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2020.09.17
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(一社)北辰会のeラーニング、新たに10月分の講義内容が発表されました!!
(配信開始は9.21(月)からです!!)
今回の内容も、超豪華4本立て!!
どれも非常に重要な講義なんですが、今回の目玉も、何といっても油谷真空先生の「中医小児科学と鍼灸治療②」でしょう。
現代における小児の鍼灸臨床と言えば、関西を中心に「小児はり」というやり方、考え方が有名なんですが、北辰会方式では、患者さんが小児であっても、
初診時、親御さんからキチッと弁証問診をとり、乳幼児であっても出来る限りの体表観察をし、いつも通り弁証論治を進めます。
臓腑も経絡も経穴も未熟、未発達な小児、乳幼児をやる場合は、それ相応の感覚(コツのようなもの)が重要になります。
また、多くの小児は鍼を怖がりますし、じっとしていられないことが多いし、敏感であることも多いので、手法については主に刺さない鍼を巧みに用います。
・・・と、口で言うのは簡単ですが、この一連の流れを、親御さんも、治療を受ける小児自身もしっかりと安心させ、納得させながら、しかも親御さんが子供の様子を見ていて、
明らかに分かるくらいキチッと効かす、というクオリティーを及第点として、実際にやってみると、なかなか難しく、初級~中級のうちは頭を打つことも多いと思います。
(僕自身がそうでした(苦笑))
現・北辰会会長である藤本蓮風先生も
「小児、乳幼児が自在に扱えたら大したもんや。」
とよく仰います。
この辺の、実際の臨床現場での重要ポイントが満載の、なかなかない内容の講義となっております。
必聴です!!
2020.01.11
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ドライヤーやファンヒーターから出てくる熱風や、クーラーから出てくる冷風は、外邪たりうるか。
答えは「たりうる」。
(と思っています。)
しかしそれはあくまでも、外邪として感受すれば、の話だ。
こういった空調機器、冷暖房すべてが人体に害になる訳では無い。
むしろ益になることが多いから、これだけ普及している訳で。
今の時期、風呂上りに脱衣所が寒いところで、濡れ髪のままにしていたら、その方が外邪としての寒邪、寒湿邪を受ける。
ドライヤーでしっかりと乾かすこと、湯冷めしないように気を付けることで、外邪としての侵襲をかなり回避できる。
この場合は、ドライヤーの熱風は「生理的陽気」を扶助する役割を果たす。
また、ドライヤーを当てたら悪化した、イコール風熱邪を感受した、と即断するのも違う。
体表面(経絡経筋、皮毛レベル)の急激な温度変化から、気(主に衛気)の停滞を起こした、というケースもある。
もともと上熱下寒傾向のある人であれば、ドライヤーを使うと逆上せると仰る人もいる。
何でも
「どういう体質素因の人に」
「どういう刺激(条件)が加わり」
「結果的に何が起こったのか」
をしっかりと聴取し、考えうる可能性を絞り込み、なおかつ現時点での体表情報と合わせて、動かぬ証拠をつかまえた上で、臨機応変に考えるのが、弁証論治の世界。
杓子定規的にやったら、必ず間違う。
2020.01.10
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最近、「痰」が主要病理になっているものをよく診る。
癌、喘息、無呼吸、梅核気なんかはもちろん、頭痛や肩こり、坐骨神経痛などなど。。。
まあやはり、難病(というかしつこい病)に多いように思う。
西洋医学では「痰」と言えば呼吸器系の炎症性の病気の時に気道に出てくるあの分泌液のことを指すけど、東洋医学では全身どこにでも起こる、
生理的水分の停滞を指しますので、全身どこにでも「痰」という邪気は存在しえます。
しかも、「有形の痰」「無形の痰」なんていう言い方があって、水分が停滞して、粘稠性のある有形の邪気の塊となったものを「有形の痰」と呼称し、
まだ、いわば”モワッとしたミスト状”であり、粘滞性はあるけど塊をなしていないものを「無形の痰」なんて言ったりします。
当然、「有形の痰」の方が停滞のレベルがきつく、崩すのに時間も手間もかかりやすいと言えます。
しかしながら、「無形の痰」も、有形よりもつかみどころがない、得にくい、という意味では除去が難しいとも言えます。
