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2010.02.04
続いて、「恐」について書きましょう。
「悲」と「憂」についてはセットで書きましたが、「恐」と「驚」については分けて書きます。
これは、後者の場合は意味的に違いが大きいからです。
「恐」というのは皆さんがよくご存じの「恐怖感」のことです。
生活、人生の様々な場面で感じることがあると思います。
これも出来れば避けたい感情ですが、僕なんかはチョイチョイ感じます。
でもこれも結局は「過不足」がなければ問題ナシです。
なので僕なんかは感じてもサッと乗り越えます。
・・・「サッ」とね(笑)
これが主に過度になった場合、体に悪影響です。
「恐」という感情は主には東洋医学の言う「腎」という臓を痛めつけます。
(西洋医学の腎臓=kidneyのことじゃないですぞ!・・・しつこい?)
(『黄帝内経素問 陰陽応象大論(5)』「・・恐傷腎.・・」)
東洋医学のいう「腎」とは、泌尿器系の機能をつかさどる他に、生殖機能や、他の臓と協調して全身の温度調節をしたり、腰や足の機能の調節などを担います。
(これもまあ、ざっくり言うと、です。 詳しくは「腎」って何ですか?(その11) 参照。)
「腎」が「恐」によって弱ると、主に「腎」の働きの中の生殖機能に影響し、男性ではED、女性では月経不順など、様々な症状を引き起こし、
酷くなれば精神障害、言語障害などが現れます。
余談ですが、小児に多いのですが、お父さんに怒られてビビって、
「おしっこチビッた。」
なんていうのも、まさに「恐」という感情によって「腎」の機能が障害された姿です。
僕の親戚は、よく怒られてはよくチビッていました。(苦笑)
彼は「腎」を鍛えなくてはなりません。
また東洋医学の聖典である『黄帝内経 素問』の挙痛論(39)という項には、
「恐れれば気が下がる。」
とあり、極度の恐怖感は、上半身の気をグーッと引き下げてしまい、頭がフラフラして、貧血の時のメマイのような感覚が出ることがあります。
ドラマなんかで、あまりのショックに地べたにへたり込んだりするシーンがありますが、アレはウソや大げさではなく、実際に起こりうる現象です。
気が極端に下がり、腰から下の丈夫さと大きく関わる「腎の臓」が障害された結果、下半身に力が入らなくなり、上半身はフラフラになり、
へたり込んでしまう、という訳です。
また、「〇〇恐怖症」という言葉を聞くことがあると思いますが、「恐」という感情は、一過性のものというよりは、過去のトラウマによって徐々に蓄積されたものであり、
「驚」と比べて回復しにくい面があるようです。
また、「腎」を痛めたことによって、「恐」を感じやすくなる、という、逆パターンもあります。
グッドウィンと言う人が書いた『恐怖症の事実』という本の中に、
「・・・下半身が麻痺になった患者は、なぜか恐怖を感じやすいが、首から下が麻痺した患者は、そういう例は少ない。」
という記述があります。
グッドウィンさんはこれを、動物的な本能に起因するものとして説明しますが、東洋医学をやっている僕なんかは、「腎」が下半身の機能に大きく関与することを知っているので、
「へえ~やっぱりね~!」
・・・と思ってしまいました。
近現代の様々な学者の本を読むたび、しっかし東洋医学の数千年の知恵は、かなり真実(ものの本質)を突いてるよな~・・・と、悦に入るのは僕だけでしょうか?(苦笑)
次回は「驚」についてです。
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