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2009.12.16
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今日は、「四診」シリーズの一つとして、「腹診」について書こうと思います。
詳しく述べたらキリがなさすぎる診察法なので、簡単に紹介しますね。
・・・たまーに、初めて当院に来られた患者さんのおなかを診ていると、
「おなかの状態と私の症状と、何か関係あるんですか?」
という質問をいただくことがあります。
(苦笑・・滅多にいませんけどね。)
・・・まあでも、肩が悪けりゃ肩だけ、腰が悪けりゃ腰しか診ない医療に慣れている患者さんからすれば、当然の疑問でもありますよね。
東洋医学では、どこの病気であろうと、「全身の状態を調える」ことに主眼を置きます。
ですので、すべての内臓をしまっている「胸腹部、特に腹部」という部位は、重要な情報源であり、「腹診」は我々にとって欠かすことのできない診察法です。
まず、「脈診」で述べたのと同じように、東洋医学の腹診と西洋医学の腹診はこれまた診ている「モノ」が違います。
東洋医学の腹診では・・・
1.内臓の状況
(どの内臓(東洋医学的な“五臓六腑”)が弱っているか)
2.全身の前後、左右、上下のアンバランス
(体全体の大きな傾き、捻じれ、血行の偏り)
3.病気の程度、勢い
(病気そのものの進行状況、これからどうなっていくかetc..)
4.その患者さんの生活習慣の中で何が一番問題か
(飲食の不摂生なのか、精神的なストレスなのか、睡眠不足等の疲労なのか、あるいは冷えか、など)
・・・他にも挙げればキリがないんですが、「腹診」というのは、大体これぐらいの情報を、おなかを触ることによって一遍にキャッチします。
鋭い人は気付くと思いますが、上記1.~4.は、「脈診」で挙げた内容とほぼ同じですよね?
・・・そうなんです。
東洋医学の診察では、色々な診察法を、「合目的的に」重ね合わせて用いることによって、
「現段階で最も正すべき、東洋医学的なアンバランスの起こっている部分」
をより絞り込んでいくのです。
それらによってはじき出された、「今、一番戻さなきゃいけない全身的なアンバランスの根幹部分」つまり“現時点における病気の東洋医学的な本質、病態”を指して、「証(しょう)」と呼ぶわけです。
ちなみに、東洋医学における「腹診」は、歴史的には中国よりも、むしろ日本において、江戸時代を中心に、盛んに研究されてきました。
(一社)北辰会代表理事 藤本蓮風先生曰く、
「まさに、日本人は相手のハラを探ろうとしたわけや。」
腹部を触ることによって患者さんの深層心理を探ろうとした日本人・・・。
この藤本先生の考え方、大変面白いですね。
〇
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2009.11.29
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この疑問については、清明院HP内の「よくある質問」のコーナーに挙げてありますので、まずはそちらをご覧ください。
ここに書いてあるように、「経穴」というものは、
1.目には見えず、機械で測定することも出来ず、
2.緊張度や寒熱などが「変化する力」が大事であり、
3.「ある病気、症状=〇〇という経穴」という考え方は間違いである、
と述べてあります。
今日はさらにこのことを詳しく、分かりやすく、述べてみたいと思います。
なるべく患者さんに分かるように、専門用語は極力避けて、説明してみようと思います。
まず、1.目に見えない、機械で測定できない という定義づけですが、これは、”「気」って何ですか?”のところで述べたとおり、東洋医学のいう「気」というものは、
絶えず動いており、ギュッと集まれば形を成し、ふぁ~と散れば形を成さないものである、という、この宇宙の有形と無形の間を自由に行き来する存在であり、
人間の「カラダ」というものは、その「気」が集まった形であると考え、さらにそのカラダの中を「流れる気(経絡の気)」も、形のない存在、と考えます。
