東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「病膏肓に入る」

2016.08.03

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有名な言葉で、「病膏肓(やまいこうこう)に入る。」という言葉があります。

 

 

これの出典は『春秋左氏伝』だそうです。

 

 

『春秋左氏伝』とは、孔子の編纂と伝えられる歴史書『春秋』の代表的な注釈書の1つで、紀元前700年頃から約250年間の歴史が書かれている本のことです。

 

「孔子」という人物 参照

 

 

「病膏肓に入る。」の意味ですが、「膏肓」とは薬も鍼も届かない、人体の非常に深い部分のことを言い、治療が困難な場所であり、

 

そこに病が入り込んだということから、病気が重くなって治療のしようがないことを意味しました。

 

 

そこから転じて、あることに熱中しすぎて手がつけられなくなることも同じように言うそうです。

 

 

用例としては、

 

「彼は病膏肓に入るほどのギャンブル好きである。」

 

などと使われるそうです。

 

 

 

 

僕ら鍼灸医学の立場で考えると、上背部に「膏肓」という重要な経穴があります。

 

 

僕も以前、学生さんから、

 

「”膏肓”という経穴と、”病膏肓に入る”といった時の”深い部分”というのは、関わりがありますか?」

 

と聞かれたことがあります。

 

 

実はこれはなかなか、難しい問題なのです。

 

 

また、有名な『黄帝内経霊枢 九鍼十二原(1)』の中に、「膏之原は鳩尾、肓之原は脖胦。」という言葉があります。

 

 

これらのことを、細かく考察していくと、実は膨大な勉強が必要になります。(苦笑)

 

 

実は今日、手もとに、日本伝統鍼灸学会の雑誌『伝統鍼灸』第43巻1号が届きました。

 

 

ここに、(一社)北辰会の学術部長、奥村裕一先生の研究論文が載っています。

 

 

上記のテーマについて、実に詳しく研究、調査して下さっています。

 

 

・・・まあ、詳しく知りたい人は、読みましょう☆(*‘∀‘)

 

 

何度も何度も読み、引用参考文献まで調べる価値のある、実に読み応えのある論文です。

 

 

 

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最近観た映画

2016.05.15

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最近も、ヒマさえありゃあ映画観てます。(笑)

 

 

最近観た映画で印象に残っているのは、

 

 

◆『シビルウォー キャプテンアメリカ』

 

 

このシリーズって、どんな組み合わせでもイケるじゃん。(苦笑)

 

 

スパイダーマンまで出てきちゃったよ。。。(@_@)

 

 

・・・という映画。

 

 

でも、あのカオス感、分かりやすさが好きですね。

 

 

◆『テラフォーマーズ』

 

 

まあこの映画、色んなサイトでのレビューでは歴史的酷評で、怖いもの見たさでみ見に行ったんですが(苦笑)、言うほど酷くなかったよ、というのが僕の感想。

 

 

ゴキちゃんに対する生理的嫌悪感。

 

 

人間があそこまで毛嫌いするということは、向こうさんも人間に対して生理的嫌悪感を持ってるかもしれませんね。。。(苦笑)

 

 

ある意味、陰陽論です。

 

 

そう考えると余計怖い。

 

 

◆『レヴェナント 蘇りし者』

 

 

僕はタイタニックとかロミジュリ以降からの、浅いディカプリオファンです。

 

 

スゴイ役者さんになってきましたねー。

 

 

おじいさんになったディカプリオも見てみたいと思いました。

 

 

個人的にはクマのシーンの緊張感最高です。

 

 

◆『ちはやふる 上の句 下の句』

 

 

この映画、ナメてました。

 

 

広瀬すずの圧倒的美少女感。(笑)

 

 

 映像と、役者さんの演技、パヒュームの曲、画面全体から漂う圧倒的清涼感。

 

 

青春て素晴らしい。(笑)

 

 

 

 

 

 

 

◆『暗殺教室』

 

 

