東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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薬によるコントロールから外れる決心

2018.05.25

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先日、こんな症例を経験した。

 

 

ある難治性疾患の患者さん。

 

 

ステロイド剤で炎症をコントロールしているが、減薬すると再発するため、ステロイドから離脱できない。

 

 

これまでに、何度も何度も再発を繰り返している。

 

 

病院からは、これ以上再発を繰り返すようであれば、免疫抑制剤での管理を勧められるも、それには非常に抵抗を感じている。

 

 

そこで、去年の秋から清明院での鍼灸治療、加えて漢方専門薬局での漢方治療を開始し、それ以降、体調もすこぶるよく、再発もしていなかったが、今春、残念なことに再発した。

 

(因みに、前回の再発よりも、大幅に時間的には空いたが。)

 

 

ここで、思い切ってそのままステロイドを減らし続け、免疫抑制剤も使用しない、という判断を、患者さん自身がなさった。

 

 

案の定、一時的に炎症は激化し、体調としてはどん底に落ち込んだが、そこから徐々に徐々に復活し、現在、ステロイドなしで、炎症は起こっていない状態で安定している。

 

 

もちろん、清明院では、減薬や廃薬については、一切口出ししていない。

 

 

病院の方針に背いた判断が、吉と出るか凶と出るかで、吉と出たパターンだろうと思う。

 

(もちろん、凶と出るパターンになったとしても受け入れる、という覚悟の上でのご判断だったそうです。)

 

 

アトピーしかり膠原病しかり、高血圧しかり、こういう症例、実は鍼灸院では意外と経験する。

 

 

しかし、こういう患者さんの判断が凶と出るパターンもある訳だから、迂闊なアドバイスは出来ないし、お勧めもしない。

 

(そもそも鍼灸師に、投薬に関して助言できる権限はないのは百も承知。)

 

 

ただ、西洋薬(化学物質)の大量投与や継続投与で、症状やバイタルサインをコントロール下に置いた、ということと、治る、ということはまったく違う。

 

 

もちろんデータは大事、コントロールも大事であるが、医療界、というか世の中全体が、「治る力」をもう少し信じてもいいように思う。

 

 

そう願いながら、日々やっている。

 

 

 

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症例報告が完成に向かう

2018.03.12

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去年の年末ギリギリに、学会に提出した二本の症例報告。(苦笑)

 

 

一つは熊本で行われた日本中医学会で口演発表したもの(再生不良性貧血の既往のある妊婦さんの症例)、

 

もう一つは石川で行われた日本伝統鍼灸学会で口演発表したもの(アトピー性皮膚炎の乳児の症例)。

 

 

先生方みんな、口演発表で終わり、ではなく、キッチリと詳細を文章化して、学会誌に残しておくべきだと「僕は」思います。

 

 

日本中医学会の方は、査読を受けて修正も終わり、原稿の校正作業も終わり、あとは学会誌に掲載されるのみだと思います。

 

 

日本伝統鍼灸学会の方の査読も返ってきまして、現在修正中です。

 

 

まあ、来週か再来週中には提出できることと思います。

 

 

今回、学会関係はこの二つが完全終了するまでは、何も考えないことにしようと思っていましたので、この二つが掲載されたことを見届けたら、学会関係は次の行動を考えようと思います。

 

 

今年の9月に東京で行われる日本中医学会にまた出ていくか、こないだ参加させていただいた日本東方医学会か、あるいは日本東洋医学会か。

 

 

今年は両方でなく、どっちかにしようと思います。(苦笑)

 

 

今回、後輩たちも今後、症例報告を出しやすくできるようにと、医学論文としての「一例報告」のガイドライン(CARE)のチェック項目に則った構成を心掛けつつ、

 

論文としての面白さも失わないように心がけて書きました。

 

 

掲載されたら、読んでネ☆(*‘∀‘)

 

 

 

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本日の医案回想

2018.03.07

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いきなりですが、本日の医案(カルテ)を回想しましょう。

 

 

今日、就職希望者を二人ほど面接しましたが、

 

「なぜ清明院で働こうと思ったんですか?」

 

というごく当然の問いに対して、求職者は

 

「東洋医学で病気を診ている鍼灸院で働きたいと思いました。」

 

と仰る。

 

 

以前書きましたが、ないんですよ本当に、そういう鍼灸院の「まともな」求人て。。。

 

東洋医学をやっている鍼灸院の求人がほとんどないメカニズム 5   参照

 

 

・・・で、僕は今日も、たくさんの病気を診させていただきました。

 

 

今日の患者さんの医案(カルテ)の中から10例ほどピックアップし、回想してみたいと思います。

 

