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スピリチュアルペイン(その4)

2010.11.09

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これまでのお話・・・


スピリチュアルペイン(その1)

スピリチュアルペイン(その2)
スピリチュアルペイン(その3)


東洋医学のお話に入る前に、前回ちょこっと書いた、「スピリチュアルケア」というものについて、軽く触れておきましょう。

(この話題、何やら皆様興味津々とみえるので・・・。)

 


これまでのお話で、「スピリチュアルペイン」というものは、緩和ケアにおける「トータルペイン」の4分類の中の一つであり、「スピリチュアルペイン」の、

 

さらに細かい分類は3パターンある、というお話をしました。

 


今日お話しする「スピリチュアルケア」というものは、この3つ、それぞれに対する医療人としての対処法(ケア方法)だそうです。


(ここは非常に難しい問題をはらむので、深く入り過ぎずに、簡単に述べます。)

 


1.生きる目的を失っている場合

・・・将来を見出す。これにより、新たな現在を再構築する。


2.他者を失っている場合

・・・新たな他者を見出す。


3.出来ていたことが出来なくなった場合

・・・「考える」「感じる」「表現する」など、まだ自律性がある、ということを理解してもらう。

と、言葉では何となく分かるけど、よくよく考えると、どれも非常に難しいものです。

 


この3つのケアの基本的態度になるのが、

「傾聴(けいちょう)」

と、

「共にいる」

という行動になります。

 


これをすることによって、上記のような解決策をともに考えていく、というスタンスです。

 


緩和ケア医療では、医療者、あるいはご家族等、周囲の人間がこれを行うことによって、スピリチュアルケアに繋がる、としています。

 


・・・まあ、絶望の状態になった時、そばに自分の話をよく聞いてくれる人が一人いるのと、いないのとでは、その患者さんの心理状態は全然違ってくるということは、

 

想像すれば誰でも分かります。

 



この「スピリチュアルケア」というものを、医療者が理解しているのといないのとでは、終末期はもちろん、一般の患者さんにおいても、

 

治療効果、病の経過に大きな違いが出てくるような気がします。

 


このことは、僕自身の短い臨床経験の中でも大いにうなづける部分です。

 


僕はこの業界に入って、比較的早い段階から、「往診」での鍼灸治療を、今日までやってきましたので、寝たきりの方、重病、難病によって通院が困難な方と接する機会は、

 

他の鍼灸師の先生方よりは断然多かったと思います。

 


こうした患者さん達を思うと、たとえ僕のつたない鍼治療でも、週2回、3回と、そのお宅に通って、よくよく話を伺い、鍼をすることで、

 

様々な症状の緩和はもちろん、患者さんが非常に安心し、最後は亡くなるにしても、安らかに最期を迎えることが出来る、少なくともその一助にはなりえると実感する、

 

という経験を、これまで何度もしています。

 


鍼灸臨床サイドから見ると、

「傾聴」+「共にいる」+「鍼灸治療」

という組み合わせは、緩和ケアの考え方に照らし合わせた場合、非常に「スピリチュアルケア」の効果を高めるような気がします。

 


・・・というか、あえて「スピリチュアルケア」なんていう熟語を持ち出さなくても、東洋医学ではもともとこういうことを、数千年もの間、

 

当たり前にやってきたんだと思います。

 


次回からはそんなお話。

 

 

【ここまでの参考文献】

 

ホスピス―その理念と運動 シシリー ソンダース

 



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この記事に関するコメント

“スピリチュアルペイン(その4)” への4件のフィードバック

  1. かえん より:

    「傾聴」+「共にいる」+「鍼灸治療」←で救われました。
     
    痛みに苦しんでいました。鍼治療で普通に日常生活が送れるまでに痛みが激減し、更なる回復への希望が持てる。あれだけ多くの強い薬を飲んでも一向に良くならなかったのに‥‥。 鍼が効きました。
    人間をまるごと診る。患者の話を、向かい側ではなく傍らで親身に聞いてくれる。共に歩いてくれる。患者自身も治してもらうのではなく、養生指導を守り、治ろうとする姿勢が大切。 陰陽・東洋医学の不思議。
    このブログで(特に“何ですか?”シリーズで)多くのことを勉強させていただいております。奥が深いです。
    陰陽は日々のあらゆる場面において道しるべとなっています。 感謝。

