お電話
03-6300-0763
10:00~21:00(完全予約制)
2011.07.12
**********************************************************************************************
↑↑↑ ↑↑↑
この2つのバナーを、1日1回クリックに是非ご協力下さい!<m(__)m>
クリックしていただくと、ランキングポイントが上がります!!
**********************************************************************************************
これまでのお話・・・
「心包」って何ですか?(その6)
「三焦」って何ですか?
「三焦」って何ですか?(その2)
「三焦」って何ですか?(その3)
さあさあ、ドンドコ行きます。
☆「三焦」は”外からの熱による病(温病)”の段階と程度、状態を表わすことがある。
・・・人間は、色々な原因があって病気になるワケですが、中国南宋の陳言(1131-1189)先生の『三因方』の分類によれば、
1.外の環境の変化によって病になったモノ(外因:がいいん)
2.不養生、不摂生などによって、体内環境の変化によって病気になったモノ(内因:ないいん)
3.その他の要因によって病になったモノ(不内外因:ふないがいいん)
→例えば先天性の病気、ケガ、虫さされ、毒蛇にかまれたetc…
以上の3つに大別されます。
1.の中の一つで、特に外からの「熱邪(ねつじゃ):外界の過剰な熱」による病について考えた時、「三焦」という言葉を使って、
「病の位置」
「病の程度」
「病の状態」
を表わす、という考え方があります。
「外からの熱邪」に侵入された病について考える、東洋医学の学問分野のことを「温病学(うんびょうがく)」と言います。
これは中国の明~清の時代、比較的近代になってから発達した、東洋医学の中では”年若い”学問分野といわれます。
上記の、病を三焦に分ける考え方は、この「温病学」の中の重要な考え方となります。
これは、熱邪による病は、浅い位置から上焦→中焦→下焦と徐々に深く侵入していき、最終的には命に関わる段階まで達する、という考え方であり、
上焦を陽、下焦を陰、中焦をその中間(境界線)と考えると、上から下へ、陽から陰へ、浅から深へ、という、熱邪の侵入経路を、
「三焦」という言葉を使って示したものです。
「三焦」のどれなのか弁(わきま)える、という意味で、「三焦弁証(さんしょうべんしょう)」と言います。
・・・まあ、「上下」という座標軸を「深浅」に転換して、病の位置、程度問題を考えている訳で、これまさにトポロジーですね。(笑)
本来「普通の熱」というのは、上へ上へと上昇し、広がっていくものです。
しかしこの場合は「病的な熱=熱邪」ですから、逆に下へ下へと侵入し、むしろ収斂していくのです。
これは「三焦」という考え方の、一つの臨床応用編です。
読者の皆様、1日1回、こちらのバナーをそれぞれ1クリックお願いします!!
2011.06.27
昨日、6月26日の日曜日は、高田馬場にある日本医学柔整鍼灸専門学校(略して日本医専)にて行われた、(社)北辰会関東支部、定例勉強会に参加してきました!!
