東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「肺」って何ですか?(その11)

2010.09.19

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これまでのお話・・・


「肺」って何ですか?(その1)

「肺」って何ですか?(その2)
「肺」って何ですか?(その3)
「肺」って何ですか?(その4)
「肺」って何ですか?(その5)
「肺」って何ですか?(その6)
「肺」って何ですか?(その7)
「肺」って何ですか?(その8)
「肺」って何ですか?(その9)
「肺」って何ですか?(その10)

 

☆「肺の臓」と「排便」


皆さんは毎日、あるいはきちんと定期的に排便してますでしょうか?

人間の体内には、必要なモノと不要なモノがいつも混在しておりますが、不要なモノが停滞してはいけません。

不要なモノが停滞すれば、当然病気になります。

だからどんどん捨ててかないと!

余分なモノも、気持ちも考え方も。


辛い過去でさえも。(笑)

 


・・・前回、”肺とお水”というテーマで、人間の「余分な水分排出機構」のお話をしました。


つまり、主たるものは「発汗」、「排尿」、「排便」の3つですね。


そしてその3つともに、「肺の臓」が深く関わるよ、というお話をしました。


ここで、余分なものを「水分」という風に限定すれば、この3つの中では「排便」は相対的に脇役になります。


しかしこの「排便」というものにも、「肺の臓」は大きく関与します。

東洋医学的に、「排便」が直接行われるところと言えば「大腸の腑」です。


「大腸の腑」については、後ほどまた簡単に解説しようと思っていますが、基本的には上から送られてきた”飲食物のカス”の中から、

まだ”使いシロのある”お水や栄養分を取り出し、カラダに取り込み、最終的な”カス中のカス”を、体外に”大便”として排出する、

という働きを持っています。


実は「肺の臓」は、この「大腸の腑」の働きを、体の上部から大いに助けています。

では、どう助けているかと言うと、「肺」って何ですか?(その6)で述べたように、「肺」は「胃」と協調して、

”気を下に下に降ろす”

という大事な仕事を担っています。

 

ですので、大腸が便を排出するのも最終的には「下に」ですから、この「肺」と「胃」の助けがないと難しい、ということになります。

 

このようにして五臓六腑は、それぞれが極めて有機的に、密接に絡み合って、外界との

”動態的な陰陽バランス”

を非常に絶妙にとってくれているのです。

 

 


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「肺」って何ですか?(その3)

2010.08.26

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これまでのお話・・・


「肺」って何ですか?(その1)

「肺」って何ですか?(その2)

どんどんいきましょう。

 

☆肺のカタチ

東洋医学の言う「肺の臓」の形は、実はとても興味深いものです。

 

肺の臓(医学原始)

 

↑↑中国清代、王宏翰『医学原始』(1692)より

 

 

これまた、一見、

「は?何すかコレ?」

ですよね。(笑)


でも、東洋医学がこの形で「肺」を表記したのには、当然大きな意味があります。

 


この形は、実は他の臓腑で言うと「肝」にそっくりです。

「肝」って何ですか?(その7) 参照

 

「肝」の時は、「肝」が「血(けつ)」を蓄える働きが、植物の葉っぱが養分を蓄える働きに似ていることから、葉っぱの形をしていると考えた、と説明しました。

 


では、「肺」は何を蓄えるんでしょう。

 

答えは「気」です。

 

 


「肺」は、そのすぐ下の、中焦に存在する「脾胃」が飲食物から取り出した「気血のもと」が、脾の働きによって上焦に持ち上げられたものと、

「肺」自身が天空から吸い込んできた「清らかな気」とをドッキングさせて、全身に行きわたらせる、という重要な働きを持っています。

カテゴリ「脾胃について」参照

 

このような働きを指して、

「肺は気をつかさどる」

なんて言われたりします。コレについては、重要なので後ほどもう少し詳しく述べようと思います。

 

そして、前回書いたように、「肺」は全身の清と濁の「気」を、絶えず交換しています。

 


これは植物の葉っぱの光合成やガス交換によく似ていますね?