 

1.ADHD、アトピー、不眠の若い女性

 

2.卵巣癌による子宮、卵巣全摘後の全身倦怠感、動悸、浮腫などの不定愁訴の中年女性

 

3.うつ病の中年男性

 

4.口腔扁平苔癬の中年女性と男性

 

5.全頭脱毛の男児

 

6.動悸、息切れ、皮膚瘙痒の高齢女性

 

7.生理不順の若い女性

 

8.人工関節置換術後も継続する疼痛の中年女性

 

9.視野欠損の高齢男性

 

10.リウマチ性多発筋痛症の中年女性

 

という感じです。

 

 

上記は、それがそのまま患者さんの主訴であって、こういう傷病名を持った患者さんが、肩こり腰痛で来てるよ、とか、そういう話じゃないんです。

 

 

みんな、上記のような病気で、一度は西洋医学の専門医にかかり、良くならないから我々東洋医学のところに来られた患者さんです。

 

 

現在は東洋医学単独の人もいますし、西洋医学と並行して治療している患者さんもおられます。

 

 

そして、上記のほとんどは数カ月継続来院患者さんであり、主訴も緩解傾向であります。

 

 

鍼一本で、あらゆる病と真剣勝負する、させていただける、この仕事の、超好きなトコです。(゚∀゚)

 

 

鍼最高!!

 

 

 

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最近の症例 ⑧ 手足の痺れ

2017.10.25

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さて、いくつか紹介してきましたが、ここらで一区切りとしましょう。

 

 

こういうのやってたら、ホント果てしなく紹介できるんだがね。。。

 

 

とにかく、鍼はスゲエから!(゚∀゚)

 

 

これまでの症例

 

最近の症例 ① 抗がん剤治療後に発症した諸症状

最近の症例 ② 男児のネフローゼ

最近の症例 ③ 生まれつきのアトピー

最近の症例 ④ 好酸球性肺炎

最近の症例 ⑤ 慢性扁桃炎、咳

最近の症例 ⑥ 癌(大腸、肝臓、腹部リンパ)、便秘

最近の症例 ⑦ 卵巣嚢腫、生理痛     参照

 

 

・・・ではいきましょう。

 

 

患者 40代 男性

 

主訴 手足の痺れ感

 

現病歴 初診の3カ月ほど前から手足の先に痺れ感を感じる。(チクチク、違和感、力が入らない)

 

既往歴 脊髄損傷、過敏性腸症候群 

 

弁証 腎虚、血虚

 

配穴 明らかにしない

 

経過 初診後、症状が少しマシになる。3回の治療で、ほぼ改善。

 

5回目では、自覚症状消失。

 

過去に事故による脊髄損傷で1カ月ほど歩行不能になった既往歴があり、今後も注意深く診ていく予定。

 

 

 

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最近の症例 ⑤ 慢性扁桃炎、咳

2017.10.21

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こないだ、何となく書き始めたシリーズ。

 

最近の症例 ① 抗がん剤治療後に発症した諸症状

最近の症例 ② 男児のネフローゼ

最近の症例 ③ 生まれつきのアトピー

最近の症例 ④ 好酸球性肺炎     参照

 

 

せっかくなんで、もう少し紹介しましょう。

 

 

患者 30代 男性

 

主訴 慢性扁桃炎による痰、咳、咽喉の異物感

 

随伴症状 咽喉の渇き、めまい

 

現病歴 清明院初診の3年前より発症。病院、漢方、鍼灸と、色々試したが良くならない。

 

(何か治療をすると、症状少し落ち着くが、完全には改善しない状況。ピーク時を比較すれば症状の強さは半分以下の状況)

 

既往歴 突発性難聴 慢性鼻炎

 

弁証 肺胃不和 湿痰 

 

配穴 明らかにしない

 

経過 初診後、咳、痰が改善。

 

遠方であり、多忙でもあることから、漢方の先生の力を借りる。

 

(処方名は明らかにしない)

 

現在、経過良好。ほとんど崩れなくなっている。

 

 

他の治療院の鍼灸や漢方でダメでも、清明院のやり方考え方でならうまくいく症例、というのがある。

 

 

 

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日本伝統鍼灸学会に参加してきました!!(2日目編)

2017.10.18

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昨日、金沢で行われた日本伝統鍼灸学会の1日目について書きました。

 

日本伝統鍼灸学会に参加してきました!!(1日目編) 参照

 

 

・・・で、今日は二日目について書きます。

 

 

1日目の夜に遅くまで気分よくお酒を飲んで、2日目は眠い中、朝から何とか起きていって、症例を発表してきました!!