今回は、初めて使わせていただく会場で、しかも鍼灸学校です。
過去にも、北辰会関東支部が勉強会に鍼灸学校をお借りしたことはあったんですが、今回の日本医専はまったくの初めてです。
しかも今年度は、今回を皮切りに、3回ほど貸していただく予定になっている学校です。
日本医専の、何人かの先生の御好意で今回、お借り出来ることになりました。(感謝合掌)
当日は北辰会とは別に、学校説明会も開催されるということで、学校の事務の方や、教員の方々には、色々と気を使わせてしまいましたが、
結果的には大きな問題なく、勉強会を終われたんじゃないかと思います。
・・・さて、内容ですが、午前中、臨床コースは支部学術副部長、川田浩之先生による「臨床各論 眩暈(めまい)」、
基礎コースは三上孝先生による「臓腑経絡学 脾・胃」でした。
僕は臨床コースの方に参加させていただきましたが、やっぱ基本てのは何よりも大事で、その基本的な知識の一つ一つの意味と、
それぞれの繋がりがなぜそうなるのか、まできっちりおさえておくことが大事だと再確認しました。
午後イチは実技「背候診(はいこうしん)」です。
僕も臨床コースでひと班担当させていただきましたが、皆さんヤル気のある、素直な先生方で、大変指導しやすかったです。
坂口憲二似の先生もおられ、ひときわ輝いていました。(笑)
・・・ところで、手相診断というものがあるぐらい、「手」というのは、一人一人個性があります。
だから、実技指導の時は、講師の先生とまったく同じ感覚をその場で受講生が持つ、ということは、土台限界がある、と思っています。
しかしながら、背中一つ触るにしても、その触り方にやはり「基本」というものが存在します。
コレ(基本)を徹底的に理解、練習、実践することで、先輩たちと「ある程度」いや、「かなりの部分」、感覚を共有することが出来るようになります。
こういった練習会で得るべきことというのは、「基本的な型」を徹底的に踏まえ直し、かつ発展への手がかりを一つでも掴むことなんじゃないかと思います。
そして最後は本部副学術部長である油谷真空先生による「弁証問診(べんしょうもんしん)」でした。
北辰会方式では、初診時、1~2時間、詳細な問診をします。
これは、単なる雑談をしている訳ではもちろんなく、西洋医学的な問診をしている訳でもなく、東洋医学的な「証(しょう)」を立てるために、
目的意識を持って、東洋医学的な診断の材料になる情報をキャッチしているのです。
それのことを「証を弁(わきま)えるための問診」だから「弁証問診」と言います。
また、「問診」というのは、初診時、まだ不安で、医者に対して半信半疑状態の患者さんとの、大切なコミュニケーションの場でもあります。
患者さんがおっしゃる情報を、東洋医学的に理論的にとらえ直す、という作業をしつつ、患者さんの緊張をほぐし、安心して鍼を受ける準備を整える、という意味もあります。
・・・まあ、最後に油谷先生が恥ずかしそうにおっしゃった、
「弁証問診にはダジャレが大事!」
という言葉に、弁証問診のすべてが集約されていると思います。(笑)
読者の皆様、1日1回、こちらのバナーをそれぞれ1クリックお願いします!!
2011.06.05
**********************************************************************************************
↑↑↑ ↑↑↑
この2つのバナーを、1日1回クリックに是非ご協力下さい!<m(__)m>
クリックしていただくと、ランキングポイントが上がります!!
**********************************************************************************************
前回、東洋医学的に診断、治療するのには、「弁証(べんしょう)」という過程が欠かせないヨ、というお話をしました。
そして、たくさんある弁証のやり方の中から、「八綱弁証(はっこうべんしょう)」というものを紹介しました。
この、八綱弁証では、病気の何を明らかにするかというと・・・、
・表裏(病気の位置が、浅いところにあるか深いところにあるか)
・寒熱(病気の性質が、冷えによるものか熱によるものか)
・虚実(病気の趨勢がどうか、いわば勝ち戦か負け戦か)
を、明らかにします。
・・・なんだかムズいように聞こえるかもしれないけど、ここはそんなに難しいことは言っていません。
単純に、素直に、そのまま理解して下されば、と思います。
・・・例えば病の「寒熱(かんねつ)」を考えた場合、この病は冷えのものだ!ということが明らかならば、治療方針を考えるのは簡単です。
温めりゃよいのです。
つまり、鍼灸治療ではお灸や、気を集めて温めるような鍼が中心になるし、漢方薬であれば温める作用のある生薬を使った処方になってきます。
また、病の「虚実(きょじつ)」を考えた場合も、この病は勝ち戦だ!押せ押せムードだ!ということが明らかならば、治療方針としては、
バンバン悪いものを体外に排出するように持っていけばよい、ということになります。
積極的に汗をかかせたり、便を下したり、尿を排出させたり、吐かせたりすればよいのです。
(・・・単純でしょ?簡単な話です。)
しかし、問題は、これら(表裏・寒熱・虚実)が明確に割り切れず、偏りが中途半端な場合です。
東洋医学ではそれのことを、「錯雑証(さくざつしょう)」と呼んで、大変重要視します。
次回に続く
読者の皆様、1日1回、こちらのバナーをそれぞれ1クリックお願いします!!
2011.06.04
**********************************************************************************************
↑↑↑ ↑↑↑
この2つのバナーを、1日1回クリックに是非ご協力下さい!<m(__)m>
クリックしていただくと、ランキングポイントが上がります!!