 

古代の中国人は、実際に解剖してみた場合の、”写実的な”内臓の様子をそのまま書き残すのではなく、その臓腑が持つ「機能」に着眼、重視して、臓腑の形態を描き示しました。

 

個人的には、あるものをそのまま書くよりも、その方が賢い(というかシャレてる)気がします。

(まあそこは、好みの問題だけどネ。)

 


さて、この写真の上の部分に、「氣管」がくっついているのが分かるかと思いますが、そこに、

「肺管九節(はいかんきゅうせつ)」

と書いてあることに気付くと思います。

 

 

また、

「六葉 両耳」

コレにも目がいきますよね?これらにも当然、深い意味があります。

 

「九節」に関しては、氣管の節目の間の数であり、「六葉両耳」というのは、「肺」を構成する葉っぱの数が全部で「八枚」ある、ということを教えています。

 

以前、「東洋医学」と「数学」に書いたように、この医学に数字が出てきた時には、ほぼ間違いなく、特別な意味があります。

 

ですからこの「九」と「八」にも、当然意味が隠されている訳です。

 


さて、その説明は長くなりそうなので次回、お楽しみに♪

 

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「肺」って何ですか?(その2)

2010.08.25

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これまでのお話・・・

「肺」って何ですか?(その1)

 


・・・今日、患者さんから、

「五臓六腑の話し、分かりやすいです!楽しみにしてますので、どんどん書いて下さい!」

と言われ、すっかり上機嫌なので、続きを書きます。(笑)

 

☆肺の位置

これは、前回も書きましたが「胸部」です。

東洋医学では、人間の体の「膈(かく)」から上の部分のことを「上焦(じょうしょう)」と呼びますが、

(「膈」についてはこちら参照)

「肺の臓」はまさしくこの”上焦”「胸部」に位置します。


そして、胸部にはもう一つ、重要な臓である「心」があります。

ではこの「心」と「肺」との位置関係はどうかと言うと、

 

「肺」の方が「心」よりも上にあり、ちょうど「心」に乗っかったような位置関係

 

にあります。

 

そして、以前書いたように、「心」と「肺」は、それ以外の3つの臓と比較すると、相対的に結びつきが強い、と考えられています。

 

これは東洋医学では、「氣管(きかん)」という、空気の通り道で、心と肺が直接つながっているためだ、としています。

(形態的には、ですよ。機能の話は追々しましょう。)

 


☆「肺」と「呼吸」

 


東洋医学の言う「肺」は、ちょうど「ふいご」のような役割を果たす、と考えています。

 


要するに空気を吸ったり出したりする訳です。

(簡単ネ。)

 

ここで大事なのは、

天空の清らかな空気(清気)を取り入れ(吸)、

体内の汚れた濁気(だっき)を排出する(呼)、

という風に、単なる出し入れではなく、「気の清濁入れ替え作業」を行っている、という考え方です。

 


東京なんかにいますと、全然「天空の清らかな空気」という感じがしませんが、生活できる、ということは、これでもまだ何とか「清らか」なようです。(苦笑)

 

この「清らかな空気」というものが、体内を巡る最も重要な「気」というものの原料の一つになります。

 


「気」の原料は他に何があるか、と言うと、「飲食物」です。

カテゴリ「脾胃」について 参照

 

人間が外の世界から取り入れているものは「空気」と「飲食物」だけです。

基本的には、それ以外のものは取り入れることは出来ません。

なので、結局はこの2つから「気」を作り出し、不要なものは大小便と汗などによって体外に排出することで、生命を維持している訳です。


逆に言うと、それしか出来ないんです。

 


人間ていうのは。

 


昔っから。

 


・・・東洋医学を「古い」という人がいるが、僕はそうは思いません。

人間自体の基本が変わってないんだから、東洋医学の基本原理だって変化する必要がないんです。


少なくともここ数千年は。

対して、この数百年で劇的に変化した西洋医学。

 


「医学」としての完成度が高いのはどっちでしょうかネ・・・。

 


ちょっと話がそれたけど、「肺」の基本的な機能は何と言っても「呼吸」だ、というお話でした。

 

 

次回に続く

 

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ぎっくり腰!?