このように、程度や特徴で分けているのであって、両者には連続性があり、有形の痰だから固形なんだから、必ず大便や月経血で排出されるとか、
無形の痰だから呼吸や不感蒸泄で発散されるとも限りません。
ただ、治療後の二便や発汗の変化は患者さんに十分に意識させますし、聴取します。
瘀血であれ湿痰であれ、病理産物を弁えたら、それが「どこに」「どの程度」あるか、「中心はどこか」を、見極めることが重要です。
これを考えながら、無駄のない手を打っていくのが「弁証論治」のやり方であります。
因みに、肺の臓の気機を塞いでくる痰に関しては、切れる(喀出できるかどうか)が大事です。
今日も診ましたが、置鍼中に急に患者さんが咳込んで、
「・・・あれ?」
と思って診ていると、暫く咳込んでから、ゴロッとした痰を吐き出して、声が綺麗になる。
気色が明るくなる。
たとえばこんな感じ。(゚∀゚)
2019.10.14
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「脊髄損傷」という病気があります。
これは病気というか、ケガ(外傷)からくるものがほとんどです。
最近ではプロレスラーの高山善廣さんが試合中の事故で起こしました。
背骨の中には「脊髄」という、中枢神経の束が入っている訳ですが、これが何らかの外傷によって障害されると、主にその障害部位から下のレベルの筋運動や感覚が機能しなくなってしまうという、大変気の毒な病気です。
この病気は、以前にもプロレスラーのハヤブサさんなど、有名人に何人か患った方がおられますので、知っている人も多いことと思います。
・・・で、これに対して、清明院の鍼灸はどうか、というお話。
僕は20代の前半から、今日に至るまで、ずーっと往診(在宅医療)をやらせていただいておりますので、脊髄損傷の患者さんを診させていただく機会は、これまでにも多々ありました。
仕事が出来ない、あるいは出来ても大変なハンデの中でおやりになっている方がほとんどですので、自費で継続して治療するのは大変なことですし、
外来では正直、あまり診る機会は少ないのですが、これまで、往診の患者さんも入れると、10人以上診ています。
今現在は、外来でも数名、診させていただいています。
もちろん普段通り、北辰会方式の弁証論治で対応します。
臨機応変な少数鍼治療と、養生指導が、僕に出来るすべてです。
これによって、主に飲食、二便、睡眠の状況を変えていき、リハビリでのストレスの緩和や、QOLの向上に繋げていきます。
脊髄損傷の患者さんに対する対応として、西洋医学的、リハビリテーション医学的に考えることと言えば、
「障害機能の回復」
「残存機能の維持・増進・改善」
です。
また現在ではiPS細胞を使った「再生医療」がこれにどこまで出来るのか、ということに期待が高まっています。
これに対して、我々東洋医学ではあくまでも
「一人一人の患者さんに合わせた、陰陽バランスの調整」
です。
・・・まあ、それが結果的に、残存機能の維持増進改善や、障害機能の回復に繋がれば良い、繋がるかどうか、どこまでいけるか、という話であるわけです。
脊髄損傷の患者さんが日々感じておられるストレスは、我々健常者の想像を絶するものだろうと思います。
生来の麻痺でなければ、健常であった時(動かせていた時)の記憶があるからこそ、尚更でしょう。
治療後に起こる変化に関して、こちらが過度な期待をし過ぎるとか、あるいは患者さんに期待させ過ぎるのはちょっと違うと思うし、何人か実際にやってみれば分かると思いますが、
患者さんも、術者の側も、実際は非常に根気のいる治療です。
それでも、密にコミュニケーションをとりながら、コツコツとあきらめずに治療していくと、麻痺までは回復しなくても、色々なポジティブな変化が出ることがあります。
発汗、排尿、排便、睡眠の状況の良性変化、また、上肢が動く患者さんでは車いすを使うので、肩こりや頭痛、逆上せ感などの不快な不定愁訴の改善、
何より日々の生活で感じるマイナスな気分の良性変化などなど、鍼灸治療の産物、副産物は枚挙にいとまがないです。
これは僕自身がこれまでに何度も経験しているところです。
本来は、脊髄損傷専門のリハビリ病院でも、積極的に東洋医学的な鍼灸漢方でのアプローチを採り入れるべきだと思っています。
2019.09.24
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9.22の日曜日は、(一社)北辰会定例会東京会場に参加してきました!!