**********************************************************************************************
東洋医学には、「錯雑証(さくざつしょう)」という考え方があります。
今日はそのお話をします。
以前書いたように、東洋医学では、病の全体像を、細かい部分まできっちりと把握するために、「弁証(べんしょう)」を行います。
これは、
・八綱弁証:病の位置(病位)、性質(病性)、趨勢(病勢)、
・臓腑弁証:五臓六腑のどれが病んでいるか、
・病因(病邪)弁証:邪気(病理産物)の種類は何か、
・正邪弁証:勝ち戦か負け戦か、
などなどを明らかにするためのもので、東洋医学的な診断上、必要不可欠な過程であります。
コレには、実に色々な弁証法があるのですが、代表的なものとして一番上の「八綱弁証(はっこうべんしょう)」という弁証法があります。
「八綱」って何ですか? 参照
「八綱弁証」以外の弁証法についても、そのうち述べようと思います。
そして、この「弁証」つまり”証を弁(わきま)える”という過程を経て、「論理的に病をとらえて」治療を進めていくワケです。
いわば、無数にある「病気」というものを、「弁証法」という、”東洋医学の理論のフィルター”にかけて、病気の全貌を掴んでから、戦略的に治療に入るワケです。
だから、失敗する可能性が限りなく低くなり、成功する可能性が限りなく高くなるワケです。
・・・患者さんにとっても術者にとっても、それが一番いいに決まってますよね?
で、この過程のことを、「弁証論治(べんしょうろんち)」といいました。
つまり、
”証を弁(わきま)えて治を論ずる”
という考え方です。
・・・なんか、前置きが長くなっちゃったので、続きは次回。
〇
読者の皆様、1日1回、こちらのバナーをそれぞれ1クリックお願いします!!
2011.02.25
今日はちょっとカタイお話。(苦笑)
・・・今日、東洋学術出版社から、とある勉強会の案内がメールで届きました。
なんでも、
中医学(ちゅういがく)の教育がそれほど整っていない学校の学生さんや、あるいは整っていなかった学校を卒業したOBの方など
を主な対象とした勉強会をやるそうで、講義名は
「中医弁証(ちゅういべんしょう)トレーニング」
と題して、全4回のシリーズ講義だそうです。
講師は、清明院のスタッフは僕も含めて全員お世話になったことがある、東京衛生学園の兵頭明(ひょうどうあきら)先生だそうです。
兵頭明先生は日本の中医学教育の草分け的存在の一人であり、東洋学術出版社という出版社も、
我々の勉強にとって欠かせない、数多くの貴重な良書を出版して下さっております。
最近ではインターネットを使って、有料で講義そのものを試聴できるサービスまで始めています。
・・・まあ現状、世界レベルで東洋医学を考えた場合に、共通の用語、共通の考え方に基づいて、
世界中の東洋医学者が討論できうる東洋医学の理論ツールと言ったら、「中医学」をベースに置く以外にないだろうと思います。
簡単に言うと、現在、世界中で最も広まりつつある(メジャーになりつつある)東洋医学なんじゃないかと思います。
「中医学」というのは、以前書いたように、新中国が国家主導でまとめ上げた、大変論理性の高い医学です。
東洋医学と中医学 参照
(・・・まあ、色々と問題はあるにせよ・・・です。)
(社)北辰会も理論のベースにはこの「中医学」を置いています。
兵頭先生が教鞭をとっておられる、大森にある東京衛生学園専門学校も、国内でも特に積極的に中医学教育を実践している学校の一つです。
僕自身、学生時代にこの「中医学」の教科書と出会えたから、東洋医学に夢中になれた面が多分にあります。
この中医学教育が、残念なことに日本ではなかなか浸透していません。
現在、鍼灸学生が授業で使用している『東洋医学概論』という教科書がありますが、これも中医学をベースにしているとは言えません。
(というか、ベースがハッキリしないように思います・・・。)
その分、よく分からず、東洋医学というもの自体に混乱、曲解してしまう学生が多いのが現状です。
中には、「中医学」がどういうものかもよく分からずに、勉強したこともないのに、変に批判する学校教員や学生までいる始末です。
批判するにしたって、批判する対象をよく勉強してもいないのに批判できる神経が、僕には意味不明であります。
単なる近所迷惑です。(苦笑)
僕個人的には、東洋医学という膨大な学問を一生をかけてキチッと理解していく上で、
最初の段階で「軸」に据えるのに最もいいのが現状では中医学だと思っています。
基礎基本としての中医学教育が、もっと活発化することを望みます。
コレを読んで下さっている学生諸氏や、中医学に興味はあるけど疎い駆け出し鍼灸師の方は、ぜひ参加してみたらいいと思います。
「百聞は一見にしかず」
です。
愛すべき読者の皆様、1日1回、こちらのバナーをそれぞれ1クリックお願いします!!