 

 

内容は

 

「乳児のアトピー性皮膚炎」

 

の1症例です。

 

 

前日のお酒の麻酔のせいか、まだ脳が半分寝ていて、なんだかぼんやりとしていましたが、まずまず上手くいったんじゃないでしょうか。(笑)

 

 

会場には蓮風先生もいらしており、客席が暗くて蓮風先生を発見できなかったのが、結果的には良かったと思います。

 

(苦笑・・・リラックスして発表出来ました)

 

 

その後は医師である菅原健先生による

 

「方輿輗(ほうよげい)に見られる灸治」

 

というご講演。

 

 

この講演は(一社)北辰会学術部長の奥村裕一先生が座長を務めておられ、最後までは聴けなかったのですが、なかなか興味深い内容でした。

 

『方輿輗(ほうよげい)』というのは、このブログでも依然紹介した有持桂里(1758-1835)先生の代表作です。

 

有持桂里という人物

墓マイラー 7        参照

 

菅原先生のフィールドワーカーっぷりに脱帽でしたね。(笑)

 

 

その後は中国人の王先生による鍼灸実技。

 

 

実はこの実技、僕の東京衛生学園の臨床教育専攻科時代の同期である渡邉大祐先生による通訳で行われました。

 

 

渡邉先生の通訳、メチャクチャ分かりやすい!

 

 

そして中医師の王先生の手技も安定感抜群!

 

 

中医師の先生の鍼というと、昔から、何か荒っぽくて痛そうとか、何となく不衛生な感じがするとか、そういうマイナスイメージがあったかと思いますが、

 

鍼の扱いは丁寧で衛生的であり、しかも少数鍼、余分な鍼を打たないように工夫しているなあ、と感じました。

 

 

あれを突き詰めていったら、北辰会方式になるんじゃないすか・・・?とすら思ってしまいましたネ。(笑)

 

 

ここでちょっと中座させていただいて、以前から行きたかった鈴木大拙館へ。

 

 

以前このブログでも紹介しましたが、鈴木大拙は、西田幾多郎と並んで、当時の日本の頭脳と言ってもいいような人物です。

 

(ここに藤岡作太郎を入れて”加賀の三太朗”なんていう呼び名もあるようです。)

 

鈴木大拙という人物

西田幾多郎という人物   参照

 

 

「禅」の考え方を通じて、世界中に日本の思想、東洋の思想を紹介した、日本人初の世界的な哲学者とも言われる大拙先生。

 

 

とても雰囲気のいい場所でした。

 

 

・・・で、会場に戻って、戸ヶ崎正男先生の講演

 

「江戸期の鍼灸臨床から何を学ぶか」

 

を拝聴し、今回は終了。

 

 

戸ヶ崎先生が仰っていたように、伝統医学における色々な難しいことの標準化などは、みんなで協力しながら行うべきだと思います。

 

(なかなか難しいですけどね。)

 

 

今回、時間が許せば、全講演聴きたかったですが、まあ仕方ない。

 

 

でも十分に満足出来ました!

 

 

・・・なんかこう、次世代の流れを感じさせるというか、今後の大きな動きを予感できるような学会だったと思います。

 

 

これから色々、面白くなりそうだ。(゚∀゚)

 

 

 

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(一社)北辰会エキスパートコースに行ってきました!!

2017.09.05

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9.3の日曜日は、(一社)北辰会エキスパートコースに参加してきました!!

 

(てゆーか喋ってきました!!)

 

 

今回は久々の1日座学。

 

 

午前中は北辰会の漢方医である竹本喜典先生、鍼灸師で薬剤師、北辰会の特別専門講師である島内薫先生による方剤学講義。

 

(まあお二方とも、とんでもない勉強量の先生です。( ゚Д゚))

 

 

メインテーマは「芍薬」「肝の臓」です。

 

過去記事「芍薬」を含む記事

過去記事「肝の臓」を含む記事    参照

 

 

「立てば芍薬、座れば牡丹」の言葉で有名な芍薬。

 

 

実に色々な漢方に入っている生薬です。

 

 

この芍薬周辺の知識を、十分すぎる内容で解説して下さいました。

 

 

まあ鍼灸師としては、さあ鍼で「肝の臓」を動かそうとして鍼をするときに、「芍薬的な効果」を意識して鍼をするかどうか、って話です。

 

(その際に、方剤名や傷寒論の条文まで浮かんでいる先生は少ないと思いますが。。)

 

「傷寒論」を含む記事 参照

 

 

まあエキスパートコースですから、基本的なことは理解している人を対象とした内容だったので、漢方薬の勉強をしたことがない人にとっては少しキツかったかもしれませんが、

 