まあこれはー、僕的にはあんまりでした。。。(苦笑)

 

 

ころせんせーが、清明院スタッフの二神君に似てるなあ、と思ったぐらいです。

 

 

 

 

・・・でもまあ、映画最高。

 

 

 

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患者さんの声(30代男性 花粉症、排尿障害)

2016.05.09

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「患者さんの声」をいただきましたので紹介します。

 

 

30代 男性 

 

【症状】花粉症(目痒、鼻閉、鼻汁)、排尿障害(残尿感、尿切れの悪さ)

 

【既往歴】腹膜炎、上腕骨骨折、うつ病

 

 

花粉症の症状が出はじめて5年ほど。

年々ひどくなっていく症状に、薬をあれやこれやと試すものの、治るわけでもなく、毎年

 

「またこの時期か。。。」

 

と憂鬱な気分になっていました。

 

友人から

 

「鍼がいいよ。」

 

と教えてもらい、清明院を紹介してもらいました。

 

当初、

 

「体中に鍼を刺して治療する」

 

というものを想像していましたが、清明院は全く違いました。

 

初診時は1時間半にわたっての問診。

 

その後、治療。

 

「ここまで問診があるんだから、さぞいっぱい刺すんだろう」

 

と思っていましたが、はじまってみると、たったの1本。

 

「えっ!?」

 

と思いましたが、その神の手とも思えるピンポイント治療が、ジワジワと効いてきました。

 

初回の治療後はボ~っとする感じで効いてるのかどうかわかりませんでしたが、そこから毎週通うことで効果が出てきました。

 

2回目からは、花粉症の薬をあえて止めてみました。

 

するとビックリ。

 

鼻のつまりと目の痒みが治まってきたのです。

 

花粉症のシーズン中ということもあり、

 

「もっと早く行けばよかった」

 

とも思いましたが、そんなことは関係なく、すぐに効果が出ました。

 

治療費は1回6,000円と高めですが、薬を飲むこと、すぐに効くことを考えると、費用対効果は抜群だと思います。

 

今後は月に1回程度、「体のメンテナンス」と来年の花粉症の対策として、通い続けたいと思います。

 

薬は飲み続けると効きにくくなるとも聞きます。

 

体に合う合わないもあります。

 

現に僕は強い薬を処方されて胃痛に悩まされたこともありました。

 

でも鍼はそんなことは一切なく、痛みも、危険なこともないと感じました。

 

すぐに効果が出るのも良いですね!

 

そしてなにより、気さくな竹下先生のおかげで、毎回安心して治療に入ることができます。

 

花粉症でお悩みの方、薬を飲みたくない方に、鍼はとってもオススメです。

 

どうもありがとうございました。

 

そして、引き続きよろしくお願いします。

 

 

【清明院からのコメント】


本症例は、初診がH28年の3月、この
業界の関係者さんからの紹介でした。

これまでにも、花粉症の患者さんには「患者さんの声」を何人かに書いていただいていますし、花粉症に対する東洋医学の考え方については、

 

このブログにも以前簡単にですが、書きました。

 

「患者さんの声」を書いていただいた方以外にも、春秋は毎日のように、清明院では非常によく診る疾患であり、非常に臨床成績のいい病だと思います

 

患者さんの声(20代男性 6年続く重度の花粉症)

患者さまの声(30代男性:突発性難聴、花粉症)

 

カテゴリ 花粉症と東洋医学    参照

 

 

東洋医学的な考え方に基づく花粉症治療のいいところは、症状に対する対症療法ではなく、

 

「根本的な体質改善」

 

が見込める、ということだと思います。

 

 

平たく言えば、花粉そのものに毒性はない訳ですから、本来なんでもないはずの花粉に、過剰に反応してしまっている人体側を、

 

正常な範疇に戻せばいい、という考え方です。

 

(今や、大気汚染で、花粉に付着しているモノに、いくらかの毒性があるかもしれませんが。。。)

 