この日は朝から実技訓練「原穴診・背侯診・取穴」。
初学者の方はまずは原穴や背部兪穴の正確な取穴部位や意味(穴性)の確認や基本的な触り方(フェザータッチ)の練習、中級者は、経穴のより精密な診方触り方、
上級者の人はそれをどう治療に結び付けるかの考え方の練習。
さらには、重要な合穴である「陰谷・曲泉」の取穴練習をしました。
これを臨床にどこまで活かせるかは受講者次第ですが、北辰会の講師はみんな真剣にやっています。
効果的に伝わればいいな、と思いますね。
午後は西東京で鍼灸梅庵という鍼灸院を開業しておられる竹山悠樹先生による「円形脱毛症の一症例」を、私と尾崎支部長で解説するという企画。
竹山先生は開業鍼灸師でありながら、幼少の頃より狂言師としても活躍しておられる個性派の先生です。
また、北辰会関東支部の運営面での事務関係でも能力を発揮して下さっており、縁の下の力持ち的な先生です。
この症例は先週、関西の本部でも検討した症例だったのですが、支部ではまた違った盛り上がり方を見せて、マズマズ良かったんじゃないかと思います。
先週も書いたように、円形脱毛症というのは決して簡単な疾患ではありませんが、色々工夫しながら、北辰会方式の弁証論治の精神に則って、
患部を触ることなく、一定の効果をあげた症例だったと思います。
今年度から久々にカリキュラムに症例検討会を入れていますが、これがやっぱ個人的には一番いいですね。
基礎中医学と臓腑経絡学をまずはやって、この医学の解剖生理学、基本的な病理学を学んだら、体表観察をやって、診断学、弁証論治の訓練をやって・・・、と。
今後もいい臨床家がたくさん育つでしょう。
終わった後は飲み会。。。
支部の飲み会に参加する人数も、10年前と比較したらずいぶん増えました。
喜ばしいことですね。(∩´∀`)∩
2019.09.23
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これまでのお話し
さて、続きいきましょう!!
◆戴震の気一元論。
「太極」「無極」の意味 2に、『道教事典』に書かれてある「太極」の意味の変遷を書いたが、ここに、
18世紀に清代考証学の大成者と言われる戴震(1723-1778)が出て、「存在の根源を気に求める思想」を決定的にした。
とある。
まあ、歴史的には王夫之さんから戴震さんの流れで、朱子さんの「理気二元論」の考えにさらに批判が加わって、
「理よりも気!」
「気こそは動き(自然界の運動)であり、存在の根源!!」
という理解が決定的になっていったようです。
さてこの、戴震さんの「気一元論」というのはどんなもんなんでしょ??
気のことを考える時の決定版的書籍である東京大学出版会『気の思想』には、戴震さんが
「気化流行、生々して息(や)まざる」
という表現を好んで用いたことを挙げ、戴震さんが「理」によって規定を受けない気の自己運動を認め、たえず運動することこそ気の本質的な性格とし、
静止することよりも運動することの方に大きな価値を認め、かつ生命(自然)を大いに尊重する、という思想を表明した、としています。(P475)
つまり、有形(形而下)も無形(形而上)も、一切は気の動きであって、気のその場その時でのありように名前を付けたのが「理」であるとし、
このように定義すると「気」を離れて「理」は存在しえない、ということになり、「理」よりも「気」を優先する立場をとりました。
・・・とあります。
ホントは戴震の論と王夫之の論をもっと精査しなきゃならんけど、この戴震さんの考え方に、北辰会の「気」解釈はかなり近いと言えるんじゃないでしょうか。
因みに、江戸期、京都の儒学者である伊藤仁斎(1627-1705)は戴震よりも約70年も早く、朱子の理気二元論を批判し、この「気一元論」を唱え、
後世に大きな影響を与えています。
後世に大きな影響を与えたということと、先見性という意味でも、伊藤仁斎の功績は非常に大きいと評価すべきでしょう。
伊藤仁斎の後、このブログでも何度も出てきている香川修庵、後藤艮山、並河天民、吉益東洞といった著名な医家が出てきて、いわゆる古方派医学が台頭し、
「一気留滞説」「万病一毒説」などの、日本的といわれる「万病一元論」とでも言うべきもの提唱し、医療界にある種の革命を起こしていきました。
約300年前の日本、江戸期のこの動きの延長線上に、現代でもよく言われるような
「中医学の弁証論治か、日本漢方の方証相対か。」
みたいな問題があることを考えると、ここらあたりの理解は非常に重要なことだと思いますね。
「方証相対」を含む記事 参照
次回、「太極」を図示した「太極図」に注目してみましょう。
続く。
2019.09.18
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これまでのお話し
さて、続きいきましょう!!