大変わかりやすい講義でした。

 

 

竹本先生の講義に熱が入り過ぎて、島内先生の補足時間が10分になってしまいましたが、あの短時間に

 

「サスガ!」

 

と唸ってしまうような素晴らしい補足でした。

 

 

午後一は、9月の日本中医学会、10月の日本伝統鍼灸学会で発表させていただく、不肖私の2症例を、本番と同じ発表時間で発表させていただきました。

 

 

本番では質疑応答の時間は3分程度なんですが、今回は1症例あたり30分程度お時間をいただき、少しだけではありますが、検討することが出来ました。

 

 

因みに竹本先生から再生不良性貧血、辺縁前置胎盤の西洋医学的解説もしていただき、大先輩である佐野先生、奥村先生が過去に色々な学会で発表してこられた、

 

アトピー性皮膚炎の症例集積の話もすることが出来ました。

 

 

まあ、まずまず満足かな。

 

 

次は奥村先生の発表「日本における中医鍼灸の受容と役割」

 

 

奥村先生はもはや25年以上、北辰会不動の学術部長で、相変わらずの、圧倒的知識量です。

 

 

今回の症例でも、まとめていく過程の中で、竹本先生、佐野先生とともに、かなりお世話になりました。

 

 

最後は藤本新風先生による、10月の伝統鍼灸学会で行う発表内容の講義と実技。

 

 

ちゃっかり鍼してもらっちった☆

 

(そしてよく効いた(゚∀゚))

 

 

今回、こないだのカゼがまだ完璧ではなかったんですが、まずまず、事なきを得たと言っていいんじゃないでしょうかね。

 

 

ふいー、後は本番。

 

 

いったん休んで、また集中します。

 

 

 

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「浮く」の意味 まとめ

2015.12.12

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これまでのお話

 

「浮く」の意味

「浮く」の意味 2

「浮く」の意味 3

「浮く」の意味 4

 「浮く」の意味 5

「浮く」の意味 6     参照

 

 

 

では続きいきまーす!!!

 

 

 

 というか最後です。

 

 

 

ここまで、東洋医学の中で重要な「浮」という文字に関して諸文献からの字解きを進めてきました。

 

 

 

基本的には、字源から見ても、

 

”水面に浮く”

 

という意味合いが強いようですが、雲の様に、

 

”空間に浮き上がる、漂い動く”

 

という意味も含まれるようであることが分かりました。

 

 

 

東洋医学の原典である『黄帝内経』”霊枢 衛気萹(52)”、”素問 気府論(59)”というところに、”浮気(ふき)”という表現が出てきます。

 

 

気府論の方では頭の方に浮き上がる気、という意味合いで使われていますが、問題は衛気篇の方です。

 

 

 

衛気篇における”浮気”という表現は、我々の治療にとって非常に関係の深い”衛気”のことを指しています。

 

 

 

東洋医学における”衛気”というのは「衛気」って何ですか? その9 でも示したように、経脈の外を巡って、体を防衛する気のことです。

 

 

 

さて、ここでいう”浮気”なるものが、「体の”外”の、空間部分をも巡る存在である。」と言ってしまっていいのか、ここは実はけっこう慎重に検討するべき問題のようです。

 

 

これに関して、歴代医家の注釈や解釈等を調べたりしましたが、体表から離れた部分をも気が巡っており、それを刺さない鍼(翳す鍼や接触鍼)で調整できる、

 

ということを述べた医家はいないようです。

 

(研究家の先生方、もしおられましたら是非ご教示ください。)

 

 

また一方で、気功家の方では「内気」「外気」という考え方があり、患者さんの体に手を翳したりして「外気」を動かす、調整する、という考え方は存在するようです。

 

(また、治療者の内気をコントロールして、外気として放出し、病気を治したりするのが気功家のやり方ですね。)

 

 

私もかつて、とある気功家(鍼灸家でもある)の先生に、この”外気”を操作されて、実際に体が大きく動かされる、という不思議な経験をしたことがあります。

 

 

ここまで書き進めてきたように、”浮”の字解き、”気”の字解きからすれば、「衛気」「浮気」とも考えられ、体表面から離れたところにも流れており、

 

それを刺さない鍼で補瀉(調整)出来る、と言ってしまってもいいように思います。

 

「気」の字解き 9 参照

 

 

これまで、従来からの一般的な東洋医学、鍼灸医学の歴史からすれば、この「衛気」というものは、あくまでも「体内の」「皮膚表面付近の」浅い部分を流れる気、

 

という風に定義されてきたようです。

 

 