2010.07.30

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いや~、わたくし事で恐縮ですが、実はおとといの晩、僕としたことが、3年ぶりに”ぎっくり腰”になりました。(笑)

おとといの夕方、たまたま夜の患者さんがみえるまで、30分ほど時間があいたので、

「よっしゃ、掃除機でもかけよかな♪」

と思って、鼻歌交じりに”ブイ~ン・・・”とやっていたら、突然腰が、

「ピシッ!」


となって、歩くのも辛い状況に・・・。

(当然、その時点で鼻歌は中止。)

しかもその時点で、患者さんがみえる時間まで15分を切っていました。(苦笑)

しかし、頭をよぎった言葉は

”ピンチはチャンス(by小泉元総理)”、

こういう時こそ鍼師の本領発揮です。

即座に脈、舌の状態、どういう動きで痛みが出るか、それから痛みの性質、記憶にある限りの、この2,3日の飲食、大小便、睡眠等の状況から、

『痺証(痛>着痺)、バックボーンに腎虚あり』


と考え(細かい説明省略)、とあるツボに刺鍼。

即座に、ある程度ならば動けるようになる。

そしてそのままどうにかこうにか、夜の患者さんを十数人治療し、診療終了後、もう一度自分で自分を治療。

さらなる改善を確認し、すぐに楽な姿勢で休む。

 

(清明院の院内で)


そのまま清明院で寝てしまい、夜の2時過ぎに何となく目が覚めたので、再度ダメ押しで治療。

またグーッと眠気が来て、再び寝る。

朝、痛みの程度は発症時を数字の10とすると1~2程度。

ほとんど問題ない。

昼に副院長に鍼してもらう。

そして今日、痛みの程度は0。

可動域いっぱいまで動かした時のわずかな違和感を残すのみとなり、ほぼ完治。

今日はもちろん、おととい、昨日の患者さんでも、僕が腰を痛めているなんて、誰も気が付かなかっただろうと思います。

鍼最高。


おしまい

 

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「胃」って何ですか?(その5)

2010.07.28

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これまでのお話・・・

「胃」って何ですか?
「胃」って何ですか?(その2)
「胃」って何ですか?(その3)
「胃」って何ですか?(その4)

 

・・・けっこう空いちゃいましたが、「胃」のお話、続けていきましょう。

 



☆脾は上げ、胃は下げる(続編)

 

 

「脾の臓」というのは、飲食物から取り出した「気血のもと」を、上焦(胸部から上の部分)に持ち上げます。

 


そこから後の流れについては、「肺」を解説する時に書こうと思います。

 


「胃の腑」というのは、飲食物から脾の臓が「気血のもと」を取り出したあとの”残りモノ”を、下焦(胃よりも下の部分)に送っていきます。

 


すなわち「小腸の腑」「大腸の腑」へと、下に下にと、送っていく訳です。

 


小腸、大腸にて何が行われるかは、それらを解説する時に述べましょう。

 


つまり、脾は「持ち上げる力」があり、胃には「下げる力」が生理的に備わっている、と、東洋医学では考えます。

 


そしてこれはなにも飲食物を消化する時にのみ働く力、と考えるのではなく、全身を巡る「気血」の、上下のうごきをバランス調整している、とも考えられます。

 


いわば脾胃は「人体」という小宇宙における「昇降のバランサー」なのです。

(笑・・・カッチョイー!)

