東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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全日本鍼灸学会に参加してきました!! ③

2018.06.07

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これまでのお話

 

全日本鍼灸学会に参加してきました!! ①

全日本鍼灸学会に参加してきました!! ②   参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

全日、ラストは鍼灸実技セッション「女性鍼灸」を聴きに。

 

 

清明院も、ま~多いです、女性特有の疾患でのご来院。

 

 

PMS、PMDD、生理痛、生理不順、無月経などの月経に伴う諸症状はもちろん、つわり、妊娠中毒症、妊娠糖尿病、逆子などなど、妊娠時のトラブル、

 

不妊症、不育症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、乳癌、子宮癌などなど、清明院には、西洋医学で解決しない女性疾患でお困りの患者さんが、毎日たくさん見えます。

 

 

もちろん、上記のような新患一つ一つについて、鍼灸で全て完璧に治せるなんて主張はしませんが、鍼灸治療が介入してから、顕著に良性の変化が起こって、

 

患者さんに喜んでいただける、なんてことは、日常茶飯事として経験します。

 

 

まあ、女性特有の疾患についても、清明院では、いつも通り、四診合参の上、弁証論治するのみなんですが、他の先生方がどうやっているか、気にならないでもないです。

 

 

・・・というわけで今回、覗いてみました。(゜レ゜)

 

 

一人目は大阪の「まり鍼灸院」院長の中村真理先生

 

 

中村先生には、去年の日本東洋医学会で初めてお目にかかったのですが、とてもパワフルな先生、という印象です。

 

 

この先生の発表は、たくさんの症例をまず集積して、それを統計学的な手法でもってキチッと分類、分析して、何が言えるかを述べる、という手法であり、

 

EBMを踏まえた発表が当たり前となっている昨今、非常に参考になる発表姿勢だと思います。

 

 

また、病態把握の方法として中医学の理論と用語を採用しており、そういう意味でも分かりやすいご発表でした。

 

 

発表後、フロアの婦人科医の先生から、少々厳しい突っ込みもありましたが、それも含めて大変勉強になりました。

 

 

会場にいた人は分かると思いますが、あの突っ込み、

 

「もし僕ならどう答えるかなー・・・。」

 

と思いましたね。。。(゚∀゚)

 

 

二人目の先生は近畿大学東洋医学研究所の附属診療所の鍼灸師である井本蓉子先生

 

 

このように、医学部を持つすべての大学に当たり前に東洋医学研究所があり、そこには当然、付属の鍼灸院、付属の漢方クリニックがあり、

 

そこに多くの鍼灸師が勤務し、毎日患者さんの治療にあたる、というのが日本の標準的な姿になるといいと思います。

 

(しかも出来れば附属病院の西洋医学とも緊密に連携しながら治療にあたったら、と思います。)

 

 

井本先生は、とても優しそうな先生でした。

 

 

あの落ち着いた雰囲気は、多くの患者さんを安心させていることでしょう。

 

 

また、治療に対する一生懸命な姿勢もよく伝わりました。

 

 

女性疾患については、女性の鍼灸師の先生の方が、患者さんも相談しやすいでしょうし、鍼灸師の先生自身も、月経や妊娠出産に関しては、

 

自分の実体験を通じて、アドバイスしやすいだろうと思います。

 

 

20年前と比べたら、「女性・小児専門」と掲げた、女性院長の鍼灸院が全国にずいぶんと増えましたが、これは大変良いことだと思いますねえ。

 

 

 

続く

 

 

 

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暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 6

2018.03.01

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これまでのお話

 

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 2

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 3

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 4

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 5   参照

 

 

では続きいきましょう。

 

 

◆意識障害の西洋医学的分類

 

 

西洋医学でも、通常の意識障害と、一過性の意識障害(失神)を区別して考えるようです。

 

 

僕はもちろんながら、西洋医学の救急医療に関しては、ズブの素人ですので、いくつかのサイト様と書籍を参考に、自分なりに調べさせて頂きました。

 

 

もしおかしいところがありましたら、是非ご指摘ください。

 

 

