きて、何気なく冷蔵庫のミネラルウォーターを飲んだら、直後に珍しく強烈な腹痛に襲われました。

「まさか、賞味期限切れか!?」

と思い確認しましたが、そんなことはない、

「・・・てことは、なるほど、冷えですか!」

ということで早朝から下痢という、貴重な休日の幕開けです。(笑)

 


この下痢というもの、ほとんどの方は経験したことがあると思います。

 


ただ、下痢はなにも悪いことばかりではありません。

 


体(消化器)が極端に冷やされた時、極端に消化に負担のかかるものをたくさん食べたり飲んだりしたときなんかに、それをお掃除する意味で下痢します。

 


これは、体を正常な状態に戻さんがための反応であり、これを無理に止めたり、我慢しすぎたら大変なことになる場合があります。

(てか多いです。僕は自分の体で実験済みです。丈夫な人はやってみな。ホントきついよ。(笑))

 


東洋医学では下痢を大きく2パターンに分類します。

 


体の内外の冷えからなるものを「寒痢(かんり)」、主に暴飲暴食などからなるものを「熱痢(ねつり)」と言います。

 


寒痢は臭いがさほどなく、水様になっていることが多く、熱痢は臭いがきつく、泥状で、排便時に肛門に灼熱感や痛みを伴うことがあります。

 


そしてさらにこの両者には、「虚実」があります。

 


「虚」の場合は、体側の消化吸収する力が弱っていて、必要なもの(まだ吸収しきれてない)が下ってしまうパターンです。

 


この場合は、下痢の中に消化されきっていないもの(未消化物)が混じっていたりします。

 


「実」の場合は、無駄なものを摂り過ぎたために起こるものです。

 


この場合は、便の内容物にもその”無駄なもの”が反映されます。

 

今朝の僕のケースは明らかに「寒痢」でした。

 


そして「実」です。

 


・・・まあ、「生理的な寒痢」とでも言うべきか、出たら腹痛はスッキリで、ハイ終わり、です。

 


このようになれば、体の調整作用が働いた結果であるだけなので問題ないけど、下痢した後にスッキリしたのではなく、下痢したら余計しんどいとか、

 

あるいは全然症状に変化がない、となると「看過できない病的な下痢」である可能性が高くなります。

 

 

大便、小便は、読んで字のごとく「大きな便り」、「小さな便り」ですから、その患者さんが日頃どういう傾向を持っていて、今現在どうなのかを知ることは、

 

正しい診断する上では欠かせないのです。

 

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「心」って何ですか?(その2)

2010.05.28

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前回のお話・・・


「心」って何ですか?(その1)

 

今日は、心の形態について考えてみたいと思います。

 

 


☆心は他の4臓と直接つながる


心の臓(類経図翼)

 

↑上の図が、東洋医学的な「心の臓」の図であります。

 

(中国明代、張景岳『類経図翼』より)


 
 
これを見ますと、心から直接4本の管が伸びていることが分かります。

 


それぞれの管は肝、脾、肺、腎という他の4つの臓に直接繋がっていることを示します。

 

この中で、「肺」とのつながりだけは他と比べて、少し違います。

 

この図に、ちょっと難しいけど、

「肺系即肺管」

という言葉が書いてありますね?

 

・・・まあ、ここは諸説あるようなんですが、要は心と肺とは、気管(空気の通り道)を通じて連結しており、

 

それ以外の3つの臓よりもさらに機能的に密接なつながりを持つ、と解釈すればよい、と思います。

 

 

 

「心の臓」は、それ以外の四臓のうち、「肺の臓」との繋がりが密接かつ特別です。

 

 

 

「肺の臓」”八葉蓮華”と言われ、蓮の花の姿で描かれるのに対して、「心の臓」”蓮の蕾(つぼみ)”として描かれます。

 

 

 

このことは、東洋医学の蔵象観自体が、仏教の影響を受けていることや、心と肺の同源性、同根性を示している示唆だと思います。

 

(私見です。) 

 

 


位置については、肺の下で膈(かく)の上、ちょうどみぞおちの少し上あたりにあるとされ、これは西洋医学の言う「心臓」の位置とほぼ一致します。

 


・・・しかしここで、東洋医学の言う「膈(かく)」というものは、西洋医学の言う、「横隔膜(おうかくまく)」とはまた違います。

 

古代の中国でも、人体を解剖する、という行為は当然ながら行われていたようです。

(『黄帝内経霊枢』経水篇(12)にすでに記載あり)

 

ですから、実際に人体を解剖してみて、西洋医学の言う「横隔膜」を目で見て、「膈」としたのでしょう。

 

しかし、そこから先は違います。

 

西洋医学の解剖学の本を見ると、「横隔膜」は筋肉であり、人間の呼吸運動に関わる、”呼吸筋”の一つであり云々・・・と出てきます。

 


つまり呼吸に関わる重要な筋肉である、という認識です。

 


これに対して東洋医学では、そうではありません。

 


まず、人体というものを働きの上から、横に三分割して考えています。

(すなわち、「膈」から上(上焦)、膈からおへそまで(中焦)、おへそから下(下焦)、という風に、です。)

 


そしてこの「膈」というものを、「膈」から下の、飲食物が消化吸収される、ある意味では汚れた世界(中焦、下焦)と、清らかな空気を吸い込む、

膈から上の綺麗な世界(上焦)とを分ける、大事な膜だ、と考えました。

 

(中焦と下焦の境界線には、膈のような物理的な境界はありません。)

 


「膈」があるから、その上に存在する「心」「肺」は特に綺麗でいられる、大便や小便のもととなるような、飲食物が消化吸収された”残りカスの気”が、

「膈」から上の世界には入ってこないのだ、と考えました。

 

面白いですねえ。。。

 

こういう発想、僕は大好きです!(笑)

 


まあいつも言うように、東洋医学は「医学」ですから、”面白い”だけでは終わりません。

 

この考え方に基づいて、鍼灸なり漢方なり、何か治療をしたら、キチッと効果があがる、言った通りになる!

 

 

患者さん喜ぶ!

 

だから、寝る間も惜しんでやる価値がある、という訳です。

 

 

・・・次回に続く

 

 

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