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この業界に、治療に関して、
「私は感覚で分かるからそれでいい」
ということを仰る人がたまにいる。
2015.03.27
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今日は哲学的なお話。
まあ哲学なんて、とんでもない膨大、莫大な学問分野であり、僕なんてズブの素人なんですが、東洋医学を実践する上では、避けて通れない問題なので、
たまには自分なりに考えてみました。
西洋医学では、
「人体は、60兆個の細胞の集まり」
と、説きます。
(因みに近年では37兆個説が定説となっているようです。まあ、個人的にはどうでもいいが。。。)
この立場から、さらに細かく考えれば、人体も、人間を取り巻く大自然もみんな、原子、電子、分子、つまり物質と、その物質間に働く電磁力の集合体、と考えられます。
この立場からすれば、我々の精神、意識の活動(喜怒哀楽などなど)なんてのは、単に脳の特定部位の神経細胞の興奮(活動電位)の結果、ということになりますし、
あらゆる自然現象は全て物質の移動、変動、電位変化の観察により解析可能なのではないか、ということになります。
また、この立場からすれば、「生命」というのは遺伝子を自己複製する精巧なシステムであり、「死」はそのシステムの活動停止である、となり、
神仏?霊魂??気や経絡???・・・んなもんないっしょ、って話になります。
・・・とまあこのように、この世の森羅万象の根本は「物質(素材的なもの)」である、とする考え方を、「唯物論(ゆいぶつろん、Materialism)」と言うそうです。
因みに、その物質の集合体である生命も、そこに働いている物理的法則が分かればすべて理解可能、というスタンスを「生命機械論」と呼んだりします。
北辰会が治療方式の用語と理論のベースに置いている、中華人民共和国が1950年代にまとめあげた「中医学」というのも、この「唯物論」の考え方でもって、
それまでの中国伝統医学をまとめた医学であります。
さてここで、数千年の歴史を持つ、「東洋医学(中国伝統医学)」の深遠な世界が、この「唯物論」でもってすべて把握できうるか、説明できるか、
本当の意味で「東洋医学的に」人間を診る医学として、その理解は正当か、という問題になると、かなり疑問が残る、という話を、随分前にしました。
東洋医学と中医学 参照
(もう、あの記事から5年も経つのか・・・。( ゚Д゚))
じゃあもし、「唯物論」では東洋医学が表現、理解しきれないとすれば、どういう考え方ならば出来るのでしょうか。
唯物論の対義語として、
「観念論(かんねんろん、Idealism)」
とか、
「唯心論(ゆいしんろん、Spiritualism)」
という言葉があるそうです。
「観念論」は、事物の存在と存り方は、事物よりも認識主体側の、当の事物についてのidea(イデア、観念)によって規定される、という考え方であり、
物質よりも精神、理性、言葉に優位性を置く理論のことだそうです。
「唯心論」は人間・社会において、心、もしくはその働きこそは至上の要因であるとする立場の一つで、心やその働きは、あくまでも物質に還元されない独特な性質を持っているとして、
物質的存在がその存在を容認されるのは、「意識」によるものである、したがって、意識こそが存在を決定づける、という論だそうです。
観念論も唯心論も、唯物論に対する言葉だそうで、要は「非」唯物論なのでありますが、観念論と唯心論は同義ではなく、
観念論は認識論(哲学の分野で、人が理解できる限界について考察する学問)における考え方
であり、
唯心論は存在論(哲学の分野で、存在するものの意味や根本規定を考察する学問)における考え方
なんだそうです。
東洋医学の背景にある古代中国の自然哲学では、大宇宙も、小宇宙である人間も、すべて「気」から出来ている、と考えます。
(これを”気一元論”と言います。)
そして、宇宙の開闢については、無(太極)から陰陽(両儀)が生まれ、それがさらに陰陽に分かれ(四象)、さらに分かれ(八卦)、という風に分化して万物が成った、と考えます。
(by『易経』繋辞上伝)
また、
「道は一を生じ、一は二を生じ、三は万物を生ず」
という考え方もあります。
(by『老子』42章)
因みにこの『易経』『老子』と同じような考え方は、『淮南子』天文訓にも出てきます。
まずこのような、大枠としての自然観、宇宙観、宇宙生成論が前提としてあり、その中にある、小宇宙たる人間、という風に説きます。
ここに出てくる「気」や「太極」や「道」といった考え方を、「物質が根本」という考え方で説明しきれるでしょうか。
中国伝統医学は、人間を、大宇宙と相似性、同一性を持ち、なおかつ大宇宙と常に連関する存在、という風に考えますが(天人合一思想)、それについても、
いわゆるニュートン物理学の言うような、「質量を持った物質」における物理法則の範疇で理解可能でしょうか。
中国伝統医学は、もともと、そういう独特な考えでもってとらえた「人間」「患者」に対する、最良の医学医療はどうあるべきか、という風に考えを進めて、
悠久の歴史の流れの中で、絶え間ない臨床実践(ある意味人体実験)を繰り返す中で、永久不変の真理としての実効性、普遍性、再現性を備える形で、