救急医療においては、意識が戻った後も、何らかの認知障害等が残っている場合は、「意識障害」とし、一過性の失神とは区別するそうです。

 

 

当たり前ですが、救急外来では非常によく遭遇する症候だそうです。

 

 

救急搬送患者の1割以上だそうです。

 

 

・・・まあ、意識障害というのは、結論から言えば「脳の血流の異常」で起こるわけですが、それが一過性のものと、遷延するものでは、病態が異なる、という訳です。

 

 

「一過性意識障害」に、明確な定義はないようですが、来院した時点で意識が戻っているかどうかで判別するそうです。

 

 

病態に関して、頭部の大きな外傷や、脳卒中では勿論ですが、一過性に意識が消失し、すぐに戻るものについては急な血圧低下(神経反射、不整脈、出血、感染症)による脳の血液循環異常、

 

低酸素血症、高炭酸ガス血症、低血糖、電解質異常、肝性脳症、尿毒症、低体温、高体温、中毒が考えられるそうです。

 

(たくさんあるな~。。( ゚Д゚))

 

 

上記は脳だけでなく全身性の病態で、一過性の意識障害の7割(!)を占めるそうです。

 

 

また、脳局所に限定した疾患では、てんかんくも膜下出血が2割だそうです。

 

 

十数年前に私の親戚が起こしたのは脳腫瘍によるてんかん発作でした。

 

 

また、以前職場の同僚が、クモ膜下出血を起こしたことがありました。

 

 

あれも怖いですね。

 

 

まったく元気に見える人が、ある日急激に倒れてしまう、本人はもちろん、周囲も非常にショックを受ける病気です。

 

 

救急では、この意識障害がてんかんなのか失神なのかを、まずは考えるそうです。

 

 

失神では、血圧低下による脳全体の虚血に伴って、抗重力筋の緊張が一気に低下するので、転倒時に受け身が取れずに、2割以上の患者が頭部や顔面の外傷を伴うそうです。

 

 

この外傷が、致死的な外傷になることもあるそうです。

 

 

こないだ、先輩が風呂場の脱衣所で倒れた時は、たまたま段差のあるところに頭が来ていたので、打たなかったのですが、抗重力筋の緊張が一気に緩むというのは、

 

まさに操り人形の糸を一気に切ったような、勢いのいい倒れ方ですね。

 

 

あの倒れ方で、もし頭部の下がコンクリートだったら、確かにヤバかったと思います。

 

 

今回の、先輩の時もそうだったし、以前、新幹線の中で中年の男性が僕の目の前で倒れたのを見たことがありますが、その時も、まさにそういう感じ(受け身なし)で、

 

その中年男性は真後ろに倒れたため、床に強く後頭部をぶつけており、非常に肝を冷やしました。

 

(新幹線の通路部分はビニール製の床(いわゆるクッションフロア)であり、コンクリートほどは固くないので、大きな頭部外傷はなさそうでしたが、凄い音がしました。)

 

 

また、西洋医学では血圧低下の原因を診断することが重要なんだそうで、体内の組織の物理的異常である器質的疾患(心臓・大血管疾患、消化管出血、脱水、アナフィラキシー、パーキンソン症候群、シャイドレーガー症候群、糖尿病、特発性起立性低血圧症)

 

が関与していた場合に、治療対象になるようですが、これはなかなか素人や専門外の医療人が現場で咄嗟に見分けるのは難しいのではないでしょうか。

 

(しかしたくさんあるな~( ゚Д゚))

 

 

器質的疾患の関与がない場合は、多くは治療せずに経過観察、ということになるようです。

 

(器質的疾患があるかどうか調べるのに、呼吸等、生命維持をしつつ入院して検査を重ねていく、てパターンもあり得るわけですね)

 

 

器質的疾患がない場合に多いのは迷走神経反射ですが、この場合は予後良好だそうです。

 

(不幸中の幸いパターンですね)

 

 

次に多いのは、不整脈等の心原性の失神だそうですが、この場合は予後が悪く、心臓性の突然死の前兆とも言われるそうなので、注意が必要、となります。

 

 

他に起立性低血圧、薬剤誘発性(飲酒後も含まれる)、他にも原因不明のものもあるようです。

 