まあ、東洋医学、鍼灸治療の考え方で心身のバランスを整えた結果、不快な過剰反応が起こらなくなる、あるいは起こっても軽く済む、

 

そういう体質に改善される場合がある、ということです。

 

花粉の飛散量がどんなにあっても、薬も飲まずに、症状も出なければ、生活上、何の問題もないです。

 

それでもどうしても気になるというならば、田舎の空気の綺麗なところに移住するしかないです。

 

東洋医学は根本治療ですので、この症例もそうだったんですが、花粉症の治療なのに、花粉症以外の症状(排尿障害)も経過中にとれてしまいました。

 

こういうところが、東洋医学の真骨頂でしょうね。

 

西洋医学の考え方ではなかなか真似できない部分だと思います。

 

(もちろん、西洋薬による、こういったアレルギー疾患に対する、症状抑制における効果についても、それなりに理解はした上で発言しております。)

 

初診時、「肝火上炎」と証を立て、治療を開始すると、患者さん自身が書いて下さったように、2診目からは明らかな効果を得ることが出来ました。

 

5年間悩み、あちこちにかかって治らなかった症状が、あっけないものですね。

 

今後、社会的に責任あるポジションに就かれる方ですので、外部環境がいかに変化しても、様々な症状が出ないような体質になるよう、

 

治療を進めさせていただこうと思います。

 

アレルギーなど、西洋医学が対症療法に終始してしまうような疾患に、伝統鍼灸、試してみては如何でしょうか。

 

試す価値「大」だと思います。

 

 

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補瀉 41

2016.04.08

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これまでのお話・・・

 

 

補瀉 1 補瀉の定義と『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の補法 

補瀉 2 『黄帝内経素問』調経論(62)の補法

補瀉 3 『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の補法

補瀉 4 『黄帝内経霊枢』官能萹(7)の補法

補瀉 5 『黄帝内経霊枢』邪客萹(71)の補法

補瀉 6 『黄帝内経霊枢』小鍼解篇(3)の補法

補瀉 7 『黄帝内経霊枢』邪気蔵府病形篇(4)の補法

補瀉 8  『黄帝内経素問』刺志論(53)の補法

補瀉 9  『黄帝内経霊枢』終始萹(9)の瀉法

補瀉 10 『黄帝内経霊枢』小鍼解萹(3)の瀉法

補瀉 11 『黄帝内経素問』八正神明論(26)の瀉法

補瀉 12 『黄帝内経素問』調経論(62)の瀉法

補瀉 13 『黄帝内経素問』刺志論(53)の瀉法

補瀉 14 『黄帝内経素問』離合真邪論(27)の瀉法

補瀉 15 『黄帝内経』の補法まとめ

補瀉 16 『黄帝内経』の瀉法まとめ

補瀉 17 『難経』71難における補瀉

補瀉 18 『難経』76難における補瀉

補瀉 19 『難経』76難における補瀉の続き

補瀉 20 『難経』78難における補瀉

補瀉 21 『難経』79難における補瀉

補瀉 22 『難経』における補瀉まとめ

補瀉 23    孫思邈(そんしばく 541~682)の『備急千金要方』『千金翼方』の補瀉

補瀉 24   金代、何若愚 撰『子午流注鍼経』における補瀉

補瀉 25     金代、竇漢卿『針経指南』における補瀉

補瀉 26     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉

補瀉 27     明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その2

補瀉 28   明代、楊継洲(1522-1620)『鍼灸大成』における補瀉 その3

補瀉 29     明代、李梃『医学入門(1575)』における補瀉

補瀉 30   明代、高武『鍼灸聚英(1529)』における補瀉

補瀉 31   現代中医学における補瀉

補瀉 32     日本における補瀉の受容

補瀉 33    『針道秘訣集』における補瀉

補瀉 34    『杉山真伝流』における補瀉 1

補瀉 35  『杉山真伝流』における補瀉 2

補瀉 36     永田徳本(1513?-1630?)『鍼灸極秘伝』『徳本多賀流針穴秘伝』の補瀉

補瀉 37   『杉山流三部書』における補瀉 

補瀉 38     岩田利斉『鍼灸要法』における補瀉

補瀉 39    岡本一抱『鍼灸抜萃大成』における補瀉 

補瀉 40    本郷正豊『鍼灸重宝記』における補瀉      参照

 

 

 

では続きいきます!!