 


なので、「脾の臓」が弱ると、消化器症状のみならず、気血がうまく上焦に上らないため、立ちあがった時にめまいがしたり、脱肛や脱腸、子宮脱や胃下垂などの内臓下垂になったりすることがあります。

 


同じように「胃の腑」が弱ると、うまく気血を下げられないために吐き気やおう吐、頭痛などが起こることがあります。

 

 

このようにして東洋医学では、「脾」と「胃」を、働きの上から「脾胃」、「脾胃」と呼んで同一視しながらも、実際に変調が起こった時は「脾」なのか「胃」なのかを明確にして治療します。

 


「脾」が悪い時と「胃」が悪い時では治療のやり方が違ってきます。

 

 

症状も違います。

 

 

東洋医学的な所見も違います。

 


こういったことを明確にしないままに治療しても、なかなかうまくいきません。

 


「弁証論治」の重要性ですな。

 


・・・人体を上焦、中焦、下焦と3つに分けると、そのど真ん中となる「中焦」にデ~ンと存在し、気血の上下、「昇」と「降」をつかさどる脾胃・・・。

 


昇るべきものを昇らせ、降るべきものを降す、脾胃はまさに、「生命活動の中心」なのであります。

 

 


次回に続く

 

 

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「胃」って何ですか?(その4)

2010.07.23

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これまでのお話・・・

「胃」って何ですか?
「胃」って何ですか?(その2)
「胃」って何ですか?(その3)

 

☆胃は「気」の工場

 


いよいよ、「胃の腑」の機能面での重要性について書いていこうと思います。

 


まず、我々人間というのは、「飲食物」と「空気」がないと、すぐに死んでしまいますよね。

 


外界からこの二つを取り込むことによって、生命を維持している訳です。

 


そして、このうちの「飲食物」による生命維持に、「胃の腑」が大きく関わる訳です。

 


飲食物が体内に入ると、まず初めに食道を経て、「胃の腑」に収まります。そしてここで、「脾の臓」と協調して、飲食物から「気血のもと」を取り出します。

「脾」って何ですか?(その3) 参照

 

つまり脾胃がしっかりと働く、ということが出来ないと、全身の正常で健全な気血の産生運動は、ここでいきなりつまづいてしまう訳です。

 


しっかりとした脾胃を作るためには手足を使った軽い運動が一番いい、というお話は以前に致しました。

「脾」って何ですか?(その4) 参照

 


☆脾は上げ、胃は下げる

 


飲食物が脾胃に入った後、脾が胃をグイグイと「もんで」、気血のもとを取り出したならば、その残り物(カス)はさらに下の「小腸の腑」に送られます。

 


では取り出した「気血のもと」はどうなるか、というと、一度「胸部」に持ち上げられる、と、東洋医学では考えます。

 


この「胸部」よりも上の部分のことを、東洋医学では「上焦(じょうしょう)」と呼び、胸部に存在するのは「心の臓」と「肺の臓」、頭に存在するのは「脳」ですよね。

(「脳」についても、またいずれ述べましょう。)

 


以前、「脾胃」の存在する、みぞおちからおへそまでの位置(スペース)のことを「中焦(ちゅうしょう)」と言いましたよね。

 


・・・それに対して「心と肺」が存在するのが「上焦」です。

 

 

そしてこの”上”と”中”の境界線になるのが「膈(かく)」ですね。

(膈については「心」って何ですか?(その2)参照)

 


ではおへそよりも下は?というと、「下焦(げしょう)」と言います。

 

 

東洋医学ではこのように、人体を「上・中・下」の横3分割にして、それぞれの関わり、それぞれにおける働きを考えます。

 

 

なんで3分割で考えるのか、という問題は、長い話になるので、これもいつか書きましょう。

 

(笑・・・でもここは大変興味深い部分です。)

 


少し話がそれましたんで、今日はこの辺で一旦切って、次回は「脾は上げ、胃は下げる」話の続きから行きましょう。

 

 

 

続く

 

 

 


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「脾」って何ですか?(その9)

2010.07.08

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これまでのお話・・・

「脾」って何ですか?(その1)
「脾」って何ですか?(その2)
「脾」って何ですか?(その3)
「脾」って何ですか?(その4)
「脾」って何ですか?(その5)
「脾」って何ですか?(その6)
「脾」って何ですか?(その7)
「脾」って何ですか?(その8)

 

☆脾が弱ると出血する!?