 

また、失神と、一過性の脳虚血発作(TIA)が誤診されることが多いそうで、失神は「脳全体の」一過性の血流不全が起こるものであるのに対して、

 

TIAは「脳の一部分が」一過性の虚血を起こすことによるもので、意識障害の他に回転性のめまいや複視、片麻痺、小脳失調などの神経症状が出るのが特徴で、

 

症状が一過性の意識障害のみであればTIAとは考えにくいそうです。

 

 

上記を踏まえると、今回の先輩のケースでは、西洋医学的には、調べてないから分からないけど、器質的疾患がないとすれば、

 

飲酒後(ある意味薬剤性)の一過性の失神(迷走神経反射?)

 

ということで、予後良好の失神であり、事なきを得た、ということになるのでしょうね。

 

 

・・・まあそれでも、一過性の意識障害を経験したら、念のため、心臓(心電図)や脳(CTなど)に関しては調べておいてもいいんじゃないかとは思います。

 

 

本人はともかく、ご家族としては不安ですしね。

 

 

 

◆引用参考資料  

 

 

 

続く

 

 

 

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皮膚の消毒は必要か?

2017.08.02

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今日、相当久々に、初診の患者さんから聞かれました。

 

「鍼した痕は、絆創膏を貼らなくていいんですか?」

 

「感染しませんか?」

 

というご質問。

 

 

あまりにも久しぶりに聞かれたので、ポワーッと、懐かしい気持ちになりました。(*‘∀‘)

 

 

思えば、僕が鍼灸学校に入った頃(15年以上前)は、消毒に関して非常に口うるさく言われていた時代でした。

 

 

「足の三里」という、膝の下にある有名な経穴に鍼をするために、下腿の前面をほぼ全て、膝から足首まで広範囲に消毒し、さらに衛生手袋か指サックをはめて刺鍼するという、

 

今にして思えば笑えることを本気でやっていました。

 

(苦笑・・・場合によっては、手術に使うような、刺鍼部位だけ見えるような、くり抜いたビニールみたいなのを被せて刺鍼する、なんていう考え方もあったような気がします。( ゚Д゚))

 

「足三里」を含む記事 参照

 

 

昭和22年に制定(最終改訂は平成26年)された、

 

「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」

 

の第6条に、

 

「はり師は、はりを施そうとするときは、はり、手指及び施術の局部を消毒しなければならない。」

 

と、規定されています。

 

 

ですので、鍼をする際には、患部と手指は、必ず消毒しなくてはなりません。

 

 

因みに刺入する鍼については、清明院ではディスポーザブル(滅菌済み使い捨て)の鍼しか使いません。

 

(鍼灸院によっては、鍼をオートクレーブで消毒して使いまわしているところもあると思いますが、どんどん減ってきているでしょうね。。。)

 

 

糖尿病などの基礎疾患のある患者さんや、清明院ではどれもやりませんが、深いところにある筋肉に対する刺鍼や、関節腔内への刺鍼、あるいは皮下に鍼を入れたままにする埋没鍼などで、

 

実際に感染症が起こった事例も、報告があるようです。

 

 

 

 

ところがこの、注射や鍼治療をする前の皮膚表面の消毒ですが、実は全く意味がない、という意見もあるようです。

 

参考サイト①

参考サイト②  参照

 

 

皮膚に存在する常在菌というのは、体内で繁殖することはできず、仮に注射や鍼灸治療用の鍼で常在菌が体内に入ったとしても、それが原因で感染症が起こることなどない、

 

という説があるようです。

 

(笑・・・これがホントなら、法律や、俺らの学生時代のあれはいったい何だったんだ。。。( ゚Д゚))

 

 

例えば、感染症の患者に使った注射針を回し打ちするとか、戦場や野戦病院なんかで、汚染物質まみれの状態のところに注射をするとか、

 

糖尿病や慢性消耗性疾患等で抵抗力の著しく低下した患者さんに鍼をするとか、そういう状況でもなければ、泥や埃などの、目立つ汚れだけ水で洗浄しとけば、

 

そこに「きちんと滅菌された道具」で刺鍼する分には、何の問題もないようです。

 