清明院に皆様のお力を!<m(__)m>
2010.11.22
昨日、11月21日の日曜日は、大阪にて行われた、(社)北辰会本部基礎コースに参加してきました!
今回は、午前中は油谷真空先生による「舌診講義とその実技デモンストレーション」、
午後は藤本彰宣先生による講義「八綱(はっこう)弁証・正邪(せいじゃ)弁証」、
その後、森洋平先生による講義「気血津液(きけつしんえき)弁証」と、
充実のラインナップでございました!
「八綱」については、以前このブログでも紹介しました。
カテゴリ 「八綱について」 参照
この「八綱」のうち、
”どこに病が存在するのか(表裏)”
”どんな性質の病か(寒熱)”
”病の勢いはどうか(虚実)”
を明確にするのが「八綱弁証」であります。
また、「正邪」というのは、人体の「正気」と、それを阻害する「邪気」のことを示し、その趨勢を明らかにするのが「正邪弁証」であります。
カテゴリ 「邪気」について 参照
これにより、さらに現時点での病の状態がクリアになっていく訳です。
「舌診」、「気血津液」については、まだ詳細はこのブログでも書いていませんが、これらも非常に大事な考え方であり、東洋医学的な治療(鍼灸、漢方薬など)をやる上では欠かせない概念です。
そして、終わった後は例によってお酒・・・。
今僕がつづっている「五行」について、何人かの先輩たちの考え方をうかがい、とてもためになりました。
あまり難解にならないように、ブログの内容に反映させたいと思います。
そして、終電にて東京に・・・。
久々の遠征で疲れていたのか、新幹線に乗った瞬間寝てしまいまして、新大阪―品川間の体感時間は5分程度でした。(笑)
・・・しかしやっぱ、
「基礎ほど重要なものはない」
と、あらためて実感しましたネ。
よく、ベテランの先生や、”名人”と言われる先生なんかがやる、
「応用的でカッコイイ技術」
というのは、
「徹底的な基礎の理解」
なくしては、あり得ないのであります。
このことは、片時も忘れてはいけません。
読者の皆様、1日1回、こちらのバナーをそれぞれ1クリックお願いします!!
2010.10.20
清明院では現在、求人募集しております。
本物の鍼灸医学の世界を、我々と追求してみませんか?
募集内容の詳細はこちら。
**********************************************************************************************
↑↑↑ ↑↑↑
こちらを、1日1回クリックに是非ご協力下さい!<m(__)m>
クリックしていただくと、ランキングポイントが上がります!!
**********************************************************************************************
今日は、気分を変えて、いつもとはちょっと違うお話をしましょう。
・・・皆さんは、「アキレスと亀」というお話、ご存知でしょうか?