少しずつ、でも堅実に、堅牢に構築され続けてきたものであるとすると、現代的な唯物論で説明するよりも、本来は”非”唯物論で解釈した方が、
より正確に理解が出来そうな気がしてきます。
現状において「現代中医学」が世界中の東洋医学教育のグローバルスタンダードになっているからと言って、こういう根本哲学に関わる部分まで、
まったく無批判に、悪く言えば盲信的に受け入れていては、問題が生じるのではないか、というのが、北辰会の立場です。
中国伝統医学を理解するにあたって、「唯物論」に対して「観念論」的、「唯心論」的で、さらには、それらをもすっぽりと包むように「気一元論」的に解釈し、
「生命機械論」に対して「生気論」的に解釈しようとする姿勢を重視しています。
(だから臨床実践において”直観”とか”魂”というものを、論理と同じかそれ以上に重視している訳ですね。)
日本という国は、いつの時代も、大陸から流入した新しいものを、自国の風土や価値観と見事に習合させ、ピューリファイ(精錬、純化)してきた歴史があります。
中医学に対しても、日本人としてはそうあるべきではないでしょうか。
この問題については、私もまだまだ理解が浅いですが、一生かけて、もっともっと深く考えていかないと、と思っています。
【参考文献】
『哲学事典』平凡社
『哲学・思想事典』岩波書店
『詳解 中医基礎理論』東洋学術出版社
『気の思想』東京大学出版会
『鍼灸医学と古典の研究 丸山昌朗東洋医学論集』創元社
『医学の哲学』誠信書房
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2012.01.20
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「一瞥」の方がよく分かる時がある。
あれやこれやと話を聞いて、それを細かく分析するよりも、院内に入ってきた時の顔つき、所作、雰囲気から察するものが、非常に重要。
患者さんにしても、スタッフにしても。
入ってきて、パッと目と目があった瞬間に、直観的に色々なことが伝わってくる。
いいことがあったな、悪いことがあったな、元気がないな、ヤル気がないな・・・。
・・・などなど。
また、色々感じたからといって、そこでこちらがブレないのが大事とも思う。
対象がどうであろうと、
「なるほどね。」
と考え、清明院の主としてガッチリと存在し、その責務を粛々と果たせばいいのだ。
それがきちんと出来ると、全てがいい方向に変化する。
コレ、大事。
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2011.11.26
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明日、27日の日曜日は(一社)北辰会関東支部の定例会があります。
そこでワタクシ、我々の診察において欠かせない、
「原穴診(げんけつしん)」
というものを実技指導させていただきます。
一般の方や患者さんからしたら、何やらマニアックな香りのするであろう、この診察法の名前・・・。(苦笑)
見た目や、受けた感じとしては、手や足を触っているだけのようにしか見えないハズです。
この診察法は、東洋医学独特の「四診法(ししんほう)」、つまり、
1.望診(ぼうしん)・・・目で見て、また、直観的に雰囲気を感じ取って診察する方法
2.聞診(ぶんしん)・・・体臭、口臭等の臭いを嗅いだり、声色や呼吸音など、音を聞く診察法
3.問診(もんしん)・・・患者さん自身に病気その他について問いかける診察法
4.切診(せっしん)・・・実際に触ってみる診察法
この中の、4.の「切診」の中の一つで、数千年前から東洋医学では実践されてきた、伝統的な診察法です。
どこを触って診るかというと、手首から先、足首から先にある、「原穴(げんけつ)」と言われる経穴(ツボ)を実際に触って、その部分の硬さ、
柔らかさはどうか、冷えや熱感はどうか、発汗の具合はどうか、などを、丁寧で繊細かつスピーディーに観察していく方法です。
これによって何が分かるのかというと、主に、
1.その原穴に関係の深い五臓六腑の変調
2.その原穴に関係のある経絡の変調
以上の2点が分かり、特に2.の、経絡の異常が反映されやすい、とされております。
清明院の患者さんの中には、
「いつも手首や足首のまわりを触ってるけど、何をやってるのかしら・・・。」
とお思いの患者さんもあられることと思いますが(苦笑)、こういうことを調べております。
・・・で、異常のある五臓六腑や経絡を、他の診察法で得た情報と合わせて、的確に絞り込んで、総体のバランスを整えるために、一本の鍼をする、という訳です。
何気ない所作の中に、数千年立っても色褪せない、医学の叡智が込められております。
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2011.11.04
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今日も猛烈に忙しかったので、どーでもいい記事書きます。(笑)
・・・何気に、映画が好きです。
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