 

現在、鍼灸治療に使う鍼というのは、鍼に薬液や血液の通る内腔がある注射鍼よりも全然細いものを使いますし、鍼尖の鋭さの仕上げ方も素晴らしく、

 

全てエチレンオキサイドガス滅菌済みで、一本一本個別包装されたものを、刺鍼する直前に袋から出して、刺鍼する鍼尖には一切触れずに刺鍼しますので、

 

もし皮膚を酒精綿で消毒しなかったとしても、衛生的には全く問題ないのではないかと思います。

 

(しかも北辰会方式では、刺鍼は一本のみ、深さもかなり浅いです。(笑))

 

 

・・・まあ、法律で規制されていることであるし、冒頭のような疑問を感じて、どうしても不安になる患者さんがいる以上、東洋医学の言う「治神」という観点からも、

 

たとえセレモニー的で、儀式的ではあっても、僕は今後も酒精綿で「消毒」してからの「刺鍼」をし続けるのだろうけども、本当は、酒精綿で経穴を拭う行為自体で、

 

経穴の状態を微妙に変えてしまう側面があるので、徹頭徹尾東洋医学の清明院としては、なるべくなら使いたくないというのが本音なんですけどね。(苦笑)

 

 

あんな、

 

「冷たいアルコール」

 

などという、陽なような陰なような、よく分からんもんで、いたずらに刺鍼部位の気を乱されたくないね、俺は。(゜レ゜)

 

 

だから、僕はほぼ毎日、自分で自分に鍼をしていますが、自分で自分に鍼するときは、消毒なんてしたことないっす☆

 

 

約20年やってますけど、それで感染症になんて、なったことないっす。(*‘∀‘)

 

 

 

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「麦飯」ってどうでしょう?? 2

2017.07.02

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↑↑ここ、何気にスゴかった。。。

 

 

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前回のお話

 

「麦飯」ってどうでしょう??   参照

 

 

では続きいきます!!

 

 

◆「麦飯」の歴史

 

 

麦飯というのは、大麦や裸麦を炊いたもので、現在では多くは白米に一定の割合でブレンドされて、一緒に炊き込まれて、

 

食卓に並ぶことが多いようです。

 

 

現代では、普通は白米のみのご飯が当たり前ですが、もともと日本人の主食は麦飯の他、かて飯といって、米に他の穀物や野菜、

 

海藻などを加えて、共に炊飯したもの(今でいう炊き込みメシみたいな感じ)、あるいは粟、稗など、米以外の穀物のみを炊飯したものが普通だったそうです。

 

 

今日のように、白米のみというのは、祝祭時にのみ、食べる習慣があったくらいなんだそうです。

 

◆参考 

 

農林水産省「日本食の歴史」

亀田製菓株式会社「お米の歴史」     参照

 

 

明治、大正までは日本人の主食は麦のみか、麦の比率の方が白米よりも多い方が主流であったが、戦後、白米の比率の方が高くなったようです。

 

 

・・・で、最近では麦飯は健康食みたいな扱いになっている、と。

 

 

なんで、健康食品として扱われるかというと、大麦は米と比べて食物繊維、タンパク質、ビタミンを多く含むためなんだそうです。

 

 

江戸末期に庶民の間に白米が流行した結果、脚気が大流行したことは有名です。

 

 

脚気については、東洋医学と西洋医学で勝負したこともあるという話を、以前紹介しました。

 

脚気を含む記事 参照

 

 

また近年では、麦飯が糖代謝に関与し、糖尿病に効果があるのではないかという研究報告もなされているようです。

 

糖尿病を含む記事 参照

 

 

 

続く

 

 

 

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1月(一社)北辰会スタンダードコース東京会場

2017.01.24

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1.22の日曜日は、御茶ノ水で開催された(一社)北辰会スタンダードコース東京会場に参加してきました!!