◆「無極」の意味
(一社)北辰会の会員諸氏にとって、この「太極」「無極」というパワーワードは、非常に気になるワードでしょう。
また北辰会の会員以外の先生方も、東洋医学の勉強がある程度進んだら、気になる人は多い筈。
僕がちょうど北辰会にチョロチョロと出入りするようになった2000年代の初頭の頃、蓮風先生はよく「初学者のための太極陰陽論」というテーマで講義なさっていました。
(当時は難解で、聴いていてもよく分かりませんでしたが。。。(∩´∀`)∩)
その講義内容を分かり易くまとめた本が『東洋医学の宇宙―太極陰陽論で知る人体と世界―』です。
因みにこの本は、堀内齊毉龍先生の『弁証論治のための論理学入門』と姉妹編になっていることも見逃せません。
しかも、蓮風先生の御尊父である藤本和風先生は「無極会」という勉強会を主催されていたことでも知られています。
(残念なことに、無極会は現在はありませんし、無極会としての著作も残っていません。。。)
・・・まあそんな訳で、このワードは藤本家、北辰会が非常に大事にしていることが分かります。
東洋医学の考え方を理解していくうえで、また、北辰会方式を習得していくうえで、妙に気になる、この「太極」「無極」に対する理解というのは、
根本哲学に関わるという意味で、重要ではないでしょうか。
前回、北宋代の周敦頤(1017-1073)の「無極而太極」という、これまたパワーワードを紹介しました。
ここで、まずは「無極」について調べてみましょう。
平河出版社『道教事典』によれば、
◆無極
元来は”極まりない”という意味。
『老子』『荘子』『列子』に、無名、無物、無形などとともに、”無”の様態を形容する語の一つとして、哲学的意味を付与されている。
「列子」を含む記事 参照
(列子に関しては紹介してなかったですね、良い機会なんで、これも書きましょう!!)
その後、『易経』の「太極」とともに、”太極=有の原理”、”無極=無の原理”として、より重い意味を持つようになる。
『易経』を含む記事 参照
つまり、有の本源に無を置くという思想から、儒教を超える道家思想、という図式を表現した。
道教文献の中にはもちろん”極まりない”という意味での「無極」という使われ方もあるが、主に、”太極の本源としての無極”という用例が目立つ。
また、「無極」を、経典そのものや、神仙の名称としても用いている。
南宋代の朱子(朱熹 1130-1200)は、無極と太極を同一次元のものとし、ともに「理」の基本的性格を表す語とし、有の次元に無の原理性を取り込んだ。
(んー、ここはムツカシー(゜o゜))
(以上引用。土田健次郎氏の文章を竹下が抜粋要約補足改変。)
〇
・・・まあなるほど、「無極」はもともとは諸家の本に出てくる、極まりない、というほどの意味の言葉だったのが、『易経』の太極(生成論の最初を意味するアレね)と比較検討されていくことで、
理解が深まっていき、これも認識論哲学的な、重い意味を持つようになった、と。
このように、儒家の考え方と道家の考え方というのは、時代時代で接触したり離れたりしつつ、言葉の意味の検討を通じて、切磋琢磨してきた歴史があるようですね。
(また、古代中国で、インドから来た仏教を理解するのに、道家や儒家の考え方がその解釈に入っていったことも興味深いですね。)
まあ、「太極」「無極」という熟語の理解においては、宋代の周敦頤から朱子の流れがやはり決定的であるようで、ここをもう少し理解するためには、
朱子学における「理」の意味を少し掘り下げて理解した方がいいように感じます。
続く
【参考文献】
『道教事典』平河出版社
2019.09.04
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夏休みが終わり、今日から東洋鍼灸専門学校の講義が再開しました!!