(最近、北野武さんの映画のタイトルにもなりましたね。)
僕は以前から、「時間」と「空間」というものに興味があって、色々と本を読んだりするんですが、そういう本を読んでいるとたいてい出てくるのがこの「アキレスと亀」のお話です。
これは、「ゼノンのパラドックス」の中で最も有名なものの一つです。
「ゼノンのパラドックス」とは、古代ギリシャの哲学者ゼノンが提示したパラドックス(矛盾のようなもの)です。
ゼノンは、アリストテレスから、「弁証法(べんしょうほう)の創始者」とまで言われた人物ですので、「弁証論治」を実践しているつもりの僕としては、避けて通る訳にはまいりません。
(苦笑・・・こういうのがなかなか大変なんだけどネ。)
まあとにかく、この「アキレスと亀」のお話の内容はというと、足の速いアキレスさんと、のろまな亀さんが「ハンデ付きで」競争した場合、
アキレスは亀に絶対に追い付けない、なぜならば・・・というお話です。
これは、亀さんのスタート地点をAとして、アキレスさんのスタート地点をBとした場合、アキレスさんがB地点からA地点に到達した時、亀さんはのろまですが少し進んでいます。
この時点の、亀さんが少し進んだ位置をC地点とします。
すると、アキレスさんがB地点からC地点に進む間にも、亀さんは進み、アキレスさんがC地点に到達した時、亀さんはすでにC地点にはいない、
ということは、コレの繰り返しだから、いつまでたっても、アキレスさんは亀さんに追い付けない、ということになります。
しかし現実には、おそらくあっという間に亀さんは抜き去られますよね?
・・・これ、なんででしょ?証明できますか?という問題です。
実はこれを数学的、哲学的にしっかりと解釈しようとすると、とっても難しい問題になります。
好きな人のためにこちら(wiki)
で、要はコレと東洋医学、鍼灸治療と、なんか関係あんの?って話なんですが、関係は「ないこたぁない」と思います。
(笑・・・考え方の参考になる、という意味で、です。)
古代の中国人たちも、自然に対して、非常に数学的、哲学的なとらえ方をしています。
また、「陰陽」という考え方の根本になった『易経(えききょう)』という本は、西洋のライプニッツやユングといった有名な学者にも影響を与えていると言われます。
たまには視点を変えて、西洋哲学に目を向けてみるのも、面白いもんです。
(別に僕はマニアでも専門家でもありませんし、そうなるつもりもありませんがネ。)
1日1回、こちらのバナーをそれぞれ1クリックお願いします!!
2010.07.28
**********************************************************************************************
↑↑↑ ↑↑↑
この2つのバナーを、1日1回クリックに是非ご協力下さい!<m(__)m>
クリックしていただくと、ランキングポイントが上がります!!
**********************************************************************************************
これまでのお話・・・
「胃」って何ですか?
「胃」って何ですか?(その2)
「胃」って何ですか?(その3)
「胃」って何ですか?(その4)
・・・けっこう空いちゃいましたが、「胃」のお話、続けていきましょう。
☆脾は上げ、胃は下げる(続編)
「脾の臓」というのは、飲食物から取り出した「気血のもと」を、上焦(胸部から上の部分)に持ち上げます。
そこから後の流れについては、「肺」を解説する時に書こうと思います。
「胃の腑」というのは、飲食物から脾の臓が「気血のもと」を取り出したあとの”残りモノ”を、下焦(胃よりも下の部分)に送っていきます。
すなわち「小腸の腑」「大腸の腑」へと、下に下にと、送っていく訳です。
小腸、大腸にて何が行われるかは、それらを解説する時に述べましょう。
つまり、脾は「持ち上げる力」があり、胃には「下げる力」が生理的に備わっている、と、東洋医学では考えます。
そしてこれはなにも飲食物を消化する時にのみ働く力、と考えるのではなく、全身を巡る「気血」の、上下のうごきをバランス調整している、とも考えられます。
いわば脾胃は「人体」という小宇宙における「昇降のバランサー」なのです。
(笑・・・カッチョイー!)
なので、「脾の臓」が弱ると、消化器症状のみならず、気血がうまく上焦に上らないため、立ちあがった時にめまいがしたり、脱肛や脱腸、子宮脱や胃下垂などの内臓下垂になったりすることがあります。
同じように「胃の腑」が弱ると、うまく気血を下げられないために吐き気やおう吐、頭痛などが起こることがあります。
このようにして東洋医学では、「脾」と「胃」を、働きの上から「脾胃」、「脾胃」と呼んで同一視しながらも、実際に変調が起こった時は「脾」なのか「胃」なのかを明確にして治療します。
「脾」が悪い時と「胃」が悪い時では治療のやり方が違ってきます。
症状も違います。
東洋医学的な所見も違います。
こういったことを明確にしないままに治療しても、なかなかうまくいきません。
「弁証論治」の重要性ですな。
・・・人体を上焦、中焦、下焦と3つに分けると、そのど真ん中となる「中焦」にデ~ンと存在し、気血の上下、「昇」と「降」をつかさどる脾胃・・・。
昇るべきものを昇らせ、降るべきものを降す、脾胃はまさに、「生命活動の中心」なのであります。
次回に続く
読者の皆様、1日1回、こちらのバナーをそれぞれ1クリックお願いします!!