 

 

今回、都合により午後からの参加となりました。

 

 

今回のテーマは一日通して

 

「うつ病」

 

です。

 

 

朝から、吉祥寺で「月晶院」という鍼灸院を開業している佐藤達也先生から「うつ病」に対する東洋医学的な考え方を学び、

 

午後は丸々三時間使って、北辰会の先生が実際に扱った「うつ病」の症例カルテを、国立で「蒼天堂」という鍼灸院を開業している、

 

尾崎真哉支部長が解説するという、一日丸々「うつ病」の日でした。(笑)

 

 

受講された方は、東洋医学、鍼灸医学的な「うつ病」に対する注意点や考え方を、よーく学んだことと思います。

 

 

今多いですね、うつ病。

 

 

今や癌や脳卒中、心不全や糖尿病の次に来るぐらいの病気じゃないでしょうか。

 

(なんでそんなことになってしまったんだ、日本よ。(~_~;))

 

 

清明院でもチョイチョイ診させていただく疾患であり、このブログにも過去何度も書いています。

 

「うつ」を含む記事 参照

 

 

これは程度や、その患者さんが置かれている環境によっては、非常に難しいところがありますね。

 

 

でも、冷静にお身体の状態をよーく診て、術者側も患者さん側も根気よく治療を続けると、あっと驚くような効果が出ることがあります。

 

 

ぜひ諦めずに、鍼灸治療を試してほしい疾患であります。

 

 

 

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直後効果がある病とない病

2014.07.13

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学生さんからチョコチョコ出る質問。

「先生はそれだけ長い時間問診して、体表観察して、証と病因病理を立てて、結果的に初診で全然効果がなかったときって、どうしているんですか?」

とか、

「こないだモデル患者さんを治療したら、全然患部の痛みに変化がなかったんですが、治療に失敗したんでしょうか。」

とか。

これらの質問は、治療後に患者さんが実感できる治療効果が出ないといけない、それが無かったらイコール鍼が効いていない、という前提に基づいた質問ですね。

確かに、初診時の直後効果は、患者さんに希望を持ってもらう上で重要です。

しかし、初診時に患者さんが希望を持つ要素というのは、患部の状態、症状の変化、それだけではない。

清明院には、癌の患者さん、糖尿病の患者さん、リウマチの患者さん、アトピーの患者さんなどなど、多くの重傷、難病、奇病の患者さんが、

”その病気そのものを東洋医学的に診立てて、鍼灸で治してほしい”

と訴えて、治療に見えます。

こういったすべての病気に対して、直後で明確な変化を出すのは困難です。

直後効果、直後効果と拘る前に、まずはその病気がどういう病気なのか、自分なりに診断する習慣をつけることが先です。

その場で痛みや症状が取れてないと嘘だ、という考え方に基づくと、そのうちとんでもない失敗をします。

かつての僕のように。(苦笑)

例えば、治療直後は良かったけど、翌日劇的に悪化したとか言われたりね。

 

(それも、悪化の原因がよく分からないとかね)

その場で症状を変化させるということは、患者さんに希望を感じてもらう上では重要ですので、

「そういう病気の場合は」

そうしてあげた方がいいのですが、当然ながら世の中、そういう病気ばかりではないのです。

 

 

例えば癌の患者さんの治療直後に、

 

「どう?癌、小さくなった??」

 

とか、あり得ないでしょ??


その病の陰陽の傾き(表裏寒熱虚実)はどうか、五臓六腑で言うとどれが中心に病んでいるか、邪気の種類はどうか、

正気と邪気のバランスは、などなど、ということが明らかにできて、初めて東洋医学的な治療が成立します。

そういう事を考えずに、どこかに鍼すると、どこかの筋肉がゆるむとか、どこかに鍼すると、どこかの痛みが取れるとか、

そういう反応で無邪気に遊んでいるうちは、その程度の

”治療らしきこと(というか鍼に対する人体の反応遊び)”

しかできません。


残念ながら。

それを治療だなんて、思ってたらヤバいです。

 

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「肥満」と東洋医学 6

2014.05.30

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前回のお話し・・・

「肥満」と東洋医学
「肥満」と東洋医学 2
「肥満」と東洋医学 3
「肥満」と東洋医学 4
「肥満」と東洋医学 5

 

・・・では、続きいきます!!

 

ここらでいったん切りましょう。

 


◆糖尿病の治療で肥満になる!?