あっという間ですな。。。
前期の学生さんはあと3コマ授業をやって、テストをやって、終わりです。
来週からは恒例の公開臨床。
我々が日々行っている、北辰会方式の弁証論治、つまり弁証問診~体表観察~弁証~治療~養生指導~予後の推定までの一連の流れを、ありありと、
フルオープンで一部始終見せるという、今から20年以上前、1990年代に、蓮風先生が世界の鍼灸史上、恐らく初めて始めた、素晴らしい企画です。
僕も2000年にこれを生で見て、その後、これに非常に憧れ、共感して、今から数年前から学校教育の中で、毎年やらせてもらっています。
臨床家が、実際に体が悪い人を相手に、ガチンコのありのままの治療を見せる、これは大事なことです。
自分でモデル役を連れてきて、自分の刺鍼術のデモを見せるのとかとは、まったく次元の違うことです。
近年では、蓮風先生以外の、北辰会の大先輩方の公開臨床も、本部で見れます。
(今年度は関東でも!!)
さーて、今年はどんなモデルさんが出て来るのか。。。
楽しみですな☆(゚∀゚)
2019.06.15
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これまでのお話し
刺激量の問題 ③ 参照
◆置鍼か単刺か。 つづき
前回お話ししたように、北辰会方式はキホン一本鍼。
刺激は少なく、効果は大きく、一本一本の意義を明確に、説明を丁寧に、慰安でなく、徹底した治療のための鍼を、ということあたりを追求していった結果として、
私がたどり着いたのは、北辰会方式でした。
・・・でもこの一本にも、また色々ある。
単純に証の虚実に合わせて、随証的に補か瀉か、という問題以外にも、置鍼するのか、単刺なのか、速刺速抜なのか、手技を加えるのか、などなど。
補瀉 参照
刺激量の問題 ②で述べたように、刺さないで触れるのみとか、翳すのみ、というパターンもある。
北辰会方式では基本的には江戸期の杉山流で言われるような手技だったり、中医学で言われるような複雑で芸術的な補瀉手技を加えず、四診の結果、
よーく吟味して一穴を選んだ後、そこに目的の刺入深度まで独特の刺鍼法(撓入鍼法)で刺鍼したら、あとはほとんど、置鍼するのみです。
これは、術者間でのバラつきを出来るだけなくし、医療としての定量化を図る、という狙いがあります。
手技に拘っていくと、当然ながらよりエレガントなテクニックの追求合戦になっていき、手先の器用な人とそうでない人の間で、大きく治療効果の分かれる治療方式になってしまいますよね。
それでは結果的に使い手の範囲が狭まります。
みんなで共有する治療方式としては、結果的に価値の低いものになってしまいます。
他にも、このことの背景には、老子の言う「無為自然」的に、気を動かす治療上、あまり作為的に手技を加えない方が、かえって患者さんの「治る力」は大きく動く、
という蓮風先生の御考えもあるようです。
「無為自然」を含む記事 参照
いずれにせよ、結果的に置鍼が基本です。
でも、置鍼にも置鍼時間があるし、置鍼せずに「単刺」という手法を用いる場合もある。
また長くなってしまった。。。(^^;)
続く
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2019.03.03
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ここまで、四君子湯を処方されていた患者さんがたまたま見えたことをきっかけに、脾胃が病んだ時の処方についてツラツラと書いてみた。
もちろん、湯液の専門家の先生から見たら笑っちゃうような、超大づかみの内容であり、間違いや曲解もあるかもしれないが、そもそもこのブログを専門家向けに書いたことは、この10年間、ほぼない。
あくまでも、この医学を全く知らない人、あるいは懐疑的な人(つまりほとんどの日本人(苦笑))を中心に、専門的な内容といっても、せいぜい初学者やディレッタントに向けて、
この医学の特長、特性を少しでも知ってもらおうと、書いている。
一応自分なりに調べた上で書いているつもりですが、もし間違い等があったら、すぐに修正しますので、ぜひご教示いただきたい。
・・・まあともかく、昨日、「安中散」と方意が似ている方剤として、「大建中湯」に触れた。
この方剤、意外と現代の消化器外科のドクターが処方することが多いようだ。
なぜなら、大腸癌術後の腸閉塞(イレウス)に有効であるという論文が出ているからだそうだ。
論文等については、大建中湯のツムラさんの説明書に簡潔に紹介されている。