 


これまで、「消化吸収のかなめ」としての「脾の臓」に注目して話をすすめてきました。

 


その流れから言うと、今回の話は意外に思えるかもしれません。でもこういうことが、実際にあるのです。

 


今日も患者さんから、

「どうして不正出血ってするんですか?」

という質問をいただきました。実はこういった、不正出血や下血、鼻血なんかの原因に、「脾の弱り」があることがあります。

(・・・まあ、今日の患者さんの場合はちょっと違ったけどネ。)

 


僕は普段の臨床の中で、脾の弱りがメインの患者さんを診た場合、例え症状が不正出血であったとしても、

「胃腸の、消化、吸収する力が弱っていることが今回の症状の原因です。」

という説明をすることがあります。

 

これを言うと多くの患者さんは、

「ハ?消化吸収と出血に、何の関係が??」

という顔をします。(笑)

 


しかし、こういうことはあるんです。今日はそんなお話しです。

 


まず、(その7)でお話ししたように、「血(けつ)」のもとは飲食物であり、飲食物から「血のもと」を取り出す要は「脾の臓」でしたよね?

 


ということは、「よい血」を手に入れるには、「よい飲食物」+「よい脾」が重要、ということになります。

 


では、ここでいう「よい血」とはいかなるものかというと、大まかに言うと、

1.血管から勝手に漏れ出さず、

2.全身をキッチリと栄養し、

3.滞ることのない、

血のことです。

 

 

この1~3の条件を満たした血こそが、理想的な「血」なのです。

 


これは言いかえれば、少し難しい言い回しかもしれないけど、「気」とのバランスのとれた「血」と言ってもいいと思います。

 


・・・まあともかく、脾が弱ると、この1~3の条件が満たせなくなります。

 


だから仮に飲食物を気をつけて、いいものを食べていても、からだ側の「脾」が弱っていると、”出血”という病的状態になってしまうことがあります。


(専門家の先生方、簡単に済ませて申し訳ないが、”脾不統血”、”気不摂血”というキーワードを、『難経』42難、49難などを踏まえてミックスした、患者さん用の僕なりの説明です。勘弁してネ。)

 


・・・ここまでで「脾」の形と働きの説明は大体終わります。

 


最初の方で述べたように、「脾」は「胃」とセットで考えねばなりません。

 


なので次回から”「胃」って何ですか?”シリーズでいこうと思っています。

 


「脾胃」は生命力のかなめです。

 


ココが弱い若者が多い、ということは、日本の将来は一体・・・。

 

 

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「脾」って何ですか?(その8)

2010.07.07

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これまでのお話・・・


「脾」って何ですか?(その1)

「脾」って何ですか?(その2)
「脾」って何ですか?(その3)
「脾」って何ですか?(その4)
「脾」って何ですか?(その5)
「脾」って何ですか?(その6)
「脾」って何ですか?(その7)

 


いや~、今日のジメジメも半端じゃなかったですね~!!

 


湿度は常に70%以上!

 


自然界がジメジメの時、体も心もジメジメになっちゃあいけません!

 


「サラッ」とさせとかないと!