 

 

 

◆菅沼周桂(1706-1764)『鍼灸則』における補瀉 

 

 

さて今日は、菅沼周桂(1706-1764)先生『鍼灸則』を見てみたいと思います。

 

 

この先生も、前回紹介した本郷正豊先生と同じ、江戸中期の鍼灸医です。

 

 

この先生の主張は、実はなかなかブッ飛んでいます。

 

 

この先生は、鍼灸治療は70穴あれば事足りるとして、春夏は浅く打ちなさいとか、秋冬は深く打ちなさいとか、母子の補瀉とか、

 

禁鍼穴とか禁灸穴とか、そういう古典的な教えを否定していきます。

 

 

そして、

 

「そうやって古典の記載を無視してやっても、効いちゃって効いちゃってしょうがないんですけど?」

 

と言っています。(笑)

 

 

この時代にこの主張をするのは、それ相応の知識と経験があった上でのことと思います。

 

(あるいはただのホラ吹きか・・・。)

 

 

この『鍼灸則』の附録の部分に、補瀉に関する記載があります。

 

 

そこで彼は、

 

「色々な説があるけどさー、瀉して邪気を取って、カタマリが取れればそれを瀉、邪気が取れて正気が回復したら、それを補。

 

要は、補瀉っつーのは、手指(の感覚の妙)にあるっつーだけの話。」 

 

と、書いてあります。

 

(抜粋意訳 By 竹下)

 

 

いいですねー。(笑)

 

 

こういう人、嫌いじゃないです。

 

 

また菅沼先生は、

 

「みんなカッコつけて金とか銀の鍼使うけど、俺は鉄の鍼だけ。それで十分効きますけど、何か?」

 

とも言っております。(笑)

 

 

いつの時代にもいるのです。

 

 

こーゆー「人と同じ」がイヤな人。

 

 

しかもそれでいて立派に、結果を出す人。(笑)

 

 

おそらくは、性格的には豪放磊落であっても、手先は非常に繊細な感覚を持った先生だったのではないでしょうか。

 

 

因みにこの先生は、治療において三稜鍼を使った「刺絡」という手法をよく用いたことでも有名です。

 

 

個人的に、「補瀉」を書いたら、今度は「刺絡」を書こうかな、と思っています。

 

 

 

続く

 

 

 

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2016年度 活動予定

2016.03.30

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 そろそろ、あっという間に3月が終わります。

 

(早い!!(゜レ゜))

 

 

いよいよ、2016年度が始まりますね。

 

 

普段の水曜日は学校で教えているので、春休み中は、比較的水曜日は色々と思索しながら、ゆっくり過ごさせていただきました。

 

 

さて、2016年度の活動予定。

 

 

まずは何と言っても、このデカくなった清明院をもっともっと、フル活用することです。

 

 

以前の清明院は、患者さんとスタッフでパンパンになったから、出ました。

 

 

今度の清明院もそうしましょう。

 

 

患者さんにもスタッフにも、もっともっと増えていただき、既存スタッフには、もっともっと成長していただきましょう。

 

 

既存患者さん達の健康は、僕が鍼で何としても守りましょう。

 

 

まあ今年も重症、難病、奇病、不定愁訴、何でも上等で、バンバン治していこうと思っています!!

 

 

そして学校教育活動。。。

 

 

今年もへこたれずに、学校で東洋鍼灸専門学校の3年生、東京衛生学園専門学校、臨床教育専攻科(教員養成科)2年生を対象に講義します。

 

 

東鍼校の方は1クラス半年間20コマ、昼夜4クラス、全てやります!