「気が集まって、形を成した姿」である人間の体を、縦横無尽にめぐる「経絡の気」は、「形のない存在、つまりここでは目に見えない存在」として、
ぐるぐると全身を廻りながら、人間の「陰陽のバランス、調和」を保っている、最も重要な存在、と考えます。
東洋医学ではそのように考えているため、目に見えない経絡の上にある「経穴」というものも、当然目には見えないですよ、となります。
で、この「気」そのものを物理的、あるいは数値に置き換えたりして、機械で捉えることは現状出来ていません。
だから非科学だ、ではなく、現状の最先端科学ですら追い付いていない、大いに研究対象とすべき「未」科学とはいえまいか、というのが、私個人の考え方です。
次に、2.経穴が変化する力の重要性 ですが、これは実際に、毎日毎日患者さんの経穴を診ていますと、それは実に様々に変化します。
時には冷えたり、熱を持ったり、ガチガチに硬くなったり、ふにゃふにゃに柔らかくなったりと、その場その時によってあらゆる変化を見せます。
・・・要するに、「経穴」はこうやって色々と変化しながら、時々刻々と移り変わる外界の環境に適応するべく、結果的に体全体の「陰陽のバランス調和」を保ってくれている訳です。
この変化する力が強ければ強いほど、「陰陽バランス」を保とうとする力が強い、すなわち、「生命力が強い」と考えます。
東洋医学ではこの、人間みんなが持つ「陰陽バランスを保とうとする力」すなわち生命力、言いかえれば自然治癒力(免疫力と言ってもいいかもしれません)、
さらに平たく言うと、人間もともと持つ「治る力」を、鍼灸や漢方で調えて、最大限活かしきることによって、病気を治そうぜ、というのが目的なんです。
まあ簡単に言うと”カラダにとって無理や負担の少ない、やさしい医学”ですね。
ですから、3.〇〇の病気には〇〇という経穴 という考え方で、同じ経穴に延々と処置をしていても、時々刻々と変化する、外界や人間の体の微妙な変化に、
到底ついていけるはずはないんです。
ただ、そういった本をよく見ますと、確かに〇〇という症状の場合に、変化の出やすい経穴が、大体紹介されていることに気付きます。
あるいは、有名な古典からの引用も多いです。
(つまりは、過去の名医の経験則です。)
なので、中には本に書いてある通りのことをやって、病気や症状がよくなる人がいるのはそのためなんです。
しかし、「経穴」というものはそういう、通り一遍の使い方をすると、場合によっては症状を悪化させることもあります。
そもそも、人間の健康に関することを、軽々に扱ってはいけません。
最近はインターネットもあるし、あらゆる情報が無数にあふれ、しかもそれを簡単に手にできる時代です。
その中にはもちろん正しく尊い情報もありますが、単なる「お金もうけ」のための、おかしな情報もかなり混ざっています。
あるいは、医療従事者ですらない者による、無責任な知識のひけらかし、単なる売名行為も少なくありません。
しかも、おかしな情報に惑わされない、冷静な自分を持つことすら難しい、ストレスフルな世の中ですしね(苦笑)
僕はこのブログで、自分が出来る限り最大限、「正しく尊い情報」を発信していこうと思っています。
(まあ、そうはいっても間違うこともあろうかと思います。もし誤謬を見つけて下さったら、ぜひご教示ください。)
・・・だいぶ前に、寝違いの患者さんを治療した時、うまくいって、治療直後に劇的に痛みが取れたことがあります。患者さんは信じられない、といった様子で、
「先生には”気の流れ”とかが見えるんですか??」
と聞いてきました。
僕は即座に、
「いえいえ、まったく見えませんよ。普通に東洋医学的に診立てて治療しただけですよ。(笑)すごいのは僕じゃなくて、東洋医学なんだと思います。
しっかりと勉強して経験を積めば、今のは誰でも出来ます。」
と、答えました。
患者さんは
「なるほどー・・・。」
と仰っていましたが、ここでもし、
「ええ、見えます。実は私には神通力があるんです。今後寝違いを2度と起こさないためには、このネックレスを100万円で・・・」
と答えてたら、今頃お金持ちになってたのかしら・・・。(苦笑)
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