 


・・・大体この時期、体がジメジメの人は太り、心がジメジメの人は痩せますな。(笑)

 


今日はそんなお話。

 


☆脾と「太る」「やせる」

 

これまでの話を読んだ人なら、これはなんとなく想像できると思います。

 


何度も出てきているように、当然「脾の臓」は消化、吸収に大きく関わります。

 


ということはこれがうまくいかなかったら過剰に太ったり、過剰に痩せたりしてしまうんです。

 


・・・まあコレ、当たり前の話ですけどね。(笑)

 


僕のところにも、いまだに、

「鍼で痩せられますか?」

とか、

「食欲のなくなる鍼ってないんですか?」

という問合せや質問がたま~にあります。(苦笑)

 


一体いつまで続くんでしょうか、女性の「楽して痩せたい」願望(幻想)・・・。

 


確かに、テレビや雑誌に出ているスリムで美しい女性を見て、ああなりたい、と思う気持ちはよく分かります。

 


でも、楽して、他力本願でそうなりたい、とか、何か一つのことだけやればあとは何もしなくていい、というのは、やっぱり虫のいい話のようです。

 


清明院では不自然に、無理やり食欲をなくさせたりするような、病気を形成、助長する行為は致しません。

 


どうしてもやりたければ他へどうぞ、という話にならざるをえません。(笑)

 


ただ、治療をしていくことで、その方の本来の消化吸収機能を取り戻し、体内の余分なものが減っていった結果として「やせる」ということはよくあります。

 


また逆に、やせ過ぎていた女性が、治療をすることによって適度に肉がついてきた、という変化もまたよくあります。

 


この変化に大きく関わるのが「脾の臓」です。

 


脾がうまく働かないと、飲食物が大して吸収もされずに、未消化便となって体から出ていってしまうことがあります。

 


また、吸収したのはいいけど、それがいつまでも無駄に体に留まる場合もあります。

 


前者の場合は痩せていくし、後者の場合は太っていきます。

 


ではどういう人がこのパターンに分かれるかというと、それは「脾の臓」以外の臓腑との機能のバランスによって決まってきます。

 


詳しくは難しくなるので書きませんが、例えば、すでに出てきた「心の臓」とか「肝の臓」とか、あるいは一番そばにある「胃の腑」とかとのバランスです。

 


これらがきちっと協調し合いながら仕事してれば問題ないんだけど、アンバランスがあると、先ほどの2つのタイプに分かれてきます。

 


何事もバランス、ということです。

 

 

陰陽あるけれども、「中庸(ちゅうよう)」が大事、というのが東洋医学的な健康体の基本です。

 

 


次回に続く。

 

 

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「脾」って何ですか?(その7)

2010.07.02

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これまでのお話・・・

 

「脾」って何ですか?(その1)
「脾」って何ですか?(その2)
「脾」って何ですか?(その3)
「脾」って何ですか?(その4)
「脾」って何ですか?(その5)
「脾」って何ですか?(その6)

 

☆脾は血に関与する

 


以前、
「肝」って何ですか?(その2)や、「心」って何ですか?(その5)にて、「肝」や「心」が血と深く関わる、というお話をしました。

 


しかし、血に関わるのは肝や心だけではありません。

 

 

「脾」も大いに関わります。

 


今日は、では「脾」が血にどのように関わるのか、というお話。

 


まず、血のもとは何かと言ったら、食べ物や飲み物です。

 


これは万国共通、疑いないですよね?

 


飲食物が口から入ると、一番最初に待ち受けるのは「胃の腑」と、それに密着した「脾の臓」でしたよね?

「脾」って何ですか?(その3)  参照

 


そしてこの2者がうまく協調して、飲食物から「気と血のもと」を取り出す、という話は以前にしました。

 


と言うことは、もし「脾」の働きが弱っていたら、もともとあるべき、体内の「血」の絶対量が少なくなってしまうんです。

 


「気血のもと」が取り出せない、てことは全身の気血が少なくなっちゃう、ということです。

 


そうなると肝も豊富に血を蔵することが出来なくなるし、心も十分に血を全身に送り出すことが出来なくなります。

 


そういう意味で、脾は血の生成に大きく関わり、ここでも生命の中心的役割を演じています。

 

 

「肝」「心」「脾」、この3者の血への関わりをまとめると・・・、

肝・・・血を貯蔵して、配分バランスを調節

心・・・血を律動的に全身に流動させる

脾・・・血の生成に大きく関わる

となります。

 