2010.07.16
治療を長いことやっていると、これまではうまくいっていたのに、途中からうまくいかなくなり出すことがたまにあります。
みんなみんな、全てがストレートに治ったら、こんないいことはないんだけど、なかなかそうもいかないのが「病気」というものなんです。
・・・しかしこういう時、東洋医学をちゃんとやっている人なら、極めて冷静に対処できるはずです。
清明院では、初診の際、問診にて
「その患者さんのこれまでの病の歴史や体質」
を十二分に聞いた上で、それを東洋医学的に分析し、さらに「今、この瞬間」の脈や舌などの体表観察情報と合わせて、「証」を立てます。
かなり細かく分析しますので、まず初診時に立てた「証」、つまり東洋医学的な診断(治療時点における病理状態)は極めて重要です。
しかし、治療が進むに従って、治療開始当初の「証」が、徐々に変動してくることがあります。
これもまあ当然と言えば当然なんです。
・・・だって「治療」してるんだから。
これを見逃して、いつまでも初診時に立てた「証」にこだわって、同じ治療を続けていると、場合によっては徐々に徐々に悪化していってしまう患者さんもいます。
そんな時、モノを言う(効いてくる)のが、初診の時に聞いた、
「これまでの病の歴史(既往歴)や、その患者さんの体質(体質素因)」
です。
これに基づいて分析した、その人の病の全体像のことを、北辰会では
「病因病理(びょういんびょうり)」
と呼んでいますが、この「病因病理把握力」こそが、こうした時に大変役立ちます。
病気というのは、治りにくいものほど、単一の原因から直線的、短絡的に起こっているものは少なく、いくつかの原因(病因)があいまって、
複雑性と立体性をもって形成されていることが多いです。
これまでうまくいっていた治療が、途中からうまくいかなくなった、ということは、その患者さんの病因病理の中のおいて、初診時とは異なる、
どれか他の病因が今度はメインになってきた、ということを暗示しています。
だからそういう時は、初診カルテに基づいて、場合によっては患者さんに追加問診をして、冷静に「再分析」します。
カッコよく言えば「論理の再構築」です。
分かりやすく言えば「いっぺん全部バラシ」です。
(笑・・・言い過ぎかな?使える情報はまた使う訳だからリフォームみたいなもんか。まーいーや。)
これをすることにより、今度は新たにメインになってきた、別の病因、病理に対して、治療をしかけていきます。
とまあこんな風に、「病気」というのは、東洋医学が作ったロジックの網目から逃げることは出来ないようになっているんです。
・・・スゴイこと考えたもんだわ、しかし。
読者の皆様、1日1回、こちらの各バナーをクリックお願いします!!<m(__)m>
2010.06.28
昨日、6月27日の日曜日は、代々木オリンピックセンターにて行われた、(社)北辰会関東支部定例勉強会に行ってきました!