多くの臨床事実や、字義解釈、また気功家の考えも参考にしながら、「衛気」「浮気」として解釈し、診察や治療に運用することに、どのような問題があるのか。

 

 

これから、私なりにこの問題をもうちょっと専門的に考究してみたいと思いますが、一般人からすればどうでも良すぎるし、難しすぎる問題ですので、

 

ブログに書くのはここまでにしますね。(笑)

 

 

専門家の先生方は、日本伝統鍼灸学会の学会誌『伝統鍼灸』第45巻第1号(通巻92号)に、拙著の症例報告「乳児のアトピー性皮膚炎の一症例」が掲載されており、

 

その症例報告論文の末尾の考察部分に、この問題についてまとめてありますので、宜しかったらご参照ください。

 

 

 

このシリーズ、おわり。

 

 

 

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症状そのものが心神に与える影響を考慮する

2015.03.09

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最近、いわゆる「極論本」がチョイチョイ話題になる。

「癌と闘うな」

「病院にかかると死ぬ」

「健康診断は受けない方がいい」

「薬は百害あって一利なし」

といった類の論調。


・・・まあ、あまりにも、患者さんや、そのご家族の意向を無視したような、どう考えても不必要と思われるような治療を重ねた結果、

どうにもならなくなってしまい、病院から見離された患者さんを目の当たりにすると、こういう考え方になびかないでもないが、

しょせん、極論は極論。


「中庸」を忘れてもらっちゃ困る。

『中庸』の名言
『中庸(ちゅうよう)』の定義づけ
中庸の学  参照



少し話が違うかもしれないが、時には、キツイ西洋薬でもって強引にその場の症状を抑えるという方法が、局面を打開する場合がある。

「その場しのぎ」、「その場だけじゃないしのぎ」になる場合がある。


僕は、アトピーなどの皮膚疾患が、ある時期、何かをきっかけに激烈に悪化したときなんかは、皮膚科受診(ステロイドの使用)を勧める場合もあるし、

疼痛疾患などで夜も眠れないとか、七転八倒して叫びだすほどの疼痛であれば、強力な鎮痛剤の使用もやむを得ないケースがある、と考えている。


どういう場合に、対症療法を優先すべきか。


そして、どういう場合に、西洋医学による処置を優先すべきか。


こういう診断学が、もっと発展すればいいのに、と、思わなくもない。


もちろん、我々東洋医学にも、入院施設があって、24時間体制で3食管理しながらあらゆる治療をやらせてくれるのであれば、

上記のような症状にも東洋医学で十分に対応できるのかもしれないが、現状、我々に提供出来る医療体制の、

現実における限界点の問題がある。

激烈な症状そのものが、患者の不安感に繋がり、その不安感が二次的、三次的な症状を生み出してしまうとともに、

もともとの症状をも、多分に悪化させるというケースがある。

不安と焦りと病 参照

 


そうであれば、とにもかくにも、まずは症状そのものを何とかしないと話にならない場面があるのだ。

もちろん中庸を弁えた上でだが、ある意味「極論」を取った方がいい場面というのが、臨床現場には厳然とあるのだ。

しかし、だからと言って極論そのものを声高に叫ぶのは、僕的にはあまりいい感じがしない。

 

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歯を治療したら掌蹠膿疱症が治っちゃった

2014.11.29

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こないだ、知り合いの歯医者さんと話していて、面白いことを聞いた。

「歯の治療をしたら、掌蹠膿疱症が治っちゃった、という症例がある。」

という。

(ただまあ、その事実のみをもって、掌蹠膿疱症の原病巣が歯だった、というのはいきすぎだけどね、と仰っていたが。)

 

こういう話は、他にも聞いたことがある。

歯を治療したら花粉症が治った、とか、アトピーが治った、とか。


我々、「東洋医学の考え方に基づいて治療を行なう鍼灸師」は、金属である鍼によって、経穴に微妙な刺激を与えて、それに対する生体の反応を利用して、

 

「治る力」を引き出し、病気を治すのが仕事。


日々、金属製の鍼による、ごくわずかな刺激で、患者さんの体が劇的に変化するを見ていると、「歯」という、口腔粘膜に24時間、常に触れ、

しかも唾液にも触れている部分(間接的に胃腸にも刺激が伝わる)に、銀歯や金歯、その他の詰め物などの金属があるというのは、如何なものか、

と、考えさせられる。

 

何らかの影響を、全身に及ぼしているはずだ。

 

あらゆる病気の原因になっていたって、おかしくないと思う。

 

慢性病の方は、噛み合わせや、口腔内の金属の除去、やってみる価値があると思う。

 

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