ですから血が足りない、という症状があったとしても、即座にどこが悪い、と決めつけることなんてできないんです。

 


ちなみに、西洋医学の言う「貧血」という考え方と、東洋医学の言う「血虚(けっきょ)」という考え方は、確かに似た部分もありますが、やっぱり違います。

 


どこがどう違うか、ということを説明すると長くなるし、難しくなるのでしませんが、そもそもこういう風に、西洋医学の概念を東洋医学的に翻訳しようとすること自体に無理がある、というのはいつも述べている通りです。

 

 

物差し自体が違うのです。

 


注意せねばなりません。

 

 


次回に続く

 

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「脾」って何ですか?(その5)

2010.06.22

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これまでのお話・・・

「脾」って何ですか?(その1)
「脾」って何ですか?(その2)
「脾」って何ですか?(その3)
「脾」って何ですか?(その4)

 

☆脾は湿気が嫌い

 


いや~、ここんとこ毎日毎日ムシムシしますね~!!

 


東洋医学では、体の内外の過剰な湿気のことを「湿邪(しつじゃ)」と呼び、あらゆる症状の発病因子と考えています。

 


体の中の湿邪のことを「内湿(ないしつ)」と呼び、体の外(自然界)の湿邪のことを「外湿(がいしつ)」と呼んでいます。

 


東洋医学では、「脾」というのはもともと湿った、乾きを嫌う臓だと考えています。

 


それに対して「胃」は逆で、乾いた腑である、と考えています。

(コレには深い意味があるんですが、難しいので割愛します。(笑))

 


体の中に余分な水分が増えたり、自然界がジメジメした時期になると、もともと湿っている「脾」の働きは弱ります。

 

 

だからいつも言うように、最近のようなジメジメした時期は、消化器に負担をかけないようにして、「飲み過ぎ、食べ過ぎ」はしないようにしないといけません。

 


それ+手足を使った軽い運動をしておけば、脾がしっかりしますので、あらゆる症状を未然に防ぐことが出来ます。

 


・・・では、脾が弱ると具体的にどんな症状が現れるんでしょうか?

 

☆脾が弱るとクヨクヨする

 


コレについては以前少しだけ書きましたが、(
「思」について 参照)あまりクヨクヨと悩んでも脾に悪影響だし、飲食の不摂生などから脾を弱らせても、逆にクヨクヨしやすくなります。

 


要するに脾が弱ってくると、体がジメジメし、考え方までもがジメジメしてくる訳です。(笑)

 


身の回りに、引っ込み思案の人、理屈っぽい人、いつも物思いに沈んでいる人なんかがいたら、その人の食生活をよ~く観察してみましょう。

 


・・・きっとヒドいはずです。(苦笑)

 

☆脾が弱ると頭の回転が鈍る

 


コレはなぜかというと、肝が魂を蔵し、心が神を蔵するように、脾は「意」を蔵する、という考え方があります。

「肝」って何ですか?(その4)
「心」って何ですか?(その1)   参照

 


この「意」というのは、人間の短期的な記憶力を発揮するのに役立ち、人間の知恵、知識、思考能力に深く関わります。

 

参考図書『中医心理学』たにぐち書店

 

暴飲暴食のあとは頭の回転が鈍くなる、というのは、多くの人が経験したことがあると思いますが、それはこの「脾」に蔵される「意」の働きが鈍っている結果、と東洋医学では考えます。

 


自閉症、認知症などの精神疾患なども、多くの場合「脾」が関わっていることが多いように思います。

 


東洋医学の言う「脾」は、このように、消化吸収だけでなく、精神的な働きにも大いに関わる、と考えます。

 


まだ他にも、脾が弱った時の症状はありますが、一つ一つ全部書くよりも、大まかな傾向を述べていこうと思います。

 

 

・・・次回に続く

 

 

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