肥満には、西洋医学的には、飲食の不摂生や、運動不足に起因する

単純性肥満

と、ホルモンや脳の病気などに由来する

症候性肥満

と、2種類の肥満があります。

(単純性肥満が90%とも言われます。)

慶応義塾大学 KOMPAS「肥満」

日本肥満学会診療ガイドライン2016   参照

 

 

 

この、症候性肥満の中に、内分泌性とか、遺伝性とか、色々な種類があるのですが、この中に、

 

”糖尿病の治療によって、結果的にホルモンの異常が起こってなるもの”

 

というのがあるそうです。

 


これについて、少し考えてみましょう。

 

普通、糖尿病といったら、一般人としては「二型糖尿病」を連想する訳で、暴飲暴食や贅沢な食事を繰り返し、結果的に肥満になったり、

 

結果的に糖代謝が乱れ、血液中の糖の値、つまり血糖値が上がってしまった病気、という認識だと思います。


(・・・ザックリし過ぎ?(笑))

 

因みに「二型糖尿病」以外に、免疫の異常から、膵臓のインスリンを分泌する細胞が壊れてしまって、結果的に血糖値の上がってしまう「一型糖尿病」があります。

 


いずれにせよ、これらを治療していて、肥満になるとは、一体全体、どういう訳か。

 


これは、糖尿病の治療で、糖代謝を正常化するために、インスリンというホルモンを注射したりして補充する治療を行う場合があるのですが、

これによってインスリンがかえって過多になったりすると、脂肪が合成される方向に働き、肥満になってしまう、という場合があるようです。


あるいは、治療によって目的通り血糖値が下がったが、それによって空腹感が強く出て、我慢できなくて食べ過ぎてしまって、かえって肥満になってしまう、というケースもあるようです。

この背景には、糖尿病の患者さんの管理に関しては、入院でもさせない限りは、患者さんの3食の時間やメニューまでキッチリと管理することは難しいため、調整が難しい現状があるようです。

 

ですので、上記のような不具合がありつつも、漫然とインスリン投与を続けてしまう患者さんも多いのだとか。

我々も、糖尿病の患者さんを診ることはありますので、この辺の知識は踏まえておいた方がいいと思い、最後に加えました。

 

・・・なんか最後は堅い、しかも西洋医学の話になっちゃったけど、肥満と東洋医学、いったん終わり。(笑)

 

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昔の記憶

2014.02.01

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僕の短い臨床経験の中でも、西洋医学のドクターから、露骨に鍼をバカにされた経験、何度かあります。

当時は大変に、もう髪の毛が逆立つぐらい、腹が立った。(苦笑)

10年ぐらい前の話。

とある糖尿病の患者さん(高齢の女性)がいた。

膝痛を訴えていた。

診るとすでに関節の変形が進んでいる。

病院では、これ以上打つ手なし、と言われている。

・・・で、その患者さんに鍼治療を開始して3か月、痛みなく歩けるようになった。

その患者さん、嬉しくて、そのことを病院の先生に伝えた。

鍼の先生に膝の痛みを治してもらった、と。

するとそのドクターは突然怒り出し、

「鍼で膝の変形による痛みが治るはずない!しかも糖尿病なんだから、感染でもしたら命に関わる!あんなものは迷信、まじないみたいなものだ、即刻中止しなさい!」

と言われたとのこと。。。

当時の僕は即座にブチ切れて、よっぽどそのドクターに怒りの電話でもしてやろうかと思ったが、そうしなかった(出来なかった)のは、

その患者さん自身が、ドクターからそう言われたので、鍼治療を中止したい、と言ってきたからだ。

たまに、心のどこかにあの日の悔しさが蘇ってくることがある。

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関節にばい菌が入る

2013.07.11

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毎週、学校で講義をするため、真面目にせっせと資料をまとめております。(笑)

 

どうも僕の文字は読みにくいらしく、板書中心だと読めないといわれるので(苦笑)、パワーポイントという、最強の文明の利器に、頼りっきりであります。

 

ところで鍼灸では、全身あらゆる関節の痛みに対して、対応します。

 