 

 

衛生学園の方は10月に2日間、4コマのみですが、まあ、例年通り、言いたい放題、やりたい放題でいこうと思っています☆(笑)

 

 

響け、届けと、念じながら。

 

 

そして北辰会の方でも、4.24、11.27、12.18に東京で喋ります!!

 

2016年度 北辰会関東支部カリキュラム 参照

 

4.24は「北辰会方式の一連の流れとその勉強法」

 

11.27は「北辰会方式 弁証・病因病理構築・選穴・治則治法」

 

12.18は「臓腑経絡学 総集編」

 

 

どれも、やるからにはマジですので、気合い入れていきます。

 

 

特に12月は藤本新風副代表と、2年ぶりに東京衛生学園にいらっしゃる藤本蓮風代表の前座の、朝イチ一発目ですので、

 

いっちょガツンとかまそうかな、と思っています。(笑)

 

 

本部も支部も、非会員も学生も、聴きに来ない人は損しますよ~。(笑)

 

 

あと毎回、実技指導はしますけどね。

 

 

学会発表の方ですが、今んとこ未定です。

 

 

世界学会でカマしたかったんですけどねー。。。

 

 

口演発表は英語発表なんで、ちょっとムズイかなー、って感じなんだそうです。

 

(F●●K!!(笑))

 

 

・・・まあいいです。

 

 

今後も色んな拡声器使って、東洋医学、中国伝統医学に立脚した日本固有の鍼灸医学、世に問います。

 

 

 

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「尺膚診」について 3

2015.09.11

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これまでのお話

「尺膚診(しゃくふしん)」について 
「尺膚診」について 2
                            参照

 

では続きいきます!

 

◆『黄帝内経 素問 平人気象論』における尺膚診の記載

 


さて、本日は我々のバイブルである『黄帝内経(こうていだいけい)』です。

 

『黄帝内経』は、ザックリいえば約2500年前くらい、春秋戦国時代に複雑な経緯で纏まり始め、前漢の時代(BC206~8)にはその原型は編纂されていたと言われ、

 

『素問(そもん)』81篇、『霊枢(れいすう)』81篇、合わせて162篇からなる大著であり、ここに書かれた内容、理論が、

 

その後の東洋医学(中国伝統医学)の基本になっております。

 

(専門的な詳しい考証に関しては真柳誠先生の『黄帝医籍研究』汲古書院がいいと思います。)

 


言わずと知れた、東洋医学をやるものにとって、必要不可欠な、聖典のような本です。

 

この中の、『素問』の18篇目である”平人気象論(へいじんきしょうろん)”という篇の中に、尺膚診に関する記載が出てきます。

 

因みにこの、”平人気象論”という篇名の意味ですが、”平人”というのはいわゆる健康な人のことを指し、”気象”というのは

”気(ここでは脈の打ち方を主に指す)”



”形象(けいしょう・・・ここでは脈の形)”

のことであり、健康人と病人の脈の打ち方を主に比較検討した篇だから、”平人気象論”と言います。

 


ここに、

尺熱するを病温という。尺熱せず、脈が滑は病風という。

とか、

臂(ひ・・・前腕のこと)に青脈が多いのを脱血という。

 

尺が緩で脈が渋なものは解㑊(異常な疲労感)という。

とか、

尺が渋で脈が滑は多汗という。

 

尺が寒で脈が細は謂うなれば後泄(下痢)という。 

 

脈も尺も(粗い感じ)で常に熱きものは熱中という。

 


てな具合に、脈の打ち方(脈診情報)と合わせて、前腕の状態から、病態を把握する方法があったことが書かれています。

 

『黄帝内経』の中の尺膚診の記載は他にもあります。

 

続く

 

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「温病」とよばれるカゼ

2015.03.12

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だいぶ、春です。

こう暖かくなってくると、ある種のカゼを多く診ます。

最初にノドが赤く腫れるやつね。

(もちろん寒気からのやつもあるけどね。)

