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これまでのお話
東洋医学は宗教か。 4 参照
さて、どんどんいきましょう。
◆「気」や「経絡」を実感することで、信じて運用することが出来るようになる。
最初は、「気」とか「経絡」なんてものは、古代中国の観念の産物であり、実に古臭く、全く信用するに値しない、
と思っていた私ですが、鍼灸臨床をやっていくうちに、その存在の確かさに気付いていきます。
なぜそうなったのかと言えば、臨床現場で、現場の肌感覚として、それらの存在を”実感出来た”からです。
この「気」だの「経絡」だのというのは、学校で机の上で、字面で教わっていても、なかなか捕まえられません。
面白いけど、面白いだけです。(苦笑)
”目に見えない”、”数値化も出来ない”以上、実際にその考え方で患者さんを只管やっていくことで、その存在が感覚的に、
実感、感得出来てくるものなんだと思います。
僕らが医学理論の基本に置く「臓腑経絡」なんていうものは、そもそも、必死になって患者さんを治そうとする立場の古代中国の医師たちが、
無数の思考実験と人体実験の末に、ようやく辿りついて考え出された概念、想念なのです。
真摯にやっていれば、それが徐々に分かってくる筈です。
鍼灸臨床をやる以上、患者さんの実に様々な症状、変化に、柔軟に対応しなければなりません。
整形外科的な症状はもちろん、内科、婦人科、小児科、皮膚科、精神科、泌尿器科、循環器科、アレルギーなどなど。
1日何十人も見るとなればなおさらです。
治療に鍼灸を使いつつ、その千変万化の臨床現場における、臨機応変性を担保できるものとして、東洋医学理論がどうしても必要でした。
(僕の場合は)
そして、東洋医学理論に立脚しつつ、拙いながらも鍼灸臨床を粘り強くやっていくことで、徐々に「気」や「経絡」の存在を実感することが出来てきました。
ですので、僕からすると、普通に一生懸命鍼灸鍼灸で臨床をやっていったら、普通に東洋医学的な臨床になるのではないかなあ、
という思いがあります。
・・・でも、そうなっていない現状がある。
現代日本で鍼灸治療といったら、大半は整形外科の電気治療やマッサージの補助としての、物理療法の一環としての鍼灸治療です。
あまり言いたくはないが、残念ながら、大概の鍼灸師さんは、そういう努力(自分が鍼灸した後に患者さんの体に起こる全現象の理論的検証)をしていないんじゃないでしょうか。
たとえ患者さんが悪化したり、思いがけない反応が起こったとしても
「ドーゼオーバー」
とか、
「気候の問題」
とか、
「鍼灸とは関係ない」
とかいう、よく考えると、あまり意味の分からない言葉で、お茶を濁して、済ませてしまっているんじゃないでしょうか。
また、鍼灸学校の中にも、東洋医学の臨床をしっかりと見せれて、しかもしっかりと教えられる先生は、そうそういないのが実状ではないでしょうか。
清明院の患者さんが聞いたら、意外に思われるかもしれませんが、徹頭徹尾、東洋医学的な診断治療を実践している鍼灸院なんてのは、
鍼灸院の総数から見たら、かなり少ないのが実態なのです。
(パーセンテージは、1%以下とかなんじゃないでしょうか。。。知らんけど。)
多くの鍼灸院や鍼灸整骨院、病院では、問題の起こっている筋肉や神経を、単に刺激することを意識して、ある種の整形外科的な「物理療法」「刺激療法」の一環としての鍼灸が行われていますし、
東洋医学っぽい雰囲気でやっているような鍼灸院でも、どこかの誰かが唱えたメソッドを、ルーチンワークの様に、受け売り的にただこなしているようなケースがほとんどです。
(僕が見てきた範囲では)
そこに、「東洋医学の医者」としての創意工夫や苦悩はあまりみられません。
そうなると、かなり少数派のマイノリティー鍼灸院が、一般人や、多くの鍼灸師にはよく分からない、謎の理論を駆使して、あらゆる疾患に対して、
あっと驚くような治療効果を上げている、という状況になり、そうなると、業界内からも、西洋医学しか知らないマジョリティーからも、
気味悪がられるようになり、
「あいつらは宗教だー」
と、ステレオタイプ的に言われてしまう、という状況が醸成されてしまっている面があると思います。
これは、医療業界全体の社会制度の問題や、鍼灸学校教育の問題など、明治以降の日本社会における、非常に色々な問題が複合的に重なって、
現在の、こういう状況が醸成されているのだと思います。
だから、根は深いです。
・・・でもまあ、僕ら臨床家は
「そんなの関係ねえ!」
とか思って、日々やってますけどね☆
次回、では「宗教」とは本来何なのか、人が必死になって、真面目にやっている仕事に対して、
「あいつらは宗教だー」
とか、簡単に悪意を込めて言えてしまう人の、恐らく思っている”宗教”とはいかなるものなのか、というところを考えてみたいと思います。
続く
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