  2. いんちょう より:

    かえんさん
    コメント、ありがとうございます!
    > 「傾聴」+「共にいる」+「鍼灸治療」←で救われました。
    それはよい先生に診てもらえたようで、よかったですね♪
     
    >あれだけ多くの強い薬を飲んでも一向に良くならなかったのに‥‥。 鍼が効きました。
    そういうことは非常に多くあると思います。もっともっと多くの人にこの医学の良さを知っていただきたいと思っています。
    >患者自身も治してもらうのではなく、養生指導を守り、治ろうとする姿勢が大切。
    まったくですね。サスガよくお分かりだと思います。そういうことが理解出来るかえんさんだからこそ、鍼の真価を実感できたんだと思います。
    > このブログで(特に“何ですか?”シリーズで)多くのことを勉強させていただいております。奥が深いです。
    お!そうですか!!「何ですか?」シリーズは極端にコメントが少ないので(苦笑)、みんなあんまり好きじゃないのかしら・・・。と思いながらも、負けずに書いています。(笑)
    > 陰陽は日々のあらゆる場面において道しるべとなっています。 感謝。
    ですね~。コメントを読ませてもらう限り、かえんさんがおかかりの先生はスゴイ人なんだろうと思います。ご自分の病を通じて、素晴らしい学びを得ましたね。
    僕もまだまだ頑張ろうと思っています!これからも応援よろしくお願いいたします

  3. かえん より:

    >それはよい先生に診てもらえたようで、よかったですね♪
    北辰会の先生です!
    >もっともっと多くの人にこの医学の良さを知っていただきたいと思っています。
    実は、そこなんです。 症状が軽くなるとともに自分の身体の中で一体何が起こったのか、不思議で不思議でなりませんでした。
    そして、先生に色々と質問を繰り返すうちに、今、自分の身体がどのような状態になっているのかということはもちろん、東洋医学の考え方・陰陽五行・易・老子の教え‥‥etc、それらが東洋医学の枠を超え、
    人が生きてゆく上でとても大切な心の持ちようを説いていることも教えてくださいました。 何の力もないけれど同じ病で苦しむ人たちに患者の立場でできることはないものかと考える日々です。
    >お!そうですか!!「何ですか?」シリーズは極端にコメントが少ないので(苦笑)、みんなあんまり好きじゃないのかしら・・・。と思いながらも、負けずに書いています。(笑)
    決してそんなことはありません!! シリーズはプリントアウトして(結構重いです)、朝晩の通勤が勉強時間です(時に、+『鍼の力』+『東洋医学の宇宙』+『東洋医学のしくみ』‥‥かなり重いです!!)
    >ですね~。コメントを読ませてもらう限り、かえんさんがおかかりの先生はスゴイ人なんだろうと思います。ご自分の病を通じて、素晴らしい学びを得ましたね。
    はい、とても信頼のできる先生です。 
    >僕もまだまだ頑張ろうと思っています!これからも応援よろしくお願いいたします
    こちらこそ、素人にもわかりやすく丁寧に解説していただいてとても感謝しておりますm(__)m
    年末の『神主学説』の講義、楽しみにしております。

  4. いんちょう より:

    かえんさん
    > 北辰会の先生です!
    そうでしたか!(笑)
    >何の力もないけれど同じ病で苦しむ人たちに患者の立場でできることはないものかと考える日々です。
    それは大事なことですね。僕ら鍼灸師が「鍼はいい!」って言うのは、ある意味当たり前の話であって、患者さんをはじめ、鍼灸師以外の人からそういう話がたくさん出てくると、もう少し現状がいい方向に変わってくると思います。
    >シリーズはプリントアウトして、朝晩の通勤が勉強時間です
    おお!偉すぎます!!サスガ!
    > 年末の『神主学説』の講義、楽しみにしております。
    あー、年末、来られるんですね。(笑)どうぞお楽しみに。このブログの内容がフリになっております。

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