 

これを東洋医学では「温病(うんびょう)」とか、「伏気温病(ふっきうんびょう)」と呼んだりします。

冬の間に、冬らしい生活をしてこなかった人や、この急激に盛んになる陽気についていけない人がなります。

そして、精神的に不安定になる人もあります。

これも時期的な問題。

カゼみたいなもんなんですけどね。

自分を律し、鍼で整えれば、なんてことない。


それを知らない人は、気の毒ですねー。。。


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久々に往診に出る

2015.02.11

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今日は久々に往診に出てきました!

(さらに…)

新たな波が

2015.02.06

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いやー、春ですねー。

(さらに…)

「左肝右肺」に関して 5

2014.12.14

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これまでのお話・・・


「左肝右肺」に関して
「左肝右肺」に関して 2 
「左肝右肺」に関して 3 
「左肝右肺」に関して 4   参照

 

では続きいきます。

 

 

◆そもそも「左右」とは何か

 

東洋医学(というか東洋哲学)は、何でも陰陽に分けます。

 

 


上下や、前後や、左右も。

 

上下の場合、上が陽、下が陰です。

(動的な天(上)と、相対的に静的な地(下)、と考えたら分かりやすいですな。)

 


前後の場合、後ろが陽、前が陰です。


(これは人体で考えれば、相対的に堅くて強い背中が陽、脆弱で柔らかい腹部が陰です。)

 


・・・では、左右はどうか。

 

これは、「左が陽、右が陰」なんです。

 


なぜなら、まさに前々回述べた、後天八卦図のように、南面(南を向く)した場合に、左手側(東)から太陽が上り、右手側(西)に太陽が沈むからですな。

 

 

日出ずる方角は東(左手側)です。

 

 


日出ずる左側は相対的に陽が盛ん、日沈む右側は相対的に陰が盛ん。

 

また、日本語でも語源的に「火だり」「水ぎ」なんていう噂も。。。

 

これは、以前ひな祭りという記事や、日本人の自然信仰という記事に少し書きました。

 

またかつて、スタッフブログにも書かれていますね。 初詣 参照

 

 

ご参照いただければ、と思います。

 

 

 


◆「左肝右肺」の考え方が活きる時

 


つまり「左肝右肺の論」というのは、東洋医学の診断学上、陽である左側に肝の臓が、そして、陰である右側に肺の臓が、診断ポイントとして配置されている論なわけです。

 

ではここで、「肝の臓」「肺の臓」を比較して、陰陽で分けると、どっちがどうなんでしょう。

「肝」って何ですか?(その13)
「肺」って何ですか?(その12) 参照

 


これはまあ、肝と肺の「何をもって」陰陽で斬るかによって違ってくるのですが、あまり細かく言うとどんどんややこしくなるので、基本的には五行で考えたら、

木に属す肝が相対的に陽、

金に属す肺が相対的に陰、

と言えるんですね。


(春秋戦国時代の「陰陽主運説」という考え方によれば、五行は土を真ん中に、木火が陽、金水が陰です。根本幸夫『陰陽五行説』参照

 


だから、

木の”曲直”の性質を持つ肝の臓は、肺と比較すると機能的には相対的に陽であり、

金の”従革”の性質をもつ肺の臓は、肝と比較すると機能的には相対的に陰である、

と、一つには考えることが出来る。

(ただし、いつでも必ずそうではないことを付言しておきます。)

 

だから前回お話した、肝の臓は右4葉、左3葉だから、形態的に右に偏って存在しているから、肝の臓が病的な状態になった時、人体の右に影響が出やすい、

 

というのは、東洋医学における解剖学、つまり「形態」を考えた場合にそのようになりやすいのであって、「機能」を考えた場合には、左右が逆になることがある、

 

という風に、「一応は」理解してよいと思います。

 

 

ただ、それだけでは、まだ不十分です。

 

 

続く

 

 

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