このように、東洋医学的な整体観、人体観、疾病観に則った、弁証論治の結果としてではなく、西洋医学的な病名に基づいて、論文で有効性が一定認められているから、
という理由で、漢方薬が乱用されているケースが少なくないようだ。
実際にこれを処方している医師に、『金匱要略』や、その後の名医が残した「大建中湯」に関する諸文献を読んだ上で使用している先生は少ないのではないだろうか。。。
全く東洋医学の教育を受けたことがない医師が、腹診も脈診も舌診もせず、東洋医学的な人体観(臓腑経絡学説や病因論等々)や、弁証問診もしない中で、
西洋医学的病名のみを頼りに同一の漢方薬を長期に乱用する。。。
・・・これはー、どうだろうか。
やはり、この考え方は、生薬資源の無駄遣いに、繋がらないだろうか。
私の知己の、漢方家は、みな口を揃えてそう言っている。。。
脾胃の病といっても、ここまで紹介したパターンもそうだし、まだまだ他にも、たくさんある。
それを的確に分析し、良化や悪化の流れを考えて、その時点で最もフィットする方剤や、鍼灸で言えば配穴や手技を選び、経過に応じて加減していくことが出来るのが、東洋医学の叡智だと思うんですが。。。
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2024年10月の活動記録2024.11.01
2024年 11月の診療日時2024.10.10
清明院15周年!!!2024.10.09
2024年9月の活動記録2024.10.01
2024年 10月の診療日時2024.09.19
2024年8月の活動記録2024.09.01
2024年 9月の診療日時2024.08.03
2024年7月の活動記録2024.08.01
2024年 8月の診療日時2024.07.10
患者さんの声(70代女性 目の痛み、不安感)2024.07.05
2024年6月の活動記録2024.07.01
2024年 7月の診療日時2024.06.05
2024年5月の活動記録2024.06.01
2024年 6月の診療日時2024.05.10
2024年4月の活動記録2024.05.01
2024年 5月の診療日時2024.04.13
(一社)北辰会、組織再編。2024.04.02
2024年3月の活動記録2024.04.01
2024年 4月の診療日時2024.03.14
2024年2月の活動記録2024.03.01
2024年 3月の診療日時2024.02.15
2.17(土)ドクターズプライムアカデミアで喋ります!2024.02.04
3.10(日)(公社)群馬県鍼灸師会で講演します!2024.02.03
3.3(日)「浅川ゼミ会」にて講演します!2024.02.02
2024年1月の活動記録2024.02.01
2.25(日)順天堂東医研、第5回特別公開シンポジウム「日本とインドの伝統医学」に登壇します!!2024.02.01
2024年 2月の診療日時2024.01.11
2023年、9月~年末の活動一覧2024.01.05
診療再開!!2024.01.01
2024年 1月の診療日時2023.12.30
2023年、鍼療納め!!2023.12.21
(一社)北辰会、冬季研修会のお知らせ2023.12.01
2023年 12月の診療日時2023.11.26
患者さんの声(60代女性 背部、頚部の痒み、首肩凝り、高血圧、夜間尿)2023.11.25
患者さんの声(70代女性 耳鳴、頭鳴、頭重感、腰下肢痛、倦怠感)2023.11.22
12.3(日)市民公開講座、申し込み締め切り迫る!!2023.11.21
今週からの講演スケジュール2023.11.16
日本東方医学会学術大会、申し込み締め切り迫る!!2023.11.01
2023年 11月の診療日時2023.10.10
清明院14周年!!2023.10.04
12.3(日)市民公開講座やります!!2023.10.01
2023年 10月の診療日時2023.09.23
第41回、日本東方医学会学術大会のお知らせ2023.09.22
第55回、順天堂東医研に参加してきました!2023.09.21
第27回、日本病院総合診療医学会で発表してきました!!2023.09.20
Dr’s Prime Academiaで喋ってきました!2023.09.01
2023年 9月の診療日時2023.08.18
第54回、順天堂東医研で喋ってきました!2023.08.17
順天堂東医研の学生さんと、「森のくすり塾」へ。2023.08.16
診療再開!!