今回の内容は午前中は基礎コースは後藤りゅう先生による「北辰会カルテ解説」、臨床コースはベテランである金子行雄先生による疾患各論シリーズ「風邪(かぜ)について」。
僕は午後に自分が講義するクラスでもあったので、基礎コースで後藤先生の講義を拝聴していました。
とても初学者に配慮した、いい講義でしたねー。
午後は基礎、臨床コースともに実技講座:テーマ「背候診」の後、土田丈先生による症例レポート「幼少の頃からの便秘」でした。
僕は基礎コースの実技指導と、初めに30分ほどの概論講義を担当させていただきました。
今回の参加者の先生方も皆さん非常にヤル気があり、僕もいい刺激をいただきました。
北辰会関東支部の定例会も、最近にわかに参加者数が増えてきていて、若い先生、女性の先生の参加も増えてきて、非常に活気のある会になってきたナー、
という印象があります。
いかに東洋医学、北辰会が提唱している鍼灸医学に対する注目度がうなぎのぼりに上がってきているかが、壇上からよく分かります。
喜ばしいことです。
最後の症例レポートでは、土田先生の発表、細かな情報をしっかりととっていて、初診者の方には情報過多だったかも知れませんが、それをスッキリとまとめる論理力、
それが弁証論治の長所の一つであります。
最後のまとめの時の、本部、副学術部長である堀内斉毉龍(さいりゅう)先生のスッキリとしたまとめは圧巻でしたネ。
堀内先生は現在、弁証論治のために必要な論理的思考についてまとめ上げ、『弁証論治論理学入門』という著書を編纂中です。
東洋医学というと、主観的で客観性がないとか、感覚的で数値化できないとか、科学的でないとか、色々なことを言う人がいますが、本来の東洋医学というのは大変科学的でロジカルな世界なんです。
まだまだ北辰会からは書籍が出ます。
次から次に出ます。
どれも大変、東洋医学の歴史的に、意義深い本だと思います。
そして終了後はいつものように飲み会・・・。
今回は本部から島内薫先生もお見えになって、なかなか盛り上がりました。(笑)
まあとにかく、ガンバろっと。
読者の皆様、1日1回、こちらのバナーをそれぞれ1クリックお願いします!!
2012.07.08
2016.05.09
2016.04.12
2016.04.28
2015.06.04
2012.12.23
2014.02.17
2014.04.26
2025.04.01
2025年 4月の診療日時2025.03.13
2025年2月の活動記録2025.03.01
2025年 3月の診療日時2025.02.06
2025年1月の活動記録2025.02.01
2025年 2月の診療日時2025.01.21
順天堂東医研、第6回公開シンポジウム「総合診療と東洋医学」2025.01.10
2024年12月の活動記録2025.01.02
2025年 1月の診療日時2025.01.01
謹賀鍼年!!2024.12.28
年内診療終了!!2024.12.14
2024年11月の活動記録2024.12.01
2024年 12月の診療日時2024.11.07
2024年10月の活動記録2024.11.01
2024年 11月の診療日時2024.10.10
清明院15周年!!!2024.10.09
2024年9月の活動記録2024.10.01
2024年 10月の診療日時2024.09.19
2024年8月の活動記録2024.09.01
2024年 9月の診療日時2024.08.03
2024年7月の活動記録2024.08.01
2024年 8月の診療日時2024.07.10
患者さんの声(70代女性 目の痛み、不安感)2024.07.05
2024年6月の活動記録2024.07.01
2024年 7月の診療日時2024.06.05
2024年5月の活動記録2024.06.01
2024年 6月の診療日時2024.05.10
2024年4月の活動記録2024.05.01
2024年 5月の診療日時2024.04.13
(一社)北辰会、組織再編。2024.04.02
2024年3月の活動記録2024.04.01
2024年 4月の診療日時2024.03.14
2024年2月の活動記録2024.03.01
2024年 3月の診療日時2024.02.15
2.17(土)ドクターズプライムアカデミアで喋ります!2024.02.04
3.10(日)(公社)群馬県鍼灸師会で講演します!2024.02.03
3.3(日)「浅川ゼミ会」にて講演します!2024.02.02
2024年1月の活動記録2024.02.01
2.25(日)順天堂東医研、第5回特別公開シンポジウム「日本とインドの伝統医学」に登壇します!!2024.02.01
2024年 2月の診療日時2024.01.11
2023年、9月~年末の活動一覧2024.01.05
診療再開!!2024.01.01
2024年 1月の診療日時2023.12.30
2023年、鍼療納め!!2023.12.21
(一社)北辰会、冬季研修会のお知らせ2023.12.01
2023年 12月の診療日時2023.11.26
患者さんの声(60代女性 背部、頚部の痒み、首肩凝り、高血圧、夜間尿)2023.11.25
患者さんの声(70代女性 耳鳴、頭鳴、頭重感、腰下肢痛、倦怠感)2023.11.22
12.3(日)市民公開講座、申し込み締め切り迫る!!2023.11.21
今週からの講演スケジュール2023.11.16
日本東方医学会学術大会、申し込み締め切り迫る!!