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◆「体表観察」は動かぬ証拠!?
前回、「問診」というのは、非常に重要ではあるけれども、どこまでいってもウソや大げさなどの「不正確な情報である可能性」は拭えない、というお話をしました。
・・・ということは、「問診」のみで、それを診断の証拠として治療に入るのはリスキー、とも考えられます。
そこで、舌診や脈診などに代表される「体表観察」というものなら、ウソのつきようがないから、動かぬ証拠になるので、非常に重要であろう、というお話をしました。
じゃあここで、「体表観察から得た情報」というのは、本当に誰がやっても同じ情報が上がってくるモノなんでしょうか。
「体表観察情報」というものをとったら、それは絶対に間違いない情報なんでしょうか。
コレも残念ながら違います。
コレも結局、どこまでいっても治療者の”感覚(五感)”を頼りに得た情報になるので、極言すれば主観的であり、「間違う」可能性があるからです。
そして、人間の「感覚」そのものを治療者間で完全に統一することや、絶対に間違わない能力を身につけることは、正直、不可能ではないかと思います。
なぜなら、その先生によって、「着眼点」から「指の感覚」から何から、すべて十人十色、みんな違うからです。
また、どんな先生でも機械ではないので、日によって体調も異なり、常に完全にフラットな、いい状態で体表観察が出来るとは限らないからです。
カゼひいて体調が悪い時は感覚が鈍るだろうし、何かあって動揺してる時は感覚が鈍るでしょう。
しかし、それじゃあどーしょーもないじゃん、とはなりません。
そこをどうするか考えるのが、「知恵」ってやつです。(笑)
要は、完璧がありえないならば、完璧に最大限近づける努力をすればいいだけさ、ということです。
まず、これを治療者間で最大限統一するために、どうしても必要なのが「共通用語の整理とその定義の統一化」です。
(なんか、ムズイネ・・・。(苦笑))
誰がとっても「極力」同じ脈、誰が診ても「極力」同じ情報にするためには、患者さんを触って得た感覚を言葉に置き換えて、その言葉の意味を定義付け、
それの集合体としての「理論」の大枠を整えて、体系だてておかなければなりません。
要は、主観的な情報に、最大限の客観性、普遍性を持たせるのです。
さらに、舌のみ、脈のみ、と偏るのではなく、お腹や背中、手足のツボの所見などなど、実に多面的に、あらゆる角度から観察して、治療者間でのばらつきと、
その治療者自身の診断のばらつきが最小になるようにしなくてはなりません。
Aもある、Bもある、Cもある、でもその中で、中心はAだ!!ということが分かればよいワケだし、そのことが治療者間で最大限共有できればよいワケです。
そしてそれを教育するには、理論はともかくとしても、診察法に関しては「手から手へ」で、分かる人から次の人へと、手をとって教えていかなくてはなりません。
これは非常に大変なことです。
明治時代、医療の主役を西洋医学にとって代わられたのは、単純に東洋医学が富国強兵政策のコンセプト(戦地で有用な医学医療)に合致しなかったということもあるでしょうが、
こういうことも背景にあるのかもしれません。
(対象が集団よりも個人、現場レベルでも個人対個人の医学医療である)
日中の悠久の歴史から見ても、「東洋医学がいいものだ」ということは間違いないけど、客観的な評価と、教育の難しさ、というところを考えると、
西洋医を量産した方が早い、という明治政府の判断も、あながち間違ってないようにも思えます。
(当時の国内外の事情も鑑みると、の話ですが。)
・・・まあ、キチッとした東洋医学をやろうと思ったら、「問診」と「体表観察」から得た、「限りなく正確な」有益で多くの情報を、論理的にスッキリと整理して、
その病の「東洋医学的な」メカニズムを考えるしかないのです。
ここで必要不可欠なのが「論理的思考」です。
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発汗、寒熱、軟硬などは機械で測れそうなんですけど邪道なんですかねぇ・・・
数字で表せると客観的でわかりやすいんですが。
「共通用語の整理とその定義の統一化」の重要性をとても感じます。
東洋医学への理解を高めるため、鍼灸師の質を保つためには不可欠なことではないでしょうか。
しかし、統一化の過程で切り捨てた曖昧さも重要で、その部分は人から人にしか伝えられないのですね。
要は両者のバランスでしょうか。
先生のブログを見ていると、洋の東西を問わず、様々な事に関して公平な、フラットな視点を持っておられるのだな、と感じます。
世間では無駄に偏った方もいますが…
これからもブログの更新を心待ちにしています。
ムスタファさん
コメント、ありがとうございます!!
> 発汗、寒熱、軟硬などは機械で測れそうなんですけど邪道なんですかねぇ・・・
> 数字で表せると客観的でわかりやすいんですが。
「数字で表せる」ということの良さは、現代人なら誰でも分かっていると思います。
東洋医学の所見も、モノによっては機械で測定可能なモノもあるでしょうが、研究室でやるならともかく、臨床現場では難しいだろうし、その考え方が加速すればするほど、どんどん東洋医学の「手当て」の良さは失われていきますねえ・・・。
個人的には、「そんなもん触りゃあ分かるんだよ。」という、職人気質の世界が好きです。(笑)
ぐっちさん
コメント、ありがとうございます!!
> 先生のブログを見ていると、洋の東西を問わず、様々な事に関して公平な、フラットな視点を持っておられるのだな、と感じます。
ありがとうございます!・・・まあー、時代の要請もあってか、今はそれがないと、なかなか、ネ。(苦笑)
> これからもブログの更新を心待ちにしています。
はい、頑張りますのでお楽しみに!!