関節痛には、スポーツによる使いすぎとか、加齢による変形のあるもの、痛風やリウマチなどなど、あらゆる疾患があります。

 

それらのほぼすべてを、鍼灸はカバーできると思っていますが、中には中途半端な腕で手を出したらコワいものもあります。

 


一つには、「化膿性関節炎」という病気。

 


これは、扁桃炎や膀胱炎、尿道炎など、体のある部分の感染巣から、ばい菌が血液に乗って、膝などの関節に”飛び火”したもので、一度感染を起こすと、

 

場合によってはガンガン炎症が進み、関節の中の組織を破壊します。

万が一、関節内が破壊され、まともに動かないようにまで破壊されてしまうと、なかなか元通りにはならないので、いわゆる”後遺症”が残ってしまいます。

これは、鍼灸でやる場合でも、相当腕達者の先生でないと難しいと思います。

また、大体からして、その患者さんの平素の状況を正確に把握してなかったら、こういう病態について、思いもつきません。


こういうのは、週に一回とかで、モタモタ治療しているわけにはいきませんから、治療間隔を詰めて、場合によっては、一日に何回も診る形で速攻勝負をかけて、

 

ダメなら病院に送った方がいい、という病態です。

抵抗力、抗菌力の低下した、糖尿病の患者さんや腎臓の透析中の患者さんでは意外と多く、注意が必要です。

こういうのをズバッと治せば、西洋医学からは奇跡と言われ、患者さんには感謝され、同業者からは羨望の眼差しで見られるでしょう。

しかし、ウデが及ばない、と判断したのであれば、絶対に請け負ってはいけません。

 


因みに、その判断すらつかない人は論外です。

 

大いなる不幸の元です。

 

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東洋医学への正しい理解

2013.03.17

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この10年で、東洋医学に対する期待、関心は、高まっただろうか。

現場でこの10年以上やってきた者の印象としては、高まったように思う。

患者さんも、同業者も、昔は冷たかった。

鍼灸といえば、慰安的なマッサージの延長で、せいぜい肩こりか、さほど深刻でない腰痛、膝痛ぐらいにしか効かない、という認識が一般的で、

 

医学、医療であることを真面目な顔をして主張すると、嘲笑されるような向きがあった。

 

また、鍼灸と言ったら、

「飯が食えてるだけでスゴイ。」

みたいな、”食うのがやっと”の職業であるなんてことも、よく言われた。


それが今では、アレルギーや自己免疫疾患、癌や糖尿病、婦人科疾患など、現代の西洋医学が苦手とするような様々な疾患に対して、有効である可能性がある医学だ、

 

という認識が、少しづつではあるが、高まってきたように思う。

 

この1カ月の、清明院の新患さんの主訴を見ていても、そう思う。

 

肝機能障害、肝炎、躁鬱病、アトピー性皮膚炎、花粉症、不妊症、月経異常、癌などなど、単純な肩こりや疲労を訴えて見える人は、むしろ少ないぐらい。


東洋医学がこうやって注目され始めたことの背景には、もちろん否定する訳では無いが、明治以来、威信を保ってきた西洋医学への不信感や、

 

実際問題としての西洋医学の「頭打ち」感があることは否めないのではないだろうか。


親や肉親が、がんと診断され、化学療法や外科手術をやった結果、全くいい場面がなく、死んでいった。

難治性のアレルギー疾患で、薬で一生抑えるしかない、と冷たく言われた、など、西洋医学に対するマイナスの印象を患者さんや周りから聞くことはよくあります。

ただ、西洋医学がダメだから東洋医学に頼る、というマイナスからの流れではなく、西洋医学はこういうところが良くて、東洋医学はこういうところがいい、

 

という、双方の特長を正しく理解した患者さんが増える、という流れの方がいいと思います。

今後は、そういう流れが今よりも増えてくるでしょう。

サービスが向上する一番の近道は、消費者が賢くなることではないでしょうか。


医師に言われるがまま、されるがまま、という患者さんは、今後は減ってくるでしょう。

そこで、東洋医学がいかなるものか、正しく理解し、表現、体現できる先生しか生き残れないようになったらいいのではないかと思います。

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