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来週、東洋鍼灸専門学校にて、「北辰会方式打鍼術~実技編~」を講義します。
実はこれはなかなか画期的な話でして、これまで、鍼灸学校で「打鍼」のことが紹介程度に講義されたことはあっても、
平常授業の中で、打鍼を日本で一番、臨床で応用しているといっていい、「北辰会方式の打鍼術」が、
”鍼灸学校の授業の中で”
”実際の打鍼の道具を手に取って”
北辰会の講師によってハッキリとした形で講義されるのは、有史以来初めてなんじゃないかと思います。
(笑・・・大げさか。)
まあ、気合い入れていこうと思います。
こういう機会を下さった東鍼校の校長先生、学科長に感謝します。
〇
ところで「打鍼」というのは、もともとは先の尖った太い鍼を、木槌でコンコンと叩いて皮下に打ち込み、治療する方法と言われてきました。
(いたそーですねー)
古文献に書いてあるように、先の鋭く尖った鍼を使って、実際に木槌でその鍼の頭を叩いて、皮膚に打ち込む先生もいらっしゃるようですが、
これは痛みなく行うのが非常に難しく、北辰会ではそれを現代人の繊細な感覚に合うようにアレンジし、太くて先の丸い鍼を使って、
その鍼を腹部のツボに当てて、その上から木槌で叩打し、独特の圧加減と振動と音の響きで刺激する、非常にソフトな治療法として、
さらにそれを現代中医学の弁証論治の考え方ともクロスオーバーさせて、「北辰会方式打鍼術」として昇華しております。
(因みに、最近の長野仁先生や大浦慈観先生たちの研究によれば、江戸期から”刺さない打鍼術”は存在していたようです。)
ですので、現代の鍼灸臨床の現場ではむしろ普通の人よりも過敏な、小児や女性などによく用います。
〇
ところでところで、江戸時代に打鍼を世に広めたのは、先日ご一族の墓所に墓参してきました、江戸初期の京都の鍼医、御薗意斎先生です。
御薗意斎という人物 参照
御園意斎先生以前にも、打鍼術自体はあったそうですが、御薗意斎先生の師匠とも言われる、臨済禅の僧医である夢分斎という先生が、
打鍼をするにあたっての診察、治療部位を腹部に限局し、さらに禅の考え方と組み合わせて理論的に展開し、
「夢分流打鍼術」
として一つの流儀としてまとめ、それを当時のカリスマドクターであった御薗意斎先生に伝え、世に広まり、さらにその後、奥田意伯という人物が、
夢分斎先生の伝書として刊行したのが
『針道秘訣集』
という有名な本であると言われています。
その後、打鍼術は全国色々なところで行われていたようですが、現代でも続く、鍼管を使って刺入する管鍼術に押されたのか、江戸後期から大正時代あたりまでは、
衰退していた時期もありましたが、昭和の初期になって、私が今教鞭を取っている、東洋鍼灸専門学校を作った柳谷素霊先生によって紹介され、
その弟子筋である橋本素岳先生、小野文恵先生、福岡の馬場伯光先生たちが、臨床で応用していたあたりから、復興が始まったようです。
柳谷素霊という人物 参照
・・・で、1970年代(昭和40年代)に至って、打鍼術の伝書である『針道秘訣集』を解説した本である『弁釈針道秘訣集』を刊行し、
自分たちなりにアレンジし、再び大きく世に広めたのが、北辰会代表、藤本蓮風先生です。
・・・で、僕はその影響を受けて、普段の臨床に北辰会方式の、”刺さない”打鍼を使っているわけなんですね。
これは江戸時代初期から現代までの数百年、連綿と続く一筋の流れなのです。
打鍼をやるならば、こういうことをキチッと踏まえないと。
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